説明

配管清浄化装置および配管清浄化方法

【課題】給水管12の塗料層12Aを傷付けることなく管内スケールといった異物を効率的に除去するとともに、殺菌効果により給水管12内の衛生状態を大幅に改善する配管清浄化装置1および配管清浄化方法を提供する。
【解決手段】配管清浄化運転時、極粗粒砂4aとオゾン含有水との混合流体Wは、給水管12内への吸引作用を受け、滑らかなスラリー状になって管路9および継手管9aを介して旋回流発生筒23の羽根24を摺動しながら擦り抜ける。この過程で、スラリー状の混合流体Wは、旋回流Spに沿って給水管12内を流動して塗料層12Aを隈なく擦り回って、塗料層12Aに付着した異物を効率的に擦り落とす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に設けられた給水管を主な適用対象とする配管清浄化装置および配管清浄化方法に係り、とりわけ給水管内の殺菌および洗浄が効率的に行われるように改良した配管清浄化装置および配管清浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内に配置された配管のうち、とりわけ給水管には、使用年限が経過するにつれて、内部の継手などで発生する錆瘤、内壁面で発生するもらい錆、ぬめり、水垢などの管内スケールが付着し、衛生状態が悪化する不都合がある。給水管内に錆を発生した場合は、建物の室内に設置された蛇口を開けると、水道水が赤く濁って流出することで分かる。
配管内を洗浄して衛生的にするため、殺菌洗浄装置を設けて、オゾン発生装置からのオゾンをオゾンミキシング装置に供給し、オゾンが溶け込んだオゾン水溶液を給水管に勢いよく流すことにより内部を殺菌洗浄するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−301440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の殺菌洗浄装置は、オゾンによる給水管内の殺菌効果を有するものの、オゾン水溶液の勢いだけでは管内スケールのうち錆瘤を除去するには十分でなかった。
そこで、配管ライニング施工の下地処理として用いられるサンドブラスト法により錆瘤を除去することが考えられるが、この方法では給水管の内壁であるライニング層を傷つける虞がある。
また、給水管内に圧縮空気を送って生じる水撃(ウォーターハンマー)作用により水垢や錆を除去するキャビテーション法が考えられるが、この方法でも完璧な清浄には至らず、かえって給水管内のうち継ぎ目部分などといった強度の弱い箇所を損傷するおそれがある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、研磨材とオゾン含有水とを配管内に旋回流として吸引することにより、配管の内壁を傷付けることなく管内スケールといった異物を効率的に除去するとともに、殺菌効果により配管の衛生状態を大幅に改善する配管清浄化装置および配管清浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1および請求項7について)
供給槽は、研磨材と水溶液を収容している。オゾン混合筒は、供給槽の水溶液を通過させることにより、オゾンが混入したオゾン含有水を生じる。旋回流発生筒は、建物などの配管の開口一端部に接続され、内部を横切るように固定された複数枚の羽根を有している。吸引装置は、清浄化運転時、負圧により研磨材とオゾン含有水とを配管内に吸引し、旋回流発生筒の羽根に摺動させて羽根を擦り抜けさせるように配されている。これにより、研磨材とオゾン含有水とが旋回流を付与されて配管の内壁を擦り回って配管内の異物を擦り落とす。
【0007】
上記構成では、清浄化運転時、研磨材とオゾン含有水とは、滑らかなスラリー状になって配管内を旋回流に沿って流動し、配管の内壁を隈なく擦り回る。このため、ぬめり、水垢などは勿論、管内スケールのうち配管の内壁に強固に付着した錆瘤などの異物までも効率的に擦り落とすことができる。
しかも、研磨材とオゾン含有水とは滑らかなスラリー状になっているので、配管の内壁(ライニング層、塗料層、塩化ビニール層など)を傷つけることがない。
また、オゾン含有水が旋回流に沿って配管内を隈なく流動することに伴い、配管内の全体が効率的に殺菌されて配管の衛生状態を大幅に改善することができる。
【0008】
(請求項2および請求項8について)
水溶液は、研磨材と混合された後にオゾン混合筒を通過してオゾン含有水となる。この場合、水溶液は研磨材と一緒になってからオゾン化されるので、管路の配置構成が簡素になる。
【0009】
(請求項3および請求項9について)
研磨材とオゾン含有水とは、別々の管路を介して配管内に吸引されるので、研磨材およびオゾン含有水の各配合量を制御し易くなり、研磨材とオゾン含有水との成分割合を簡単に調整することができる。
【0010】
(請求項4および請求項10について)
研磨材は、粒径の大小によって区分された複数種の砂粒体から成っており、複数種の砂粒体のうち配管内の異物の除去に適した粒径の砂粒体を選択するコントローラが設けられている。
これにより、配管の内壁に付着した異物に適した粒径の砂粒体を選び出して効率的に配管内を清浄することができる。
【0011】
(請求項5および請求項11について)
研磨材は、粒径を1.0〜5.0mmとするプラスチックボールであり、配管内の内壁よりも柔らかい材質により形成されている。このため、プラスチックボールを研磨材として配管の内壁に摺動させても内壁が傷付く虞がない。
【0012】
(請求項6および請求項12について)
研磨材は、配管内の内壁よりも柔らかい軟性の破砕粒石であるため、請求項5と同様な効果が得られる。
【0013】
(請求項13)
請求項13では、請求項7の供給槽に代わって第1容器および第2容器を設け、第1容器に水溶液を収容し、第2容器に研磨材を収容する。
このように第1容器および第2容器を用いても請求項7と同様の効果が得られる。
【0014】
(請求項14)
請求項14では、請求項7の供給槽に代わって容器を設け、容器に水溶液および研磨材を収容している。
このように容器を用いても請求項7と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】配管清浄化装置の全体図である(実施例1)。
【図2】旋回流発生筒の斜視図である(実施例1)。
【図3】(a)は塗料層に異物が付着した給水管を示す部分縦断面図、(b)は清浄化運転時の給水管を示す部分縦断面図、(c)は異物が擦り落とされた給水管を示す部分縦断面図である(実施例1)。
【図4】配管清浄化装置の全体図である(実施例2)。
【図5】配管清浄化装置の主要部を示す部分縦断面図である(実施例3)。
【図6】第1容器および第2容器により配管清浄化を行う態様を示す説明図である(実施例4)。
【図7】第1容器により配管清浄化を行う態様を示す説明図である(実施例5)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について、図に示す実施例とともに詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
〔実施例1の構成〕
図1ないし図3は本発明の実施例1を示す。本発明の配管としては、マンションといった建物内の給水管、空調配管、冷却水管、ライニング鋼管およびライニング施工管などが対象となるが、実施例1では配管として給水管を適用して説明する。
【0018】
図1の配管清浄化装置1における供給槽2は、水道管3からの水道水Lq(水溶液)を管路3aを介して貯留するとともに、粒径の大小によって分別された複数種の砂粒体4のうちから所望の種類を粒状の研磨材として後述するコントローラCpにより選択して収容する。
砂粒体4の種類として、極粗粒砂4a(粒径:2〜1mm)、粗粒砂4b(粒径:1〜1/2mm)、中粒砂4c(粒径:1/2〜1/4mm)、細粒砂4d(粒径:1/4〜1/8mm)および極細粒砂4e(粒径:1/8〜1/16mm)に区分けされた五つの砂粒群が用意されている。
【0019】
極粗粒砂4aは、容器4Aに収容されており、容器4Aから電磁弁P1付きの管路5aが供給槽2の上面開口部2aに延出している。
粗粒砂4bは、容器4Bに収容されており、容器4Bから電磁弁P2付きの管路5bが供給槽2の上面開口部2aに延出している。
中粒砂4cは、容器4Cに収容されており、容器4Cから電磁弁P3付きの管路5cが供給槽2の上面開口部2aに延出している。
【0020】
細粒砂4dは、容器4Dに収容されており、容器4Dから電磁弁P4付きの管路5dが供給槽2の上面開口部2aに延出している。
極細粒砂4eは、容器4Eに収容されており、容器4Eから電磁弁P5付きの管路5eが供給槽2の上面開口部2aに延出している。電磁弁P1〜P5は、パーソナルコンピュータPcからの指令を受けるコントローラCpに接続されている。
【0021】
供給槽2の内底部には、入力端子P6を有するモータ5の駆動により、極粗粒砂4aと水道水Lqとを混練するパルセータ6が設けられている。供給槽2の下端部には、吐出用の管路7が連通状態に接続されている。
【0022】
管路7は、電磁弁P7、ポンプP8およびオゾン混合筒8を介して浄化用の管路9に接続されている。管路9の先端部には、後述する給水管12に接続する継手管9aを取り付けている。オゾン混合筒8には、入力端子P9を介してオゾン発生機11からのオゾン(O3 )が供給されるようになっている。
モータ5の入力端子P6、電磁弁P7、ポンプP8およびオゾン発生機11の入力端子P9は、後述する吸引装置13の入力端子P10、再生槽14のポンプP11および回収槽15の電磁弁P12と一緒にコントローラCpに接続されている。
【0023】
給水管12は、エルボ管12aと主体管12bとから成り、エルボ管12aは開口一端部の内周に雌ねじ部12cを有している。給水管12の内壁は、エポキシなどの樹脂製塗料により内張施工された塗料層12Aをライニング層として備えている。
給水管12の下端開口部は、着脱可能な蓋継手16の被着により閉鎖されている。給水管12の内部には監視カメラ17が配置されている。監視カメラ17は、パーソナルコンピュータPcに結線されてモニターPc1に給水管12の内部を表示させるようになっている。
【0024】
蓋継手16には、二本の管路18、19が接続され、一方の管路18は、負圧を発生する吸引装置13に接続され、他方の管路19はポンプP11に接続されている。ポンプP11は管路20を介して再生槽14に延出されている。再生槽14は、底部に濾過器21を有し、管路22を介して回収槽15に延出されている。回収槽15は、電磁弁P12付き管路23Aを供給槽2の上面開口部2aに延出している。
【0025】
〔清浄化運転について〕
配管清浄化方法(オゾンVacS工法)により清浄化運転を開始する際、図2に示す円形の旋回流発生筒23を用いる。旋回流発生筒23は、開口一端部の外周に雄ねじ部23aを形成し、内部を横切るように4枚の羽根24をスクリューとして螺旋状に配置している。各羽根24の先端部は、旋回流発生筒23の内壁部に溶接24pなどの取付手段により固定されている。
【0026】
旋回流発生筒23は、雄ねじ部23aをエルボ管12aの雌ねじ部12cに締め付けてエルボ管12aに接続する。そして、管路9の継手管9aを旋回流発生筒23の開口他端部の外周に嵌め込むことにより、継手管9aが旋回流発生筒23およびエルボ管12aを介して給水管12に対して着脱可能に接続される(接続工程)。
【0027】
所定量の水道水Lqを水道管3および管路3aから供給槽2に貯留し、パーソナルコンピュータPcの操作により、電磁弁P1〜P5のうち、例えば電磁弁P1を開弁調整し、容器4Aの極粗粒砂4aを管路5aより供給槽2に流入させる(供給工程)。これに伴い、入力端子P6への通電によりモータ5が駆動されてパルセータ6を回転し、極粗粒砂4aと水道水Lqとを混練する(混練工程)。
【0028】
混練した極粗粒砂4aと水道水Lqとは、管路7の電磁弁P7およびポンプP8を介してオゾン混合筒8を通過する。この過程で、オゾン発生機11からのオゾン(O3 )を5〜6ppm程度の濃度成分として水道水Lqに混入してオゾン含有水を生成する(含有工程)。オゾン含有水と極粗粒砂4aとは、後述するように、両者を成分とする混合流体Wになる。
【0029】
この時、入力端子P10への通電により吸引装置13が駆動され、給水管12内を負圧状態にしている。このため、極粗粒砂4aとオゾン含有水との混合流体Wは、給水管12内への吸引作用(例えば、3〜10kg/cm2 )を受け、滑らかなスラリー状になって管路9および継手管9aを介して旋回流発生筒23の羽根24を摺動しながら擦り抜ける。この際、スラリー状の混合流体Wは、極粗粒砂4aとオゾン含有水をより効率的に混合しながら、とりわけ図3(b)に示すように、旋回流Spに沿って給水管12内を流動して塗料層12Aを隈なく擦り回る(除去工程)。
【0030】
〔実施例1の効果〕
これにより、図3(a)に示すように、ぬめりや水垢などをはじめ、管内スケールのうち給水管12の塗料層12Aに強固に付着した錆瘤などの異物Fcが生じていても、ぬめり、水垢などは勿論、塗料層12Aに強固に付着した錆瘤などの異物Fcまでも効率的に擦り落とすことができる{図3(c)参照}。
【0031】
しかも、極粗粒砂4aとオゾン含有水との混合流体Wは、滑らかなスラリー状になっているので、混合流体Wが給水管12の塗料層12Aを擦り回っても、給水管12の塗料層12Aを傷つけることがない。また、オゾン含有水が給水管12内を旋回流Spに沿って流動することに伴い、給水管12内の全体が効率的に殺菌されて給水管12の衛生状態を大幅に改善することができる。
【0032】
また、混練された極粗粒砂4aと水道水Lqとは、オゾン混合筒8を通過し、この通過時にオゾン発生機11からのオゾン(O3 )を混入している。すなわち、水道水Lqは極粗粒砂4aと一緒になった後にオゾン含有水となるので、管路7、9の配置構成が簡素になる。
【0033】
なお、塗料層12Aを擦り回った混合流体Wは、異物Fcを含む混合砂水4gとなり、管路19、ポンプP11および管路20を介して再生槽14に収容される。混合砂水4gは、再生槽14内で濾過器21により水分を排除して湿性砂4fとなり、管路22を介して回収槽15に収容される。
回収槽15の電磁弁P12は、必要に応じてコントローラCpにより通電されるようになっている。この通電により電磁弁P12の開弁度合が調整され、回収槽15内の湿性砂4fが管路23Aを介して供給槽2に供給されて再利用可能となる。
【0034】
実施例1では、電磁弁P1の開弁により極粗粒砂4aを供給槽2に供給したが、砂粒体4の種類を選択するにあたっては、電磁弁P1〜P5のいずれか一つ、あるいは電磁弁P1〜P5を適宜に組み合わせて開弁調整を行ってもよい。
これにより、給水管12の塗料層12Aに付着した異物Fcに適した種類の砂粒体4を選び出し、給水管12の塗料層12Aを効率的に清浄することができる。
【0035】
〔実施例2〕
図4は本発明の実施例2を示す。実施例2が実施例1と異なるところは、実施例1のモータ5およびパルセータ6を省いて、清浄化運転時にそれぞれ通電される電磁弁P13およびポンプP14を有する管路25を設けたことである。
【0036】
この場合、供給工程で供給槽2内の水道水Lqと極粗粒砂4aとは、重力を受けて上下に分離する。この場合、管路7の他端部7aは、供給槽2に水道水Lqと連通するように接続され、一端部7bは管路9に接続されている。
管路25の他端部25aは、供給槽2に極粗粒砂4aと連通するように接続され、一端部25bは管路9に接続されている。管路7の一端部7bと管路25の一端部25bとは、管路9への接続部25cで合流して管路9に連通する。
【0037】
実施例2における清浄化運転時、管路7を通る水道水Lqは、オゾン混合筒8を通過する際にオゾン含有水となり、管路25を通る極粗粒砂4aと管路9内で混練されて、滑らかなスラリー状の混合流体Wとなる。スラリー状の混合流体Wは、継手管9aを介して旋回流発生筒23の羽根24を摺動しながら擦り抜けて実施例1と同様に作動する。
【0038】
実施例2では、極粗粒砂4aとオゾン含有水とは、別々の管路7、25を介して給水管12内に吸引される。このため、極粗粒砂4aとオゾン含有水との各配合量を制御し易くなり、極粗粒砂4aとオゾン含有水との成分割合を簡単に調整することができる。
【0039】
〔実施例3〕
図5は本発明の実施例3を示す。実施例3が実施例2と異なるところは、実施例2における管路7の一端部7bを吐出管9cとして継手管9aと同芯になるように配置したことである。
すなわち、管路7の一端部7bは、管路9の先端部を貫通し、旋回流発生筒23の羽根24に対向する吐出管9cとなっている。これにより、吐出管9cの外周部と継手管9aの内周部との間に環状空間部Apが形成される。
【0040】
清浄化運転時には、オゾン混合筒8を通過したオゾン含有水Wqは、管路7、9を順に介して吐出管9cから旋回流発生筒23の羽根24を摺動しながら擦り抜ける。
この一方、管路25を通過する極粗粒砂4aは、管路9を介して環状空間部Apから旋回流発生筒23の羽根24を摺動しながら擦り抜ける。羽根24を擦り抜けたオゾン含有水Wqおよび極粗粒砂4aは、給水管12内で滑らかなスラリー状の混合流体Wとなって実施例1と同様に作動する。
【0041】
実施例3では、パーソナルコンピュータPcを操作して、コントローラCpで電磁弁P7、P13の開度をそれぞれ調整することにより、極粗粒砂4aとオゾン含有水Wqとの配合量を簡単に調整することができる。電磁弁P7、P13のうち、いずれかを閉鎖することにより、極粗粒砂4aとオゾン含有水Wqのうち一方のみを選択的に使用することができる。
また、電磁弁P7を閉鎖し、電磁弁P13を開いて極粗粒砂4aのみを用いた後に、電磁弁P13を閉じてから電磁弁P7を開いてオゾン含有水Wqのみを用いることもできる。
【0042】
〔実施例4〕
図6は本発明の実施例4を示す。実施例4が実施例3と異なるところは、配管清浄化装置1から入力端子P9、オゾン発生機11、オゾン混合筒8、管路9、継手管9aおよび旋回流発生筒23を取り出し、本実施例の配管清浄化方法に適用したことである。
この場合、実施例3における継手管9a内の吐出管9cおよび環状空間部Apを省き、金属製あるいはプラスチック製などのバケツとして第1容器30および第2容器31を利用している。
【0043】
本実施例の配管清浄化方法を使用するにあたっては、先ず極粗粒砂4aを第2容器31に収容し、水道水Lqを第1容器30に収容する(収容工程)。
そして、旋回流発生筒23を給水管12に接続しておき(接続工程)、ホース32を用いて第1容器30内の水道水Lqとオゾン混合筒8とを連結し、またホース33により第2容器31内の極粗粒砂4aと継手管9aとを連結する。
【0044】
吸引装置13(図4参照)を駆動して給水管12内を負圧にすることにより、第1容器30内の水道水Lqがホース32、オゾン混合筒8および管路9を介して継手管9a内に供給されてオゾン含有水となる(含有工程)。
【0045】
この一方、第2容器31内の極粗粒砂4aは、ホース33を介して継手管9a内に供給され、オゾン含有水と混合されつつ旋回流発生筒23の羽根24を摺動しながら擦り抜ける。羽根24を擦り抜けたオゾン含有水および極粗粒砂4aは、給水管12内で滑らかなスラリー状の混合流体Wとなって実施例1と同様に作動する(除去工程)。
なお、第1容器30内には、予め水道水Lqにオゾンを混入させたオゾン含有水を収容しておいてもよい。この場合、入力端子P9、オゾン発生機11およびオゾン混合筒8は省いてもよい。
【0046】
〔実施例5〕
図7は本発明の実施例5を示す。実施例5が実施例4と異なるところは、第2容器31を省いて、極粗粒砂4aを第1容器30内に収容して水道水Lqと混合したことである(収容工程)。
【0047】
このため、吸引装置13(図4参照)の駆動時、第1容器30内で混合された水道水Lqと極粗粒砂4aとは、ホース32を介してオゾン混合筒8を通過し、オゾン含有水と極粗粒砂4aとなって(含有工程)、管路9から継手管9aに到り、旋回流発生筒23の羽根24を摺動しながら擦り抜ける。羽根24を擦り抜けたオゾン含有水および極粗粒砂4aは、給水管12内で滑らかなスラリー状の混合流体Wとなって実施例1と同様に作動する(除去工程)。
なお、第1容器30には、予め水道水Lqにオゾンを混入させたオゾン含有水を極粗粒砂4aと一緒に収容しておいてもよい。この場合、実施例4と同様に、入力端子P9、オゾン発生機11およびオゾン混合筒8は省いてもよい。
【0048】
〔変形例〕
(a)実施例1では、砂粒体4を粒径の大小により5種類に区分したが、砂粒体4の粒径については、給水管12の塗料層12Aに付着した管内スケールの性状や使用状況などに応じて所望の尺度に設定してもよい。
(b)実施例1の砂粒体4に代わって、粒径を1.0〜5.0mmとし、給水管12の塗料層12Aよりも柔らかい材質のプラスチックボールを用いてもよい。この場合には、プラスチックボールを塗料層12Aに摺動させても塗料層12Aが傷付く虞がない。
【0049】
(c)また、砂粒体4に代わって、塗料層12Aよりも柔らかい軟性の破砕粒石を用いてもよい。破砕粒石に代わって、珪砂や川砂をはじめ、磁器や陶器などの焼き物(素焼き物含む)、細かな砂利あるいはプラスチック材を粉砕して生じた破片粒を用いてもよい。これらの大きさは、プラスチックボールの粒径に応じた最大寸法を有するものでよい。
【0050】
(d)オゾン含有水のオゾン成分濃度は、5〜6ppm程度が適当であるが、給水管12の浄化度合に応じて、オゾン発生機11への通電量を大小調整することにより種々に設定してもよい。
(e)実施例1、2においては、再生槽14から管路22に到る経路構成を省略して、管路19をポンプP11から廃棄槽に導き、異物Fcを含む混合砂水は再利用することなく適宜に廃棄処分するようにしてもよい。
(f)実施例4の第1容器30および第2容器31は、バケツに限らず、手提げ桶、樽、水槽あるいは運搬用の貯留タンクであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の配管清浄化装置および配管清浄化方法では、研磨材とオゾン含有水とが配管の内壁をスラリー状の旋回流となって擦り回ることにより、配管の内壁を傷付けることなく、配管の内壁に付着するぬめり、水垢などは勿論、内壁に強固に付着する錆瘤なども効率的に除去するとともに、オゾン含有水の殺菌効果により配管の衛生状態が大幅に改善される。これにより、配管への合理的な清浄化方式に着目する配管更生業者からの需要を喚起し、ライニング施工用の塗料や関連部品などの流通を介して化学・機械業界に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 配管清浄化装置
2 供給槽
4 砂粒体(研磨材)
8 オゾン混合筒
11 オゾン発生機
12 給水管(配管)
12A 塗料層(配管の内壁)
13 吸引装置
23 旋回流発生筒
24 羽根
30 第1容器(容器)
31 第2容器
Fc 異物
Lq 水道水(水溶液)
Sp 旋回流
W 混合流体
Wq オゾン含有水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨材と水溶液を収容した供給槽と、
前記供給槽の前記水溶液を通過させることにより、オゾンが混入したオゾン含有水を生じるオゾン混合筒と、
建物などの配管の開口一端部に接続され、内部を横切るように固定された複数枚の羽根を有する旋回流発生筒と、
清浄化運転時、負圧により前記研磨材と前記オゾン含有水とを前記配管内に吸引し、前記旋回流発生筒の前記羽根を摺動して擦り抜けることにより、前記研磨材と前記オゾン含有水が旋回流を付与されて、前記配管の内壁を擦り回って前記配管内の異物を擦り落とすように配された吸引装置とを備えたことを特徴とする配管清浄化装置。
【請求項2】
前記水溶液は、前記研磨材と混合された後に前記オゾン混合筒を通過して前記オゾン含有水となることを特徴とする請求項1に記載の配管清浄化装置。
【請求項3】
前記研磨材と前記オゾン含有水とは、別々の管路を介して前記配管内に吸引されることを特徴とする請求項1に記載の配管清浄化装置。
【請求項4】
前記研磨材は、粒径の大小によって区分された複数種の砂粒体から成っており、前記複数種の砂粒体のうち前記配管内の前記異物の除去に適した粒径の砂粒体を選択するコントローラが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の配管清浄化装置。
【請求項5】
前記研磨材は、粒径を1.0〜5.0mmとするプラスチックボールであり、前記配管内の内壁よりも柔らかい材質により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配管清浄化装置。
【請求項6】
前記研磨材は、前記配管内の内壁よりも柔らかい軟性の破砕粒石であることを特徴とする請求項1に記載の配管清浄化装置。
【請求項7】
研磨材と水溶液とを供給槽に収容する収容工程と、
前記供給槽の前記水溶液をオゾン混合筒に通過させることにより、オゾンが混入したオゾン含有水を生じる含有工程と、
内部を横切る状態に固定された複数枚の羽根を有する旋回流発生筒を建物などの配管の開口一端部に接続する接続工程と、
清浄化運転時、吸引装置の負圧により前記研磨材と前記オゾン含有水とを前記配管内に吸引し、前記旋回流発生筒の前記羽根を摺動して擦り抜けることにより、前記研磨材と前記オゾン含有水とが旋回流を付与されて、前記配管の内壁を擦り回って前記配管内の異物を擦り落とす除去工程とを備えたことを特徴とする配管清浄化方法。
【請求項8】
前記含有工程における前記水溶液は、前記研磨材と混合された後に前記オゾン混合筒を通過して前記オゾン含有水となることを特徴とする請求項7に記載の配管清浄化方法。
【請求項9】
前記除去工程における前記研磨材と前記オゾン含有水とは、別々の管路を介して前記配管内に吸引されることを特徴とする請求項7に記載の配管清浄化方法。
【請求項10】
前記収容工程における前記研磨材は、粒径の大小によって区分された複数種の砂粒体から成っており、前記複数種の砂粒体のうち前記配管内の前記異物の除去に適した粒径の砂粒体を選択するコントローラが設けられていることを特徴とする請求項7に記載の配管清浄化方法。
【請求項11】
前記収容工程における前記研磨材は、粒径を1.0〜5.0mmとするプラスチックボールであり、前記配管内の内壁よりも柔らかい材質により形成されていることを特徴とする請求項7に記載の配管清浄化方法。
【請求項12】
前記収容工程における前記研磨材は、前記配管内の内壁よりも柔らかい軟性の破砕粒石であることを特徴とする請求項7に記載の配管清浄化方法。
【請求項13】
水溶液を第1容器に収容し、研磨材を第2容器に収容する収容工程と、
前記第1容器の前記水溶液をオゾン混合筒に通過させることにより、オゾンが混入したオゾン含有水を生じる含有工程と、
内部を横切る状態に固定された複数枚の羽根を有する旋回流発生筒を建物などの配管の開口一端部に接続する接続工程と、
清浄化運転時、吸引装置の負圧により前記研磨材と前記オゾン含有水とを前記配管内に吸引し、前記旋回流発生筒の前記羽根を摺動して擦り抜けることにより、前記研磨材と前記オゾン含有水とが旋回流を付与されて、前記配管の内壁を擦り回って前記配管内の異物を擦り落とす除去工程とを備えたことを特徴とする配管清浄化方法。
【請求項14】
研磨材と水溶液とを容器に収容する収容工程と、
前記容器内の前記研磨材と前記水溶液とを混合させてオゾン混合筒に通過させることにより、オゾン含有水が混入した混合流体を生じる含有工程と、
内部を横切る状態に固定された複数枚の羽根を有する旋回流発生筒を建物などの配管の開口一端部に接続する接続工程と、
清浄化運転時、吸引装置の負圧により前記混合流体を前記配管内に吸引し、前記混合流体が前記旋回流発生筒の前記羽根を摺動して擦り抜けることにより、前記混合流体が旋回流を付与されて、前記配管の内壁を擦り回って前記配管内の異物を擦り落とす除去工程とを備えたことを特徴とする配管清浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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