説明

配管カバー

【課題】防虫フィルターの掃除を簡単な作業で行うことができる配管カバーを提供する。
【解決手段】外壁50から導出され、少なくとも出口51bが開放された配管51を覆う配管カバーであって、外壁50に取付けられ、挿通孔を有する配管カバー本体2と、配管カバー本体2の外壁50とは反対側に着脱可能に取付けられ、挿通孔と連通する貫通孔を有する取付部3aと、この取付部3aと一体的に形成された防虫フィルター3bとを有する中間部材3と、中間部材3に着脱可能に取付けられ、中間部材3を覆うとともに配管カバー本体2との間で貫通孔に連通する通路5を形成するフィルターカバー4とを備え、フィルターカバー4は貫通孔3cに連通する一端5a側とは反対の通路5の他端5b側が下向きになるように形成され、防虫フィルター3bは、通路5における他端5bの近傍部位の全域を横切る状態で取付部3aから斜め下方に向けて延出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物外壁の外側に屋内から導出された配管の屋外部分を覆う配管カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、エアコンの仕様が多様化していて、そのうちの一つとして、換気機能に加え、さらに室内機に備わったフィルターを自動で掃除する機能を備え、フィルターの掃除により発生したゴミを換気用配管により自動的に排出するタイプのエアコンが存在する。
【0003】
ところで、上記換気用配管における屋外に導出された部分には配管カバーが一般的に取付けられ、その配管カバーとして、防虫フィルターを有するものと防虫フィルターがないものが知られている(例えば特許文献1、2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−175510号公報
【特許文献2】特開2009−047284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の配管カバーにあっては、室内機のフィルター掃除により発生したゴミを換気用配管により排出しようとしても、配管カバーに備わった防虫フィルターにより前記ゴミを排出できずにゴミが配管カバー内に蓄積されることになるため、配管カバーの定期的な掃除が必要となって煩わしいという難点があった。さらに、特許文献2の防虫フィルターがない配管カバーは、防虫フィルターがないためゴミを排出しても配管カバーにゴミが蓄積することはないが、換気用配管から虫などが侵入したり、住居が密集している箇所では隣屋にゴミが排出される虞があってゴミを排出できないことが生じるなどの問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ゴミの蓄積許容量を増大化させて掃除の頻度を低減することができる配管カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外壁(50)から導出され、少なくとも出口(51b)が開放された配管(51)を覆う配管カバーであって、前記外壁(50)に取付けられ、挿通孔(11)を有する配管カバー本体(2)と、前記配管カバー本体(2)の前記外壁(50)とは反対側に着脱可能に取付けられ、前記挿通孔(11)と連通する貫通孔(3c)を有する取付部(3a)と、この取付部(3a)と一体的に形成された防虫フィルター(3b)とを有する中間部材(3)と、前記中間部材(3)に着脱可能に取付けられ、当該中間部材(3)を覆うとともに前記配管カバー本体(2)との間で前記貫通孔(3c)に連通する通路(5)を形成するフィルターカバー(4)と、を備え、前記フィルターカバー(4)は前記貫通孔(3c)に連通する側とは反対側の前記通路(5)の端部が下向きになるように形成され、前記防虫フィルター(3b)は、前記通路(5)を横切る状態で前記取付部(3a)から斜め下方に向けて延出されていることを特徴とする。本発明による場合には、防虫フィルターが取付部から斜め下方に向けて延出しているので、傾斜する防虫フィルターの低い側にゴミを寄せてためることができ、これによりゴミの蓄積許容量を増大化させて、掃除の頻度を低減することができる。また、防虫フィルターが傾斜しているので、配管カバーの外壁からの出っ張りを抑制しつつ、防虫フィルターに設けられる換気孔全体の面積を大きくすることが可能になる。更に、上述した換気孔全体の面積の増大化に伴って通風抵抗を低減することができる。更にまた、防虫フィルターに溜まったゴミは、フィルターカバーを外すだけで外部に露出するので、中間部材を取り外す必要がなく、簡単な作業で防虫フィルターの掃除を行うことができる。加えて、フィルターカバーを外すと、配管出口が表れるので、その配管についても中間部材を取り外すことなく掃除することが可能になる。更にまた、取付部と防虫フィルターとが一体的に形成されているので、防虫フィルターの着け忘れを防止することができる。
【0008】
前記配管カバーにおいて、前記中間部材(3)は、前記防虫フィルター(3b)と前記取付部(3a)との連結部(3p)の近傍に、両者を分離させるための分離手段が設けられている構成とすることができる。この構成による場合には、中間部材が防虫フィルターと取付部との連結部で折れ曲がった形状となっていて、その折れ曲がり部分の近傍に分離手段が設けられている。つまり、折り曲げ力を集中させ易い折れ曲がり部分の近傍に分離手段が位置するので、分離手段を分離させ易い。
【0009】
また、前記配管カバーにおいて、前記分離手段が、凹溝(3k)である構成とすることができる。この構成による場合には、凹溝の溝底が薄肉となっていて分離させ易く、その分離を手で行うことができ、特殊な道具を必要としない。
【発明の効果】
【0010】
本発明による場合には、防虫フィルターが、通路を横切る状態で取付部から斜め下方に向けて延出しているので、防虫フィルターの低い側にゴミを寄せてためることができ、これによりゴミの蓄積許容量を増大化させて、掃除の頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る配管カバーとこれにより覆われる配管とを示す模式図(縦断面図)である。
【図2】図1の配管カバーを示す分解斜視図である。
【図3】図1の配管カバーを示す縦断面図である。
【図4】図1の配管カバーを示す背面図である。
【図5】図1の配管カバーを示す正面図である。
【図6】図1の配管カバーを示す底面図である。
【図7】図1の配管カバーを構成する中間部材を示す左側面図である。
【図8】図1の中間部材を示す外観斜視図である。
【図9】配管カバーにおいてフィルターカバーを外した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態につき具体的に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る配管カバーとこれにより覆われる配管とを示す模式図(縦断面図)であり、図2はその配管カバーを示す分解斜視図、図3はその配管カバーを示す縦断面図、図4はその配管カバーを示す背面図、図5はその配管カバーを示す正面図、図6はその配管カバーを示す底面図、図7はその配管カバーを構成する中間部材を示す左側面図、図8はその中間部材を示す外観斜視図である。
【0014】
この配管カバー1は、建物の外壁50の内側から外側へ導出された第1配管51、第2配管52の折れ曲がり部分51a、52aを覆うものであり、第1配管51についてはその折れ曲がり部分51aの少し下側の開放した出口51bも覆っている。第1配管51は、室内換気用配管であり、第2配管52は図示しない室内機と室外機を連結する冷媒用配管である。なお、第2配管52の内部には室内機と室外機を連結する電線が通されることもある。第2配管52の配管カバー1で覆われた部分よりも下側の部分は、別の直管状のダクト53により覆われる。
【0015】
上記配管カバー1は、外壁50に取付けられる配管カバー本体2と、配管カバー本体2に着脱可能に取付けられる中間部材3と、中間部材3の外側を覆う状態で中間部材3に着脱可能に取付けられるフィルターカバー4とを具備する。
【0016】
配管カバー本体2は、2つの第1部分2A、第2部分2Bに二分割された構成となっていて(図2参照)、両部分2A、2Bを連結して使用される。第2部分2Bは外壁50に沿う概略平面状のもので、第1部分2Aは第2部分2Bと対向する対向部2A1と、その対向部2A1よりも上側の上側部2A2と、対向部2A1及び上側部2A2の周囲であって下側を除く部分に形成された縁部2A3とを有し、上側部2A2に円形の挿通孔11が形成されている。
【0017】
第1部分2Aには、外壁50に取付ける取付孔2aが複数、図示例では3つ形成され、第2部分2Bには2つの取付孔2bが形成されており、第1部分2Aの下側の2つの取付孔2aと第2部分2Bの2つの取付孔2bとは対応する位置に配設されていて、取付孔2a及び取付孔2bを介してビス止めし、第1部分2Aの上端の1つの取付孔2aを介してビス止めすることで、配管カバー本体2が外壁50に取付けられる。なお、配管カバー本体2は、第2部分2Bを省略した構成や、第2部分2Bが第1部分2Aに一体化された構成としてもよい。
【0018】
前記中間部材3は、縦断面が概略L字状に形成されていて、配管カバー本体2に対し取付けられる取付部3aと、この取付部3aと一体的に形成された防虫フィルター3bとを有する。取付部3aが配管カバー本体2に取付けられた状態で、防虫フィルター3bは取付部3aの下端部(取付部3aと防虫フィルター3bとの連結部3p)から側方(外壁50とは反対側)に向けて延出している。より詳細には、斜め下方に向けて延出している。取付部3aと防虫フィルター3bとのなす角度θは(図3参照)、90゜よりも大きく、配管カバー本体2に中間部材3を取付けた状態において、防虫フィルター3bは外壁50寄りを高く、外壁50から遠い側を低くするように傾斜している。その傾斜した角度θは、図示例では約100゜程度になっているが、より大きい値にしてもよい。また、上記取付部3aは、前記上側部2A2と略平行になっている。
【0019】
また、防虫フィルター3bには、その幅方向Wに沿って配列されて複数の換気孔3hが形成されている(図6参照)。換気孔3hは、前記幅方向Wと略直交する方向に長いものである。また、取付部3aの防虫フィルター3b寄りの部分には、防虫フィルター3bを分離するための分離手段として凹溝3kが、前記幅方向Wに取付部3aの端から端までにわたって連続的に形成されていて(図2、図8参照)、防虫フィルター3bを取付部3aに対して相対的に折り曲げることで、防虫フィルター3bを凹溝3kの箇所で分離することができるようになっている。なお、分離手段としては、凹溝3kに代えて、凹部または孔が不連続に一列に並んだ形態のものでもよい。また、凹溝3kや前記凹部の断面は、底部が薄肉に形成されるU字状やV字状などが好ましい。また、分離手段を設ける位置は、取付部3aと防虫フィルター3bとの連結部3p(図3参照)の近傍であればよく、連結部3pの位置でも、防虫フィルター3bの取付部3a寄りの位置でもよい。
【0020】
この中間部材3は、中間部材3と配管カバー本体2との間に設けた第1着脱手段10により配管カバー本体2に着脱可能に取付けられる。また、前記フィルターカバー4は、フィルターカバー4と中間部材3との間に設けた第2着脱手段20により中間部材3に着脱可能に取付けられる。
【0021】
前記第1着脱手段10は、着脱に際して回転を伴う操作を要する回転係脱手段であり、前記第2着脱手段20は着脱に際して引き抜き・押し付けを伴う操作を要する直動係脱手段であり、前記第1着脱手段10と前記第2着脱手段20とは着脱方向が異なっている。このことは、後で詳述する。
【0022】
第1着脱手段10を構成する回転係脱手段は、図2に示すように配管カバー本体2に形成された前記挿通孔11の周縁部に沿うように配管カバー本体2に設けられた第1係止部12と、中間部材3の取付部3aの背面3m側(配管カバー本体2側)に形成され、挿通孔11に嵌め込むことにより位置決めされる環状の位置決め用突起13と、前記取付部3aの配管カバー本体2側に配設され、所定角度に回転させたときに第1係止部12に対して係脱可能な第1被係止部14とを有する。なお、取付部3aには、環状の突起13の内側に円形の第1配管51を挿通させる貫通孔3cが設けられている。この貫通孔3cは、少なくとも第1配管51を挿通させることができる大きさであってもよい。
【0023】
第1係止部12は、挿通孔11の内周面11aに形成された複数(例えば4つ)の凹部12aを有し、これら凹部12aは等配位置、例えば時計の0時、3時、6時、9時の4等配の位置に配設されている。なお、図2には、上述した4つの凹部12aのうちの一つは、表れていない。
【0024】
第1被係止部14は、複数(図示例では4つ)の突出部14aを有し、各突出部14aは、環状の突起13を挿通孔11に嵌め込んだ状態でその挿通孔11の周縁部に沿うように、つまり環状の突起13に沿うように配設され、かつ環状の突起13の外側面に、突起13の径方向の外方に突出するように設けられていて、中間部材3の配管カバー本体2に対する相対的な回転により前記凹部12aのそれぞれに嵌り込む。これに伴って凹部12aの両側面12bにより突出部14aは周方向に係止される。この係止により中間部材3が回り止めされた状態で配管カバー本体2に取付けられる。この取付け状態において、貫通孔3cと挿通孔11とは連通し、また防虫フィルター3bは貫通孔3cよりも下方に位置する。
【0025】
ここで、特に断らない限り、周方向とは挿通孔11の周縁に沿った方向をいい、回転方向ともいう。また、突起13の軸心の方向を軸方向といい、突起13の内外方向を径方向という。更に、外壁50側を背面側といい、外壁50から離れる側を前面側という。
【0026】
上記突出部14aの配置は、前記凹部12aと同様の配置に設定されている。また、突出部14aは、環状の突起13に設けた弾性変位部13aの回転方向中央部に配設されている。弾性変位部13aは、突起13の背面3m側の内側を窪ませて薄肉にした部分により構成され、外力を受けると環状の突起13の内外方向(径方向)へ弾性的に変位し、外力が作用しなくなると元の状態に戻るようになっている。
【0027】
この弾性変位部13aの存在により、突出部14aと凹部12aとの係脱が可能になっている。すなわち、中間部材3が回転することにより、環状突起13の外側面に設けた突出部14aが前記内周面11aにより押されて弾性変位部13aが変形し、挿通孔11の内周面11aに形成された凹部12aに入ると、突出部14aが凹部12aに係止されるとともに、弾性変位部13aが元の状態に戻る。また、中間部材3が回転することにより突出部14aが凹部12aから抜け出ようとすると、凹部12aの回転方向隣りに位置する凸部(側面12b)からの力を受けて弾性変位部13aが変形し、突出部14aが凹部12aから抜け出て非係止状態になる。更に、係脱時に、弾性変位部13aの変形を利用できるので、係止を確実な状態にする一方で、スムーズな装着、取外しを行うことができる。
【0028】
また、取付部3aにおける弾性変位部13aの前面3i側には、弾性変位部13aと周方向の幅寸法をほぼ等しくした孔3dが形成されていて、この孔3dの形成により弾性変位部13aの前記変位が小さな外力によって起こる。なお、弾性変位部13aは、この図示例では突出部14aの部分と突出部14aの両側の部分とを含む範囲に形成しているが、突出部14aの部分を省略し突出部14aの両側の部分のみに形成してもよい。
【0029】
また、環状の突起13には、各弾性変位部13aの間の部位に切欠部13bがそれぞれ(合計4つ)設けられるとともに、それらの切欠部13bには落下防止用の係止片13cがそれぞれ設けられており(図8参照)、切欠部13bの両側面13b1と係止片13cとの間には隙間が形成されている(図8参照)。前記係止片13cは、突起13の突出方向と同じ方向に突出形成されていて、係止片13cの先端側には径方向に突出するように係止爪13dが設けられている。挿通孔11の内周面11aに形成された係止溝11b(図2参照)に係止爪13dが係止されることにより、中間部材3が配管カバー本体2から落下することが防止される。つまり、前記係止片13cと係止溝11bとは、落下防止手段を構成し、前記弾性変位部13aが変位して突出部14aが凹部12aから外れ、これに伴って中間部材3が配管カバー本体2から落下することを、前記落下防止手段は防止する。なお、取付部3aにおける係止片13cの前面3i側の端部の外側位置には、円弧状の長孔3eが形成されている。
【0030】
また、突起13の突出方向(取付部3aの前後方向)において、上記係止爪13dと上記突出部14aとの位置が異ならせてあり、係止爪13dの係止溝11bに対する軸方向の係止と、突出部14aの凹部12aに対する抜け止めとが支障無く行い得るようになっている。
【0031】
また、前記上側部2A2の前面3i側(外壁取付側とは反対側)には、前記挿通孔11の周囲に、前面3iに向けて突出した環状の庇2b(図3参照)が挿通孔11の全周にわたって設けられている。一方、中間部材3には、外壁50側に、中間部材3を配管カバー本体2に取付けた状態で前記庇2bに当接する環状の当接部3jが形成されていて(図3参照)、中間部材3と配管カバー本体2との当接部(隙間)aから入った水分が、前記庇2bの外側に形成された空間3n(図3参照)を介して外部へ排出されるようになっている。
【0032】
前記第2着脱手段20は、上述したようにフィルターカバー4と中間部材3との間に設けられていて、引き抜き・押し付けを伴う操作を要する直動係脱手段であり、前記第1着脱手段10とは操作方向が異なっている。この第2着脱手段20を構成する直動係脱手段は、中間部材3に設けられた第2係止部21と、フィルターカバー4に設けられ、第2係止部21に係止される第2被係止部22とを備える。
【0033】
フィルターカバー4は、中間部材3における取付部3aの側面3f、および取付部3aの前面3i及び防虫フィルター3bの上面を覆うように形成されていて(図7参照)、フィルターカバー4における前記側面3fに対応する内面4aに、第2被係止部22としての複数(図示例では5つ)の凸部22aが形成されている。一方、中間部材3における取付部3aの側面3fであって、凸部22aと対応する箇所には、複数(図示例では3つ)の凹部3gが形成されており、これらの凹部3gに前記凸部22aが係止される。これら凹部3gは、第2係止部21として設けられており、防虫フィルター3bに近い2つの凹部3gには、それぞれ2つを1組とする凸部22aが係止され、防虫フィルター3bに遠い1つの凹部3gには、1つの凸部22aが係止される。このような係止により、中間部材3にフィルターカバー4を取付けることができ、一方凹部3gと凸部22aとを非係止状態にすると中間部材3からフィルターカバー4を取り外すことが可能になる。このフィルターカバー4は、中間部材3に取付けた状態において、中間部材3との間で通路5を形成する(図1、図3参照)。この通路5は、一端5a側の開口が貫通孔3cに連通し、他端5b側の開口が下方に向けられている。また、前記防虫フィルター3bは前記通路5の他端5bの近傍部位の全域を横切るように設けられている。なお、防虫フィルター3bの配設位置は、他端5bの近傍であって、他端5bよりも上側の位置に設定してもよい。
【0034】
なお、凹部3gと凸部22aとの係止は、1つの凹部3gに1つの凸部22aを係止する形態、或いは、1つの凹部3gに2以上の凸部22aを係止する形態を選定することは自由である。また、凹部をフィルターカバー4に設け、凸部を中間部材3における取付部3aの側面3fに設けるようにしてもよい。
【0035】
また、フィルターカバー4の前記内面4aには複数(図示例では5つ)の突条部23が形成されている(図2参照)。これら突条部23は中間部材3における取付部3aの側面3fに嵌着され、フィルターカバー4の変形を抑制し、これに伴ってフィルターカバー4の中間部材3からの脱落を抑制するようになっている。なお、突条部23は、フィルターカバー4の内面4aではなく側面3fに設けるようにしてもよく、或いは内面4aと側面3fの両方に設けるようにしてもよい。
【0036】
なお、上述したように第1着脱手段10と第2着脱手段20とは着脱(操作)方向が異なるため、一方の着脱機構10(または20)において着脱を行っても、他方の着脱機構20(または10)では着脱が行われないので、両着脱機構の片方のみを対象とした着脱が可能である。
【0037】
このように構成された本実施形態の配管カバー1にあっては、以下のように取付け・取外しが行われる。
【0038】
まず、図略の結束ベルトを用いて、第2部分2Bを第2配管52に取付け、その第2配管52を第1部分2Aと第2部分2Bの間に挟んだ状態で、配管カバー本体2を外壁50に、取付孔2a、2bを介してビス止めすることにより取付ける。
【0039】
次に、中間部材3の貫通孔3cに第1配管51の出側端を挿通させた状態で、中間部材3の取付部3aに設けた環状の突起13を、配管カバー本体2に形成された挿通孔11に挿入する。これにより、中間部材3の配管カバー本体2に対する位置決めが行われる。この位置決めに際して、弾性変位部13aが変形して突出部14aが径方向内側へ変位し、また係止片13cが同じく径方向内側へ撓む。位置決めが行われた状態で、中間部材3を配管カバー本体2に対して時計方向または反時計方向に回転させ、突出部14aと配管カバー本体2に設けた凹部12aとの位置を一致させると、突出部14aが凹部12aに嵌り込んで中間部材3が配管カバー本体2に周方向に係止される。これと同時に、係止片13cの係止爪13dが、配管カバー本体2の係止溝11bに軸方向に係止され、中間部材3の落下が防止される。なお、突出部14aと凹部12aの位置が一致する状態で、中間部材3を配管カバー本体2に取付ける場合は、時計方向または反時計方向への回転は省略し得る。
【0040】
次に、フィルターカバー4を中間部材3に押し付けて取付ける。この取付けに際し、中間部材3に設けた凹部3gに対し、フィルターカバー4に設けた凸部22aの位置を一致させ、凹部3gに凸部22aを係止させる。この係止状態において、突条部23が側面3fに嵌着してフィルターカバー4の変形を抑制し、これに伴ってフィルターカバー4の中間部材3からの脱落を抑制する。
【0041】
以上のようにして、配管カバー本体2に中間部材3が着脱可能に取付けられ、その中間部材3にフィルターカバー4が着脱可能に取付けられる。この取付け状態において、前記通路5が形成される。この通路5は第1配管51の出口51bから排出されるゴミを防虫フィルター3bまで移動させる機能を有する。また、前述の取付け状態において、フィルターカバー4に外力が作用し、弾性変位部13aが変形して突出部14aが環状の突起13の内方へ変位し、凹部12aから突出部14aが抜け出て配管カバー本体2から中間部材3が落下する虞があっても、落下防止手段としての係止片13cの係止爪13dと係止溝11bとの係止により、中間部材3の落下が防止される。
【0042】
しかる後、上述した取付け状態からフィルターカバー4を把持して引き抜くと、図9に示すようにフィルターカバー4のみを取り外すことができ、この取り外した状態において、防虫フィルター3bが外部に露出し、また貫通孔3c及び第1配管51の出口51bも外部に表れる。また、フィルターカバー4を把持して一定角度(例えば22.5゜程度)だけ回転させると、弾性変位部13aが変形して突出部14aが環状の突起13の内方へ変位して凹部12aから外れるとともに、係止片13cが同じく内方へ撓んで係止爪13dが係止溝11bから外れる。そして、この状態からフィルターカバー4を引くと、中間部材3とフィルターカバー4を一緒に取り外すことができる。なお、中間部材3とフィルターカバー4を一緒に取り外すとき、一定角度(例えば22.5゜程度)だけ回転させているが、その角度は単なる目安であり、突出部14aが凹部12aから外れかつ係止爪13dが係止溝11bから外れる角度であればよい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態による場合には、防虫フィルター3bが、通路5の他端5b側の部位の全域を横切る状態で取付部3aの下端部から斜め下方に向けて延出しているので、防虫フィルター3bの低い側にゴミを寄せてためることができ、これによりゴミの蓄積許容量を増大化させて、掃除の頻度を低減することができる。なお、前記ゴミの蓄積許容量は、貫通孔3cまたは第1配管51の出口51bに対する防虫フィルター3bの高さ位置を調整することで増大化させることもできる。また、本実施形態にあっては、防虫フィルター3bが傾斜しているので、配管カバー1の外壁50からの出っ張りを抑制しつつ、防虫フィルター3bに設けられる換気孔3h全体の面積を大きくすることが可能になる。更に、換気孔3h全体の面積の増大化に伴って通風抵抗を低減することができる。更にまた、防虫フィルター3bに溜まったゴミは、フィルターカバー4を外すだけで外部に露出するので(図9参照)、中間部材3を取り外す必要がなく、簡単な作業で防虫フィルター3bの掃除を行うことができる。加えて、フィルターカバー4を外すと、第1配管51の出口51bが表れるので(図9参照)、その第1配管51についても中間部材3を取り外すことなく掃除することが可能になる。更にまた、取付部3aと防虫フィルター3bとが一体的に形成されているので、防虫フィルター3bの着け忘れを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態にあっては、上述したように中間部材3が防虫フィルター3bと取付部3aとの連結部3pで折れ曲がった形状となっていて、その折れ曲がり部分(連結部3p)の近傍に分離手段が設けられているので、分離手段が設けられた箇所に、折り曲げ力を集中させ易く分離手段を分離させ易い。その分離手段が凹溝3kである場合には、凹溝3kの溝底が薄肉となっていて分離させ易く、その分離を手で行うことができ、特殊な道具を必要としない。なお、防虫フィルター3bの分離は、例えば第1配管51の出口51bに別の防虫フィルターが取付けられている場合などに行われる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、第1配管51の出口51bが挿通孔11及び貫通孔3cを通り抜けて通路5に位置する場合に適用しているが、本発明はこれに限らず、第1配管51の出口51bが挿通孔11よりも外壁50側に位置する場合にも適用することができる。
【0046】
また、上述した実施形態では、中間部材3と配管カバー本体2との間に設けた第1着脱手段10に回転を伴う操作を要する回転係脱手段を用い、フィルターカバー4と中間部材3との間に設けた第2着脱手段20に引き抜き・押し付けを伴う操作を要する直動係脱手段を用いているが、本発明はこれと逆な構成にしてもよい。つまり、中間部材3と配管カバー本体2との間に設けた第1着脱手段10に直動係脱手段を用い、フィルターカバー4と中間部材3との間に設けた第2着脱手段20に回転係脱手段を用いてもよい。この構成であっても、第1着脱手段10と第2着脱手段20とは着脱方向が異なるため、一方の着脱機構において着脱を行っても、他方の着脱機構では着脱が行われないので、両着脱機構10、20の片方のみを対象とした着脱が可能である。
【0047】
更に、上述した実施形態では、落下防止手段として中間部材3に係止片13cを設け、配管カバー本体2に係止溝11bを設けているが、本発明はこれとは逆に、中間部材3に係止溝11bを設け、配管カバー本体2に係止片13cを設けてもよい。
【0048】
更にまた、上述した実施形態では、第2着脱手段20を構成する直動係脱手段として、中間部材3に設けられた第2係止部21(凹部3g)と、フィルターカバー4に設けられ、第2係止部21に係止される第2被係止部22(凸部22a)とを備えるが、本発明はこれとは逆に、フィルターカバー4に凹部3gを設け、中間部材3に凸部22aを設けた構成としてもよい。
【0049】
更にまた、上述した実施形態では、配管カバー1は第1配管51の折れ曲がり部分51aから出口51bまでを覆うとともに、第2配管52の折れ曲がり部分52aを覆う構成になっているが、本発明はこれに限らず、少なくとも第1配管51の折れ曲がり部分51aから出口51bまでを覆う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 配管カバー
2 配管カバー本体
3 中間部材
3a 取付部
3b 防虫フィルター
3c 貫通孔
3k 凹溝(分離手段)
3p 下端部
4 フィルターカバー
5 通路
11 挿通孔
50 外壁
51 配管
51b 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁(50)から導出され、少なくとも出口(51b)が開放された配管(51)を覆う配管カバーであって、
前記外壁(50)に取付けられ、挿通孔(11)を有する配管カバー本体(2)と、
前記配管カバー本体(2)の前記外壁(50)とは反対側に着脱可能に取付けられ、前記挿通孔(11)と連通する貫通孔(3c)を有する取付部(3a)と、この取付部(3a)と一体的に形成された防虫フィルター(3b)とを有する中間部材(3)と、
前記中間部材(3)に着脱可能に取付けられ、当該中間部材(3)を覆うとともに前記配管カバー本体(2)との間で前記貫通孔(3c)に連通する通路(5)を形成するフィルターカバー(4)と、を備え、
前記フィルターカバー(4)は前記貫通孔(3c)に連通する側とは反対側の前記通路(5)の端部が下向きになるように形成され、前記防虫フィルター(3b)は、前記通路(5)を横切る状態で前記取付部(3a)から斜め下方に向けて延出されていることを特徴とする配管カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の配管カバーにおいて、
前記中間部材(3)は、前記防虫フィルター(3b)と前記取付部(3a)との連結部(3p)の近傍に、両者を分離させるための分離手段が設けられていることを特徴とする配管カバー。
【請求項3】
請求項2に記載の配管カバーにおいて、
前記分離手段が、凹溝(3k)であることを特徴とする配管カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−179538(P2011−179538A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42205(P2010−42205)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(393024717)オーケー器材株式会社 (58)
【Fターム(参考)】