説明

配線用床材の製造方法

【課題】工数を増やすことなく、又廃棄による無駄や環境負荷の増大を発生させることなく、繊維板を用いた配線用床材1を製造する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも裏面側が繊維板であり、ローラー3で圧着して形成する配線用床材1の製造方法であって、前記繊維板の裏面と接するローラー3の表面に凸部31を設け、圧着時には凸部31が前記繊維板の裏面を圧搾して機能部材を収容するための凹所2を形成する。裏面側の繊維板はパーティクルボード5である。又、配線用床材1を、裏面側のパーティクルボード5と表面側のMDF4とをローラー3で圧着して形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、床材の製造方法、特に、床下に電気配線や情報配線、床暖房用部材などの機能部材を収容するために、裏面に凹所を備える配線用床材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開平11−256803号公報(特許文献1)に示す配線用床材は知られている。配線用床材とは、床下に電気配線や情報配線、床暖房用部材といった機能部材を収容可能な床材である。この従来例は、図9に示すように、配線用床材1の裏面に、切削加工によって凹所2を形成している。凹所2に面状ヒーターを収納することにより、配線用床材1は、床下に床暖房用部材を収納した床暖房パネルとして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−256803号公報
【特許文献2】特許第3108587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこの場合、凹所2を形成するためには、切削加工が必要になるという問題があった。切削加工の工数が余分に必要となり、切削により廃棄される分の原料が無駄となる。又、切削加工により発生する廃棄物は、処理にコストがかかり、環境負荷を増大させる。
【0005】
ところで、従来、床材の原料としては合板が知られている。合板は原木丸太を剥いで形成した単板を積層して形成されるため、強度と寸法安定性があり、広く床材などの建築資材に用いられている。
【0006】
しかしながら、径の大きい原木丸太が入手困難であるため、合板の安定供給は困難になりつつある。原木丸太から合板を製造する歩留まりは、原木の径が大きいほど高いが、近年伐採が増加したため、植林による原木の増加が伐採による原木の減少に追いつかないためである。環境問題への意識の高まりとともに、森林伐採の規制が強化されて、原木を安定的に入手することは困難となっている。
【0007】
このため、最近では床材の原料として、MDFやパーティクルボードなどの繊維板が使用されている。
【0008】
MDFは中密度繊維板とも呼ばれ、木材繊維を成型した木質系の繊維板である。表面が平滑であることや、表面硬さを有することから、床材や家具の表面材として用いられる。表面が平滑であることは、MDFを床材として用いた場合に、表面に突板などの化粧板を貼付する用途にも適している。
【0009】
パーティクルボードは木材などの小片を成型熱圧した木質系の繊維板である。MDFのような表面平滑性はないものの、反りや割れに強く、同じ大きさの合板よりも価格面で有利である。
【0010】
又、床材の原料としては、森林伐採の削減を目的として、ケナフなどの非木材系繊維を用いた繊維板も注目されている。
【0011】
MDFやパーティクルボードといった繊維板の製造方法においては、従来、原料の圧着にプレスが用いられている。例えば、特許第3108587号公報(特許文献2)においては、図10のように、プレス101を用いて木質繊維を圧着し、MDF4を形成している。
【0012】
しかしながら、このようなプレス圧着においては、圧着工程において繊維板に加工を施すことが困難であった。プレスは原料に対して面全体で圧力をかけることから、原料の表面全体に均等な加圧が可能であるものの、一部分に集中させて高めた圧着の圧力を以って、面全体を加工することは困難であるという問題があった。
【0013】
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたもので、その課題は、工数を増やすことなく、又廃棄による無駄や環境負荷の増大を発生させることなく、繊維板を用いた配線用床材を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、少なくとも裏面側が繊維板であり、ローラーで圧着して形成する配線用床材の製造方法において、前記繊維板の裏面と接するローラーの表面に凸部を設け、圧着時には凸部が前記繊維板の裏面を圧搾して機能部材を収容するための凹所を形成する配線用床材の製造方法とした。
【0015】
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の配線用床材の製造方法において、裏面側の繊維板をパーティクルボードとしたことを特徴としている。
【0016】
又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項1記載の配線用床材の製造方法において、裏面側の繊維板がケナフ材であることを特徴としている。
【0017】
又、本願請求項4記載の発明では、上記請求項1記載の配線用床材の製造方法において、裏面側の繊維板と、表面側の繊維板とをローラーで圧着して形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本願請求項1記載の配線用床材の製造方法においては、ローラーによる圧着としたため、集中させて高めた圧力により圧着し、かつその高めた圧力を以って全体を加工することが可能である。このことは、剛性と柔軟性を備える繊維板に凹所を設ける場合に有利である。すなわち、繊維板に凹所を形成するには、繊維板の剛性による抵抗よりも大きな圧力を加える必要があるが、ローラーを用いることで圧力を高めることが可能となる。また、柔軟性のある繊維板は、ローラーによって凹所形成が可能であり、かつ部分的な加圧によって破壊されない。
【0019】
これに対し、プレス圧着はプレス面全体に圧力が分散するため、溶融したプラスティックのような流動質の原料をプレスして、その表面に凹所を設けることは可能であるものの、一部分に集中させて高めた圧着の圧力を以って、面全体を加工することは困難である。たとえプレス表面の一部分に凸部を設けたとしても、その凸部に限っては圧力が高められるが、その高めた圧力を以って、プレス表面の凸部以外の部分を加工するのは困難である。
【0020】
又、繊維板の裏面と接するローラーの表面に凸部を設けたことにより、圧着による配線用床材の形成と同時に凹所を形成可能となって、凹所形成に要する切削工数を削減した。切削に伴う廃棄が発生しなくなって、廃棄コストや環境負荷増大の発生を防いだ。
【0021】
又、本願請求項2記載の配線用床材の製造方法においては、特に、パーティクルボードを用いていることから、合板を使用した場合と比較して安定供給が可能であり、価格面で有利となった。
【0022】
又、本願請求項3記載の配線用床材の製造方法においては、特に、ケナフ材を用いていることから、森林伐採の抑制が可能となり、環境負荷を軽減した。
【0023】
又、本願請求項4記載の配線用床材の製造方法においては、特に、圧着時に凸部の圧搾によって裏面側の繊維板と表面側の繊維板との接着面に凹凸が生じれば、プレス圧着などによって形成される凹凸のない接着面と比較して、接着面の面積が増加することや、凹凸が接着面における横ずれを防ぐことにより、接着が安定して有利である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願発明の第一の実施形態である配線用床材の製造方法を側面から示す模式図。
【図2】同製造方法によって得られる配線用床材の構造を示す分解図。
【図3】同製造方法に関する(a)(b)は得られる配線用床材を示す(a)はローラーによる圧着の進行方向X前方から見た正面図、(b)は床下を示す下面図。
【図4】同製造方法に関する(a)(b)(c)は使用されるローラーを示す(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図。
【図5】同製造方法に関する(a)(b)(c)(d)は各々、ローラーの変更によって得られる別の配線用床材とその製造に用いるローラーとの組み合わせを示す正面図。
【図6】同製造方法に関する(a)(b)はローラーの変更によって得られる別の配線用床材を示す(a)は正面図、(b)は床下を示す下面図。
【図7】同製造方法に関する(a)(b)は使用されるローラーを示す(a)は正面図、(b)は側面図。
【図8】本願発明の第二の実施形態である配線用床材の製造方法を側面から示す模式図。
【図9】従来例である配線用床材の構造を側面から示す断面図。
【図10】別の従来例であるMDFの製造方法を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜7は、本願請求項1、2及び4に対応した第一の実施形態である配線用床材の製造方法を示している。この配線用床材の製造方法は、図1に示すように、裏面側が繊維板であり、ローラー3で圧着して形成する配線用床材1の製造方法であって、前記繊維板の裏面と接するローラー3の表面に凸部31を設け、圧着時には凸部31が前記繊維板の裏面を圧搾して機能部材(図示せず)を収容するための凹所2を形成する。裏面側の繊維板はパーティクルボード5である。
【0026】
又、本実施形態の製造方法においては、配線用床材1を、裏面側の繊維板であるパーティクルボード5と表面側の繊維板であるMDF4とをローラー3で圧着して形成する。
【0027】
以下、この実施形態の配線用床材の製造方法を、より具体的詳細に説明する。図1に示すように、この実施形態の製造方法にあっては、配線用床材1を、裏面側の繊維板であるパーティクルボード5と表面側の繊維板であるMDF4とを、防湿材6を介して圧着することにより形成する。配線用床材1は、表面側と裏面側からローラー3で挟持され、回転するローラー3により進行方向Xの向きに移動しながら圧着される。この圧着時に、図1下方に示すローラー3表面に設けられた凸部31が、配線用床材1の裏面を圧搾して凹所2を形成する。
【0028】
図2に示すように、本実施形態の製造方法にあっては、配線用床材1の防湿材6両面に接着剤7を塗布して、MDF4とパーティクルボード5とを防湿材6を介して積層一体化するので、MDF4とパーティクルボード5間の水分や汚れなどの移動、拡散を防ぎ、寸法が安定し、対汚染性に優れる配線用床材1が得られる。
【0029】
図3において、本実施形態の製造方法によって得られる配線用床材1を示し、図4において、製造に用いられるローラー3を示す。図3(a)(b)に示すように、配線用床材1を進行方向X前方から見て、前面11下方に形成された凹所2は、断面形状が略三角形の溝である。配線用床材1の裏面側には3本の凹所2が形成される。凹所2は、互いに離れて等間隔に形成されており、又凹所2は配線用床材1の図面向かって側面から離れて形成される。凹所2は配線用床材1の裏面に、配線用床材1の進行方向Xより見た前面11から、進行方向Xより見た後面12まで途切れることなく、溝状に形成される。
【0030】
凹所2を形成するために配線用床材1裏面と接するローラー3は、図4(a)〜(c)に示すように、略円柱形状であり、表面には、正面から見た断面が略三角形である凸部31を備えている。凹所2が3本等間隔に形成されるように、凸部31を等間隔に3箇所設けている。凸部31は、ローラー3の回転軸33から等距離となるように、ローラー3表面に沿って設けられている。凸部31の、回転軸33から最も遠い先端である頂上32は、溝状である凹所2の溝底21を形成する。
【0031】
従って、この実施形態の配線用床材1の製造方法においては、ローラー3による圧着としたため、集中させて高めた圧力により圧着し、かつその高めた圧力を以って全体を加工することが可能である。このことは、剛性と柔軟性を備える繊維板に凹所2を設ける場合に有利である。すなわち、繊維板に凹所2を形成するには、繊維板の剛性による抵抗よりも大きな圧力を加える必要があるが、ローラー3を用いることで圧力を高めることが可能となる。また、柔軟性のある繊維板は、ローラー3によって凹所2形成が可能であり、かつ部分的な加圧によって破壊されない。
【0032】
これに対し、プレス圧着はプレス面全体に圧力が分散するため、溶融したプラスティックのような流動質の原料をプレスして、その表面に凹所を設けることは可能であるものの、一部分に集中させて高めた圧着の圧力を以って、面全体を加工することは困難である。たとえプレス表面の一部分に凸部を設けたとしても、その凸部に限っては圧力が高められるが、その高めた圧力を以って、プレス表面の凸部以外の部分を加工するのは困難である。
【0033】
又、繊維板の裏面と接するローラー3の表面に凸部31を設けたことにより、圧着による配線用床材1の形成と同時に凹所2を形成可能となって、凹所2形成に要する切削工数を削減した。又、切削に伴う廃棄が発生しなくなって、廃棄コストや環境負荷増大の発生を防いだ。
【0034】
圧着時に凹所2を形成することは、複数部材を組み合わせて凹所2を形成した場合と比較しても、部材点数が増加しないことや、部材を組み合わせる工数を要しない点で有利である。
【0035】
凹所2の形状変更はローラー3の変更だけで可能であるため、製造時に配線用床材1の凹所2形状を変更することが容易となった。
【0036】
裏面側を繊維板としていることから、合板を使用した場合と比較して、環境への負荷を軽減している。繊維板としてパーティクルボード5を用いていることから、合板を使用した場合と比較して安定供給が可能であり、価格面で有利となった。
【0037】
圧着時に凸部31の圧搾によって裏面側の繊維板であるパーティクルボード5と表面側の繊維板であるMDF4との接着面に凹凸が生じれば、プレス圧着などによって形成される凹凸のない接着面と比較して、接着面の面積が増加することや、凹凸が接着面における横ずれを防ぐことにより、接着が安定して有利である。
【0038】
MDF4とパーティクルボード5とを積層一体化したことにより、湿度の変化に対して寸法安定性があり、強度的に安定であり、かつ表面側においては平滑性や硬さを有する、MDF4とパーティクルボード5の長所を生かした配線用床材1を得られる。
【0039】
ローラーによる圧着としたことにより、配線用床材1の原料となる繊維板の寸法は製造する配線用床材1と同じには限定されず、長尺板を用いてもよい。長尺板を用いた場合には、ローラーにより圧着した板材を、製造する配線用床材1の寸法に合わせて切断する。
【0040】
又、この実施形態においては特に、凸部31の正面断面形状が略三角形であることから、圧着時の圧力が凸部31の頂上32に集中しやすく、凹所2の形成を容易にしている。
【0041】
このような実施形態である配線用床材の製造方法においては、ローラーの変更によって凹所形状の変更が可能である。すなわち、図3に示されるような凹所2の形状及び図4に示すローラー3の形状であってもよいが、図5〜図7に示すような形状であってもよい。
【0042】
図5(a)〜(d)には、それぞれ、凹所2の形状及び対応するローラー3の形状を示している。図5(a)においては、ローラー3表面の凸部31は、正面断面の形状が略三角形であり、連続するように並んで形成される。これにより、配線用床材1の裏面に形成される凹所2も、正面断面形状が略三角形である溝となって並んで形成される。この場合、配線用床材1は、裏面側において地面と接触する面積が小さくなり、パーティクルボード5が地面からの水分を吸収しにくくなって、寸法安定性が増す。
【0043】
図5(b)においては、ローラー3表面の凸部31は正面断面形状が略長方形である。これにより凹所2の正面断面形状も略長方形となる。凸部31を単純な形状としたことにより、ローラー3を得るための加工が容易となり、配線用床材1の製造が容易となる。
【0044】
又、図5(c)に示すように、凸部31の正面断面形状を略台形として凹所2の断面形状を略台形とすることも可能である。この場合、凸部31の正面断面形状が略三角形の場合と同様に、圧着時の圧力を集中することで凹所2を形成しやすくすると共に、圧力が一点に集中して配線用床材1に割れが生じることを防ぐ。
【0045】
図5(d)に示すようにローラー3表面を滑らかな波形状に加工して、角のない凸部31を設けた場合には、波形状の凹所2が得られて、アーチ構造により配線用床材1の剛性が増す。又、圧着時に圧力が角に集中しなくなり、割れが生じやすい原料に対しても凹所2の形成が可能となる。
【0046】
又、この実施形態においては、図6及び図7に示すように、ローラー3を変更することによって、床暖房パネルとして用いられる配線用床材1を製造することも可能である。この実施形態により得られる配線用床材1は、図6(a)に示すように、表面側のMDF4と、裏面側のパーティクルボード5とが防湿材6を介して圧着され積層一体化している。パーティクルボード5には機能部材である床暖房用の平面状ヒーター(図示せず)を収容する凹所2が形成されている。進行方向Xから見て前面11である配線用床材1正面の中央下部には、凹所2に収容した床暖房用部材から電源ケーブルを導出するためのケーブル導出部22を備えている。
【0047】
図6(b)に示すように、凹所2は、床下に平面状ヒーターを収容可能な略直方体形状の空間である。配線用床材1を床下方向から見た場合、凹所2は配線用床材1の裏面に凸設される周縁部13に周囲を囲まれて略長方形の形状である。但し、周縁部13は進行方向Xから見て前面11側の中央に切欠を有するため、床下からみた凹所2の形状は一部が図面下方に突出した長方形となっている。この切欠部分はケーブル導出部22であり、凹所2に収容した平面状ヒーターの電源ケーブルは、ケーブル導出部22より床暖房パネルの外へ出される。
【0048】
図7(a)(b)に、床暖房パネルとして用いられる配線用床材1の製造に用いるローラー3と凸部31を示す。ローラー3表面には、凹所2の形状に対応する形状の凸部31が、ローラー3の円周に沿って設けられている。
【0049】
すなわち、凹所2と凸部31との形状対応を詳細に述べるならば、図6(b)に示す凹所2前面側の辺2aは、図7(a)に示す凸部31の辺31aによって形成される。同様に辺2bは辺31bによって、辺2cは辺31cによって形成される。凸部3の辺31a及び31bは、ローラー3の回転軸33に平行である。辺31cはローラー3の回転軸33と直交する。
【0050】
図7(a)において、辺31aの中央から辺31bに向かう方向へ、辺31aと辺31bとの中間に至るまで、ローラー3円周に沿ってケーブル導出部用凸部311が突設されている。圧着時にはケーブル導出部用凸部311によってケーブル導出部22が形成される。
【0051】
ケーブル導出部用凸部311は辺31a中央から、辺31aと辺31bとの中間まで至る。すなわちケーブル導出部22は、配線用床材1裏面の四方に突設された周縁部13の内、配線用床材1の前面11側に設けられる。これにより、配線用床材1の材料に長尺の繊維板を用いた場合であっても、配線用床材1を得るための切断位置を、繊維板に連続して形成される凹所2の内、隣り合う凹所2の2aと2bとの中間として、ケーブル導出部22の端を切断面と同じにすれば、この切断以外の加工の必要なく配線用床材1が得られる。繊維板の寸法を、製造する配線用床材1に合わせた場合にあっても、ケーブル導出部用凸部311の端部を繊維板の端部に合わせることでローラー3の位置合わせが可能となり、配線用床材1の製造が容易となる。
【0052】
図7(b)に示すように、ローラー3の側方には辺31cがある。辺31aから辺31bへ向かう方向へ、ローラー3表面に沿ってケーブル導出用凸部311が突設されている。
【0053】
このように、ローラー3表面の凸部31を変更することにより、さまざまな機能を有する配線用床材1が得られる。
【0054】
その他、凸部31はローラー3の表面に対し、回転方向と同じ向きに設ける必要はなく、回転方向に対して直交するように設けても良い。この場合、凹所2は配線用床材1の進行方向Xに対して直交する向きに形成される。凸部31がローラー3の回転方向に対して斜めに設けた場合には、凹所2は配線用床材1の進行方向Xに対して斜めに形成される。これらの場合、床下に機能性部材を収容する際の自由度が増す。
【0055】
図8は、本願請求項1、3、4に対応した第二の実施形態である配線用床材1の製造方法を示している。なお、ここでは、上記第一の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果など)については、上記第一の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この実施形態の製造方法においては、圧着時に凹所2が形成される裏面側の繊維板がケナフ材8である。
【0056】
この製造方法で得られる配線用床材1は、裏面側の繊維板であるケナフ材8と、表面側のパーティクルボード5とを二つのローラー3で挟持して圧着する。図8上方に示すローラー3の表面には凸部31が設けられており、圧着時に配線用床板1裏面側のケナフ材8に凹所2を形成する。ケナフ材8はケナフ繊維を絡ませたケナフ繊維マットに、熱硬化性樹脂を含ませたものを、熱圧によって圧着、固化して得られる。
【0057】
したがって、この実施形態の配線用床材1の製造方法においては、ケナフ材8を用いていることから、森林伐採の抑制が可能となり、環境負荷を軽減した。
【0058】
その他、本願発明の実施形態は上記に限定されない。例えば、配線用床材は複数の板材よりなる複合板に限定されず、パーティクルボードやMDF、ケナフ材などの単板でもよい。この場合、繊維板の原料である木質繊維や木片などをローラーで圧着し、裏面と接するローラーの表面に凸部を設けることにより、配線用床材の裏面に凹所を形成する。
【符号の説明】
【0059】
1 配線用床材
11 前面
12 後面
13 周縁部
2 凹所
21 溝底
22 ケーブル導出部
3 ローラー
31 凸部
311 ケーブル導出部用凸部
32 頂上
33 回転軸
4 MDF
5 パーティクルボード
6 防湿材
7 接着剤
8 ケナフ材
101 プレス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも裏面側が繊維板であり、ローラーで圧着して形成する配線用床材の製造方法において、前記繊維板の裏面と接するローラーの表面に凸部を設け、圧着時には凸部が前記繊維板の裏面を圧搾して機能部材を収容するための凹所を形成する配線用床材の製造方法。
【請求項2】
裏面側の繊維板がパーティクルボードである請求項1記載の配線用床材の製造方法。
【請求項3】
裏面側の繊維板がケナフ材である請求項1記載の配線用床材の製造方法。
【請求項4】
裏面側の繊維板と、表面側の繊維板とをローラーで圧着して形成する請求項1記載の配線用床材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−106197(P2011−106197A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263894(P2009−263894)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】