説明

配管支持装置

【課題】配管が熱膨張等に起因して軸方向に直交する方向へ押されることによって、サドルバンドが折れ曲がったり破損したりするのを防止することができる配管支持装置を提供する。
【解決手段】固定板4に、配管Pの軸方向に直交する方向に延びる第1のボルト挿通孔4cを形成する。固定板4の上面である被滑り面4b1に第1の滑り板5を摺動可能に配置し、固定板4の下面4a1に第2の滑り板6を摺動可能に配置する。配管Pを支持するサドルバンド3および支持パッド2は、第1の滑り板5および第2の滑り板6とともに、ボルト8とナット9とにより固定板4に締結される。サドルバンド3に対して配管Pの軸方向に直交する方向へ所定の強さ以上の負荷が作用した場合に、サドルバンド3が第1の滑り板5および第2の滑り板6とともに上記直交する方向へ同行移動するのを許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶などで使用される配管を支持するための配管支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶などで使用される配管は、その内部を流れる流体の温度変化や雰囲気温度の変化等によって、軸方向に熱膨張または熱収縮することがある。このような配管を支持する配管支持装置として、上記熱膨張等が発生したときに配管を軸方向に摺動可能に支持するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、従来の配管支持装置を示す平面図であり、図7は、図6のa−a断面図である。図6において、この配管支持装置100は、船舶で使用される配管pを支持するものであり、例えば直角に屈曲する配管pの第一管部p1および第二管部p2の二箇所にそれぞれ配置されている。配管支持装置100は、図7に示すように、船体側に固定された固定板110と、この固定板110の上方に配置された平板状の支持パッド101と、この支持パッド101の上方(図7の上側)に配置されたサドルバンド102と、支持パッド101およびサドルバンド102を固定板110に締結する締結部材としての一対のボルト103およびナット104とを備えている。
【0004】
ボルト103は、サドルバンド102に形成された上挿通孔102a、支持パッド101に形成された下挿通孔101a、および固定板110に形成された貫通孔110aに、サドルバンド102の上方から挿通されている。支持パッド101は金属板からなり、その中央部には摩擦係数の小さいフッ素樹脂からなる下滑り材105が取り付けられている。また、サドルバンド102は金属板からなり、その中央部に形成されたU字状の凹部102bには、フッ素樹脂からなるシート状の上滑り材106が接着されている。下滑り材105と上滑り材106には、配管pの外周面がそれぞれ接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−786号公報(第1図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記配管支持装置100は、配管pが軸方向(図7の紙面垂直方向)に熱膨張または熱収縮したときに、配管pの外周面が下滑り材105および上滑り材106の各表面を軸方向に滑ることによって、配管pを軸方向に摺動可能に支持することができる。しかし、配管pは、図6の二点鎖線で示すように、例えば、第一管部p1が軸方向に熱膨張等することによって矢符b方向に摺動すると、第二管部p2は、第一管部p1によって矢符c方向、すなわち軸方向に直交する方向へ押されることがある。この場合、第二管部p2は、図6において、下側の配管支持装置100によって上記直交する方向への移動が規制されているため、サドルバンド102の凹部102bの角部102cに、第二管部p2の外周面が斜めに傾いた状態で強く押し当てられる。このため、サドルバンド102が折れ曲がったり破損したりするという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、配管が熱膨張等に起因して軸方向に直交する方向へ押されることによって、サドルバンドが折れ曲がったり破損したりするのを防止することができる配管支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の配管支持装置は、支持パッドとサドルバンドとの間で配管を挟持し、前記支持パッドとサドルバンドとを所定部に取り付けることにより前記配管を支持する配管支持装置であって、前記配管の軸方向に直交する方向に延びる長孔からなる第1のボルト挿通孔を有する前記所定部としての固定板と、前記固定板の一方の面と前記支持パッドとの間に配置され、第2のボルト挿通孔を有するとともに当該固定板に対して摺動可能な第1の滑り板と、前記固定板の他方の面に接触させて配置され、第3のボルト挿通孔を有するとともに当該固定板に対して摺動可能な第2の滑り板と、前記支持パッドおよびサドルバンドにそれぞれ形成された第4のボルト挿通孔および第5のボルト挿通孔、ならびに前記第1〜第3のボルト挿通孔を挿通させるボルトと、前記ボルトの先端側に螺合されるナットとを有し、前記サドルバンド、支持パッド、第1の滑り板および第2の滑り板を、前記固定板に締結するとともに、当該サドルバンド、支持パッド、第1の滑り板および第2の滑り板を、配管の軸方向に直交する方向へ同行移動可能に一体化させる締結部材と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
上記のように構成された配管支持装置によれば、サドルバンドに対して配管の軸方向に直交する方向へ所定の強さ以上の負荷が作用した場合に、上記第1の滑り板および第2の滑り板が固定板に対して上記直交する方向に摺動するのを許容するように、上記締結部材による締結力(締付力)を調整しておくことにより、当該直交する方向に移動する配管に上記サドルバンドを追従させて移動させることができる。つまり、上記固定板に設けられた長孔からなる第1のボルト挿通孔によって、上記ボルトが当該第1のボルト挿通孔に沿って配管の軸方向に直交する方向へ移動可能であるので、配管が熱膨張等に起因してその軸方向に直交する方向に押されて、上記サドルバンドに対して当該直交する方向へ所定の強さ以上の負荷が作用すると、上記サドルバンド、支持パッド、第1の滑り板および第2の滑り板を、上記ボルトを介して上記直交する方向へ同行移動させることができ、これにより、当該直交する方向に移動する配管に上記サドルバンドを追従させて移動させることができる。このため、上記配管の移動に伴ってサドルバンドが折れ曲がったり破損したりするのを防止することができる。
【0009】
また、前記第1の滑り板は、前記支持パッドに添わせる第1の金属板と、この第1の金属板に接着されているとともに前記固定板の一方の面に添わせる第1の樹脂板とを有し、この第1の樹脂板は、充填材入りポリテトラフルオロエチレンにより形成されているのが好ましい。
この場合、固定板の一方の面に添わせる第1の樹脂板を、摩擦係数の小さいフッ素樹脂である充填材入りのポリテトラフルオロエチレンにより形成したので、第1の滑り板を固定板の一方の面に対してより円滑に摺動させることができる。
【0010】
また、前記第2の滑り板は、前記ナットに添わせる第2の金属板と、この第2の金属板に接着されているとともに前記固定板の他方の面に添わせる第2の樹脂板とを有し、この第2の樹脂板は、充填材入りポリテトラフルオロエチレンにより形成されているのが好ましい。
この場合、固定板の他方の面に添わせる第2の樹脂板を、摩擦係数の小さいフッ素樹脂である充填材入りのポリテトラフルオロエチレンにより形成したので、第2の滑り板を固定板の他方の面に対してより円滑に摺動させることができる。
【0011】
また、前記ナットは、ダブルナットであることが好ましい。この場合、ボルトおよびナットによる締結力を、第1の滑り板および第2の滑り板が摺動するのを許容した締結力に設定した状態から、上記締結力が緩むのをダブルナットによって防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の配管支持装置によれば、配管が熱膨張等に起因してその軸方向に直交する方向に押されて、サドルバンドに対して当該直交する方向へ所定の強さ以上の負荷が作用すると、サドルバンド、支持パッド、第1の滑り板および第2の滑り板を、ボルトを介して上記直交する方向へ同行移動させることができる。これにより、当該直交する方向に移動する配管にサドルバンドを追従させて移動させることができるため、配管の移動に伴ってサドルバンドが折れ曲がったり破損したりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る配管支持装置を示す断面図である。
【図2】配管支持装置の支持パッドのみを示す平面図である。
【図3】配管支持装置の被滑り板部のみを示す平面図である。
【図4】配管支持装置の第1の滑り板のみを示す平面図である。
【図5】配管支持装置の第2の滑り板のみを示す平面図である。
【図6】従来の配管支持装置を示す平面図である。
【図7】図6のa−a断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る配管支持装置を示す断面図である。この配管支持装置1は、例えば船舶で使用される配管Pを支持するものである。配管支持装置1は、平板状の支持パッド2と、支持パッド2の上方に配置されたU字状のサドルバンド3と、船体側に固定される固定板4と、固定板4の上面(一方の面)と支持パッド2との間に配置された第1の滑り板5と、固定板4の下面(他方の面)に接触させて配置された一対の第2の滑り板6と、支持パッド2、サドルバンド3、第1の滑り板5および第2の滑り板6を固定板4に締結する一対の締結部材7とによって構成されている。
【0015】
図2は、支持パッド2のみを示す平面図である。図1および図2において、支持パッド2は、金属製のパッド本体2aと、フッ素樹脂製の下滑り材2bとを有している。パッド本体2aは、例えばSS400の圧延鋼材に亜鉛メッキを施して形成された帯板部材であり、その両端部に形成された一対の第4のボルト挿通孔2a1を有している。
【0016】
下滑り材2bは、例えば充填材入りPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる摩擦係数の小さいフッ素樹脂によって円板状に形成されており、パッド本体2aの中央部に形成された取付孔2a2に嵌合して固定されている。また、下滑り材2bは、パッド本体2aよりも肉厚に形成されており、その上面をパッド本体2aの上面よりも上方に突出させて配管Pの外周面に接触させている。
【0017】
図1において、サドルバンド3は、金属製のバンド本体3aと、フッ素樹脂製の上滑り材3bとを有している。バンド本体3aは、例えば熱間圧延軟鋼板(SPHC)に亜鉛メッキを施して形成された帯板部材であり、その長手方向中央部にはU字状の凹部3a1が形成されている。また、バンド本体3aは、その長手方向両端部に形成された一対の第5のボルト挿通孔3a2を有している。
【0018】
上滑り材3bは、例えば充填材入りPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる摩擦係数の小さいフッ素樹脂によってシート状に形成されている。また、上滑り材3bは、上記凹部3a1の下面に接着されており、その下面を配管Pの外周面に接触させている。これにより、配管Pは、支持パッド2とサドルバンド3との間で挟持された状態で支持されている。その際、配管Pの外周面は、下滑り材2bと上滑り材3bとに接触しているため、支持パッド2およびサドルバンド3は、配管Pをその軸方向(図1の紙面垂直方向)に摺動可能に支持することができる。
【0019】
下滑り材2bおよび上滑り材3bに含有される上記充填材としては、例えば導電性を有するカーボンが使用されている。このため、配管Pで発生する静電気を下滑り材2bおよび上滑り材3bから固定板4を介して船体側に逃がすことができる。したがって、配管Pに蓄積された静電気が放電することにより、配管P内を流れる揮発性の液体が引火するのを防止することがきる。また、上記カーボンは、下滑り材2bおよび上滑り材3bの耐摩耗性を向上するため、その粒径が0.03〜50μm(好ましくは0.03〜20μm)の範囲、およびPTFEに対する含有比率が10〜30%の範囲(好ましくは25%)にそれぞれ設定されている。
【0020】
固定板4は、船体側に固定される基板部4aと、この基板部4aの上面に溶接により固定された被滑り板部4bとを有している。図3は、被滑り板部4bのみを示す平面図である。図1および図3において、被滑り板部4bは、例えばステンレス鋼(SUS304)によって形成された金属性の帯板部材からなる。被滑り板部4bの上面は、面全体に研磨処理が施された被滑り面4b1とされている。また、被滑り板部4bには、配管Pの軸方向に直交する方向(図1の左右方向)に延びる長孔からなる一対の上長孔4b2が形成されている。
【0021】
基板部4aには、被滑り板部4bの上長孔4b2の直下に、この上長孔4b2と同一形状の長孔からなる下長孔4a2が形成されている(図1参照)。この下長孔4a2と上長孔4b2とによって、第1のボルト挿通孔4cが構成されている。基板部4aの下面4a1は、後述する第2の樹脂板6bを円滑に摺動させることができる程度に滑らかに形成されている。
【0022】
図4は、第1の滑り板5のみを示す平面図である。図1および図4において、第1の滑り板5は、支持パッド2の下面に添わせた金属製の第1の金属板5aと、固定板4の被滑り面4b1に添わせたフッ素樹脂製の第1の樹脂板5bとを有している。また、第1の滑り板5には、第1の金属板5aと第1の樹脂板5bを貫通する一対の第2のボルト挿通孔5cが形成されている。第1の金属板5aは、例えばSS400の圧延鋼材に亜鉛メッキを施して形成された矩形状の板部材からなる。なお、第1の金属板5aは正方形状の板部材であってもよい。
【0023】
第1の樹脂板5bは、例えば充填材入りPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる摩擦係数の小さいフッ素樹脂によって形成されている。また、第1の樹脂板5bは、第1の金属板5aよりも若干小さく形成されており、その上面を化学エッチングにて表面処理することによって第1の金属板5aの下面に接着されている。第1の樹脂板5bの下面は、固定板4の被滑り面4b1に摺動可能に面接触する第1の滑り面5b1とされている。第1の樹脂板5bの長手方向の長さL5(図4参照)は、図1に示すように、支持パッド2の長手方向の長さL2(図2参照)よりも長く形成されているとともに、被滑り板部4bの長手方向の長さL4(図3参照)よりも短く形成されている。
【0024】
図5は、第2の滑り板6のみを示す平面図である。図1および図5において、第2の滑り板6は、後述する第1のナット9aの上面に添わせた金属製の第2の金属板6aと、固定板4の下面4a1に添わせたフッ素樹脂製の第2の樹脂板6bとを有している。また、第2の滑り板6には、第2の金属板6aと第2の樹脂板6bを貫通する第3のボルト挿通孔6cが形成されている。なお、第2の滑り板6は、基板部4aと後述する第1のナット9aとの間に配置される座金としての役割を果たしている。
【0025】
第2の金属板6aは、例えばSS400の圧延鋼材により形成された例えば正方形状の平板部材である。
第2の樹脂板6bは、例えば充填材入りPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる摩擦係数の小さいフッ素樹脂によって形成されている。第2の樹脂板6bは、第2の金属板6aと同一形状の平板部材であり、配管Pの軸方向(図5の上下方向)の長さL6は、固定板4の第1のボルト挿通孔4cの上記軸方向の幅L4c(図3参照)よりも長く形成されている。また、第2の樹脂板6bは、その下面を化学エッチングにて表面処理することによって第2の金属板6aの上面に接着されている。第2の樹脂板6bの上面は、基板部4aの下面4a1に摺動可能に面接触する第2の滑り面6b1とされている。
【0026】
第1の樹脂板5bおよび第2の樹脂板6bに含有される上記充填材としては、当該第1および第2の樹脂板5b,6bを第1および第2の金属板5a,6bに容易に接着することができるように、例えば絶縁性を有するガラス繊維が使用されている。このガラス繊維は、下滑り材2bおよび上滑り材3bの耐摩耗性を向上するため、その繊維径が5〜20μmの範囲(好ましくは10μm)、繊維長さが50〜200μmの範囲、およびPTFEに対する含有比率が5〜30%の範囲にそれぞれ設定されている。
【0027】
図1において、締結部材7は、ボルト8と、このボルト8の先端側に螺合されるナット9とを有している。ボルト8の軸部8aは、サドルバンド3の上方から座金10を介して、サドルバンド3の第5のボルト挿通孔3a2、支持パッド2の第4のボルト挿通孔2a1、第1の滑り板5の第2のボルト挿通孔5c、固定板4の第1のボルト挿通孔4c、第2の滑り板6の第3のボルト挿通孔6cに順次挿通されている。上記第2〜第5のボルト挿通孔5c,6c,2a1,3a2は、それぞれボルト8の軸部8aと僅かな隙間を有する円形のものである。
【0028】
ナット9は、第1のナット9aおよび第2のナット9bによりダブルナットとして構成されている。第1および第2のナット9a,9bは、上記挿通されたボルト8の軸部8aの先端側に螺合され、サドルバンド3、支持パッド2、ならびに第1の滑り板5および第2の滑り板6を固定板4に締結している。その締結力(締付力)は、所定の締結力となるように調整した状態で保持されている。具体的には、サドルバンド3に対して配管Pの軸方向に直交する方向へ所定の強さ以上の負荷が作用した場合に、第1の滑り板5および第2の滑り板6が、固定板4に対して上記直交する方向に摺動するのを許容するように上記締結力が調整されている。これにより、サドルバンド3、支持パッド2、第1の滑り板5および第2の滑り板6を、固定板4に締結するとともに、配管Pの軸方向に直交する方向へ同行移動可能に一体化させることができる。
【0029】
上記のように構成された本実施形態の配管支持装置によれば、締結部材7による締結力を所定の締結力に調整しておくことにより、サドルバンド3に対して配管Pの軸方向に直交する方向へ所定の強さ以上の負荷が作用した場合に、当該直交する方向に移動する配管Pにサドルバンド3を追従させて移動させることができる。つまり、固定板4に設けられた長孔からなる第1のボルト挿通孔4cによって、ボルト8が当該第1のボルト挿通孔4cに沿って配管Pの軸方向に直交する方向へ移動可能であるので、配管Pが熱膨張等に起因してその軸方向に直交する方向に押されて、サドルバンド3に対して当該直交する方向へ所定の強さ以上の負荷が作用すると、サドルバンド3、支持パッド2、第1の滑り板5および第2の滑り板6を、ボルト8を介して上記直交する方向へ同行移動させることができ、これにより、当該直交する方向に移動する配管Pにサドルバンド3を追従させて移動させることができる。このため、上記配管Pの移動に伴ってサドルバンド3が折れ曲がったり破損したりするのを防止することができる。
【0030】
また、固定板4の被滑り面4b1に添わせた第1の樹脂板5bを、摩擦係数の小さいフッ素樹脂である充填材入りのPTFEにより形成したので、第1の樹脂板5bを被滑り面4に対してより円滑に摺動させることができる。
また、固定板4の下面4a1に添わせた第2の樹脂板6bを、摩擦係数の小さいフッ素樹脂である充填材入りのPTFEにより形成したので、第2の樹脂板6bを上記下面4a1に対してより円滑に摺動させることができる。
【0031】
また、ナット9を第1のナット9aおよび第2のナット9bによりダブルナットとして構成したので、ボルト8とナット9とによる締結力を、第1の滑り板5および第2の滑り板6が摺動するのを許容した締結力に設定した状態から、上記締結力が緩むのをダブルナットによって防止することができる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば第1の滑り板5は、被滑り板部4bに接触しているが、基板部4aの上面が滑らかに形成されている場合は、当該上面に直接接触させるようにしてもよい。この場合は、被滑り板部4bが不要になるため、コスト安価となる。また、第2の滑り板6を、基板部4aの下面4a1に直接接触させているが、当該下面4a1が滑らかに形成されていない場合は、第1の滑り板5と同様に、第2の滑り板6と上記下面4a1との間に被滑り板部を介在させてもよい。
【0033】
第1の樹脂板5bおよび第2の樹脂板6bに含有される充填材は、ガラス繊維に代えて、カーボンを使用していもよい。また、ボルト8は、固定板4の上方から下方に向けて挿通されているが、固定板4の下方から上方に向けて挿通されていてもよい。さらに、本発明の配管支持装置1は、船舶のほか、プラントなどで使用される配管にも好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 配管支持装置
2 支持パッド
2a1 第4のボルト挿通孔
3 サドルバンド
3a2 第5のボルト挿通孔
4 固定板
4c 第1のボルト挿通孔
5 第1の滑り板
5a 第1の金属板
5b 第1の樹脂板
5c 第2のボルト挿通孔
6 第2の滑り板
6a 第2の金属板
6b 第2の樹脂板
6c 第3のボルト挿通孔
7 締結部材
8 ボルト
9 ナット
P 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持パッドとサドルバンドとの間で配管を挟持し、前記支持パッドとサドルバンドとを所定部に取り付けることにより前記配管を支持する配管支持装置であって、
前記配管の軸方向に直交する方向に延びる長孔からなる第1のボルト挿通孔を有する前記所定部としての固定板と、
前記固定板の一方の面と前記支持パッドとの間に配置され、第2のボルト挿通孔を有するとともに当該固定板に対して摺動可能な第1の滑り板と、
前記固定板の他方の面に接触させて配置され、第3のボルト挿通孔を有するとともに当該固定板に対して摺動可能な第2の滑り板と、
前記支持パッドおよびサドルバンドにそれぞれ形成された第4のボルト挿通孔および第5のボルト挿通孔、ならびに前記第1〜第3のボルト挿通孔を挿通させるボルトと、前記ボルトの先端側に螺合されるナットとを有し、前記サドルバンド、支持パッド、第1の滑り板および第2の滑り板を、前記固定板に締結するとともに、当該サドルバンド、支持パッド、第1の滑り板および第2の滑り板を、配管の軸方向に直交する方向へ同行移動可能に一体化させる締結部材と、を備えていることを特徴とする配管支持装置。
【請求項2】
前記第1の滑り板は、前記支持パッドに添わせる第1の金属板と、この第1の金属板に接着されているとともに前記固定板の一方の面に添わせる第1の樹脂板とを有し、この第1の樹脂板は、充填材入りポリテトラフルオロエチレンにより形成されている請求項1に記載の配管支持装置。
【請求項3】
前記第2の滑り板は、前記ナットに添わせる第2の金属板と、この第2の金属板に接着されているとともに前記固定板の他方の面に添わせる第2の樹脂板とを有し、この第2の樹脂板は、充填材入りポリテトラフルオロエチレンにより形成されている請求項1または2に記載の配管支持装置。
【請求項4】
前記ナットが、ダブルナットである請求項1〜3に記載の配管支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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