説明

配管カバー

【課題】作業性が向上された配管カバーを提供する。
【解決手段】外壁に取付けられる配管カバー本体2と、配管カバー本体2に着脱可能に取付けられる防虫フィルター3と、防虫フィルター3の外側を覆う状態で防虫フィルター3に着脱可能に取付けられる防虫フィルターカバー4と、防虫フィルター3と配管カバー本体2との間に設けられ、回転を伴う操作により防虫フィルター3を防虫フィルターカバー4と一緒に配管カバー本体2に対し係脱させる回転係脱手段10とを具備し、回転係脱手段10は、配管カバー本体2に形成された円形孔11の内周面11aに設けられた凹部12aと、防虫フィルター3に形成され、円形孔11に嵌め込むことにより位置決めされる環状突起13と、環状突起13に形成され、環状突起13を円形孔11に対して所定角度に回転させたときに凹部12aに係脱可能な突出部14aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物外壁の外側に屋内から導出された配管の屋外部分を覆う配管カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、種々の機能を有する空調機が出現している。例えば、室内機より室外へ換気ホースを設けた換気機能を有する空調機、或いは、室内機に設けたフィルターに付着したゴミを自動的に掃除する機能を有する空調機、或いは、掃除により収集したゴミを上述した換気用の風通路より自動的に排出する空調機などがある。
【0003】
ところで、前述した換気機能を有する空調機における換気ホースは配管カバーにより保護されている。したがって、前記換気ホースは室内と室外との風通路を形成するものとなるが、その風通路から侵入する虫を除けるため、配管カバーとしては防虫フィルターを有しているものがある(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−190632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した提案配管カバーにあっては、外壁に取付けられる配管カバー本体と、その配管カバー本体に取付けられる防虫フィルターと、その防虫フィルターの外側を覆う状態で配管カバー本体に取付けられる防虫フィルターカバーとを有する構成とされる。
【0006】
また、上述したように室内機が掃除により収集したゴミを自動的に排出する空調機であっても、ゴミを配管カバーから排出したくない場合もあり、その場合には防虫フィルターにゴミが溜まってしまい、定期的な清掃作業を行う必要がある。
【0007】
したがって、上記提案配管カバーによる場合には、配管カバーの施行完了の確認時や、防虫フィルターを掃除するとき、まず防虫フィルターカバーを配管カバー本体から取外し、その後に防虫フィルターを配管カバー本体から外す必要があり、作業性に難点があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、作業性が向上された配管カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外壁から導出された少なくとも換気用配管を覆う配管カバーにおいて、外壁に取付けられる配管カバー本体と、前記配管カバー本体に着脱可能に取付けられる防虫フィルターと、前記防虫フィルターの外側を覆う状態で前記防虫フィルターに着脱可能に取付けられる防虫フィルターカバーと、前記防虫フィルターと前記配管カバー本体との間に設けられ、回転を伴う操作により前記防虫フィルターを前記防虫フィルターカバーと一緒に前記配管カバー本体に対し係脱させる回転係脱手段とを具備することを特徴とする。本発明では、防虫フィルターカバーが防虫フィルターに取付けられるので、回転係脱手段を介して配管カバー本体から防虫フィルターを外すことにより、防虫フィルターと防虫フィルターカバーを一緒に取り外すことができ、作業性を向上させ得る。
【0010】
前記配管カバーにおいて、前記回転係脱手段は、前記配管カバー本体及び前記防虫フィルターの一方に形成された円形孔の内周面に設けられた凹部と、前記配管カバー本体及び前記防虫フィルターの他方に形成され、前記円形孔に嵌め込むことにより位置決めされる環状突起と、前記環状突起に形成され、前記環状突起を前記円形孔に対して所定角度に回転させたときに前記凹部に係脱可能な突出部とを有するようにしてもよい。この構成の場合には、円形孔に環状突起を嵌め込むと配管カバー本体に対して防虫フィルターが所定の位置に位置決めされた状態になり、その状態で防虫フィルターを回転させると、環状突起の外側面に設けた突出部が円形孔の内周面に形成された凹部に出入りして係脱状態になる。
【0011】
前記配管カバーにおいて、前記環状突起は、前記防虫フィルターの回転に伴って前記突出部を前記円形孔の内周面の凹凸に応じて環状突起の内外方向へ変位させる弾性変位部を有し、前記防虫フィルターが所定の角度から他の角度へ回転するときに、前記弾性変位部が前記円形孔の内側へ変位することに伴って前記突出部が前記凹部から抜け出ることで、前記防虫フィルターを前記配管カバー本体から外すことができるようにしてもよい。この構成の場合には、突出部が凹部から抜け出ようとすると、凹部の回転方向隣りに位置する凸部からの力を受けて弾性変位部が変形し、突出部が凹部から抜け出て非係止状態になる。よって、その非係止状態になる回転角度のとき防虫フィルターを配管カバー本体から外すことが可能になる。また、係脱時に、弾性変位部の変形を利用できるので、係止を確実な状態にする一方で、スムーズな装着、取外しを行うことができる。
【0012】
更にまた、前記配管カバーにおいて、前記防虫フィルターカバーと前記防虫フィルターとの間に、前記防虫フィルターに対して前記防虫フィルターカバーを、引き抜き・押し付けを伴う操作により着脱可能に取付けるための直動係脱手段が設けられていることが好ましい。この構成の場合には、回転を伴う操作で係脱させる回転係脱手段とは操作方向が異なるので、直動係脱手段による係脱と回転係脱手段による係脱とが同時に行われることがなく、択一的に行うことができる。
【0013】
更にまた、前記配管カバーにおいて、前記直動係脱手段は、前記防虫フィルターカバー及び前記防虫フィルターのうちの一方に設けられた凹状係止部と、前記防虫フィルターカバー及び前記防虫フィルターのうちの他方に設けられ、前記凹状係止部に係止される凸状被係止部とを有する構成とすることができる。
【0014】
更にまた、前記配管カバーにおいて、前記防虫フィルターカバーは前記防虫フィルターの側面を覆う側壁部を有し、前記防虫フィルターの側面および前記防虫フィルターカバーの側壁部のうちの一方に、他方に嵌着される突条部が形成されていることが好ましい。この構成の場合には、防虫フィルターに防虫フィルターカバーを取付けた状態で、突条部が防虫フィルターの側面または防虫フィルターカバーの側壁部に嵌着されるので、防虫フィルターカバーの変形を抑制でき、これに伴って防虫フィルターカバーの防虫フィルターからの脱落を抑制し得る。
【0015】
更にまた、前記配管カバーにおいて、前記防虫フィルターと前記配管カバー本体との間に、前記防虫フィルターが前記配管カバー本体から落下することを防止する落下防止手段が設けられている構成とすることができる。この構成の場合には、弾性変位部が変形して突出部が凹部から抜け出ようとしても、換言すると防虫フィルターが配管カバー本体から落下しようとしても、落下防止手段がその落下を防止することとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、防虫フィルターカバーが防虫フィルターに取付けられるので、回転係脱手段を介して配管カバー本体から防虫フィルターを外すことにより、防虫フィルターと防虫フィルターカバーを一緒に取り外すことができ、作業性が向上された配管カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る配管カバーとこれにより覆われる配管とを示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る配管カバーを示す分解斜視図である。
【図3】図1の配管カバーを示す縦断面図である。
【図4】図1の配管カバーを示す背面図である。
【図5】図1の配管カバーを示す正面図である。
【図6】図5の配管カバーを示す底面図である。
【図7】図1の配管カバーを構成する防虫フィルターを示す左側面図である。
【図8】図7の防虫フィルターを示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態につき具体的に説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る配管カバーとこれにより覆われる配管とを示す模式図(縦断面図)であり、図2はその配管カバーを示す分解斜視図、図3はその配管カバーを示す縦断面図、図4はその配管カバーを示す背面図、図5はその配管カバーを示す正面図、図6はその配管カバーを示す底面図、図7はその配管カバーを構成する防虫フィルターを示す左側面図、図8はその防虫フィルターを示す外観斜視図である。
【0020】
この配管カバー1は、建物の外壁50の内側から外側へ導出された第1配管51、第2配管52の折れ曲がり部分51a、52aを覆うものであり、第1配管51についてはその折れ曲がり部分51aの少し下側の出口51bも覆っている。第1配管51は、換気用配管であり、第2配管52は図示しない室内機と室外機を連結する配管である。なお、第2配管52の内部には室内機と室外機を連結する電線が通されることもある。第2配管52の配管カバー1で覆われた部分よりも下側の部分は、別の直管状の配管カバー53により覆われる。
【0021】
上記配管カバー1は、外壁50に取付けられる配管カバー本体2と、配管カバー本体2に着脱可能に取付けられる防虫フィルター3と、防虫フィルター3の外側を覆う状態で防虫フィルター3に着脱可能に取付けられる防虫フィルターカバー4とを具備する。
【0022】
配管カバー本体2は、2つの第1部分2A、第2部分2Bに二分割された構成となっていて(図2参照)、両部分2A、2Bを連結して使用される。第2部分2Bは外壁50に沿う概略平面状のもので、第1部分2Aは第2部分2Bと対向する対向部2A1と、その対向部2A1よりも上側の上側部2A2と、対向部2A1及び上側部2A2の周囲であって下側を除く部分に形成された縁部2A3とを有し、上側部2A2に円形孔11が形成されている。
【0023】
第1部分2Aには、外壁50に取付ける取付孔2aが複数、図示例では3つ形成され、第2部分2Bには2つの取付孔2bが形成されており、第1部分2Aの下側の2つの取付孔2aと第2部分2Bの2つの取付孔2bとは対応する位置に配設されていて、取付孔2a及び取付孔2bを介してビス止めし、第1部分2Aの上端の1つの取付孔2aを介してビス止めすることで、配管カバー本体2が外壁50に取付けられる。なお、配管カバー本体2は、第2部分2Bを省略した構成や、第2部分2Bが第1部分2Aに一体化された構成としてもよい。
【0024】
前記防虫フィルター3は、縦断面が概略L字状に形成されていて、配管カバー本体2に対し取付けられる取付部3aと、フィルター部3bとを有し、取付部3aとフィルター部3bとのなす角度θは(図3参照)、90゜よりも大きく、配管カバー本体2に防虫フィルター3を取付けた状態において、フィルター部3bは外壁50寄りを高く、外壁50から遠い側を低くするように傾斜している。上記取付部3aは、前記上側部2A2と略平行になっている。
【0025】
また、フィルター部3bは、その幅方向Wに沿って配列されて複数の換気用長孔3hが形成されている(図6参照)。長孔3hは、前記幅方向Wと略直交する方向に長いものである。また、取付部3aのフィルター部3b寄りの部分には、フィルター部3bを切離すための凹溝3kが幅方向Wに形成されていて(図2、図8参照)、フィルター部3bを取付部3aに対して相対的に折り曲げることで、フィルター部3bを凹溝3kの箇所で切離すことができるようになっている。
【0026】
この防虫フィルター3は、防虫フィルター3と配管カバー本体2との間に設けた回転係脱手段10により配管カバー本体2に着脱可能に取付けられる。また、前記防虫フィルターカバー4は、防虫フィルターカバー4と防虫フィルター3との間に設けた直動係脱手段20により防虫フィルター3に着脱可能に取付けられる。
【0027】
前記回転係脱手段10は、着脱に際して回転を伴う操作を要するものであり、前記直動係脱手段20は着脱に際して引き抜き・押し付けを伴う操作を要するものであり、前記回転係脱手段10と前記直動係脱手段20とは着脱方向が異なっている。このことは、後で詳述する。
【0028】
回転係脱手段10は、図2に示すように配管カバー本体2に形成された前記円形孔11の周縁部に沿うように配管カバー本体2に設けられた第1係止部12と、防虫フィルター3の取付部3aの背面3m側(配管カバー本体2側)に形成され、円形孔11に嵌め込むことにより位置決めされる環状の位置決め用突起13と、前記取付部3aの配管カバー本体2側に配設され、所定角度に回転させたときに第1係止部12に対して係脱可能な第1被係止部14とを有する。なお、取付部3aには、環状の突起13の内側に円形の換気配管挿通孔3cが設けられている。この換気配管挿通孔3cは、少なくとも配管51を挿通させることができる大きさであってもよい。
【0029】
第1係止部12は、円形孔11の内周面11aに形成された複数(例えば4つ)の凹部12aを有し、これら凹部12aは等配位置、例えば時計の0時、3時、6時、9時の4等配の位置に配設されている。なお、図2には、上述した4つの凹部12aのうちの一つは、表れていない。
【0030】
第1被係止部14は、複数(図示例では4つ)の突出部14aを有し、各突出部14aは、環状の突起13を円形孔11に嵌め込んだ状態でその円形孔11に沿うように、つまり環状の突起13に沿うように配設され、かつ環状の突起13の外側面に、突起13の径方向の外方に突出するように設けられていて、防虫フィルター3の配管カバー本体2に対する相対的な回転により前記凹部12aのそれぞれに嵌り込む。これに伴って凹部12aの両側面12bにより突出部14aは周方向に係止される。この係止により防虫フィルター3が回り止めされた状態で配管カバー本体2に取付けられる。ここで、特に断らない限り、周方向とは円形孔11の周縁に沿った方向をいい、回転方向ともいう。また、突起13の軸心の方向を軸方向といい、突起13の内外方向を径方向という。更に、外壁50側を背面側といい、外壁50から離れる側を前面側という。
【0031】
上記突出部14aの配置は、前記凹部12aと同様の配置に設定されている。また、突出部14aは、環状の突起13に設けた弾性変位部13aの回転方向中央部に配設されている。弾性変位部13aは、突起13の背面3m側の内側を窪ませて薄肉にした部分により構成され、外力を受けると環状の突起13の内外方向(径方向)へ弾性的に変位し、外力が作用しなくなると元の状態に戻るようになっている。この弾性変位部13aの存在により、突出部14aと凹部12aとの係脱が可能になっている。すなわち、防虫フィルター3が回転することにより、環状突起13の外側面に設けた突出部14aが前記内周面11aにより押されて弾性変位部13aが変形し、円形孔11の内周面11aに形成された凹部12aに入ると、突出部14aが凹部12aに係止されるとともに、弾性変位部13aが元の状態に戻る。また、防虫フィルター3が回転することにより突出部14aが凹部12aから抜け出ようとすると、凹部12aの回転方向隣りに位置する凸部(側面12b)からの力を受けて弾性変位部13aが変形し、突出部14aが凹部12aから抜け出て非係止状態になる。更に、係脱時に、弾性変位部13aの変形を利用できるので、係止を確実な状態にする一方で、スムーズな装着、取外しを行うことができる。
【0032】
また、取付部3aにおける弾性変位部13aの前面3i側には、弾性変位部13aと周方向の幅寸法をほぼ等しくした孔3dが形成されていて、この孔3dの形成により弾性変位部13aの前記変位が小さな外力によって起こる。なお、弾性変位部13aは、この図示例では突出部14aの部分と突出部14aの両側の部分とを含む範囲に形成しているが、突出部14aの部分を省略し突出部14aの両側の部分のみに形成してもよい。
【0033】
また、環状の突起13には、各弾性変位部13aの間の部位に切欠部13bがそれぞれ(合計4つ)設けられるとともに、それらの切欠部13bには落下防止用の係止片13cがそれぞれ設けられており(図8参照)、切欠部13bの両側面13b1と係止片13cとの間には隙間が形成されている(図8参照)。前記係止片13cは、突起13の突出方向と同じ方向に突出形成されていて、係止片13cの先端側には径方向に突出するように係止爪13dが設けられている。円形孔11の内周面11aに形成された係止溝11b(図2参照)に係止爪13dが係止されることにより、防虫フィルター3が配管カバー本体2から落下することが防止される。つまり、前記係止片13cと係止溝11bとは、落下防止手段を構成し、前記弾性変位部13aが変位して突出部14aが凹部12aから外れ、これに伴って防虫フィルター3が配管カバー本体2から落下することを、前記落下防止手段は防止する。なお、取付部3aにおける係止片13cの前面3i側の端部の外側位置には、円弧状の長孔3eが形成されている。
【0034】
また、突起13の突出方向(取付部3aの前後方向)において、上記係止爪13dと上記突出部14aとの位置が異ならせてあり、係止爪13dの係止溝11bに対する軸方向の係止と、突出部14aの凹部12aに対する抜け止めとが支障無く行い得るようになっている。
【0035】
また、前記上側部2A2の前面3i側(外壁取付側とは反対側)には、前記円形孔11の周囲に、前面3iに向けて突出した環状の庇2b(図3参照)が円形孔11の全周にわたって設けられている。一方、防虫フィルター3には、外壁50側に、防虫フィルター3を配管カバー本体2に取付けた状態で前記庇2bに当接する環状の当接部3jが形成されていて(図3参照)、防虫フィルター3と配管カバー本体2との当接部(隙間)aから入った水分が、前記庇2bの外側に形成された空間3n(図3参照)を介して外部へ排出されるようになっている。
【0036】
前記直動係脱手段20は、上述したように防虫フィルターカバー4と防虫フィルター3との間に設けられていて、引き抜き・押し付けを伴う操作を要するものであり、前記回転係脱手段10とは操作方向が異なっている。この直動係脱手段20は、防虫フィルター3に設けられた第2係止部21と、防虫フィルターカバー4に設けられ、第2係止部21に係止される第2被係止部22とを備える。
【0037】
防虫フィルターカバー4は、防虫フィルター3における取付部3aの側面3f、および取付部3aの前面3i及びフィルター部3bの上面を覆うように形成されていて(図7参照)、防虫フィルターカバー4における前記側面3fを覆う側壁部4bの内面4aに、第2被係止部22としての複数(図示例では5つ)の凸状被係止部22aが形成されている。一方、防虫フィルター3における取付部3aの側面3fであって、凸状被係止部22aと対応する箇所には、複数(図示例では3つ)の凹状係止部3gが形成されており、これらの凹状係止部3gに前記凸状被係止部22aが係止される。これら凹状係止部3gは、第2係止部21として設けられており、フィルター部3bに近い2つの凹状係止部3gには、それぞれ2つを1組とする凸状被係止部22aが係止され、フィルター部3bに遠い1つの凹状係止部3gには、1つの凸状被係止部22aが係止される。このような係止により、防虫フィルター3に防虫フィルターカバー4を取付けることができ、一方凹状係止部3gと凸状被係止部22aとを非係止状態にすると防虫フィルター3から防虫フィルターカバー4を取り外すことが可能になる。
【0038】
なお、凹状係止部3gと凸状被係止部22aとの係止は、1つの凹状係止部3gに1つの凸状被係止部22aを係止する形態、或いは、1つの凹状係止部3gに2以上の凸状被係止部22aを係止する形態を選定することは自由である。また、凹状係止部を防虫フィルターカバー4に設け、凸状被係止部を防虫フィルター3における取付部3aの側面3fに設けるようにしてもよい。
【0039】
また、防虫フィルターカバー4の前記側壁部4bの内面4aには複数(図示例では5つ)の突条部23が形成されている(図2参照)。これら突条部23は防虫フィルター3における取付部3aの側面3fに嵌着され、防虫フィルターカバー4の変形を抑制し、これに伴って防虫フィルターカバー4の防虫フィルター3からの脱落を抑制するようになっている。なお、突条部23は、防虫フィルターカバー4の内面4aではなく側面3fに設けるようにしてもよく、或いは内面4aと側面3fの両方に設けるようにしてもよい。
【0040】
このように構成された本実施形態の配管カバー1にあっては、以下のように取付け・取外しが行われる。
【0041】
まず、図略の結束ベルトを用いて、第2部分2Bを第2配管52に取付け、その第2配管52を第1部分2Aと第2部分2Bの間に挟んだ状態で、配管カバー本体2を外壁50に、取付孔2a、2bを介してビス止めすることにより取付ける。
【0042】
次に、防虫フィルター3の配管挿通孔3cに第1配管51の出側端を挿通させた状態で、防虫フィルター3の取付部3aに設けた環状の突起13を、配管カバー本体2に形成された円形孔11に挿入する。これにより、防虫フィルター3の配管カバー本体2に対する位置決めが行われる。この位置決めに際して、弾性変位部13aが変形して突出部14aが径方向内側へ変位し、また係止片13cが同じく径方向内側へ撓む。位置決めが行われた状態で、防虫フィルター3を配管カバー本体2に対して時計方向または反時計方向に回転させ、突出部14aと配管カバー本体2に設けた凹部12aとの位置を一致させると、突出部14aが凹部12aに嵌り込んで防虫フィルター3が配管カバー本体2に周方向に係止される。これと同時に、係止片13cの係止爪13dが、配管カバー本体2の係止溝11bに軸方向に係止され、防虫フィルター3の落下が防止される。なお、突出部14aと凹部12aの位置が一致する状態で、防虫フィルター3を配管カバー本体2に取付ける場合は、時計方向または反時計方向への回転は省略し得る。
【0043】
次に、防虫フィルターカバー4を防虫フィルター3に押し付けて取付ける。この取付けに際し、防虫フィルター3に設けた凹状係止部3gに対し、防虫フィルターカバー4に設けた凸状被係止部22aの位置を一致させ、凹状係止部3gに凸状被係止部22aを係止させる。この係止状態において、突条部23が側面3fに嵌着して防虫フィルターカバー4の変形を抑制し、これに伴って防虫フィルターカバー4の防虫フィルター3からの脱落を抑制する。
【0044】
以上のようにして、配管カバー本体2に防虫フィルター3が着脱可能に取付けられ、その防虫フィルター3に防虫フィルターカバー4が着脱可能に取付けられる。この取付け状態において、防虫フィルターカバー4に外力が作用し、弾性変位部13aが変形して突出部14aが環状の突起13の内方へ変位し、凹部12aから突出部14aが抜け出て配管カバー本体2から防虫フィルター3が落下する虞があっても、落下防止手段としての係止片13cの係止爪13dと係止溝11bとの係止により、防虫フィルター3の落下が防止される。
【0045】
しかる後、上述した取付け状態から防虫フィルターカバー4を把持して引き抜くと、防虫フィルターカバー4のみを取り外すことができる。また、防虫フィルターカバー4を把持して一定角度(例えば22.5゜程度)だけ回転させると、弾性変位部13aが変形して突出部14aが環状の突起13の内方へ変位して凹部12aから外れるとともに、係止片13cが同じく内方へ撓んで係止爪13dが係止溝11bから外れる。そして、この状態から防虫フィルターカバー4を引くと、防虫フィルター3と防虫フィルターカバー4を一緒に取り外すことができる。なお、防虫フィルター3と防虫フィルターカバー4を一緒に取り外すとき、一定角度(例えば22.5゜程度)だけ回転させているが、その角度は単なる目安であり、突出部14aが凹部12aから外れかつ係止爪13dが係止溝11bから外れる角度であればよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態による場合には、防虫フィルターカバー4が防虫フィルター3に取付けられるので、回転係脱手段10を介して配管カバー本体2から防虫フィルター3を外すことにより、防虫フィルター3と防虫フィルターカバー4を一緒に取り外すことができ、作業性を向上させ得る。また、円形孔11に環状突起13を嵌め込むと配管カバー本体2に対して防虫フィルター3が所定の位置に位置決めされた状態になり、その状態で防虫フィルター3を回転させると、環状突起13の外側面に設けた突出部14aが円形孔11の内周面11aに形成された凹部12aに出入りして係脱状態になる。
【0047】
また、本実施形態において、環状突起13は、防虫フィルター3の回転に伴って突出部14aを円形孔11の内周面11aの凹凸に応じて環状突起13の内外方向へ変位させる弾性変位部13aを有し、防虫フィルター3が所定の角度から他の角度へ回転するときに、弾性変位部13aが円形孔11の内側へ変位することに伴って突出部14aが凹部12aから抜け出ることで、防虫フィルター3を配管カバー本体2から外すことができるように構成されているので、突出部14aが凹部12aから抜け出ようとすると、凹部12aの回転方向隣りに位置する凸部(前記側面12b)からの力を受けて弾性変位部13aが変形し、突出部14aが凹部12aから抜け出て非係止状態になる。よって、その非係止状態になる回転角度のとき防虫フィルター3を配管カバー本体2から外すことが可能になる。また、係脱時に、弾性変位部13aの変形を利用できるので、係止を確実な状態にする一方で、スムーズな装着、取外しを行うことができる。
【0048】
更に、本実施形態において、防虫フィルターカバー4と防虫フィルター3との間に、防虫フィルター3に対して防虫フィルターカバー4を、引き抜き・押し付けを伴う操作により着脱可能に取付けるための直動係脱手段20が設けられているので、回転を伴う操作で係脱させる回転係脱手段10とは操作方向が異なるので、直動係脱手段20による係脱と回転係脱手段10による係脱とが同時に行われることがなく、択一的に行うことができる。
【0049】
更にまた、本実施形態において、防虫フィルターカバー4は防虫フィルター3の側面3fを覆う側壁部4bを有し、その側壁部4bに、防虫フィルター3の側面3fに嵌着される突条部23が形成されているので、防虫フィルター3に防虫フィルターカバー4を取付けた状態で、突条部23が防虫フィルター3の側面3fに嵌着されるので、防虫フィルターカバー4の変形を抑制でき、これに伴って防虫フィルターカバー4の防虫フィルター3からの脱落を抑制し得る。
【0050】
更にまた、本実施形態において、防虫フィルター3と配管カバー本体2との間に、防虫フィルター3が配管カバー本体2から落下することを防止する落下防止手段(係止片13cと係止溝11b)が設けられているので、弾性変位部13aが変形して突出部14aが凹部12aから抜け出ようとしても、換言すると防虫フィルター3が配管カバー本体2から落下しようとしても、前記落下防止手段がその落下を防止することとなる。
【0051】
なお、上述した実施形態では、落下防止手段として防虫フィルター3に係止片13cを設け、配管カバー本体2に係止溝11bを設けているが、本発明はこれとは逆に、防虫フィルター3に係止溝11bを設け、配管カバー本体2に係止片13cを設けてもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、直動係脱手段20として、防虫フィルター3に設けられた第2係止部21(凹状係止部3g)と、防虫フィルターカバー4に設けられ、第2係止部21に係止される第2被係止部22(凸状被係止部22a)とを備えるが、本発明はこれとは逆に、防虫フィルターカバー4に凹状係止部3gを設け、防虫フィルター3に凸状被係止部22aを設けた構成としてもよい。
【0053】
更に、上述した実施形態では、配管カバー1は第1配管51の折れ曲がり部分51aから出口51bまでを覆うとともに、第2配管52の折れ曲がり部分52aを覆う構成になっているが、本発明はこれに限らず、少なくとも第1配管51の折れ曲がり部分51aから出口51bまでを覆う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 配管カバー
2 配管カバー本体
3 防虫フィルター
3g 凹部
3f 側面
4 防虫フィルターカバー
10 回転係脱手段
11 円形孔
11b 係止溝(落下防止手段)
12 第1係止部
12a 凹部
13 位置決め用突起
13a 弾性変位部
13c 係止片(落下防止手段)
14 第1被係止部
14a 突出部
20 直動係脱手段
21 第2係止部
22 第2被係止部
22a 凸状被係止部
23 突条部
50 建物の外壁
51 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁(50)から導出された少なくとも換気用配管(51)を覆う配管カバーにおいて、
外壁(50)に取付けられる配管カバー本体(2)と、
前記配管カバー本体(2)に着脱可能に取付けられる防虫フィルター(3)と、
前記防虫フィルター(3)の外側を覆う状態で前記防虫フィルター(3)に着脱可能に取付けられる防虫フィルターカバー(4)と、
前記防虫フィルター(3)と前記配管カバー本体(2)との間に設けられ、回転を伴う操作により前記防虫フィルター(3)を前記防虫フィルターカバー(4)と一緒に前記配管カバー本体(2)に対し係脱させる回転係脱手段(10)とを具備することを特徴とする配管カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の配管カバーにおいて、
前記回転係脱手段(10)は、前記配管カバー本体(2)及び前記防虫フィルター(3)の一方に形成された円形孔(11)の内周面(11a)に設けられた凹部(12a)と、前記配管カバー本体(2)及び前記防虫フィルター(3)の他方に形成され、前記円形孔(11)に嵌め込むことにより位置決めされる環状突起(13)と、前記環状突起(13)に形成され、前記環状突起(13)を前記円形孔(11)に対して所定角度に回転させたときに前記凹部(12a)に係脱可能な突出部(14a)とを有することを特徴とする配管カバー。
【請求項3】
請求項2に記載の配管カバーにおいて、
前記環状突起(13)は、前記防虫フィルター(3)の回転に伴って前記突出部(14a)を前記円形孔(11)の内周面(11a)の凹凸に応じて環状突起(13)の内外方向へ変位させる弾性変位部(13a)を有し、前記防虫フィルター(3)が所定の角度から他の角度へ回転するときに、前記弾性変位部(13a)が前記円形孔(11)の内側へ変位することに伴って前記突出部(14a)が前記凹部(12a)から抜け出ることで、前記防虫フィルター(3)を前記配管カバー本体(2)から外すことができるようになっていることを特徴とする配管カバー。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の配管カバーにおいて、
前記防虫フィルターカバー(4)と前記防虫フィルター(3)との間に、前記防虫フィルター(3)に対して前記防虫フィルターカバー(4)を、引き抜き・押し付けを伴う操作により着脱可能に取付けるための直動係脱手段(20)が設けられていることを特徴とする配管カバー。
【請求項5】
請求項4に記載の配管カバーにおいて、
前記直動係脱手段(20)は、前記防虫フィルターカバー(4)及び前記防虫フィルター(3)のうちの一方に設けられた凹状係止部(3g)と、前記防虫フィルターカバー(4)及び前記防虫フィルター(3)のうちの他方に設けられ、前記凹状係止部(3g)に係止される凸状被係止部(22a)とを有することを特徴とする配管カバー。
【請求項6】
請求項5に記載の配管カバーにおいて、
前記防虫フィルターカバー(4)は前記防虫フィルター(3)の側面(3f)を覆う側壁部(4b)を有し、前記防虫フィルター(3)の側面(3f)および前記防虫フィルターカバー(4)の側壁部(4b)のうちの一方に、他方に嵌着される突条部(23)が形成されていることを特徴とする配管カバー。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の配管カバーにおいて、
前記防虫フィルター(3)と前記配管カバー本体(2)との間に、前記防虫フィルター(3)が前記配管カバー本体(2)から落下することを防止する落下防止手段(13c、11b)が設けられていることを特徴とする配管カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−179537(P2011−179537A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42204(P2010−42204)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(393024717)オーケー器材株式会社 (58)
【Fターム(参考)】