説明

部品圧送システム

【課題】ねじ圧送時において、チャック部でのねじ詰まりを低減し、生産効率を向上するとともに、安価な部品圧送システムの提供を目的とする。
【解決手段】所望部品の一例であるねじを圧送可能な部品圧送装置2と前記ねじを保持可能なチャックユニット14とをホース3により接続するとともに、前記ねじの通過を検知する通過センサ9を前記ホース3の外周に配置する一方、この通過センサ9と制御装置6とを信号線16により接続する。また、ねじの圧送制御を前記通過センサ9から出力されるねじ通過検出信号に基づき前記ねじの圧送停止および再圧送とを制御可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気により所望部品を所定位置へ確実に圧送できる部品圧送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の低価格化が一段と激しさを増す状況となっており、求められる生産設備は製作コストが安価であるとともに、生産効率が高いものとなっている。また、これらの生産設備には圧縮空気を用いて所望部品を所定位置に圧送する部品圧送システムが活用されている。この部品圧送システムを活用した生産設備の一例として自動ねじ締め装置が挙げられる。
【0003】
この自動ねじ締め装置に活用される従来の部品圧送システムは、一般的に特許文献1および図3に示すものが知られており以下に説明する。従来の部品圧送システムは、所望部品の一例であるねじ31を所定位置に個別圧送可能な部品圧送装置と、このねじ31の圧送経路をなすホースと、このホースから圧送されたねじ31を締付け可能なねじ締めツールと、このねじ締めツールの先端に前記ねじ31が存在していることを検知可能なセンサ32を有する検出手段と、この検出手段から出力される検出信号の処理および前記ねじ締めツールの動作制御と前記部品圧送装置の動作制御とを可能な制御装置とから構成される。前記部品圧送装置は、前記ねじ31を1本ずつ後工程へ排出可能であり、内部経路の切替えによって別途供給される圧縮空気を適時排出可能に構成される。また、前記ホースは、その全長に渡って前記ねじ31の通過を可能とする中空状を成し、その一端は前記分離排出部と接続され、他端は前記ねじ締めツールと接続される。このねじ締めツールは、前記ホースに接続されたチャック部30と、前記ねじ31の駆動部に嵌合可能なビットと、このビットに回転を伝達するモータとから構成される。また、図3に示すように前記チャック部30の内部は、前記ねじの通過経路33が形成されるとともに、その先端には前記ねじ31の保持を可能とするねじ保持穴34が形成される一方、このねじ保持穴34には前記ねじ31の呼び径より小さなねじ検出穴35が前記ねじ保持穴34の延びる方向に対して水平に形成されている。なお、このねじ検出穴35の近傍には前記検出手段のセンサ32が対称位置に配置され、前記センサ32の光軸36が前記ねじ検出穴35を通過するように構成される。
【0004】
次に前記ねじ31の圧送作用について説明する。前記部品圧送装置は、多数貯留したねじ31を前記分離排出部から1つずつ前記ホース内に供給した後、前記制御装置の指令により圧縮空気を前記ホースへ排出し続ける。ねじ31の圧送が正常であれば、前記ねじ31は前記ホースを経由して前記ねじ保持穴34に保持され前記センサ32の光軸36を遮断する。これにより、前記検出手段からねじ到着検出信号が出力され、このねじ到着検出信号を受けた前記制御装置は、前記部品圧送装置に前記圧縮空気の排出停止を指令して圧縮空気の排出を停止させる。一方、前記ホースあるいは前記チャック部30の内部でねじ31が詰まる等、ねじ31の圧送が異常であれば、図3に示すように前記ねじ31はねじ保持穴34に確実に保持されず前記センサ32の光軸36を遮断しない。このとき、前記部品圧送装置は、前記圧縮空気を前記ホースに排出し続けるため、必要以上に圧縮空気を消費する。この圧縮空気の無駄な消費を防止するため、所定時間経過しても前記センサ32の光軸36が遮断されなければ、前記制御装置は部品圧送装置に圧縮空気の排出停止を指令して、圧縮空気の排出停止を行うとともに、前記ねじ締めツールの動作を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−61425号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記部品圧送システムは、圧送されたねじ31を前記ねじ保持穴34で保持しているか否かセンサ32により検出しなければならず、前記チャック部30に前記ねじ検出穴35と厳密な光軸36を調整したセンサ32とが必要となり、ねじ検出穴35の加工およびセンサ32の光軸調整に時間を費やすため、製作コストが増大する問題があった。さらに、図3に示すように圧送されるねじ31は、そのおねじ31aをねじ検出穴35に頻繁に引っ掛けて前記ねじ保持穴34に確実に保持されず前記光軸36を遮断できない。こうなると、部品圧送装置2の圧縮空気の排出が停止され、生産設備は頻繁に停止して生産効率が低下する問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みて創成されたものであり、チャック部でのねじ詰まりを低減させ、生産効率を向上するとともに、安価な部品圧送システムの提供を目的とする。この目的を達成するために、本発明は、所望部品を圧送可能な部品圧送装置と、所望部品の圧送経路をなすホースと、所望部品の保持を可能なチャックユニットを有するねじ締めツールと、前記ねじ締めツールと前記部品圧送装置とを制御可能な制御装置とを有する部品圧送システムにおいて、前記所望部品の通過を検知する部品通過検知手段を前記ホースに配置するとともに、この部品通過検知手段と前記制御装置とを接続して、前記部品通過検知手段から出力されたねじ通過検出信号に基づき前記所望部品の圧送制御を可能に構成したことを特徴とする。また、部品通過検知手段はホースの挿通穴を形成するとともに、この挿通穴を通過した所望部品の検出を可能な通過センサを備えるとともに、圧送制御において圧送リトライ制御を追加することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の部品圧送システムは、ねじの通過を検出可能な通過センサを用いるため、光軸の調整作業と前記チャックユニットの加工作業とが削減できるため、製作コストを低減できる利点がある他、前記チャックユニットにねじ検出穴を形成されないため、生産設備の生産効率を向上させる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係わる一実施例の部品圧送システムの概略説明図である。
【図2】本発明に係わる部品圧送システムのねじ圧送制御のフローチャートである。
【図3】従来の部品圧送システムの要部一部切欠断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1に基づき本発明の一実施例を説明する。
部品圧送システム1は、所望部品の一例であるねじを多数貯留可能でかつ外部に1本ずつ圧送可能な部品圧送装置2と、前記ねじの圧送経路をなすホース3と、前記ねじを保持可能なねじ締めツール4と、前記ねじ締めツール4と前記部品圧送装置2とを制御可能な制御装置6とから構成される。
【0011】
前記部品圧送装置2は、エア配管7aを介してタンク10に接続されており、タンク内に充填された圧縮空気を常時供給され、この圧縮空気を利用して内部経路の切替えによって前記ねじあるいは前記圧縮空気を排出部17から排出可能に構成される。また、前記ねじ締めツール4は、前記ねじを保持可能に形成されたねじ保持部18を有するチャックユニット14と、前記ねじの駆動部に係合可能なビット13と、このビットに回転を与えるモータ12と、前記ビット13の往復駆動源の一例であるエアシリンダ15と、このエアシリンダ15のピストンロッドの伸縮動作を可能にする電磁弁8とから構成される。この電磁弁8の一次側は、エア配管7aを介して前記タンク10に接続され、常時圧縮空気が供給される一方、二次側はエア配管7bを介して前記エアシリンダ15にそれぞれ接続される。このねじ締めツール4の前方には部品通過検知手段5が張り出す形で配置されており、この部品通過検知手段5には通過センサ9が設置されている。この通過センサ9は、前記ホース3の挿通可能な挿通穴を有しており、この挿通穴を通過した前記ねじを磁界の変化に基づき検出可能に構成される。また、前記ホース3は、前記チャックユニット14と前記部品圧送装置2の前記排出部17とを接続するとともに、前記通過センサ9の挿通穴に挿通される。一方、前記制御装置6には複数の信号線16が接続されており、この信号線16は前記部品圧送装置2と前記通過センサ9と前記モータ12と前記電磁弁8と前記ピストンロッドの復帰を検知可能なシリンダスイッチ15aとに接続され、後に説明するねじ圧送制御を含むねじ締め制御可能に構成される。なお、前記通過センサ9は、磁界の変化に基づき通過したねじを検出しているが、検出原理に限定されるものではなく、例えばレーザ光等の検出原理を持つようなねじの通過を検出可能な原理を有する通過センサであればよい。
【0012】
次に、図2に基づき本発明のねじ圧送制御について説明する。前記部品圧送装置2からねじが前記ホースに排出されるとねじ圧送制御の開始条件が整う。この条件の下、制御装置6は、
S01:部品圧送装置2から制御装置6にねじ圧送指令信号が入力されるのを待つ。
S02:前記部品圧送装置2に前記圧縮空気の排出開始指令を行い、ねじの圧送が開始される。
S03:通過検出センサ9からねじ通過検出信号が出力されたか否かを確認し、出力されていなければS06にジャンプする。
S04:あらかじめ設定された圧送継続時間が経過するのを待つ。
S05:前記部品圧送装置2へ圧縮空気の排出停止指令を行い、ねじの圧送が停止され、S10にジャンプする。
S06:あらかじめ設定された圧送設定時間に到達しているか否かを確認し、到達していなければS03にジャンプする。
S07:圧縮空気の排出を停止させ、圧送停止を行う。
S08:あらかじめ設定した圧送リトライ回数に達したか否かを確認し、達していなければS02にジャンプする。
S09:圧送異常出力を行う。
S10:END。
となるねじ圧送制御を行う。
【0013】
次に、図1および図2を参照にして本発明に係る部品圧送システム1の動作について説明する。前記部品圧送装置2は、前記信号線16を介して前記制御装置6からねじ排出指令を受けて、前記ねじを1本前記ホース3へ排出し、制御装置6にねじ圧送指令信号を出力する。これを受けた制御蔵置6は、部品圧送装置2にねじの圧送を指令して部品圧送装置2が常時供給される圧縮空気を前記ホース3に排出してホース内のねじを圧送する。これにより、前記ねじは前記通過センサ9を通過して前記チャックユニット14に供給され、前記ねじ保持部18にその頭部を吊下げる形で保持される。また、図1に示すように前記通過センサ9と前記ねじ保持部18とはある程度距離を有しているため、圧送されたねじが通過センサ9に検知されてから前記ねじ保持部18に確実に保持されるまでには一定の時間が必要になる。この時間は上述のS04である圧送継続時間としてあらかじめ制御装置6に設定されており、圧送されるねじが前記ねじ保持穴18に確実に保持可能な値であり、例えば0.1秒等の設定がなされている。前記ねじ通過検出信号を出力してからこの圧送継続時間が経過すると部品圧送装置2から排出される圧縮空気は停止されて圧送停止し、次工程であるねじ締め工程に移行してねじ締め作業が行われる。
【0014】
一方、圧送されるねじが前記通過センサ9を通過するまでに前記ホース内で詰まり等を生じると、前記圧縮空気が排出され続ける。このような無駄な圧縮空気の消費を防止するため、前記圧送設定時間が設定されている。この圧送設定時間は、前記ホース3の全長および材質に応じて設定されており、圧送開始から前記ねじ保持部18にねじが到着するために最低必要な時間に若干の余裕時間を加えた時間であり、例えば3秒等の設定があらかじめ制御装置6になされている。万一、この圧送設定時間を経過すると一旦圧縮空気の排出停止を行い、その後、現時点での圧送回数があらかじめ制御装置6に設定された圧送リトライ回数に達しているか確認し、達していなければ再度圧送を開始する。一方、圧送リトライ回数に達していれば圧送異常として外部にアラームを出力してねじ詰まりを作業者等に警告してねじ圧送工程を終了する。また、前記圧送継続時間および前記圧送設定時間、前記圧送リトライ回数は任意の時間あるいは回数に設定可能であり、ホース長さやホース内部の摩耗状況等の諸条件に合わせた最適なねじ圧送条件を設定できる利点がある。なお、本実施例において、往復駆動源はエアシリンダ15としたが、公知の特許文献特開2003−186541に示されるようにACサーボモータにするとともにビット13の往復機構は前述の特許文献に示されるボールねじ等で構成してもよい。
【0015】
以上説明したように、部品圧送システム1は、圧送されるねじの通過を検出可能な通過センサ9を用いるため、従来必須となっていた煩わしい光軸等の調整が不要になるとともに、前記チャックユニット14のねじ保持部18にねじの有無を検出するために必要であったねじ検出穴35の加工が不要となる。このため、通過センサ9の調整コストと前記ねじ保持部18の加工コストとを削減できる利点がある。さらに、前記ねじ検出穴35の加工が不要となったことで、前記ねじ保持部18のねじ通過経路を滑らかに形成でき、圧送されたねじを前記ねじ保持部18で確実に保持できるため、部品圧送システム1は、前記ねじ保持部18でねじ詰まりを発生させることなくねじ締め作業の効率が向上する利点もある。
【符号の説明】
【0016】
1 部品圧送システム
2 部品圧送装置
3 ホース
4 ねじ締めツール
5 部品通過検知手段
6 制御装置
7a エア配管
7b エア配管
8 電磁弁
9 通過センサ
14 チャックユニット
17 排出部
18 ねじ保持部
30 チャック部
31 ねじ
31a おねじ
32 センサ
33 通過経路
34 ねじ保持穴
35 ねじ検出穴
36 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望部品を圧送可能な部品圧送装置と、所望部品の圧送経路をなすホースと、所望部品の保持を可能なチャックユニットを有するねじ締めツールと、前記ねじ締めツールと前記部品圧送装置とを制御可能な制御装置とを有する部品圧送システムにおいて、前記所望部品の通過を検知する部品通過検知手段を前記ホースに配置するとともに、この部品通過検知手段と前記制御装置とを接続して、前記部品通過検知手段から出力されたねじ通過検出信号に基づき前記所望部品の圧送制御を可能に構成したことを特徴とする部品圧送システム。
【請求項2】
部品通過検知手段はホースの挿通穴を形成するとともに、この挿通穴を通過した所望部品の検出を可能な通過センサを備えるとともに、圧送制御において圧送リトライ制御を追加したことを特徴とする請求項1に記載の部品圧送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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