説明

配信負荷分散装置、配信サーバ、コンテンツ配信システム、配信負荷分散方法、配信負荷分散プログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】 コンテンツを効率的にユーザ端末へ配信する配信サーバを提供する。
【解決手段】 配信サーバ本体2aは、ユーザ端末から監視対象の配信サーバへのアクセスのログに基づき、該配信サーバにおける配信負荷を予測する自サーバ負荷状態監視部11と、自サーバ負荷状態監視部11により配信サーバ2への配信負荷が高くなると予測される場合、配信サーバ2以外の配信サーバからコンテンツを配信することを決定する配信サーバ判断部12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信サーバから複数のユーザ端末にコンテンツを配信する際、配信サーバにおける負荷を分散して効率的にコンテンツを配信するための配信負荷分散装置、配信サーバ、コンテンツ配信システム、配信負荷分散方法、配信負荷分散プログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを介してサーバ装置にアクセスすることで、映像や音楽等の情報が家庭で視聴できるようになっている。映像データや音楽データは、大容量のコンテンツであるので、効率よくサーバ装置から利用者端末装置に伝送される必要がある。そのためには、ユーザからのコンテンツ配信要求がサーバ装置に集中した場合にも対応し得るコンテンツ配信システムの構築が必要となる。
【0003】
つまり、ユーザからのコンテンツ配信要求がサーバ装置に集中すると、サーバ装置に掛かる配信負荷が高くなり、サーバ装置のコンテンツ配信が不調となる場合がある。また、配信要求をしてから実際にコンテンツが配信されるまでの待ち時間が長くなり、ユーザを苛立たせてしまうこともある。
【0004】
このように配信要求が集中した場合に発生し得る問題に対応したコンテンツ配信システムとしては、特許文献1に記載されているものを挙げることができる。特許文献1に記載されたコンテンツ配信システムでは、コンテンツの送出数または予測可能なアクセス数が対応するしきい値を超えた場合に、ビデオサーバと他ビデオサーバ間とでコンテンツの格納制御を行って、コンテンツの動的配信を行う。
【特許文献1】特開平11−98446号公報(1999年4月9日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、アクセス数をどのように予測するかについて具体的な記載がない。したがって、アクセス数について誤った予測を行うと、アクセス数が多いにも関わらず他ビデオサーバからコンテンツ配信が行われなかったり、またはアクセス数がそれほど多くないのに他ビデオサーバからコンテンツ配信を行われたりするというように、コンテンツの配信を効率的に行うことができない場合がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、コンテンツを効率的にユーザ端末へ配信し得る配信負荷分散装置、配信サーバ、コンテンツ配信システム、配信負荷分散方法、配信負荷分散プログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配信負荷分散装置は、上記課題を解決するために、コンテンツの配信サーバの配信負荷を分散するものであって、ユーザ端末から監視対象の配信サーバへのアクセスのログに基づき、該配信サーバにおける配信負荷を予測する負荷状態監視手段と、上記負荷状態監視手段により上記配信サーバへの配信負荷が高くなると予測される場合、上記配信サーバ以外の配信サーバからコンテンツを配信することを決定する配信サーバ判断手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の配信負荷分散方法は、コンテンツの配信サーバにおける配信負荷を分散する方法であって、監視対象の配信サーバへのアクセスのログに基づき、該配信サーバにおける配信負荷を予測する第1ステップと、上記第1ステップにより上記配信サーバへの配信負荷が高くなると予測される場合、上記配信サーバ以外の配信サーバからコンテンツを配信することを決定する第2ステップとを備えている。
【0009】
上記構成によれば、負荷状態監視手段または第1ステップにより監視対象の配信サーバ(自配信サーバ)における配信負荷が高くなると予測される場合、配信サーバ判断手段または第2ステップにより自配信サーバ以外の配信サーバ(他配信サーバ)からコンテンツが配信されることが決定される。したがって、自配信サーバにおける配信負荷が過負荷状態となる前に、他配信サーバからコンテンツの配信を行うことができるので、コンテンツをユーザ端末に安定して配信することが可能となる。
【0010】
しかも、負荷状態監視手段または第1ステップにおいては、自配信サーバに対するアクセスログに基づき配信負荷を予測するので、将来の配信負荷を適切に予測することができる。
【0011】
よって、配信サーバ判断手段または第2ステップにおいては、他配信サーバからコンテンツ配信を行うか否かを適切に決定できるので、より効率的にコンテンツをユーザ端末に配信することができる。
【0012】
さらに、上記負荷状態監視手段は、上記監視対象の配信サーバからコンテンツを配信することを許可できるコンテンツ配信要求が上記配信サーバに送信される周期、コンテンツ配信に用いられるチャネルの数、およびコンテンツをユーザ端末に転送するための時間に基づき設定されるしきい値を用いて、該配信サーバにおける配信負荷を予測することが好ましい。
【0013】
つまり、ある配信サーバから同時にコンテンツを配信可能な端末数は、コンテンツを配信することを許可できるコンテンツ配信要求が送信される周期と、コンテンツ配信に用いられるチャネル数と、コンテンツを端末側に転送するのに必要な時間とから算出することができる。
【0014】
したがって、上記構成によれば、上記3つのパラメータに基づきしきい値を設定して配信サーバの負荷を予測するので、適切な配信負荷の予測が可能となる。よって、さらに効率的にコンテンツをユーザ端末に配信することができる。
【0015】
また、本発明の配信サーバは、上記構成の配信負荷分散装置を備えているものである。上記構成によれば、配信サーバに本発明の配信負荷分散装置が備えられているので、効率的にユーザ端末にコンテンツを配信することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明の配信サーバは、他の配信サーバにおけるコンテンツ配信負荷を監視する他サーバ負荷状態監視手段を備えていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、他サーバ負荷状態監視手段により他の配信サーバにおけるコンテンツ配信負荷が監視される。したがって、配信サーバ判断手段により他配信サーバを用いてコンテンツを配信することを決定する際において、他配信サーバにおける配信負荷も考慮してその配信サーバでコンテンツを配信するかを決定することができる。
【0018】
つまり、他サーバ負荷状態監視手段により他配信サーバにおいて配信負荷が高いと判断される場合には、その配信サーバからコンテンツ配信を行わず、さらに他の配信サーバを用いてコンテンツが配信されるようにすることができる。よって、より効率的にユーザ端末にコンテンツを配信することができる。
【0019】
さらに、本発明の配信サーバは、複数のユーザ端末のそれぞれに割り当てられた帯域を用いて、各ユーザ端末へコンテンツ配信を行うことが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、各ユーザ端末に対してコンテンツ配信に用いられる帯域が個別に割り当てられているので、各ユーザ端末に固定された帯域でコンテンツを配信することができる。よって、より安定した通信状態でコンテンツをユーザ端末に配信することができる。
【0021】
さらに、本発明のコンテンツ配信システムは、本発明の配信負荷分散装置と、該配信負荷分散装置の負荷状態監視手段により配信負荷が予測される配信サーバを少なくとも1つ含む複数の配信サーバと、該複数の配信サーバのいずれかからコンテンツが配信される複数のユーザ端末とを備えているものである。
【0022】
また、本発明のコンテンツ配信システムは、本発明の配信サーバを含む複数の配信サーバと、該複数の配信サーバのいずれかからコンテンツが配信される複数のユーザ端末とを備えている構成であってもよい。
【0023】
上記構成によれば、本発明の配信負荷分散装置または配信サーバがコンテンツ配信システムに備えられているので、複数のユーザ端末に効率的にコンテンツを配信できる。
【0024】
さらに、本発明のコンテンツ配信システムは、上記配信サーバによるコンテンツ配信を補助する副配信サーバを備えていることが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、副配信サーバにより配信サーバによるコンテンツ配信が補助されるので、配信サーバにおける配信負荷が軽減され、その配信サーバからコンテンツをさらに効率的に配信することができる。
【0026】
さらに、本発明のコンテンツ配信システムは、上記コンテンツ配信システムにおける複数のユーザ端末からのコンテンツ配信要求を受け付ける受付装置を備えていることが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、受付装置によりユーザ端末からのコンテンツ配信要求を集中管理することができ、複数の配信サーバに対して行われるコンテンツ配信要求を、この受付装置に行われるものとすることができる。
【0028】
よって、特定の配信サーバにコンテンツ配信要求が集中して、その配信サーバにおける負荷が高くなってしまうことを防止し、より効率的にコンテンツをユーザ端末に配信することができる。
【0029】
なお、コンピュータに上記配信負荷分散方法を実行させる配信負荷分散プログラムにより、コンピュータを用いて本発明の配信負荷分散方法と同様の作用効果を得ることができる。さらに、上記配信負荷分散プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記配信負荷分散プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、自配信サーバにおける配信負荷が過負荷状態となる前に、他配信サーバからコンテンツの配信を行うことができるので、コンテンツをユーザ端末に安定して配信することが可能となる。
【0031】
しかも、負荷状態監視手段においては、自配信サーバに対するアクセスログに基づき配信負荷を予測するので、将来の配信負荷を適切に予測することができる。よって、配信サーバ判断手段においては、他配信サーバからコンテンツ配信を行うか否かを適切に決定できるので、より効率的にコンテンツをユーザ端末に配信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
〔1.コンテンツ配信システムの基本構成〕
本発明の一実施形態に係る配信サーバを用いるコンテンツ配信システム(以下、単に本コンテンツ配信システムという)の基本的な構成について説明する。先ず、図2を用いて本コンテンツ配信システムの概要について説明する。
【0033】
図2に示すように、本コンテンツ配信システムは、コンテンツサーバ1と、複数の配信サーバ2…と、複数のユーザ端末3…とから構成される。
【0034】
コンテンツサーバ1は、配信の対象となるコンテンツを格納するとともに配信サーバ2…へ送信するものであり、そのコンテンツとしては、動画像データ、音楽データ、静止画像データ、またはアプリケーション実行用データ等、ネットワークを介して送信可能なものであればよい。なお、ネットワークとしては、衛星通信網、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、FTTH(Fiber To The Home)、CATV(Community Antenna TeleVision)、XDSL(Digital Subscriber Line)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、公衆電話回線網等、種々の無線・有線通信回線を含むものとする。
【0035】
配信サーバ2は、コンテンツサーバ1から送信されるコンテンツを中継して、コンテンツサーバ1−配信サーバ2間と同様のネットワーク経由でユーザ端末3…へ送信するためのものである。図2では、複数の配信サーバ2…のうち、ユーザ端末3…へのコンテンツ送信を代表的に担当する配信サーバを「メイン配信サーバ」と記載している。そして、そのメイン配信サーバが行うコンテンツ送信を補助する配信サーバについて、「補助配信サーバ」の枠組みで囲っている。
【0036】
この「メイン配信サーバ」と「補助配信サーバ」とは、以下に説明する関係にある。つまり、本コンテンツ配信システムでは、メイン配信サーバに対するユーザ端末3…からのコンテンツ配信要求が集中し、同サーバへの負荷が上昇すると予測される場合において、他の補助配信サーバを利用してコンテンツをユーザ端末3へ送信する。そして、本コンテンツ配信システムの特徴点の1つとして、メイン配信サーバにおける負荷を予測するという点を挙げることができる。この特徴点の詳細については後述する。
【0037】
また、複数の配信サーバ2…および複数のユーザ端末3…から、任意に1つずつ抽出された配信サーバ2およびユーザ端末3と、コンテンツサーバ1との関係について、図3を用いて説明する。
【0038】
図3に示すように、コンテンツサーバ1は、コンテンツサーバ本体1aと、コンテンツ蓄積部1bとからなる。また、配信サーバ2は、配信サーバ本体2aと、コンテンツ蓄積部2bとからなる。これらの本コンテンツ配信システムを構成する各ブロックがどのように情報のやりとりを行うかについて、図4のタイムシーケンスを用いて説明する。
【0039】
図4に示すように、先ずユーザ端末3から配信サーバ2の配信サーバ本体2aにコンテンツの配信要求が送信される(ステップ1、以下単にステップはSと記載する)。配信サーバ2において他のユーザ端末3からの配信要求が集中しており、コンテンツをユーザ端末3へ送信できない状況にあるならば、配信サーバ本体2aは、コンテンツ配信を許可できない旨のメッセージをユーザ端末3に送信する(S2)。
【0040】
このS1およびS2の処理は、配信サーバ2において負荷が低くなり、ユーザ端末3へのコンテンツ配信が許可されるまで繰り返される。そして、S1およびS2の処理が繰り返されている間、配信サーバ本体2aでは、コンテンツを配信できなかったユーザに関する情報、すなわちS2で不許可メッセージを送信したユーザ端末3のユーザに関する情報を蓄積する(S3)。
【0041】
その後、配信サーバ2からコンテンツ配信を了解する旨のメッセージがユーザ端末3へ送信される(S4)。この了解メッセージを受信すると、ユーザ端末3から配信サーバ本体2aにコンテンツの取得を要求するメッセージ(コンテンツ取得要求)が送信される(S5)。
【0042】
配信サーバ本体2aは、ユーザ端末3からのコンテンツ取得要求を受信すると、コンテンツサーバ本体1aに対してコンテンツ取得要求を送信する(S6)。コンテンツサーバ本体1aは、配信サーバ本体2aからのコンテンツ取得要求を受信すると、コンテンツ蓄積部1b内から要求されたコンテンツを検索し、抽出する(S7)。そして、コンテンツサーバ本体1aは、S7で抽出したコンテンツを配信サーバ本体2aに送信する(S8)。
【0043】
配信サーバ本体2aは、コンテンツサーバ本体1aから送信されたコンテンツを、一旦コンテンツ蓄積部2bに蓄積した後に、ユーザ端末3へ送信する(S9)。
【0044】
以上のS1〜S9を踏むことにより、コンテンツサーバ1からユーザ端末3へ最終的にコンテンツが配信される。
【0045】
〔2.配信サーバ本体の構成および処理フロー〕
次に、配信サーバ本体2aの構成の詳細について説明する。図1に示すように、配信サーバ本体2aは、ユーザコンテンツ利用受付部4と、配信用制御情報送受信部5と、ユーザ情報蓄積部6と、コンテンツ検索/取得部7と、コンテンツ情報出力部8と、コンテンツ関連情報提示部9と、コンテンツ配信部10と、自サーバ負荷状態監視部(負荷状態監視手段)11と、配信サーバ判断部(配信サーバ判断手段)12と、他サーバ負荷状態監視部(他サーバ負荷状態監視手段)13とを備えている。
【0046】
配信サーバ本体2aは、上記の各ブロックを備えていることにより、自身に対するユーザ端末からのアクセス負荷を監視し、その負荷に応じて、自身からコンテンツを配信するか、または他のサーバからコンテンツを配信するかを判断することが可能とされている。以下、配信サーバ本体2aにおける処理の手順および各ブロックの機能について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
先ず、図5に示すように、コンテンツ利用のためのユーザアクセスが、ユーザコンテンツ利用受付部4により行われる(S11)。さらに、S11では、ユーザの認証処理もユーザコンテンツ利用受付部4により行われる。このS11におけるユーザの認証処理は、図1に示すように、上記アクセスを行ったユーザのIDが、ユーザ情報蓄積部6に登録された正規のものであるかを確認することにより行われる。なお、ユーザ情報蓄積部6には、ユーザに配信されたコンテンツのインデックスを示すコンテンツID、およびユーザが過去に配信サーバにアクセスしたログを示すユーザアクセス情報が蓄積されている。
【0048】
その後、図1に示すように、コンテンツ検索/取得部7により、ユーザが利用可能なコンテンツが、コンテンツサーバ1のコンテンツ蓄積部1b(図3参照)から検索され、配信サーバ2側に取得される。なお、コンテンツ検索/取得部7により取得されたコンテンツは、配信サーバ2のコンテンツ蓄積部2b(図3参照)に蓄積される。
【0049】
さらに、コンテンツ情報出力部8は、コンテンツ検索/取得部7により取得されたコンテンツに関して、コンテンツのタイトル、再生時間、作成時間、配信元等を示すコンテンツ関連情報を抽出し、コンテンツ関連情報提示部9に出力する。このコンテンツ関連情報を受け、コンテンツ関連情報提示部9は、配信用制御情報送受信部5を介してユーザ端末にコンテンツ情報の提示を行う。このコンテンツ情報の提示処理が、図5のフローにおけるS12の処理に相当する。
【0050】
S12の処理の後、図5に示すように、コンテンツの配信要求があったか否かが、配信用制御情報送受信部5により判断される(S13)。このS13の処理は、たとえば、ユーザ端末3の画面に表示されたコンテンツ配信ボタンを、ユーザがクリックしたか否かを配信用制御情報送受信部5にて判断することにより行われる。S13においてコンテンツの配信要求がなかったと判断される場合、再度S12の処理に戻りコンテンツ情報の提示が行われる。
【0051】
また、S13においてコンテンツの配信要求があったと判断された場合、配信用制御情報送受信部5は、コンテンツ配信要求に応じるか否かを判断する(S14)。S14における判断は、現在のコンテンツ利用者数が所定しきい値を超えているか否かを判断することにより行われる。この所定しきい値としては、コンテンツの安定配信が可能な配信要求数の上限値p1(詳細は後述する)を用いることが可能である。
【0052】
S14においてコンテンツの配信要求に応じると判断された場合、配信用制御情報送受信部5は、ユーザ端末3に対してコンテンツを配信することを許可する旨の通知を送信する(S15)。一方、S14においてコンテンツの配信要求に応じないと判断された場合、ユーザ端末3に対してコンテンツを配信できない旨の通知が配信用制御情報送受信部5により行われる(S16)。
【0053】
S15またはS16の後、自サーバ負荷状態監視部11により行われるコンテンツ配信要求状況の監視ステップに移行する(S17)。すなわち、S17においては、自サーバ負荷状態監視部11により、自身が設けられている配信サーバ(以下、自配信サーバとする)に対するコンテンツ配信要求の数、およびコンテンツ配信要求を拒否したユーザ端末の数が記録される。さらに、S17の後、S18においてユーザに対するコンテンツの配信要求状況が、ユーザアクセス情報としてユーザ情報蓄積部6に蓄積される(S18)。
【0054】
そして、自サーバ負荷状態監視部11により、自配信サーバの負荷状態が算出、すなわち現在の時刻における自配信サーバに対するコンテンツ配信要求の数が把握されるとともに、将来におけるコンテンツ配信要求が予測される(S19)。なお、自サーバ負荷状態監視部11による負荷状態の算出手順については後述する。
【0055】
また、説明の便宜上、S17〜S19の処理は、S15またはS16の処理の後に実行されるように記載したが、必ずしもその必要はない。すなわち、S17〜S19の処理は、S15およびS16の処理とは無関係に常時実行されているものであっても構わない。また、S17〜S19の処理は、必ずしもこの順番で実行される必要もない。
【0056】
また、図5に示すように、上記S11〜S19の処理と並行して、以下に説明するS20〜S22の処理が実行される。すなわち、S20においては、他サーバ負荷状態監視部13により、自身が設けられている配信サーバ以外のサーバ(以下、他配信サーバとする)の負荷状況が監視される。さらに、S21においては、他配信サーバの負荷状況が他サーバ負荷状態監視部13に蓄積され、その後S22において、他配信サーバの負荷状態が算出される。
【0057】
これらS20〜S22において行われる他配信サーバの負荷状況の監視手順は、自配信サーバに対する負荷状況の監視手順と同様の手順により実行されることが好ましいが、必ずしもその必要はない。たとえば、単純に他配信サーバに対するコンテンツの配信要求の有無だけを判断して他配信サーバの負荷状況を監視してもよい。さらに、S20〜S22にて行われる負荷状況の監視手順は、省略されてもよい。
【0058】
S19およびS22にて自配信サーバおよび他配信サーバの負荷状態が算出された後、配信サーバ判断部12にて、自配信サーバを用いてコンテンツを配信するか否かの判断が行われる(S23)。S23における判断手順の詳細については後述する。なお、S22が省略される場合は、S19において自配信サーバの負荷状態が算出されたら、S23の処理を実行すればよい。
【0059】
S23にて自配信サーバを用いてコンテンツを配信すると判断された場合、ユーザ端末3に対して自配信サーバが配信可能である旨が、配信用制御情報送受信部5により提示される(S24)。
【0060】
S24の後、配信用制御情報送受信部5は、ユーザからコンテンツの配信要求があったか否かを判断する(S25)。このS25の処理は、たとえば、ユーザ端末3の画面に表示された自配信サーバからコンテンツが配信される旨のメッセージに対して、ユーザがOKボタンを押す等の動作により、自配信サーバからコンテンツが配信されることにユーザが同意したか否かを判断することにより行われる。
【0061】
そして、S25にてユーザからコンテンツ配信要求があったと判断された場合、コンテンツ配信部10は、ユーザ端末3に対してコンテンツを配信する(S26)。
【0062】
一方、S23にて自配信サーバではなく他配信サーバを用いてコンテンツを配信すると判断された場合、他配信サーバは、自身をコンテンツ配信が可能なサーバとしてユーザ端末3に提示する(S27)。その後、他配信サーバは、ユーザ端末3からコンテンツ配信要求があったか否かを判断し(S28)、その要求があったと判断される場合には、他配信サーバはユーザ端末3に対してコンテンツを配信する(S29)。
【0063】
S26またはS29のコンテンツ配信処理が終了した後、あるいはS25またはS28にてコンテンツ配信要求が無かったと判断された場合には、コンテンツ利用を終了するか否かの判断が配信用制御情報送受信部5により行われる(S30)。S30における判断は、たとえば配信用制御情報送受信部5を用いてユーザ端末3に対して「コンテンツ利用を終了しますか?」等のメッセージを表示し、その表示に対してユーザがOKボタンを押す等の動作により同意したか否かを判断することにより実現される。
【0064】
上述のS11〜S30を踏むことにより、配信サーバ2からユーザ端末3にコンテンツが配信されるまでの一連の手順が終了する。
【0065】
〔3.負荷状態の監視、配信サーバの判断に関して〕
次に、図5のS19にて実行される自サーバ負荷状態監視部11による負荷状態算出手順、およびS23にて実行される配信サーバ判断部12による判断手順の詳細に関して説明する。
【0066】
先ず、本発明者らは、配信サーバに対するユーザ端末からのコンテンツ配信要求数と、配信要求をしてからコンテンツの配信が開始されるまでの待ち時間(配信開始待ち時間)との関係について検討した。その結果、図6の(a)部分のグラフに示す関係を得ることができた。
【0067】
図6の(a)部分に示すように、配信開始待ち時間は、配信要求数がある値p1となるまでは、配信要求数が増加するとなだらかな傾斜を描くように増加する。その一方、配信要求数がp1を超えると、配信開始待ち時間は、配信要求数の増加に対応して急峻な傾斜を描いて増加すると本発明者らは考えた。
【0068】
つまり、配信サーバに対するコンテンツの配信要求数がp1となるまでは、図6の(b)部分に示すように、配信要求を行っているユーザ端末の数が比較的少なく、ユーザ端末(1)およびユーザ端末(n)のそれぞれに対してコンテンツを配信することが可能であり、ユーザ端末(n+1)に対するコンテンツ配信だけができていない「安定配信」状態にあるといえる。
【0069】
一方、配信サーバに対するコンテンツの配信要求がp1を超えている場合、図6の(c)部分に示すように、コンテンツの配信要求を行っているユーザ端末が非常に多く、ユーザ端末(1)に対するコンテンツ配信のみが行われ、ユーザ端末(m)・(m+1)・(m+2)に対してはコンテンツ配信をできていない「過負荷」状態にあるといえる。
【0070】
このように得られた配信待ち時間と配信要求数との関係から、図5のS19に係る負荷状態の算出ステップにて、自サーバ負荷状態監視部11は、現在時刻における配信要求数がp1を超えているか、または配信要求数がp1を超えると予測されるかを判断する。
【0071】
そして、現在時刻における配信要求数がp1を超えていない場合、またはp1を超えることも想定されない場合においては、図5のS23にて配信サーバ判断部12は自配信サーバを用いてコンテンツの配信をすることを決定する。また、現在時刻における配信要求数がp1を超えている場合、または現在時刻からある程度時間が経ったら配信要求数がp1を超えると予測される場合においては、配信サーバ判断部12は、自配信サーバを用いずに他配信サーバからコンテンツを配信することを決定する。
【0072】
なお、配信要求数がp1を超えるか否かに関する予測は、自サーバ負荷状態監視部11がユーザ情報蓄積部6(図1参照)に蓄積されたコンテンツの配信要求状況を参照することにより実現可能である。つまり、ユーザ情報蓄積部6においては、ユーザが過去に配信サーバにアクセスしたログを示すユーザアクセス情報が蓄積されている。このユーザアクセス情報には、過去におけるユーザの配信要求数とその要求を拒否した数とが記録されているので、自サーバ負荷状態監視部11が当該情報を参照し、現在の配信要求数と拒否数とを過去のものと比較することにより、配信要求数がこれから減少するのか増加するのかを判断することできる。
【0073】
ここで、自配信サーバで配信を行うか否かを決定するためのしきい値となる上記p1の値をどのように決定するかについて説明する。p1の値は、基本的に、コンテンツをユーザ端末に転送するために必要な時間、コンテンツを利用するための時間、および次のコンテンツを利用できるまでの待ち時間の関係から算出される。さらに、p1の値を配信サーバに対する一定時間内のアクセスの数から算出することもできる。
【0074】
また、以下に説明するp1の算出手順においては、一定の時間間隔を空けないと次のコンテンツ利用ができないことを基本的な考え方とし、p1を算出するためのパラメータとしてコンテンツの利用待ち時間を設定している。一方で、従来では、このような利用待ち時間まで考慮したしきい値が設定されておらず、ユーザが一定時間待てばコンテンツを配信してもらえるような状況であっても、配信サーバが過負荷状態であると判断されていた。
【0075】
しかしながら、本実施形態によれば、利用待ち時間を考慮してp1を設定するので、そのような状況においても、配信サーバが過負荷状態でないと判断する。
【0076】
自配信サーバで配信を行うか否かを決定するためのしきい値となる上記p1の値の決定手順の一例について、図7を用いて説明する。図7は、1つのチャネルにおける、コンテンツの配信に関する時間と帯域幅との関係を示す図である。
【0077】
図7に示すように、ユーザがユーザ端末3を介して配信サーバ2にアクセスしてから、実際にコンテンツが配信されるまでの時間は、アクセス時間T0、配信時間T1、蓄積時間T2、ブラウズ時間T3、および待ち時間T4に分類することができる。それぞれの時間に関する説明は以下のとおりである。
【0078】
アクセス時間T0:ユーザがコンテンツの配信要求を行うために配信サーバ2にアクセスしてから、そのアクセスに配信サーバ2が応答するまでの時間
配信時間T1:コンテンツをユーザ端末3に転送するために必要な時間
蓄積時間T2:ユーザ端末3側に転送されたコンテンツをユーザ端末3にて蓄積するための時間
ブラウズ時間T3:転送されたコンテンツをユーザ端末3でブラウズするための時間
待ち時間T4:既に配信されたコンテンツをブラウズしてから、コンテンツ配信を許可できる次回の配信要求が行われるまでの待ち時間。
【0079】
そして、T1+T2+T3+T4=Tsumとおくと、Tsumにて示される時間が、1つのコンテンツが1つのユーザ端末に配信される周期(1コンテンツ利用時間)であるといえる。よって、1つのチャネルにて同時にコンテンツ配信が可能なユーザの数は、Tsum/T1にて示される。
【0080】
したがって、配信サーバ2とユーザ端末3との間において用いられているチャネルの数をkとすると、k個のチャネルにて同時にコンテンツ配信が可能なユーザの数は、k×Tsum/T1にて示される。よって、p1=k×(Tsum/T1+α)にて設定することにより、p1を自配信サーバで配信を行うか否かを決定するためのしきい値として機能させることができる。なお、αは任意の整数である。
【0081】
また、このようにして配信時間T1を用いてp1を算出する手順以外に、配信サーバに対するユーザ端末からの一定時間内のアクセス数を用いてp1を算出することも可能である。つまり、Tsumにて示される1コンテンツ利用時間内に、どのくらいの数のアクセスがユーザ端末からあったかを、ユーザ情報蓄積部6(図1参照)に蓄積するアクセス情報として管理しておく。なお、このように管理されるアクセス数は、同一ユーザからのアクセスの数であっても、異なるユーザからのアクセスの数であっても構わない。
【0082】
そして、配信サーバの負荷状態が安定配信状態から過負荷状態に移行する際の配信要求数(アクセス数)を、蓄積済みのアクセス情報から把握し、その配信要求数をp2とする。そして、p1=k×(p2+α)として、p2からp1を算出してもよい。なお、kはチャネルの数であり、αは任意の整数である。
【0083】
〔4.帯域保証伝送について〕
上記構成における配信サーバ2−ユーザ端末3間のコンテンツ配信、およびコンテンツサーバ1−配信サーバ2間のコンテンツ配信においては、データ伝送をより安定して行うため、伝送帯域を保証してデータ伝送を行うことが好ましい。この帯域保証伝送について、以下に説明する。
【0084】
図8に示すように、コンテンツサーバ1と配信サーバ2との間において帯域BW1によるコンテンツの配信が行われ、配信サーバ2とユーザ端末3…との間で帯域BW2によるコンテンツの配信が行われているとする。
【0085】
そして、同時アクセスの数をxとする場合、帯域BW1をx個のチャネル1〜xに分けるとともに、各チャネルについて帯域BW1/xを割り当てる。帯域BW2についても同様にして、x個のチャネル1〜xに分けるとともに、各チャネルについて帯域BW2/xを割り当てる。
【0086】
さらに、各ユーザ端末3について1つのチャネルを割り当てることにより、各ユーザ端末3に割り当てられる伝送帯域を固定することができる。これにより、コンテンツを各ユーザ端末3に安定して配信することができる。
【0087】
もちろん、コンテンツサーバ1−配信サーバ2間においても帯域BW1がx個のチャネル1〜xに割り当てられているので、コンテンツサーバ1から複数の配信サーバ2へコンテンツを配信する場合において、各配信サーバ2へ安定してコンテンツを配信することができる。
【0088】
また、各ユーザ端末3から配信サーバ2へ各種情報(コンテンツの配信要求等)を送信するための帯域BW3、および配信サーバ2からコンテンツサーバ1へ各種情報(コンテンツの取得要求等)を送信するための帯域BW4についても、帯域BW1・BW2と同様にx個のチャネルに分けることにより、安定した情報通信を実現できる。
【0089】
〔5.変形例〕
以下に、上記した構成のコンテンツ配信システム以外に、本発明を適用可能なコンテンツ配信システムの構成をいくつか説明する。
【0090】
(5−1.コンテンツサーバを設けない構成および副配信サーバを設ける構成)
本発明を適用可能なコンテンツ配信システムでは、コンテンツサーバを設けないことも可能である。つまり、図9(a)に示すように、配信サーバのコンテンツ蓄積部2bにユーザ端末3に配信すべきコンテンツを予め蓄積しておくことにより、コンテンツサーバのコンテンツ蓄積部と同様の機能を配信サーバのコンテンツ蓄積部2bに担保させることもできる。
【0091】
なお、図9(a)においては、説明の便宜上、配信サーバ本体2aおよびコンテンツ蓄積部2bを1セットしか記載していないが、実際は複数の配信サーバがネットワーク上に接続されており、これらの図示されていない複数の配信サーバと、図示されている配信サーバ本体2aとの間で、上記したコンテンツ配信システムと同様にコンテンツの配信が分散されている。これは、以下に説明する図9(b)・図9(c)・図10(a)〜図10(d)・図11(a)〜図11(d)・図12(a)〜図12(d)の構成でも同様である。
【0092】
さらに、図9(b)に示すように、副配信サーバ14を設けてもよい。この副配信サーバ14は、配信サーバ本体2aに対するコンテンツの配信要求が増加して配信サーバ本体2aが過負荷状態となったときに、その配信サーバ本体2aのコンテンツ配信を補助するために設けられるものである。つまり、図9(b)に示すコンテンツ配信システムでは、配信サーバ本体2aと副配信サーバ14との間において、コンテンツ配信が分散されているといえる。
【0093】
なお、図9(b)では、配信サーバ本体2aと副配信サーバ14とが1対1の関係で設けられるように記載しているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。配信サーバ本体2aと副配信サーバ14とを1対多の関係で設けてもよいし、多対1の関係で設けてもよい。これは、以下に説明するコンテンツ配信システムのうち、副配信サーバ14が設けられたもの全てについても同様である。
【0094】
また、図9(c)に示すように、コンテンツサーバ本体1aおよびコンテンツ蓄積部1bを省略する代わりに、図9(a)の構成と同様にコンテンツ蓄積部2bに配信すべきコンテンツを予め蓄積する一方、副配信サーバ14を設けてもよい。
【0095】
(5−2.受付装置を配信サーバと独立して設ける構成)
さらに、本発明を適用可能なコンテンツ配信システムでは、図10(a)に示すように、受付装置15を配信サーバ2と独立して設けることも可能である。この受付装置15は、配信サーバ本体2aにおけるユーザコンテンツ利用受付部4および/または配信用制御情報送受信部5(図1参照)と同様の機能、すなわち複数端末からのユーザアクセスやコンテンツの配信要求を受け付ける機能をもつものである。
【0096】
図10(a)に示すように受付装置15をコンテンツ配信システムに設けた場合には、配信サーバ2から、ユーザコンテンツ利用受付部4および配信用制御情報送受信部5の少なくとも一方を省略することができる。また、説明の便宜上、図10(a)では、配信サーバ2と受付装置15とが1対1の関係で設けられるように記載しているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。配信サーバ2と受付装置15とを1対多の関係で設けてもよいし、多対1の関係で設けてもよい。これは、以下に説明するコンテンツ配信システムのうち、受付装置15が設けられたもの全てについても同様である。
【0097】
また、受付装置15が設けられているコンテンツ配信システムにおいては、図10(b)に示すように、コンテンツサーバ本体1aおよびコンテンツ蓄積部1bを省略する代わりに、図9(a)の構成と同様にコンテンツ蓄積部2bに配信すべきコンテンツを予め蓄積してもよい。
【0098】
さらに、図10(c)に示すように、本発明を適用可能なコンテンツ配信システムでは、受付装置15と副配信サーバ14とを同時に備えていてもよい。もちろん、図10(d)に示すように、受付装置15と副配信サーバ14とを同時に備えているコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツサーバ本体1aおよびコンテンツ蓄積部1bを省略し、コンテンツ蓄積部2bに配信すべきコンテンツを予め蓄積しておいてもよい。
【0099】
(5−3.監視装置を配信サーバと独立して設ける構成)
さらに、本発明を適用可能なコンテンツ配信システムでは、図11(a)に示すように、監視装置(配信負荷分散装置)16を配信サーバ2と独立して設けることも可能である。この監視装置16は、配信サーバ本体2aにおける自サーバ負荷状態監視部11、配信サーバ判断部12、および他サーバ負荷状態監視部13(図1参照)を配信サーバ本体2aと独立させて構成させたもの、すなわち自サーバおよび他サーバの負荷状態を監視し、いずれのサーバからコンテンツを配信すべきかを決定する機能をもつものである。
【0100】
図11(a)に示すように監視装置16をコンテンツ配信システムに設けた場合には、配信サーバ2から、自サーバ負荷状態監視部11、配信サーバ判断部12、および他サーバ負荷状態監視部13を省略することができる。また、説明の便宜上、図11(a)では、配信サーバ2と監視装置16とが1対1の関係で設けられるように記載しているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。配信サーバ2と監視装置16とを1対多の関係で設けてもよいし、多対1の関係で設けてもよい。これは、以下に説明するコンテンツ配信システムのうち、監視装置16が設けられたもの全てについても同様である。
【0101】
また、監視装置16が設けられているコンテンツ配信システムにおいては、図11(b)に示すように、コンテンツサーバ本体1aおよびコンテンツ蓄積部1bを省略する代わりに、図9(a)の構成と同様にコンテンツ蓄積部2bに配信すべきコンテンツを予め蓄積してもよい。
【0102】
さらに、図11(c)に示すように、本発明を適用可能なコンテンツ配信システムでは、監視装置16と副配信サーバ14とを同時に備えていてもよい。もちろん、図10(d)に示すように、監視装置16と副配信サーバ14とを同時に備えているコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツサーバ本体1aおよびコンテンツ蓄積部1bを省略し、コンテンツ蓄積部2bに配信すべきコンテンツを予め蓄積しておいてもよい。
【0103】
(5−4.受付装置および監視装置を配信サーバと独立して設ける構成)
さらに、本発明を適用可能なコンテンツ配信システムでは、図12(a)に示すように、受付装置15と監視装置16とを同時に設けることも可能である。
【0104】
また、受付装置15および監視装置16が設けられているコンテンツ配信システムにおいては、図12(b)に示すように、コンテンツサーバ本体1aおよびコンテンツ蓄積部1bを省略する代わりに、図9(a)の構成と同様にコンテンツ蓄積部2bに配信すべきコンテンツを予め蓄積してもよい。
【0105】
さらに、図12(c)に示すように、本発明を適用可能なコンテンツ配信システムでは、受付装置15、監視装置16、および副配信サーバ14を同時に備えていてもよい。もちろん、図12(d)に示すように、受付装置15、監視装置16、および副配信サーバ14を同時に備えているコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツサーバ本体1aおよびコンテンツ蓄積部1bを省略し、コンテンツ蓄積部2bに配信すべきコンテンツを予め蓄積しておいてもよい。
【0106】
(5−5.その他の構成例)
なお、特に図示はしていないが、上述した副配信サーバ14、受付装置15、または監視装置16を独立して設ける構成と同様に、配信サーバ本体2aの配信サーバ判断部12を、配信サーバ判断装置として独立してネットワーク上に設けることも可能である。
【0107】
もちろん、副配信サーバ14、受付装置15、および監視装置16のうち、ネットワーク上に独立に設ける装置を任意に設定し、その装置を配信サーバ判断装置と一緒にネットワーク上に設けてもよい。
【0108】
〔6.補足〕
本実施形態の配信サーバ2の処理手順は、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。
【0109】
したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の配信サーバの各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
【0110】
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0111】
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0112】
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
【0113】
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
【0114】
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
【0115】
このように、本実施形態の監視装置16は、配信サーバ2の配信負荷を分散するものであって、ユーザ端末3から監視対象の配信サーバ2へのアクセスのログに基づき、該配信サーバ2における配信負荷を予測する自サーバ負荷状態監視部11と、自サーバ負荷状態監視部11により配信サーバ2への配信負荷が高くなると予測される場合、配信サーバ2以外の配信サーバからコンテンツを配信することを決定する配信サーバ判断部12とを備えているものである。
【0116】
上記構成によれば、自サーバ負荷状態監視部11により監視対象の配信サーバ2(自配信サーバ)における配信負荷が高くなると予測される場合、配信サーバ判断部12により他配信サーバからコンテンツが配信されることが決定される。したがって、自配信サーバにおける配信負荷が過負荷状態となる前に、他配信サーバからコンテンツの配信を行うことができるので、コンテンツをユーザ端末に安定して配信することが可能となる。
【0117】
しかも、自サーバ負荷状態監視部11においては、自配信サーバに対するアクセスログに基づき配信負荷を予測するので、将来の配信負荷を適切に予測することができる。よって、配信サーバ判断部12においては、他配信サーバからコンテンツ配信を行うか否かを適切に決定できるので、より効率的にコンテンツをユーザ端末に配信することができる。
【0118】
さらに、自サーバ負荷状態監視部11は、監視対象の配信サーバからコンテンツを配信することを許可できるコンテンツ配信要求が上記配信サーバに送信される周期Tsum、コンテンツ配信に用いられるチャネルの数k、およびコンテンツをユーザ端末に転送するための時間T1に基づき設定されるしきい値p1を用いて、該配信サーバにおける配信負荷を予測することが好ましい。
【0119】
つまり、ある配信サーバから同時にコンテンツを配信可能な端末数は、上記Tsum、k、およびT1から算出することができる。したがって、上記構成によれば、上記3つのパラメータに基づきしきい値を設定して配信サーバの負荷を予測するので、適切な配信負荷の予測が可能となる。よって、さらに効率的にコンテンツをユーザ端末に配信することができる。
【0120】
また、本実施形態の配信サーバ2は、上記構成の記載の配信負荷分散装置を備えているものである。上記構成によれば、配信サーバ2に自サーバ負荷状態監視部11および配信サーバ判断部12が備えられているので、効率的にユーザ端末にコンテンツを配信することが可能となる。
【0121】
さらに、配信サーバ2は、他の配信サーバにおけるコンテンツ配信負荷を監視する他サーバ負荷状態監視部13を備えている。
【0122】
上記構成によれば、他サーバ負荷状態監視部13により他の配信サーバにおけるコンテンツ配信負荷が監視される。したがって、配信サーバ判断部12により他配信サーバを用いてコンテンツを配信することを決定する際において、他配信サーバにおける配信負荷も考慮してその配信サーバでコンテンツを配信するかを決定することができる。
【0123】
つまり、他サーバ負荷状態監視部13により他配信サーバにおいて配信負荷が高いと判断される場合には、その配信サーバからコンテンツ配信を行わず、さらに他の配信サーバを用いてコンテンツが配信されるようにすることができる。よって、より効率的にユーザ端末にコンテンツを配信することができる。
【0124】
さらに、配信サーバ2は、複数のユーザ端末のそれぞれに割り当てられた帯域を用いて、各ユーザ端末へコンテンツ配信を行うことが好ましい。
【0125】
上記構成によれば、各ユーザ端末に対してコンテンツ配信に用いられる帯域が個別に割り当てられているので、各ユーザ端末に固定された帯域でコンテンツを配信することができる。よって、より安定した通信状態でコンテンツをユーザ端末に配信することができる。
【0126】
さらに、本実施形態のコンテンツ配信システムは、本実施形態の配信サーバ2を含む複数の配信サーバと、該複数の配信サーバのいずれかからコンテンツが配信される複数のユーザ端末とを備えている構成である。
【0127】
また、本実施形態のコンテンツ配信システムは、監視装置16と、監視装置16の自サーバ負荷状態監視部11により配信負荷が予測される配信サーバ2を少なくとも1つ含む複数の配信サーバ2…と、該複数の配信サーバ2…のいずれかからコンテンツが配信される複数のユーザ端末3…とを備えているものである。
【0128】
上記構成によれば、本実施形態の配信サーバ2または監視装置16がコンテンツ配信システムに備えられているので、複数のユーザ端末に効率的にコンテンツを配信できる。
【0129】
さらに、本実施形態のコンテンツ配信システムは、配信サーバ2によるコンテンツ配信を補助する副配信サーバ14を備えていることが好ましい。
【0130】
上記構成によれば、副配信サーバ14により配信サーバ2によるコンテンツ配信が補助されるので、配信サーバにおける配信負荷が軽減され、その配信サーバからコンテンツをさらに効率的に配信することができる。
【0131】
さらに、本実施形態のコンテンツ配信システムは、上記コンテンツ配信システムにおける複数のユーザ端末3…からのコンテンツ配信要求を受け付ける受付装置15を備えていることが好ましい。
【0132】
上記構成によれば、受付装置15によりユーザ端末3…からのコンテンツ配信要求を集中管理することができ、複数の配信サーバ2…に対して行われるコンテンツ配信要求を、この受付装置15に行われるものとすることができる。
【0133】
よって、特定の配信サーバ2にコンテンツ配信要求が集中して、その配信サーバ2における負荷が高くなってしまうことを防止し、より効率的にコンテンツをユーザ端末に配信することができる。
【0134】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で変更された実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明によれば、動画像データ、音楽データ、静止画像データ、またはアプリケーション実行用データ等の大容量のコンテンツを効率的にユーザ端末へ配信することができるので、本発明は情報配信サービスに適している。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の一実施形態に係る配信サーバの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図2のコンテンツ配信システムに含まれるコンテンツサーバ、配信サーバ、およびユーザ端末の構成を示す図である。
【図4】図3のコンテンツサーバ、配信サーバ、およびユーザ端末間における情報のやりとりを示すタイムシーケンスである。
【図5】図1の配信サーバにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】(a)部分はコンテンツ配信要求の数と配信開始待ち時間との関係を示すグラフであり、(b)部分は配信サーバにおいて安定したコンテンツ配信が行われている際の帯域制御を記録したグラフであり、(c)部分は配信サーバが過負荷状態にある際の帯域制御を記録したグラフである。
【図7】1つのチャネルにおける、コンテンツの配信に関する時間と帯域幅との関係を示す図である。
【図8】配信サーバとユーザ端末との間において帯域保証伝送を行う場合の状態を説明する図である。
【図9】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムの変形例を示す図である。
【図10】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムのさらに他の変形例を示す図である。
【図11】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムのさらに他の変形例を示す図である。
【図12】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムのさらに他の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0137】
2 配信サーバ
3 ユーザ端末
11 自サーバ負荷状態監視部(負荷状態監視手段)
12 配信サーバ判断部(配信サーバ判断手段)
13 他サーバ負荷状態監視部(他サーバ負荷状態監視手段)
14 副配信サーバ
15 受付装置
16 監視装置(配信負荷分散装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの配信サーバの配信負荷を分散する配信負荷分散装置であって、
ユーザ端末から監視対象の配信サーバへのアクセスのログに基づき、該配信サーバにおける配信負荷を予測する負荷状態監視手段と、
上記負荷状態監視手段により上記配信サーバへの配信負荷が高くなると予測される場合、上記配信サーバ以外の配信サーバからコンテンツを配信することを決定する配信サーバ判断手段とを備えていることを特徴とする配信負荷分散装置。
【請求項2】
上記負荷状態監視手段は、さらに、上記監視対象の配信サーバからコンテンツを配信することを許可できるコンテンツ配信要求が上記配信サーバに送信される周期、コンテンツ配信に用いられるチャネルの数、およびコンテンツをユーザ端末に転送するための時間に基づき設定されるしきい値を用いて、該配信サーバにおける配信負荷を予測することを特徴とする請求項1に記載の配信負荷分散装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の配信負荷分散装置を備えていることを特徴とする配信サーバ。
【請求項4】
他の配信サーバにおけるコンテンツ配信負荷を監視する他サーバ負荷状態監視手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の配信サーバ。
【請求項5】
複数のユーザ端末のそれぞれに割り当てられた帯域を用いて、各ユーザ端末へコンテンツ配信を行うことを特徴とする請求項3または4に記載の配信サーバ。
【請求項6】
請求項1または2に記載の配信負荷分散装置と、該配信負荷分散装置の負荷状態監視手段により配信負荷が予測される配信サーバを少なくとも1つ含む複数の配信サーバと、該複数の配信サーバのいずれかからコンテンツが配信される複数のユーザ端末とを備えていることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項7】
請求項3ないし5のいずれか1項に記載の配信サーバを含む複数の配信サーバと、該複数の配信サーバのいずれかからコンテンツが配信される複数のユーザ端末とを備えていることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項8】
上記配信サーバによるコンテンツ配信を補助する副配信サーバを備えていることを特徴とする請求項6または7に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項9】
上記コンテンツ配信システムにおける複数のユーザ端末からのコンテンツ配信要求を受け付ける受付装置を備えていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項10】
コンテンツの配信サーバにおける配信負荷を分散する配信負荷分散方法であって、
監視対象の配信サーバへのアクセスのログに基づき、該配信サーバにおける配信負荷を予測する第1ステップと、
上記第1ステップにより上記配信サーバへの配信負荷が高くなると予測される場合、上記配信サーバ以外の配信サーバからコンテンツを配信することを決定する第2ステップとを備えていることを特徴とする配信負荷分散方法。
【請求項11】
請求項10に記載の配信負荷分散方法をコンピュータに実行させるための配信負荷分散プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の配信負荷分散プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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