説明

部品供給機

【課題】 部品供給機の部品供給効率の向上及び安定化を図る。
【解決手段】 本発明の部品供給機100は、多数の部品を収容可能な部品収容部104と、部品収容部に臨む外周部を備えるとともに、外周部に部品の少なくとも一部を収容可能な回転方向に伸びる縦溝103aを有し、縦溝内の所定の角度位置に部品を吸着保持する保持部を備えた回転体103と、部品収容部の内面の少なくとも一部を構成し、回転体の外周部に向けて部品を押圧可能な姿勢で弾性変形可能に配置された弾性部材106と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部品供給機に係り、特に、ねじを一つ一つ分離して供給する場合に好適な部品供給機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種の組立工場などにおいては、部品を供給するための種々の部品供給機が用いられている。例えば、ねじを供給するねじ供給機としては、多数の部品を収容する部品収容部と、この部品収容部に臨む外周部に部品の吸引孔を多数設けた円筒体と、この円筒体の上記部品収容部に臨む位置に配置された吸引孔の吸引力を生じさせるための排気溝と、上記の円筒体の上部に配置された吸引孔の吸引力を解除するための給気溝とを備えた吸引式の部品供給機が知られている(例えば、以下の特許文献1参照)。
【0003】
また、部品収容部に臨む外周部にねじを個別に収納する孔を備えた回転板と、この回転板の上部にその端部が隣接配置されてなる、縦溝を備えた供給ブロックと、回転板の孔にねじを吸着保持するための磁石とを備え、上記孔の深さをねじの胴部より浅くし、しかも、孔に保持されたねじの頭部が上記供給ブロックの縦溝に係合して前方に送り出されるように構成されたねじ供給装置が知られている(例えば、以下の特許文献2参照)。
【特許文献1】実公昭50−37635号公報
【特許文献2】特開2002−337031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の吸引式の部品供給機においては、円筒体に設けられた吸引孔内にねじなどの部品を真空吸引により吸引して保持するものであるため、吸引孔の断面積を小さくすると部品が孔内に導入されにくくなり、逆に、部品が吸引孔内に収容されやすくなるように吸引孔の断面積を大きくすると吸引力が低下するため、いずれにしても部品を効率的に吸引孔に導入させることが難しいことから、ねじの供給効率を高めることが困難であるという問題点がある。
【0005】
また、円筒体が臨む空間内に収容されるねじの数を多くすると、ねじの姿勢変化が難しくなるため、ねじが吸引孔内に吸引されにくくなり、逆に上記空間内に収容されるねじの数を少なくすると、吸引孔への外気の導入抵抗が低減されることにより吸引力がねじに伝わりにくくなるため、やはりねじが吸引孔内に吸引されにくくなる。したがって、上記空間内のねじの数や分布などによってねじの供給効率が変動しやすいという問題点もある。
【0006】
また、前述のねじ供給装置においても、上記と同様の問題点がある。特に、このねじ供給装置では、ねじすくい箱の内部に多量のねじを入れておくと、回転板の外周に設けられた切欠とねじとが噛み合うことなどによって回転板の回転抵抗が急激に増大するので、回転板の駆動負荷が大きくなり、回転板を回転させることができなくなる場合も考えられる。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、部品供給機において、上記の円筒体や回転板などの回転体に部品が効率的に導入されるように構成することにより、部品の供給効率を向上させることにある。また、別の課題は、部品収容部内に収容される部品の数量が変化しても部品の供給効率の変動や回転体の回転抵抗の変動を少なくすることにより、部品供給効率を安定させることのできる部品供給機を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる実情に鑑み、本発明の部品供給機は、多数の部品を収容可能な部品収容部と、該部品収容部に臨む外周部を備えるとともに、該外周部に前記部品の少なくとも一部を収容可能な回転方向に伸びる縦溝を有し、該縦溝内の所定の角度位置に部品を吸着保持する保持部を備えた回転体と、前記部品収容部の内面の少なくとも一部を構成し、前記回転体の前記外周部に向けて前記部品を付勢可能な姿勢で弾性変形可能に配置された弾性部材と、を具備することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、部品収容部の内面の少なくとも一部が弾性変形可能な弾性部材によって構成されるとともに、この弾性部材が部品を回転体の外周部へ向けて付勢可能な姿勢で配置されているので、部品収容部内の部品数が或る程度の範囲(弾性部材の弾性変形範囲に対応する範囲)内にあれば、弾性部材の弾性力による直接若しくは間接的な作用によって回転体の外周部に対する部品の導入状態を良好に維持し続けることができる。したがって、部品の供給効率を向上させることができる。また、部品収容部内の部品数が或る程度増減しても、その影響を、弾性部材の弾性変形による部品収容部の容積変化や弾性部材の弾性力による部品の付勢作用により吸収することができるため、回転体の外周部に対する部品の導入状態の変化を抑制することができる。したがって、部品の収容数の変化に起因する部品の供給効率の変動や回転体の回転抵抗の変動を抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記弾性部材は、その表面が前記回転体から離間した上方位置から前記回転体の下部に向けて斜めに伸びるように配置されていることが好ましい。この手段によれば、弾性部材の表面が回転体から離間した上方位置から回転体の下部に向けて斜めに伸びることにより、部品収容部104に対して部品を外部から投入する際には弾性部材の表面に沿って部品をスムーズに回転体の外周部に向けて移動させることができ、また、部品の投入後においても、部品の自重と弾性部材の弾性とを利用して弾性部材の表面上に配置される部品を回転体側に集めることができる。また、上記のような姿勢で弾性部材が配置されていることにより、弾性部材に妨げられずに部品収容部に対して上方から部品を投入することが可能になる。
【0011】
本発明において、前記回転体を回転駆動する回転駆動手段と、前記回転体の回転により前記保持部に保持された前記部品が部品取出位置に移動したときに前記回転体を停止させるとともに、停止した前記回転体の前記保持部から前記部品が取り出されたときに前記回転体の回転を再開させる回転制御手段と、をさらに具備することが好ましい。これによれば、回転駆動手段によって回転体が回転駆動されると、部品が保持された保持部が部品取出位置に移動したときに、回転制御手段によって回転体が停止され、停止した回転体の保持部から部品が取り出されたときに回転体の回転が再開されるので、部品を一つ一つ確実に供給することができるとともに、回転駆動手段の無駄な動作や無駄なエネルギー消費が防止される。
【0012】
本発明において、前記回転体の前記外周部には、前記回転体の回転により前記部品収容部に収容された前記部品を攪拌可能に構成された攪拌手段が設けられていることが好ましい。これによれば、回転体の回転によって攪拌手段が部品収容部に収容された部品を攪拌するので、部品収容部内の部品の偏りを低減させることができるとともに、この部品の偏りの低減により、弾性部材の弾性力に基づいて部品をより安定的かつ均一に回転体に付勢することも可能になるので、部品供給効率の向上及び安定化の度合をさらに高めることが可能になる。また、本発明においては、回転体の攪拌手段が部品を攪拌することに起因して部品収容部内の多数の部品の実質的な容積が一時的に増減しても、この容積変化は、部品収容部の内面の一部を構成する弾性部材の弾性変形により吸収される。したがって、この攪拌作用に起因する回転体に加わる回転負荷の変動を抑制することができる。
【0013】
本発明において、前記攪拌手段は、前記回転体の前記外周部における前記縦溝の外部において磁力を及ぼすように設けられた磁石であることが望ましい。これによれば、回転体の外周部の縦溝の外部に磁力が及ぼされるので、部品が磁性体(強磁性体)であれば、当該磁力によって回転体の外周部近傍の部品を攪拌することができる。また、この場合には、回転体の外周部に部品を攪拌するための凹凸を設ける必要がなくなるので、部品の噛み込みによる回転抵抗の増大を防止することができる。特に、回転体の回転負荷を低減するには回転体の外周部を円周形状に構成することが望ましい。
【0014】
本発明において、前記攪拌手段は、前記保持部とは異なる角度位置に設けられていることが好ましい。これによれば、攪拌手段が保持部とは異なる角度位置に設けられているので、攪拌手段による部品の位置や姿勢の変動によって、部品が保持部へ導入されることが妨げられたり、保持部に導入された部品が保持部から抜け落ちたりすることを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品の供給効率を高めることができるとともに安定させることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1及び図2は本発明に係る部品供給機100の概略斜視図であり、図1は前方斜め左側から見た様子を示し、図2は前方斜め右側から見た様子を示している。この部品供給機100は、基台101の上に左右の側部を有する支持体102が固定され、この支持体102に対して回転体103が回転可能に軸支された構造を有する。支持体102は、例えば、図示のように断面コ字型の一体の板状材で構成される。支持体102の左右の側部は相互に平行に設けられている。
【0017】
回転体103は、左右の上記側部にそれぞれ軸支され、ほぼ水平の回転軸線を備えるように取り付けられている。図示例においては、回転体103は、円筒面状の外周面を備えた略円柱形状(或いは、円筒形状若しくは円盤形状)を呈する。回転体103は、外周面上に回転方向に伸びる縦溝103aを有している。この縦溝103aは、図示例では回転体103の外周を一周する一体の環状溝として構成されている。ただし、縦溝103aを回転体103の外周部の所定角度範囲に限定して形成したり、或いは、回転体103の外周に沿って相互に分離された複数の縦溝を配列させたりしても構わない。
【0018】
図4に示すように、縦溝103aの内底面には磁石114が埋め込まれている。また、この回転体103は、ここで、磁石114は縦溝103a内に磁力を及ぼす。そして、縦溝103aにおける上記磁石114が埋め込まれた部位は、部品を吸着保持する上記の保持部を構成する。図示例の場合、磁石114は、回転体103の縦溝103a内において当角度間隔(90度間隔)で複数(4つ)配置されている。また、回転体103は、図示例の場合、円柱体112の外周面に対して軸線方向両側からそれぞれ略リング状の嵌合部材113,113を嵌合することによって構成されている。この場合、一対の嵌合部材113,113の間に設けられた間隙が上記縦溝103aを構成する。
【0019】
また、回転体103においては、上記縦溝103aの外にある外周面に磁石115が埋め込まれている。この磁石115は、上記磁石114が埋め込まれてなる上記保持部とは異なる角度位置に配置されている。図4に示す例の場合、磁石115は、磁石114とは異なる角度位置(磁石114の角度位置から45度ずれた位置)に設けられている。この磁石115は、上記の攪拌手段を構成する。
【0020】
本実施形態では、上記の回転体103に隣接して部品収容部104が設けられている。この部品収容部104は、回転体103の外周部が臨む、上記の支持体102によって囲まれた空間である。支持体102の両側部間には支持部105が取り付けられ、この支持部105に対して弾性部材106が取り付け固定されている。弾性部材106は図示例の場合、薄い金属板や硬質樹脂板のような弾性を有する板状材である。ここで、弾性部材106の表面は上記部品収容部104の内底面を構成している。この弾性部材106の表面は、回転体103から離間した上方位置から回転体103の下部に向けて伸びている。そして、図3に示すように、弾性部材106は、部品収容部104内に収容された多数の部品10によって下方に向けて撓んだ弾性変形状態とされている。なお、図3に示す部品10は、胴部11と頭部12とを備えたねじである。ここで、部品10は、その自重と、弾性部材106の弾性とによって回転体103の外周部側(すなわち前方)に向けて僅かに付勢された状態となっている。
【0021】
なお、支持部105は支持体102に対して回動可能に構成され、支持部105を回動させることによって弾性部材106の端部の取付角度(傾斜角度)を変化させることができるように構成されている。図示例の場合には、弾性部材105の端部の傾斜を緩くすることにより、部品収容部104の容積を低下させることができるとともに、部品10に対する回転体103の外周部へ向けた付勢力を増大できるように構成されている。また、弾性部材106は、支持部105に対する取付部分から回転体103の下部に向けて斜め下方に伸び、さらに、回転体103の下方に回り込むように配置されている。本実施形態では、弾性部材106の先端は固定されておらず、部品10の収容数に応じて前後に移動可能に構成されている。これによって部品収容部104の容積をより広い範囲で可変に構成できる。ただし、弾性部材106の先端は支持体102などに対して固定されていても構わない。
【0022】
図3に示すように、部品収容部104の上方には支持体102(の両側部間)に支持された取付支持部107が設けられ、この取付支持部107には、回転体103の上方に向けて伸びる支持アーム108が取り付け固定されている。支持アーム108には、上記回転体103の上方に配置されるガイド部材109が取り付けられている。このガイド部材109にはガイド用開口109aが設けられている。このガイド用開口109aは、ドライバーなどの工具13の先端を回転体103の上記縦溝103a上に導くためのものである。図示例では、ガイド用開口109aは、前方に開いた切り欠き状(スリット状)に構成されている。
【0023】
また、ガイド部材109のガイド用開口109aの前方位置には、回転体103の縦溝103a上に伸びる検出部110aが配置され、この検出部110aの位置若しくは動作を検出器110が検出するように構成されている。図示例の場合、検出部110aは、側方に配置された検出器110からアーム状に軸線方向へ伸び、その先端が縦溝103aの内部に挿入された形状を有する。
【0024】
上記取付支持部107には、上記支持アーム108の下方において回転体103に向けて伸び、回転体103の外周部に当接若しくは近接する整流板111が取り付けられている。この整流板111は、縦溝103a内の上記保持部に正規の姿勢で吸着保持された部品10以外の他の部品10が回転体103の回転と共に上方へ進むことを妨げるためのものである。整流板111の先端部には回転体103の縦溝103aに対応する位置に凹部111aが設けられ、上記保持部において正規に吸着保持された部品10の頭部12に整流板111が抵触しないように構成されている。
【0025】
上記支持アーム108若しくは整流板111は、硬質樹脂板のような可撓性部材で構成されることが好ましい。これは、支持アーム108若しくは整流板111と回転体103の外周面との間に部品10が挟みこまれても、支持アーム108若しくは整流板111が撓むことによって回転体103の回転抵抗の増大が抑制されるようにするためである。また、支持アーム108若しくは整流板111は、上方から見たときに下方(部品収容部104)を透視可能な部材、例えば透明板などで構成されることが好ましい。これは、何らかの原因により支持アーム108若しくは整流板111と回転体103の外周面との間に部品10が詰まったりしたときでも、外部からその様子を容易に確認できるようにするためである。
【0026】
また、回転体103の前方下部には、回転体103の外周面に当接若しくは近接する別の整流板121が配置されている。この整流板121は、回転体103の保持部に吸着保持された部品10が何らかの原因により上部(部品取出位置)を通過して前方へそのまま移動してきた場合、当該部品10を回転体103の外周部から離反させるためのものである。
【0027】
図2に示すように、支持体102の外側には、回転体103に接続された歯車116、ウォーム117などで構成される駆動力伝達機構と、この駆動力伝達機構に接続された駆動モータ118とが配置されている。これらの歯車116、ウォーム117及び駆動モータ118は、上記の回転駆動手段を構成している。駆動モータ118が稼働すると、上記駆動力伝達機構を介して回転体103が回転駆動される。このとき、回転体103の回転駆動される方向は、図3における反時計回り、すなわち、回転体103の外周部が部品収容部104に臨む位置から上方へと向かう方向である。
【0028】
上記の駆動モータ118は制御部119によって制御されるように構成されている。また、制御部119は上記の検出器110にも接続され、検出器110の検出信号が制御部119に送られるようになっている。制御部119には、検出器110の検出信号を受けるとともに駆動モータ118を制御駆動する制御駆動回路(図示せず)と、当該制御駆動回路や駆動モータ118を駆動するための電力を供給する電池などの電源とが収容されている。この制御駆動回路は上記回転制御手段を構成し、回転体103の縦溝103a内の上記保持部に吸着保持された部品10が部品収容部104内から上方に移動して上記検出部110aに係合すると、検出器110の検出信号に応じて駆動モータ118を停止させ、その後、部品10が後述するように保持部から排除されると、検出器110の検出信号に応じて上記制御駆動回路が駆動モータ118を稼動させ、回転体103の回転を再開させるように構成されている。
【0029】
また、上記制御部119には、上記部品取出位置から取り出された部品10の数が既定数に達した時に(或いは、既定数に達する毎に)これを報知する報知手段をさらに設けることが好ましい。この報知手段は、例えば、上記検出器110の検出信号に応じて部品取出位置から取り出された部品10の数を積算するカウンタと、このカウンタの出力が上記既定数に達したか否かを判定する判定器と、この判定器の出力に応じて報知を行うブザーやランプなどの報知器とによって構成できる。ここで、上記カウンタは判定器の報知出力によってリセット(初期化)されるように構成されることが望ましく、また、上記既定数の設定可能な設定器を設けることが望ましい。この報知手段を設けることで、一つの製品若しくは工程において部品供給機から取り出す必要のある部品数が上記既定数として設定されていれば、部品の取り出し、或いは、部品の組立若しくは処理が所要回数に達する前に作業者が作業を止めてしまうといったことを防止できる。
【0030】
本実施形態では、多数の部品10を部品収容部104内に収容し、駆動モータ118により回転体103を回転駆動させることによって、部品10が回転体103の縦溝103a内の保持部に吸着保持され、この部品10が上方に移動していく。そして、当該部品10が上記部品取出位置に到達すると検出器110がこれを検出して制御部119により回転体103が停止させられる。したがって、組立作業員などの利用者は、工具13の先端をガイド部材109のガイド用開口109aを通して部品取出位置の部品10に係合させ、縦溝103aに沿って(例えば回転体103の外周面の接線方向)前方に引き抜くことにより、簡単かつ確実に部品10を取り出すことができる。この場合、工具13の先端を着磁しておくことによって、取り出された部品10が工具13の先端に吸着保持されたままとすることができる。
【0031】
上記実施形態では、部品10がねじであり、工具13がドライバーであることを前提として説明したが、本発明はこのような場合に限られるものではなく、任意の部品10を工具13が係合保持できるように構成されていれば、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
本実施形態では、弾性部材106によって部品収容部104の内部に収容された多数の部品10が回転体103に向けて多少なりとも付勢されるため、回転体103の外周部に設けられた縦溝103a内の上記保持部に部品10を良好な状態で導入させることができることから、高い部品供給効率を実現できる。より具体的に述べると、回転体103に設けられた1又は複数の保持部に対して高い確率で(実際には100%の確率で)部品10を導入することができるので、部品10の供給ミスをほとんどなくすことができる。特に、部品収容部104に対して、弾性部材106を弾性変形させるように多数の部品10を押し込むように投入することによって、上記の付勢作用が大きくなり、より確実に部品10を回転体103の外周部に向けて導入することができるようになるため、上記効果はさらに大きくなる。
【0033】
また、部品収容部104内に収容された部品数が減少したり、増大したりしたときでも、弾性部材106による弾性力や可撓性によって回転体103の周囲にある部品10の状況変化、例えば、部品密度や部品の付勢力の変化を低減できるので、部品収容部における部品収容数の変化に起因する部品供給効率や回転体103の回転負荷の変動を抑制できる。
【0034】
さらに、回転体103の回転時において上記磁石115などによる攪拌作用により、部品収容部104内における回転体103近傍にある部品10の位置や姿勢が変化しても、当該変化に起因する多数の部品の実質的な容積変化を弾性部材106の弾性変形によって吸収することができるため、回転体103の外周部近傍にあった部品10が回転体103から離反してしまうなどの不具合を回避できる。
【0035】
本実施形態の弾性部材106は、その表面が回転体103から離間した上方位置から回転体103の下部に向けて伸びるように設けられているので、部品収容部104に投入された部品は、弾性部材106の表面に沿って回転体103の下部に向けてスムーズに移動する。また、多数の部品を部品収容部104に押し込むときには、多数の部品10はその押し込み力によって回転体103の外周部の近傍まで密に導入される。さらに、上記押し込み力は、弾性部材106を弾性変形させるので、その弾性復元力が部品収容部104内の部品10に加わり、部品10が回転体103の外周部に対して付勢された状態にすることさえ可能である。また、部品収容部104に対する部品の投入後においても、弾性部材106の弾性力は、部品収容部104内の部品数が徐々に減少していく過程で、部品収容部104内の部品10を回転体103側に移動させ、回転体103に対する部品10の導入環境の変化を抑制する作用を果たしうる。
【0036】
また、本実施形態では、部品10が既定の部品取出位置(図示例では回転体103の上部)に到達する毎に回転体103が停止し、この部品取出位置に保持されている部品10が取り出されると回転体103が回転するといったことを繰り返すように構成されている。したがって、部品を用いた組立作業などを行う利用者は、その作業態様や作業速度がどのようなものであっても、一つ一つ分離された態様で部品10を部品取出位置から容易かつ確実に取り出すことができる。また、部品取出位置に部品10が配置されている限り、回転体103は停止したままであるため、無駄な回転駆動を行わなくて済むことから、省エネルギー化を図ることができる。
【0037】
さらに、本実施形態の回転体103は、円柱体112の外周に一対の嵌合部材113,113が嵌合されてなるので、嵌合部材113,113の径方向の厚さを変えることで、縦溝103aの深さを変更することができる。また、嵌合部材113,113の軸線方向の幅や嵌合位置を変えることで、縦溝103aの軸線方向の幅を変更することもできる。したがって、種々の胴部の長さや外径を有する部品に対して部品供給機を容易に対応させることができる。
【0038】
本実施形態では、弾性部材106が金属や硬質樹脂などの板状材で構成されているが、上記と同様の作用効果を果たすことのできる弾性部材としては、合成ゴムやスポンジのような素材で構成されたものであってもよく、また、板状材ではなくブロック形状などの任意の形状を有するものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る実施形態の部品供給機を左前方から見た様子を示す概略斜視図。
【図2】同実施形態の部品供給機を右前方から見た様子を示す概略斜視図。
【図3】同実施形態の部品供給機の縦断面図。
【図4】同実施形態の部品供給機の回転体の縦断面図(a)及び正面図(b)。
【符号の説明】
【0040】
100…部品供給機、101…基台、102…支持体、103…回転体、104…部品収容部(空間)、106…弾性部材、108…支持アーム、109…ガイド部材、109a…ガイド用開口、110…検出器、110a…検出部、111…整流板、118…駆動モータ、119…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の部品を収容可能な部品収容部と、
該部品収容部に臨む外周部を備えるとともに、該外周部に前記部品の少なくとも一部を収容可能な回転方向に伸びる縦溝を有し、該縦溝内の所定の角度位置に部品を吸着保持する保持部を備えた回転体と、
前記部品収容部の内面の少なくとも一部を構成し、前記回転体の前記外周部に向けて前記部品を付勢可能な姿勢で弾性変形可能に配置された弾性部材と、
を具備することを特徴とする部品供給機。
【請求項2】
前記弾性部材は、その表面が前記回転体から離間した上方位置から前記回転体の下部に向けて斜めに伸びるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の部品供給機。
【請求項3】
前記回転体を回転駆動する回転駆動手段と、
前記回転体の回転により前記保持部に保持された前記部品が部品取出位置に移動したときに前記回転体を停止させるとともに、停止した前記回転体の前記保持部から前記部品が取り出されたときに前記回転体の回転を再開させる回転制御手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の部品供給機。
【請求項4】
前記回転体の前記外周部には、前記回転体の回転により前記部品収容部に収容された前記部品を攪拌可能に構成された攪拌手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の部品供給機。
【請求項5】
前記攪拌手段は、前記回転体の前記外周部における前記縦溝の外部において磁力を及ぼすように設けられた磁石であることを特徴とする請求項4に記載の部品供給機。
【請求項6】
前記攪拌手段は、前記保持部とは異なる角度位置に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の部品供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−8349(P2006−8349A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189698(P2004−189698)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(300005839)長野日本電気株式会社 (1)
【Fターム(参考)】