説明

配管構造

【課題】 流体が循環路を辿って枝管へ到達することができ、かつ、熱損失を抑えることができる、配管構造を提供する。
【解決手段】 配管構造10は、枝管22,24,26,28と流体巡回部20とを備える。流体巡回部20は、枝管22,24,26,28が分岐している。流体巡回部20は、流体が循環路を辿って枝管22,24,26,28へ到達できるように、管を接続することで形成されている。流体巡回部20が、複数の並列配置流路40,40と、複数の連通流路50,52とを有している。並列配置流路40,40は、互いに沿うよう並んで配置される。連通流路50,52は、並列配置流路40,40を互いに連通させる。配管構造10は、結合材30をさらに備える。結合材30は、複数の並列配置流路40を形成する複数の管84,86を管84,86同士が接触している状態で纏める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は配管ユニットを開示する。この配管ユニットはパイプ材により環状に形成される。この配管ユニットは枝管が接続された分岐管を有する。この配管ユニットの分岐管は支持部材により固定されている。この配管ユニットは、次に述べる構造の配管ユニットに比べ、湯待ち時間を短くできる。その構造とは、ヘッダーと呼ばれる配管部材から各蛇口まで個別に管を接続している構造である。湯待ち時間を短くできるのは、循環中の温水をただちに取出すことができるためである。この配管ユニットは、熱源機器などが温水を循環させていなくとも、湯待ち時間を短くできる場合がある。これは、次のような仕組みによるものである。まず、この配管ユニットにおいては複数設けられている蛇口のいずれかが開くたびに熱源機器が温水を供給する。その温水の残りは配管ユニットの循環路に残る。その温水の残りが冷めてしまうまでに他の蛇口が開くとその温水の残りは新たに開いた蛇口から流出する。これにより、ヘッダーから各蛇口まで個別に管を接続している構造と異なり、温水の残りを転用できることとなる。以上が、湯待ち時間を短くできる場合がある仕組みである。なお、「湯待ち時間」とは、蛇口を開いてから蛇口における水温が上昇し始めるまでの時間のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−84401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された配管ユニットには、熱損失に関して改善の余地が大きいという問題点がある。つまり、特許文献1に開示された配管ユニットにおいて蛇口の1つが閉じてから他の蛇口が開くまでの間、この配管ユニットを構成するパイプから連続して熱が流出している。熱が流出するので、配管ユニットの循環路に残って温水は時間の経過につれて冷めていく。特許文献1に開示された配管ユニットは、この点について改善の余地が大きい。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、流体が循環路を辿って枝管へ到達することができ、かつ、熱損失を抑えることができる、配管構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面を参照して本発明の配管構造を説明する。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
本発明のある局面にしたがうと、配管構造10は、枝管22,24,26,28と流体巡回部20とを備える配管構造である。流体巡回部20から、枝管22,24,26,28が分岐している。流体巡回部20は、流体が循環路を辿って枝管22,24,26,28の分岐点へ到達できるように、管を接続することで形成されている。流体巡回部20が、複数の並列配置流路40と、複数の連通流路50,52とを有している。並列配置流路40は、互いに沿うよう並んで配置される。連通流路50,52は、並列配置流路40を互いに連通させる。配管構造10は、結合材30をさらに備える。結合材30は、複数の並列配置流路40を形成する管84,86を管84,86同士が接触するように纏める。
【0008】
結合材30が、管84,86を、管84,86同士が接触するように纏める。その接触箇所は、管84,86の素材である固体同士が直接熱を伝える箇所である。固体は気体に比べて熱を伝えやすい。固体が熱を伝えやすいので、管84,86同士の接触箇所ではその周りに比べて熱が流れやすい。管84,86同士の接触箇所という熱が流れやすい箇所があるので、管84,86同士が接触していると、その接触箇所の周りでは、管84,86の外部への熱流出が少なくなる。その結果、流体巡回部20を構成する管同士が一切接触していない場合に比べ、配管構造全体での熱損失を抑えることができる。また、連通流路50,52が並列配置流路40を互いに連通させるので、流体が循環路を辿って枝管22,24,26,28へ到達できる。
【0009】
また、上述した結合材30が、管取巻部150と、管固定部152とを有することが好ましい。管取巻部150は、複数の管84,86を取巻く。管固定部152は、複数の管84,86を管取巻部150内側にて管84,86同士が接触している状態で固定する。
【0010】
もしくは、上述した管固定部152が断熱材を有することが好ましい。断熱材は、管取巻部150と複数の管84,86との間に充填される。
【0011】
また、上述した枝管22,24,26,28は撓うことができることが好ましい。この場合、複数の連通流路のいずれかが、分岐路50である。分岐路50は、複数の並列配置流路40のいずれかから分岐する。分岐路50は、他の並列配置流路40に接続する。この場合、複数の連通流路のいずれかが、接続路52である。接続路52は、分岐路50とは別の箇所で、分岐路50が分岐する並列配置流路40と分岐路50が接続する他の並列配置流路40とを接続する。分岐路50は、並列配置流路40より短い。接続路52は、並列配置流路40より短い。
【0012】
並列配置流路40が互いに沿うよう並んで配置されるので、たとえば流体巡回部20の形状が円形である場合と比べ、並列配置流路40は、建築物の壁状部分の孔を容易に貫通できる。これにより、解体することなく建築物の壁状部分の孔を貫通することが容易となる。枝管22,24,26,28が撓うことができるので、流体巡回部20に建築物の壁状部分の孔を貫通させる際、枝管22,24,26,28も一緒に貫通させることができる。これにより、ヘッダーから蛇口へ至るまでの経路に設けられている孔を各枝管に個別に貫通させる必要がある場合に比べ、その孔を貫通させる作業の煩雑さを抑えることができる。その上、並列配置流路40は、互いに沿うよう並んで配置される。分岐路50が複数の並列配置流路40のいずれかから分岐する。接続路52が分岐路50とは別の箇所で並列配置流路40と他の並列配置流路40とを接続する。分岐路50も接続路52も、並列配置流路40より短い。これにより、流体巡回部20の形状は細長いものとなる。細長いので、流体巡回部20の流路の長さの割りに建築物の壁状部分の孔を容易に貫通できる。壁状部分の孔を容易に貫通できるので、予め現場以外の場所で組み立てて現場に搬入しそこへ設置するという施工方法を容易に実施できる。
【0013】
もしくは、上述した分岐路50が分岐する並列配置流路40が、分岐路50に接続されるT型継手80を有していることが好ましい。この場合、T型継手80が、互いに相反する方向を向く一対の接続口110,112と、分岐口114とを有している。分岐口114は、一対の接続口110,112双方に対して直交する方向を向く。分岐口114は、分岐路50と接続される。この場合、分岐路50が、分岐口114へ一端が接続される接続管90と、エルボ92とを有する。エルボ92は、接続管90の他端、および、他の並列配置流路40と接続される。
【0014】
分岐路50がエルボ92を有し、かつ、そのエルボ92によって上述した他の並列配置流路40と接続されるので、分岐路50と上述した他の並列配置流路40とが直交することとなる。これにより、分岐路50と上述した他の並列配置流路40とが鈍角を形成している場合に比べ、並列配置流路40同士の間隔は狭いものとなる。並列配置流路40同士の間隔が狭くなると、そうでない場合に比べ、建築物の壁状部分の孔を容易に貫通できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の配管構造によれば、流体が循環路を辿って枝管へ到達することができ、かつ、熱損失を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例にかかる配管構造の概念図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる分岐路およびその付近の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0018】
[配管構造の構造]
図1と図2とを参照しつつ、本実施例にかかる配管構造10の構成を説明する。本実施例にかかる配管構造10は、流体巡回部20と、第1枝管22と、第2枝管24と、第3枝管26と、第4枝管28と、結合材30とを備える。この配管構造10には温水が流れる。その温水は周知の自然冷媒ヒートポンプ給湯機12から供給される。この自然冷媒ヒートポンプ給湯機12は、配管構造10に接続されている。
【0019】
流体巡回部20は、管を周知の継手により接続することで形成されている。管の素材は特に限定されない。ただし、施工現場で流体巡回部20を屈曲させる必要があるときは柔らかい素材のものを用いることが好ましい。施工現場で流体巡回部20を屈曲させる必要がないときは硬い素材のものを用いてもよい。流体巡回部20からは、第1枝管22と、第2枝管24と、第3枝管26と、第4枝管28とが分岐している。流体巡回部20は循環路すなわち一巡りしてもとの位置へ戻ることが可能な流路となっている。ただし、流体が流体巡回部20が循環するとは限らない。流体は、流体巡回部20すなわち循環路を巡って第1枝管22ないし第4枝管28へ到達できるよう形成されている。
【0020】
第1枝管22と、第2枝管24と、第3枝管26と、第4枝管28とは、それぞれ、蛇口またはシャワーヘッドに接続される。本実施例の場合、第1枝管22と、第2枝管24と、第3枝管26と、第4枝管28とは、いずれも撓うことができるような柔らかい管を用いて形成される。そのような柔らかい管の具体例は特に限定されるものではない。たとえば、ポリブデン管はその一例である。
【0021】
流体巡回部20は、一対の枝管接続流路40(これが本実施例にかかる並列配置流路である)と、分岐路50と、接続路52とを有する。本実施例の場合、枝管接続流路40それぞれに、第1枝管22、第2枝管24、第3枝管26、および、第4枝管28のいずれかが接続される。本実施例の場合についてより具体的に述べると、枝管接続流路40のうち一方には第1枝管22と第3枝管26とが接続される。枝管接続流路40のうち他方には第2枝管24と第4枝管28とが接続される。図1から明らかなとおり、これらの枝管接続流路40は、互いに並んで配置される。
【0022】
結合材30は、流体巡回部20を構成する管をそれら同士が接触するように纏めるための部材である。これにより、流体巡回部20の外観は柱状となっている。図2に示すように、本実施例の場合、結合材30は、管取巻部150と、管固定部152とを有する。管取巻部150は、枝管接続流路40を形成する管(図2に示されているのは 枝管接続流路40を形成する管のうち後述する第2単管86である)を取巻く(ちなみに、本実施形態の場合、管取巻部150の形状が管状であり、枝管接続流路40を形成する管は事実上管取巻部150に収容されることとなる)。管固定部152は、それらの管を管取巻部150内側にて固定する。本実施例の場合、管固定部152は、断熱材によって構成されている。この断熱材は、管取巻部150と枝管接続流路40を構成する管との間に充填される。これにより、枝管接続流路40を構成する管は、それらの管同士が接触している状態で固定されることとなる。管固定部152を構成する断熱材の種類は特に限定されない。断熱材は、熱の遮断および保温のために用いる、熱を伝えにくい材料であればよい。断熱材の例には、発泡ポリスチレンフォーム、ガラス繊維、および、コルクがある。発泡ポリスチレンフォーム、ガラス繊維、および、コルク以上の断熱性能があり、かつ、枝管接続流路40を構成する管を覆うことができる物質であれば、本実施例における断熱材として用いることができる。
【0023】
分岐路50と、接続路52とは、図1に示した2本の枝管接続流路40を互いに連通させる。本実施例の場合、枝管接続流路40のうち一方に自然冷媒ヒートポンプ給湯機12が接続されている。分岐路50は、一対の枝管接続流路40のいずれかから分岐する。分岐路50は、他の枝管接続流路40に接続されている。自然冷媒ヒートポンプ給湯機12が排出した温水は枝管接続流路40のうち一方から分岐して分岐路50に流入する。分岐路50に流入した温水は上述した他の枝管接続流路40へ流れる。接続路52は、分岐路50とは別の箇所で、分岐路50が分岐する枝管接続流路40と分岐路50が接続する枝管接続流路40とを接続する。
【0024】
上述したような構造となっているので、分岐路50から上述した他の枝管接続流路40へ流入した温水は接続路52へ流出する。接続路52へ流出した温水は分岐路50が分岐する枝管接続流路40へ流入する。枝管接続流路40を流れる温水の一部は第1枝管22、第2枝管24、第3枝管26、および、第4枝管28のいずれかへ流出する。
【0025】
図3は、分岐路50およびその付近の外観図である。図3を参照しつつ、分岐路50が分岐する枝管接続流路40と分岐路50との具体的な構成を説明する。
【0026】
分岐路50が分岐する枝管接続流路40は、T型継手80と、スリーブ82と、第1単管84と、第2単管86とを有する。T型継手80に第1単管84が接続される。T型継手80にスリーブ82を介して第2単管86が接続される。
【0027】
T型継手80は、「チー」と呼ばれたり「チーズ」と呼ばれたりする汎用継手である。T型継手80は、一対の接続口110,112と、分岐口114とを有している。接続口110,112は互いに相反する方向を向く。分岐口114は、接続口110,112の双方に対して直交する方向を向く。分岐口114には、分岐路50が接続される。これにより、枝管接続流路40から分岐路50が分岐することとなる。
【0028】
分岐路50は、接続管90と、エルボ92とを有する。接続管90の一端は、分岐口114へ接続される。エルボ92は、接続管90の他端、および、上述した他の枝管接続流路40と接続される。この枝管接続流路40は、スリーブ82と、第2単管86とを有する。エルボ92の一端は、この枝管接続流路40のスリーブ82に接続される。
【0029】
ちなみに、本実施例における接続路52は、第1枝管22ないし第4枝管28と同じ材質の管で一対の枝管接続流路40の端と端とを接続したものである。したがって、その詳細な説明は繰返さない。
【0030】
[施工手順]
本実施例にかかる配管構造10をプレハブ工法により施工する場合の具体的な手順について説明する。
【0031】
まず、作業者は、複数の第2単管86を管取巻部150内に収容する。複数の第2単管86が管取巻部150内に収容されたら、作業者は、管取巻部150と第2単管86との間に管固定部152を構成する断熱材を充填する。このとき、第2単管86同士が少なくとも一箇所で接触するよう断熱材を十分に充填する。断熱材が十分充填されたたら、作業者は、管取巻部150内に収容された第2単管86と継手類(T型継手80、スリーブ82、エルボ92、および、接続路52として用いられる管)とを図1に示すように接続する(この接続のため、第2単管86の端は管取巻部150から露出させておく)。第2単管86と継手とが接続されたら、作業者は、第1単管84を接続する。その後、作業者は、それらの接続箇所を断熱材で覆う。これにより、本実施例にかかる配管構造10が完成する。
【0032】
配管構造10が完成したら、運送担当者はその配管構造10を施工現場に搬入する。施工現場で、作業者は、配管構造10を施工現場の所定の位置に設置する。本実施例の場合、配管構造10は床下に設置されることとする。この場合、床下の基礎に配管構造10が貫通する孔が設けられている。この孔は基礎の複数の箇所に一列に並ぶよう設けられている。作業者は、結合材30により柱状となった流体巡回部20にそれらの孔を順次貫通させる。このとき、作業者は、第1枝管22、第2枝管24、第3枝管26、および、第4枝管28を撓らせる。これにより、これらが孔の縁にひっかからずに済む。これらも孔を順次貫通する。こうして配管構造10が所定の位置に設置されたら、作業者は、第1枝管22、第2枝管24、第3枝管26、および、第4枝管28をそれぞれ所定の配管設備に接続する。ここで言う「所定の配管設備」の例には蛇口とシャワーヘッドとがある。それらの接続と並行して、作業者は、枝管接続流路40と自然冷媒ヒートポンプ給湯機12とを接続する。以上で配管構造10の施工が完了する。
【0033】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施例にかかる配管構造10によれば、温水が循環路を辿って第1枝管22ないし第4枝管28へ到達することができる。本実施例にかかる配管構造10は、これを解体することなく建築物の壁状部分の孔を貫通することが容易である。しかも、本実施例にかかる配管構造10は、建築物の壁状部分の孔を貫通させる作業の煩雑さを抑えることができる。したがって、本実施例にかかる配管構造10は、施工性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施例にかかる配管構造10によれば、湯待ち時間を短縮できる。その理由の1つは、流体巡回部20に残った温水を転用できるためである。湯待ち時間が短縮されると、蛇口などから出る水が温かくなるまでに流出する水の総量は減少する。その結果、節水効果が得られる。湯待ち時間を短縮できる理由の1つには、温水の温度低下を抑え得ることもある。温水の温度低下を抑え得るのは、配管構造全体での熱損失を抑えることができるためである。熱損失を抑えることができるのは、流体巡回部20を構成する管同士が接触しているためである。
【0035】
また、本実施例にかかる配管構造10によれば、管取巻部150を設け、その中で管固定部152が枝管接続流路40を形成する管を固定している。このような構造を有することにより、その他の構造に比べ、枝管接続流路40を形成する管同士をしっかりと接触させることができる場合がある。これは、枝管接続流路40を形成する管を取巻く管取巻部150によって管取巻部150を支持し得るためである。
【0036】
[変形例の説明]
なお、今回開示された実施例はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施例に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0037】
たとえば、結合材30の構造は上述したものに限定されない。結合材30は断熱材を有していなくともよい。結合材30は管状の管取巻部150に代えて管固定部152を構成する断熱材に固く巻付けられるシートを管取巻部として有していてもよい。結合材30は流体巡回部20を構成する管に直接固く巻付けられるシートであってもよい。そのシートの素材が断熱材であってもよいことは言うまでもない。結合材30は流体巡回部20を構成する管を束ねて縛る紐であってもよい。流体巡回部20を構成する管同士が何箇所接触していてもよい。配管構造10の組立手順は上述したものに限定されない。流体巡回部20における枝管接続流路40の数は限定されない。また、流体巡回部20は、同一の枝管接続流路40ではなく、相違点がある流路を有していてもよい。具体的な相違点は特に限定されるものではない。たとえば、内径が互いに異なっていてもよい。相違点がある流路を流体巡回部20が有する場合、それらの流路のいずれかのみから第1枝管ないし第4枝管が分岐していてもよい。
【0038】
また、連通流路の具体的な形態は上述したものに限定されない。たとえば、接続路の形態は、上述した分岐路50と同一の形態であってもよい。この場合、枝管接続流路40のうち接続路に接続される箇所にT型継手80が設けられてもよい。T型継手80の配置の例には次のようなものがある。その例においては、T型継手80の接続口110,112の一方に枝管接続流路40を構成する管が接続される。接続口110,112の他方に枝管が接続される。T型継手80の分岐口114に分岐路50と同一形態の接続路が接続される。
【0039】
第1枝管22ないし第4枝管28のいずれかは、上述した分岐路50と同様の構造の物によって枝管接続流路40から分岐してもよい。この場合、第1枝管22ないし第4枝管28は、分岐路50のエルボ92に相当する箇所に接続されることとなる。これにより、第1枝管22ないし第4枝管28のうち少なくとも一部は枝管接続流路40に沿うこととなる。その結果、本発明にかかる配管構造が建築物の壁状部分の孔を貫通する際に第1枝管22ないし第4枝管28がその孔の縁に引っ掛かる可能性は、枝管接続流路40に設けられたT型継手に直接第1枝管22ないし第4枝管28が接続されている場合に比べ、低下することとなる。
【符号の説明】
【0040】
10…配管構造
12…自然冷媒ヒートポンプ給湯機
20…流体巡回部
22…第1枝管
24…第2枝管
26…第3枝管
28…第4枝管
30…結合材
40…枝管接続流路
50…分岐路
52…接続路
80…T型継手
82…スリーブ
84…第1単管
86…第2単管
90…接続管
92…エルボ
110…接続口
114…分岐口
120…コア
150…管取巻部
152…管固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枝管と前記枝管が分岐しておりかつ流体が循環路を辿って前記枝管の分岐点へ到達できるように管を接続することで形成されている流体巡回部とを備える配管構造であって、
前記流体巡回部が、
互いに沿うよう並んで配置される複数の並列配置流路と、
前記並列配置流路を互いに連通させる複数の連通流路とを有しており、
前記配管構造が、前記複数の並列配置流路を形成する前記管を前記管同士が接触するように纏める結合材をさらに備えることを特徴とする、配管構造。
【請求項2】
前記結合材が、
前記複数の管を取巻く管取巻部と、
前記複数の管を前記管取巻部内側にて前記管同士が接触している状態で固定する管固定部とを有することを特徴とする、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記管固定部が前記管取巻部と前記複数の管との間に充填される断熱材を有することを特徴とする、請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記枝管は撓うことができ、
前記複数の連通流路のいずれかが、前記複数の並列配置流路のいずれかから分岐し、かつ、他の前記並列配置流路に接続する分岐路であり、
前記複数の連通流路のいずれかが、前記分岐路とは別の箇所で、前記分岐路が分岐する前記並列配置流路と前記分岐路が接続する前記他の並列配置流路とを接続する接続路であり、
前記分岐路が前記並列配置流路より短く、
前記接続路が前記並列配置流路より短いことを特徴とする、請求項1に記載の配管構造。
【請求項5】
前記分岐路が分岐する前記並列配置流路が、前記分岐路に接続されるT型継手を有しており、
前記T型継手が、
互いに相反する方向を向く一対の接続口と、
前記一対の接続口双方に対して直交する方向を向き、かつ、前記分岐路と接続される、分岐口とを有しており、
前記分岐路が、
前記分岐口へ一端が接続される接続管と、
前記接続管の他端、および、前記他の並列配置流路と接続されるエルボとを有することを特徴とする、請求項4に記載の配管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−241429(P2012−241429A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113090(P2011−113090)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【出願人】(000231121)JFE継手株式会社 (140)
【Fターム(参考)】