配管材支持具、および配管材の配管方法
【課題】 配管作業の作業性を向上させることができる配管材支持具を提供する。
【解決手段】 配管材支持具1は、基礎床2に接着固定される台座4と、台座4に、互いに間隔をあけるようにして垂直状に立設される一対のボルト体5、5と、一対のボルト体5、5間に架設されて配管材3を支持する支持体6とを備える。台座4には、基礎床2側となる裏面4a側に開口する、接着剤が充填される充填空間部7と、その充填空間部7と連通するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口する、接着剤を注入するための注入孔8とが設けられる。注入孔8は、ボルト体5の軸方向から見て、その開口の一部または全体が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられている。
【解決手段】 配管材支持具1は、基礎床2に接着固定される台座4と、台座4に、互いに間隔をあけるようにして垂直状に立設される一対のボルト体5、5と、一対のボルト体5、5間に架設されて配管材3を支持する支持体6とを備える。台座4には、基礎床2側となる裏面4a側に開口する、接着剤が充填される充填空間部7と、その充填空間部7と連通するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口する、接着剤を注入するための注入孔8とが設けられる。注入孔8は、ボルト体5の軸方向から見て、その開口の一部または全体が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基礎床に接着固定されて、配管材を支持する、配管材支持具、および、基礎床に沿って配管材を配管する、配管材の配管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート床などの基礎床に接着固定されて、配管材を支持する配管材支持具があった(例えば、特許文献1参照)。図24に示すように、この配管材支持具101は、基礎床102に接着固定される支持金具103と、その支持金具103に、ナットで締め付け固定される一対の支柱ボルト104、104と、それら一対の支柱ボルト104、104に架設される把持金具105、105とで構成されていた。ここで、支持金具103は、その中央に、接着剤充填部106を有し、その接着剤充填部106の中心には、接着剤を注入するための充填口107が設けられていた。そして、この配管材支持具101を基礎床102に固定する際には、まず、両面接着テープ108、108により、支持金具103(配管材支持具101)を基礎床102の所定位置に仮固定し、その後、充填口107から接着剤充填部106に接着剤を注入することによって、支持金具103(配管材支持具101)を基礎床102に対して本固定していた。そして、配管材100を把持金具105、105に挟持させ、こうして、配管材100が配管された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−87987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の配管材支持具101にあっては、配管材100を配管する前に、支持金具103(配管材支持具101)が基礎床102に接着固定されるため、実際に配管材100を配管する段階では、支持金具103(配管材支持具101)の位置を変更することが困難であった。また、接着剤が完全には硬化していない状態で、配管材100を把持金具105、105に挟持させようとすると、その作業中に、支持金具103が基礎床102から剥がれてしまう虞があり、したがって、配管材100を把持金具105、105に挟持させるために、接着剤が硬化するのを待たなければならなかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配管作業の作業性を向上させることができる、配管材支持具、および配管材の配管方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配管材支持具、および配管材の配管方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配管材支持具は、基礎床に接着固定されて、配管材を支持する支持具である。この配管材支持具は、前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に、互いに間隔をあけるようにして垂直状に立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える。また、前記台座には、前記基礎床側となる裏面側に開口する、接着剤が充填される充填空間部と、その充填空間部と連通するとともに、前記基礎床側とは反対側となる表面側に開口する、前記接着剤を注入するための注入孔とが設けられる。そして、前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記注入孔の上方から、その注入孔を介して前記充填空間部に前記接着剤を充填することができるように、前記注入孔は、前記ボルト体の軸方向から見て、その開口の一部または全体が前記支持体により支持される前記配管材とは重ならない位置に設けられている。
【0007】
この配管材支持具にあっては、台座に設けられた充填空間部に、注入孔を介して接着剤を充填することで、基礎床に接着固定される。そして、台座に立設された一対のボルト体間に架設された支持体により、配管材を支持する。ここで、注入孔は、ボルト体の軸方向から見て、その開口の一部または全体が支持体により支持される配管材とは重ならない位置に設けられているため、支持体により配管材が支持された状態であっても、注入孔の上方から、その注入孔を介して充填空間部に接着剤を充填することができる。すなわち、この配管材支持具にあっては、配管材支持具を基礎床に配置するとともに、支持体に配管材を支持させ、その後に、配管材支持具を基礎床に接着固定するようにして、配管材を配管することができる。このとき、支持体に配管材を支持させる段階において、配管材支持具は、まだ基礎床に接着固定されないため、配管材支持具の位置を容易に変更することができる。また、配管材を支持体に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配管材支持具は、請求項1に記載の配管材支持具において、前記注入孔は、その開口の全体が、前記一対のボルト体の互いに対向する側の最も近接した端に接する平面より外側に位置するように設けられている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配管材支持具は、請求項1または2に記載の配管材支持具において、前記台座には、前記充填空間部と連通するとともに、前記表面側に開口する、注入された前記接着剤が流れ出る流出孔が設けられ、前記流出孔は、前記注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されている。この配管材支持具にあっては、注入された接着剤が、流出孔を介して外部に流れ出ることで、充填空間部における接着剤の充填具合を目視で確認することができる。また、流出孔は、注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されているため、充填空間部への接着剤の充填の進行状況を確認し易い。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項3に記載の配管材支持具において、前記流出孔は、前記注入孔から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されてもよい。こうすることで、注入された接着剤は、流出孔の、注入孔に近い側からは相対的に流れ出にくく、また、流出孔の、注入孔から遠い側からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部の、注入孔から遠い側に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部の全体に行き渡り易くなる。なお、流出孔が、その深さ位置によって幅が異なるように形成されている場合には、流出孔の深さ方向において最も幅狭となった部分の幅を、その流出孔の溝幅とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項3または4に記載の配管材支持具において、前記流出孔は、その幅方向に複数並ぶように設けられ、かつ、前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔または/および前記注入孔に向かうように案内する案内手段が設けられてもよい。こうすることで、流出孔から流れ出る接着剤は、案内手段によって、他の流出孔または/および注入孔に向かうように案内され、その結果、他の流出孔から流れ出る接着剤や、注入孔内に保持された接着剤などと互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具と基礎床とが強固に接着固定される。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配管材支持具は、請求項1または2に記載の配管材支持具において、前記台座には、前記充填空間部と連通するとともに、前記表面側に開口する、注入された前記接着剤が流れ出る流出孔が、前記注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられている。この配管材支持具にあっては、注入された接着剤が、流出孔を介して外部に流れ出ることで、充填空間部における接着剤の充填具合を目視で確認することができる。また、流出孔は、注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられているため、充填空間部への接着剤の充填の進行状況を確認し易い。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項6に記載の配管材支持具において、前記流出孔は、前記注入孔から離れた流出孔ほど開口面積が大きくなるように、または、前記注入孔から遠く離れた側の流出孔が開口面積が相対的に大きくなるように、形成されてもよい。こうすることで、注入された接着剤は、注入孔に近い側の流出孔からは相対的に流れ出にくく、また、注入孔から遠い側の流出孔からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部の、注入孔から遠い側に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部の全体に行き渡り易くなる。なお、流出孔が、その深さ位置によって孔の形状や大きさが異なるように形成されている場合には、流出孔の深さ方向において最も面積が小さくなった部分の面積を、その流出孔の開口面積とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項6または7に記載の配管材支持具において、前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔または/および前記注入孔に向かうように案内する案内手段が設けられてもよい。こうすることで、流出孔から流れ出る接着剤は、案内手段によって、他の流出孔または/および注入孔に向かうように案内され、その結果、他の流出孔から流れ出る接着剤や、注入孔内に保持された接着剤などと互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具と基礎床とが強固に接着固定される。
【0015】
また、請求項9に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項5または8に記載の配管材支持具において、前記案内手段は、前記流出孔の内面部に形成された、前記表面側ほど、隣り合う他の前記流出孔に近づくように傾斜する、傾斜面であってもよい。この配管材支持具にあっては、接着剤は、傾斜面に沿うようにして流出孔から流れ出ることで、隣り合う他の流出孔に向かうように案内される。
【0016】
また、請求項10に記載の発明に係る配管材支持具は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の配管材支持具において、前記台座は、前記各ボルト体が立設される一対の立設部と、それら立設部を連結する連結部と、それら立設部に設けられたフランジ部とを有し、そのフランジ部に、前記注入孔が設けられている。
【0017】
また、請求項11に記載の発明に係る配管材の配管方法は、基礎床に沿って配管材を配管する方法である。この配管方法は、前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える、配管材支持具を、前記配管材の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具に架け渡すようにして、前記支持体に前記配管材を支持させる。そして、前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記台座に設けられた、前記基礎床側となる裏面側に開口する充填空間部に、その充填空間部と連通する注入孔を介して接着剤を充填して、前記配管材支持具を前記基礎床に接着固定する。
【0018】
この配管方法にあっては、配管材支持具を、配管材の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具に架け渡すようにして、支持体に配管材を支持させる。このとき、配管材支持具は、まだ基礎床に接着固定されていないため、配管材支持具の位置を容易に変更することができる。そして、支持体により配管材が支持された状態で、台座に設けられた充填空間部に、注入孔を介して接着剤を充填して、配管材支持具を基礎床に接着固定する。このため、配管材を支持体に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。
【0019】
また、請求項12に記載の発明に係る配管材の配管方法は、基礎床に沿って配管材を配管する方法である。この配管方法は、前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える、配管材支持具を、配管経路に合わせて前記配管材が複数連結された連結配管体に、所定間隔をおいて複数取り付けるとともに、それら複数の配管材支持具を前記基礎床に配置して、前記支持体に前記配管材を支持させる。そして、前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記台座に設けられた、前記基礎床側となる裏面側に開口する充填空間部に、その充填空間部と連通する注入孔を介して接着剤を充填して、前記配管材支持具を前記基礎床に接着固定する。
【0020】
この配管方法にあっては、配管経路に合わせて配管材が複数連結された連結配管体に、予め、配管材支持具を、所定間隔をおいて複数取り付けるとともに、それら複数の配管材支持具を基礎床に配置して、支持体に配管材を支持させる。このとき、配管材支持具は、まだ基礎床に接着固定されていないため、配管材支持具の位置を容易に変更することができる。そして、支持体により配管材が支持された状態で、台座に設けられた充填空間部に、注入孔を介して接着剤を充填して、配管材支持具を基礎床に接着固定する。このため、配管材を支持体に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係る配管材支持具、および配管材の配管方法によれば、支持体に配管材を支持させる段階において、配管材支持具の位置を容易に変更することができ、また、配管材を支持体に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。したがって、この配管材支持具、および配管材の配管方法を用いることで、配管作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施の形態の、配管材支持具の正面図である。
【図2】同じく、平面図である。
【図3】同じく、図2におけるA−A線による断面図である。
【図4】同じく、台座の平面図である。
【図5】同じく、図4における要部拡大図である。
【図6】同じく、台座の底面図である。
【図7】同じく、図6における要部拡大図である。
【図8】同じく、図4におけるB−B線による拡大断面図である。
【図9】同じく、図4におけるC−C線による拡大断面図である。
【図10】同じく、図4におけるD−D線による拡大断面図である。
【図11】同じく、高さ調整部材の拡大平面図である。
【図12】同じく、支持体の第1支持部材の平面図である。
【図13】同じく、支持体の第2支持部材の平面図である。
【図14】同じく、複数の配管材支持具に配管材を支持させた状態を示す平面図である。
【図15】この発明の他の実施の形態の、図5相当図である。
【図16】同じく、図15におけるE−E線による拡大断面図である。
【図17】同じく、案内手段の変形例を示す、図15相当図である。
【図18】同じく、図17におけるF−F線による拡大断面図である。
【図19】同じく、案内手段の他の変形例を示す、図15相当図である。
【図20】同じく、図19におけるG−G線による拡大断面図である。
【図21】同じく、案内手段のさらなる変形例を示す、図15相当図である。
【図22】同じく、図21におけるH−H線による拡大断面図である。
【図23】同じく、流出孔の変形例を示す、図5相当図である。
【図24】従来の配管材支持具を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明に係る配管材支持具、および配管材の配管方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜図14は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、配管材支持具であって、例えばコンクリート床などの基礎床2に接着固定されて、例えば排水管などの配管材3を支持する。
【0025】
この配管材支持具1は、前記基礎床2に接着固定される台座4と、台座4に、互いに間隔をあけるようにして垂直状に立設される一対のボルト体5、5(例えば、金属製からなるボルト体5、5)と、一対のボルト体5、5間に架設されて前記配管材3を支持する支持体6とを備える。また、台座4には、基礎床2側となる裏面4a側に開口する、接着剤が充填される充填空間部7と、その充填空間部7と連通するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口する、接着剤を注入するための注入孔8とが設けられる。そして、支持体6により配管材3が支持された状態で、注入孔8の上方から、その注入孔8を介して充填空間部7に接着剤を充填することができるように、注入孔8は、ボルト体5の軸方向から見て(図示実施の形態においては、平面視において)、その開口の一部または全体(図示実施の形態においては、全体)が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられている。図示実施の形態においては、注入孔8は、その開口の全体が、一対のボルト体5、5の互いに対向する側の最も近接した端に接する平面5a、5aより外側に位置するように設けられている(図1〜図3参照)。
【0026】
具体的には、台座4は、例えば合成樹脂製であって、各ボルト体5、5が立設される一対の立設部4c、4cと、それら立設部4c、4cを連結する連結部4dと、それら立設部4c、4cに設けられたフランジ部4e、4eとを有している(図1〜図7参照)。そして、そのフランジ部4eに、注入孔8および充填空間部7が設けられている。図示実施の形態においては、立設部4cは、ボルト体5の軸心と同心で短円筒状に突出するように形成されている。また、連結部4dは、その幅寸法が、立設部4cの直径寸法とほぼ同一で、一対のボルト体5、5の対向方向が長手となる板状に形成されている。
【0027】
ここで、各立設部4cには、ボルト体5が挿入固定される取付孔4fが設けられている(図3参照)。詳細には、取付孔4fは、表面4b側に、ボルト体5のボルト径より若干径大に形成されたボルト挿入部4gを有し、裏面4a側に、ボルト挿入部4gと連通するとともに、例えば金属製からなる第1のボルト固定ナット5bが回り止めされた状態で収容されるナット収容部4hを有する。そして、ボルト体5とナット収容部4hに収容された第1のボルト固定ナット5bとが螺合した状態で、例えば金属製からなる第2のボルト固定ナット5cを、第1のボルト固定ナット5bとで立設部4cの天板4iを挟み込むようにして、ボルト体5に締結することによって、ボルト体5が立設部4cに垂直状に立設固定される。また、図示実施の形態においては、注入孔8は、換言すると、その開口の全体が、一対の取付孔4f、4fにおけるボルト挿入部4g、4gの内壁の、互いに対向位置する側の最も近接した端に接する平面4j、4jより外側に位置している(図4〜図7参照)。なお、第1のボルト固定ナット5bは、六角ナットからなり、第2のボルト固定ナット5cは、板ナットからなるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、第1のボルト固定ナット5bは、一方の端面が台座4の裏面4aと略面一となってナット収容部4hに収容されているが、その一方の端面がナット収容部4hの奥方に入り込むようにして収容されるものであってもよい。さらには、第1のボルト固定ナット5bの代わりに、取付孔4fの内面にボルト体5と螺合する雌ねじを形成しても構わない。
【0028】
また、フランジ部4eは、各立設部4cの周囲に、ボルト体5の軸心と同心の略円板状に広がる張り出し部を形成するように設けられている(図2、図4および図5参照)。そして、各フランジ部4eには、ナット収容部4h周りの複数箇所(図示実施の形態においては、ナット収容部4hを挟んだ2箇所)に、裏面4a側に開口する充填空間部7が設けられている(図4〜図7参照)。さらに、各フランジ部4eには、充填空間部7と連通するとともに、表面4b側に開口する注入孔8が、各充填空間部7に対応するように、複数(図示実施の形態においては、2個)設けられている。詳細には、注入孔8、8は、一対のボルト体5、5の対向方向と直交する方向(図示実施の形態において言い換えれば、一対の立設部4c、4cの対向方向と直交する方向)において、立設部4cを挟んで対称的に位置するように設けられており(図2、図4および図5参照)、これら注入孔8、8下に位置するようにして、各充填空間部7が、裏面4a側に凹設されて開口している。また、充填空間部7には、ボルト体5の軸心と同心の円弧に沿って延びる、円弧状の仕切り部7aが、1つもしくは複数(図示実施の形態においては、2つ)形成されており、それら仕切り部7a、7aによって、充填空間部7は、同心円状に並ぶ複数列(図示実施の形態においては、3列)の底面視円弧状の空間部に仕切られている(図6〜図10参照)。また、各仕切り部7aは、その中央部分において分断されており、その分断された各仕切り部7aは、充填空間部7の両側部から注入孔8側の中央寄りに近づくように延びていて、その先端部分7b側において、仕切られた前記各空間部が互いに連通している。また、各仕切り部7aは、裏面4a側が、先端部分7bを残して一段窪むように形成されており、この窪んだ部分においても、仕切られた前記各空間部が互いに連通している。なお、注入孔8は、充填空間部7と連通することにより、基礎床2側となる裏面4a側に開口するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口するように、台座4の厚さ方向に貫通することとなる。
【0029】
さらに、台座4には、充填空間部7と連通するとともに、表面4b側に開口する、注入された接着剤が流れ出る流出孔9が設けられている。この流出孔9は、注入孔8から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されている。また、流出孔9は、注入孔8から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されている。そして、流出孔9は、その幅方向に複数並ぶように設けられ、かつ、流出孔9もしくは流出孔9の近辺には、流出孔9から流れ出る接着剤を、他の流出孔9に向かうように案内する案内手段9aが設けられている。図示実施の形態においては、案内手段9aは、流出孔9の内面部に形成された、表面4b側ほど、隣り合う他の流出孔9に近づくように傾斜する傾斜面9bである。
【0030】
詳細には、流出孔9は、フランジ部4eに、ボルト体5の軸心と同心の円弧に沿って延びるように設けられている(図2および図4〜図7参照)。そして、この平面視円弧状の流出孔9は、注入孔8が設けられた中央部を挟んでその両側のそれぞれにおいて、充填空間部7の仕切られた前記各空間部の各々に対応するようにして、その充填空間部7の上方に複数列(図示実施の形態においては、3列)となって同心円状に並ぶように設けられている。これら流出孔9、9は、表面4bと面一の面における幅が、全長に渡って略一定となっている。そして、各流出孔9は、その内面部(詳細には、隣り合う他の流出孔9側の内面部)に、全長に渡って傾斜面9bが形成されるようにして、縦断面略逆台形状に形成されており、これにより、各流出孔9は、その充填空間部7側が、流出孔9の深さ方向において最も幅狭となっている。さらに、傾斜面9bは、注入孔8から離れるほど、鉛直方向(すなわち、ボルト体5の軸方向)に対する傾斜角が小さくなるように形成されており、流出孔9は、その充填空間部7側における幅が、注入孔8から離れるほど大きくなっている。なお、流出孔9は、充填空間部7と連通することにより、基礎床2側となる裏面4a側に開口するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口するように、台座4の厚さ方向に貫通することとなる。
【0031】
また、フランジ部4eには、流出孔9とは別に、注入孔8から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成された、平面視円弧状の貫通溝10が、同心円状に並ぶように複数列設けられている(図2および図4〜図7参照)。そして、これら貫通溝10、10のうち、前記平面5a、5a(図示実施の形態において言い換えれば、前記平面4j、4j)より内側に位置する貫通溝10、10は、隣り合う流出孔9、9とつながって連通している。一方、前記平面5a、5a(図示実施の形態において言い換えれば、前記平面4j、4j)より外側に位置する貫通溝10、10については、それら貫通溝10、10と隣り合う流出孔9、9との間に、一対のボルト体5、5の対向方向と直交する方向(図示実施の形態において言い換えれば、一対の立設部4c、4cの対向方向と直交する方向)に延びる遮断壁10a、10aが設けられており、それら貫通溝10、10と流出孔9、9とは連通していない。なお、符号10bは、例えば釘やアンカービス等の固定具(図示せず)を用いて配管材支持具1を基礎床2に固定する場合に使用される固定孔であって、フランジ部4eおよび連結部4dの双方に設けられている。
【0032】
また、各ボルト体5には、支持体6の高さ位置を調整するための高さ調整部材11が取り付けられている(図1〜図3および図11参照)。具体的には、高さ調整部材11は、ボルト体5に螺合する、例えば金属製からなるナット部材11aと、そのナット部材11aが嵌まるナット嵌合穴11bを有する、例えば合成樹脂製からなる筒状部材11cとで構成されている。また、筒状部材11cは、その下側に、平面視略十二角形状に形成された径大部11dを有し、その径大部11dに、下側に開口するようにして、ナット嵌合穴11bが設けられている。そして、この高さ調整部材11は、ナット部材11aがボルト体5に螺合した状態で、筒状部材11cを一方向または他方向に回動させ、ナット部材11aおよび筒状部材11cをボルト体5に対して上方向または下方向に螺進させることで、その高さ位置が変更できるようになっている。さらに、筒状部材11cには、支持体6(図示実施の形態においては、後述する第1支持部材6a)が掛け止められる被掛止部11eが設けられ、前記径大部11dの上端面が、その被掛止部11eとなっている。そして、高さ調整部材11の高さ位置の変更に伴って、その高さ調整部材11に掛け止められた支持体6(第1支持部材6a)の高さ位置が調整される。なお、図示実施の形態においては、ナット部材11aは、六角ナットからなり、ナット嵌合穴11bは、六角穴からなるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0033】
また、支持体6は、例えば金属製であって、配管材3の下面側を支持する第1支持部材6aと、その第1支持部材6aとで配管材3を挟持する第2支持部材6bとを有する(図1〜図3、図12および図13参照)。詳細には、第1支持部材6aは、平面視略矩形状に形成されており、その中央部に、下方に向かって円弧状に湾曲するようにして、配管材支持部6cが設けられている。また、第1支持部材6aの両端部には、高さ調整部材11の被掛止部11eに掛け止められる掛止部6d、6dが設けられている。図示実施の形態においては、掛止部6dは、第1支持部材6aの長手方向に沿って、平面視略U字状に延出するように形成されている。
【0034】
一方、第2支持部材6bは、平面視略矩形状に形成されており、その中央部に、上方に向かって円弧状に湾曲するようにして、配管材抑え部6eが設けられている。また、第2支持部材6bの両端部には、第2支持部材6bの長手方向と直交する方向における一方側(図13における下側)に開放するようにして、ボルト体5が進入するボルト体進入部6f、6fが設けられている。さらに、各ボルト体進入部6fの周囲には、略円弧状に窪んだ段部6gが形成されている。そして、この第2支持部材6bは、ボルト体進入部6f、6fに一対のボルト体5、5を進入させるとともに、第1支持部材6aによって支持された配管材3の上面側に載置し、さらに、その第2支持部材6bの上から、締付ナット6h、6hを締め付けることによって、締付ナット6h、6hが段部6g、6gを押圧し、こうして、第1支持部材6aと第2支持部材6bとで配管材3が挟持される。また、図示実施の形態においては、ボルト体5の上端部には、例えば合成樹脂製からなる、保護キャップ12が取り付けられている。
【0035】
ここで、上記配管材支持具1を用いて、基礎床2に沿って配管材3を配管する配管方法について説明する。この配管方法は、配管材支持具1を、配管材3の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具1、1に架け渡すようにして、支持体6、6に配管材3を支持させる(図14参照)。そして、支持体6、6により配管材3が支持された状態で、台座4に設けられた充填空間部7に、その充填空間部7と連通する注入孔8を介して接着剤を充填して、配管材支持具1を基礎床2に接着固定する。
【0036】
詳細には、例えば、第2支持部材6bを外した状態の配管材支持具1を、配管材3の配管経路に沿うようにして、所定の間隔を置いて基礎床2上に複数並べていく。そして、それら配管材支持具1、1の第1支持部材6a、6a(詳細には、配管材支持部6c、6c)に載置するようにして、配管材3を配管する。このとき、必要に応じて、高さ調整部材11による第1支持部材6a、6aの高さ位置の調整を行うことによって、配管材3を、水平に支持したり、あるいは、排水等に供する勾配をつけて支持してもよい。その後、第2支持部材6b、6bを配管材3の上面側に載置し、さらに、締付ナット6h、6hを締め付けることによって、それら第1支持部材6aと第2支持部材6bとで(詳細には、配管材支持部6c、6cと配管材抑え部6e、6eとで)配管材3を挟持する。そして、このように支持体6、6により配管材3が支持された状態で、充填空間部7に注入孔8を介して接着剤を充填し、こうして、配管材支持具1が基礎床2に接着固定される。
【0037】
なお、充填空間部7への接着剤の充填作業に前後して、基礎床2に、各固定孔10b、10bを介して前記固定具を打ち込んでも構わない。また、配管材支持具1を、例えば、壁際に沿って配置する場合にあっては、フランジ部4eの、台座4の長手方向における壁側の端部を切断除去してから配置してもよい。このとき、フランジ部4eの端部を、前記遮断壁10aを残して、その遮断壁10aに沿って切断除去することで、充填空間部7に接着剤を充填する際に、その切断面から接着剤が漏れ出ることがない。
【0038】
次に、以上の構成からなる配管材支持具1、および配管材3の配管方法の作用効果について説明する。この配管材支持具1にあっては、台座4に設けられた充填空間部7に、注入孔8を介して接着剤を充填することで、基礎床2に接着固定される。そして、台座4(詳細には、立設部4c、4c)に立設された一対のボルト体5、5間に架設された支持体6、6により、配管材3を支持する。ここで、注入孔8は、ボルト体5の軸方向から見て、その開口の全体が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられているため、支持体6により配管材3が支持された状態であっても、注入孔8の上方から、その注入孔8を介して充填空間部7に接着剤を充填することができる。すなわち、この配管材支持具1にあっては、配管材支持具1を基礎床2に配置するとともに、支持体6に配管材3を支持させ、その後に、配管材支持具1を基礎床2に接着固定するようにして、配管材3を配管することができる。このとき、支持体6に配管材3を支持させる段階において、配管材支持具1は、まだ基礎床2に接着固定されないため、配管材支持具1の位置を容易に変更することができる。また、配管材3を支持体6に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。
【0039】
また、この配管材支持具1にあっては、注入された接着剤が、流出孔9を介して外部に流れ出ることで、充填空間部7における接着剤の充填具合を目視で確認することができる。また、流出孔9は、注入孔8から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されているため、充填空間部7への接着剤の充填の進行状況を確認し易い。しかも、この流出孔9は、注入孔8から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されているため、注入された接着剤は、流出孔9の、注入孔8に近い側からは相対的に流れ出にくく、また、流出孔9の、注入孔8から遠い側からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部7の、注入孔8から遠い側(図示実施の形態においては、充填空間部7の仕切られた前記各空間部の両端部側)に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部7の全体に行き渡り易くなる。
【0040】
しかも、流出孔9から流れ出る接着剤は、案内手段9aによって、他の流出孔9に向かうように案内され(図示実施の形態においては、接着剤は、傾斜面9bに沿うようにして流出孔9から流れ出ることで、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内され)、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、他の流出孔9から流れ出る接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定される。
【0041】
また、この配管方法にあっては、配管材支持具1を、配管材3の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具1、1に架け渡すようにして、支持体6に配管材3を支持させる。このとき、配管材支持具1は、まだ基礎床2に接着固定されていないため、配管材支持具1の位置を容易に変更することができる。そして、支持体6により配管材3が支持された状態で、台座4に設けられた充填空間部7に、注入孔8を介して接着剤を充填して、配管材支持具1を基礎床2に接着固定する。このため、配管材3を支持体6に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。このように、この配管材支持具1、および配管材3の配管方法を用いることで、配管作業の作業性を向上させることができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、充填空間部7は、同心円状に並ぶ複数列の底面視円弧状の空間部に仕切られていなくてもよく、その形状および構造は任意である。また、充填空間部7は、各フランジ部4eに2個設けられていなくてもよく、1個あるいは3個以上設けられていてもよい。また、注入孔8についても、充填空間部7に対応するようにして、各フランジ部4eに1個あるいは3個以上設けられていてもよい。さらには、1つの充填空間部7に対して、その充填空間部7と連通する注入孔8を複数設けてもよい。
【0043】
また、注入孔8は、接着剤の注入作業に支障を来たすことがない大きさの開口が臨んでいるのであれば、ボルト体5の軸方向から見て、開口の一部が支持体6により支持される配管材3と重なる位置に設けられてもよい。換言すれば、注入孔8は、接着剤の注入作業が可能な大きさの開口が臨むことができるのであれば、ボルト体5の軸方向から見て、開口の一部が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられてもよく、例えば、注入孔8は、ボルト体5の軸方向から見て、その開口の一部が前記平面5a、5aもしくは前記平面4j、4jより外側に位置するように設けられてもよい。
【0044】
また、注入孔8は、必ずしも、その開口の一部または全体が前記平面5a、5a(もしくは、前記平面4j、4j)より外側に位置するように設けられていなくてもよく、例えば、図示実施の形態のように、配管する配管材3の直径が、一対のボルト体5、5間の寸法より充分に小さい場合にあっては、その開口の一部または全体が、前記平面5a、5a(もしくは、前記平面4j、4j)より内側であって、配管材3の外周面における、ボルト体5と対向する側の端より外側に位置するように設けられてもよい。換言すれば、注入孔8は、その開口の一部または全体が、ボルト体5の軸方向から見て、前記平面5a、5a(もしくは、前記平面4j、4j)と配管材3との間に露出するような位置に設けられてもよい。
【0045】
また、流出孔9もしくは流出孔9の近辺には、案内手段9aの代わりに、あるいは、案内手段9aに加えて、流出孔9から流れ出る接着剤を注入孔8に向かうように案内する、他の案内手段が設けられてもよく、例えば、他の案内手段として、流出孔9の内面部に、表面4b側ほど、注入孔8に近づくように傾斜する他の傾斜面を形成してもよい。この場合において、流出孔9から流れ出る接着剤が、他の案内手段によって、注入孔8に向かうように案内され(例えば、接着剤が、他の傾斜面に沿うようにして流出孔9から流れ出ることで、注入孔8に向かうように案内され)、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、注入孔内に保持された接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定される。
【0046】
また、流出孔9は、充填空間部7側が、流出孔の深さ方向において最も幅狭となっていなくてもよく、例えば、表面4b側や、充填空間部7側と表面4b側との中間部が、流出孔9の深さ方向において最も幅狭となっていてもよい。そして、この場合においても、流出孔9は、それら表面4b側や前記中間部の幅(すなわち、溝幅)が、注入孔8から離れるほど大きくなるように形成されてもよい。また、流出孔9は、その深さ方向の全体に渡って略同一の幅を有するとともに、その溝幅が、注入孔8から離れるほど大きくなるように形成されてもよい。あるいは、流出孔9は、その全長に渡って溝幅が略一定となっていてもよい。また、流出孔9、案内手段9a(傾斜面9b)、貫通溝10、遮断壁10a、および固定孔10bなどについては、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0047】
ここで、図15および図16に示すように、台座4には、流出孔9が、注入孔8から離れる方向に複数並ぶように設けられてもよい。詳細には、流出孔9は、注入孔8が設けられた中央部を挟んでその両側のそれぞれにおいて、注入孔8から離れる方向に2個(詳しくは、ボルト体5の軸心と同心の円弧に沿う方向に2個)並ぶように設けられている。また、これら流出孔9、9は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9が開口面積が相対的に大きくなるように形成されている。詳細には、各流出孔9は、表面4bと面一の面において、平面視略円形状に開口するとともに、その内面部(詳細には、隣り合う他の流出孔9側の内面部)に、表面4b側ほど、隣り合う他の流出孔9に近づくように傾斜する、傾斜面9bが形成されている。そして、各流出孔9は、傾斜面9bにより、充填空間部7側に向かうにつれて、開口が小さくなるように、かつ、その開口形状が平面視略半円形状に近づくように形成されている(前記開口形状は、平面視略半円形状に限られることはなく、半円形の弧の長さより大きいもしくは小さい弧からなる、平面視弓形状であっても構わない)。また、流出孔9は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の、表面4bに開口する開口径が相対的に大きくなっている。こうして、流出孔9は、充填空間部7側が、流出孔9の深さ方向において最も面積が小さくなるとともに、その面積(すなわち、図示実施の形態においては、平面視略半円形状からなる開口の開口面積)は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっている。また、各流出孔9には、前述した実施の形態と同様に、案内手段9aが設けられており、その案内手段9aは、前記傾斜面9bからなる。
【0048】
そして、図15および図16に示す実施の形態における配管材支持具1においても、前述した実施の形態と同様に、注入された接着剤が、流出孔9を介して外部に流れ出ることで、充填空間部7における接着剤の充填具合を目視で確認することができる。また、流出孔9は、注入孔8から離れる方向に複数並ぶように設けられているため、充填空間部7への接着剤の充填の進行状況を確認し易い。しかも、この流出孔9は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9が開口面積が相対的に大きくなるように形成されているため、注入された接着剤は、注入孔8に近い側の流出孔9からは相対的に流れ出にくく、また、注入孔8から遠い側の流出孔9からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部7の、注入孔8から遠い側(図示実施の形態においては、充填空間部7の仕切られた前記各空間部の両端部側)に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部7の全体に行き渡り易くなる。
【0049】
しかも、流出孔9から流れ出る接着剤は、案内手段9aによって、他の流出孔9に向かうように案内され(図示実施の形態においては、接着剤は、傾斜面9bに沿うようにして流出孔9から流れ出ることで、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内され)、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、他の流出孔9から流れ出る接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定される。
【0050】
ところで、案内手段9aは、傾斜面9bでなくてもよく、例えば、図17および図18に示すように、流出孔9の内面部に形成された、表面4b側ほど、隣り合う他の流出孔9に近づくように階段状に延びる、階段面9cであってもよい。この場合、接着剤は、階段面9cに沿うようにして流出孔9から流れ出ることで、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内される。なお、この図17および図18に示す実施の形態においても、流出孔9は、充填空間部7側が、流出孔9の深さ方向において最も面積が小さくなるとともに、その面積(すなわち、図示実施の形態においては、平面視略半円形状からなる開口の開口面積)は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっている(もっとも、流出孔9の、充填空間部7側の開口形状は、平面視略半円形状に限られることはなく、半円形の弧の長さより大きいもしくは小さい弧からなる、平面視弓形状であっても構わない)。
【0051】
また、これら図15〜図18に示される実施の形態においては、例えば、各流出孔9は、表面4bに開口する開口径が互いに略同一であり、かつ、充填空間部7側の開口形状が、平面視弓形状であるとともに、注入孔8から遠く離れた側の、前記平面視弓形状の開口の弧の長さが相対的に大きくなるように形成されており、これにより、その開口面積(すなわち、平面視弓形状からなる開口の開口面積)が、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっていても構わない。
【0052】
また、案内手段9aは、例えば、図19および図20に示すように、互いに隣り合う流出孔9、9間に渡るようにして、表面4b側に凹むように形成された、凹部9dであってもよい。この場合、流出孔9から流れ出た接着剤は、凹部9dに沿うようにして流れることで、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内される。なお、この図19および図20に示す実施の形態においては、流出孔9は、その深さ方向の全体に渡って孔の形状および大きさが略同一となっており、その開口面積(すなわち、平面視略円形状からなる開口の開口面積)は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっている。
【0053】
また、案内手段9aは、例えば、図21および図22に示すように、隣り合う流出孔9、9の、互いに対向する側とは反対側の周縁部に沿って、表面4bから突出するように形成された、立壁部9e、9eであってもよい。この場合、流出孔9から流れ出た接着剤が、隣り合う流出孔9と対向する側とは反対側に向かって流れようとすると、立壁部9eによって堰き止められることになり、その結果、流出孔9から流れ出た接着剤が、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内される。なお、この図21および図22に示す実施の形態においても、流出孔9は、その深さ方向の全体に渡って孔の形状および大きさが略同一となっており、その開口面積(すなわち、平面視略円形状からなる開口の開口面積)は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっている。
【0054】
なお、これら図15〜図22に示される実施の形態においても、流出孔9もしくは流出孔9の近辺には、案内手段9aの代わりに、あるいは、案内手段9aに加えて、流出孔9から流れ出る接着剤を注入孔8に向かうように案内する他の案内手段が設けられてもよく、例えば、他の案内手段として、流出孔9の内面部に、表面4b側ほど、注入孔8に近づくように傾斜する他の傾斜面を形成したり、流出孔9の内面部に、表面4b側ほど、注入孔8に近づくように階段状に延びる階段面を形成したり、流出孔9と注入孔8との間に渡るようにして、表面4b側に凹むように凹部を形成したり、あるいは、流出孔9と注入孔8のそれぞれの、互いに対向する側とは反対側に、表面4bから突出するように立壁部を形成したりしてもよい。
【0055】
また、台座4には、流出孔9が、注入孔8から離れる方向に3個以上の複数個並ぶように設けられてもよい。ここで、図23に示す実施の形態においては、溝状に形成された流出孔9が、注入孔8が設けられた中央部を挟んでその両側のそれぞれにおいて、注入孔8から離れる方向に3個(詳しくは、ボルト体5の軸心と同心の円弧に沿う方向に3個)並ぶように設けられている。また、流出孔9は、その深さ方向の全体に渡って溝の幅が略同一となるとともに、注入孔8から離れた流出孔9ほど溝幅が大きくなって、その開口面積が大きくなるように形成されている。なお、この実施の形態においては、案内手段9aは設けられていない。
【0056】
そして、図23に示す実施の形態における配管材支持具1においても、図15〜図22に示す実施の形態と同様に、注入された接着剤は、注入孔8に近い側の流出孔9からは相対的に流れ出にくく、また、注入孔8から遠い側の流出孔9からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部7の、注入孔8から遠い側(図示実施の形態においては、充填空間部7の仕切られた前記各空間部の両端部側)に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部7の全体に行き渡り易くなる。
【0057】
また、流出孔9が注入孔8から離れる方向に複数並ぶように設けられている形態のさらなる変形例として、例えば、流出孔9は、表面4b側や、充填空間部7側と表面4b側との中間部が、流出孔9の深さ方向において最も面積が小さくなっていてもよい。そして、この変形例においても、流出孔9は、それら表面4b側や前記中間部の面積(すなわち、開口面積)が、注入孔8から離れた流出孔9ほど大きくなるように、または、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9が相対的に大きくなるように、形成されてもよい。
【0058】
また、図1〜図14に示す実施の形態においても、案内手段9aとか他の案内手段は、必ずしも傾斜面でなくてもよく、例えば、既述した階段面、凹部、あるいは、立壁部などであってもよい。
【0059】
また、配管材3の配管方法において、第2支持部材6b、6bを配管材3に載置する前に、充填空間部7に接着剤を充填し、その後に、第2支持部材6b、6bの配管材3への載置とか、高さ調整部材11による第1支持部材6a、6aの高さ位置の調整、さらには締付ナット6h、6hの締め付け等を行ってもよい。
【0060】
また、配管材3の配管方法において、配管材支持具1を、配管経路に合わせて配管材3が複数連結された連結配管体(図示せず)に、所定間隔をおいて複数取り付けるとともに、それら複数の配管材支持具1、1を基礎床2に配置して、支持体6に配管材3を支持させ、支持体6により配管材3が支持された状態で、台座4に設けられた充填空間部7に、その充填空間部7と連通する注入孔8を介して接着剤を充填して、配管材支持具1を基礎床2に接着固定するようにしても構わない。
【0061】
以下、本発明の参考例としての配管材支持具に関して説明する。
【0062】
接着剤により基礎床に接着固定される配管材支持具は、配管材を確実に支持配管するために、基礎床に強固に接着固定されることが望まれる(既述の従来の配管材支持具101は、接着剤を用いて基礎床に強固に固定することについては、必ずしも充分な対応がなされてはいなかった)。この点、本発明に係る配管材支持具1は、前述の通り、配管作業の作業性を向上させることができる、配管材支持具として提供されることはもちろんであるが、それと同時に、基礎床に強固に接着固定されて、配管材を確実に支持配管することができる、配管材支持具としても提供される。すなわち、配管材支持具1にあっては、充填空間部7に、注入孔8を介して接着剤を注入すると、注入された接着剤が、流出孔9を介して外部に流れ出る。そして、流出孔9から流れ出る接着剤は、案内手段9a(具体的には、傾斜面9b、階段面9c、凹部9d、立壁部9e等)によって、他の流出孔9に向かうように案内され、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、他の流出孔9から流れ出る接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定されるのである。
【0063】
そこで、基礎床に強固に接着固定することができる配管材支持具として、以下に記載の配管材支持具が考えられる。
【0064】
基礎床に接着固定されて、配管材を支持する配管材支持具であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に、互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備え、
前記台座には、前記基礎床側となる裏面側に開口する、接着剤が充填される充填空間部と、その充填空間部と連通するとともに、前記基礎床側とは反対側となる表面側に開口する、前記接着剤を注入するための注入孔および注入された前記接着剤が流れる複数の流出孔とが設けられ、
前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔に向かうように案内する案内手段が設けられていることを特徴とする、配管材支持具。
【0065】
すなわち、この配管材支持具においては、注入孔8は、必ずしも、ボルト体5の軸方向から見て、開口の一部または全体が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられていなくてもよい。また、流出孔は、注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されてもよい。そして、溝状に形成された流出孔が、注入孔から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されたり、また、溝状に形成された流出孔が、その幅方向に複数並ぶように設けられてもよい。あるいは、流出孔は、注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられてもよい。そして、注入孔から離れる方向に複数並ぶ流出孔が、注入孔から離れた流出孔ほど開口面積が大きくなるように、または、注入孔から遠く離れた側の流出孔が開口面積が相対的に大きくなるように、形成されてもよい。また、案内手段としては、既述した傾斜面、階段面、凹部、立壁部(流出孔が、注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成される場合、および、注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられる場合の双方を含む)等が挙げられる。
【0066】
一方、前記配管材支持具1を用いた配管方法において、台座4の裏面4aの全体または一部(例えば、フランジ部4e、4eにおける裏面など)に直接接着剤を塗布するとともに、配管材支持具1を配管経路に沿って基礎床2に配置して、配管材支持具1を基礎床2に接着固定し、その後、接着剤が硬化してから、支持体6に配管材3を支持させるようにして、配管作業を行っても構わない。このとき、台座4の裏面4aに、接着剤を多めに塗布し、その台座4を基礎床2に押し付けるようにして、配管材支持具1を配置することで、塗布された接着剤は、流出孔9や注入孔8などから押し出されるようにして、台座4の表面4b側に流れ出ることになる(図示実施の形態においては、例えば、台座4の裏面4aの全体に接着剤を塗布した場合には、フランジ部4eに設けられた貫通溝10および固定孔10bや、連結部4dに設けられた固定孔10b等からも接着剤が流れ出ることになる)。このとき、流出孔9から流れ出る接着剤は、案内手段9a(具体的には、傾斜面9b、階段面9c、凹部9d、立壁部9e等)によって、他の流出孔9に向かうように案内され、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、他の流出孔9から流れ出る接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定されるのである。すなわち、この配管材支持具1にあっては、上記のように、台座4の裏面4aに直接接着剤を塗布してから、配管経路に沿って基礎床2に配置した場合においても、基礎床2と強固に接着固定することができる。
【0067】
ところで、この場合において、台座4には、必ずしも充填空間部7や注入孔8などが設けられていなくてもよい。すなわち、流出孔9が、基礎床2側となる裏面4a側に直接開口するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口するように、台座4の厚さ方向に貫通していても構わない。したがって、基礎床に強固に接着固定することができる配管材支持具として、さらに、以下に記載の配管材支持具が考えられる。
【0068】
基礎床に接着固定されて、配管材を支持する配管材支持具であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に、互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備え、
前記台座には、基礎床側となる裏面側に接着剤が塗布された前記台座を前記基礎床に押し付けた際に、前記接着剤が前記台座の、前記基礎床側とは反対側となる表面側へ流れ出る、前記台座の厚さ方向に貫通する流出孔が複数設けられ、かつ、
前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔に向かうように案内する案内手段が設けられていることを特徴とする、配管材支持具。
【0069】
なお、この配管材支持具において、台座に、裏面側に開口する、接着剤が充填される充填空間部とか、その充填空間部と連通するとともに、表面側に開口する、接着剤を注入するための注入孔を設けてもよいのはもちろんである。とくに、充填空間部が、台座の裏面側に凹設されて開口し、かつ、流出孔が、その充填空間部と連通するとともに、台座の表面側に開口するように設けられて、台座の厚さ方向に貫通する場合(注入孔については、必ずしも設けられている必要はないが、設けられていても構わない。)にあっては、裏面側に接着剤が塗布された台座(詳しくは、前記充填空間部が埋められるように接着剤が塗布された台座)を基礎床に押し付けた際に、接着剤は、台座の外縁より外側にはみ出にくくなり、その結果、流出孔から流れ出易くなる。また、案内手段としては、既述した傾斜面、階段面、凹部、立壁部等が挙げられる。
【符号の説明】
【0070】
1 配管材支持具
2 基礎床
3 配管材
4 台座
4a 裏面
4b 表面
4c 立設部
4d 連結部
4e フランジ部
5 ボルト体
5a 平面
6 支持体
7 充填空間部
8 注入孔
9 流出孔
9a 案内手段
9b 傾斜面
【技術分野】
【0001】
この発明は、基礎床に接着固定されて、配管材を支持する、配管材支持具、および、基礎床に沿って配管材を配管する、配管材の配管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート床などの基礎床に接着固定されて、配管材を支持する配管材支持具があった(例えば、特許文献1参照)。図24に示すように、この配管材支持具101は、基礎床102に接着固定される支持金具103と、その支持金具103に、ナットで締め付け固定される一対の支柱ボルト104、104と、それら一対の支柱ボルト104、104に架設される把持金具105、105とで構成されていた。ここで、支持金具103は、その中央に、接着剤充填部106を有し、その接着剤充填部106の中心には、接着剤を注入するための充填口107が設けられていた。そして、この配管材支持具101を基礎床102に固定する際には、まず、両面接着テープ108、108により、支持金具103(配管材支持具101)を基礎床102の所定位置に仮固定し、その後、充填口107から接着剤充填部106に接着剤を注入することによって、支持金具103(配管材支持具101)を基礎床102に対して本固定していた。そして、配管材100を把持金具105、105に挟持させ、こうして、配管材100が配管された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−87987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の配管材支持具101にあっては、配管材100を配管する前に、支持金具103(配管材支持具101)が基礎床102に接着固定されるため、実際に配管材100を配管する段階では、支持金具103(配管材支持具101)の位置を変更することが困難であった。また、接着剤が完全には硬化していない状態で、配管材100を把持金具105、105に挟持させようとすると、その作業中に、支持金具103が基礎床102から剥がれてしまう虞があり、したがって、配管材100を把持金具105、105に挟持させるために、接着剤が硬化するのを待たなければならなかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配管作業の作業性を向上させることができる、配管材支持具、および配管材の配管方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配管材支持具、および配管材の配管方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配管材支持具は、基礎床に接着固定されて、配管材を支持する支持具である。この配管材支持具は、前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に、互いに間隔をあけるようにして垂直状に立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える。また、前記台座には、前記基礎床側となる裏面側に開口する、接着剤が充填される充填空間部と、その充填空間部と連通するとともに、前記基礎床側とは反対側となる表面側に開口する、前記接着剤を注入するための注入孔とが設けられる。そして、前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記注入孔の上方から、その注入孔を介して前記充填空間部に前記接着剤を充填することができるように、前記注入孔は、前記ボルト体の軸方向から見て、その開口の一部または全体が前記支持体により支持される前記配管材とは重ならない位置に設けられている。
【0007】
この配管材支持具にあっては、台座に設けられた充填空間部に、注入孔を介して接着剤を充填することで、基礎床に接着固定される。そして、台座に立設された一対のボルト体間に架設された支持体により、配管材を支持する。ここで、注入孔は、ボルト体の軸方向から見て、その開口の一部または全体が支持体により支持される配管材とは重ならない位置に設けられているため、支持体により配管材が支持された状態であっても、注入孔の上方から、その注入孔を介して充填空間部に接着剤を充填することができる。すなわち、この配管材支持具にあっては、配管材支持具を基礎床に配置するとともに、支持体に配管材を支持させ、その後に、配管材支持具を基礎床に接着固定するようにして、配管材を配管することができる。このとき、支持体に配管材を支持させる段階において、配管材支持具は、まだ基礎床に接着固定されないため、配管材支持具の位置を容易に変更することができる。また、配管材を支持体に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配管材支持具は、請求項1に記載の配管材支持具において、前記注入孔は、その開口の全体が、前記一対のボルト体の互いに対向する側の最も近接した端に接する平面より外側に位置するように設けられている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配管材支持具は、請求項1または2に記載の配管材支持具において、前記台座には、前記充填空間部と連通するとともに、前記表面側に開口する、注入された前記接着剤が流れ出る流出孔が設けられ、前記流出孔は、前記注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されている。この配管材支持具にあっては、注入された接着剤が、流出孔を介して外部に流れ出ることで、充填空間部における接着剤の充填具合を目視で確認することができる。また、流出孔は、注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されているため、充填空間部への接着剤の充填の進行状況を確認し易い。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項3に記載の配管材支持具において、前記流出孔は、前記注入孔から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されてもよい。こうすることで、注入された接着剤は、流出孔の、注入孔に近い側からは相対的に流れ出にくく、また、流出孔の、注入孔から遠い側からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部の、注入孔から遠い側に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部の全体に行き渡り易くなる。なお、流出孔が、その深さ位置によって幅が異なるように形成されている場合には、流出孔の深さ方向において最も幅狭となった部分の幅を、その流出孔の溝幅とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項3または4に記載の配管材支持具において、前記流出孔は、その幅方向に複数並ぶように設けられ、かつ、前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔または/および前記注入孔に向かうように案内する案内手段が設けられてもよい。こうすることで、流出孔から流れ出る接着剤は、案内手段によって、他の流出孔または/および注入孔に向かうように案内され、その結果、他の流出孔から流れ出る接着剤や、注入孔内に保持された接着剤などと互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具と基礎床とが強固に接着固定される。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配管材支持具は、請求項1または2に記載の配管材支持具において、前記台座には、前記充填空間部と連通するとともに、前記表面側に開口する、注入された前記接着剤が流れ出る流出孔が、前記注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられている。この配管材支持具にあっては、注入された接着剤が、流出孔を介して外部に流れ出ることで、充填空間部における接着剤の充填具合を目視で確認することができる。また、流出孔は、注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられているため、充填空間部への接着剤の充填の進行状況を確認し易い。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項6に記載の配管材支持具において、前記流出孔は、前記注入孔から離れた流出孔ほど開口面積が大きくなるように、または、前記注入孔から遠く離れた側の流出孔が開口面積が相対的に大きくなるように、形成されてもよい。こうすることで、注入された接着剤は、注入孔に近い側の流出孔からは相対的に流れ出にくく、また、注入孔から遠い側の流出孔からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部の、注入孔から遠い側に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部の全体に行き渡り易くなる。なお、流出孔が、その深さ位置によって孔の形状や大きさが異なるように形成されている場合には、流出孔の深さ方向において最も面積が小さくなった部分の面積を、その流出孔の開口面積とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項6または7に記載の配管材支持具において、前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔または/および前記注入孔に向かうように案内する案内手段が設けられてもよい。こうすることで、流出孔から流れ出る接着剤は、案内手段によって、他の流出孔または/および注入孔に向かうように案内され、その結果、他の流出孔から流れ出る接着剤や、注入孔内に保持された接着剤などと互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具と基礎床とが強固に接着固定される。
【0015】
また、請求項9に記載の発明に係る配管材支持具のように、請求項5または8に記載の配管材支持具において、前記案内手段は、前記流出孔の内面部に形成された、前記表面側ほど、隣り合う他の前記流出孔に近づくように傾斜する、傾斜面であってもよい。この配管材支持具にあっては、接着剤は、傾斜面に沿うようにして流出孔から流れ出ることで、隣り合う他の流出孔に向かうように案内される。
【0016】
また、請求項10に記載の発明に係る配管材支持具は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の配管材支持具において、前記台座は、前記各ボルト体が立設される一対の立設部と、それら立設部を連結する連結部と、それら立設部に設けられたフランジ部とを有し、そのフランジ部に、前記注入孔が設けられている。
【0017】
また、請求項11に記載の発明に係る配管材の配管方法は、基礎床に沿って配管材を配管する方法である。この配管方法は、前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える、配管材支持具を、前記配管材の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具に架け渡すようにして、前記支持体に前記配管材を支持させる。そして、前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記台座に設けられた、前記基礎床側となる裏面側に開口する充填空間部に、その充填空間部と連通する注入孔を介して接着剤を充填して、前記配管材支持具を前記基礎床に接着固定する。
【0018】
この配管方法にあっては、配管材支持具を、配管材の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具に架け渡すようにして、支持体に配管材を支持させる。このとき、配管材支持具は、まだ基礎床に接着固定されていないため、配管材支持具の位置を容易に変更することができる。そして、支持体により配管材が支持された状態で、台座に設けられた充填空間部に、注入孔を介して接着剤を充填して、配管材支持具を基礎床に接着固定する。このため、配管材を支持体に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。
【0019】
また、請求項12に記載の発明に係る配管材の配管方法は、基礎床に沿って配管材を配管する方法である。この配管方法は、前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える、配管材支持具を、配管経路に合わせて前記配管材が複数連結された連結配管体に、所定間隔をおいて複数取り付けるとともに、それら複数の配管材支持具を前記基礎床に配置して、前記支持体に前記配管材を支持させる。そして、前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記台座に設けられた、前記基礎床側となる裏面側に開口する充填空間部に、その充填空間部と連通する注入孔を介して接着剤を充填して、前記配管材支持具を前記基礎床に接着固定する。
【0020】
この配管方法にあっては、配管経路に合わせて配管材が複数連結された連結配管体に、予め、配管材支持具を、所定間隔をおいて複数取り付けるとともに、それら複数の配管材支持具を基礎床に配置して、支持体に配管材を支持させる。このとき、配管材支持具は、まだ基礎床に接着固定されていないため、配管材支持具の位置を容易に変更することができる。そして、支持体により配管材が支持された状態で、台座に設けられた充填空間部に、注入孔を介して接着剤を充填して、配管材支持具を基礎床に接着固定する。このため、配管材を支持体に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係る配管材支持具、および配管材の配管方法によれば、支持体に配管材を支持させる段階において、配管材支持具の位置を容易に変更することができ、また、配管材を支持体に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。したがって、この配管材支持具、および配管材の配管方法を用いることで、配管作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施の形態の、配管材支持具の正面図である。
【図2】同じく、平面図である。
【図3】同じく、図2におけるA−A線による断面図である。
【図4】同じく、台座の平面図である。
【図5】同じく、図4における要部拡大図である。
【図6】同じく、台座の底面図である。
【図7】同じく、図6における要部拡大図である。
【図8】同じく、図4におけるB−B線による拡大断面図である。
【図9】同じく、図4におけるC−C線による拡大断面図である。
【図10】同じく、図4におけるD−D線による拡大断面図である。
【図11】同じく、高さ調整部材の拡大平面図である。
【図12】同じく、支持体の第1支持部材の平面図である。
【図13】同じく、支持体の第2支持部材の平面図である。
【図14】同じく、複数の配管材支持具に配管材を支持させた状態を示す平面図である。
【図15】この発明の他の実施の形態の、図5相当図である。
【図16】同じく、図15におけるE−E線による拡大断面図である。
【図17】同じく、案内手段の変形例を示す、図15相当図である。
【図18】同じく、図17におけるF−F線による拡大断面図である。
【図19】同じく、案内手段の他の変形例を示す、図15相当図である。
【図20】同じく、図19におけるG−G線による拡大断面図である。
【図21】同じく、案内手段のさらなる変形例を示す、図15相当図である。
【図22】同じく、図21におけるH−H線による拡大断面図である。
【図23】同じく、流出孔の変形例を示す、図5相当図である。
【図24】従来の配管材支持具を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明に係る配管材支持具、および配管材の配管方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜図14は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、配管材支持具であって、例えばコンクリート床などの基礎床2に接着固定されて、例えば排水管などの配管材3を支持する。
【0025】
この配管材支持具1は、前記基礎床2に接着固定される台座4と、台座4に、互いに間隔をあけるようにして垂直状に立設される一対のボルト体5、5(例えば、金属製からなるボルト体5、5)と、一対のボルト体5、5間に架設されて前記配管材3を支持する支持体6とを備える。また、台座4には、基礎床2側となる裏面4a側に開口する、接着剤が充填される充填空間部7と、その充填空間部7と連通するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口する、接着剤を注入するための注入孔8とが設けられる。そして、支持体6により配管材3が支持された状態で、注入孔8の上方から、その注入孔8を介して充填空間部7に接着剤を充填することができるように、注入孔8は、ボルト体5の軸方向から見て(図示実施の形態においては、平面視において)、その開口の一部または全体(図示実施の形態においては、全体)が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられている。図示実施の形態においては、注入孔8は、その開口の全体が、一対のボルト体5、5の互いに対向する側の最も近接した端に接する平面5a、5aより外側に位置するように設けられている(図1〜図3参照)。
【0026】
具体的には、台座4は、例えば合成樹脂製であって、各ボルト体5、5が立設される一対の立設部4c、4cと、それら立設部4c、4cを連結する連結部4dと、それら立設部4c、4cに設けられたフランジ部4e、4eとを有している(図1〜図7参照)。そして、そのフランジ部4eに、注入孔8および充填空間部7が設けられている。図示実施の形態においては、立設部4cは、ボルト体5の軸心と同心で短円筒状に突出するように形成されている。また、連結部4dは、その幅寸法が、立設部4cの直径寸法とほぼ同一で、一対のボルト体5、5の対向方向が長手となる板状に形成されている。
【0027】
ここで、各立設部4cには、ボルト体5が挿入固定される取付孔4fが設けられている(図3参照)。詳細には、取付孔4fは、表面4b側に、ボルト体5のボルト径より若干径大に形成されたボルト挿入部4gを有し、裏面4a側に、ボルト挿入部4gと連通するとともに、例えば金属製からなる第1のボルト固定ナット5bが回り止めされた状態で収容されるナット収容部4hを有する。そして、ボルト体5とナット収容部4hに収容された第1のボルト固定ナット5bとが螺合した状態で、例えば金属製からなる第2のボルト固定ナット5cを、第1のボルト固定ナット5bとで立設部4cの天板4iを挟み込むようにして、ボルト体5に締結することによって、ボルト体5が立設部4cに垂直状に立設固定される。また、図示実施の形態においては、注入孔8は、換言すると、その開口の全体が、一対の取付孔4f、4fにおけるボルト挿入部4g、4gの内壁の、互いに対向位置する側の最も近接した端に接する平面4j、4jより外側に位置している(図4〜図7参照)。なお、第1のボルト固定ナット5bは、六角ナットからなり、第2のボルト固定ナット5cは、板ナットからなるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、第1のボルト固定ナット5bは、一方の端面が台座4の裏面4aと略面一となってナット収容部4hに収容されているが、その一方の端面がナット収容部4hの奥方に入り込むようにして収容されるものであってもよい。さらには、第1のボルト固定ナット5bの代わりに、取付孔4fの内面にボルト体5と螺合する雌ねじを形成しても構わない。
【0028】
また、フランジ部4eは、各立設部4cの周囲に、ボルト体5の軸心と同心の略円板状に広がる張り出し部を形成するように設けられている(図2、図4および図5参照)。そして、各フランジ部4eには、ナット収容部4h周りの複数箇所(図示実施の形態においては、ナット収容部4hを挟んだ2箇所)に、裏面4a側に開口する充填空間部7が設けられている(図4〜図7参照)。さらに、各フランジ部4eには、充填空間部7と連通するとともに、表面4b側に開口する注入孔8が、各充填空間部7に対応するように、複数(図示実施の形態においては、2個)設けられている。詳細には、注入孔8、8は、一対のボルト体5、5の対向方向と直交する方向(図示実施の形態において言い換えれば、一対の立設部4c、4cの対向方向と直交する方向)において、立設部4cを挟んで対称的に位置するように設けられており(図2、図4および図5参照)、これら注入孔8、8下に位置するようにして、各充填空間部7が、裏面4a側に凹設されて開口している。また、充填空間部7には、ボルト体5の軸心と同心の円弧に沿って延びる、円弧状の仕切り部7aが、1つもしくは複数(図示実施の形態においては、2つ)形成されており、それら仕切り部7a、7aによって、充填空間部7は、同心円状に並ぶ複数列(図示実施の形態においては、3列)の底面視円弧状の空間部に仕切られている(図6〜図10参照)。また、各仕切り部7aは、その中央部分において分断されており、その分断された各仕切り部7aは、充填空間部7の両側部から注入孔8側の中央寄りに近づくように延びていて、その先端部分7b側において、仕切られた前記各空間部が互いに連通している。また、各仕切り部7aは、裏面4a側が、先端部分7bを残して一段窪むように形成されており、この窪んだ部分においても、仕切られた前記各空間部が互いに連通している。なお、注入孔8は、充填空間部7と連通することにより、基礎床2側となる裏面4a側に開口するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口するように、台座4の厚さ方向に貫通することとなる。
【0029】
さらに、台座4には、充填空間部7と連通するとともに、表面4b側に開口する、注入された接着剤が流れ出る流出孔9が設けられている。この流出孔9は、注入孔8から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されている。また、流出孔9は、注入孔8から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されている。そして、流出孔9は、その幅方向に複数並ぶように設けられ、かつ、流出孔9もしくは流出孔9の近辺には、流出孔9から流れ出る接着剤を、他の流出孔9に向かうように案内する案内手段9aが設けられている。図示実施の形態においては、案内手段9aは、流出孔9の内面部に形成された、表面4b側ほど、隣り合う他の流出孔9に近づくように傾斜する傾斜面9bである。
【0030】
詳細には、流出孔9は、フランジ部4eに、ボルト体5の軸心と同心の円弧に沿って延びるように設けられている(図2および図4〜図7参照)。そして、この平面視円弧状の流出孔9は、注入孔8が設けられた中央部を挟んでその両側のそれぞれにおいて、充填空間部7の仕切られた前記各空間部の各々に対応するようにして、その充填空間部7の上方に複数列(図示実施の形態においては、3列)となって同心円状に並ぶように設けられている。これら流出孔9、9は、表面4bと面一の面における幅が、全長に渡って略一定となっている。そして、各流出孔9は、その内面部(詳細には、隣り合う他の流出孔9側の内面部)に、全長に渡って傾斜面9bが形成されるようにして、縦断面略逆台形状に形成されており、これにより、各流出孔9は、その充填空間部7側が、流出孔9の深さ方向において最も幅狭となっている。さらに、傾斜面9bは、注入孔8から離れるほど、鉛直方向(すなわち、ボルト体5の軸方向)に対する傾斜角が小さくなるように形成されており、流出孔9は、その充填空間部7側における幅が、注入孔8から離れるほど大きくなっている。なお、流出孔9は、充填空間部7と連通することにより、基礎床2側となる裏面4a側に開口するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口するように、台座4の厚さ方向に貫通することとなる。
【0031】
また、フランジ部4eには、流出孔9とは別に、注入孔8から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成された、平面視円弧状の貫通溝10が、同心円状に並ぶように複数列設けられている(図2および図4〜図7参照)。そして、これら貫通溝10、10のうち、前記平面5a、5a(図示実施の形態において言い換えれば、前記平面4j、4j)より内側に位置する貫通溝10、10は、隣り合う流出孔9、9とつながって連通している。一方、前記平面5a、5a(図示実施の形態において言い換えれば、前記平面4j、4j)より外側に位置する貫通溝10、10については、それら貫通溝10、10と隣り合う流出孔9、9との間に、一対のボルト体5、5の対向方向と直交する方向(図示実施の形態において言い換えれば、一対の立設部4c、4cの対向方向と直交する方向)に延びる遮断壁10a、10aが設けられており、それら貫通溝10、10と流出孔9、9とは連通していない。なお、符号10bは、例えば釘やアンカービス等の固定具(図示せず)を用いて配管材支持具1を基礎床2に固定する場合に使用される固定孔であって、フランジ部4eおよび連結部4dの双方に設けられている。
【0032】
また、各ボルト体5には、支持体6の高さ位置を調整するための高さ調整部材11が取り付けられている(図1〜図3および図11参照)。具体的には、高さ調整部材11は、ボルト体5に螺合する、例えば金属製からなるナット部材11aと、そのナット部材11aが嵌まるナット嵌合穴11bを有する、例えば合成樹脂製からなる筒状部材11cとで構成されている。また、筒状部材11cは、その下側に、平面視略十二角形状に形成された径大部11dを有し、その径大部11dに、下側に開口するようにして、ナット嵌合穴11bが設けられている。そして、この高さ調整部材11は、ナット部材11aがボルト体5に螺合した状態で、筒状部材11cを一方向または他方向に回動させ、ナット部材11aおよび筒状部材11cをボルト体5に対して上方向または下方向に螺進させることで、その高さ位置が変更できるようになっている。さらに、筒状部材11cには、支持体6(図示実施の形態においては、後述する第1支持部材6a)が掛け止められる被掛止部11eが設けられ、前記径大部11dの上端面が、その被掛止部11eとなっている。そして、高さ調整部材11の高さ位置の変更に伴って、その高さ調整部材11に掛け止められた支持体6(第1支持部材6a)の高さ位置が調整される。なお、図示実施の形態においては、ナット部材11aは、六角ナットからなり、ナット嵌合穴11bは、六角穴からなるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0033】
また、支持体6は、例えば金属製であって、配管材3の下面側を支持する第1支持部材6aと、その第1支持部材6aとで配管材3を挟持する第2支持部材6bとを有する(図1〜図3、図12および図13参照)。詳細には、第1支持部材6aは、平面視略矩形状に形成されており、その中央部に、下方に向かって円弧状に湾曲するようにして、配管材支持部6cが設けられている。また、第1支持部材6aの両端部には、高さ調整部材11の被掛止部11eに掛け止められる掛止部6d、6dが設けられている。図示実施の形態においては、掛止部6dは、第1支持部材6aの長手方向に沿って、平面視略U字状に延出するように形成されている。
【0034】
一方、第2支持部材6bは、平面視略矩形状に形成されており、その中央部に、上方に向かって円弧状に湾曲するようにして、配管材抑え部6eが設けられている。また、第2支持部材6bの両端部には、第2支持部材6bの長手方向と直交する方向における一方側(図13における下側)に開放するようにして、ボルト体5が進入するボルト体進入部6f、6fが設けられている。さらに、各ボルト体進入部6fの周囲には、略円弧状に窪んだ段部6gが形成されている。そして、この第2支持部材6bは、ボルト体進入部6f、6fに一対のボルト体5、5を進入させるとともに、第1支持部材6aによって支持された配管材3の上面側に載置し、さらに、その第2支持部材6bの上から、締付ナット6h、6hを締め付けることによって、締付ナット6h、6hが段部6g、6gを押圧し、こうして、第1支持部材6aと第2支持部材6bとで配管材3が挟持される。また、図示実施の形態においては、ボルト体5の上端部には、例えば合成樹脂製からなる、保護キャップ12が取り付けられている。
【0035】
ここで、上記配管材支持具1を用いて、基礎床2に沿って配管材3を配管する配管方法について説明する。この配管方法は、配管材支持具1を、配管材3の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具1、1に架け渡すようにして、支持体6、6に配管材3を支持させる(図14参照)。そして、支持体6、6により配管材3が支持された状態で、台座4に設けられた充填空間部7に、その充填空間部7と連通する注入孔8を介して接着剤を充填して、配管材支持具1を基礎床2に接着固定する。
【0036】
詳細には、例えば、第2支持部材6bを外した状態の配管材支持具1を、配管材3の配管経路に沿うようにして、所定の間隔を置いて基礎床2上に複数並べていく。そして、それら配管材支持具1、1の第1支持部材6a、6a(詳細には、配管材支持部6c、6c)に載置するようにして、配管材3を配管する。このとき、必要に応じて、高さ調整部材11による第1支持部材6a、6aの高さ位置の調整を行うことによって、配管材3を、水平に支持したり、あるいは、排水等に供する勾配をつけて支持してもよい。その後、第2支持部材6b、6bを配管材3の上面側に載置し、さらに、締付ナット6h、6hを締め付けることによって、それら第1支持部材6aと第2支持部材6bとで(詳細には、配管材支持部6c、6cと配管材抑え部6e、6eとで)配管材3を挟持する。そして、このように支持体6、6により配管材3が支持された状態で、充填空間部7に注入孔8を介して接着剤を充填し、こうして、配管材支持具1が基礎床2に接着固定される。
【0037】
なお、充填空間部7への接着剤の充填作業に前後して、基礎床2に、各固定孔10b、10bを介して前記固定具を打ち込んでも構わない。また、配管材支持具1を、例えば、壁際に沿って配置する場合にあっては、フランジ部4eの、台座4の長手方向における壁側の端部を切断除去してから配置してもよい。このとき、フランジ部4eの端部を、前記遮断壁10aを残して、その遮断壁10aに沿って切断除去することで、充填空間部7に接着剤を充填する際に、その切断面から接着剤が漏れ出ることがない。
【0038】
次に、以上の構成からなる配管材支持具1、および配管材3の配管方法の作用効果について説明する。この配管材支持具1にあっては、台座4に設けられた充填空間部7に、注入孔8を介して接着剤を充填することで、基礎床2に接着固定される。そして、台座4(詳細には、立設部4c、4c)に立設された一対のボルト体5、5間に架設された支持体6、6により、配管材3を支持する。ここで、注入孔8は、ボルト体5の軸方向から見て、その開口の全体が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられているため、支持体6により配管材3が支持された状態であっても、注入孔8の上方から、その注入孔8を介して充填空間部7に接着剤を充填することができる。すなわち、この配管材支持具1にあっては、配管材支持具1を基礎床2に配置するとともに、支持体6に配管材3を支持させ、その後に、配管材支持具1を基礎床2に接着固定するようにして、配管材3を配管することができる。このとき、支持体6に配管材3を支持させる段階において、配管材支持具1は、まだ基礎床2に接着固定されないため、配管材支持具1の位置を容易に変更することができる。また、配管材3を支持体6に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。
【0039】
また、この配管材支持具1にあっては、注入された接着剤が、流出孔9を介して外部に流れ出ることで、充填空間部7における接着剤の充填具合を目視で確認することができる。また、流出孔9は、注入孔8から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されているため、充填空間部7への接着剤の充填の進行状況を確認し易い。しかも、この流出孔9は、注入孔8から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されているため、注入された接着剤は、流出孔9の、注入孔8に近い側からは相対的に流れ出にくく、また、流出孔9の、注入孔8から遠い側からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部7の、注入孔8から遠い側(図示実施の形態においては、充填空間部7の仕切られた前記各空間部の両端部側)に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部7の全体に行き渡り易くなる。
【0040】
しかも、流出孔9から流れ出る接着剤は、案内手段9aによって、他の流出孔9に向かうように案内され(図示実施の形態においては、接着剤は、傾斜面9bに沿うようにして流出孔9から流れ出ることで、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内され)、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、他の流出孔9から流れ出る接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定される。
【0041】
また、この配管方法にあっては、配管材支持具1を、配管材3の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具1、1に架け渡すようにして、支持体6に配管材3を支持させる。このとき、配管材支持具1は、まだ基礎床2に接着固定されていないため、配管材支持具1の位置を容易に変更することができる。そして、支持体6により配管材3が支持された状態で、台座4に設けられた充填空間部7に、注入孔8を介して接着剤を充填して、配管材支持具1を基礎床2に接着固定する。このため、配管材3を支持体6に支持させるために接着剤が硬化するのを待つ必要もない。このように、この配管材支持具1、および配管材3の配管方法を用いることで、配管作業の作業性を向上させることができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、充填空間部7は、同心円状に並ぶ複数列の底面視円弧状の空間部に仕切られていなくてもよく、その形状および構造は任意である。また、充填空間部7は、各フランジ部4eに2個設けられていなくてもよく、1個あるいは3個以上設けられていてもよい。また、注入孔8についても、充填空間部7に対応するようにして、各フランジ部4eに1個あるいは3個以上設けられていてもよい。さらには、1つの充填空間部7に対して、その充填空間部7と連通する注入孔8を複数設けてもよい。
【0043】
また、注入孔8は、接着剤の注入作業に支障を来たすことがない大きさの開口が臨んでいるのであれば、ボルト体5の軸方向から見て、開口の一部が支持体6により支持される配管材3と重なる位置に設けられてもよい。換言すれば、注入孔8は、接着剤の注入作業が可能な大きさの開口が臨むことができるのであれば、ボルト体5の軸方向から見て、開口の一部が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられてもよく、例えば、注入孔8は、ボルト体5の軸方向から見て、その開口の一部が前記平面5a、5aもしくは前記平面4j、4jより外側に位置するように設けられてもよい。
【0044】
また、注入孔8は、必ずしも、その開口の一部または全体が前記平面5a、5a(もしくは、前記平面4j、4j)より外側に位置するように設けられていなくてもよく、例えば、図示実施の形態のように、配管する配管材3の直径が、一対のボルト体5、5間の寸法より充分に小さい場合にあっては、その開口の一部または全体が、前記平面5a、5a(もしくは、前記平面4j、4j)より内側であって、配管材3の外周面における、ボルト体5と対向する側の端より外側に位置するように設けられてもよい。換言すれば、注入孔8は、その開口の一部または全体が、ボルト体5の軸方向から見て、前記平面5a、5a(もしくは、前記平面4j、4j)と配管材3との間に露出するような位置に設けられてもよい。
【0045】
また、流出孔9もしくは流出孔9の近辺には、案内手段9aの代わりに、あるいは、案内手段9aに加えて、流出孔9から流れ出る接着剤を注入孔8に向かうように案内する、他の案内手段が設けられてもよく、例えば、他の案内手段として、流出孔9の内面部に、表面4b側ほど、注入孔8に近づくように傾斜する他の傾斜面を形成してもよい。この場合において、流出孔9から流れ出る接着剤が、他の案内手段によって、注入孔8に向かうように案内され(例えば、接着剤が、他の傾斜面に沿うようにして流出孔9から流れ出ることで、注入孔8に向かうように案内され)、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、注入孔内に保持された接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定される。
【0046】
また、流出孔9は、充填空間部7側が、流出孔の深さ方向において最も幅狭となっていなくてもよく、例えば、表面4b側や、充填空間部7側と表面4b側との中間部が、流出孔9の深さ方向において最も幅狭となっていてもよい。そして、この場合においても、流出孔9は、それら表面4b側や前記中間部の幅(すなわち、溝幅)が、注入孔8から離れるほど大きくなるように形成されてもよい。また、流出孔9は、その深さ方向の全体に渡って略同一の幅を有するとともに、その溝幅が、注入孔8から離れるほど大きくなるように形成されてもよい。あるいは、流出孔9は、その全長に渡って溝幅が略一定となっていてもよい。また、流出孔9、案内手段9a(傾斜面9b)、貫通溝10、遮断壁10a、および固定孔10bなどについては、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0047】
ここで、図15および図16に示すように、台座4には、流出孔9が、注入孔8から離れる方向に複数並ぶように設けられてもよい。詳細には、流出孔9は、注入孔8が設けられた中央部を挟んでその両側のそれぞれにおいて、注入孔8から離れる方向に2個(詳しくは、ボルト体5の軸心と同心の円弧に沿う方向に2個)並ぶように設けられている。また、これら流出孔9、9は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9が開口面積が相対的に大きくなるように形成されている。詳細には、各流出孔9は、表面4bと面一の面において、平面視略円形状に開口するとともに、その内面部(詳細には、隣り合う他の流出孔9側の内面部)に、表面4b側ほど、隣り合う他の流出孔9に近づくように傾斜する、傾斜面9bが形成されている。そして、各流出孔9は、傾斜面9bにより、充填空間部7側に向かうにつれて、開口が小さくなるように、かつ、その開口形状が平面視略半円形状に近づくように形成されている(前記開口形状は、平面視略半円形状に限られることはなく、半円形の弧の長さより大きいもしくは小さい弧からなる、平面視弓形状であっても構わない)。また、流出孔9は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の、表面4bに開口する開口径が相対的に大きくなっている。こうして、流出孔9は、充填空間部7側が、流出孔9の深さ方向において最も面積が小さくなるとともに、その面積(すなわち、図示実施の形態においては、平面視略半円形状からなる開口の開口面積)は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっている。また、各流出孔9には、前述した実施の形態と同様に、案内手段9aが設けられており、その案内手段9aは、前記傾斜面9bからなる。
【0048】
そして、図15および図16に示す実施の形態における配管材支持具1においても、前述した実施の形態と同様に、注入された接着剤が、流出孔9を介して外部に流れ出ることで、充填空間部7における接着剤の充填具合を目視で確認することができる。また、流出孔9は、注入孔8から離れる方向に複数並ぶように設けられているため、充填空間部7への接着剤の充填の進行状況を確認し易い。しかも、この流出孔9は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9が開口面積が相対的に大きくなるように形成されているため、注入された接着剤は、注入孔8に近い側の流出孔9からは相対的に流れ出にくく、また、注入孔8から遠い側の流出孔9からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部7の、注入孔8から遠い側(図示実施の形態においては、充填空間部7の仕切られた前記各空間部の両端部側)に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部7の全体に行き渡り易くなる。
【0049】
しかも、流出孔9から流れ出る接着剤は、案内手段9aによって、他の流出孔9に向かうように案内され(図示実施の形態においては、接着剤は、傾斜面9bに沿うようにして流出孔9から流れ出ることで、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内され)、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、他の流出孔9から流れ出る接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定される。
【0050】
ところで、案内手段9aは、傾斜面9bでなくてもよく、例えば、図17および図18に示すように、流出孔9の内面部に形成された、表面4b側ほど、隣り合う他の流出孔9に近づくように階段状に延びる、階段面9cであってもよい。この場合、接着剤は、階段面9cに沿うようにして流出孔9から流れ出ることで、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内される。なお、この図17および図18に示す実施の形態においても、流出孔9は、充填空間部7側が、流出孔9の深さ方向において最も面積が小さくなるとともに、その面積(すなわち、図示実施の形態においては、平面視略半円形状からなる開口の開口面積)は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっている(もっとも、流出孔9の、充填空間部7側の開口形状は、平面視略半円形状に限られることはなく、半円形の弧の長さより大きいもしくは小さい弧からなる、平面視弓形状であっても構わない)。
【0051】
また、これら図15〜図18に示される実施の形態においては、例えば、各流出孔9は、表面4bに開口する開口径が互いに略同一であり、かつ、充填空間部7側の開口形状が、平面視弓形状であるとともに、注入孔8から遠く離れた側の、前記平面視弓形状の開口の弧の長さが相対的に大きくなるように形成されており、これにより、その開口面積(すなわち、平面視弓形状からなる開口の開口面積)が、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっていても構わない。
【0052】
また、案内手段9aは、例えば、図19および図20に示すように、互いに隣り合う流出孔9、9間に渡るようにして、表面4b側に凹むように形成された、凹部9dであってもよい。この場合、流出孔9から流れ出た接着剤は、凹部9dに沿うようにして流れることで、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内される。なお、この図19および図20に示す実施の形態においては、流出孔9は、その深さ方向の全体に渡って孔の形状および大きさが略同一となっており、その開口面積(すなわち、平面視略円形状からなる開口の開口面積)は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっている。
【0053】
また、案内手段9aは、例えば、図21および図22に示すように、隣り合う流出孔9、9の、互いに対向する側とは反対側の周縁部に沿って、表面4bから突出するように形成された、立壁部9e、9eであってもよい。この場合、流出孔9から流れ出た接着剤が、隣り合う流出孔9と対向する側とは反対側に向かって流れようとすると、立壁部9eによって堰き止められることになり、その結果、流出孔9から流れ出た接着剤が、隣り合う他の流出孔9に向かうように案内される。なお、この図21および図22に示す実施の形態においても、流出孔9は、その深さ方向の全体に渡って孔の形状および大きさが略同一となっており、その開口面積(すなわち、平面視略円形状からなる開口の開口面積)は、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9の方が相対的に大きくなっている。
【0054】
なお、これら図15〜図22に示される実施の形態においても、流出孔9もしくは流出孔9の近辺には、案内手段9aの代わりに、あるいは、案内手段9aに加えて、流出孔9から流れ出る接着剤を注入孔8に向かうように案内する他の案内手段が設けられてもよく、例えば、他の案内手段として、流出孔9の内面部に、表面4b側ほど、注入孔8に近づくように傾斜する他の傾斜面を形成したり、流出孔9の内面部に、表面4b側ほど、注入孔8に近づくように階段状に延びる階段面を形成したり、流出孔9と注入孔8との間に渡るようにして、表面4b側に凹むように凹部を形成したり、あるいは、流出孔9と注入孔8のそれぞれの、互いに対向する側とは反対側に、表面4bから突出するように立壁部を形成したりしてもよい。
【0055】
また、台座4には、流出孔9が、注入孔8から離れる方向に3個以上の複数個並ぶように設けられてもよい。ここで、図23に示す実施の形態においては、溝状に形成された流出孔9が、注入孔8が設けられた中央部を挟んでその両側のそれぞれにおいて、注入孔8から離れる方向に3個(詳しくは、ボルト体5の軸心と同心の円弧に沿う方向に3個)並ぶように設けられている。また、流出孔9は、その深さ方向の全体に渡って溝の幅が略同一となるとともに、注入孔8から離れた流出孔9ほど溝幅が大きくなって、その開口面積が大きくなるように形成されている。なお、この実施の形態においては、案内手段9aは設けられていない。
【0056】
そして、図23に示す実施の形態における配管材支持具1においても、図15〜図22に示す実施の形態と同様に、注入された接着剤は、注入孔8に近い側の流出孔9からは相対的に流れ出にくく、また、注入孔8から遠い側の流出孔9からは相対的に流れ出易くなる。したがって、注入された接着剤は、充填空間部7の、注入孔8から遠い側(図示実施の形態においては、充填空間部7の仕切られた前記各空間部の両端部側)に向かって流れ易くなり、その結果、接着剤は、充填空間部7の全体に行き渡り易くなる。
【0057】
また、流出孔9が注入孔8から離れる方向に複数並ぶように設けられている形態のさらなる変形例として、例えば、流出孔9は、表面4b側や、充填空間部7側と表面4b側との中間部が、流出孔9の深さ方向において最も面積が小さくなっていてもよい。そして、この変形例においても、流出孔9は、それら表面4b側や前記中間部の面積(すなわち、開口面積)が、注入孔8から離れた流出孔9ほど大きくなるように、または、注入孔8から遠く離れた側の流出孔9が相対的に大きくなるように、形成されてもよい。
【0058】
また、図1〜図14に示す実施の形態においても、案内手段9aとか他の案内手段は、必ずしも傾斜面でなくてもよく、例えば、既述した階段面、凹部、あるいは、立壁部などであってもよい。
【0059】
また、配管材3の配管方法において、第2支持部材6b、6bを配管材3に載置する前に、充填空間部7に接着剤を充填し、その後に、第2支持部材6b、6bの配管材3への載置とか、高さ調整部材11による第1支持部材6a、6aの高さ位置の調整、さらには締付ナット6h、6hの締め付け等を行ってもよい。
【0060】
また、配管材3の配管方法において、配管材支持具1を、配管経路に合わせて配管材3が複数連結された連結配管体(図示せず)に、所定間隔をおいて複数取り付けるとともに、それら複数の配管材支持具1、1を基礎床2に配置して、支持体6に配管材3を支持させ、支持体6により配管材3が支持された状態で、台座4に設けられた充填空間部7に、その充填空間部7と連通する注入孔8を介して接着剤を充填して、配管材支持具1を基礎床2に接着固定するようにしても構わない。
【0061】
以下、本発明の参考例としての配管材支持具に関して説明する。
【0062】
接着剤により基礎床に接着固定される配管材支持具は、配管材を確実に支持配管するために、基礎床に強固に接着固定されることが望まれる(既述の従来の配管材支持具101は、接着剤を用いて基礎床に強固に固定することについては、必ずしも充分な対応がなされてはいなかった)。この点、本発明に係る配管材支持具1は、前述の通り、配管作業の作業性を向上させることができる、配管材支持具として提供されることはもちろんであるが、それと同時に、基礎床に強固に接着固定されて、配管材を確実に支持配管することができる、配管材支持具としても提供される。すなわち、配管材支持具1にあっては、充填空間部7に、注入孔8を介して接着剤を注入すると、注入された接着剤が、流出孔9を介して外部に流れ出る。そして、流出孔9から流れ出る接着剤は、案内手段9a(具体的には、傾斜面9b、階段面9c、凹部9d、立壁部9e等)によって、他の流出孔9に向かうように案内され、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、他の流出孔9から流れ出る接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定されるのである。
【0063】
そこで、基礎床に強固に接着固定することができる配管材支持具として、以下に記載の配管材支持具が考えられる。
【0064】
基礎床に接着固定されて、配管材を支持する配管材支持具であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に、互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備え、
前記台座には、前記基礎床側となる裏面側に開口する、接着剤が充填される充填空間部と、その充填空間部と連通するとともに、前記基礎床側とは反対側となる表面側に開口する、前記接着剤を注入するための注入孔および注入された前記接着剤が流れる複数の流出孔とが設けられ、
前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔に向かうように案内する案内手段が設けられていることを特徴とする、配管材支持具。
【0065】
すなわち、この配管材支持具においては、注入孔8は、必ずしも、ボルト体5の軸方向から見て、開口の一部または全体が支持体6により支持される配管材3とは重ならない位置に設けられていなくてもよい。また、流出孔は、注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されてもよい。そして、溝状に形成された流出孔が、注入孔から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されたり、また、溝状に形成された流出孔が、その幅方向に複数並ぶように設けられてもよい。あるいは、流出孔は、注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられてもよい。そして、注入孔から離れる方向に複数並ぶ流出孔が、注入孔から離れた流出孔ほど開口面積が大きくなるように、または、注入孔から遠く離れた側の流出孔が開口面積が相対的に大きくなるように、形成されてもよい。また、案内手段としては、既述した傾斜面、階段面、凹部、立壁部(流出孔が、注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成される場合、および、注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられる場合の双方を含む)等が挙げられる。
【0066】
一方、前記配管材支持具1を用いた配管方法において、台座4の裏面4aの全体または一部(例えば、フランジ部4e、4eにおける裏面など)に直接接着剤を塗布するとともに、配管材支持具1を配管経路に沿って基礎床2に配置して、配管材支持具1を基礎床2に接着固定し、その後、接着剤が硬化してから、支持体6に配管材3を支持させるようにして、配管作業を行っても構わない。このとき、台座4の裏面4aに、接着剤を多めに塗布し、その台座4を基礎床2に押し付けるようにして、配管材支持具1を配置することで、塗布された接着剤は、流出孔9や注入孔8などから押し出されるようにして、台座4の表面4b側に流れ出ることになる(図示実施の形態においては、例えば、台座4の裏面4aの全体に接着剤を塗布した場合には、フランジ部4eに設けられた貫通溝10および固定孔10bや、連結部4dに設けられた固定孔10b等からも接着剤が流れ出ることになる)。このとき、流出孔9から流れ出る接着剤は、案内手段9a(具体的には、傾斜面9b、階段面9c、凹部9d、立壁部9e等)によって、他の流出孔9に向かうように案内され、その結果、流出孔9から流れ出る接着剤は、他の流出孔9から流れ出る接着剤と互いに合わさって一体化し易くなる。そして、それら接着剤が互いに一体化してから硬化することで、配管材支持具1と基礎床2とが強固に接着固定されるのである。すなわち、この配管材支持具1にあっては、上記のように、台座4の裏面4aに直接接着剤を塗布してから、配管経路に沿って基礎床2に配置した場合においても、基礎床2と強固に接着固定することができる。
【0067】
ところで、この場合において、台座4には、必ずしも充填空間部7や注入孔8などが設けられていなくてもよい。すなわち、流出孔9が、基礎床2側となる裏面4a側に直接開口するとともに、基礎床2側とは反対側となる表面4b側に開口するように、台座4の厚さ方向に貫通していても構わない。したがって、基礎床に強固に接着固定することができる配管材支持具として、さらに、以下に記載の配管材支持具が考えられる。
【0068】
基礎床に接着固定されて、配管材を支持する配管材支持具であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に、互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備え、
前記台座には、基礎床側となる裏面側に接着剤が塗布された前記台座を前記基礎床に押し付けた際に、前記接着剤が前記台座の、前記基礎床側とは反対側となる表面側へ流れ出る、前記台座の厚さ方向に貫通する流出孔が複数設けられ、かつ、
前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔に向かうように案内する案内手段が設けられていることを特徴とする、配管材支持具。
【0069】
なお、この配管材支持具において、台座に、裏面側に開口する、接着剤が充填される充填空間部とか、その充填空間部と連通するとともに、表面側に開口する、接着剤を注入するための注入孔を設けてもよいのはもちろんである。とくに、充填空間部が、台座の裏面側に凹設されて開口し、かつ、流出孔が、その充填空間部と連通するとともに、台座の表面側に開口するように設けられて、台座の厚さ方向に貫通する場合(注入孔については、必ずしも設けられている必要はないが、設けられていても構わない。)にあっては、裏面側に接着剤が塗布された台座(詳しくは、前記充填空間部が埋められるように接着剤が塗布された台座)を基礎床に押し付けた際に、接着剤は、台座の外縁より外側にはみ出にくくなり、その結果、流出孔から流れ出易くなる。また、案内手段としては、既述した傾斜面、階段面、凹部、立壁部等が挙げられる。
【符号の説明】
【0070】
1 配管材支持具
2 基礎床
3 配管材
4 台座
4a 裏面
4b 表面
4c 立設部
4d 連結部
4e フランジ部
5 ボルト体
5a 平面
6 支持体
7 充填空間部
8 注入孔
9 流出孔
9a 案内手段
9b 傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床に接着固定されて、配管材を支持する配管材支持具であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に、互いに間隔をあけるようにして垂直状に立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備え、
前記台座には、前記基礎床側となる裏面側に開口する、接着剤が充填される充填空間部と、その充填空間部と連通するとともに、前記基礎床側とは反対側となる表面側に開口する、前記接着剤を注入するための注入孔とが設けられ、
前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記注入孔の上方から、その注入孔を介して前記充填空間部に前記接着剤を充填することができるように、前記注入孔は、前記ボルト体の軸方向から見て、その開口の一部または全体が前記支持体により支持される前記配管材とは重ならない位置に設けられていることを特徴とする、配管材支持具。
【請求項2】
前記注入孔は、その開口の全体が、前記一対のボルト体の互いに対向する側の最も近接した端に接する平面より外側に位置するように設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の配管材支持具。
【請求項3】
前記台座には、前記充填空間部と連通するとともに、前記表面側に開口する、注入された前記接着剤が流れ出る流出孔が設けられ、
前記流出孔は、前記注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の配管材支持具。
【請求項4】
前記流出孔は、前記注入孔から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の配管材支持具。
【請求項5】
前記流出孔は、その幅方向に複数並ぶように設けられ、かつ、
前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔または/および前記注入孔に向かうように案内する案内手段が設けられていることを特徴とする、請求項3または4に記載の配管材支持具。
【請求項6】
前記台座には、前記充填空間部と連通するとともに、前記表面側に開口する、注入された前記接着剤が流れ出る流出孔が、前記注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の配管材支持具。
【請求項7】
前記流出孔は、前記注入孔から離れた流出孔ほど開口面積が大きくなるように、または、前記注入孔から遠く離れた側の流出孔が開口面積が相対的に大きくなるように、形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の配管材支持具。
【請求項8】
前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔または/および前記注入孔に向かうように案内する案内手段が設けられていることを特徴とする、請求項6または7に記載の配管材支持具。
【請求項9】
前記案内手段は、前記流出孔の内面部に形成された、前記表面側ほど、隣り合う他の前記流出孔に近づくように傾斜する、傾斜面であることを特徴とする、請求項5または8に記載の配管材支持具。
【請求項10】
前記台座は、前記各ボルト体が立設される一対の立設部と、それら立設部を連結する連結部と、それら立設部に設けられたフランジ部とを有し、そのフランジ部に、前記注入孔が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の配管材支持具。
【請求項11】
基礎床に沿って配管材を配管する、配管材の配管方法であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える、配管材支持具を、前記配管材の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具に架け渡すようにして、前記支持体に前記配管材を支持させ、
前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記台座に設けられた、前記基礎床側となる裏面側に開口する充填空間部に、その充填空間部と連通する注入孔を介して接着剤を充填して、前記配管材支持具を前記基礎床に接着固定することを特徴とする、配管材の配管方法。
【請求項12】
基礎床に沿って配管材を配管する、配管材の配管方法であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える、配管材支持具を、配管経路に合わせて前記配管材が複数連結された連結配管体に、所定間隔をおいて複数取り付けるとともに、それら複数の配管材支持具を前記基礎床に配置して、前記支持体に前記配管材を支持させ、
前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記台座に設けられた、前記基礎床側となる裏面側に開口する充填空間部に、その充填空間部と連通する注入孔を介して接着剤を充填して、前記配管材支持具を前記基礎床に接着固定することを特徴とする、配管材の配管方法。
【請求項1】
基礎床に接着固定されて、配管材を支持する配管材支持具であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に、互いに間隔をあけるようにして垂直状に立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備え、
前記台座には、前記基礎床側となる裏面側に開口する、接着剤が充填される充填空間部と、その充填空間部と連通するとともに、前記基礎床側とは反対側となる表面側に開口する、前記接着剤を注入するための注入孔とが設けられ、
前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記注入孔の上方から、その注入孔を介して前記充填空間部に前記接着剤を充填することができるように、前記注入孔は、前記ボルト体の軸方向から見て、その開口の一部または全体が前記支持体により支持される前記配管材とは重ならない位置に設けられていることを特徴とする、配管材支持具。
【請求項2】
前記注入孔は、その開口の全体が、前記一対のボルト体の互いに対向する側の最も近接した端に接する平面より外側に位置するように設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の配管材支持具。
【請求項3】
前記台座には、前記充填空間部と連通するとともに、前記表面側に開口する、注入された前記接着剤が流れ出る流出孔が設けられ、
前記流出孔は、前記注入孔から離れる方向に沿って延びるように溝状に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の配管材支持具。
【請求項4】
前記流出孔は、前記注入孔から離れるほど溝幅が大きくなるように形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の配管材支持具。
【請求項5】
前記流出孔は、その幅方向に複数並ぶように設けられ、かつ、
前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔または/および前記注入孔に向かうように案内する案内手段が設けられていることを特徴とする、請求項3または4に記載の配管材支持具。
【請求項6】
前記台座には、前記充填空間部と連通するとともに、前記表面側に開口する、注入された前記接着剤が流れ出る流出孔が、前記注入孔から離れる方向に複数並ぶように設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の配管材支持具。
【請求項7】
前記流出孔は、前記注入孔から離れた流出孔ほど開口面積が大きくなるように、または、前記注入孔から遠く離れた側の流出孔が開口面積が相対的に大きくなるように、形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の配管材支持具。
【請求項8】
前記流出孔もしくは前記流出孔の近辺には、前記流出孔から流れ出る前記接着剤を、他の前記流出孔または/および前記注入孔に向かうように案内する案内手段が設けられていることを特徴とする、請求項6または7に記載の配管材支持具。
【請求項9】
前記案内手段は、前記流出孔の内面部に形成された、前記表面側ほど、隣り合う他の前記流出孔に近づくように傾斜する、傾斜面であることを特徴とする、請求項5または8に記載の配管材支持具。
【請求項10】
前記台座は、前記各ボルト体が立設される一対の立設部と、それら立設部を連結する連結部と、それら立設部に設けられたフランジ部とを有し、そのフランジ部に、前記注入孔が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の配管材支持具。
【請求項11】
基礎床に沿って配管材を配管する、配管材の配管方法であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える、配管材支持具を、前記配管材の配管経路に沿って複数配置するとともに、それら複数の配管材支持具に架け渡すようにして、前記支持体に前記配管材を支持させ、
前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記台座に設けられた、前記基礎床側となる裏面側に開口する充填空間部に、その充填空間部と連通する注入孔を介して接着剤を充填して、前記配管材支持具を前記基礎床に接着固定することを特徴とする、配管材の配管方法。
【請求項12】
基礎床に沿って配管材を配管する、配管材の配管方法であって、
前記基礎床に接着固定される台座と、前記台座に互いに間隔をあけるようにして立設される一対のボルト体と、前記一対のボルト体間に架設されて前記配管材を支持する支持体とを備える、配管材支持具を、配管経路に合わせて前記配管材が複数連結された連結配管体に、所定間隔をおいて複数取り付けるとともに、それら複数の配管材支持具を前記基礎床に配置して、前記支持体に前記配管材を支持させ、
前記支持体により前記配管材が支持された状態で、前記台座に設けられた、前記基礎床側となる裏面側に開口する充填空間部に、その充填空間部と連通する注入孔を介して接着剤を充填して、前記配管材支持具を前記基礎床に接着固定することを特徴とする、配管材の配管方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−82919(P2012−82919A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230870(P2010−230870)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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