説明

配列特異的な大量試料調製方法およびアッセイ法

標的が低濃度で存在する大量捕集媒体中の標的核酸分子を、選択的かつ迅速に同定する方法を開示する。方法は、特異的な標的配列を含む核酸分子を、特異的な標的配列を含まない核酸分子の試料から同定、単離、精製、または濃縮するために使用することができる。単離した後、特異的な標的配列を含む核酸分子は、増幅してもよく、または多様な検出アッセイにおいて使用してもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年1月28日に出願された米国特許仮出願第61/147,862号および2009年9月14日に出願された米国特許仮出願第61/242,193号の優先権を主張する。すべての出願の内容は参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【0002】
分野
本開示は、大量の生物学的試料を効率的に処理および調製するための方法およびアッセイ法に関する。本開示はまた、生物学的試料または臨床試料から単離しかつ大量の捕集媒体中に懸濁した低濃度の標的核酸分子を、選択的かつ迅速に単離することができる方法およびアッセイ法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
標的が低濃度で存在する大量臨床試料、例えば液状細胞診媒体中の子宮頸部試料などから試料を調製するには固有の難題がある。市販されている大部分の解決手段は、大量の媒体中に低濃度で存在する生物学的試料または臨床試料の処理を遅らせる時間浪費的なプロセス工程を含む方法工程を伴う。例えば、多くの解決手段および調製法は、遠心分離工程または常磁性ビーズへの標的試料の非特異的吸収を含む。遠心分離工程は、例えば、配列特異的な試料調製プロトコルおよび方法に対して一時間以上を加算することがある。時間浪費的であることに加え、遠心分離および常磁性ビーズへの非特異的吸収はいずれも、しばしばアッセイスループットを低下させ、その後の用途にマイナスに影響するおそれのある細胞成分の複雑な混合物を生成する工程を要する。本開示は、大量の媒体中に低濃度で存在しかつ懸濁された標的核酸分子を同定することができる独自の試料調製プロトコルを導入することにより、これらの課題に対処する。本開示の方法を使用することにより、水溶液に含まれる標的核酸分子を大容量環境中で迅速かつ選択的に検出することができる。
【0004】
また、医療へのアクセスが容易ではない発展途上国において、迅速かつ費用効果的かつ信頼しうるやり方で標的核酸分子を判定するための新規かつ効果的な方法、組成物およびキットを提供する必要性がある。例えば、臨床分析のための試料被検物を提供するために個人が長距離を移動する地域においては、結果を得る速さが特に重要である。そのような地域においては、家から試験場所への移動に関連する経過観察の損失を避けるために、患者がまだそこにいる数時間内または同じ日に結果が得られることが有利である。本開示の方法およびアッセイ法は、医療技術者、医師または他の有資格者が、患者から試料を確保し、標的核酸検出によって障害を迅速かつ正確に同定することを可能にすることにより、これらの必要性を満たす。
【発明の概要】
【0005】
概要
ある局面において、本開示は、
(a)生物学的試料を約1mL以上の捕集媒体中に懸濁する工程、
(b)懸濁した生物学的試料に変性剤および溶解バッファーを加えることによって生物学的試料を変性および溶解させる工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした標的核酸分子を支持体上に捕捉する工程、
(e)捕捉されたハイブリッド−支持体を洗浄バッファーで洗浄する工程
を含む大量試料調製方法に関する。
【0006】
ある局面において、本開示は、
(a)約1mL以上の尿、血液、または血清中の生物学的試料を得る工程、
(b)懸濁した生物学的試料に変性剤および溶解バッファーを加えることによって生物学的試料を変性および溶解させる工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした標的核酸分子を支持体上に捕捉する工程、
(e)捕捉されたハイブリッド−支持体を洗浄バッファーで洗浄する工程
を含む大量試料調製方法に関する。
【0007】
ある局面において、本開示は、
(a)生物学的試料を約1mL以上の捕集媒体中に懸濁する工程、
(b)懸濁した生物学的試料に変性剤および溶解バッファーを加えることによって生物学的試料を変性および溶解させる工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした標的核酸分子を支持体上に捕捉する工程
を含む大量試料調製方法に関し、
ここで、変性および溶解工程(b)は約10分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせは約25分未満で完了する。
【0008】
ある局面において、本開示は、
(a)生物学的試料を約1mL以上の捕集媒体中に懸濁するか、または尿、血液、もしくは血清中の生物学的試料を得る工程、
(b)懸濁した生物学的試料に変性剤および溶解バッファーを加えることによって生物学的試料を変性および溶解させる工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした標的核酸分子を支持体上に捕捉する工程
を含む大量試料調製方法に関し、
ここで、変性および溶解工程(b)は約30分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせは約30分未満で完了し、かつ
標的核酸分子の10コピー以上は約1時間未満で単離される。
【0009】
ある局面において、本開示は、
(a)生物学的試料を約1mL以上の捕集媒体中に懸濁する工程、
(b)懸濁した生物学的試料に変性剤および溶解バッファーを加えることによって生物学的試料を変性および溶解させる工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした標的核酸分子を支持体上に捕捉する工程
を含む大量試料調製アッセイ法に関し、
ここで、変性および溶解工程(b)は約30分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせは約30分未満で完了し、標的核酸分子の10コピー以上は約1時間未満で単離され、かつ本方法は遠心分離工程を含まない。
【0010】
ある局面において、変性および溶解工程(b)は約10分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせは約25分未満で完了する。さらに別の局面において、変性および溶解工程(b)は約7.5分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせは約22.5分未満で完了する。別の局面において、変性および溶解工程(b)は約5分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせは約15分未満で完了する。
【0011】
ある局面において、本開示は、
(a)生物学的試料を約0.25mL〜約1.0mLの捕集媒体中に懸濁するか、または尿、血液、もしくは血清中の生物学的試料を得る工程、
(b)懸濁した生物学的試料に変性剤および/または溶解バッファーを加えることによって生物学的試料を変性および/または溶解させる工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした標的核酸分子を支持体上に捕捉する工程、ならびに
(e)捕捉されたハイブリッド−支持体を洗浄バッファーで洗浄する工程
を含む試料調製アッセイ法に関する。
【0012】
ある局面において、本開示は、
(a)約0.25mL〜約1.0mLの尿、血液、または血清中の生物学的試料を得る工程、
(b)懸濁した生物学的試料に変性剤および/または溶解バッファーを加えることによって生物学的試料を変性および/または溶解させる工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした標的核酸分子を支持体上に捕捉する工程、ならびに
(e)捕捉されたハイブリッド−支持体を洗浄バッファーで洗浄する工程
を含む試料調製アッセイ法に関する。
【0013】
ある局面において、変性および/または溶解工程(b)は約10分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせは約25分未満で完了する。さらに別の局面において、変性および/または溶解工程(b)は約7.5分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせは約22.5分未満で完了する。別の局面において、変性および/または溶解工程(b)は約5分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせは約15分未満で完了する。
【0014】
ある局面において、本開示は、
(a)生物学的試料を約0.25mL〜約1.0mLの捕集媒体中に懸濁する工程、
(b)生物学的試料中の標的核酸分子を変性させる工程、
(c)少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブと標的核酸分子とを接触させることによって二本鎖核酸ハイブリッドを形成する工程、および
(d)二本鎖核酸ハイブリッドを支持体上に捕捉することによって二本鎖核酸ハイブリッド−支持体複合体を形成する工程
を含む、試料大容量中の低濃度の標的核酸分子の存在を検出するための方法に関する。
【0015】
別の局面において、本開示は、
(a)生物学的試料を約0.25mL〜約1.0mLの捕集媒体中に懸濁する工程、
(b)生物学的試料中の標的核酸分子を変性させる工程、
(c)少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブと標的核酸分子とを接触させることによって二本鎖核酸ハイブリッドを形成する工程、
(d)二本鎖核酸ハイブリッドを支持体上に捕捉することによって二本鎖核酸ハイブリッド−支持体複合体を形成する工程、および
(e)捕捉されたハイブリッド−支持体を洗浄バッファーで洗浄する工程
を含む、大容量中の低濃度の標的核酸分子の存在を検出するための方法に関し、
ここで、標的核酸分子の10コピー以上は約30分未満で単離される。
【0016】
別の局面において、本開示は、
(a)生物学的試料を約0.25mL〜約1.0mLの捕集媒体中に懸濁する工程、
(b)生物学的試料中の標的核酸分子を変性させる工程、
(c)少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブと標的核酸分子とを接触させることによって二本鎖核酸ハイブリッドを形成する工程、
(d)二本鎖核酸ハイブリッドを支持体上に捕捉することによって二本鎖核酸ハイブリッド−支持体複合体を形成する工程、および
(e)捕捉されたハイブリッド−支持体を洗浄バッファーで洗浄する工程
を含む、大容量中の低濃度の標的核酸分子の存在を検出するための方法に関し、
ここで、方法工程(a)〜(e)は遠心分離工程を含まない。
【0017】
(a)生物学的試料を約0.25mL〜約1.0mLの捕集媒体中に懸濁する工程、
(b)試料中の標的核酸分子を変性させる工程、
(c)少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブと標的核酸分子とを接触させることによって二本鎖核酸ハイブリッドを形成する工程、
(d)二本鎖核酸ハイブリッドを支持体上に捕捉することによって二本鎖核酸ハイブリッド−支持体複合体を形成する工程
を含む、試料中の標的核酸分子の存在を判定する方法であって、
ここで、標的核酸分子は約15分〜約3時間で同定される。
【0018】
別の局面において、標的核酸分子の10コピー以上が約15分未満、約30分未満、約45分未満、または約1時間未満で単離される。
【0019】
別の局面において、標的核酸分子の50コピー以下が約30分〜約1時間の期間で検出される。
【0020】
ある局面において、標的核酸分子の約10コピー〜約100コピーが約15分〜約2時間で同定可能である。
【0021】
ある局面において、大量試料調製方法は、自動、半自動または全自動プラットフォームで実施される。
【0022】
一つの局面において、捕集媒体は、0.5%〜約2.0%のNP-40、約0.10%〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25mM〜約75mMのTris-HCl、約10mM〜約50mMのEDTA、約50mM〜約200mMのNaCl、および約0.01%〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む。
【0023】
別の局面において、捕集媒体は、PRESERVCYT、STM、およびSUREPATHからなる群より選択される。
【0024】
別の局面において、生物学的試料は尿、血液、または血清から得られる。
【0025】
ある局面において、変性工程は約30分未満で完了する。
【0026】
別の局面において、ハイブリッド−捕捉工程は約30分未満で完了する。
【0027】
別の局面において、変性、ハイブリダイゼーション、および捕捉の方法工程中、溶解した細胞材料すべてが試料調製溶液中にとどまる。別の局面において、洗浄工程(e)まで、標的核酸分子は、溶解した生物学的材料の残りから分離されない。
【0028】
これらの局面およびさらなる局面を以下の開示の詳細な説明において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】清浄(clean)PRESERVCYT捕集媒体1mL中、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)ゲノムDNAの0コピー、10コピー、25コピー、および100コピーに対して試験したビーズ濃度の範囲を示す。1×は、YTブロッカー25μl中0.04%のビーズ濃度を表す。
【図2】清浄PRESERVCYTおよび臨床PRESERVCYTそれぞれ1mLを使用し、淋菌ゲノムDNAの0コピー、10コピー、100コピー、および1000コピーを試験した、30分および60分のインキュベーションにおけるハイブリッド/捕捉試料調製工程を示す。
【図3】清浄PRESERVCYTおよび臨床PRESERVCYTそれぞれ1mLを使用し、淋菌ゲノムDNAの0コピー、10コピー、100コピー、および1000コピーを試験した、室温および50℃で30分のインキュベーションによるハイブリッド/捕捉試料調製工程を示す。
【図4】臨床PRESERVCYT 1mLまたは尿(pH6.5)1mLのいずれかを捕集媒体として使用し、淋菌ゲノムDNAの0コピー、10コピー、25コピー、100コピー、1,000コピー、および10,000コピーを試験した、50℃で30分のインキュベーションにおけるハイブリッド/捕捉試料調製工程を示す。
【図5】サルコシル、DTT、およびTween 20を含有する溶解バッファーまたはMaas-Dalhoff溶解バッファーを使用した大量試料調製を示す。
【図6】クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)の25コピーおよび100コピーを検出した、15分および30分における大量試料調製を示す。
【図7】淋菌の25コピーおよび100コピーを検出した、15分および30分における大量試料調製プロトコルにおける溶解を示す。
【図8】淋菌の25コピーおよび100コピーを検出した、15分および30分における大量試料調製プロトコルにおけるハイブリッド/捕捉工程を示す。
【図9】60分大量試料調製プロトコルの例を示す。
【図10】30分大量試料調製プロトコルの例を示す。
【図11】淋菌の0コピー、10コピー、25コピー、および100コピーで試験した、50mM NaOHまたは100 NaOHを含有する再懸濁バッファーを用いた大量ハイブリッド/捕捉を示す。
【図12】(A)クラミジア・トラコマチスを試験することによる15分および30分のインキュベーション時間における2nMのsynRNA濃度と3nMのsynRNA濃度との比較を含む大量試料調製、(B)淋菌を試験することによる15分および30分におけるハイブリダイゼーション工程の、清浄PRESERVCYTと臨床PRESERVCYTとの比較を示す。
【図13】PRESERVCYT媒体中、68.5℃で15分の変性工程および加熱した試薬を用いた50℃で15分のハイブリッド/捕捉工程による大量試料調製を示す。淋菌細胞およびクラミジア・トラコマチス細胞の両方を試験した。
【図14】PRESERVCYT媒体中、68.5℃で7.5分の変性工程および加熱した試薬を用いた50℃で22.5分のハイブリッド/捕捉工程による大量試料調製を示す。淋菌細胞およびクラミジア・トラコマチス細胞の両方を試験した。
【図15】STM媒体100μl、250μl、500μl、および1000μl中の試料調製を示す。淋菌細胞およびクラミジア・トラコマチス細胞の両方を試験した。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本開示は、大量または少量の捕集媒体中の低濃度の標的核酸分子の存在を迅速かつ選択的に判定する方法、組成物、試薬およびキットに関する。方法、組成物、試薬およびキットは、病原性生物の検出および同定ならびに特定の疾病に対する遺伝的素因の検出を含むがこれらに限定されない臨床診断目的に使用することができる。
【0031】
試料調製
大量試料とは、精製、濃縮、または検出される標的が大量の試料の中にある、例えば約0.5mL、約1mL、および約2mLまたはそれを超える量の試料の中にある試料である。一般に、標的は試料中で希釈され、その結果、精製、濃縮、または検出することが困難である。例として血液を使用する場合、病原体の検出は、配列特異的方法の大量使用であろう。
【0032】
別の局面において、本明細書に記載された試料調製方法は、大量の試料に限定されない。例えば、約50μl、約100μl、約250μl、約100μl〜約250μl、または約150μl〜約250μlの試料サイズを、本明細書に記載された試料調製とともに使用することができる。別の局面において、約50μl、約100μl、約250μl、約100μl〜約250μl、または約150μl〜約250μlの小さめの試料サイズを、本明細書に記載された方法に関連して、マイクロタイタプレート上で分析することもできる。
【0033】
ある局面においては、生物学的試料または臨床試料を捕集または取得し、1mL以上の捕集媒体を試料に加え、懸濁した生物学的試料を溶解および/または変性工程に供し、溶解および/または変性工程を実施したのち、生物学的試料をハイブリッド/捕捉工程に供し、その後、洗浄する。洗浄工程ののち、試料を反応させることができ、かつ標的核酸を検出することができる。ある局面において、溶解および変性工程は約10分未満で完了し、ハイブリッド/捕捉工程は約25分未満で完了する。別の局面において、溶解および変性工程は約15分未満で完了し、ハイブリッド/捕捉工程は約15分未満で完了する。別の局面において、50μl、約100μl、約250μl、約100μl〜約250μl、または約150μl〜約250μlの試料量を上記方法において使用することができる。別の局面において、血液、血清、および尿に関する場合、生物学的試料または臨床試料が捕集または取得されるが、標的核酸分子は尿、血清、または血液中に含まれるため、捕集媒体を試料に加える必要はない。
【0034】
ある局面において、大量試料調製方法は、
(a)1mL以上の捕集媒体中に懸濁した生物学的試料または子宮頸部試料に溶解バッファーを加える工程、
(b)1mL以上の捕集媒体中に懸濁した生物学的試料または子宮頸部試料に変性バッファーを加える工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした標的核酸分子を捕捉する工程、および
(e)捕捉されたハイブリッド−支持体を洗浄バッファーで洗浄する工程
を含む。
【0035】
ある局面において、洗浄工程ののち、ハイブリッド−捕捉支持体は再懸濁バッファー中に再懸濁される。別の局面において、大量試料調製プロトコルが完了したのち、標的核酸分子が検出される。別の局面において、大量試料調製プロトコルが完了したのち、標的核酸分子に対してPCRが実施される。本開示の試料大容量調製プロトコルはまた、いずれも参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第12/605,540号および米国特許出願第12/605,605号に述べられている、核酸分子を単離および標的化する方法とともに使用することができる。本開示の試料量調製プロトコルはまた、いずれも参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許第4,732,847号、米国特許第4,865,980号、および米国特許第6,228,578号のハイブリッド捕捉技術に基づく特許とともに使用することができる。別の局面において、50μl、約100μl、約250μl、約100μl〜約250μl、または約150μl〜約250μlの試料量を上記方法において使用することができる。
【0036】
非限定的に、図9および10は大量試料調製プロトコルの例を提供する。別の局面において、図9および10における本開示の試料調製方法は、約50μl以上、約100μl以上、約250μl以上、約100μl〜約250μl、または約150μl〜約250μl、約0.5mL以上、約1mL以上、約2mL以上、約3mL以上、約4mL以上、約5mL以上、約10mL以上、または約20mL以上の試料量を有し得る。
【0037】
ある局面において、臨床試料または生物学的試料は、本開示の大量試料調製方法を半自動または全自動アッセイ法または機器とともに使用して処理することができる。例えば、臨床試料または生物学的試料は、本開示の大量試料調製方法を、いずれも参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許出願第12/508,304号、米国特許出願第12/508,306号および米国特許出願第12/622,131号に述べられているアッセイ法、方法および機器とともに使用して処理することができる。
【0038】
生物学的試料
本開示の試料調製方法は、生物学的試料および環境試料を含む被検物または培養物(例えば細胞、微生物およびウイルス培養物)をはじめとしこれらに限定されない試料から標的核酸分子を単離または検出するために使用することができる。生物学的試料は、ヒトを含む動物の、液体、固形物(例えば便)または組織、ならびに液体食品および固体食品および飼料産物および飼料成分、例えば乳製品、野菜、肉および肉副産物、ならびに廃棄物からの試料であり得る。環境試料は、環境材料、例えば表面材、土壌、水および産業試料、ならびに食品および乳製品加工機器、装置、器具、台所用品、使い捨ておよび非使い捨て物品から得られる試料を含む。
【0039】
ある局面において、試料は、子宮頸上皮細胞(例えば子宮頸部スワブから得られた試料)、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ、痰および精液をはじめとしこれらに限定されない生物学的試料である。試料は、二本鎖核酸分子を含んでもよく、または一本鎖核酸分子を含んでもよい。二本鎖核酸分子が存在する場合、それは、当技術分野において公知の多様な方法によって、例えばアルカリを使用して、プロテイナーゼK/SDS、カオトロピック塩を使用して、ハイブリダイゼーション分析のために調製することができる。ハイブリダイゼーション分析のために二本鎖核酸分子を調製するプロセスは一般に、それを一本鎖核酸分子に変換することを含む。このプロセスは一般に変性として知られている。しかし、二本鎖核酸分子は、変性なしで、例えば三本鎖を構成することによって検出することができるとも考えられる。
【0040】
試料中の標的核酸分子は、DNAまたはRNAであってもよく、またはDNAおよびRNAの両方であってもよい。標的核酸分子は、より大きな核酸分子内に含まれていることもある。本開示は、標的核酸分子または標的核酸分子を含むより大きな核酸分子の検出を企図する。
【0041】
生物学的試料は、子宮頸部細胞、例えばヒト子宮頸部細胞を含み得る。試料は、DACRONチップ付きスワブのような化学的に不活性な捕集装置を含む、当技術分野において公知の任意の方法または装置によって捕集することができる。綿スワブ、子宮頸部ブラシ、フロック加工スワブ(形状はDACRONスワブに似ているが、より多くの細胞を捕集し、より容易に細胞を解放することができるナイロン繊維でできたスワブ)、子宮頸部ブルーム、ミニブルーム、洗浄液、またはPapスメア試験においてしばしば使用される任意の捕集装置を含むがこれらに限定されない、他の許容可能な捕集装置を使用することもできる。
【0042】
ある局面において、本開示の方法は、30歳以上の女性から試料を捕集することを含む。方法はまた、30歳以上の女性からPapスメア試験または類似の試験によって試料を捕集することを含む。Papスメア試験または類似の試験によって捕集される試料は子宮頸部細胞試料であり得る。
【0043】
試料を捕集した後にそれを試料管に入れることができる。管は、汚染を防ぐために封止することができる。捕集装置(スワブ、ブラシなど)はさらに、捕集装置を試料管の中に入れた後に捕集装置を動かすことができる機構を含み得る。一つの局面において、捕集装置は、磁石を使用して動かすことができるインサートを含む。一つの局面において、このインサートは金属を含む。別の局面において、このインサートは常磁性体を含む。ある局面において、インサートは強磁性体および反磁性体を含む。捕集装置を試料管の中に入れた後に捕集装置を動かす一つの利点は、捕集装置がいかなる試料抽出装置または検出装置とも接触しないようになることである。試料抽出装置の例は、ピペット、ピペットチップ、滴瓶、または他のローテク抽出装置を含む。試料検出装置の例はプローブおよびプローブチップを含む。
【0044】
ある局面において、生物学的試料または臨床試料は希釈されない。すなわち、生物学的試料または臨床試料が個人から捕集されると、本開示の大量試料調製方法がただちに開始される。試料が個人から捕集されたのちただちに試料を評価することは、本明細書に記載された方法によって標的核酸分子を同定するために必要な時間を減らし、生物学的試料または臨床試料の捕集後に当日結果が患者に与えられるケアの場所の点で有益である。
【0045】
捕集媒体
ある局面において、大量試料調製方法は捕集媒体中で実行される。別の局面において、生物学的試料は捕集媒体中に捕集され、貯蔵される。捕集媒体は、核酸を保存し、ヌクレアーゼを阻害して分析前の核酸の分解を防ぐための保存媒体としての機能を含むいくつかの機能を有する。一つの局面において、捕集媒体は界面活性剤ベースである。非限定的に、本開示との使用に適した捕集媒体の例は、いずれも参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許出願第12/605,540号および米国特許出願第12/605,605号に見いだすことができる。
【0046】
一つの局面において、界面活性剤ベースの捕集媒体は、1.0% NP-40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、50mM Tris-HCl、25mM EDTA、150mM NaCl、および0.05%アジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。別の局面において、界面活性剤ベースの捕集媒体は、約0.5%〜約2.0% NP-40、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、約25mM〜約75mM Tris-HCl、約10mM〜約50mM EDTA、約50mM〜約200mM NaCl、および約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。他の局面において、界面活性剤ベースの捕集媒体は、約0.8%〜約1.5% NP-40、約0.20%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、約30mM〜約60mM Tris-HCl、約20mM〜約40mM EDTA、約100mM〜約200mM NaCl、および約0.025%〜約0.075%アジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。さらに別の局面において、界面活性剤ベースの捕集媒体は、約0.9%〜約1.2%NP-40、約0.20%〜約0.30%デオキシコール酸ナトリウム、約30mM〜約60mM Tris-HCl、約20mM〜約30mM EDTA、約100mM〜約150mM NaCl、および約0.04%〜約0.06%アジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0047】
ある局面において、捕集媒体は、NP-40およびEDTAを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。別の局面において、捕集媒体は、NP-40、EDTA、およびアジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。一つの局面において、捕集媒体は、デオキシコール酸ナトリウム、EDTA、およびアジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。ある局面において、捕集媒体は、NP-40、デオキシコール酸ナトリウム、EDTA、およびアジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。ある局面において、捕集媒体は、NP-40、デオキシコール酸ナトリウム、Tris-HCl、EDTA、およびアジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0048】
別の局面において、捕集媒体は、0.5%〜約2.0% NP-40および10mM〜約50mM EDTAを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。別の局面において、捕集媒体は、0.5%〜約2.0% NP-40、10mM〜約50mM EDTA、および約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。一つの局面において、捕集媒体は、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、10mM〜約50mM EDTA、および約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。ある局面において、捕集媒体は、約0.5%〜約2.0% NP-40、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、10mM〜約50mM EDTA、および約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。ある局面において、捕集媒体は、約0.5%〜約2.0% NP-40、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、約25mM〜約75mM Tris-HCl、約10mM〜約50mM EDTA、および約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。特定の態様において、媒体は、1% NP-40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、50mM Tris-HCl、25mM EDTA、150mM NaCl、および0.09%アジ化ナトリウムを含む、または本質的にそれらからなる。この媒体は、本明細書および図面中、しばしばDigene捕集媒体またはDCMと呼ばれる。
【0049】
試料は、他の公知の捕集媒体中に捕集することもでき、かつ本明細書に記載された方法において使用することができる。他の捕集媒体の例は、PRESERVCYT、SUREPATHおよびSTM(Sample/Specimen Transport Medium(試料/被検物輸送媒体))を含む。
【0050】
特定の捕集媒体は核酸特異的である。これらの媒体のいくつかに捕集された試料は、試料中の核酸が検出および分析され得る前に処理を要する場合がある。試料を処理する様々な方法(試料調製方法とも知られる)が当技術分野において公知である。例えば、細胞診分析のためにPRESERVCYTのような媒体中に捕集された子宮頸部細胞試料は、界面活性剤ベースの溶解バッファーと合わせ、その後、核酸結合面を含む常磁性ビーズを添加することができる。加えて、他の公知の一般に利用可能な捕集媒体中に捕集された他の細胞試料は、界面活性剤ベースの溶解バッファーと合わせ、その後、核酸結合面を含む常磁性ビーズを添加することもできる。
【0051】
界面活性剤ベースの媒体は、PRESERVCYT、SUREPATH、またはSTMと混合することができる。ある局面において、1% NP-40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、50mM Tris-HCl、25mM EDTA、150mM NaCl、および0.09%アジ化ナトリウムを含む捕集媒体がPRESERVCYT、SUREPATH、またはSTMと混合され、生物学的試料を添加される。別の局面において、約75%のPRESERVCYT、SUREPATH、またはSTMの捕集媒体が、1% NP-40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、50mM Tris-HCl、25mM EDTA、150mM NaCl、および0.09%アジ化ナトリウムを含む約25%の捕集媒体と混合される。別の局面において、約50%のPRESERVCYT、SUREPATH、またはSTMの捕集媒体が、1% NP-40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、50mM Tris-HCl、25mM EDTA、150mM NaCl、および0.09%アジ化ナトリウムを含む約50%の捕集媒体と混合される。ある局面において、PRESERVCYT、SUREPATH、またはSTMは水で希釈され、それがS/N(シグナル対ノイズ)比を改善することができる。100%SUREPATH、PRESERVCYT、またはSTM中の検出は可能であるが、1% NP-40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、50mM Tris-HCl、25mM EDTA、150mM NaCl、および0.09%アジ化ナトリウムを含む捕集媒体によって希釈すると、バックグラウンドおよびシグナルの両方が改善する。
【0052】
ある局面においては、生物学的試料を懸濁するために「清浄」捕集媒体または「臨床」捕集媒体が使用される。「清浄」捕集媒体とは、生物学的試料、例えば細胞試料を含有しない捕集媒体をいう。ある局面においては、標的核酸分子を「清浄」捕集媒体中に懸濁することができる。「清浄」捕集媒体試料中には、臨床バックグラウンドが存在しない。「臨床」捕集媒体とは、生物学的試料、例えば細胞試料を含有する捕集媒体をいう。
【0053】
ある局面において、生物学的試料または臨床試料は、上記捕集媒体またはそれらの混合物約50μl、約100μl、約250μl、約0.5mL、約0.75mL、約1.0mL、約1.25mL、約1.5mL、約2.0mL、約2.5mL、約3.0mL、約5.0mL、約10mL、約15mL、約25mL、約30mL、約50mL、または約100mL中に懸濁する。ある局面において、生物学的試料または臨床試料は、任意の上記捕集媒体またはそれらの混合物約50μl以上、約100μl以上、約250μl以上、約0.5mL以上、約0.75mL以上、約1.0mL以上、約1.25mL以上、約1.5mL以上、約2.0mL以上、約2.5mL以上、約3.0mL以上、約5.0mL以上、約10mL以上、約15mL以上、約25mL以上、約30mL以上、約50mL以上、または約100mL以上に懸濁する。ある局面において、生物学的試料または臨床試料は、PRESERVCYT、SUREPATH、STM、または約0.5%〜約2.0%NP-40、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、約25mM〜約75mM Tris-HCl、約10mM〜約50mM EDTA、約50mM〜約200mM NaClおよび約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含む捕集媒体、またはそれらの混合物約50μl、約100μl、約250μl、0.5mL、約0.75mL、約1mL、約1.25mL、約1.5mL、約2.0mL、約2.5mL、約3.0mL、約5.0mL、約10mL、約15mL、約25mL、約30mL、約50mL、または約100mL中に懸濁する。
【0054】
別の局面において、本明細書に開示の方法によって分析され、処理される生物学的試料は、上記量のいずれかの尿、血清、または血液試料中に存在する。分析される生物学的試料が尿、血清、または任意の他の体液中に存在する場合、試料を捕集し、本明細書に開示の方法のいずれかによって大量試料調製分析を実施するためにアリコットを採取することができる。ある局面において、尿は、約pH3.5、約pH4.0、約pH5、約pH6、約pH6.5、約pH7.0、約pH8.0、約pH9.0、約pH4.5〜約pH9.0、約pH6.0〜約pH8.0または約pH6.0〜約pH7.0のpHを有する。
【0055】
ある局面において、本明細書に開示の試料調製方法は、診断分析のために事前に調製された生物学的試料に適用される。一つの局面において、本開示の試料調製方法が適用される生物学的試料は、細胞診分析のために事前に調製されている。ある局面において、生物学的試料は、患者から捕集され、媒体、例えばSUREPATH、PRESERVCYT、STM、または約0.5%〜約2.0% NP-40、約0.10%〜約0.40%デオキシコール酸ナトリウム、約25mM〜約75mM Tris-HCl、約10mM〜約50mM EDTA、約50mM〜約200mM NaClおよび約0.01%〜約0.10%アジ化ナトリウムを含む捕集媒体中に懸濁する。別の局面において、本明細書に開示の方法によって分析され、かつ処理される生物学的試料は、尿、血清、または血液試料中に存在する。ある局面においては、本明細書に開示の方法にしたがって、懸濁した試料の一部分が細胞診目的のために評価され、アリコットが試料調製目的のために取り出される。別の局面においては、約0.1mL〜約0.5mL、〜約0.5mL〜約1.0mL、または約1.0mL〜2.0mLのアリコットが、懸濁した生物学的試料から取り出され、本明細書に記載された試料調製方法に供される。
【0056】
ある局面において、生物学的試料は患者から捕集され、約1mL以上、約2mL以上、約5mL以上、約10mL以上、または約20mL以上の媒体中に懸濁される。別の局面において、生物学的試料は患者から捕集され、STM媒体約1mL、SUREPATH媒体約10mL、またはPRESERVCYT媒体約20mL中に懸濁される。別の局面においては、生物学的試料が上記媒体中に懸濁されたのち、アリコットが採取され、本明細書に記載された試料調製方法に供される。ある局面においては、約0.1mL〜約0.5mL、〜約0.5mL〜約1.0mL、または約1.0mL〜2.0mLのアリコットが、生物学的試料から取り出され、本明細書に記載された試料調製方法に供される。
【0057】
ある局面において、試料は、細胞診試験の前に本明細書に記載された試料調製方法によって評価される。別の局面において、試料は、細胞診試験の後で本明細書に記載された試料調製方法によって評価される。
【0058】
ある局面において、試料は、液状細胞診(LBC)アッセイ法を使用して調製される。LBC媒体は、試料を安定化し、バクテリア増殖を阻害し、細胞形態および診断クラスタを保存し、組織単層細胞診スライドの調製を保証するように働く、アルコールおよびホルマリン等の組織固定剤を含有し得る。しかし、生物学的試料を保存するために使用される多くの組成物、例えばSUREPATHは、従来の試料調製方法を使用して核酸分子を分析する場合には害になりうるアルコールまたはホルマリンを含有する。ある局面において、細胞診スライドは、子宮頸部細胞試料または評価可能な任意の他の生物学的試料を含有する。ある局面においては、LBC試料を調製するためにSUREPATH媒体が使用される。細胞診調製に加えて、LBC試料は、とりわけヒトパピローマウイルス、淋菌、およびクラミジア・トラコマチスを含む一般的な性感染症病原体のような障害の検出に使用することもできる。
【0059】
標的核酸分子
標的核酸分子は、非限定的に、生物学的試料および環境試料を含む被検物または培養物(例えば細胞、微生物およびウイルス培養物)中に見られる核酸分子を含む。標的核酸分子は、ヒトを含む動物の、液体、固形物(例えば便)または組織、ならびに液体食品および固体食品および飼料製品および飼料成分、例えば乳製品、野菜、肉および肉副産物、ならびに廃棄物からの生物学的試料中に見いだすことができる。標的核酸分子は、環境試料中に見いだすことができ、環境物質、例えば表面材、土壌、水および産業試料、ならびに食品および乳製品加工機器、装置、器具、家庭用品、使い捨ておよび非使い捨て物品から得られる試料を含む。
【0060】
生物学的試料中に見いだされる標的核酸分子は、非限定的に、子宮頸部試料(例えば子宮頸部スワブから得られた試料)または子宮頸部細胞試料、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、血清、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ、痰、尿、および精液を含む。標的核酸分子は、他のウイルス、バクテリア、マイコバクテリアまたはプラスモディウム、例えばサイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペス、HIV、H1N1、クラミジア、淋病、淋菌(GC)、クラミジア・トラコマチス(CT)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、結核、SARS関連コロナウイルスまたはインフルエンザ由来の分子であり得る。ある局面において、標的核酸分子は、子宮頸部試料(例えば子宮頸部スワブから得られた試料)または子宮頸部細胞試料、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ、痰、尿および精液、他のウイルス、バクテリア、マイコバクテリアまたはプラスモディウム、例えばサイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペス、HIV、H1N1、クラミジア、淋病、淋菌、クラミジア・トラコマチス、膣トリコモナス、黄色ブドウ球菌、結核、SARS関連コロナウイルスまたはインフルエンザのいずれか一つと関連する核酸分子に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である。
【0061】
一つの局面において、標的核酸分子は、ヒトパピローマウイルス(HPV)であり、HPVの遺伝子変異体を含む。変異体は、標的核酸の多型、突然変異体、派生物、修飾形態、変化形態、または同様な形態を含む。一つの局面において、標的核酸はHPV核酸である。別の局面において、HPV核酸は高リスクHPV型のHPV DNAである。別の局面において、HPV核酸は高リスクHPV型のHPV RNAである。別の局面において、標的核酸は、高リスクHPV16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のいずれか一つ、または低リスクHPV6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型のいずれか一つである。
【0062】
別の局面において、核酸分子の組み合わせまたはセットが標的化される。例えば、標的核酸分子のセットは、高リスクHPV16、18、および45型を含み得る。ある局面において、標的化される核酸分子のセットは、高リスクHPV16、18、および45型のみを含む。さらには、標的核酸分子のセットは、高リスクHPV16、18、および45型を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなることができる。
【0063】
別の局面において、標的核酸分子は、淋菌、クラミジア・トラコマチス、HPV、HPVの遺伝子変異体、高リスクHPV型のHPV DNA、または高リスクHPV型のHPV RNAのいずれか一つと関連する核酸分子に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である。別の局面において、標的核酸は、高リスクHPV16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のいずれか一つ、または低リスクHPV6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型のいずれか一つと関連する核酸分子に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である。
【0064】
本発明の方法を使用する場合、標的核酸分子は、1mLあたり約1pg未満、1mLあたり約0.75pg未満、1mLあたり0.5pg未満、1mLあたり0.25pg未満および1mLあたり0.2pg未満の濃度で存在することができる。
【0065】
前記のように、標的核酸分子はDNAまたはRNAであり得る。標的核酸分子がDNAである場合、プローブはRNAであり得、標的核酸分子がRNAである場合、プローブはDNAであり得る。しかし、DNAプローブをDNA標的核酸分子とともに使用することもでき、RNAプローブをRNA標的核酸分子とともに使用することもできる。
【0066】
変性および溶解
試料を捕集媒体中に捕集したのち、または例えば前記のように血液、血清、または尿中に得たのち、試料を変性試薬で処理して、標的核酸分子をハイブリダイゼーションでの利用がしやすいようにする。一つの局面において、試料はアルカリ溶液で変性される。溶液pHを約pH12、約pH13、または約pH14にすることができる任意のアルカリを使用することができる。さらには、溶液pHを約pH12〜約pH13の範囲、約pH12〜約pH14の範囲、および約pH13〜約pH14の範囲にすることができる任意のアルカリを使用することができる。アルカリの適当な濃度は、約1.0N〜約2.0N、約1.25N〜約1.75N、および約1.25N〜約1.5N、および約1.5Nならびに前記範囲内の任意の数値を含む。非限定的に、適当なアルカリはNaOHおよびKOHを含む。
【0067】
室温で、変性試薬で処理された試料を手で混合するか、または約800rpm、約900rpm、約1000rpm、約600〜約1000rpm、または約600〜1200rpmでの機械的振とうによって混合することができる。ある局面において、変性試薬で処理された試料は振とうされない。変性試薬添加後の試料のpHは約14であり得る。別の局面において、pHは約pH12またはpH13であり得る。そのような塩基性pHは被検物中の核酸の大部分に切れ目を入れ、それを変性する。加えて、アルカリ処理は、ペプチドと核酸との相互作用を妨害して、標的核酸のアクセス性を改善し、タンパク質を分解することができる。
【0068】
タンパク質のアルカリ処理は、被検物を効果的に均質化して、所与の試料に関する分析結果の再現精度を保証する。これはまた、試料中の任意の内在性一本鎖RNA核酸、DNA-RNAハイブリッドまたはRNA-RNAハイブリッドを破壊することにより、試料の粘度を低下させて反応速度を増し、試料を均質化し、バックグラウンドを減らすことができる。また、試料中に存在し得るRNA分解酵素およびDNA分解酵素等の酵素を不活性化することに役立つ。当業者は、RNAが標的核酸である場合(DNAとは反対に)、フェノール抽出およびTCA/アセトン沈殿ならびにグアニジンチオシアネート−フェノール−クロロホルム抽出をはじめとする様々な試薬が好ましいこともあることを理解するであろう。
【0069】
他の変性方法、例えば試料を約95℃に加熱する加熱工程を使用して核酸の鎖を分断する方法を使用することもできる。ヘリカーゼ等の酵素を使用することもできる。
【0070】
一つの局面においては、NaOH等の変性バッファーを試料に加え、加熱する。別の局面においては、1.5N〜2.0N NaOHを試料に加え、加熱する。変性試薬を加えた試料は、約60℃〜約80℃で約30分未満、約65℃〜約75℃で約30分未満、約67℃〜約70℃で約30分未満、68.5℃で約30分未満、または約70℃で約30分未満、または前記範囲内の任意の数値で加熱することができる。別の局面において、変性試薬を加えた試料は、約60℃〜約80℃で約10〜約30分間、または約65℃〜約75℃で約10〜約30分間、約67℃〜約70℃で約10〜約30分間、約68.5℃で約10〜約30分または約70℃で約10〜約30分間、または前記範囲内の任意の数値で加熱する。ある局面において、試料は、変性試薬中、上記条件で約5〜約30分間、約10〜約40分間、約20分〜約40分間、または約5分間、約7.5分間、約10分間、約15分間、約20分間、または約30分間、または前記範囲内の任意の数値で加熱することができる。さらに別の局面において、上記インキュベーションおよび温度時間は、振とうしながら完了させることもできるし、振とうなしで完了させることもできる。
【0071】
ある局面において、変性工程は、約68.5℃で約5〜30分間、約68.5.℃で約5〜15分間、約68.5℃で約5〜10分間、および約68.5℃で約7.5分間、振とうしながら、または振とうなしで実施される。別の局面において、変性工程は、二つの温度、67.5℃で約7.5分間および60.0℃で約12.5分間、実施される。
【0072】
ある局面において、細胞または生物学的材料を溶解させることができる任意の溶解バッファーを使用することができる。別の局面において、溶解バッファーは、サルコシル、DTT、およびTweenを含有する。別の局面において、溶解バッファーは、約7.5%サルコシル、約2.5% NP-40、および約10mM DTTを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。別の局面において、溶解バッファーは、約5.0%〜約10%サルコシル、約1.0〜約5.0% NP-40、および約1mM〜約20mM DTTを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。別の局面において、溶解バッファーは、約6.0%〜約8%サルコシル、約2.0〜約3.0% NP-40、および約5mM〜約15mM DTTを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。Maas-Dalhoff溶解バッファーを使用することもできる。
【0073】
ある局面において、生物学的試料または臨床試料は、抽出された細胞材料の除去なしで溶解工程に供することができる。ある局面において、抽出された、または溶解した細胞材料は、溶解および/または変性工程ならびにハイブリダイゼーション/捕捉工程中に存在し、はじめに洗浄によって除去される。さらには、いくつかの局面において、本開示の方法およびアッセイ法は、精製されていない生物学的試料または臨床試料に関して実施される。したがって、精製されていない生物学的試料または臨床試料に関して実施される本開示の方法およびアッセイ法は、例えば、クリーム、ローション、および抗真菌剤、細胞材料および他の不純物を含有することがある。本開示の方法を事前に精製されていない生物学的試料または臨床試料に対して実施することは、標的が低濃度で存在する状況の下、標的核酸分子を検出するために必要な時間を減らす。標的核酸分子を検出するために必要な時間を減らすことは、薬および医療設備へのアクセスが希薄である発展途上国においてなど、障害または疾病の迅速な同定を達成することが望まれる場合、特に有用である。
【0074】
プローブの結合およびハイブリダイゼーション
ある局面において、核酸を含有する試料を溶解または変性工程に供したのち、試料を、一つまたは複数のポリヌクレオチドプローブと、その一つまたは複数のポリヌクレオチドプローブが試料中の標的核酸分子にハイブリダイズして二本鎖核酸ハイブリッドを形成するのに十分な条件下、接触させることができる。プローブは、完全長DNA、切断型DNA、または合成DNAまたは完全長RNA、切断型RNA、または合成RNA(「synRNA」)であり得る。標的核酸がDNAである場合、プローブはRNAであり得、標的核酸がRNAである場合、プローブはDNAであり得る。好ましくは、一つまたは複数のポリヌクレオチドプローブは、中和ハイブリダイゼーションバッファーとしても働くことができる(塩基性変性試薬を中和するため)プローブ希釈剤中で希釈される。
【0075】
DNAまたはRNAプローブに使用されるプローブ希釈剤は、DNAとRNAの安定性に必要な異なる要件のために異なる。例えば、プローブがRNAである場合、NaOHがRNAを破壊するおそれがあるため、まず試料を中和し、次いでプローブを加えるか、または、RNAプローブと中和剤(プローブ希釈剤)とを同時に試料に加えることが好ましい。プローブ希釈剤は、プローブを溶解させ、希釈し、さらに、試料がほぼ中性のpH、例えば約pH6〜約pH9を回復することを支援して、ハイブリダイゼーションにとってより好ましい環境を提供するために使用することができる。塩基処理された試料を中和するのに十分な量、好ましくは試料の半分の量のプローブ希釈剤を使用することができる。
【0076】
ある局面において、プローブ希釈剤は、バッファー、ポリアクリル酸、NaOHおよびアジ化ナトリウムを含む。プローブ希釈剤は酢酸を含み得る。ある局面において、プローブ希釈剤は、2.2M BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、2.6%ポリアクリル酸(PAA)、0.7N NaOHおよび0.05%アジ化ナトリウムを含む。プローブ希釈剤は、約1.2M〜約2.6M BES、約1.5M〜約2.5M BES、約1.75M〜約2.25M BES、約2M〜2.4M BES、または約2.2M BES、および前記範囲内の任意の数値を含有し得る。一つの局面において、プローブ希釈剤は、約2%〜約3.0% PAAまたは前記範囲内の任意の数値を含有し得る。別の局面において、PAA濃度は約2.2%〜約2.7%である。さらに別の局面において、PAA濃度は約2.6%である。さらなる局面において、プローブ希釈剤は、約0.6N〜約0.8N NaOH、例えば約0.7N NaOHを含有し得る。BESの量が増すとともにNaOHの濃度は一般に増大する。
【0077】
完全長プローブの場合、加熱されたアルカリ溶液を試料に加えたのち、プローブ希釈剤を室温の試料に加え、次いで試料を再加熱することができる。そのようなプロセスは、二次構造が形成することを阻止することができる。抗体は、二次構造を有する構造に不可逆的に結合する傾向にある。非完全長プローブ、例えば切断型プローブまたは合成プローブを使用する場合、二次構造問題が存在しないため、溶液または試料の加熱は不要である場合がある。ある局面において、試料は、切断型プローブまたは合成プローブとともに使用される場合、加熱されない。
【0078】
ある局面において、変性試薬で処理したのち、変性バッファーのアリコット、ある局面においては一つまたは複数のプローブを溶解する前記プローブ希釈剤を、プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションまたは結合が起こることを許容するのに適切な条件下、試料に加えることができる。中和バッファーは一つの緩衝塩を含有し得る。ある局面において、中和バッファーは一つより多い緩衝塩を含有しない。ハイブリダイゼーション条件は、一つまたは複数のポリヌクレオチドプローブが、試料中に存在する場合は対応する相補的核酸配列にアニールして二本鎖核酸ハイブリッドを形成することを許容するのに十分な条件である。
【0079】
本明細書に記載された特定のプローブおよび希釈剤に適したハイブリダイゼーション条件が使用される。プローブおよび試料核酸は、例えば少なくとも約5〜約15分間、約10〜約20分間、約10〜約30分間、約20〜約30分間、約20〜約45分間、約30〜約1時間、約1時間〜約2時間、約2時間〜約4時間、約4時間〜約24時間のハイブリダイゼーション期間、約20℃、約25℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、および約65℃のハイブリダイゼーション温度および一つまたは複数のポリヌクレオチドプローブが対応する相補的核酸配列にアニールすることを許容するのに十分な前記範囲内の任意の数値でインキュベートすることができる。試料は、上記温度および期間で、振とうしながら、または振とうせずにインキュベートすることができる。
【0080】
本明細書に記載された特定のプローブおよび希釈剤に適したハイブリダイゼーション条件が使用される。プローブおよび試料核酸は、例えば少なくとも約5〜約15分間、約10〜約20分間、約10〜約30分間、約20〜約30分間、約20〜約45分間、約30〜約1時間、約1時間〜約2時間、約2時間〜約4時間、約4時間〜約24時間のハイブリダイゼーション期間、約20℃〜約25℃、約35℃〜約40℃、約45℃〜約50℃、約55℃〜約60℃、および約65℃〜約70℃のハイブリダイゼーション温度および一つまたは複数のポリヌクレオチドプローブが対応する相補的核酸配列にアニールすることを許容するのに十分な前記範囲内の任意の数値でインキュベートすることができる。試料は、上記温度および期間で、振とうしながら、または振とうせずにインキュベートすることができる。
【0081】
非限定的に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、温度を高めること、イオン状態を0.5M超に高めること(例えばNaCl)、またはPAAの濃度を下げることによって制御することができる。非限定的な例として、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、上昇した温度、例えば少なくとも約65℃、少なくとも約68.5℃、約67℃〜約70℃の間、および約69℃〜約70℃の間の温度でハイブリダイゼーション反応を実施することを含み得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件はまた、上昇した温度、例えば少なくとも約65℃、少なくとも約68.5℃、および約67℃〜約70℃の間の温度を含み得る。
【0082】
ある局面において、ハイブリダイゼーションおよび/または捕捉工程は、約50℃で約15〜約25分、約50℃で約20〜約25分、または約50℃で約22.5分で完了する。ある局面において、ハイブリダイゼーション/捕捉は、振とうしながら、または振とうせずにインキュベートされる。
【0083】
非限定的な局面において、プローブは、淋菌、クラミジア・トラコマチス、HPV、HPVの遺伝子変異体、高リスクHPV型のHPV DNA、または高リスクHPV型のHPV RNA、または高リスクHPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のいずれか一つ、または低リスクHPV6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型のいずれか一つに関連する核酸分子に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である核酸分子にハイブリダイズまたは結合することができる。別の局面において、プローブは、HPV、HPVの遺伝子変異体、高リスクHPV型のHPV DNA、高リスクHPV型のHPV RNA、または高リスクHPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のいずれか一つ、または低リスクHPV6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型のいずれか一つに相補的である。
【0084】
ある局面においては、加熱の前に油または油性物質、例えばシリコーン油が試料に加えられる。ある局面においては、加熱の前に油または油性物質が試料に加えられ、試料は、自動化プラットフォーム、例えば、いずれも参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許出願第12/605,605号、米国特許出願第12/508,304号、米国特許出願第12/508,306号、および米国特許出願第12/622,131号に記載されているプラットフォーム上で検査される。油は、約0.5Cst〜約20Cst、約1.0Cst〜約10Cst、または約2.0Cst〜約5Cstの粘度を有し得る。ある局面において、量は約5Cstである。ある局面において、上記シリコーン油の約10μl〜約45μlが捕集媒体1mL以上に加えられ、自動化プラットフォーム上で評価される。油を加える一つの利点は、試料がより均一に加熱されることである。
【0085】
一つの局面において、試料は捕集媒体中に懸濁され、標的核酸は変性試薬で変性され、中和バッファー中に懸濁した核酸プローブにハイブリダイズされる。別の局面において、中和バッファーは本発明のプローブ希釈剤である。プローブ希釈剤は、2.2M BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、2.6%ポリアクリル酸、0.7N NaOHおよび0.05%アジ化ナトリウムを含む。
【0086】
捕捉
プローブが標的核酸分子にハイブリダイズし、二本鎖核酸ハイブリッドを形成したのち、その二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子によってハイブリッドを捕捉することができる。二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子としては、非限定的に、モノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、タンパク質、例えばRNA分解酵素H、核酸、例えば非限定的に、アプタマーまたは配列特異的核酸がある。アプタマーとは、標的にハイブリダイズし、ハイブリダイズしたアプタマーを増幅し、選択プロセスを繰り返すことによって配列のライブラリから連続的に選択されるランダムな配列の短い区間である。一つの局面において、二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子は、抗ハイブリッド抗体として知られる抗体によって捕捉される。
【0087】
一つの局面においては、抗ハイブリッド抗体が、当技術分野において標準的な技術を使用して支持体上に固定化される。適当な支持体の例は、共有結合または吸着、例えばタンパク質−タンパク質相互作用、プロテインGビーズ、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用、カルボキシル基またはトシル基などに結合するためのEDAC、または例えば配列特異的核酸をアフィニティーカラム中で使用する、直接的な固体支持体へのハイブリダイゼーションを含む。
【0088】
支持体としては、非限定的に、ビーズ、常磁性、反磁性、強磁性、強磁性、および反磁性のビーズ、カラム、プレート、ろ紙、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ならびにディップスティックがある。液相の抽出を可能にし、結合抗体および非結合抗体を析出させる能力を提供する限り、任意の支持体を使用することができる。ビーズを固定化するために磁場を印加する場合は、ビーズを溶液中に残すことができ、かつ液相を抽出またはデカントすることができるという点で常磁性ビーズが特に有用である。大きな表面積を有する小さいビーズ、例えば直径約1μmのビーズを使用することができる。電荷スイッチングまたはシリカ捕捉(磁場とは違って)を利用する他のビーズを使用することもできる。
【0089】
ハイブリッドは、支持体に付着させた抗ハイブリッド抗体とともに、固定化された抗ハイブリッド抗体が二本鎖核酸ハイブリッドを捕捉することを可能にするのに十分な時間、インキュベートすることができる。ある局面において、支持体はビーズである。
【0090】
抗ハイブリッド抗体はモノクロナールまたはポリクロナールであり得る。ある局面において、抗体はモノクロナールである。別の局面において、抗体は、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDAC)リンカーによって支持体に結合される。ある局面において、支持体はポリスチレンビーズである。ある局面において、抗体と結合している支持体またはビーズはビーズ希釈バッファー中で希釈される。ビーズ希釈バッファーは、ビーズ上でのタンパク質変性を最小限にするのに有用である。ビーズ希釈バッファーの一例は、6%カゼイン、100mM Tris-HCl、300mM NaCl、および0.05%アジ化ナトリウムを含む。
【0091】
ある局面において、抗ハイブリッド抗体でコートされたビーズは、試料とともに、約45℃〜約55℃で約30分間および約50℃〜約60℃で約30分間インキュベートされる。ある局面において、インキュベーション時間は、約5分〜約60分、約15分〜約45分、約20分〜約40分、または記載の範囲内の任意の数値の範囲であり得る。ある局面において、インキュベーション時間は、45℃〜55℃の間で、振とうしながら、または振とうなしで約10分、約15分、約20分、約22.5分、約25分、約30分、または約45分である。別の局面において、インキュベーションは、50℃で振とうなしで約22.5分間実行される。
【0092】
上記のようにして標的核酸/プローブハイブリッドを捕捉したのち、捕捉されていない核酸を洗い流すことにより、捕捉されたハイブリッドを試料の残りから分離することができる。
【0093】
コンジュゲーション
ある局面において、大量試料調製方法における別の工程は、同じく二本鎖核酸ハイブリッドに特異的であるか、または第一の抗体に特異的である第二の抗体を提供することを含み得る。第二の抗体は、存在するならば、直接的または間接的に検出可能に標識され得るものであり、モノクロナールまたはポリクロナールであり得る。ある局面において、第二の抗体はモノクロナールである。別の局面において、第二の抗体は、検出可能なマーカで直接標識され、モノクロナールである。第二の抗体は、二本鎖核酸ハイブリッドの存在を検出するために使用される。一つの局面において、第二の抗体は、検出することができるシグナルを提供するために物質と反応しなければならない標識を有する。第二の抗体は、適当なバッファー中に溶解させることができる。一つの局面において、バッファーは、100mM Tris-HCl、pH7.4、0.5M NaCl、0.1mM ZnCl2、1.0mM MgCl2、0.25% Tween 20、0.2mg/mL RNA分解酵素A、4%ヒドロキシプロピル-b-シクロデキストリン(シクロデキストリン)、30%前記ビーズ希釈バッファー、0.05%ヤギIgG、0.05%アジ化ナトリウムを含む。
【0094】
ある局面において、コンジュゲーション反応は室温で行われる。ある局面において、コンジュゲーション反応は室温で約1時間〜約2時間行われる。別の局面において、コンジュゲーション反応は室温で約2時間行われる。別の局面において、コンジュゲーション反応は約37℃、約45℃または約50℃で行われる。ある局面において、コンジュゲーション反応は約37℃、約45℃、約50℃、約35℃〜約40℃、または約40℃〜約50℃で約15分間および約30分間行われる。ある局面において、コンジュゲーション反応は約37℃、約45℃、または約50℃で約20分〜40分間行われる。別の局面において、コンジュゲーション反応は約45℃で約30分間行われる。
【0095】
非限定的に、酵素、放射性分子、蛍光分子、または金粒子等の金属粒子などの任意の検出可能な標識を使用することができることが当業者によって理解されよう。特定の局面において、検出可能な標識はアルカリホスファターゼである。標識を抗体にコンジュゲートする方法は公知である。例えば、抗体をジチオトレイトール(DTT)で還元して一価の抗体断片を得ることができる。そして、還元された抗体を、いずれも参照により全体として本明細書に組み入れられるIshikawaら(J. Immunoassay 4:209-237 (1983))およびMeansら(Chem. 1: 2-12 (1990))の方法によってマレイン化アルカリホスファターゼに直接コンジュゲートすることができ、得られたコンジュゲートをHPLCによって精製することができる。コンジュゲートはまた、任意のタイプのサイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製することもできる。精製の一つの利点は、抗体一つに対してタンパク質一つのコンジュゲートを、抗体に対して他の比率のタンパク質を有するコンジュゲートから分離することができることである。
【0096】
別の局面において、二本鎖核酸ハイブリッドは、直接的には標識されていない第二の抗ハイブリッド抗体で検出することができる。例えば、第二の抗体は、標識されたヤギ抗マウス抗体によって検出されるマウス免疫グロブリンであり得る。
【0097】
洗浄
ある局面において、ハイブリダイゼーションおよび捕捉ののち、試料を洗浄バッファーで洗浄することができる。洗浄バッファーは、一つまたは複数の界面活性剤を含有してもよく、または界面活性剤を含まなくてもよい。洗浄剤が界面活性剤を含有する場合、その界面活性剤は、イオン性または非イオン性界面活性剤であり得る。非イオン性界面活性剤の一例がTriton-Xである。界面活性剤は、洗浄バッファー中、約0.05%〜約1.5%、または約0.075%〜約1.0%、または約0.1%〜約0.75%、または約0.5%、または前記範囲内の任意の数値の濃度で存在することができる。適当な洗浄バッファーの一例は、40mM Tris、pH8.2、100mM NaCl、0.5% Triton-X 100および0.05%アジ化ナトリウムを含む。別の局面において、洗浄バッファーは、約0.5〜2mM Tris、約0.02〜0.10%アジ化ナトリウムであり、pHが約7.6〜約8.4である。別の局面において、洗浄バッファーは約1mM Tris、約0.09%アジ化ナトリウムであり、pHが約7.6〜約8.4である。
【0098】
試料は、洗浄バッファーにより、1〜10回、または3〜7回、または4〜6回、または2、3、4、5回、または前記範囲内の任意の数値の回数、洗浄することができる。試料はまた、一つの洗浄バッファーで洗浄してもよく、または多数の洗浄バッファーで洗浄してもよい。各洗浄が、同じ洗浄バッファーを使用することもあり、または異なる洗浄バッファーを使用することもある。例えば、界面活性剤含有洗浄バッファーを一つの洗浄に使用し、一方、界面活性剤を含まない洗浄バッファーを別の洗浄に使用することもできる。ある局面において、洗浄バッファーの一つはTritonを含有しない。
【0099】
界面活性剤含有洗浄バッファーの一つの利点は、界面活性剤を含まない洗浄バッファーと比較した場合の、ビーズ挙動に対するプラスの影響である。界面活性剤含有洗浄バッファーは、磁場へのビーズの迅速かつ効率的で弾力的な結合を可能にする。磁場へのビーズの結合は、ビーズが物理的反転およびデカントの間でも結合したままでいるのに十分なほど強力である。界面活性剤を含まない洗浄バッファーは一般に、ビーズを損失せずに物理的に反転させることはできないが、他の目的には使用することができる。界面活性剤を含まない洗浄バッファーの使用の一例は、試料中の界面活性剤を除去または希釈して、それにより、起こりうる検出の問題を軽減することである。
【0100】
検出
ある局面において、捕捉された標的核酸分子は、検出装置または検出方法によって同定することができる。標的核酸分子を検出することができる任意の検出装置を、本明細書に記載された試料調製方法とともに使用することができる。様々な標識を検出する方法が当技術分野において公知である。例えば、比色法、放射能法、表面プラズモン共鳴法、または化学発光法が、例えば、参照により全体として本明細書に組み入れられるCoutleeら、J. Clin. Microbiol. 27:1002-1007 (1989)によって記載されている。ある局面において、捕捉された標的核酸分子は増幅され、PCRに供される。ある局面において、PCRは、本開示の試料調製方法を使用して事前に処理された試料に対して実施される。さらに別の局面において、PCRは、生物学的試料を変性工程、ハイブリダイゼーションおよび捕捉工程、ならびに洗浄工程に供したのち、ビーズ、例えば常磁性ビーズの存在下で実施される。
【0101】
ある局面において、第二または第三またはそれ以降の抗体上に存在する標識が検出されて、それにより、標的核酸分子の存在が示される。様々な標識を検出する方法が当技術分野において公知である。例えば、結合アルカリホスファターゼコンジュゲートは、化学発光により、試薬、例えばLUMI-PHOS 530試薬(Lumigen, Detroit, MI)またはDR2(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて、検出器、例えばE/LUMINAルミノメータ(Source Scientific Systems, Inc., Garden Grove, CA)、OPTOCOMP Iルミノメータ(MGM Instruments, Hamden, CT)など、例えばTurner BiosystemsのVeritas Microplate Luminometerを使用して検出することができる。また、多数の検出技術を順次または平行的に使用することもできる。例えば、コンジュゲートは、化学発光および蛍光によって検出することができる。別の局面において、コンジュゲートは、化学発光によって検出することができる。
【0102】
コンジュゲートのための様々な検出技術を使用する検出器を、試料中の標的核酸分子の存在を判定する方法を実施することができる機械に対し、可逆的または不可逆的に、例えばモジュラー式に取り付けることができる。
【0103】
ポリヌクレオチドプローブ
ポリヌクレオチドプローブは、標的核酸分子とハイブリダイズまたは結合するように設計されている。ある局面において、ポリヌクレオチドプローブは、標的核酸分子に特異的に結合するように設計されている。一つの局面において、ポリヌクレオチドプローブは、約15塩基、約20塩基、約25塩基、約30塩基、約50塩基、約100塩基、約250塩基、約500塩基、約1000塩基の長さである。別の局面において、ポリヌクレオチドプローブは、約15塩基以上、約20塩基以上、約25塩基以上、約30塩基以上、約50塩基以上、約100塩基以上、約250塩基以上、約500塩基以上、または約1000塩基以上の長さである。別の局面において、ポリヌクレオチドプローブは、約15塩基〜約25塩基、約25塩基〜約50塩基、約50〜約100塩基、約250塩基〜約500塩基、または約1000塩基〜約5000塩基の長さである。
【0104】
ある局面において、ポリヌクレオチドプローブは、淋菌、クラミジア・トラコマチス、HPV、高リスクHPVおよび低リスクHPV変異体にハイブリダイズまたは結合することができる。さらなる局面において、ポリヌクレオチドプローブは、HPVおよび高リスクHPV変異体に対して特異的である。高リスク核酸プローブは、高リスクHPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のためのプローブを含み得る。他の局面において、RNAまたはDNAプローブは断片である。ある局面において、プローブは、約6〜約8kbの長さ、好ましくは約7.5kbの長さであり、BLUESCRIPTベクターを使用するプラスミド鋳型を使用して生成することができる。しかし、他のプラスミド、ベクターおよび方法が当技術分野において公知であり、本明細書に記載されたRNAプローブを製造するために使用することができる。
【0105】
プローブは、量がアッセイ一つにつきHPV型一つあたり約7.5ng〜約60ng、またはアッセイ一つにつきHPV型一つあたり約20ng〜約45ngで変化してもよく、またはアッセイ一つにつきHPV型一つあたり約30ngのプローブが使用される。したがって、一つの局面において、HRプローブは、高リスクHPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型または低リスクHPV6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型に関して一つまたは複数のプローブからなるか、または本質的にそれらからなり、標的核酸分子の検出のためにアッセイ一つにつき各プローブ約30ngが使用される。
【0106】
RNAプローブは、標的核酸分子のみに特異的に結合する短い合成RNAプローブであってもよい。例は、参照により全体として本明細書に組み入れられる2009年4月17日出願の米国特許出願第12/426,076号に記載されている。
【0107】
交差反応性
本発明はまた、標準的なFDA認可HPVアッセイおよびプローブセットと比較した場合、HPV HRプローブセットと低リスクHPV型との間の交差反応性が劇的に低下するアッセイ組成物、プローブ、および条件を提供する。一つの局面において、HPV HRプローブセットは、高リスクHPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型または低リスクHPV6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型からなる群より選択される。これらのHR HPVプローブを用いた本アッセイ法を使用すると、低リスクHPV型と高リスクHPVプローブとの間の交差反応性が低下する。例えば、米国特許出願第12/426,076号を参照のこと。
【0108】
本発明はまた、本開示の大量試料調製方法を使用して試料中の標的核酸分子の存在を約30分以内、約1時間以内、約2時間以内、約2.5時間以内、約3時間以内、約3.5時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約12時間以内、約24時間以内で判定し、他の局面においては、上記方法を使用して少なくとも10の試料の場合で約3.5時間未満で判定する方法を提供する。
【0109】
本開示はまた、試料中の標的核酸分子、例えばHPVの存在を約2時間以内、約2.5時間以内、約3時間以内、約3.5時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約6時間以内、約7時間以内、約8時間以内、約12時間以内、約24時間以内で検出し、他の局面においては、上記方法およびアッセイ法を使用して少なくとも10の試料の場合で約3.5時間未満で検出することにより、癌、例えば子宮頸癌を検出する方法およびアッセイ法を提供する。
【0110】
当業者には、非限定的に、管、ディップスティック、マイクロアレイ、マイクロプレート、384ウェルプレート、他のマイクロタイタプレートおよびマイクロ流体システムを含む多数のプラットフォーム上で本発明を実施することができることが理解されよう。当業者には、本発明が、発展途上国に関連するものとして、液体の移動を伴う工程の場合に滴瓶、ゴム球、パスツールピペット、または噴出瓶のようなローテク方法を利用することができるということが理解されよう。これらの装置は、アッセイ法に必要なおおよその範囲内で比較的正確な量を送り出す。ある局面において、本開示の方法は、自動ピペッターまたは他のバッテリ駆動もしくはエネルギー駆動のピペット装置を含まない。
【0111】
検出時間および感度
ある局面において、生物学的試料または臨床試料は、捕集媒体1mLあたり標的細胞またはコピー約1個、約2個、約5個、約10個、約25個、約50個、約100個、約200個、約500個、約1,000個、約5,000個、約10,000個、または約20,000個、または約100,000個の濃度で存在し、単離または検出することができる。別の局面において、生物学的試料または臨床試料は、1mLあたり標的細胞またはコピー約2個以上、約5個以上、約10個以上、約25個以上、約50個以上、約100個以上、約200個以上、約500個以上、約1,000個以上、約5,000個以上、約10,000個以上、または約20,000個以上、または約100,000個以上の濃度で存在し、単離または検出することができる。別の局面において、生物学的試料または臨床試料は、1mLあたり標的細胞またはコピー約2個以下、約5個以下、約10個以下、約25個以下、約50個以下、約100個以下、約200個以下、約500個以下、約1,000個以下、約5,000個以下、約10,000個以下、または約20,000個以下、または約100,000個以下の濃度で存在し、単離または検出することができる。任意の生物学的材料または臨床材料、例えばSiHa細胞が上記濃度で存在し得る。
【0112】
ある局面において、本明細書に開示の試料調製方法およびアッセイ法は、捕集媒体50μl以上、約100μl以上、約250μl以上、0.5mL以上、1mL以上、2mL以上、5mL以上、または10mL以上あたり約1個、約2個、約5個、約10個、約25個、約50個、約100個、約200個、約500個、約1,000個、約5,000個、約10,000個または約20,000個または約100,000個の濃度の標的細胞またはコピーを約5分未満、約10分未満、約15分未満、約20分未満、約25分未満、約30分未満、約45分未満、約1時間未満、約2時間未満、約3時間未満、約6時間未満、約12時間未満、または約24時間未満で単離、同定、または検出することができる。
【0113】
別の局面において、本明細書に開示の試料調製方法およびアッセイ法は、捕集媒体50μl以上、約100μl以上、約250μl以上、0.5mL以上、1mL以上、2mL以上、5mL以上、または10mL以上あたり約1個以上、約2個以上、約5個以上、約10個以上、約25個以上、約50個以上、約100個以上、約200個以上、約500個以上、約1,000個以上、約5,000個以上、約10,000個以上、または約20,000個以上、または約100,000個以上の濃度の標的細胞またはコピーを約5分未満、約10分未満、約15分未満、約20分未満、約25分未満、約30分未満、約45分未満、約1時間未満、約2時間未満、約3時間未満、約6時間未満、約12時間未満、または約24時間未満で単離、同定、または検出することができる。
【0114】
別の局面において、本明細書に開示の試料調製方法およびアッセイ法は、捕集媒体50μl以上、約100μl以上、約250μl以上、0.5mL以上、1mL以上、2mL以上、5mL以上、または10mL以上あたり約2個以下、約5個以下、約10個以下、約25個以下、約50個以下、約100個以下、約200個以下、約500個以下、約1,000個以下、約5,000個以下、約10,000個以下、または約20,000個以下、または約100,000個以下の濃度の標的細胞またはコピーを約5分未満、約10分未満、約15分未満、約20分未満、約25分未満、約30分未満、約45分未満、約1時間未満、約2時間未満、約3時間未満、約6時間未満、約12時間未満、または約24時間未満で単離、同定、または検出することができる。
【0115】
ある局面において、本明細書に記載された方法により、標的核酸分子の約10コピー以下を、約1mL〜約20mLの量の捕集媒体中、約30分〜約3時間の期間で単離、同定、または検出することができる。別の局面において、本明細書に記載された方法により、標的核酸分子の約10コピー以下を、約1mL以上の量の捕集媒体中、約5分、10分、15分、約30分、約45分、約1時間、約2時間、約3時間、約5時間、約10時間、または約24時間で検出することができる。他の局面において、本明細書に記載された方法により、約2個以下、約5個以下、約10個以下、約25個以下、約50個以下、約100個以下、約200個以下、約500個以下、約1,000個以下、約5,000個以下、約10,000個以下、または約20,000個以下、または約100,000個以下の標的核酸分子を、約1mL以上の量の捕集媒体中、約5〜約15分、約15〜約30分、30分〜約1時間、約1時間〜約2時間、約2時間〜約4時間、および約4時間〜約8時間の期間で検出することができる。ある局面において、標的核酸分子は、高リスクHPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型または低リスクHPV6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型からなる群より選択される少なくとも一つのHPVプローブに結合またはハイブリダイズすることができる。別の局面において、標的核酸分子は、淋菌またはクラミジア・トラコマチスの標的に特異的なプローブに結合またはハイブリダイズすることができる。
【0116】
ある局面において、本開示の試料調製方法を半自動または全自動アッセイ法または機器とともに使用することにより、臨床試料または生物学的試料を上記検出感度で処理することができる。例えば、本開示の大量試料調製方法を、いずれも参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許出願第12/508,304号、米国特許出願第12/508,306号、および米国特許出願第12/622,131号に述べられたアッセイ法、方法、および機器とともに使用することにより、臨床試料または生物学的試料を処理することができる。
【0117】
別の局面において、本明細書に記載された配列特異的な大量試料調製方法は、標的核酸分子を、1mL以上の量の捕集媒体中15,000コピーの感度で3時間未満で同定することができる。さらには、別の局面において、全ゲノム増幅(WGA)と組み合わせたハイブリッド捕捉により、HPV16標的100コピーの感度が2mL以上の捕集媒体の投入量で検出される。
【0118】
ある局面において、本開示の方法は、現場における患者試料の捕集および処理を含み得る。一つの局面においては、試料が捕集されたのち、方法工程のいくつかが、患者試料が捕集されたのと同じ場所で実施される。別の局面においては、方法工程のすべてを、試料が捕集されたのと同じ場所で実施することができる。場所は、個人が医療検診および評価を受ける村落、診療所、研究所、または共用区域であり得る。場所は、永久的な場所であってもよいし、一時的な場所であってもよい。ある局面において、核酸分子は、試料が採取された場所とは異なる場所、例えば研究所または診療所で検出される。ある局面において、医療へのアクセスが容易ではない発展途上国または地理的区域における使用のためのキットが設計される。
【0119】
また、本明細書に記載された大量試料調製および検出法の速度は、人里離れた生活区域における患者からの生物学的試料または臨床試料を迅速かつ正確に診断し、スクリーニングする際に有益である。多くの場合、患者は、医師または診療所を訪問するためにかなりの距離を移動し、その後、当分は再訪問しない可能性が高い。したがって、患者を試験したのち、患者が診療所で待つ間に結果を提供することができることが望ましい。そのような状況下では、患者が診療所を離れた後、患者を追跡して試験結果を提供する、および/または患者を処置することは困難である可能性がある。
【0120】
本開示の方法およびアッセイ法は、大量試料を迅速に調製しかつ標的核酸分子を検出する方法の必要性に対処する。記載されたアッセイ法は、短時間、例えば約30分〜約1時間、約30分〜約2時間、約1時間〜約2時間、約1時間〜約3時間、または約2時間〜約4時間で標的核酸分子を同定することにより、結果を提供する。別の局面において、記載された方法およびアッセイ法は、15分未満、30分未満、約45分未満、1.0時間未満、2時間未満、3時間未満、4時間未満、8時間未満、12時間未満、および24時間未満で結果を提供する。このような短い所要時間は、患者が診療所に来たのと同じ日に医師が患者に結果および/または治療を提供することを可能にする。
【0121】
キット/診断アッセイ法
同じく提供されるものは、
A. 捕集媒体、
B. 変性試薬、
C. 溶解バッファー、
D. 少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブ、
E. 抗体でコートされたビーズ、および
F. 洗浄バッファー
を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる大量試料調製キットまたは診断アッセイ法である。
【0122】
同じく提供されるものは、
A. 捕集媒体、
B. 変性試薬、
C. 溶解バッファー、
D. 洗浄バッファー、
E. 対象の標的核酸分子にハイブリダイズする/それを捕捉することが可能なポリヌクレオチドプローブを生成するためのコンピュータソフトウェア
を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる大量試料調製キットまたは診断アッセイ法である。
【0123】
ある局面において、キットまたは診断アッセイ法はまた、再懸濁バッファーを含み得る。
【0124】
ある局面において、評価される試料が体液、例えば血液、尿、または血清である場合、捕集媒体がキットまたは診断アッセイ法に含まれなくてもよい。
【0125】
ある局面において、キットまたは診断アッセイ法は大量試料調製のために構成されている。ある局面において、キットまたは診断アッセイ法は、任意の上記捕集媒体約50μl以上、約100μl以上、約250μl、約0.5mL以上、約0.75mL以上、約1.0mL以上、約1.25mL以上、約1.5mL以上、約2.0mL以上、約2.5mL以上、約3.0mL以上、約5.0mL以上、約10mL以上、約15mL以上、約25mL以上、約30mL以上、約50mL以上、または約100mL以上の試料調製のために構成されている。ある局面において、キットまたは診断アッセイ法は、標的核酸分子を検出するための試料調製方法で使用される場合、捕集媒体50μl以上、約100μl以上、約250μl以上、0.5mL以上、1mL以上、2mL以上、5mL以上、または10mL以上あたり約2個以下、約5個以下、約10個以下、約25個以下、約50個以下、約100個以下、約200個以下、約500個以下、約1,000個以下、約5,000個以下、約10,000個以下、または約20,000個以下、または約100,000個以下の濃度の標的細胞またはコピーを約5分未満、約10分未満、約15分未満、約20分未満、約25分未満、約30分未満、約45分未満、約1時間未満、約2時間未満、約3時間未満、約6時間未満、約12時間未満、または約24時間未満で単離、同定または検出することに関する詳細なアッセイ指示書を提供する。ある局面において、非限定的に、詳細な指示書は、図9および10の例示的なプロトコルに見られるものである。
【0126】
ある局面において、プラスチック管、例えばエッペンドルフ管、スナップキャップ管、または上記量の液体を収容することができる任意の他の管をキットに含めることができる。
【0127】
別の局面において、キットまたは診断アッセイ法は、標的核酸分子を検出するための試料調製方法で使用される場合、10コピー以上の濃度の標的核酸分子を約15分未満、約30分未満、約45分未満、または約1時間未満で単離、同定、または検出するために必要な条件に関する詳細なアッセイ指示書を提供する。別の局面において、標的核酸分子の50コピー以下が約30分〜約1時間の期間で検出される。
【0128】
非限定的に、キットに付随する指示書は、紙、コンピュータソフトウェア、または指示書をアップロードするためのウェブサイトへのリンクであり得る。
【0129】
ある局面において、指示書は、試料調製中に遠心分離工程を使用しないことを示す。別の局面において、指示書は、洗浄工程後、ビーズが存在する状態で試料をPCRで増幅することができることを示す。
【0130】
ある局面において、キットまたは診断アッセイは、例えば図9および10に示されるプロトコルを詳述する指示書を含み得る。ある局面において、キットに含まれる指示書は、従うと、検出されるコピー数/溶液の量/時間に関して上記感度および完了時間をもたらすものである。
【0131】
別の局面において、キットまたは診断アッセイ法は、いずれも参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許出願第12/508,304号、米国特許出願第12/508,306号、および米国特許出願第12/622,131号に述べられたアッセイ法、方法、および機器とともに使用することができる。別の局面において、キットに付随する指示書は、本開示の試料調製方法を自動化または半自動化プラットフォームで使用する場合の手引きを提供する。さらなる局面において、キットまたは診断アッセイ法は、管、ピペットチップ、マイクロタイタプレート、または本明細書に記載の試料調製方法を前記参照文献の自動化プラットフォームとともに実施するための他の機構を含み得る。
【0132】
前記の捕集媒体、変性試薬、溶解バッファー、少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブ、ビーズ、および洗浄バッファーは、いずれも、キットまたは診断アッセイ法とともに使用することもできるし、キットまたは診断アッセイ法に付随させることもできる。
【0133】
キットはまた、本開示の方法およびアッセイ法に関連する手順を説明するための指示書を含むこともできる。キットはまた、患者情報を転記するための手段を含むこともできる。ある局面において、手段は、紙、コンピュータ、または患者情報を伝達することができる装置を含む。キットは、患者試料が採取されたのと同じ場所で方法を完了するために必要なすべての構成要素を含み得る。
【0134】
ある局面において、キットは、検出アッセイ法に関連する色分けされた試薬を含み得る。試薬バイアルは、使いやすいように色分けされ、キットに含めることができる。試薬瓶もまた、記号、文字、または他の公知の識別子によって識別され得る。
【0135】
キットの個々の構成要素は、使いやすいプラットフォームにおいて一体化できるため、本明細書に記載されたキットの一つの利点は、試料の速やかな試験が提供されるということである。これは、患者の結果の迅速な判定を可能にする。
【0136】
ある局面において、本開示の方法は、現場における患者試料の捕集および処理を含み得る。一つの局面においては、試料が捕集されたのち、方法工程のいくつかが、患者試料が捕集されたのと同じ場所で実施される。別の局面においては、方法工程のすべてを、患者試料が捕集されたのと同じ場所で実施することができる。場所は、個人が医療検診および評価を受ける村落、診療所、研究所、または共用区域であり得る。場所は、永久的な場所であってもよいし、一時的な場所であってもよい。ある局面において、核酸分子は、試料が採取された場所とは異なる場所、例えば研究所または診療所で検出される。ある局面において、キットは、医療へのアクセスが容易ではない発展途上国または地理的区域における使用のために設計される。
【0137】
以下の実施例は単なる例であり、本開示をいかなるふうにも限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0138】
実施例1
清浄PRESERVCYT捕集媒体1mL中、YTブロッカー25μl中0.04%でビーズ濃度を試験する。溶解バッファー250μl、変性バッファー500μl、プローブ希釈剤中のプローブ800μlおよびsynRNA 2nmを含む清浄PRESERVCYT 1mL中で反応を実施する。ハイブリダイゼーション反応を室温で30分間実施する。ビーズ濃度は、YT 25μl中0.5、1.0、1.5および2.0×0.04%ビーズから試験した。図1に示すように、バックグランドはビーズ濃度に依存する。そのうえ、ビーズ濃度を増すと、バックグラウンドおよびローシグナルが減り、それにより、S/N比に有利である。
【0139】
実施例2
室温で30分および60分のインキュベーションによるハイブリッド捕捉大量試料調製。試験したビーズ濃度はYT 25μl中0.04%である。清浄PRESERVCYT捕集媒体および臨床PRESERVCYT捕集媒体1mLを、淋菌ゲノムDNAの0コピー、10コピー、25コピー、および100コピーで試験する。溶解バッファー250μl、変性バッファー500μl、プローブ希釈剤中のプローブ800μlおよびsynRNA 2nmを含む清浄PRESERVCYT捕集媒体または臨床PRESERVCYT媒体1mL中で反応を実施する。図2に示すように、ハイブリッド捕捉時間を60分に増しても、標的の捕捉には有意な利点はない。例えば、10コピーの場合、60分のハイブリッド捕捉では欠落(dropout)がより少ない。しかし、100コピーまたは1000コピーでは明確な利点は見られない。100コピーおよび1000コピーでのローシグナルは、同程度のバックグランドで、より短いインキュベーションの場合により高い。これは、清浄バックグランド系および臨床バックグランド系の両方に当てはまる。
【0140】
実施例3
淋菌ゲノムDNAの0コピー、10コピー、25コピー、および100コピーを含む清浄PRESERVCYT捕集媒体および臨床PRESERVCYT捕集媒体1mL中、室温および50℃のインキュベーションにおけるハイブリッド捕捉試料調製を調査する。試験したビーズ濃度はYT 25μl中0.04%であった。溶解バッファー250μl、変性バッファー500μl、プローブ希釈剤中のプローブ800μlおよびsynRNA 2nmを含む清浄PRESERVCYT 1mL中で反応を実施する。ハイブリダイゼーション反応を30分間実施する。図3および表1に示すように、10コピーを超えると、清浄PRESERVCYT媒体と臨床PRESERVCYT媒体とでシグナルにおける有意な差はないように見える。10コピーにおいて大きな程度のばらつきは認められるが、10コピーの清浄媒体のすべての試料が検出されているように見える。また、50℃と室温とでは検出におけるいかなる有意な差もないように見える。
【0141】
【表1】

【0142】
実施例4
淋菌ゲノムDNAの0コピー、10コピー、25コピー、100コピー、1000コピー、および10,000コピーを検出する場合におけるPRESERVCYT媒体1mLと比較した、尿ベースの媒体1mL中のハイブリッド捕捉大量試料調製。試験したビーズ濃度は、溶解バッファー250μl、変性バッファー500μl、プローブ希釈剤中のプローブ800μlおよびsynRNA 2nmを含むYT 25μl中0.04%である。ハイブリッド/捕捉反応を30分間実施する。
【0143】
図4および表2に示すように、尿(pH6.5)1mL中のsynRNA捕捉の適合性の試験を実施した。尿ベースの媒体に関しては二つの欠落しか認められない(一つは100コピーでのもの、もう一つは10コピーでのもの。それに比べ、PRESERVCYT対照の場合、10コピーで二つ、25コピーで二つある)。10,000コピーまで、有意なフック効果は見られない。尿のバックグラウンドもまた非常に低く、比較的高いS/N値をもたらしている。
【0144】
【表2】

【0145】
実施例5
淋菌ゲノムDNAの10,000コピーを含む清浄PRESERVCYT捕集媒体1mL中、一定範囲のRNA濃度を試験する。表3において、0.672nM、1.344nM、および2.688nMのRNA濃度が試験されている。表3に示すように、大量プラットフォームを使用すると、0.672nM、1.344nM、および2.688nMのRNA濃度の場合、ローシグナルまたはS/Nのいずれにおいても有意な差はないように見える。S/N比は約2のままである。
【0146】
【表3】

【0147】
実施例6
サルコシル、DTT、およびTween 20を含有する溶解バッファーの有効性をMaas-Dalhoff溶解バッファー(J. Clin. Microbiol 1994で公表)と比較する。Maas-Dalhoff溶解バッファーは、Tris-HCl、SDS、Tween 20、NP-40、およびプロテイナーゼKを含有する。変性および溶解バッファーを用いて溶解/変性工程を50℃で30分間実施する。変性工程中、振とうは加えない。ハイブリッド捕捉工程を、900rpmで振とうしながら約50℃で約30分間実施する。ハイブリッド捕捉工程は、2.0nMの濃度の500塩基対synRNAプローブを0.00039%のビーズとともに使用するモノプレックス捕捉である。Omp7プライマーおよびomp_TYEプローブによるCTゲノム、またはOpaDvプライマーおよびOpaDb1_TyeプローブによるNGゲノムのいずれかを用いたモノプレックスtHDAモデルにより実験を実施する。図5に示すように、CT EBを標的として使用した場合、サルコシル、DTT、およびTween 20を含有する溶解バッファーは、Maas-Dalhoff溶解バッファーを用いて実施した実験よりも高いS/N比を示す。
【0148】
実施例7
サルコシル、DTT、およびTween 20を含有する溶解バッファーを、大量プラットフォームにて、50℃で15分および30分のインキュベーション時間をかけて評価する。変性/溶解工程中、振とうは加えない。ハイブリッド捕捉工程を、900rpmで振とうしながら50℃で30分間実施する。ハイブリッド捕捉工程は、2.0nMの濃度の500塩基対synRNAプローブを0.00039%のビーズとともに使用するモノプレックス捕捉である。Omp7プライマーおよびomp_TYEプローブによるクラミジア・トラコマチスゲノム、またはOpaDvプライマーおよびOpaDb1_Tyeプローブによる淋菌ゲノムのいずれかを用いたモノプレックスtHDAモデルにより実験を実施する。図6に示すように、クラミジア・トラコマチスEBを標的として、溶解/変性工程を15分および30分で評価した。図7に示すように、NG細胞を標的として、溶解/変性工程を15分および30分で評価した。サルコシル、DTT、およびTween 20を含有する溶解バッファーは、Maas-Dalhoff溶解バッファーを用いて実施した実験よりも高いS/N比を示す。変性/溶解時間の短縮はS/Nに対してマイナスの影響を及ぼさない。15分の溶解および30分の溶解の両方で、EB標的25個投入の場合に一つの欠落が見られた。
【0149】
上記条件下、ハイブリッド/捕捉工程を15分および30分で評価する。図8に示すように、ハイブリダイゼーション変性/捕捉時間の短縮はS/N比に対してマイナスの影響を及ぼさない。S/Nにおける全体的な低下は、30分のハイブリッド/捕捉におけるバックグランドのわずかな増大によって引き起こされている。ローシグナルは、投入細胞25個の場合と投入細胞100個の場合とでは同程度である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)生物学的試料を約1mL以上の捕集媒体中に懸濁する工程、
(b)懸濁した該生物学的試料に変性剤および溶解バッファーを加えることによって該生物学的試料を変性および溶解させる工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした該標的核酸分子を支持体上に捕捉する工程
を含む大量試料調製方法であって、
変性および溶解工程(b)が約10分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせが約25分未満で完了し、標的核酸分子の10コピー以上が約1時間未満で単離される、
方法。
【請求項2】
標的核酸分子の10コピー以上が約30分未満で単離される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
標的核酸分子の10コピー以上が約15分未満で単離される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
変性および溶解工程(b)が約7.5分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせが約22.5分未満で完了する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
変性および溶解工程(b)が約5分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせが約15分未満で完了する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
捕集媒体が、0.5%〜約2.0%のNP-40、約0.10%〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25mM〜約75mMのTris-HCl、約10mM〜約50mMのEDTA、約50mM〜約200mMのNaCl、および約0.01%〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
捕集媒体が、PRESERVCYT、STM、およびSUREPATHからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
(e)捕捉されたハイブリッド−支持体を洗浄バッファーで洗浄する工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
方法工程(a)〜(e)が約20分〜約40分で完了する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
遠心分離工程を含まない、請求項1記載の方法。
【請求項11】
洗浄工程(e)まで、標的核酸分子が細胞生物学的材料の残りから分離されない、請求項8記載の方法。
【請求項12】
生物学的試料が子宮頸部細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
(a)生物学的試料を約1.0mL以上の捕集媒体中に懸濁するか、または尿、血液、もしくは血清中の生物学的試料を得る工程、
(b)該生物学的試料中の標的核酸分子を変性させる工程、
(c)少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブと該標的核酸分子とを接触させることによって二本鎖核酸ハイブリッドを形成する工程、
(d)該二本鎖核酸ハイブリッドを支持体上に捕捉することによって二本鎖核酸ハイブリッド−支持体複合体を形成する工程
を含む、試料大容量中の標的核酸分子の存在を検出するための方法であって、
標的核酸分子の10コピー以上が約30分〜約3時間で同定可能である、
方法。
【請求項14】
(e)捕捉されたハイブリッド−支持体複合体によるペレットの形成を許容し、かつ捕捉された該ハイブリッド−支持体を洗浄バッファーで洗浄する工程
をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
捕集媒体が、0.5%〜約2.0%のNP-40、約0.10%〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25mM〜約75mMのTris-HCl、約10mM〜約50mMのEDTA、約50mM〜約200mMのNaCl、および約0.01%〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
捕集媒体が、PRESERVCYT、STM、およびSUREPATHからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項17】
変性工程が約30分未満で完了する、請求項13記載の方法。
【請求項18】
ハイブリッド−捕捉工程が約30分未満で完了する、請求項13記載の方法。
【請求項19】
変性工程が約10分未満で完了する、請求項17記載の方法。
【請求項20】
ハイブリッド−捕捉工程が約25分未満で完了する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
遠心分離工程を含まない、請求項13記載の方法。
【請求項22】
標的核酸分子がクラミジア・トラコマチス(C. trachomatis)由来である、請求項13記載の方法。
【請求項23】
標的核酸分子が淋菌(N. gonorrhoeae)由来である、請求項13記載の方法。
【請求項24】
(a)生物学的試料を約100μl以上の捕集媒体中に懸濁する工程、
(b)懸濁した該生物学的試料に変性剤および溶解バッファーを加えることによって該生物学的試料を変性および溶解させる工程、
(c)標的核酸分子を少なくとも一つのポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる工程、
(d)ハイブリダイズした該標的核酸分子を支持体上に捕捉する工程
を含む試料調製方法であって、
変性および溶解工程(b)が約10分未満で完了し、ハイブリダイズ工程(c)と捕捉工程(d)との組み合わせが約25分未満で完了し、標的核酸分子の10コピー以上が約1時間未満で単離される、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−516157(P2012−516157A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548258(P2011−548258)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/022264
【国際公開番号】WO2010/088292
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(510069559)キアジェン ゲイサーズバーグ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】