説明

配線が分離しやすいようにバックプレーンを平行移動させることを具現化する方法及びシステム

【課題】空間に制約があるとじ込め構造において、系統分離を行うことができる電子機器の配線方法を提供する。
【解決手段】航空機内で電子機器を相互接続させる方法が記載されている。本方法は、航空機内に複数のコネクタ410が装着された多次元バックプレーン400を設置するステップであって、コネクタ410に付随する接点がバックプレーン400内に形成された導電体によって相互接続されるステップと、ドック配線をバックプレーン400のコネクタ410の第1部分に取り付け、電子機器の電気的コネクタをバックプレーンの対応するコネクタ410に取り付けるステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明の分野は概して、例えば電磁妨害の問題に対処するために複雑なシステムにおいて信号を分離させることに関し、さらに具体的には、配線を分離しやすいようにバックプレーンを平行移動させることを具現化する方法及びシステムに関するものである。
【0002】
例えば航空機内で見られるような非常に密集したエリアでは、物理的な配線の分離要件を満たすのは難しいことである。この物理的な配線分離の問題は、機器の配線インターフェース近くに物理的に位置する閉じ込め構造及び/又は機器のパッケージングによって悪化する。
【0003】
過去には、航空機内の配線を空間的に統合するためにWIP(配線統合パネル)及び/又は複雑な配線結束が使用されてきた。空間に制約があるとじ込め構造では、最小限の配線の分離を実現することが難しく、ある場合には全く実現できていなかった。最小限の配線の分離が実現できない空間では、上記空間は一般に機器の対象位置として使われている。
【0004】
容積が制約されるために配線統合パネルを追加する及び/又は対象機器の位置として使用することは望ましくない対処法であり、特に容積、重量、及び経費目標が特に問題となる新たな航空機の設計においてそうである。
【発明の概要】
【0005】
ある態様では、航空機内で電子機器を相互接続する方法が提供されている。本方法は、航空機内に多次元バックプレーンを設置することを含み、バックプレーンには複数のコネクタが装着されている。コネクタは、バックプレーン内に形成された一以上の導電体、光導波路、空気配管、及び/又は油圧パイプによって相互接続されている。ドック配線は、バックプレーンのコネクタの第1部分に取り付けられている。機器のコネクタは、バックプレーンの対応するコネクタに取り付けられている。
【0006】
別の態様では、複数の複合層と、導電体を含む複数のフレキシブル回路層を含む多次元バックプレーンが提供されており、フレキシブル回路層は複数の複合層と、バックプレーンに取り付けられた複数のコネクタの間に配置されている。コネクタは、導電体のうちの特定のものを係合する接点と、ドック配線に付随する嵌合コネクタに取り付けて使用可能なコネクタの第1部分と、船上に配備される電子機器に付随する嵌合コネクタに取り付けて使用可能なコネクタの第2部分を含む。
【0007】
さらに別の態様では、航空機の配線方法が提供される。本方法は、航空機の一以上の構造部材と壁によって画定される複数の容積に複数の機器を設置することと、複数の容積の少なくとも一部を横切って延び、且つ複数の機器をバックプレーンの第1の複数のコネクタに接続し、ドック配線をバックプレーンの第2の複数のコネクタに接続する複数のコネクタを含むバックプレーンを設置することを含む。
【0008】
さらに別の態様では、航空機の一以上の構造部材と壁によって画定される複数の容積と、複数の容積内に配置される複数の電子機器アイテムと、複数の内の一以上の容積内に配置されたバックプレーンを含む航空機が提供されている。バックプレーンは、航空機に設置された電子機器の電気的コネクタに付随する接点にドック配線を電気的に相互接続するように使用可能である。
【0009】
本発明の一態様は、航空機内で機器を相互接続させる方法に関するものである。本方法は、航空機200、300内に、複数のコネクタ380、410が装着された多次元バックプレーン320、400と、バックプレーン320、400内に形成され、且つドック配線340、342、344、346をバックプレーン320、400のコネクタ380、410の第1部分に取付け、機器のコネクタをバックプレーン320、400の対応するコネクタ380、410に取り付ける導電体、光導波路、空気配管、及び/又は油圧パイプのうちの一以上のものによって相互接続されたコネクタ380、410を設置することを含む。
【0010】
ある実施例において、航空機200、300内に多次元バックプレーン320、400を設置するステップは、航空機200、300に付随する複数のフレーム室304、306、308、310全域に多次元バックプレーン320、400を設置することを含む。
【0011】
ある変形例では、複数のフレーム室304、306、308、310全域に多次元バックプレーン320、400を設置するステップには、フレーム室304、306、308、310を分離する貫通フレーム350、352を介してバックプレーン(320、400)をルーティングすることと、フレーム室304、306、308、310を分離する波形フレーム周囲にバックプレーン320、400をルーティングすることのうちの少なくとも一つを含む。
【0012】
ある代替例では、航空機200、300内に多次元バックプレーン320、400を設置するステップは、複数の航空機の機器アイテムに付随する電子機器の配線インターフェース330を隣接するフレーム室304、306、308、310に平行移動させてドック配線340、342、344、346と接続させることを含む。
【0013】
別の実施例では、航空機200、300内に多次元バックプレーン320、400を設置するステップは、航空機200、300の外壁302の輪郭をたどるバックプレーン320、400を設置することを含む。
【0014】
別の変形例では、航空機200、300の外壁302の輪郭をたどるバックプレーン320、400を設置するステップは、航空機200、300の客室の後部から床360を通って貨物室370まで外壁302の輪郭をたどるバックプレーン320、400を設置することを含む。
【0015】
別の代替例では、航空機200、300内に多次元バックプレーン320、400を設置するステップは、電子機器のアイテム及びドック配線340、342、344、346のうちの少なくとも一つと、複数の電子機器アイテムとが系統分離されるようにバックプレーン320、400を設置することを含む。
【0016】
本発明の別の態様は、複数の複合層420と、導電体を含む複数のフレキシブル回路層430を含む多次元バックプレーン320、400に関するものであり、フレキシブル回路層430は複数の複合層420と、バックプレーン320、400に取り付けられた複数のコネクタ380、410の間に配置される。コネクタ380、410は、導電体のうちの特定のものを係合させる接点を含み、コネクタの第1部分はドック配線340、342、344、346に付随する嵌合コネクタに取り付けて使用可能であり、コネクタの第2部分は船上に配備される電子機器に付随する嵌合コネクタに取り付けて使用可能である。
【0017】
ある実施例では、複数の複合層420と複数のフレキシブル回路層430は三次元形状を有する。
【0018】
ある変形例では、バックプレーン320、400は航空機200、300に付随する複数のフレーム室304、306、308、310全域に設置される。
【0019】
ある代替例では、バックプレーン320、400は複数の航空機の機器アイテムに付随する電子機器の配線インターフェース330を隣接するフレーム室304、306、308、310に平行移動させて、ドック配線340、342、344、346と接続させる。
【0020】
別の実施例では、バックプレーン320、400は航空機200、300の外壁302の輪郭をたどる。
【0021】
別の変形例では、バックプレーン320、400は、航空機200、300の客室の後部から床360を通って貨物室370まで、航空機200、300の外壁302の輪郭をたどっている。
【0022】
別の代替例では、バックプレーン320、400は、バックプレーン320、400が配備される構造体の一以上の寸法と、構造体内に配備される機器の容積によって空間的に制約される一以上の容積内に設置される。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、航空機200、300の配線を行う方法に関するものである。本方法は、航空機200、300の一以上の構造部材及び壁によって画定される複数の容積内に複数の機器を設置し、複数の容積の少なくとも一部を横切って延び、且つ複数のコネクタ380、410を含むバックプレーン320、400を設置し、複数の機器をバックプレーン320、400の第1の複数のコネクタ380、410に接続し、ドック配線340、342、344、346をバックプレーン320、400の第2の複数のコネクタ380、410に接続することを含む。
【0024】
ある実施例では、バックプレーン320、400の設置には、複数の機器とドック配線340、342、344、346に付随する少なくとも2つの信号間の分離を実現するように使用可能なバックプレーン320、400を設置することが含まれる。
【0025】
ある変形例では、バックプレーン320、400の設置には、三次元形状に形成された複数の複合層420と、複数のフレキシブル回路層430を含むバックプレーン320、400を設置することが含まれる。
【0026】
本発明のさらに別の態様は、航空機の一以上の構造部材及び壁によって画定される複数の容積と、複数の容積内に配置される複数の電子機器アイテムと、複数の内の一以上の容積内に配置されたバックプレーン320、400を含む航空機200、300に関するものである。バックプレーン320、400はドック配線340、342、344、346を航空機に設置された電子機器の電気的コネクタに付随する接点と電気的に相互接続するように使用可能である。
【0027】
ある実施例では、バックプレーン320、400は複数の電子機器及びドック配線340、342、344、346に付随する少なくとも2つの信号間を分離させる。
【0028】
ある変形例では、バックプレーン320、400は航空機200、300の一以上の構造部材と壁302の輪郭をたどるように構成されている。
【0029】
上述の特徴、機能及び利点は、様々な実施形態において独立に実現することが可能であるか、さらに別の実施形態において組み合わせることが可能である。これらの実施形態について、以下の説明及び添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【図2】図2は航空機のブロック図である。
【図3】図3は航空機の外壁に沿って設置された機器の抽象的な図である。
【図4】図4は図3の機器の設置に用いることができる種類の三次元バックプレーンの図である。
【図5】図5は図4の三次元バックプレーンの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
様々な実施形態では、ビークルの配線とライン交換式の機器との間のインターフェースを簡略化するための二次元又は三次元構造を一般的に得るために、バックプレーンが用いられる。上記実施形態では、二次元又は三次元のバックプレーンを用いて、配線インターフェースをライン交換式の機器が設置されている空間的に制約されたエリアから、あまり混んでいない、ライン交換式の機器又は配線統合パネルをおそらく収容できないエリアへ平行移動させ、これにより航空機のドック配線等のビークル内の配線の統合をしやすくする。上記実施形態は、そうでなければ空間的な制約により機器の設置が不可能である、あるいは建造フローにおける労働時間を削減することが望ましいところにおいて特に有用である。機器の配線インターフェースがバックプレーンを介して機器及び/又は構造体から混んでいないエリアに平行移動する場合、配線の分離要件をより簡単に満たすことができる。
【0032】
ある実施形態では、本明細書に記載する方法、システム、及びコンピュータが読み取り可能な媒体の技術的効果は下記:
(a)航空機内に多次元バックプレーンを設置し、このバックプレーンには複数のコネクタが装着され、バックプレーン内に形成された導電体によって相互接続されたコネクタには接点が付随している、(b)ドック配線をバックプレーンのコネクタの第1部分に取り付ける、(c)電子機器の電気的コネクタをバックプレーンの対応するコネクタに取り付ける
の内の少なくとも一つを含む。ある実施形態では、本明細書に記載する方法、システム、及びコンピュータが読み取り可能な媒体の技術的効果は下記:
(a)航空機内に多次元バックプレーンを設置し、このバックプレーンには複数のコネクタが装着され、バックプレーン内に形成された導電体によって相互接続されたコネクタには接点が付随している、(b)ドック配線をバックプレーンのコネクタの第1部分に取り付ける、(c)電子機器の電気的コネクタをバックプレーンの対応するコネクタに取り付ける
の内の少なくとも一つを含む。
【0033】
本明細書において、「1つの」という語から始まる単数形の要素又はステップは、複数の要素又はステップを除外することが明示的に記載されていない限り、複数の要素又はステップを除外しないと理解すべきである。さらに、本発明の「一実施形態」又は「例示的実施形態」への言及は、記載されている特徴も取り込む他の実施形態の存在を除外するものではない。
【0034】
より具体的に図を参照するに、本発明の実施形態は、図1に示す航空機の製造及び保守方法100、及び図2に示す航空機200に照らし説明することができる。製造前の段階では、航空機の製造及び保守方法100は、航空機200の仕様及び設計102及び材料の調達104を含みうる。
【0035】
製造段階では、構成部品及びサブアセンブリの製造106と、航空機200のシステム統合108とが行われる。したがって、航空機200は運航112に供するために、認可及び納品110が行われる。顧客により運航される間に、航空機200は定期的な整備及び保守114(改造、再構成、改修なども含みうる)が予定されている。
【0036】
航空機の製造及び保守方法100の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレーター(例えば顧客)によって実施又は実行されうる。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機メーカー、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、例えば、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレーターは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0037】
図2に示されるように、航空機の製造及び保守方法100によって製造された航空機200は、複数のシステム204及び内装206を有する機体202を含みうる。システム204の例には、推進システム208、電気システム210、油圧システム212、及び環境システム214のうちの一又は複数が含まれる。この例には任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、本発明の原理は、自動車産業、及びその他の種類のビークルなどの他の産業にも適用しうる。
【0038】
本明細書で具現化した装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法100の一又は複数の段階で使用可能である。例えば、限定しないが、構造部品及びサブアセンブリの製造106に対応する構造部品又はサブアセンブリは、航空機200の運航中に製造される構造部品又はサブアセンブリと同様の方法で作製又は製造しうる。
【0039】
また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせは、例えば、限定しないが、航空機200の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機200のコストを削減することにより、構造部品及びサブアセンブリの製造106及びシステム統合108の段階で利用することができる。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせは、航空機200が運行中であっても、例えば、限定しないが、整備及び保守114が行われるまでは、システム統合108及び/又は整備及び保守114の段階で、部品が互いに結合されているか及び/又は一致しているかを判断するため、利用することができる。
【0040】
種々の有利な実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されているものであり、網羅的な説明であること、又は開示された形態に実施形態を限定することを意図していない。当業者には、多数の修正例及び変形例が明らかであろう。さらに、種々の有利な実施形態は、他の有利な実施形態とは異なる利点を提供することができる。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施形態の開示内容と、考慮される特定の用途に適した様々な修正との理解を促すために選択及び記述されている。
【0041】
図3は航空機300の外壁302に沿って、複数のフレーム室304、306、308及び310全域に設置された機器を抽象的に表した、航空機300の一部の図である。しばしば「アビオニクス」又は「ブラックボックス」と呼ばれる様々な航空機の機器(図3にLRM#1〜8で示す)は室306に設置され、その一方で多層バックプレーン320により、航空機の各機器に付随する機器配線インターフェース330が隣接するフレーム室304、308に平行移動されてドック配線340、342、344、346と接続する。本明細書で使用するように、ドック配線は航空機300内で機器を相互接続させるのに使用する導電体(例:電源導体、及び/又はシグナル伝達導体)、光導波路、空気配管、及び/又は油圧パイプのすべての集合体を指すものである。バックプレーン320はドック配線のいかなる組み合わせをも含みうる。
【0042】
様々な実施形態では、バックプレーン320はフレーム室304、306、308を分離する貫通フレーム350、352を介してか、又は波形フレームの周りを通ってかのいずれかによって、隣接する室まで平行移動することができる。追加の実施形態では、バックプレーン320は例えば、図3に示すように、頭上の荷物入れの後部から床360を通過して貨物室370まで、外壁302の輪郭をたどる。配線インターフェースを、隣接の使っていないフレーム室に平行移動させることによって、(図3において一部にのみ印がついている)コネクタ380は直ちに、ドック配線340、342、344、346と直接接続するのに必要な系統分離を行うことができる。同様の設置概念を、構造体及び/又は機器の容積によって空間的に制約される床ビーム及び/又はその他何らかの容積の間に設置される機器に応用可能である。例示の実施形態では、各コネクタ380は、それが結合するドック配線に対応するものである。例えば、コネクタ380は概して、バックプレーン320内の導電体から電力及び/又は信号を運ぶ一以上の導体を有する電気的コネクタを含むことができる。
【0043】
別の実施例として、図3に強制換気プレナム390を示す。例示の実施形態では、換気プレナム390はバックプレーン320内の空気配管と結合している。当業者によって認識されるように、記載される実施形態は、付随の冷却設備を通常有する従来の機器ラックの代わりとなるものを対象とする。記載した実施形態の一態様は、バックプレーン320を平行移動して、換気プレナム390又はその他の換気プレナム構成に適合させることができる。本明細書で使用するように、換気プレナム390は専用の「従来の」冷却プレナム及び/又は複合構造体内の人工孔隙の一体化を指すものであり、これはバックプレーン320全体に冷却媒体を流して、冷却空気を受けるべき様々な航空機の機器に冷却空気を届けることを可能にするものである。加えて、又はその代わりに、換気プレナム390と同様に、油圧油プレナム(図示せず)をバックプレーン320内の油圧パイプに結合させることができる。
【0044】
図3に、光コネクタ384も示す。例示の実施形態では、光コネクタ384はバックプレーン320内の一以上の光導波路(例:光ファイバ)に結合されている。さらに、ある実施形態では、光コネクタ384はバックプレーン320の(一又は複数の)光導波路によって伝達される信号を航空機の機器に付随する導電体によって伝達される電気信号に変換、また反対に航空機の機器に付随する導電体によって伝達される電気信号を光導波路によって伝達される信号に変換する光−電気変換器を含む。
【0045】
図4は、図3に関して説明したものと同様の用途に用いることができる三次元バックプレーン400の図である。図5は、バックプレーン400の分解図である。図示したように、バックプレーン400は付随する複数の接点を有する(図3に示すコネクタ380と同等の)複数のコネクタ410を組み込んでおり、複数の接点とバックプレーン400内の導電体との組み合わせにより、例えば、LRM#1〜8に同様の機器等の、航空機の一部分の内の様々な航空機の機器を相互接続させる。導電体及びコネクタを下に記載したが、記載したシステムは導電体、光導波路、空気配管、及び/又は油圧パイプ、及び対応するコネクタのすべての組み合わせを含むことができる。
【0046】
図5を見てみると、バックプレーン400は前述したコネクタ410と、複数の複合材料層420を含む。上記複合材料層420は、一以上のプリプレグ複合材料層、グラスファイバー層、又はハニカム複合層420を含む。バックプレーン400はさらに、複数のフレキシブル回路層420と、コネクタ410(及びコネクタ410に付随する接点)を装着し、電気接続部へのアクセスを提供する適切なビア440を含む。バックプレーン400の形成に型450を用いてもよい。航空機内に応用した時に、バックプレーンは一般に、配線インターフェースを空間的に制約されたエリアから、あまり混んでいないエリアへ平行移動させて、ドック配線とライン交換式の機器との間のインターフェースを簡略化し、航空機内の配線の統合をしやすくする二次元的な方法を提供する。
【0047】
現在用いられている配線統合パネルにより、配線の分離と、機器とドック配線との一体化を実現するためにマニュアルルーティング配線、追加コネクタ、及びワイヤ接合が使われる専用容積ができる。本明細書に記載する多次元バックプレーン320、400は、コネクタ、配線、及び接合部がもはや必要ない自動プロセスを介して、バックプレーン内の同じ機能を発揮する。例示の実施形態では、バックプレーン320は40層の電気的バックプレーン配電を含む。バックプレーンのルーティングにおいては、各コネクタのピン端子が航空機の一体化をしやすくするためにすでに構成されている。代替的には、バックプレーン320は本明細書に記載されているようにバックプレーン320を機能させることができるよう、任意の数の層を含んでいてもよい。
【0048】
バックプレーン320、400等の多次元バックプレーンにより、以前には航空機の配線一体化をサポートしなかったエリアに機器を配置することができる。航空機製造エンティティは、本明細書に記載した種類の一以上のバックプレーンを使用して、以前には使用しなかった空間に配線インターフェースを物理的に平行移動させることによって、より高いパッケージング密度を実現することができる。バックプレーン320、400により、配線統合パネルがもたらす重量、経費、及び追加の容積が削減されると同時に、複雑な配線結束及び配線パネルの建造に伴って繰り返しかかる労働時間も短縮される。配線統合パネルに付随する追加の配線の接合、コネクタ、及び配線セグメントを除去することにより、全体的なシステムの信頼性も上がる。
【0049】
本明細書に記載した実施形態は航空機に関して説明したが、実施形態は限定的なものとして解釈すべきでなく、実施形態を非限定的に、陸上ビークル、海上ビークル、宇宙ビークル及び配線を通して相互接続される複数の取り外し可能な構成部品を組み込むその他の複雑なシステムを含む航空機以外の用途に実装することが可能である。
【0050】
本明細書では、ベストモードを含む様々な実施形態を開示する実施例を使用しているため、当業者は任意の機器やシステムの作成ならびに使用、及び組込まれた任意の方法の実施を含め、実施形態を実行することができる。特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者であれば想起できる他の実施例を含みうる。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字言語から逸脱しない構造要素を有する場合、あるいは、それらが特許請求の範囲の文字言語との有意でない相違を有する等価な構造要素を含んでいる場合は、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0051】
100 航空機の製造及び保守方法
200 航空機
300 航空機
302 航空機の外壁
304 フレーム室
306 フレーム室
308 フレーム室
310 フレーム室
320 バックプレーン
330 配線インターフェース
340 ドック配線
342 ドック配線
344 ドック配線
346 ドック配線
350 貫通フレーム
352 貫通フレーム
360 床
370 貨物室
380 コネクタ
384 光コネクタ
390 強制換気プレナム
400 バックプレーン
410 コネクタ
420 複合材料層
430 フレキシブル回路層
440 ビア
450 型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機内の機器を相互接続させる方法であって、
航空機(200、300)内に、複数のコネクタ(380、410)が装着された多次元バックプレーン(320、400)を設置するステップであって、前記コネクタ(380、410)はバックプレーン(320、400)内に形成された導電体、光導波路、空気配管、及び油圧パイプのうちの一又は複数によって相互接続されるステップと、
ドック配線(340、342、344、346)をバックプレーン(320、400)のコネクタ(380、410)の第1部分に取り付けるステップと、
前記機器のコネクタを、前記バックプレーン(320、400)の対応するコネクタ(380、410)に取り付けるステップ
を含む方法。
【請求項2】
航空機(200、300)内に多次元バックプレーン(320、400)を設置するステップが、複数の航空機の機器アイテムに付随する電子機器の配線インターフェース(330)を隣接するフレーム室(304、306、308、310)に平行移動させて、ドック配線(340、342、344、346)と接続させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
航空機(200、300)内に多次元バックプレーン(320、400)を設置するステップが、航空機(200、300)の外壁(302)の輪郭をたどるバックプレーン(320、400)を設置することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
航空機(200、300)の外壁(302)の輪郭をたどるバックプレーン(320、400)を設置するステップが、航空機(200、300)の客室の後部から床(360)を通って貨物室(370)の中まで、外壁(302)の輪郭をたどるバックプレーン(320、400)を設置することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
航空機(200、300)内に多次元バックプレーン(320、400)を設置するステップが、電子機器のアイテム及びドック配線(340、342、344、346)のうちの少なくとも1つと、複数の電子機器アイテムとを系統分離させるバックプレーン(320、400)を設置することを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
多次元バックプレーン(320、400)であって、
複数の複合層(420)と、
導電体を備え、前記複数の複合層(420)の間に配置された複数のフレキシブル回路層(430)と、
前記バックプレーン(320、400)に取り付けられ、導電体のうちの特定の一つと係合する接点を含む複数のコネクタ(380、410)であって、第1部分はドック配線(340、342、344、346)に付随する嵌合コネクタに取り付けて使用可能であり、第2部分は船上に配備される電子機器に付随する嵌合コネクタに取り付けて使用可能である複数のコネクタ(380、410)と
を含む多次元バックプレーン(320、400)。
【請求項7】
前記複数の複合層(420)と、前記複数のフレキシブル回路層(430)は三次元形状を含む、請求項6に記載の多次元バックプレーン(320、400)。
【請求項8】
前記バックプレーン(320、400)は、航空機(200、300)に付随する複数のフレーム室(304、306、308、310)全域に設置される、請求項6又は7に記載の多次元バックプレーン(320、400)。
【請求項9】
前記バックプレーン(320、400)は、複数の航空機の機器アイテムに付随する電子機器の配線インターフェース(330)を隣接するフレーム室(304、306、308、310)の中へ平行移動させて、ドック配線(340、342、344、346)と接続させる、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の多次元バックプレーン(320、400)。
【請求項10】
前記バックプレーン(320、400)が、航空機(200、300)の外壁(302)の輪郭をたどる、請求項6乃至9のいずれか1項に記載の多次元バックプレーン(320、400)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−71731(P2013−71731A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−211618(P2012−211618)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】