説明

配管溶接部のき裂検査方法および配管溶接部のき裂検査装置

【課題】配管溶接部に生じるき裂を、電位差法を用いて簡易に検査することができる配管溶接部のき裂検査方法および配管溶接部のき裂検査装置を提供すること。
【解決手段】配管1をソケット2に内挿させて隅肉溶接した溶接部3に生じるき裂4を、電位差法を用いて検査する配管溶接部のき裂検査方法であって、配管1の長手方向に沿って電圧測定端子7a,7bを溶接部3とソケット2との境界部分を跨ぐように配置して電位差を測定して前記き裂を検査する。この際、電圧測定端子7a,7bの中央は、前記境界部分よりも溶接部3側に配置されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットと配管との溶接部などの配管溶接部に生じるき裂を、電位差法を用いて検査する配管溶接部のき裂検査方法および配管溶接部のき裂検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、配管の接続には、ネジや溶接などが用いられている。この溶接の継手にはソケットなどが用いられ、このソケットに配管を内挿し、隅肉溶接が行われる。特に、油圧配管などの圧力の高い配管の接続には、このソケットを用いた隅肉溶接が行われる。このソケットは、円形ないし方形であり、配管の外径に合わせた窪みが付けられている。この溶接部では、圧力変化や配管自体の振動によって、未溶着部を起点として疲労によるき裂が進展する場合がある。近年の各種プラントでは、設備の老朽化が進んでおり、溶接部における経年変化に伴うき裂検出と管理とが重要である。このような溶接部のき裂を検査するものとして超音波探傷法やX線探傷法などが提案されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1は、ソケットの開口端部の外周面上から、超音波斜角探傷によって溶接部を検査するものであり、探触子を周方向に回転走査して全周の検査を行うようにしている。また、特許文献2は、微小焦点X線を用いて、ソケットを挟んでX線フィルムを対向させて撮像し、この撮像を周方向の異なる角度から行うようにしている。
【0004】
一方、き裂深さを測定するものとして電位差法が知られており(特許文献3参照)、検査部位に電流を流し、き裂での電気抵抗によって被検査体の表面に電位分布が生じることを利用して、き裂深さを推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−111282号公報
【特許文献2】特開平10−300691号公報
【特許文献3】特開2006−308324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した超音波探傷法やX線探傷法は検査コストが大きいことはもちろん、超音波探触子や走査治具、あるいはX線源やX線フィルムなどを、検査部位に近接させて、き裂の検査を行うことになり、この際、検査部位の近傍に、他の配管や部材が配置されている場合が多く、き裂の検査のための設置に多大の労力と時間がかかるという問題点があった。
【0007】
特に、各種プラントでは配管溶接部の常時モニタリングを行うことが望ましいが、配管溶接部が多数あるため、上述した超音波探傷法やX線探傷法を用いることは非現実的である。
【0008】
なお、従来の電位差法は、簡易な構成で、検査コストがかからないが、平板の裏面や配管の内面に生じるき裂に適用されているのが現状であり、配管溶接部などの3次元形状の被検体に対してこの電位差法を適用するのは困難な方法であるとされていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、配管溶接部に生じるき裂を、電位差法を用いて簡易に検査することができる配管溶接部のき裂検査方法および配管溶接部のき裂検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る配管溶接部のき裂検査方法は、配管の端部をソケットの凹部に当接させた状態で隅肉溶接した溶接部に生じるき裂を、電位差法を用いて検査する配管溶接部のき裂検査方法であって、配管の長手方向に沿って複数の端子を前記溶接部と前記ソケットとの境界部分を跨ぐように配置して電位差を測定して前記き裂を検査することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る配管溶接部のき裂検査方法は、上記の発明において、前記複数の端子の中央は、前記境界部分よりも前記溶接部側に配置されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る配管溶接部のき裂検査方法は、上記の発明において、前記複数の端子は、前記配管の周方向に所定ピッチで配置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る配管溶接部のき裂検査方法は、上記の発明において、き裂深さと前記複数の端子間の電位差との関係を複数求めておく第1測定ステップと、現在のき裂深さを超音波探傷法あるいはX線探傷法によって求める第2測定ステップと、前記第2測定ステップで求めた現在のき裂深さと現在のき裂に対する現在の電位差との交点を通る特性曲線を、前記第1測定ステップの関係をもとに内挿法あるいは外挿法によって求める特性曲線算定ステップと、前記き裂に対する電位差を求め、前記特性曲線をもとに該電位差に対応するき裂深さを演算出力するき裂深さ演算ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る配管溶接部のき裂検査装置は、配管の端部をソケットの凹部に当接させた状態で隅肉溶接した溶接部に生じるき裂を、電位差法を用いて検査する配管溶接部のき裂検査装置であって、配管の長手方向に沿って複数の端子を前記溶接部と前記ソケットとの境界部分を跨ぐように配置して電位差を測定する測定部と、前記測定部によって測定した電位差とき裂深さとの関係を複数求め、さらに現在のき裂深さを超音波探傷法あるいはX線探傷法によって求め、該現在のき裂深さと現在のき裂に対する現在の電位差との交点を通る特性曲線を、前記電位差と前記き裂深さとの関係をもとに内挿法あるいは外挿法によって求め、該特性曲線を記憶する記憶部と、前記き裂に対する電位差を求め、前記特性曲線をもとに該電位差に対応するき裂深さを演算出力するき裂深さ演算部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配管の長手方向に沿って複数の端子を溶接部とソケットとの境界部分を跨ぐように配置して電位差を測定してき裂を検査するようにしているので、配管溶接部に生じるき裂を、電位差法を用いて簡易に検査することができる。
【0016】
また、本発明によれば、測定部によって測定した電位差とき裂深さとの関係を複数求め、さらに現在のき裂深さを超音波探傷法あるいはX線探傷法によって求め、該現在のき裂深さと現在のき裂に対する現在の電位差との交点を通る特性曲線を、前記電位差と前記き裂深さとの関係をもとに内挿法あるいは外挿法によって求め、該特性曲線を記憶部に記憶しておき、き裂深さ演算部が、前記き裂に対する電位差を求め、前記特性曲線をもとに該電位差に対応するき裂深さを演算出力するようにしているので、配管溶接部に生じるき裂の常時モニタリングを簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1である配管溶接部のき裂検査装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】図2は、電圧測定電極が配置される領域を説明する説明図である。
【図3】図3は、電圧測定電極の長手方向位置に対する電位差と電位差増分との関係を示す図である。
【図4】図4は、電圧測定電極の周方向位置を変えた場合における電圧測定電極の長手方向位置に対する電位差増分の変化を示す図である。
【図5】図5は、き裂深さに対する電位差の変化を示す図である。
【図6】図6は、余盛が異なる溶接部毎のき裂深さに対する電位差の変化を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態2である配管溶接部のき裂検査装置の概要構成を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2によるき裂深さ演算処理の概要を説明する説明図である。
【図9】図9は、図7に示した制御部によるき裂深さ演算処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、多端子法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態である配管溶接部のき裂検査方法および配管溶接部のき裂検査装置について説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である配管溶接部のき裂検査装置の概要構成を示す模式図であり、図1(a)は、配管溶接部近傍の縦断面図を示し、図1(b)は、配管溶接部近傍の左側面図を示している。図1において、配管1は、その一端がソケット2に内挿される。ソケット2は、外周が方形の溶接継手であり、ソケット2の凹部に配管1の端部が当接した状態で、隅肉溶接され、溶接部3が形成される。ソケット2の軸中心部分には、配管の内径とほぼ同じ内径の円筒空間が形成されており、配管1側には配管1の端部が当接するリング状の凹部と該凹部の外周方向にテーパ部とが形成されている。このため、圧力変化や配管1自体の振動などによって、溶接部3とソケット2との間に内側の当接部側から、き裂4が生じる場合がある。
【0020】
電流を供給する電流供給源5には、電流供給電極6a,6bが接続され、電圧を測定する電圧測定部8には、電圧測定電極7a,7bが接続される。電流供給電極6aは、配管周面に配置され、電流供給電極6bは、ソケット2の周面に配置される。電圧測定電極7aは、溶接部3の表面に配置され、電圧測定電極7bは、ソケット2の配管1側側面の溶接部3の近傍表面に配置される。電圧測定電極7a,7bは、電流供給電極6a,6bの内側に配置され、電流供給電極6a,6bおよび電圧測定電極7a,7bは、配管1の長手方向に対してほぼ一列に配置される。
【0021】
この配置は、4端子法を用いた配置であり、電流供給電極6a,6b間に電流が供給された状態で、電圧測定電極7a,7b間の電位差を測定するものである。この電位差を測定することによって、き裂4の検出および進展を検査することができる。各電極6a,6b,7a,7bは、配管1等に押し付けて接触してもよく、点溶接であってもよい。なお、4端子法であるため、接触抵抗の影響はほとんどない。
【0022】
ここで、電圧測定電極7a,7bの最適配置について3次元直流電位場解析結果を用いて説明する。図2は、図1(a)に対応した配管溶接部近傍の断面図を示している。なお、配管1の外径を43.2mm、配管1の肉厚を4.9mm、ソケット2の横断面は、90mm×90mm、長手方向長さを28mmとしている。図2に示すように、配管溶接部近傍は、その表面で4つに区分され、配管1の表面部分である領域A、溶接部3の表面部分である領域B、ソケットの側面部分である領域C、およびソケットの周面部分である領域Dに区分される。電流供給電極6aは、領域Aに配置され、電流供給電極6bは、領域Dに配置される。電圧測定電極7a,7bの間隔は2mmであり、電圧測定電極7aを領域A→B→C→Dに順次移動させたときの電位差は図3の上段のように変化する。なお、き裂4は、開口量0.005mm、深さは、表面の貫通までの長さの1/2、周方向長さを90°とし、溶接部3とソケット2との境界部分に存在するものとしている。また、電位差測定は、き裂側(図1(b)の0°側)およびき裂の反対側(図1(b)の360°側)の双方で行っている。
【0023】
図3に示すように、双方の電位差の違いは、領域Bと領域Cとの境界近傍の領域B(溶接部3)側で大きい。すなわち、図3の下段に示すように、電位差増分は、領域Bと領域Cとの境界から領域Bに入ったところでピーク値をもつ特性となっている。この結果、き裂4が進展してくると予想される位置よりも少し配管1側の領域で最も感度高く、き裂を検出することができることがわかる。これは、溶接部3に生ずるき裂が、ソケット2の垂直面(横断面方向)に対して垂直ではなく、配管1の端部側から配管1側であって外周方向に斜めに伸びており、溶接部3表面からみた下部側に大きな電位差が生じるものと考えられる。
【0024】
したがって、電圧測定電極7a,7bは、溶接部3とソケット2との境界を跨いで配置し、電圧測定電極7a,7bとの中心は、溶接部3とソケット2との境界よりも溶接部3側となるように配置するのが、き裂4の検出および検査上、好ましい。
【0025】
また、図4に示すように、き裂がある位置(0°)から周方向に電圧測定電極7a,7bを移動させると、電位差増分の長手方向のピーク位置は変わらず、そのピーク値がき裂位置から周方向に離れるに従って減少することがわかる。したがって、実際の電圧測定電極7a,7bは、電流供給電極6a,6bを含め、周方向に所定ピッチで配置しておくことが好ましい。この場合、き裂4の周方向の広がり角の半分以下のピッチとすることが好ましい。
【0026】
ここで、具体的な検査結果について説明する。検査対象の配管溶接部は、外径42.7mm、肉厚4.9mm、長さ1000mmの配管1と、断面90mm×90mm、長さ28mmの正方形部材のソケット2とを隅肉溶接したものである。なお、溶接部3には、疲労のき裂4を模擬した放電加工スリットを形成した。また、電流供給源5は、出力電圧0〜20V、出力電流0〜10Aの直流電圧/電流発生器を用い、電流供給電極6a,6bは、導電性テープで固定した。さらに、電圧測定部8は、分解能10nVのデジタルマルチメータを用いた。電圧測定電極7a,7bは、直径1mmのタングステン棒2本を7mmの間隔で固定したものを用いている。また、電圧測定電極7aは、溶接部3の中央に配置し、電圧測定電極7bは、溶接部3の境界よりも2mm上部のソケット側面に配置した。なお、電位差の測定は、電流の正負を入れ替えて測定し、それぞれ得られた電位差の絶対値を平均し、熱起電力の影響を除去して測定した。
【0027】
この結果、図5に示すように、き裂4の深さに対応して電位差が増大する変化をしており、超音波探傷法やX線探傷法のように、規模が大きく複雑な構成としなくても、配管溶接部に生じるき裂の深さあるいはき裂の進展を容易かつ簡易に検査することができる。
【0028】
なお、図6に示すように、溶接部3の余盛形状の膨らみを異ならせ、その膨らみの大きさをA2>A1>A0とすると、余盛の膨らみが大きい溶接部3のき裂4ほど、電位差が小さくなる特性を有している(L2<L1<L0)。これは、余盛の膨らみが大きいと、その断面形状によって電流の流れる面積が増えてしまうからである。また、き裂深さが深い部分で電位差が揃ってくるのは、き裂が溶接部境界に沿って進展し、残存部が余盛の端となるため、余盛の断面形状の影響を受けずに、き裂以外の残存部の断面積が電位差の発生に対して支配的となるためである。
【0029】
この実施の形態1では、電圧測定電極7a,7bが、溶接部3とソケット2との境界を跨いで配置し、電圧測定電極7a,7bとの中心が、溶接部3とソケット2との境界よりも溶接部3側となるように配置しているので、簡易な構成で、き裂4の検出および検査を容易に行うことができる。また、常時設置することによって、常時モニタリングも可能となる。
【0030】
(実施の形態2)
この実施の形態2では、き裂深さの進展の常時モニタリングを精度高く行うことを可能としている。図7は、この発明の実施の形態2である配管溶接部のき裂検査装置の概要構成を示す模式図である。この実施の形態2では、実施の形態1の構成に、き裂深さ演算部12を有する制御部9、記憶部10、および表示部11をさらに設けている。
【0031】
記憶部10は、電位差とき裂深さとの関係を複数求め、さらに現在のき裂深さを超音波探傷法あるいはX線探傷法によって求め、該現在のき裂深さと現在のき裂に対する現在の電位差との交点を通る近似曲線である特性曲線を、図6に示すような電位差とき裂深さとの関係をもとに内挿法あるいは外挿法によって求め、該特性曲線を記憶する。
【0032】
き裂深さ演算部12は、検査対象のき裂に対する電位差を求め、記憶部10に記憶された特性曲線をもとに該電位差に対応するき裂深さを演算出力する。表示部11は、この演算出力した、き裂深さを表示出力する。なお、制御部9は、電圧測定部8、記憶部10、表示部11に接続され、それぞれを制御する。
【0033】
すなわち、図8に示すように、余盛によって異なる特性曲線L0,L1,L2などのき裂深さと電位差との関係を予め求めておき、余盛影響が未知である検査対象のき裂の深さを、超音波探傷法あるいはX線探傷法によって予め求めておき(たとえば、き裂深さ=1.2mm)、さらに検査対象の電位差を求めておく(たとえば、電位差22μV)。この結果、図8に示すように、き裂深さ=1.2mmと電位差22μVとの交点Pが得られ、この交点Pを通る特性曲線LXを、特性曲線L0〜L2を用いた内挿法によって演算し、この特性曲線LXを記憶部10に記憶しておく。その後、き裂深さ演算部12は、測定した電位差がたとえば26μVであると、特性曲線LXを用いてそのときのき裂深さは3mmであると推定することができる。これによって、余盛の断面形状に関係なく、検査対象に対する、き裂深さの常時モニタリングを制度高く行うことができる。
【0034】
ここで、図9に示したフローチャートを参照して制御部9によるき裂深さ演算処理手順について説明する。上述したように、まず、き裂深さと電位差との関係を複数取得する(ステップS101)。たとえば、この複数の関係は、余盛が異なる配管溶接部である。さらに、検査対象の配管溶接部の現在のき裂深さを超音波探傷法あるいはX線探傷法によって取得する(ステップS102)。その後、現在のき裂深さと、検査対象の現在の電位差との交点Pを通る特性曲線LXを内挿法あるいは外挿法によって取得し、この特性曲線LXを記憶部10に記憶する(ステップS103)。
【0035】
このステップS101〜S103の準備ステップの後、まず、き裂深さの測定を行うか否かを判断する(ステップS104)。このき裂深さの測定を行う場合のみ(ステップS104:Yes)、検査対象のき裂に対する電位差を測定し(ステップS105)、特性曲線LXをもとに、ステップS105で測定した電位差に対応するき裂深さを演算する(ステップS106)。その後、この演算したき裂深さを表示部11に表示出力し(ステップS107)、本処理を終了する。
【0036】
なお、上述した実施の形態1,2では、4端子法で測定を行っていたが、これに限らず、2端子法であってもよいし、図10に示すように、3以上の電圧測定電極がアレイ状に並んだ多端子法を用いてもよい。この多端子法では、電圧測定部8が隣接する電圧測定電極間の電位差V1〜V4を測定し、最も大きな電位差を測定結果として出力すればよい。
【0037】
また、上述した実施の形態1,2では、直流計測であったが、これに限らず、交流計測であってもよい。交流計測の場合、発熱を小さくすることができる。
【0038】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 配管
2 ソケット
3 溶接部
4 き裂
5 電流供給源
6a,6b 電流供給電極
7a,7b 電圧測定電極
8 電圧測定部
9 制御部
10 記憶部
11 表示部
12 き裂深さ演算部
A〜D 領域
L0〜L2,LX 特性曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の端部をソケットの凹部に当接させた状態で隅肉溶接した溶接部に生じるき裂を、電位差法を用いて検査する配管溶接部のき裂検査方法であって、
配管の長手方向に沿って複数の端子を前記溶接部と前記ソケットとの境界部分を跨ぐように配置して電位差を測定して前記き裂を検査することを特徴とする配管溶接部のき裂検査方法。
【請求項2】
前記複数の端子の中央は、前記境界部分よりも前記溶接部側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の配管溶接部のき裂検査方法。
【請求項3】
前記複数の端子は、前記配管の周方向に所定ピッチで配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の配管溶接部のき裂検査方法。
【請求項4】
き裂深さと前記複数の端子間の電位差との関係を複数求めておく第1測定ステップと、
現在のき裂深さを超音波探傷法あるいはX線探傷法によって求める第2測定ステップと、
前記第2測定ステップで求めた現在のき裂深さと現在のき裂に対する現在の電位差との交点を通る特性曲線を、前記第1測定ステップの関係をもとに内挿法あるいは外挿法によって求める特性曲線算定ステップと、
前記き裂に対する電位差を求め、前記特性曲線をもとに該電位差に対応するき裂深さを演算出力するき裂深さ演算ステップと、
を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の配管溶接部のき裂検査方法。
【請求項5】
配管の端部をソケットの凹部に当接させた状態で隅肉溶接した溶接部に生じるき裂を、電位差法を用いて検査する配管溶接部のき裂検査装置であって、
配管の長手方向に沿って複数の端子を前記溶接部と前記ソケットとの境界部分を跨ぐように配置して電位差を測定する測定部と、
前記測定部によって測定した電位差とき裂深さとの関係を複数求め、さらに現在のき裂深さを超音波探傷法あるいはX線探傷法によって求め、該現在のき裂深さと現在のき裂に対する現在の電位差との交点を通る特性曲線を、前記電位差と前記き裂深さとの関係をもとに内挿法あるいは外挿法によって求め、該特性曲線を記憶する記憶部と、
前記き裂に対する電位差を求め、前記特性曲線をもとに該電位差に対応するき裂深さを演算出力するき裂深さ演算部と、
を備えたことを特徴とする配管溶接部のき裂検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−112837(P2012−112837A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262750(P2010−262750)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年度春季講演大会講演概要集,発行日 平成22年5月25日
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】