説明

配管吊バンド

【課題】 配管仮置き用と配管押え用の2分割一対のバンド片を有する配管吊バンドを用いた配管作業を簡易化する。
【解決手段】 配管仮置き用のバンド片2a及び配管押え用バンド片2bの湾曲方向吊片22近傍位置にこれらバンド片2a、2bの内径より径大にして該吊片22上端の起立位置に至る同心円の径大部位25をそれぞれ配置する。配管仮置き用のバンド片2aにあっては、配管6を受入れる開口が拡大するから、配管6の仮置き載置が容易になり、配管押え用のバンド片2bにあっては、吊片22の位置が配管6から離れるから、配管6の被嵌支持のための該バンド片2bのボルト4aにおける起立幅が少なくてよく、このため起立幅を確保するためのナット4bの緩め幅を極小化でき、ナット4aの緩めと締め戻しが容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井スラブに配管を吊支持するに用いる配管吊バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の配管吊バンドとして、本発明者の提案に係る下記特許文献1が知られており、これによれば、該配管吊バンドは、一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に形成した連結自由端を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在としたものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−304052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、配管吊バンドを、上記連結自由端を連結し且つタンバックルとバンド片の吊片をボルトナットによって締着することによってこれらバンド片を一体化した出荷形態で現場に搬入使用するようにすることによって、現場での配管作業を、吊ボルトにタンバックルのナットを螺装し、該吊ボルトに配管吊バンドを設置して、連結自由端の連結を解除してバンド片を分離し、その配管仮置き用のバンド片に配管を仮置き載置した後に、配管押え用のバンド片を、ボルトを回動軸として回動して、双方の連結自由端を連結するように行うことによって、現場での配管作業を可及的に簡易化したものとすることができる。
【0005】
しかし乍ら、この場合、配管仮置き用のバンド片は、安定した配管の仮置き載置を可能とするように、その角度を220°程度とする如くに、180°を大きく超える角度のものとされるから、その開口の幅は、配管の直径より縮小することになり、従って、吊ボルトに設置した複数の配管吊バンドの配管仮置き用のバンド片に対する配管の仮置き載置は、該縮小した開口を、配管バンドの弾性を利用するように弾発的に押し広げて該バンド片に対して強制的に圧入して、該複数の配管吊バンドに架設するように行う必要があるところ、該配管の仮置き載置の作業は、高所でなされる上、配管は一般に鋼製で重量が嵩むものとされるから、該配管の仮置き載置の作業が煩雑となり、これが、配管作業の作業効率を阻害する要因となる傾向がある。
【0006】
また、配管押え用のバンド片は、その上記ボルトを回動軸とする回動を、上記配管仮置き用のバンド片に配管を仮置き載置した状態で行うことによって、該回動に際して、その吊片近傍と配管との衝接が生じるため、該衝接を回避するために、該バンド片の吊片近傍を、仮置き載置した配管の上方位置を超えてこれから離すように外側に向けて起立し、該起立状態で、その回動を行うことが必要となり、このため、上記ボルトに螺装したナットを大きく緩めて、吊片をボルトの軸長手方向に移動して、該ボルトを挿通した透孔、一般には上下の長孔の空隙を利用して吊片を外側に向けて立ち上げるようにこれを外側に起立する必要があるところ、一般にナットの緩めは、例えば指先でナットを多数回に亘って回転することによって行うとともに緩めたナットは再度吊片をボルト頭との間で挟持するように同様な締め戻しの締着を行うことが必要であるから、該ナット緩めと締め戻しの締着の作業が煩雑となり、同じくこれが、配管作業の作業効率を阻害する要因となる傾向がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、第1に、上記2分割一対のバンド片のうち一方の配管仮置き用のバンド片に対する配管の仮置き載置を可及的簡易になし得るようにして、配管作業の作業効率を可及的高度に確保した配管吊バンドを提供するにあり、第2に、同じく2分割一対のバンド片のうち他方の配管押え用のバンド片の回動を、上記ナットの緩めと締着の幅を可及的に極小化するも、配管との衝接を回避し得るようにして、同じく配管作業の作業効率を可及的高度に確保した配管吊バンドを提供するにあり、第3に、これら、配管仮置き用のバンド片に対する配管の仮置き載置を可及的簡易になし得るとともに配管押え用のバンド片の回動に際してナットの緩めと締着の幅を極小化するも、配管との衝接を回避し得るようにして、配管作業の作業効率を可及的高度に確保した配管吊バンドを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の課題に沿って請求項1に記載の発明は、上記配管仮置き用のバンド片に、その湾曲方向吊片近傍位置にバンド片の内径より径大として吊片の起立位置に至るようにした該バンド片と同心円の径大部位を配置して、配管仮置き用のバンド片の角度を、配管の仮置き載置の安定性を確保するものとする一方で、角度によって規制される該バンド片の開口の幅を拡大することによって、該バンド片に対する配管の仮置き載置を可及的簡易にしてスムーズになし得るものとして、配管作業の作業効率を可及的高度に確保した配管吊バンドを提供するように、これを、一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に形成した連結自由端を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在とした配管吊バンドであって、上記配管仮置き用のバンド片における湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片の内径より径大にして該吊片上端の起立位置に至る同心円の径大部位を配置してなることを特徴とする配管吊バンドとしたものである。
【0009】
上記第2の課題に沿って請求項2に記載の発明は、上記配管押え用のバンド片に、同じく、その湾曲方向吊片近傍位置にバンド片の内径より径大として吊片の起立位置に至るようにした該バンド片と同心円の径大部位を配置して、配管押え用のバンド片の回動に際して、該バンド片に対してその吊片近傍における回動の軌跡を外側に離隔するように、配管仮置き用のバンド片に仮置き載置した配管との間に衝接回避用のスペースを配置することによって、該配管押え用のバンド片のボルトからの起立幅を可及的に大きく得られるようにし、該バンド片が配管の上部に衝接するのを防止するようにして、ナットの緩め幅と締め戻しの締着幅を可及的に極小化するも、該バンド片が配管に衝接するのを回避し得るものとし、同じく配管作業の作業効率を可及的高度に確保した配管吊バンドを提供するように、これを、一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に形成した連結自由端を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在とした2分割バンド片を有する配管吊バンドであって、上記配管押え用のバンド片における湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片の内径より径大にして該吊片上端の起立位置に至る同心円の径大部位を配置してなることを特徴とする配管吊バンドとしたものである。
【0010】
上記第3の課題に沿って請求項3に記載の発明は、上記配管仮置き用のバンド片に上記径大部位を配置して、該バンド片の開口を拡大することによって、該バンド片に対する配管の仮置き載置を可及的簡易にしてスムーズになし得るものとするとともに配管押え用のバンド片に上記径大部位を配置して、上記ナットの緩め幅と締め戻しの締着幅を可及的に極小化するも、該バンド片が配管に衝接するのを回避し得るものとして、これら双方を備えることによって、配管作業の作業効率を可及的高度に確保した配管吊バンドを提供するように、これを、一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に形成した連結自由端を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在とした2分割バンド片を有する配管吊バンドであって、上記配管仮置き用のバンド片及び配管押え用のバンド片における湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片の内径より径大にして該吊片上端の起立位置に至る同心円の径大部位をそれぞれ配置してなることを特徴とする配管吊バンドとしたものである。
【0011】
本発明は、これらをそれぞれ発明の要旨として、上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、上記配管仮置き用のバンド片に、その湾曲方向吊片近傍位置にバンド片の内径より径大として吊片の起立位置に至るようにした該バンド片と同心円の径大部位を配置して、配管仮置き用のバンド片の角度を、配管の仮置き載置の安定性を確保するものとする一方で、角度によって規制される該バンド片の開口の幅を拡大することによって、該バンド片に対する配管の仮置き載置を可及的簡易にしてスムーズになし得るものとして、配管作業の作業効率を可及的高度に確保した配管吊バンドを提供することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、上記配管押え用のバンド片に、同じく、その湾曲方向吊片近傍位置にバンド片の内径より径大として吊片の起立位置に至るようにした該バンド片と同心円の径大部位を配置して、配管押え用のバンド片の回動に際して、該バンド片に対してその吊片近傍における回動の軌跡を外側に離隔するように、配管仮置き用のバンド片に仮置き載置した配管との間に衝接回避用のスペースを配置することによって、該配管押え用のバンド片のボルトからの起立幅を可及的に大きく得られるようにし、該バンド片が配管の上部に衝接するのを防止するようにして、ナットの緩め幅と締め戻しの締着幅を可及的に極小化するも、該バンド片が配管に衝接するのを回避し得るものとし、同じく配管作業の作業効率を可及的高度に確保した配管吊バンドを提供することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、上記配管仮置き用のバンド片に上記径大部位を配置して、該バンド片の開口を拡大することによって、該バンド片に対する配管の仮置き載置を可及的簡易にしてスムーズになし得るものとするとともに配管押え用のバンド片に上記径大部位を配置して、上記ナットの緩め幅と締め戻しの締着幅を可及的に極小化するも、該バンド片が配管に衝接するのを回避し得るものとして、これら双方を備えることによって、配管作業の作業効率を可及的高度に確保した配管吊バンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】配管吊バンドの正面図である。
【図2】配管仮置き用のバンド片の正面図である。
【図3】配管仮置き用のバンド片の側面図である。
【図4】配管押え用のバンド片の正面図である。
【図5】配管押え用のバンド片の側面図である。
【図6】配管吊バンドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図1乃至図5においてAは、鋼板にプレス加工を施すことによって形成した配管吊バンドであり、該配管吊バンドAは、一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片2a、2bを、その各上端に起立した吊片22に挿通したボルトナット4a、4bによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片2aの吊片22に一体のタンバックル1に吊支持し、配管仮置き用のバンド片2aによって配管6を仮置き支持して配管押え用のバンド片2bを配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片2a、2bに形成した連結自由端3を相互に連結して該2分割一対のバンド片2a、2bによる配管6の被嵌支持を自在としたものとしてあり、このとき、本例の配管吊バンドAは、上記配管仮置き用のバンド片2a及び配管押え用のバンド片2bにおける湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片2a、2bの内径より径大にして該吊片22上端の起立位置に至る同心円の径大部位25をそれぞれ配置したものとしてある。
【0017】
配管吊バンドAのバンド片2a、2bは、湾曲片21と、該湾曲片21上端の吊片22と、該湾曲片21先端の連結自由端3を備えて、例えば1.5mm程度の肉厚び鋼板にそれぞれプレス加工を施して形成して、例えば、内径を、半径3cm程度にして6cm程度としてある。
【0018】
このとき、該配管吊バンドAにおける配管仮置き用のバンド片2aは、吊片22によってタンバックル1に該バンド片2aを吊支持し且つ連結自由端3を連結することによって該連結自由端3を部分的に重複した配管6の支持状態で、吊片22位置から連結自由端3の先端までの湾曲角度を、例えば220°程度、配管押え用のバンド片2bは、例えば140°程度として、配管6の外周をカバーして、これを被嵌支持するようにしてある。このとき、上記タンバックル1による配管吊バンドAの吊支持状態で配管仮置き用及び配管押え用のバンド片2a、2bの吊片22間には10°程度の空隙が生じるようにしてあるから、該空隙の角度を双方のバンド片2a、2bで吸収するように、各バンド片2a、2bは、例えば5°程度の角度を短寸化したものとしてあり、従って、本例の配管仮置き用のバンド片2aは、上記配管支持の状態で215°程度、配管押え用のバンド片2bは135°程度の湾曲角度を備えるようにしてある一方、上記吊片22間の空隙及び連結自由端3を除く湾曲片21の角度は、配管仮置き用のバンド片2aにあって、これを200°弱の、例えば190°程度とし、配管押え用のバンド片2bにあって、120°弱の、例えば110°程度としてある。
【0019】
各バンド片2a、2bの上端には、ボルト4aを挿通するボルト孔23を透設した吊片22を上向きに起立してあり、本例にあって該ボルト孔23は、上記配管仮置き用のバンド片2aにあってはボルト4aの、例えば6mm程度の軸に合せて7mm程度にこれより幾分径大化した円形のものとする一方、配管押え用のバンド片2bにあっては、上記配管仮置き用のバンド片2aの吊片22配置の上記ボルト孔23とその上端位置を合せて、下端を該ボルト孔23の下端より下方に向けて延長した、例えば幅を7mm程度、長さを1.3mm程度に長寸化して、ボルト4aの挿通状態で該バンド片2bを外側に起立し得るように上下に長孔をなすものとしてある。
【0020】
各バンド片2a、2bの連結自由端3は、連結によって相互に重合するように屈曲形成した段差重合片31及び先端重合片33と、上記段差重合片31と先端重合片33間に相互に噛合い係合するように配置した各1/2幅の切欠溝32と、上記段差重合片31と先端重合片33の重合による該連結自由端3の連結に際して各バンド片2a、2bの湾曲片21との径差を吸収し、本例にあってはバンド片2a、2bの内径に対して1mm程度の空隙を残すように径内に向けて先端重合片に突出配置した先端突起34と、該連結自由端3の連結後に双方の外れ止めを行うように相互に嵌合係止する切起し突起35とを備えたものとしてある。
【0021】
このように形成した配管仮置き用のバンド片2a、配管押え用のバンド片2bには、本例にあってその双方に上記各バンド片2a、2bの内径より径大の円弧部をなすように径大部位25を配置してある。該径大部位25は、配管仮置き用のバンド片2a及び配管押え用のバンド片2bの上記各湾曲片21の上方部分、即ち連結自由端3と逆側の端部側に該湾曲片21の内径を部分的に径大化するようにしてその配置を行い、その上端に吊片22を起立してある。このとき本例の径大部位25は、配管仮置き用及び配管押え用のバンド片2a、2bに、その位置及び長さ(湾曲角度)を共通に配置してあり、本例にあって該径大部位25は、湾曲片21の先端から、例えば20°程度の湾曲角度にして、これらバンド片2a、2bの上記半径3cmに対して、その半径を3.2cm程度とすることによって、該径大部位25において2mm程度の幅分を径大化してある。
【0022】
径大部位25を配置したことによって、配管仮置き用のバンド片2aは、吊片22下端から上記連結自由端3の先端まで220°、上記吊片22間の空隙及び連結自由端を除く190°の、配管6の外径と等しい180°を超える湾曲角度を有することによって、その開口が配管6の外径より縮小したものとなるところ、該開口6を拡大、例えば、該開口を配管の外径に略等しいか、又はこれより僅かに小さい開口の幅とするように拡大することができ、例えばバンド片2aの弾性に大きく抗して圧入することなく、配管6の仮置き載置を、該配管6の有する自重を利用して配管仮置き用のバンド片2aに乗せるか、その後にやや上から押圧することによって、可及的簡易にしてスムーズに行うことが可能となる。
【0023】
このとき、本例にあっては、更に、上記連結自由端3における先端重合片33の配置を、バンド片2aの内径に対して1mm程度の空隙を残すように配置したことによって、該空隙を加えると、上記吊片22下端と連結自由端3の先端との開口を、配管6に対して合計3mm程度径大化することになるから、上記湾曲角度によって縮小した開口は、該配管6と等しいか又はこれを超える幅を有するものとなり、従って、本例にあっては該空隙の寄与によって配管6の仮置き載置は、該配管6を開口に乗せるようすれば、これを更に簡易に行うことができる。
【0024】
また、径大部位25を配置したことによって、配管押え用のバンド片2bは、その吊片22の下端位置が2mm程度タンバックル1側の上方に移動するから、吊片22近傍における回動の軌跡を外側に離隔して、配管仮置き用のバンド片2aに仮置き載置した配管6との間に衝接回避用のスペースを配置することによって、該配管押え用のバンド片2bのボルト4aからの外側への起立幅を縮小しても、該バンド片2bが配管6の上部に衝接するのを防止することができ、従って、該バンド片2bを外側に起立するに必要なナット4bの緩め幅を極小化することができる。また、本例にあっては、該バンド片2bの吊片22に配置したボルト挿通孔23を上下の長孔としたから、該長孔がバンド片2bの外側への起立に寄与する結果、上記配管作業における上記ナット4bの緩め幅と締着時の締め戻しの締着幅を更に極小化することができる。
【0025】
以上のように形成した本例の配管吊バンドAは、各バンド片2a、2bの連結自由端3を相互に連結し且つタンバックル1とバンド片2a、2bの吊片22を、配管仮置き用のバンド片2aにおける吊片22側にボルト4aのボルト頭を、配管押え用のバンド片2bにおける吊片22側にナット4bを配置して、該ボルトナット4a、4bによって仮止め状に締着するとともにタンバックル1を配管吊バンドAの内側に回動収納するように配置した、バンド片一体化の出荷形態で現場に搬入使用するようにしてある。現場での配管作業は、配管吊バンドAの外側にタンバックル1を回転して脱出し、図示省略の吊ボルトに該タンバックル1の回転ナット11を螺装することによって、複数の吊ボルトに対して複数の配管吊バンドAを吊支持した後に、ボルトナット4a、4bのナット4bをやや緩めて、ボルト4aを回動軸として配管押え用のバンド片2bを回動し、双方のバンド片2a、2bにおける連結自由端3の連結を解除して、配管押え用のバンド片2bを配管仮置き用のバンド片2aから分離し、該複数の配管吊バンドAの各配管仮置き用のバンド片2aに対して配管6を架設する如くに仮置き載置し、その後に配管押え用のバンド片2bを、配管6を被嵌支持するようにボルト4aを回動軸として、配管外周方向に回動し、双方の連結自由端3を連結し、該連結自由端3の連結状態で、配管押え用のバンド片2bの吊片22側に位置するナット4aを締め戻して、ボルトナット4a、4bによる締着固定を行うものとしてあり、このとき連結自由端3の連結は、双方のバンド片2a、2bの段差重合片31にそれぞれ先端重合片33を重合するとともに双方の切欠溝32を噛合い係合し、その切起し突起35を他方のバンド片2a又は2bの段差重合片31及び先端重合片33に引掛け状に係合することによって、これを行うものとしてある。
【0026】
このとき本例の配管吊バンドAは、その上記配管仮置き用のバンド片2aの径大部位25によって、該バンド片2aに対する配管6の上記架設状の仮置き載置を可及的に簡易且つスムーズに行うことができるとともに該仮置き載置を安定して行うことができ、また、配管押え用のバンド片2bの径大部位25によって、ナット4bの緩め幅と締め戻しの締着幅を極小化でき、従って、配管作業の作業効率を可及的高度に確保することができる。
【0027】
図中12は該回転ナット11の落下防止用のナット抜止め、24は吊片22のボルト4aの回転止め、26はバンド片2a、2bの補強リブをそれぞれ示す。
【0028】
図示した例は以上のとおりとしたが、タンバックルを、配管仮置き用のバンド片の吊片に一体に形成したもの、即ち、タンバックルの支持片と該吊片を一体化して双方を一体に形成したものとすること、上記配管吊バンドの配管仮置き用のバンド片又は配管押え用のバンド片の一方に、その湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片の内径より径大にして該吊片上端の起立位置に至る同心円の径大部位を配置するようにして、配管の仮置き載置を容易化し又はナットの緩め幅と締め戻しの締着幅を小さくすることを含めて、本発明の実施に当って、配管吊バンド、配管仮置き用のバンド片、配管押え用のバンド片、径大部位、タンバックル、吊片、ボルト孔等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0029】
A 配管吊バンド
1 タンバックル
11 回転ナット
12 ナット抜止め
2a 配管仮置き用のバンド片
2b 配管押え用のバンド片
21 湾曲片
22 吊片
23 ボルト孔
24 回転止めリブ
25 径大部位
26 補強リブ
3 連結自由端
31 段差重合片
32 切欠溝
33 先端重合片
34 先端突起
35 切起し突起
4a ボルト
4b ナット
5 吊ボルト
6 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に形成した連結自由端を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在とした配管吊バンドであって、上記配管仮置き用のバンド片における湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片の内径より径大にして該吊片上端の起立位置に至る同心円の径大部位を配置してなることを特徴とする配管吊バンド。
【請求項2】
一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に形成した連結自由端を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在とした2分割バンド片を有する配管吊バンドであって、上記配管押え用のバンド片における湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片の内径より径大にして該吊片上端の起立位置に至る同心円の径大部位を配置してなることを特徴とする配管吊バンド。
【請求項3】
一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に形成した連結自由端を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在とした2分割バンド片を有する配管吊バンドであって、上記配管仮置き用のバンド片及び配管押え用のバンド片における湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片の内径より径大にして該吊片上端の起立位置に至る同心円の径大部位をそれぞれ配置してなることを特徴とする配管吊バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−163469(P2011−163469A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27997(P2010−27997)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(392018078)日栄インテック株式会社 (28)
【Fターム(参考)】