説明

部品交換修理判断支援システム

【課題】部品の交換等をする場面において、適切に判断材料を与えること。
【解決手段】車両が備える所定部品に関する情報を取得する所定部品情報取得手段と、所定部品に置換可能な代替部品に関する情報を作成する代替部品情報作成手段と、入力された情報に基づいて車両性能を算出する車両性能算出手段と、を備え、所定部品情報取得手段により取得された所定部品に関する情報を入力した場合に、車両性能算出手段により算出される現状の車両性能と、所定部品情報取得手段により取得された所定部品に関する情報の少なくとも一部に代えて代替部品情報作成手段により作成された代替部品に関する情報を入力した場合に、車両性能算出手段により算出される置換後の車両性能と、の対比に基づきユーザーに情報提供することを特徴とする、部品交換修理判断支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の交換や修理に関する判断を支援する部品交換修理判断支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行履歴から各部品に作用するストレスを算出し、ストレスの累積を部品ごとに記憶することにより、各部品の劣化具合、残存価値、修理・交換の時期等を閲覧可能にするシステムについての発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、選択可能な範囲でユーザーが車体や部品を任意に組み合わせ、出来上がった車両の外観や性能をシミュレーション結果として表示するシステムについての発明が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−50022号公報
【特許文献2】特開2004−287976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の発明は、車両を分解等することなく各部品の現在の状態を適切に把握することが主眼となっており、劣化具合の進んだ部品を交換した場合に車両性能がどの程度変化するのか、についての考慮はなされていない。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の発明は、ユーザーが新車を注文する際に、任意に車体や部品等を選択した結果として表れる車両の外観や性能を導出することが主眼となっており、既に走行している車両の部品の状態については何ら考慮はなされていない。
【0006】
従って、これらの発明では、ユーザーが部品を交換又は修理するか否かを判断する場面において、適切に判断材料を与えることができない場合が生じる。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、ユーザーが車両の部品を交換又は修理するか否かを判断する場面において、適切に判断材料を与えることが可能な部品交換修理判断支援システムを提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、車両が備える所定部品に関する情報を取得する所定部品情報取得手段と、所定部品に置換可能な代替部品に関する情報を取得する代替部品情報作成手段と、入力された情報に基づいて車両性能を算出する車両性能算出手段と、を備え、所定部品情報取得手段により取得された所定部品に関する情報を入力した場合に、車両性能算出手段により算出される現状の車両性能と、所定部品情報取得手段により取得された所定部品に関する情報の少なくとも一部に代えて代替部品情報作成手段により取得された代替部品に関する情報を入力した場合に、車両性能算出手段により算出される置換後の車両性能と、の対比に基づきユーザーに情報提供することを特徴とする、部品交換修理判断支援システムである。
【0009】
ここで、「所定部品に関する情報」は、車両性能算出手段が車両性能を算出するために必要な情報であり、例えば、所定部品の素材や構造、劣化(磨耗)程度等が含まれる。また、「代替部品」とは、例えば、同種類の新品、他の製品、所定部品を修理したもの、のいずれであってもよい。「代替部品に関する情報」も「所定部品に関する情報」と同様に、車両性能算出手段が車両性能を算出するために必要な情報である。例えば、「代替部品」が同種類の新品である場合には、「所定部品に関する情報」において当該代替部品に係る部分の劣化程度が略ゼロに修正された情報であり、「代替部品」が他の製品である場合には、素材や構造等が「所定部品に関する情報」とは異なる情報であり、「代替部品」が所定部品を修理したものである場合には、「所定部品に関する情報」において当該代替部品に係る部分の劣化程度が所定部品の劣化程度に比してある程度良化するように修正された情報である。
【0010】
この本発明の第1の態様によれば、車両が備える所定部品を代替部品に置換した前後の車両性能の対比に基づき、ユーザーに情報提供する。すなわち、部品を交換又は修理した前後の車両性能を比較して表示等を行なうのである。これにより、ユーザーが車両の部品を交換又は修理するか否かを判断する場面において、適切に判断材料を与えることができる。ここで、ユーザーに対する情報提供の内容は、例えば、置換後の車両性能が現状の車両性能から向上する程度を含む。この場合、置換後の車両性能が現状の車両性能から向上する程度が所定程度以上のときにユーザーに部品交換を促すものとしてもよい。
【0011】
また、本発明の第1の態様において、車両部品に関する情報が記憶された部品情報記憶手段と、部品情報記憶手段に記憶された車両部品の中から代替部品を指定する代替部品指定手段と、を備え、代替部品情報作成手段は、代替部品指定手段により指定された代替部品に関する情報を部品情報記憶手段から取得する手段であるものとしてもよい。この場合、代替部品指定手段は、例えば、所定部品情報取得手段により取得された所定部品の劣化程度に基づいて代替部品を指定する手段である。
【0012】
また、本発明の第1の態様において、代替部品指定手段は、ユーザーの入力操作に基づいて代替部品を指定する手段であってもよい。
【0013】
また、本発明の第1の態様において、部品情報記憶手段に記憶された情報の中から代替部品となり得る部品の組み合わせを複数指定し、指定された複数の部品の組み合わせのそれぞれについて算出される複数の置換後の車両性能に基づいて最適な代替部品を選択し、選択された最適な代替部品に関する情報を提供することを特徴とするものとしてもよい。この場合、部品情報記憶手段には、車両部品の交換又は修理に要する費用に関する情報が記憶されており、当該車両部品の交換又は修理に要する費用に基づいて最適な代替部品を選択し、情報提供すると、好適である。
【0014】
また、本発明の第1の態様は、例えば、互いに通信可能な、車載装置及び情報処理センターにより実現される。この場合、車両性能算出手段は、情報処理センターに設置されると処理負荷等の点で好適である。
【0015】
本発明の第2の態様は、車両が備える所定部品の劣化程度を取得する劣化程度取得手段と、入力された部品の劣化程度に基づいて車両性能を算出する車両性能算出手段と、を備え、劣化程度取得手段により取得された所定部品の劣化程度を入力した場合に車両性能算出手段により算出される現状の車両性能と、所定部品が劣化していないものとして入力情報を修正した場合に車両性能算出手段により算出される置換後の車両性能と、の対比に基づきユーザーに情報提供することを特徴とする、部品交換修理判断支援システムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザーが車両の部品を交換又は修理するか否かを判断する場面において、適切に判断材料を与えることが可能な部品交換修理判断支援システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0018】
以下、図1〜3を用いて、本発明に係る部品交換修理判断支援システムの一実施例について説明する。図1は、本発明の一実施例に係る部品交換修理判断支援システム1の全体構成の一例を示す図である。部品交換修理判断支援システム1は、車載装置10と、情報処理センター100と、により実現される。
【0019】
車載装置10は、部品検知装置20と、車載センサー30と、走行制御装置40と、判断支援用電子制御ユニット(以下、判断支援用ECUと称する)50と、入出力装置60と、通信装置70と、を備える。なお、以下の説明における車両内の機器間の通信は、CAN(Controller Area Network)等の適切な通信プロトコルを用いて行なわれる。
【0020】
また、車載装置10が搭載される車両の部品のうち、車両の走行や時間の経過により劣化すると考えられる所定の部品(以下、「所定部品」と称する)には、部品IDを送信する無線タグが取り付けられている。所定部品の例としては、クラッチ板、ギアボックス、タイヤ、燃料噴射バルブ、エアクリーナー、ブレーキパッド、サスペンション、エンジンを構成すると共に同時に交換されるのが一般的な特定の部品群、などが挙げられる。部品検知装置20は、これらの所定部品に取り付けられた無線タグから送信される部品IDを検知して、判断支援用ECU50に送信する。
【0021】
車載センサー30は、車両挙動等を検出するためのセンサー群であり、例えば、車速センサーやGセンサー、ヨーレートセンサー、アクセル開度センサー、スロットル開度センサー、クランク角センサー、ブレーキ踏量センサー、勾配センサー、ステアリング操舵角センサー、方向指示器センサー等が含まれる。
【0022】
走行制御装置40は、車両の走行制御を行なうための装置群であり、例えば、エンジンコントロールコンピューター、ブレーキECU、ステアリングコントローラー等が含まれる。走行制御装置40には、車載センサー30からの各種センサー出力値が入力されており、これらのセンサー出力値に基づいて、エンジンやブレーキ装置、ステアリングアシストモータ等に制御信号を出力する。また、走行制御装置40は、車載センサー30から入力されるセンサー出力値、及びエンジン等に出力した制御信号を、定期的に判断支援用ECU50に送信する。
【0023】
判断支援用ECU50は、例えば、CPUを中心としてROMやRAM、ハードディスク等の記憶媒体が図示しないバスを介して相互に接続されたコンピューターユニットであり、その他、入出力インターフェイスやタイマー、カウンター等を備える。また、判断支援用ECU50には、入出力装置60が接続され、ユーザーによる種々の入力操作が可能となっている。なお、入出力装置60は、例えば、ナビゲーションシステムが備えるタッチ入力可能な液晶表示装置が共用される。
【0024】
判断支援用ECU50は、前述の如く部品検知装置20から入力される部品IDを逐次ハードディスク等に記憶しており、従って、各所定部品が直近に交換された日時を把握している。また、判断支援用ECU50は、走行制御装置40から入力されるセンサー出力値や制御信号を時間と共にハードディスク等に記憶している。これらの各データ、すなわち、各所定部品の部品ID及び直近に交換された日時、センサー出力値や制御信号の履歴は、当該車両の車種及び車両IDと共に、判断支援用ECU50の指示に従って通信装置70により情報処理センター100に送信される。このデータ送信のタイミングについては、ユーザーが入出力装置60に対して行なう入力操作に応じて行なわれてもよいし、定期的(毎日、毎週、毎月等)であってもよい。
【0025】
通信装置70と情報処理センター100との通信は、無線基地局80及びインターネット90を介して行なわれる。通信装置70と無線基地局80との間では、携帯電話網やPHS(Personal Handy−phone System)網、無線LAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、衛星電話、ビーコン等を利用した無線通信が行なわれる。従って、通信装置70は、無線通信を行なうための通信モジュール、アンテナ等から構成される。なお、無線基地局80及び情報処理センター100はインターネット90に接続されており、これを介した有線通信が行なわれる。また、インターネット90には任意の場所に設置されるユーザー端末200が接続されており、所定のパスワード等を入力することにより、情報処理センター100へのアクセスが可能となっている。
【0026】
情報処理センター100は、インターネット90に接続可能な任意の場所に配設され、情報処理コンピューター、種々のプログラムを記憶したROM、データベースを構築可能な記憶媒体、有線通信インターフェイス等から構成される。このようなハードウエア構成により、情報処理センター100は、部品劣化判定システム110、及び性能判定システム120を実現する。また、上記記憶媒体上には、部品IDに対応した各部品のスペック、各部品を交換又は修理した場合に必要となる費用、性能判定システム120が行なう車両性能シミュレーションのためのプログラム等、種々の情報を格納するための部品情報データベース130が構築されている。ここで、部品のスペックとは、当該部品の耐久性や性能を算出するために必要なデータをいい、例えばギアボックスの場合、ギア素材コード、ギア比、ギア段数、歯直径等の各種データが含まれる。
【0027】
部品劣化判定システム110は、前述の如く車載装置10から送信される各所定部品の部品ID及び直近に交換された日時、センサー出力値や制御信号の履歴に基づいて、所定部品毎に劣化程度を導出する。具体的には、部品の種類毎に予め用意された劣化程度判定モデル式(例えば、クラッチ板用のモデル式、ギアボックス用のモデル式等が用意されている)を用いて、多変量解析による劣化程度の導出を行なう。
【0028】
具体的には、例えば、クラッチ板の劣化程度(磨耗率)の導出は、車速センサーとクランク角センサーの出力を比較して半クラッチの状態である時間帯を割り出し、これをエンジンコントロールコンピューターから出力されるクラッチ制御信号の推移と比較して、更にクラッチ板特有の経年劣化カーブ等を加味して行なうことができる。また、燃料噴射バルブやタイヤの劣化程度の導出は、スロットルバルブ開度やギアボックスの状態、勾配センサーの出力値等から予想される車両の加速度を、Gセンサーの出力値と比較することにより行なうことができる。この他にも、種々の手法が考えられ、如何なるモデル式を適用してもよい。例えば、(特開2005−50022号公報)に記載の手法、すなわち、車載センサーからの出力により取得される車両の走行履歴から各部品に作用するストレスを算出し、ストレスの累積を部品毎に予め設定されている演算式に適用して、各部品の劣化程度を導出するような手法が適用されてもよい。
【0029】
この劣化程度は、例えば、同種類の新品の性能と現在の性能との差を数値化したものとして導出される。部品劣化判定システム110は、当該劣化程度が閾値を超えた所定部品を指定し、当該指定された所定部品及びその劣化程度を、性能判定システム120に出力する。
【0030】
性能判定システム120は、部品劣化判定システム110によりから入力される指定された所定部品及びその劣化程度の情報と、部品情報データベース130に記憶された情報と、に基づいて、車載装置10が搭載された車両の現時点での性能(以下、現状の車両性能と称する)を算出すると共に、当該指定された所定部品を同種類の新品又は他の製品(バージョンアップされた同種のものを含む)で置換した場合、或いは修理を行なった場合の車両性能(以下、置換後の車両性能と称する)を算出する。そして、両者の比較に基づいて、ユーザーが車両部品の交換又は修理(以下、「交換等」と表記する)を行なうか否かの判断材料を提供する。ここで、車両の性能とは、数値化可能な車両の性能をいい、例えば、燃費性能、安全性能、加速性能をいう。燃費性能は、例えば、市街地走行を想定した場合に算出される値である。安全性能の単位は、例えば、基準値を100として制動性や旋回性等に基づいて算出される指数値である。走行性能の単位も同様に、基準値を100として加速性や制動性等に基づいて算出される指数値である。
【0031】
性能判定システム120は、その主要な機能ブロックとして、DB(データベース)管理部122と、車両性能算出部124と、閲覧処理部126と、図示しない統合制御部と、を備える。なお、性能判定システム120は、HILS(Hardware in the Loop Simulation)等を拡張、連動等させることにより構築することが可能である。
【0032】
DB管理部122は、車載装置10から送信される各所定部品の部品IDを用いて当該所定部品のスペックを部品情報データベース130から取得し、車両性能算出部124に出力する。また、部品劣化判定システム110又はユーザーにより指定された所定部品に置換可能な代替部品のスペックを部品情報データベース130から取得して車両性能算出部124に出力する。ここで、代替部品とは、例えば、同種類の新品、他の製品、所定部品を修理したもの、のいずれであってもよい(以下、これらの別を、「代替部品の種別」と称する)。代替部品のスペックは、代替部品が同種類の新品や所定部品を修理したものである場合には、部品情報データベース130を参照するまでもなく所定部品のスペックと同じである。代替部品が他の製品である場合には、素材や構造等が所定部品とは異なる場合があるため、部品情報データベース130から必要なデータが取得される。
【0033】
なお、DB管理部122は、インターネット90を介して最新の部品スペックやシミュレーション手法を定期的に取得し、部品情報データベース130の更新を行なう。その他、通常のデータベース管理機能として、データバックアップや必要に応じたテーブルの作成及び削除等を行なう。
【0034】
車両性能算出部124は、DB管理部122から入力される各所定部品のスペック、部品劣化判定システム110から提供される各所定部品の劣化程度、及びユーザー車両に関するデータ(エンジントルク、ギア比や段数、車両荷重、空気抵抗、ユーザーの運転に関する癖等を含む)を総合的に考慮した車両性能シミュレーションを行ない、現状の車両性能を算出する。
【0035】
また、車両性能算出部124は、部品劣化判定システム110により指定された各所定部品を代替部品に置換したと仮定した場合の車両性能シミュレーションを行ない、置換後の車両性能を算出する。具体的には、所定部品に置換される代替部品のスペック、当該代替部品の劣化程度(同種類の新品や他の製品の場合は略ゼロ、所定部品を修理したものの場合は所定部品の劣化程度からある程度良化した値を用いる)、及び上記ユーザー車両に関するデータを総合的に考慮した車両性能シミュレーションを行なう。本実施例において、上記代替部品のスペック及び劣化程度が、特許請求の範囲における「代替部品に関する情報」の具体例である。
【0036】
なお、上記「代替部品に関する情報の作成」、すなわち、代替部品のスペック及び劣化程度の決定は、前述の図示しない統合制御部が行なうものとする。
【0037】
閲覧処理部126は、車両性能算出部124の算出結果に応じて、車載装置10に表示用データを出力する。
【0038】
以下、本実施例の部品交換修理判断支援システム1により実行される判断支援処理の具体例について説明する。図2は、部品交換修理判断支援システム1により実行される判断支援処理の一例を示すフローチャートである。本フローは、例えば、ユーザーが車載装置10の入出力装置60に所定の入力操作を行なったときに開始される。
【0039】
まず、車載装置10から情報処理センター100に、各所定部品の部品ID及び直近に交換された日時、センサー出力値や制御信号の履歴、及び、車種、車両IDが送信される(S300)。
【0040】
これらのデータを受信すると、部品劣化判定システム110は、前述の如く、所定部品毎に劣化程度を導出すると共に劣化程度が閾値を超えた所定部品を指定し、当該指定された所定部品及びその劣化程度を性能判定システム120に出力する(S310)。
【0041】
部品劣化判定システムから上記データが入力されると、DB管理部122は、前述の如く、必要なデータを部品情報データベース130から取得して車両性能算出部124に出力する(S320)。なお、本ステップ以下の処理は繰り返し行なわれる場合があるが、一度目のデータ取得に関しては、代替部品として同種類の新品が採用されるものとする。
【0042】
DB管理部122から必要なデータが入力されると、車両性能算出部124は、現状の車両性能、及び置換後の車両性能を算出する(S330)。なお、二度目以降の処理においては、現状の車両性能は算出されない。
【0043】
車両性能算出部124による車両性能の算出が行なわれると、閲覧処理部126は、これを車載装置10に送信する。車載装置10では、入出力装置60により、現状の車両性能、及び置換後の車両性能が対比されて表示される(S340)。この際の表示画面の一例を図3に示す。
【0044】
図示する如く、置換後の走行性能を算出する前提として交換等された部品、及び当該交換等に要する費用を併せて表示すると好適である。また、改善度が閾値を上回った項目については強調表示や音声による案内を行なって、部品の交換等を促してもよい。
【0045】
このように、現状の車両性能、及び置換後の車両性能を対比して表示することにより、ユーザーは、部品の交換等による車両性能の改善程度を予め知ることができる。従って、部品の交換等を行なうか否かの判断材料を適切に与えることができる。
【0046】
上記結果表示が行なわれると、ユーザーは判定支援処理を終了するか否かを判断し、判断結果を入出力装置60に入力する(S350)。
【0047】
判定支援処理を終了しない場合、ユーザーは、交換等する部品の再指定、代替部品の種別(同種類の新品、他の製品、修理品の別)、及び、他の製品を選択する場合であって当該他の製品の候補となる部品が複数存在する場合はいずれの部品を選択するか、等の指定を行なって(S360)、再度S320以下の処理を実行する。こうすることにより、交換等のパターンを色々と変化させて、ユーザーが気に入った部品の交換等の組み合わせを見つけることができる。ここで、交換等する部品の再指定は、部品劣化判定システム110が指定した部品の範囲に限定してもよいし、係る限定をせずにユーザーに任せても構わない。
【0048】
なお、判断支援処理の開始に係る入力操作、及び結果表示等は、車載装置10ではなく、ユーザー端末200において行なわれることを可能にしてもよい。
【0049】
このように、本実施例の部品交換修理判断支援システム1によれば、現状の車両性能、及び置換後の車両性能を対比して表示することにより、ユーザーが部品交換等による車両性能の改善程度を予め知ることができる。従って、部品交換等を行なうか否かの判断材料を適切に与えることができる。また、交換等する部品の再指定、及び、代替部品の種別の指定を行なって繰り返し車両性能の算出を行なうことができるため、交換等のパターンを色々と変化させて、ユーザーが気に入った部品交換等の組み合わせを見つけることができる。
【0050】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、前述の一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0051】
例えば、部品の指定、及び、代替部品の種別指定等を変化させた上で自動的に何度も置換後の車両性能を算出し、最適な部品交換等の組み合わせを求めるものとしてもよい。この際に、交換等の費用を勘案して最適なものを選定するとより好適である。
【0052】
また、一度目の車両性能算出においては、部品劣化判定システム110が指定した部品を同種類の新品に置換したものと仮定して置換後の車両性能を算出するものとしたが、一度目の車両性能算出から、置換される部品及び代替部品の種別の指定をユーザーに行なわせるものとしてもよい。また、他の製品や所定部品を修理したものから開始してもよい。
【0053】
また、色々な部品交換等の組み合わせを試した結果、図3に示す改善度がいずれも基準程度未満となった場合には、結果表示を行なわず、「今回は、部品交換及び修理の必要はありません」等のメッセージのみを出力するものとしてもよい。こうすれば、交換等が不要の場合には、ユーザーを煩わせることなく処理を終了することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ユーザーが車両の部品を交換又は修理しようとする際に判断材料を与える支援システムの構築に利用できる。車載装置が搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例に係る部品交換修理判断支援システム1の全体構成の一例を示す図である。
【図2】部品交換修理判断支援システム1により実行される判断支援処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】現状の車両性能、及び置換後の車両性能が対比されて表示される表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 部品交換修理判断支援システム
10 車載装置
20 部品検知装置
30 車載センサー
40 走行制御装置
50 判断支援用ECU
60 入出力装置
70 通信装置
80 無線基地局
90 インターネット
100 情報処理センター
110 部品劣化判定システム
120 性能判定システム
122 DB管理部
124 車両性能算出部
126 閲覧処理部
130 部品情報データベース
200 ユーザー端末


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が備える所定部品に関する情報を取得する所定部品情報取得手段と、
該所定部品に置換可能な代替部品に関する情報を作成する代替部品情報作成手段と、
入力された情報に基づいて車両性能を算出する車両性能算出手段と、を備え、
前記所定部品情報取得手段により取得された所定部品に関する情報を入力した場合に、前記車両性能算出手段により算出される現状の車両性能と、
前記所定部品情報取得手段により取得された所定部品に関する情報の少なくとも一部に代えて前記代替部品情報作成手段により作成された代替部品に関する情報を入力した場合に、前記車両性能算出手段により算出される置換後の車両性能と、の対比に基づきユーザーに情報提供することを特徴とする、部品交換修理判断支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部品交換修理判断支援システムであって、
前記ユーザーに対する情報提供の内容は、前記置換後の車両性能が前記現状の車両性能から向上する程度を含む、部品交換修理判断支援システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の部品交換修理判断支援システムであって、
前記置換後の車両性能が前記現状の車両性能から向上する程度が所定程度以上のときにユーザーに部品交換を促すことを特徴とする、部品交換修理判断支援システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の部品交換修理判断支援システムであって、
前記所定部品情報取得手段が取得する所定部品に関する情報は、該所定部品の劣化程度を含む、部品交換修理判断支援システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の部品交換修理判断支援システムであって、
車両部品に関する情報が記憶された部品情報記憶手段と、
該部品情報記憶手段に記憶された車両部品の中から前記代替部品を指定する代替部品指定手段と、を備え、
前記代替部品情報作成手段は、該代替部品指定手段により指定された代替部品に関する情報を前記部品情報記憶手段から取得することにより、前記代替部品に関する情報を作成する手段である、部品交換修理判断支援システム。
【請求項6】
請求項4に係る請求項5に記載の部品交換修理判断支援システムであって、
前記代替部品指定手段は、前記所定部品情報取得手段により取得された所定部品の劣化程度に基づいて前記代替部品を指定する手段である、部品交換修理判断支援システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の部品交換修理判断支援システムであって、
前記代替部品指定手段は、ユーザーの入力操作に基づいて前記代替部品を指定する手段である、部品交換修理判断支援システム。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載の部品交換修理判断支援システムであって、
前記部品情報記憶手段に記憶された情報の中から前記代替部品となり得る部品の組み合わせを複数指定し、該指定された複数の部品の組み合わせのそれぞれについて算出される複数の前記置換後の車両性能に基づいて最適な代替部品を選択し、該選択された最適な代替部品に関する情報を提供することを特徴とする、部品交換修理判断支援システム。
【請求項9】
請求項8に記載の部品交換修理判断支援システムであって、
前記部品情報記憶手段には、車両部品の交換又は修理に要する費用に関する情報が記憶されており、
該部品情報記憶手段に記憶された車両部品の交換又は修理に要する費用に基づいて最適な代替部品を選択し、該選択された最適な代替部品に関する情報を提供することを特徴とする、部品交換修理判断支援システム。
【請求項10】
互いに通信可能な、車載装置及び情報処理センターにより実現される、請求項1ないし9のいずれかに記載の部品交換修理判断支援システム。
【請求項11】
請求項10に記載の部品交換修理判断支援システムであって、
前記車両性能算出手段は、前記情報処理センターに設置される、部品交換修理判断支援システム。
【請求項12】
車両が備える所定部品の劣化程度を取得する劣化程度取得手段と、
入力された部品の劣化程度に基づいて車両性能を算出する車両性能算出手段と、を備え、
前記劣化程度取得手段により取得された所定部品の劣化程度を入力した場合に前記車両性能算出手段により算出される現状の車両性能と、
前記所定部品が劣化していないものとして入力情報を修正した場合に前記車両性能算出手段により算出される置換後の車両性能と、の対比に基づきユーザーに情報提供することを特徴とする、部品交換修理判断支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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