説明

部品管理装置および部品管理システム

【課題】 電池パックで用いられる部品を再利用する。
【解決手段】 部品管理装置(210)は、メモリ(212)およびコントローラ(211)を有する。メモリは、複数の蓄電素子を含む蓄電装置で用いられた部品に関する情報を記憶する。コントローラは、部品の供給に関する情報が入力されることに応じて、入力情報に対応する部品をメモリの記憶領域内で検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの蓄電装置で用いられた部品を管理する部品管理装置および部品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
組電池は、例えば、車両に搭載され、車両の走行に用いられるエネルギを出力する。組電池は、他の部品(例えば、ケースや電気部品)とともに、電池パックとして構成されている。組電池が寿命に到達したときには、電池パックが交換されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−277627号公報
【特許文献2】特開2007−141464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組電池が寿命に到達していても、他の部品は、寿命に到達していないことがある。このとき、他の部品も組電池とともに廃棄してしまうと、他の部品を有効活用できなくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願第1の発明である部品管理装置は、メモリおよびコントローラを有する。メモリは、複数の蓄電素子を含む蓄電装置で用いられた部品に関する情報を記憶する。コントローラは、部品の供給に関する情報が入力されることに応じて、入力情報に対応する部品をメモリの記憶領域内で検索する。
【0006】
本発明によれば、部品管理装置を用いることにより、再利用できる部品を管理することができる。使用済みの部品を再利用することにより、寿命に到達するまで、部品を有効利用することができる。
【0007】
ここで、コントローラは、部品の検索結果に関する情報を、部品の供給を受ける側に出力することができる。これにより、供給を受けようとする部品の在庫確認を行うことができる。部品としては、蓄電素子の充放電時に用いられる電気部品や、蓄電装置の機械的構造の一部となる構造部品がある。蓄電装置としては、車両に搭載される蓄電装置を用いることができる。ここで、蓄電装置は、車両の走行に用いられるエネルギを出力する。
【0008】
本願第2の発明である部品管理システムは、本願第1の発明である部品管理装置と、使用済みの部品に関する情報を部品管理装置に送信する送信装置と、を有する。部品管理装置のメモリは、送信装置から送信された情報を記憶する。再利用できる部品が発生したときには、この部品に関する情報を送信装置から部品管理装置に送信することにより、再利用できる部品を部品管理装置で管理することができる。
【0009】
本願第3の発明である部品管理システムは、本願第1の発明である部品管理装置と、送受信装置とを有する。送受信装置は、部品の供給に関する情報を部品管理装置に送信するとともに、部品管理装置からの検索結果を受信する。これにより、供給を受けようとする部品が存在するか否かを確認することができる。また、供給を受けようとする部品が存在するときには、この部品を供給元から供給してもらうことにより、部品を再利用することができる。
【0010】
本願第4の発明は、コンピュータによって実行される部品管理プログラムであって、第1ステップおよび第2ステップを有する。第1ステップでは、複数の蓄電素子を含む蓄電装置で用いられる部品の供給に関する情報を取得する。第2ステップでは、使用済みの部品に関する情報を記憶するメモリの記憶領域内において、第1ステップで取得した情報に対応する部品を検索する。これにより、使用済みの部品を、再利用の対象として、管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電池パックの一部を示す外観図である。
【図2】電池パックの内部構造を示す図である。
【図3】電池パックの回路構成を示す図である。
【図4】部品管理システムの構成を示す図である。
【図5】構造部品のリサイクル判定の処理を示すフローチャートである。
【図6】電気部品のリサイクル判定の処理を示すフローチャートである。
【図7】電気部品のリサイクル判定の処理を示すフローチャートである。
【図8】供給情報入力端末での処理を示すフローチャートである。
【図9】部品管理装置での処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
本実施例では、電池パック(蓄電装置)のうち、電池以外の部品を再利用するときに、この部品を管理するようにしている。まず、電池パックの構造について説明する。
【0014】
図1は、電池パックの一部(電池スタック)の外観図である、図2は、電池パックの内部構造を示す図である。図1および図2において、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する軸である。
【0015】
電池スタック1は、X方向に並んで配置された複数の単電池(蓄電素子)10を有する。単電池10としては、いわゆる角型の単電池を用いている。電池スタック1を構成する単電池10の数は、適宜設定することができる。例えば、電池スタック1の要求出力や各単電池10の出力などに基づいて、単電池10の数を設定することができる。
【0016】
単電池10としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。本実施例の電池スタック1では、複数の単電池10をX方向に並べているが、これに限るものではない。具体的には、複数の単電池10を用いて1つの電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールをX方向に並べることもできる。
【0017】
単電池10の内部には、発電要素が収容されている。発電要素は、充放電を行うことができる要素である。発電要素は、例えば、正極素子と、負極素子と、正極素子および負極素子の間に配置されるセパレータ(電解液を含む)とで構成することができる。正極素子は、集電板の表面に正極活物質層を形成したものである。負極素子は、集電板の表面に負極活物質層を形成したものである。
【0018】
単電池10の上面には、正極端子11および負極端子12が設けられている。正極端子11は、発電要素の正極素子と電気的に接続されており、負極端子12は、発電要素の負極素子と電気的に接続されている。X方向で隣り合う2つの単電池10は、バスバーによって電気的に接続される。すなわち、電池スタック1を構成する複数の単電池10は、電気的に直列に接続されている。
【0019】
本実施例では、複数のバスバーが一体的に構成されたバスバーモジュール30を用いている。バスバーモジュール30は、電池スタック1の上面に配置され、各単電池10の正極端子11および負極端子12に締結される。バスバーモジュール30は、複数のバスバーと、各バスバーを保持するホルダとを有する。ホルダは、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂)で形成されている。
【0020】
X方向で隣り合う2つの単電池10の間には、スペーサ(不図示)を配置することができる。スペーサは、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂)で形成されており、単電池10の表面に空間を形成するために用いられる。この空間は、単電池10の温度を調節するための熱交換媒体が移動する空間となる。例えば、単電池10と対向するスペーサの面に突起部を形成すれば、スペーサおよび単電池10の間に、熱交換媒体の移動スペースを形成することができる。
【0021】
単電池10が発熱しているときには、冷却用の熱交換媒体を単電池10に接触させることにより、単電池10の温度上昇を抑制することができる。また、単電池10が過度に冷却されているときには、加温用の熱交換媒体を単電池10に接触させることにより、単電池10を温めることができる。
【0022】
X方向における電池スタック1の両端には、一対のエンドプレート21が配置されている。拘束バンド22は、X方向に延びており、拘束バンド22の両端部は、ボルト23によって一対のエンドプレート21に固定されている。電池スタック1の上面には、2つの拘束バンド22が配置され、電池スタック1の下面にも、2つの拘束バンド22が配置されている。
【0023】
拘束バンド22をエンドプレート21に固定することにより、一対のエンドプレート21は、互いに近づく方向に変位する。これにより、一対のエンドプレート21によって挟まれた複数の単電池10に対して拘束力を与えることができる。この拘束力は、X方向において単電池10を挟む力である。
【0024】
図1に示すように、X方向において電池スタック1と隣り合う位置には、ジャンクションボックス40が配置されている。ジャックションボックス40の内部には、電池スタック1の充放電制御に用いられる電気部品が配置されている。これらの電気部品については、後述する。
【0025】
電池スタック1およびジャンクションボックス40は、図2に示すパックケース50に収容されている。パックケース50は、アッパーケース51およびロアーケース52を有する。アッパーケース51およびロアーケース52は、ボルト53aおよびナット53bを用いて固定されている。
【0026】
本実施例では、角型の単電池10を用いて電池パック100を構成しているが、これに限るものではない。例えば、円筒型の単電池を用いて電池パック100を構成することができる。この場合には、各単電池をホルダによって保持することができる。
【0027】
次に、電池パック100の電気的な構成について、図3を用いて説明する。
【0028】
電池パック100は、負荷70に接続されている。電池パック100を車両に搭載したときには、負荷70として、モータ・ジェネレータを用いることができる。モータ・ジェネレータは、電池パック100から出力された電気エネルギを、車両を走行させるための運動エネルギに変換する。また、車両を減速させたり、車両を停止させたりするときには、モータ・ジェネレータは、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギに変換する。電池パック100は、モータ・ジェネレータが生成した電気エネルギを蓄える。
【0029】
ここで、電池パック100およびモータ・ジェネレータの間には、昇圧回路やインバータを配置することができる。昇圧回路を配置すれば、電池パック100の出力電圧を昇圧することができる。インバータを用いれば、電池パック100から出力された直流電力を交流電力に変換でき、モータ・ジェネレータとして、交流モータを用いることができる。
【0030】
電池スタック1に含まれる特定の2つの単電池10は、電流遮断器61を介して接続されている。電流遮断器61は、ジャンクションボックス40に収容されており、電池スタック1に流れる電流を遮断するために用いられる。電流遮断器61は、プラグを有しており、プラグを抜くことにより、電池スタック1に流れる電流を遮断することができる。
【0031】
電流センサ62は、電池スタック1の充放電を行うときに、電池スタック1に流れる電流を検出するために用いられる。ECU(Electric Control Unit)66は、電流センサ62の出力に基づいて、電池スタック1の電流値を取得し、この電流値に基づいて、電池スタック1の充放電を制御する。電流センサ62およびECU66は、ジャンクションボックス40に収容されている。
【0032】
電圧センサ63は、電池スタック1の電圧を検出するために用いられる。ECU66は、電圧センサ63の出力に基づいて、電池スタック1の電圧値を取得し、この電圧値に基づいて、電池スタック1の充放電を制御する。本実施例では、電池スタック1の電圧を検出しているが、これに限るものではない。具体的には、電圧センサ63を用いて、電池スタック1の一部の電圧を検出することもできる。一部の電圧としては、各単電池10の端子間電圧や、電池スタック1を構成する複数の単電池10を複数のブロック(各ブロックは、複数の単電池10を含む)に分けたときの各ブロックの端子間電圧がある。
【0033】
温度センサ64は、電池スタック1の温度を検出するために用いられる。図3では、1つの温度センサ64だけを示しているが、複数の温度センサ64を用いることもできる。温度センサ64は、電池スタック1の外面に固定することができる。ECU66は、温度センサ64の出力に基づいて、電池スタック1の温度を取得する。取得した温度は、単電池10の温度制御に用いられたり、単電池10の異常を検出するときに用いられたりする。
【0034】
電池スタック1は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを介して、負荷70と接続されている。ECU66は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pのオン/オフを制御する。
【0035】
電池スタック1および負荷70が電気的に接続されていないとき、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、オフとなっている。電池スタック1および負荷70を電気的に接続するときには、ECU66は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える。
【0036】
これにより、電池スタック1の電流は、抵抗(プリチャージ抵抗)65に流れる。次に、ECU66は、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替える。これにより、電池スタック1および負荷70の電気的な接続が完了する。
【0037】
次に、単電池10と共に電池パック100で用いられる部品(以下、付属部品という)を管理するシステムについて、図4を用いて説明する。付属部品とは、電池パック100を構成する部品のうち、単電池10を除く部品である。付属部品には、構造部品および電気部品がある。
【0038】
構造部品は、電池パック100の機械的構造の一部となる部品であって、電気が流れない部品である。構造部品としては、例えば、エンドプレート21、拘束バンド22、パックケース50、ボルト23、ボルト53a、ナット53bがある。電気部品は、電気が流れる部品であり、電気部品としては、例えば、バスバーモジュール30、電流遮断器61、電流センサ62、電圧センサ63、温度センサ64、抵抗65、ECU66、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがある。
【0039】
図4に示すように、管理システム200は、部品管理装置210、部品情報入力端末220および供給情報入力端末230を有する。部品管理装置210は、コントローラとしてのCPU211と、メモリとしてのデータベース(DB)212とを有する。部品情報入力端末220および供給情報入力端末230は、ネットワーク240を介して、部品管理装置210と接続されている。ネットワーク240としては、専用のネットワークを用いたり、インターネットを用いたりすることができる。
【0040】
部品情報入力端末220は、リサイクルされる付属部品に関する情報を入力するために用いられ、入力情報は、ネットワーク240を介して部品管理装置210に送られる。部品管理装置210のデータベース212は、部品情報入力端末220から送信された情報を記憶する。これにより、データベース212には、リサイクル対象の付属部品に関する情報が蓄積される。
【0041】
供給情報入力端末230は、リサイクル対象の付属部品を供給してもらうとき、この付属部品に関する情報を入力するために用いられる。供給情報入力端末230の入力情報は、ネットワーク240を介して部品管理装置210に送られる。入力情報は、供給対象の付属部品を特定する情報であればよい。部品管理装置210のCPU211は、供給情報入力端末230から送信された情報を受けて、この情報に対応した付属部品をデータベース212で検索し、検索結果を供給情報入力端末230に送信する。
【0042】
次に、付属部品に関する情報を部品管理装置210に送信するときの処理について、具体的に説明する。付属部品に関する情報を部品管理装置21に送信する前には、まず、付属部品の判定を行う。付属部品の判定とは、電池パック100を組み立てるときに、付属部品が再利用できるか否かの判定である。付属部品の判定は、使用済みの電池パック100に対して行われる。
【0043】
図5は、構造部品の判定を行う処理を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS101において、構造部品の各部の漏電をチェックする。具体的には、漏電チェックの対象となる部分に対して漏電検出器を接続して、検出電流を流す。検出電流が検出されれば、漏電が発生していると判断することができる。漏電が発生している構造部品については、リサイクルの対象から除外される。漏電が発生していない構造部品については、ステップS102以降の処理を行う。
【0045】
ステップS102において、電池パック100の締結部分における状態をチェックする。締結部分のチェックは、作業者が治具を用いて行うことができる。例えば、単電池10に対するバスバーモジュール30の締結状態、エンドプレート21に対する拘束バンド22の締結状態、アッパーケース51およびロアーケース52の締結状態をチェックすることができる。締結部分が弛んでいるときには、構造部品に不具合が発生しているおそれがあり、この構造部品は、リサイクルの対象から除外される。
【0046】
ステップS103では、電池パック100の構造部品について、形状が変化しているか否かをチェックする。形状変化のチェックは、作業者の目視によって行ったり、構造部品の画像を撮影し、撮影画像の画像解析によって行ったりすることができる。形状変化のチェックとしては、現在の構造部品の形状が、初期状態の構造部品の形状と異なっているか否かをチェックする。初期状態とは、構造部品を製造した直後の状態である。例えば、構造部品に、凹み、キズ又は亀裂が発生しているか否かをチェックすることができる。
【0047】
構造部品の形状変化が、形状に関する基準を満たしていないときには、この構造部品は、リサイクルの対象から除外される。形状に関する基準は、構造部品を用いて電池パック100を組み立てた後の電池パック100の動作状態等を考慮して、適宜設定することができる。一方、形状変化の基準を満たす構造部品については、リサイクルの対象となる。ここで、形状変化の基準を満たす構造部品については、形状変化の程度に応じて、形状変化の状態を複数のランクに分けることができる。ランク分けの基準については、適宜設定することができる。
【0048】
ステップS104では、電池パック100の構造部品について、材質が変化しているか否かをチェックする。材質変化のチェックは、作業者の目視によって行ったり、構造部品の画像を撮影し、撮影画像の画像解析によって行ったりすることができる。材質変化のチェックとしては、現在の構造部品の材質が、初期状態の構造部品の材質と異なっているか否かをチェックする。例えば、構造部品が錆びていたり、変色したりしているか否かをチェックすることができる。
【0049】
構造部品の材質変化が、材質に関する基準を満たしていないときには、この構造部品は、リサイクルの対象から除外される。材質に関する基準は、構造部品を用いて電池パック100を組み立てた後の電池パック100の動作状態等を考慮して、適宜設定することができる。一方、材質変化の基準を満たす構造部品については、リサイクルの対象となる。ここで、材質変化の基準を満たす構造部品については、材質変化の程度に応じて、材質変化の状態を複数のランクに分けることができる。ランク分けの基準については、適宜設定することができる。
【0050】
ステップS105では、ステップS101〜S104のチェック結果に基づいて、構造部品の判定を行う。具体的には、構造部品がリサイクルの対象となるか否かを判別し、リサイクルの対象となる構造部品を特定する。また、リサイクルの対象となる構造部品については、形状や材質に関して、ランク分けを行うことができる。
【0051】
ステップS106では、リサイクルの対象となる構造部品に関する情報を部品情報入力端末220に入力し、入力情報を部品管理装置210に送信する。部品管理装置210のデータベース212は、部品情報入力端末220からの情報を記憶する。構造部品に関する情報とは、構造部品を特定するための情報であり、例えば、構造部品の名称、識別番号、構造部品が用いられる電池パック100の識別番号がある。
【0052】
構造部品の形状や材質等について、ランク分けを行ったときには、ランクの情報も、構造部品に関する情報として、部品管理装置210に送信することができる。また、構造部品の供給元に関する情報も部品管理装置210に送信することができる。ここで、部品管理装置210のデータベース212では、ランクの情報や、供給元に関する情報が、構造部品と対応付けられた状態で記憶される。
【0053】
本実施例では、構造部品について、上述したチェック項目の元で、リサイクル判定を行っているが、これに限るものではない。すなわち、構造部品のチェック項目は、適宜設定することができ、設定した項目に基づいて、構造部品のチェックを行えばよい。
【0054】
図6は、電気部品の判定を行う処理を示すフローチャートである。図6の処理では、電気部品のうち、導通(オン)および非導通(オフ)の間で切り替わる電気部品を判定する処理である。この電気部品としては、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pや電流遮断器61がある。
【0055】
ステップS201では、電気部品が漏電しているか否かをチェックする。具体的には、電気部品に対して漏電検出器を接続して、検出電流を流す。検出電流が検出されれば、漏電が発生していると判断することができる。漏電が発生している電気部品については、リサイクルの対象から除外される。漏電が発生していない電気部品については、ステップS202以降の処理を行う。
【0056】
ステップS202では、電気部品のうち、接触および非接触が切り替わる部分について、異常が発生しているか否かをチェックする。具体的には、電気部品が接触状態にあるときに、接触抵抗を測定し、接触抵抗が閾値を超えているか否かをチェックする。接触抵抗が閾値を超えているときには、電気部品が異常状態であると判断し、接触抵抗が閾値を超えていないときには、電気部品が正常状態であると判断する。閾値は、電気部品の特性等を考慮して適宜設定することができる。ここで、正常と判断された電気部品については、接触抵抗等に応じて、複数のランクに分けることができる。
【0057】
ステップS203では、電気部品を動作させたときに、電気部品から異音が発生するか否かをチェックする。異音のチェックは、作業者が異音を確認することによって行ったり、電気部品から発生する音をマイクで集音し、マイクの出力信号を解析することによって行ったりすることができる。例えば、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンおよびオフの間で切り替えたときに、異音が発生するか否かをチェックすることができる。
【0058】
電気部品から発生する異音レベルが基準範囲内に含まれていれば、電気部品が正常であると判断する。一方、電気部品から発生する異音レベルが基準範囲を超えていれば、電気部品が異常であると判断する。基準範囲は、電気部品を用いて電池パック100を組み立てた後の電池パック100の動作状態等を考慮して、適宜設定することができる。ここで、異音レベルが基準範囲内に含まれる電気部品については、異音レベルに応じて、複数のランクに分けることができる。
【0059】
ステップS204では、電気部品の動作をチェックする。具体的には、電気部品に入力される制御信号に応じて、電気部品がオンおよびオフの間でスムーズに切り替わるか否かをチェックする。電気部品に制御信号が入力されたときに、電気部品がオンおよびオフの間で切り替わらないときには、電気部品が異常であると判断する。電気部品が異常であると判断されれば、この電気部品はリサイクルの対象から除外される。
【0060】
ステップS205では、ステップS201〜S204のチェック結果に基づいて、電気部品の判定を行う。具体的には、電気部品がリサイクルの対象となるか否かを判別し、リサイクルの対象となる電気部品を特定する。また、リサイクルの対象となる電気部品については、ステップS202,S203で説明したように、ランク分けを行うことができる。
【0061】
ステップS206では、リサイクルの対象となる電気部品に関する情報を部品情報入力端末220に入力し、入力情報を部品管理装置210に送信する。部品管理装置210のデータベース212は、部品情報入力端末220からの情報を記憶する。電気部品に関する情報とは、電気部品を特定するための情報であり、例えば、電気部品の名称、識別番号、電気部品が用いられる電池パック100の識別番号がある。
【0062】
電気部品のチェックにおいて、ランク分けを行ったときには、ランクの情報も、電気部品に関する情報として、部品管理装置210に送信することができる。また、電気部品の供給元に関する情報も部品管理装置210に送信することができる。ここで、部品管理装置210のデータベース212では、ランクの情報や、供給元に関する情報が、電気部品と対応付けられた状態で記憶される。
【0063】
図7は、電気部品の判定を行う処理を示すフローチャートである。図7の処理では、図6の処理で対象となった電気部品以外の電気部品を判定する処理である。この電気部品としては、電流センサ62、電圧センサ63、温度センサ64、ECU66がある。
【0064】
ステップS301では、ECU66が漏電しているか否かをチェックする。具体的には、漏電検出器を用いて、ECU66の漏電を検出することができる。漏電が発生しているECU66については、リサイクルの対象から除外される。漏電が発生していないECU66については、ステップS302の処理を行う。
【0065】
ステップS302では、ECU66の外形が変化しているか否かをチェックする。ECU66の外形には、ECU66の形状および、ECU66を構成する部品の材質が含まれる。
【0066】
外形変化のチェックは、作業者の目視によって行ったり、ECU66の画像を撮影し、撮影画像の画像解析によって行ったりすることができる。外形変化のチェックとしては、現在のECU66の外形が、初期状態のECU66の外形と異なっているか否かをチェックする。初期状態とは、ECU66を製造した直後の状態である。例えば、凹み、キズ又は亀裂がECU66に発生しているか否かをチェックしたり、錆び又は変色がECU66に発生しているか否かをチェックしたりすることができる。
【0067】
ECU66の外形変化が、外形に関する基準を満たしていないときには、このECU66は、リサイクルの対象から除外される。外形に関する基準は、ECU66を用いて電池パック100を組み立てた後の電池パック100の動作状態等を考慮して、適宜設定することができる。一方、外形変化の基準を満たすECU66については、リサイクルの対象となる。ここで、外形変化の基準を満たすECU66については、外形変化の程度に応じて、外形変化の状態を複数のランクに分けることができる。ランク分けの基準は、適宜設定することができる。
【0068】
ステップS303では、電流センサ62、電圧センサ63、温度センサ64に異常が発生しているか否かをチェックする。各センサ62,63,64が異常であるか否かのチェックは、公知の方法を適宜用いることができる。例えば、電流センサ62の異常をチェックするときには、電流センサ62が接続された回路に、予め測定された電流値の電流を流し、電流センサ62によって検出される電流値が予め測定された電流値と一致しているか否かを判断すればよい。電圧センサ63や温度センサ64についても、同様の方法によって、異常であるか否かのチェックを行うことができる。
【0069】
ステップS304では、各センサ62,63,64の外形が変化しているか否かをチェックする。各センサ62,63,64の外形には、各センサ62,63,64の形状および、各センサ62,63,64を構成する部品の材質が含まれる。
【0070】
外形変化のチェックは、作業者の目視によって行ったり、各センサ62,63,64の画像を撮影し、撮影画像の画像解析によって行ったりすることができる。外形変化のチェックとしては、現在の各センサ62,63,64の外形が、初期状態の各センサ62,63,64の外形と異なっているか否かをチェックする。初期状態とは、各センサ62,63,64を製造した直後の状態である。例えば、凹み、キズ又は亀裂が各センサ62,63,64に発生しているか否かをチェックしたり、錆び又は変色が各センサ62,63,64に発生しているか否かをチェックしたりすることができる。
【0071】
各センサ62,63,64の外形変化が、外形に関する基準を満たしていないときには、このセンサ62,63,64は、リサイクルの対象から除外される。外形に関する基準は、各センサ62,63,64を用いて電池パック100を組み立てた後の電池パック100の動作状態等を考慮して、適宜設定することができる。一方、外形変化の基準を満たす各センサ62,63,64については、リサイクルの対象となる。ここで、外形変化の基準を満たす各センサ62,63,64については、外形変化の程度に応じて、外形変化の状態を複数のランクに分けることができる。ランク分けの基準は、適宜設定することができる。
【0072】
ステップS305では、ステップS301〜S304のチェック結果に基づいて、電気部品(ECU66および各センサ62,63,64)の判定を行う。具体的には、電気部品がリサイクルの対象となるか否かを判別し、リサイクルの対象となる電気部品を特定する。また、リサイクルの対象となる電気部品については、ランク分けを行うことができる。
【0073】
ステップS306では、リサイクルの対象となる電気部品に関する情報を部品情報入力端末220に入力し、入力情報を部品管理装置210に送信する。部品管理装置210のデータベース212は、部品情報入力端末220から送信された情報を記憶する。電気部品に関する情報とは、電気部品を特定するための情報であり、例えば、電気部品の名称、識別番号、電気部品が用いられる電池パック100の識別番号がある。
【0074】
電気部品の外形について、ランク分けを行ったときには、ランクの情報も、電気部品に関する情報として、部品管理装置210に送信することができる。また、電気部品の供給元に関する情報も部品管理装置210に送信することができる。ここで、部品管理装置210のデータベース212では、ランクの情報や、供給元に関する情報が、電気部品と対応付けられた状態で記憶される。
【0075】
本実施例では、電気部品について、上述したチェック項目の元で、リサイクル判定を行っているが、これに限るものではない。すなわち、電気部品のチェック項目は、適宜設定することができ、設定した項目に基づいて、電気部品のチェックを行えばよい。
【0076】
次に、供給情報入力端末230での処理について、図8を用いて説明する。
【0077】
ステップS401では、付属部品に関する情報を供給情報入力端末230に入力する。ここでいう付属部品は、供給を受けようとする付属部品、言い換えれば、再利用しようとする付属部品である。付属部品に関する情報には、例えば、付属部品の名称、識別情報、付属部品が用いられる電池パックの情報、付属部品の数量が含まれる。付属部品に関する情報には、少なくとも付属部品を特定できる情報が含まれていればよい。
【0078】
ステップS402では、付属部品の供給先に関する情報を入力する。供給先に関する情報には、供給先の場所が含まれる。
【0079】
ステップS403において、供給情報入力端末230は、ステップS401,S402で入力された情報を部品管理装置210に送信する。部品管理装置210は、供給情報入力端末230からの情報を受けて、この情報に対応した付属部品を検索する。
【0080】
部品管理装置210における付属部品の検索処理について、図9を用いて説明する。図9に示す処理は、CPU211が部品管理装置210のメモリに格納されたプログラムに基づいて実行することにより行われる。このプログラムは、記録媒体に格納することができる。また、ネットワークを用いて、部品管理装置210にプログラムをダウンロードすることもできる。
【0081】
ステップS501において、部品管理装置210のCPU211は、供給情報入力端末230から送信された情報を受け取る。ステップS502において、CPU211は、受信した情報に対応した付属部品を検索する。
【0082】
データベース212には、部品情報入力端末220から取得した情報が格納されている。CPU211は、データベース212に格納されている情報を用いて、供給情報入力端末230から受信した情報と一致する付属部品が存在するか否かを判別する。具体的には、CPU211は、データベース212に格納されている付属部品の中に、供給情報入力端末30から送信された付属部品が含まれているか否かを判別する。
【0083】
CPU211は、供給情報入力端末230から送信された付属部品がデータベース212に含まれていれば、供給情報入力端末230からの情報に対応した付属部品が存在すると判別する。また、CPU211は、供給情報入力端末230から送信された付属部品がデータベース212に含まれていなければ、付属部品が存在しないと判別する。
【0084】
付属部品の検索を完了すると、CPU211は、ステップS503において、供給情報入力端末230に検索結果を送信する。供給情報入力端末230からの情報に対応した付属部品が存在しなければ、CPU211は、付属部品が存在しない旨の情報を供給情報入力端末230に送信する。
【0085】
また、供給情報入力端末230からの情報に対応した付属部品が存在すれば、CPU211は、付属部品が存在する旨の情報を供給情報入力端末230に送信する。ここで、データベース212に、付属部品のランク分けに関する情報も格納されていれば、CPU212は、ランク分けに関する情報も供給情報入力端末230に送信することができる。
【0086】
供給情報入力端末230は、部品管理装置210から送信された情報を受信して、ディスプレイに表示する。ディスプレイは、供給情報入力端末230と一体的に構成されていてもよいし、供給情報入力端末230と接続されるものであってもよい。供給情報入力端末230の操作者は、ディスプレイの表示情報を確認することにより、付属部品の在庫の有無を確認することができる。また、ランク分けに関する情報もディスプレイに表示すれば、付属部品を供給してもらうか否かを判断することができる。
【0087】
本実施例によれば、使用済みの電池パック100の付属部品は、供給を希望する者に供給することができ、付属部品を再利用することができる。付属部品の供給を受けた者は、この付属部品を用いて電池パック100を組み立てることができる。このように付属部品を再利用することにより、寿命に到達するまで、付属部品を有効活用することができる。
【符号の説明】
【0088】
100:電池パック(蓄電装置) 1:電池スタック
10:単電池(蓄電素子) 11:正極端子
12:負極端子 21:エンドプレート
22:拘束バンド 23:ボルト
30:バスバーモジュール 40:ジャンクションボックス
50:パックケース 51:アッパーケース
52:ロアーケース 53a:ボルト
53b:ナット 61:電流遮断器
62:電流センサ 63:電圧センサ
64:温度センサ 65:抵抗
66:ECU 70:負荷
200:部品管理システム 210:部品管理装置
211:CPU(コントローラ) 212:データベース(メモリ)
220:部品情報入力端末(送信装置) 230:供給情報入力端末(送受信装置)
240:ネットワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子を含む蓄電装置で用いられた部品に関する情報を記憶するメモリと、
前記部品の供給に関する情報が入力されることに応じて、入力情報に対応する前記部品を前記メモリの記憶領域内で検索するコントローラと、
を有することを特徴とする部品管理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記部品の検索結果に関する情報を、前記部品の供給を受ける側に出力することを特徴とする請求項1に記載の部品管理装置。
【請求項3】
前記部品は、前記蓄電素子の充放電時に用いられる電気部品であることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品管理装置。
【請求項4】
前記部品は、前記蓄電装置の機械的構造の一部となる構造部品であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の部品管理装置。
【請求項5】
前記蓄電装置は、車両に搭載され、車両の走行に用いられるエネルギを出力することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の部品管理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の部品管理装置と、
使用済みの前記部品に関する情報を前記部品管理装置に送信する送信装置と、を有し、
前記部品管理装置の前記メモリは、前記送信装置から送信された情報を記憶することを特徴とする部品管理システム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1つに記載の部品管理装置と、
前記部品の供給に関する情報を前記部品管理装置に送信するとともに、前記部品管理装置からの検索結果を受信する送受信装置と、
を有することを特徴とする部品管理システム。
【請求項8】
コンピュータによって実行される部品管理プログラムであって、
複数の蓄電素子を含む蓄電装置で用いられる部品の供給に関する情報を取得する第1ステップと、
使用済みの前記部品に関する情報を記憶するメモリの記憶領域内において、前記第1ステップで取得した情報に対応する前記部品を検索する第2ステップと、
を有することを特徴とする部品管理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−190611(P2012−190611A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51815(P2011−51815)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】