説明

部品供給装置

【課題】 部品を収容する容器を振動させることなく、容器内に収容されている部品を容器外に排出することができる技術を提供する。
【解決手段】 部品供給装置10は、容器16を備える。容器16は、複数の部品を収容可能である。容器16の底面に設けられた容器底16bは、容器の内壁16aに沿って回転する。容器底16bは、水平方向に対して傾斜する平面である。容器底16bには、1つの部品50が係合可能な切欠き20が内壁16aと対向する位置に形成されている。内壁16aには、切欠き20と対向する位置に少なくとも一つの部品排出口が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の複数の部品の中から一つの部品を容器外に排出する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品供給装置は、その容器内に複数の部品が収容される。部品供給装置は、容器内に収容された複数の部品の中から一つの部品を容器外に排出する。部品供給装置には、容器を振動させることによって、容器内の複数の部品の中から一つの部品を容器外に排出するものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−124126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の部品供給装置のように、複数の部品を収容する容器が振動されると、容器内の部品同士がぶつかりあって部品に傷が付いたり破損したりする虞がある。
本発明は、前記した事情を鑑みてなされたものであり、部品を収容する容器を振動させることなく、容器内に収容されている部品の一つを容器外に排出することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の部品供給装置は、容器と回転体を備える。容器は、複数の部品を収容可能である。回転体は、容器の底面に設けられ、少なくとも一部が容器の側壁に沿って回転する。容器の底面は、水平方向に対して傾斜する平面である。回転体には、1つの部品が係合する部品係合部が側壁と対向する位置に形成されている。容器の側壁には、部品係合部と対向する位置に少なくとも一つの部品排出口が形成されている。
回転体は、容器の底面上に配置されていてもよい。この場合、回転体は、容器の底面を構成する部材と別体で形成されていてもよく、容器の底面を構成する部材と一体であってもよい。あるいは、回転体は、容器の底面を構成する部材であってもよい。
【0006】
この部品供給装置では、容器の底面が水平方向に対して傾斜する平面である。容器に収容された部品は、自重により底面の最下点付近まで移動し、底面の最下点付近で底面と側壁によって支持される。部品係合部は、側壁と対向しながら側壁に沿って回転する。これにより、部品係合部は、底面の最下点付近に位置する部品と係合することができる。部品係合部に係合された一つの部品は、側壁に沿って移動され、側壁に形成された部品排出口から容器外に排出される。底面の最下点付近の部品が部品係合部に係合されて移動されると、別の部品が自重により底面の最下点付近に移動する。以上の事象が繰り返されることによって、容器内の部品が1つずつ順次容器外に排出される。この部品供給装置では、部品が容器の底面の中央部付近に残留して、容器外に排出されずに残ってしまうことを防止することができる。この部品供給装置によれば、容器に振動を与えなくても、容器内の部品を容器外に排出することができる。
【0007】
この部品供給装置では、回転体は、その外周が側壁に対向する円板形状であることが好ましい。また、部品係合部は、回転体の外周に位置し、一つの部品が入り込む大きさに形成された切欠きであることが好ましい。
この構成では、容器内の部品は、回転体の上面と側壁とによって支持されている。部品排出口は、切欠きに対向する位置に形成される。即ち、部品排出口を回転体の上面よりも低い位置に形成することができる。容器内に収容された部品は、回転体の上面で支持されているため、回転体の上面で支持された状態で部品排出口から誤って排出されることを防止することができる。この部品供給装置によれば、切欠きに入り込んだ一つの部品のみを確実に部品排出口から容器外に排出することができる。
【0008】
上記した部品供給装置では、部品排出口は、側壁の周方向のいずれに形成されていてもよい。部品排出口が回転体の回転中心よりも上方に形成されている場合、回転体の回転速度を速くして、部品に遠心力を与えて部品を容器外に排出することとなる。したがって、回転体の回転中心よりも下方に形成されていることが好ましい。この構成によれば、部品排出口と対向する位置まで移動した部品は、回転体によって遠心力が付与されなくても、自重落下によって部品排出口から容器外に排出される。そのため、回転体の回転速度を自由に決定することができる。
【0009】
また、部品排出口は、容器の最下点よりも回転体の回転方向の上流側に形成されていることが好ましい。
容器内の部品は、容器の最下点付近に溜まっている。そのため、部品係合部は、容器の最下点付近を通過するときに、部品と係合することとなる。上記した構成によれば、部品係合部は、容器の最下点を通過する前に係合する部品を容器外に排出することができる。これにより、部品係合部が容器の最下点を通過する際に、部品が係合していない状態で通過することができる。そのため、部品が部品係合部に係合し易くなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、容器を振動させることなく、容器内の部品の一つを容器外に排出することができる部品供給装置を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態を列記する。
(形態1) 部品供給装置は、回転体を回転させる駆動部をさらに備えている。駆動部の駆動軸には、駆動ローラが取付けられている。駆動ローラは、回転体の回転軸に取付けられた従動ローラと接触している。駆動ローラが駆動部によって回転されると、従動ローラは、従動ローラの表面と駆動ローラの表面との間の摩擦力によって回転される。
(形態2) 従動ローラは、弾性体で形成されている。
【実施例】
【0012】
本発明を具現化した実施例にかかる部品供給装置を図面に基づいて説明する。図1は、部品供給装置10の平面図である。図2は、図1のII-II断面の断面図である。図1,2に示すように、部品供給装置10は、外枠12と回転円板14と容器16とモータ36等を備えている。
外枠12は、有底円筒形状である。外枠12は、外枠底12bと外壁12aを備えている。外枠底12bは円板状である。外枠底12bは、水平方向に対して傾斜している。外壁12aは、外枠底12bの外周に沿って一巡している。外枠12には、回転円板14と容器16が収容されている。回転円板14は、外枠底12bと平行に配置されている。回転円板14の直径は、外壁12aの内径よりも若干小さい。回転円板14は、外枠12に対して回転可能に配置されている。
【0013】
容器16は、有底円筒状である。容器16は、容器底16bと内壁16aを備えている。容器底16bは、円板状である。容器底16bは、回転円板14の上面に固定されている。即ち、容器底16bは、外枠12に対して回転可能となっている。また、容器底16bは、外枠底12bに平行に配置されており、水平方向に対して傾斜している。容器底16bの中心は、回転円板14の中心と同一である。容器底16bの直径は、回転円板14の直径よりも小さい。容器底16bの厚さは、部品50の厚さと比較して略同一又は薄く形成されている。容器底16bの外周には、内壁16aが配置されている。内壁16aと外壁12aとの間隔は、容器16に収容される部品50の外径よりも大きい。内壁16aは、梁22によって外壁12aに固定されている。即ち、容器底16bは、内壁16aに対して回転可能となっている。
【0014】
容器16には、複数の部品50が投入される。容器底16bが水平方向に対して傾斜しているため、部品50は、容器16の最下点Y付近に溜まる。部品50は、例えば、ワッシャやナットのように、平面の直径に対して厚みが薄い部品である。
容器底16bには、その外周に複数の切欠き20が形成されている。切欠き20は、一つの部品50が入り込む程度の大きさに形成されている。
【0015】
図3に示すように、内壁16aの下端、即ち、切欠き20と対向する位置に部品排出口16cが形成されている。部品排出口16cは、容器底16bの回転中心Oよりも容器底16bの上面に沿って下方に形成されている。また、部品排出口16cは、容器16の最下点Yよりも容器底16bの回転方向Xの上流側に形成されている。部品排出口16cの高さは、切欠き20に入り込んだ部品50の厚みよりも若干高く形成されている。部品排出口16cの幅は、部品50の直径よりも若干大きく形成されている。
【0016】
図2に示すように、回転円板14の中心には、回転軸30が固定されている。回転円板14の回転軸30には、従動ローラ32が固定されている。従動ローラ32は、弾性体で形成されている。従動ローラ32には、駆動ローラ34が接触している。駆動ローラ34は、下端の直径が上端の直径よりも大きい円錐台形状である。駆動ローラ34には駆動軸を介してモータ36が接続されている。駆動ローラ34は、モータ36に対して昇降可能となっている。駆動ローラ34は、モータ36によって回転される。駆動ローラ34の回転は、駆動ローラ34と従動ローラ32との摩擦によって従動ローラ32に伝達される。
【0017】
次に、部品供給装置10の動作について説明する。モータ36によって駆動ローラ34が回転されると、駆動ローラ34に接触する従動ローラ32が回転する。使用者は、駆動ローラ34をモータ36に対して昇降させることによって、駆動ローラ34と従動ローラ32との摩擦力を変化させることができる。これにより、駆動ローラ34から従動ローラ32へ伝達される最大トルクを調整することができる。従動ローラ32が回転されると、回転軸30を介して回転円板14と容器底16bが回転方向Xに回転される。
容器底16bが回転されると、容器底16bに形成された切欠き20が内壁16aに沿って移動する。切欠き20が部品50と係合していない状態で、容器底16bに支持されている部品50の下を通過すると、部品50は、切欠き20と内壁16aと回転円板14で形成される空間に入り込み、切欠き20と係合する。切欠き20と係合した部品50は、容器底16bの回転に従って、内壁16aの内周面に沿って移動する。部品50が移動され、部品排出口16cに対向する位置に到達すると、部品50は部品排出口16cから容器16外に排出される。
部品排出口16cから排出された部品50は、内壁16aと外壁12aとの間を通過し、仕切り板24によって進行方向が変えられて、シュート26に供給される。
【0018】
部品供給装置10では、容器底16bに形成された切欠き20と部品50が係合することによって、容器16内の複数の部品50から一つの部品50を分離することができる。切欠き20と係合した部品50は、部品排出口16cから容器16外に排出される。これにより、容器16を振動させることなく、一つの部品50を容器16外に排出することができる。そのため、容器16の振動によって部品50同士が接触して、部品50に傷が付いたり、破損したりすることを防止することができる。また、部品供給装置10は、容器16が振動しないため、部品が収容された容器を振動させる部品供給装置と比較して騒音が小さい。
【0019】
例えば、容器底16bが水平に配置されていると、容器16に収容された部品50が容器底16bの中央付近に留まる可能性がある。特に、部品50のように厚みの薄い部品は、容器底16bを高速で回転させて部品50に遠心力を付与したとしても、部品50が切欠き20と係合できる位置まで移動しないことがある。この場合、容器底16bの中央付近に留まっている部品50は、切欠き20と係合することができず、容器16から排出されなくなってしまう。一方において、部品供給装置10では、容器底16bは水平方向に対して傾斜する平板である。この結果、容器16に収容された部品50は、容器底16bの中央付近に留まらず、容器16の最下点まで移動することとなる。切欠き20は、容器16の最下点Yを通過することによって、部品50と係合することが可能となる。これにより、容器16内の部品50が容器16外に排出されずに残ってしまうことを防止することができる。
また、部品供給装置10では、部品排出口16cが容器底16bの上面よりも下方に形成されている。これにより、切欠き20に係合していない部品50が部品排出口16cから排出されることを防止することができる。
また、部品供給装置10では、部品排出口16cが容器底16bの回転中心よりも下方に形成されている。これにより、切欠き20に係合する部品50が部品排出口16cに到達すると、自重落下によって部品排出口16cから容器16外に排出される。これにより、部品排出口16cが容器底16bの回転中心よりも上方に形成される場合と比較して、部品50に遠心力を与える必要がなく、部品50を容器16外に排出しやすくなる。
また、部品供給装置10では、比較的に厚みの薄い部品50が容器16内に収容されている。この場合、例えば、何らかの原因で部品50が外枠底12bと回転円板14との隙間に入り込む虞がある。従動ローラ32には、駆動ローラ34の回転力が摩擦によって伝達されている。そのため、上記した原因で回転円板14が外枠12に対して回転できない場合、従動ローラ32の表面と駆動ローラ34の表面とが滑ることによって、回転円板14に無理な回転力を付与することを防止することができる。これにより、モータ36、駆動ローラ34、従動ローラ32、回転軸32等が破損することを防止することができる。
【0020】
上記した部品供給装置10では、容器底16bに形成されている部品係合部が切欠き20でなくてもよい。例えば、図4,5に示すように、部品係合部60は、容器底16bから突設された突起であってもよい。この場合、図5に示すように、部品排出口16cは、容器底16bの上面から部品50の厚みよりも若干高い位置まで開口している。また、例えば、外壁12aと内壁16aとの間に位置する回転円板14は、内側から外側に向かって傾斜していてもよい。
上記した部品供給装置10では、容器底16bが回転円板14に伴って回転している。容器底16aは、回転円板14と一体で形成されていてもよい。一方において、容器底16bのみが回転してもよい。
また、図6に示すように、容器底16b上に内壁16aに対して回転する回転体70を設けてもよい。回転体70には、その外周に複数の切欠き72が形成されている。切欠き72は、一つの部品50が入り込む程度の大きさに形成されている。回転体70は、容器底16bとともに内壁16aに対して回転してもよい。この場合、回転体70は、容器底16bと一体で形成されていてもよい。一方において、容器底16bが内壁16aに対して固定されている場合には、回転体70のみが内壁16aに対して回転してもよい。
【0021】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例の部品供給装置の平面図。
【図2】図1のII-II断面を示す断面図。
【図3】図1のIII−III断面を示す断面図。
【図4】実施例を変形した部品供給装置の平面図。
【図5】図4のV-V断面を示す断面図。
【図6】実施例を変形した部品供給装置の平面図。
【符号の説明】
【0023】
10:部品供給装置
12:外枠
14:回転円板
16:容器
16a:内壁
16b:容器底
16c:部品排出口
20:切欠き
32:従動ローラ
34:駆動ローラ
36:モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を収容可能な容器と、
容器の底面に設けられ、少なくとも一部が容器の側壁に沿って回転する回転体、
を備えており、
容器の底面は、水平方向に対して傾斜する平面であり、
回転体には、1つの部品が係合する部品係合部が側壁と対向する位置に形成されており、
容器の側壁には、部品係合部と対向する位置に少なくとも一つの部品排出口が形成されている部品供給装置。
【請求項2】
回転体は、その外周が側壁に対向する円板形状であり、
部品係合部は、回転体の外周に位置し、一つの部品が入り込む大きさに形成された切欠きであることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
部品排出口は、回転体の回転中心よりも下方に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
部品排出口は、容器の最下点よりも回転体の回転方向の上流側に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の部品供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−263091(P2009−263091A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114956(P2008−114956)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(308017283)ティーエフシー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】