説明

配電機器ブッシングの製造方法及び配電機器ブッシング製造装置

【課題】 碍管内の仕切壁部にある連通孔のシールが十分であることを保証できる配電機器ブッシングの製造方法を提供する。
【解決手段】 パッキン圧縮治具57を回して電線接続具3を碍管1と一緒に上昇させる。碍管1が待機中の碍管押え部75に当たった後、さらにパッキン圧縮治具57を回して環状パッキン33を圧縮する。この圧縮の過程を荷重測定器87で測定し、測定した測定値が所定値に達した段階でパッキン圧縮治具57の回転を停止する。次に碍管押え部75で碍管1を押し下げて、碍管1の仕切壁部13で環状パッキン33を圧縮する。碍管押下げ機構77による碍管1の押し下げ量が所定量下がるかまたは環状パッキン33の圧縮荷重が規定値に達するかのいずれか一方または双方が満足された段階で、環状パッキン33の圧縮を停止する。環状パッキン33の圧縮荷重が規定値になると、ナット締め治具59を回転工具で回して所定のトルクでナット35を締める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に柱上変圧器のように、内部に油等を充填する配電機器に用いる配電機器ブッシングの製造方法及び該配電機器ブッシングを製造する配電機器ブッシング製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実公平7−43871号公報(特許文献1)の第1図乃至第3図には、碍管と該碍管内に配置される電線接続具とを有する配電機器ブッシングが示されている。碍管は、両端側にそれぞれ開口する第1及び第2の凹部と、第1及び第2の凹部との間を仕切る仕切壁部とを備えており、仕切壁部には、第1及び第2の凹部と連通する連通孔が形成されている。また、電線接続具は、第1の凹部内に収容される第1の接続部と、第2の凹部内に収容される第2の接続部と、連通孔を貫通する連結導体部とを有している。そして、第1の接続部に配電機器における外部電線が電気的に接続され、第2の接続部に配電機器における内部電線が電気的に接続されている。このブッシングでは、碍管の壁部に形成した外部電線挿入孔から電線接続具が延びる方向と直交する方向に外部電線を碍管の第1の凹部内に挿入している。そして、外部電線の芯線を第1の接続部の2つの分割具の間に挟み、ボルトを用いて2つの分割具を締め付けて第1の接続部と外部電線との電気的接続を図っている。また、第1の凹部の開口部は、碍管キャップを用いて塞いでいる。第1の凹部の開口部と碍管キャップとの間のシールドは、両者に設けた絶縁リングを接合させることにより図っている。
【0003】
しかしながら、このような従来の配電機器ブッシングでは、ブッシング内部の液密性を高めるために、多くの部品を必要として、組み立てに面倒な作業が必要になる。また、外部電線の芯線を第1の接続部の2つの分割具の間に挟むだけなので、第1の接続部と外部電線との接続強度を高めるのに限界がある。なお、第1の凹部または第2の凹部内にエポキシ樹脂等を充填して、ブッシング内部の液密性を高めることも考えられる。しかしながらエポキシ樹脂等を充填する場合には、樹脂の充填工程と硬化工程とが必要になる上、碍管の再利用を図れなくなる問題が生じる。
【0004】
そこで特許出願人は、先に図1乃至図3に示す配電機器ブッシングを提案した(特願2004−347167号)。
【0005】
この配電機器ブッシングは、下記のような構成になっている。図1は、柱上変圧器からなる配電機器に用いるこの配電機器ブッシングの第1の実施の形態の縦断面図であり、図2は図1の部分拡大図、図3は弾性ブッシュの縦断面図である。図示のように、この実施の形態の配電機器ブッシングは、碍管1と該碍管1内に配置される電線接続具3及び弾性ブッシュ5とを具備している。碍管1は、管本体7と該管本体7の外側に設けられた筒状壁部9とを有している。筒状壁部9は管本体7との間に環状の溝11が形成されるように一端に環状壁部9aを備えている。筒状壁部9は、この環状壁部9aを介して管本体7と一体に結合されている。本例のブッシングは、環状壁部9aが柱上変圧器(配電機器)のケースの外壁面に接触した状態で筒状壁部9が配電機器の外側に位置するように(環状の溝11が外側に向かって開口するように)、管本体7が配電機器の外壁部の貫通孔を貫通した状態で配電機器に取り付けられる。
【0006】
管本体7は、中心線C1に沿って延びる円筒形に近い形状を有しており、長手方向1/3の位置には仕切壁部13が形成されている。この仕切壁部13により仕切られて、管本体7内には、配電機器外側に向かって開口する開口部を有する第1の凹部15と配電機器内部に向かって開口する開口部を有する第2の凹部17とが形成されることになる。仕切壁部13には、第1の凹部15と第2の凹部17とを連通する連通孔13aが形成されている。この連通孔13aには、電線接続具3の一部が貫通した状態で配置されている。
【0007】
電線接続具3は、黄銅製の細長いロッド形状を有しており、第1の凹部15内に収容される第1の接続部19と、第2の凹部17内に収容される第2の接続部21と、第1の接続部19と第2の接続部21とを連結し且つ連通孔13aを貫通する連結導体部23とを有している。第1の接続部19は、端部に係合部25を有している。係合部25は、切頭円錐形を有しており、第1の凹部15の開口部から仕切壁部13に向かうにしたがって横断面積が大きくなる形状を有している。言い換えると、係合部25は、連結導体部23の外周に沿って連続的に延び且つ仕切壁部13に沿って延びる環状の第1の係合面25aを有している。また、係合部25は、第1の凹部15の開口部から仕切壁部13に向かうにしたがって中心線C1から離れるように傾斜する(第1の凹部15の内面1aと所定の角度を有して対向する)切頭円錐面形状の傾斜面からなる第2の係合面25bを有している。また、第1の接続部19の内部には、第1の凹部15の開口部側に開口して、係合部25が位置する部分を超えて長手方向に延びる細長い孔部19aが形成されている。この孔部19a内には、配電機器における外部電線27の芯線27aが挿入されている。そして、係合部25よりも仕切壁部13側に位置する第1の接続部19の円筒部分が径方向外側からかしめられて芯線27aが第1の接続部19に圧縮されている。これにより、第1の接続部19に外部電線27が電気的に接続されている。
【0008】
第2の接続部21の内部には、第2の凹部17の開口部側に開口して、長手方向に延びる細長い孔部21aが形成されている。孔部21a内には、配電機器における内部電線29の芯線29aが挿入されている。そして、第2の接続部21が径方向外側からかしめられて芯線29aが第2の接続部21に圧縮されている。これにより、第2の接続部21に内部電線29が電気的に接続されている。
【0009】
連結導体部23には、係合部25よりも仕切壁部13側の位置に円環状のフランジ部31が一体に設けられている。フランジ部31と仕切壁部13との間には、連結導体部23の外周面を囲むように配置された環状パッキン33が圧縮された状態で配置されている。また、連結導体部23の第2の凹部17内に位置する部分には、雄ネジ部23aが形成されている。この雄ネジ部23aにナット35が螺合されて、フランジ部31とナット35の間に仕切壁部13を挟むようにして、電線接続具3が碍管1に対して取り付けられる。本例では、ナット35と仕切壁部13との局所的な圧力を緩和し、雄ネジ部23aとナット35との間の螺合による結合力を高めるために、仕切壁部13とナット35との間には、絶縁座53、座金39及びバネ座金37が配置されている。また、第2の凹部17内において電線接続具3が外側に露出する部分と内部電線29の一部とに跨って、クラフトペーパーからなる絶縁チューブ55が電線接続具3及び内部電線29の周囲を囲むように配置されている。
【0010】
弾性ブッシュ5は、合成ゴム等の弾性材料から一体に形成されて、第1の凹部15内に挿入されている。図3に示すように、第1の凹部15内に挿入される前の弾性ブッシュ5は、本体部45と膨出部分47とを一体に有している。本体部45は、第1の凹部15内に挿入される円柱状部分45aと、弾性ブッシュ5が第1の凹部15内に挿入された状態で第1の凹部15の開口部から尖った状態で突出する切頭円錐部分45bとを有している。また、本体部45には、弾性ブッシュ5の中心部を貫通する貫通孔49が形成されている。貫通孔49内には、電線接続具3の第1の接続部19と外部電線27との接続部分が配置されている。これにより、弾性ブッシュ5は、電線接続具3の第1の接続部19と外部電線27との接続部分を包囲した状態で、第1の凹部15内に挿入される。貫通孔49の途中には、電線接続具3の係合部25が入る拡大部分49aが形成されている。拡大部分49aは、係合部25の切頭円錐形に合った形状を有している。弾性ブッシュ5の拡大部分49a内に露出する部分には、電線接続具3の係合部25の第1の係合面25aと係合する環状の第1の被係合面45cと、電線接続具3の係合部25の第2の係合面25bと係合する錐形の第2の被係合面45dとが形成されている。第1の凹部15内に挿入される前の弾性ブッシュ5の第1の被係合面45cと底面5aとの間の距離L1は、電線接続具3の第1の係合面25aとフランジ部31の当接面31aとの間の距離L2(図2)より大きく設定されている。このため、電線接続具3の第1の接続部19と外部電線27との接続部分に弾性ブッシュ5を包囲するだけで、電線接続具3の第1の係合面25aと弾性ブッシュ5の第1の被係合面45cとの間に第2の液密シールを形成することができ、フランジ部31の当接面31aと弾性ブッシュ5の底面5aとの間に第4の液密シールを形成することができる。
【0011】
図3に示すように、膨出部分47は、円柱状部分45aの周囲を囲む形状を有しており、円柱状部分45aと一体に形成されている。そして膨出部分47の最も直径寸法が大きくなる部分は、第1の凹部15内に挿入される前には、第1の凹部15の内径寸法よりも大きい外径寸法を有している。本例では、膨出部分47の最も直径寸法が大きくなる部分が第1の凹部15内に位置するように弾性ブッシュ5は第1の凹部15内に挿入されている。この膨出部分47は、弾性ブッシュ5の底面5aから切頭円錐部分45bに向かうにしたがって外径寸法が大きくなり、途中部分から切頭円錐部分45bの表面と連続するように外径寸法が小さくなる。このため、膨出部分47は、弾性ブッシュ5の底面5aから切頭円錐部分45bに向かうにしたがって碍管1の中心線C1から離れるように傾斜する第1の切頭円錐面状の側面47aと、途中部分から碍管1の中心線C1に近づくように傾斜する第2の切頭円錐面状の側面47bとを有している。図2に示すように、本例では、弾性ブッシュ5は、膨出部分47の側面47a,47bが碍管1の第1の凹部15内に露出する内面1aと当接し、底面5aが電線接続具3のフランジ部31の当接面31aと当接するように、第1の凹部15内に圧入されている。そして、弾性ブッシュ5が第1の凹部15内に挿入された状態で膨出部分47を構成する材料が円柱状部分45a側に移動することにより、弾性ブッシュ5が圧縮変形されて、図2の矢印P1に示すように、膨出部分47の側面47a,47bから碍管1の内面1aに圧力が加わって、側面(弾性ブッシュ5の外面の一部)47a,47bと第1の凹部15の内面1aとの間に第1の液密シールが形成される。また、前述したように、電線接続具3の雄ネジ部23aにナット35が螺合されて、電線接続具3が第1の凹部15側から第2の凹部17側へと移動することにより、図2の矢印P2に示すように、弾性ブッシュ5の第1の被係合面45cから電線接続具3の係合部25の第1の係合面25aに圧力が加わって、第1の係合面25aと第1の被係合面45cとの間に第2の液密シールが形成される。また、矢印P3に示すように、弾性ブッシュ5の第2の被係合面45dから電線接続具3の係合部25の第2の係合面25bに圧力が加わって、第2の係合面25bと第2の被係合面45dとの間に第3の液密シールが形成される。
【0012】
本例の配電機器ブッシングでは、弾性ブッシュ5による電線接続具3の包囲と、弾性ブッシュ5の圧縮変形との両方により第2の液密シールが形成されるので、第2の液密シールのシール性は特に高くなっている。
【0013】
この配電機器ブッシングによれば、電線接続具3を第1の凹部15側から第2の凹部17側へと移動させて弾性ブッシュ5を第1の凹部15内に圧入するという単純な作業により、弾性ブッシュ5と碍管1との間の液密性と、電線接続具3と弾性ブッシュ5との間の液密性とを高めることができる。その結果、少ない部品点数でブッシング内部の液密性を容易に高めることができる。
【0014】
また、電線接続具3の第1の接続部19と外部電線27とを予め、かしめ等の工程により接続しておけば、第1の接続部19と外部電線27との接続強度を十分に高めることができる。
【0015】
更に、この配電機器ブッシングは、第1の凹部15または第2の凹部17内にエポキシ樹脂等を充填しなくても高い液密性を得ることができるため、エポキシ樹脂等を充填しない場合には、碍管の再利用を図ることができる。
【特許文献1】実公平7−43871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、本出願人が提案した配電機器ブッシングでは、碍管1内で電線接続具3の連通導体部23に通された環状パッキン33は、その一方の面が電線接続具3のフランジ部31の他方の面に当接され、該環状パッキン33の他方の面が碍管1内の仕切壁部13の一方の面に当接されて、該仕切壁部13の他方の面側で連通導体部23の雄ネジ部23aに螺合されたナット35の締め付けで圧縮されているので、環状パッキン33の圧縮状態が所定の状態になっていて、仕切壁部13の連通孔13aの環状パッキン33によるシールが十分な状態になっているか否かの判定ができず、配電機器ブッシングの信頼性に不安が残る問題点があった。
【0017】
本発明の目的は、碍管内の仕切壁部に設けられた連通孔の環状パッキンによるシールが十分に行われていることを保証できる配電機器ブッシングの製造方法及びこの方法の実施に使用する配電機器ブッシング製造装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、前処理組立品を、その弾性ブッシュの一部を碍管受け部内に嵌合した縦向きの状態で、該碍管受け部をフレーム構造体の水平フレーム部の下に移動できる配電機器ブッシング製造装置を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、碍管押下げ機構の碍管押え部の昇降をネジのピッチを利用して正確に行える配電機器ブッシング製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明で製造の対象としている配電機器ブッシングは、次のような構造となっている。即ち、この配電機器ブッシングは、一方の端面に開口する開口部を有する第1の凹部と一方の端面とは反対側に位置する他方の端面に開口する開口部を有する第2の凹部とを有し、第1の凹部と第2の凹部との間に仕切壁部を備え、仕切壁部に第1の凹部と第2の凹部とを連通する連通孔が形成されている碍管を有する。また、第1の凹部内に収容される第1の接続部と、第2の凹部内に収容される第2の接続部と、第1の接続部と第2の接続部とを連結し且つ連通孔を貫通する連結導体部と、第1の接続部と連結導体部との境界部に設けられたフランジ部と、第1の接続部の端部に外周に膨出させて設けられた係合部と、第2の接続部に隣接する連結導体部の外周に設けられた雄ネジ部とを有する電線接続具を有する。さらに、弾性材料によって形成されて係合部を含めて第1の接続部の外周に圧入される弾性ブッシュを有する。第1の接続部には、配電機器における外部電線の一端が電気的に接続されている。第2の接続部には、配電機器における内部電線の一端が電気的に接続されている。弾性ブッシュは、電線接続具の第1の接続部と外部電線との接続部分を包囲した状態で圧入されている。この状態で該弾性ブッシュは、フランジ部の一方の面に当接されている。環状パッキンは、フランジ部の他方の面に一方の面が当接されて連結導体部に嵌め込まれている。弾性ブッシュは、碍管の第1の凹部内に圧入されている。この状態で環状パッキンの他方の面は、碍管の仕切壁部の一方の面に接近または当接されている。電線接続具の連結導体部と内部電線が、碍管の仕切壁部に設けられている連通孔に通されて第2の凹部に導出されている。第2の凹部内で連結導体部の外周の雄ネジ部に螺合されたナットは、座金を介して仕切壁部の他方の面に当接されている。
【0021】
このような構造の配電機器ブッシングの製造に、本発明の配電機器ブッシング製造装置を用いる。この配電機器ブッシング製造装置は、管状をしていて内部電線が通されて連結導体部の雄ネジ部に螺合されるパッキン圧縮治具を備えている。また、管状をしていてパッキン圧縮治具の外周に嵌ってナットに回り止め嵌合されるナット締め治具を備えている。また、ナット締め治具を所定のトルクで回転させる回転工具を備えている。また、水平に設置された基盤を備えている。さらに、基盤上にはフレーム構造体が立設されている。このフレーム構造体は、基盤との間に所定の間隔をあけて配置された水平フレーム部を備えている。基盤上には、碍管受け部が設けられている。碍管受け部に受け入れられた碍管を基盤側に押し下げる碍管押え部を備えた碍管押下げ機構を有する。パッキン圧縮治具によりパッキンに加えられる圧縮荷重を計測する荷重測定器を有する。水平フレーム部には、パッキン圧縮治具差込み溝が水平フレーム部の正面と上下の面に開口するように設けられている。碍管受け部内には、その底壁部に弾性ブッシュの一部が嵌合される嵌合凹部が形成されている。
【0022】
このような構造の配電機器ブッシング製造装置を用いての配電機器ブッシングの製造は、次のようにして行う。
【0023】
まず、本発明の製造方法では、下記の如き構成の前処理組立品を予め製造しておく。この前処理組立品は、電線接続具の第1の接続部に外部電線の一端が電気的に接続されている。電線接続具の第2の接続部に内部電線の一端が電気的に接続されている。電線接続具の第1の接続部と外部電線との接続部分を包囲した状態で弾性ブッシュが圧入されてフランジ部の一方の面に当接されている。フランジ部の他方の面に一方の面が当接された状態で環状パッキンが連結導体部に嵌め込まれている。碍管の第1の凹部内に環状パッキン及びフランジ部が挿入されている。電線接続具の連結導体部と内部電線が、碍管の仕切壁部に設けられている連通孔に通されて碍管の第2の凹部に導出されている。碍管の第2の凹部内で内部電線に座金を先に通してナットが通されている。
【0024】
このような構造の前処理組立品は、碍管の第2の凹部が上に向かって開口する姿勢で予め準備しておく。
【0025】
かかる前処理組立品を、弾性ブッシュの一部が碍管受け部内の嵌合凹部内に嵌合されるように碍管を碍管受け部内に挿入し、ナット締め治具を内部電線に通して該ナット締め治具の下部を碍管の第2の凹部に挿入し、パッキン圧縮治具を内部電線に通して該パッキン圧縮治具の下部をナット締め治具の中に通して碍管の前記第2の凹部に挿入し、パッキン圧縮治具の上部の一部をフレーム構造体の水平フレーム部に設けたパッキン圧縮治具差込み溝に嵌め込んだ状態に縦向きにセットする。
【0026】
かかる状態で、碍管押下げ機構の作動により碍管押え部により碍管を押し下げて、碍管を押し下げることにより弾性ブッシュを環状パッキンと共に碍管の第1の凹部内に圧入する。しかる後、碍管押下げ機構の碍管押え部を所定の位置まで上昇させて待機させる。
【0027】
次に、ナット締め治具を回してナットを連結導体部の雄ネジ部に螺合させる。
【0028】
次に、パッキン圧縮治具を水平フレーム部に対する位置を固定した状態で回して連結導体部の雄ネジ部に螺合させていくことにより電線接続具を上昇させる。この電線接続具の上昇過程で、碍管も一緒に上昇する。碍管が待機中の碍管押え部に当たった後、さらにパッキン圧縮治具を回して電線接続具を上昇させることにより環状パッキンの他方の面を碍管の仕切壁部の一方の面に押し付けて環状パッキンを圧縮する。この圧縮の過程で、荷重測定器により測定した測定値が所定値に達した段階で、パッキン圧縮治具の回転を停止する。
【0029】
次に、碍管押下げ機構の作動により碍管押え部により碍管を再度押し下げて、碍管の仕切壁部で環状パッキンを圧縮し、該環状パッキンの圧縮荷重を荷重測定器による測定で監視する。
【0030】
碍管押下げ機構による碍管の押し下げ量が所定量下がるかまたは環状パッキンの圧縮荷重が規定値に達するかのいずれか一方または双方が満足された段階で碍管押下げ機構の作動を停止し、その後ナット締め治具を回転工具で再度回転してナットを所定のトルクで締め付ける。
【0031】
しかる後、碍管押え部を上昇させて完成した配電機器ブッシングを取り外す。
【0032】
このような配電機器ブッシングの製造方法では、フレーム構造体の水平フレーム部に支持させたパッキン圧縮治具を回して電線接続具を碍管と一緒に上昇させ、碍管が待機中の碍管押え部に当たった後、さらにパッキン圧縮治具を回して電線接続具と碍管を上昇させることにより環状パッキンの他方の面を碍管の仕切壁部の一方の面に押し付けて環状パッキンを圧縮し、この圧縮の過程で、荷重測定器により圧縮力を測定し、測定した測定値が所定値に達した段階で、パッキン圧縮治具の回転を停止する。次に、碍管押下げ機構の作動により碍管押え部により碍管を再度押し下げて、碍管の仕切壁部で環状パッキンを圧縮し、該環状パッキンの圧縮荷重を荷重測定器による測定で監視し、碍管押下げ機構による碍管の押し下げ量が所定量下がるかまたは環状パッキンの圧縮荷重が規定値に達するかのいずれか一方または双方が満足された段階で碍管押下げ機構の作動を停止する。このため、碍管内の仕切壁部に設けられた連通孔に対する環状パッキンによるシールを、荷重測定器によりシール状態を実測して十分に行うことができる。しかる後、ナット締め治具を回転工具で再度回転してナットを所定のトルクで締め付けるので、連通孔に対する環状パッキンによるシール状態が固定され、シール性能を保証することができる。
【0033】
また本発明に係る配電機器ブッシング製造装置では、管状のパッキン圧縮治具と、管状のナット締め治具と、このナット締め治具を回転させる回転工具と、基盤と、該基盤上に立設されたフレーム構造体と、基盤上に設けた碍管受け部と、この碍管受け部に受け入れられた碍管を基盤側に押し下げる碍管押え部を備えた碍管押下げ機構と、パッキン圧縮治具によりパッキンに加えられる圧縮荷重を計測する荷重測定器とを具備して、水平フレーム部にパッキン圧縮治具差込み溝を設け、碍管受け部内に、その底壁部に弾性ブッシュの一部が嵌合される嵌合凹部を形成した構造になっているので、碍管内のシール状態の実測と、シール状態の固定を容易に行うことができる。
【0034】
また、碍管受け部を移動台上に固設し、また基盤上には移動台を移動して碍管受け部を水平フレーム部の下の所定の位置に置くガイドレールを設置すると、前処理組立品を、その弾性ブッシュの一部を碍管受け部内に嵌合した縦向きの状態で、該碍管受け部をフレーム構造体の水平フレーム部の下に移動でき、作業性がよくなり、能率よく製造作業を行うことができる。
【0035】
さらに、碍管押下げ機構を、碍管押え部に固定されたナット部と、該ナット部に螺合されて基盤上に回転自在に立設されたボールネジと、該ボールネジを正逆回転させるボールネジ回転手段とを備えた構成にすると、碍管押下げ機構の碍管押え部の昇降をネジのピッチを利用して正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法では、フレーム構造体の水平フレーム部に支持させたパッキン圧縮治具を回して電線接続具を碍管と一緒に上昇させ、碍管が待機中の碍管押え部に当たった後、さらにパッキン圧縮治具を回して電線接続具と碍管も上昇させることにより環状パッキンの他方の面を碍管の仕切壁部の一方の面に押し付けて環状パッキンを圧縮し、この圧縮の過程を荷重測定器により測定し、測定した測定値が所定値に達した段階で、パッキン圧縮治具の回転を停止し、次に、碍管押下げ機構の作動により碍管押え部により碍管を押し下げて、碍管の仕切壁部で環状パッキンを圧縮し、該環状パッキンの圧縮荷重を監視し、碍管押下げ機構による碍管の押し下げ量が所定量下がるかまたは環状パッキンの圧縮荷重が規定値に達するかのいずれか一方または双方が満足された段階で碍管押下げ機構の作動を停止するので、碍管内の仕切壁部に設けられた連通孔に対する環状パッキンによるシールを、シール状態を荷重測定器により実測して十分に行うことができる。しかる後、ナット締め治具を回転工具で回転してナットを所定のトルクで締め付けるので、連通孔に対する環状パッキンによるシール状態が固定され、シール性能を保証することができる。
【0037】
また本発明に係る配電機器ブッシング製造装置では、管状のパッキン圧縮治具と、管状のナット締め治具と、このナット締め治具を回転させる回転工具と、基盤と、該基盤上に立設されたフレーム構造体と、基盤上に設けた碍管受け部と、この碍管受け部に受け入れられた碍管を基盤側に押し下げる碍管押え部を備えた碍管押下げ機構と、パッキン圧縮治具によりパッキンに加えられる圧縮荷重を計測する荷重測定器とを具備して、水平フレーム部にパッキン圧縮治具差込み溝を設け、碍管受け部内に、その底壁部に弾性ブッシュの一部が嵌合される嵌合凹部を形成した構造になっているので、碍管内のシール状態の実測と、シール状態の固定を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法及び配電機器ブッシング製造装置における実施の形態を詳細に説明する。
【0039】
本発明で製造しようとしている配電機器ブッシングは、本出願人が先に提案し、前述した図1乃至図3に示す構造のものである。
【0040】
本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法では、下記の如き構成の前処理組立品51を予め製造しておく。この前処理組立品51の組立過程を図4(A)乃至(E)を参照して説明する。
【0041】
図4(A)に示すように、外部電線27の端部で絶縁被覆27bを皮剥ぎして芯線27aを所定長さで露出させる。かかる状態で、芯線27a側から弾性ブッシュ5を圧入する。圧入は、図4(B)に示すように、弾性ブッシュ5を貫通した外部電線27が、芯線27aと先端の絶縁被覆27bが所定長さで露出する状態まで行う。
【0042】
次に、図4(C)に示すように、露出している芯線27aに、電線接続具3の第1の接続部19に外部電線27の一端を嵌め、この嵌め合わせ部分の矢印箇所を圧縮接続して電気的に接続する。電線接続具3の連結導体部23に環状パッキン33を嵌めておく。
【0043】
次に、図4(D)に示すように、電線接続具3の第2の接続部21に内部電線29の一端を嵌め、この嵌め合わせ部分の矢印箇所を圧縮接続して電気的に接続する。次いで、電線接続具3の第1の接続部19と外部電線27との接続部分を包囲した状態で弾性ブッシュ5を圧入してフランジ部31の一方の面に当接させる。フランジ部31の他方の面に環状パッキン33の一方の面を当接させる。なお、電線接続具3の第2の接続部21に内部電線29を接続する作業と、弾性ブッシュ5をさらに圧入してフランジ部31の一方の面に当接させる作業は、逆であってもよい。
【0044】
最後に、図4(E)に示すように、碍管1の第1の凹部15内に環状パッキン33及びフランジ部31を挿入し、電線接続具3の連結導体部23と内部電線29を碍管1の仕切壁部13の連通孔13aに通して碍管1の第2の凹部17に導出させる。碍管1の第2の凹部17内の内部電線29に、絶縁座53、座金39及びバネ座金37を先に通した後ナット35を通す。また、内部電線29には絶縁チューブ55を通す。
【0045】
かかる構造の前処理組立品51は、必要数だけ作り、弾性ブッシュ5が下で碍管1が上となる向きで架台等に弾性ブッシュ5の下面を載せて上下の向きで支持させておく。
【0046】
次に、本例で用いる配電機器ブッシング製造装置の構成について、図5(A)、(B)及び(C)を参照して説明する。図5(A)は本例の配電機器ブッシング製造装置の正面図、図5(B)は本例の配電機器ブッシング製造装置の側面図、図5(C)は本例の配電機器ブッシング製造装置の要部構成を示す拡大縦断面図である。
【0047】
この配電機器ブッシング製造装置は、管状をしていて内部電線29が通されて電線接続具3の連結導体部23の雄ネジ部23aに螺合されるパッキン圧縮治具57と、管状をしていてパッキン圧縮治具57の外周に嵌ってナット35に回り止め嵌合されるナット締め治具59とを備えている。管状をしたパッキン圧縮治具57は、金属製で、その下端内周に連結導体部23の雄ネジ部23aに螺合される雌ネジ部57aが形成され、その上端外周にローレット加工されるか、または六角形の操作部57bが形成されている。ナット締め治具59は、金属製で、その下端内周にナット35に嵌るナット穴部59aが形成され、その上端外周に六角形の操作部59bが形成されている。このようなナット締め治具59の内径は、パッキン圧縮治具57の操作部57bより下の部分の外径より太く、該パッキン圧縮治具57の操作部57bより下の部分がこのナット締め治具59の中に回転自在に嵌るようになっている。また、ナット締め治具59は、碍管1の第2の凹部17内に回転自在に嵌る太さになっている。また、この図では図示しないが、ナット締め治具59の六角形の操作部59bを所定のトルクで回転させる回転工具を備えている。
【0048】
また、水平に設置された金属製の基盤61を備えている。さらに、基盤61上にはフレーム構造体63が立設されている。このフレーム構造体63は、門形をしていて基盤61との間に所定の間隔をあけて配置された水平フレーム部63aを備えている。水平フレーム部63aには、パッキン圧縮治具差込み溝65が水平フレーム部63aの正面と上下の面に開口するように設けられている。基盤61上には、碍管受け部67が設けられている。碍管受け部67内には、その上面に開口させて碍管1の下部が嵌る碍管嵌合部67aが設けられている。また、碍管受け部67の底壁部には、上方に開口させた碍管嵌合部67aの中央部の下部に連通させて嵌合凹部67bが形成されている。この嵌合凹部67bには、前処理組立品51の弾性ブッシュ5の下部が嵌合されるようになっている。
【0049】
本例では、碍管受け部67は、移動台69上に固設されている。基盤61上には移動台69を移動して碍管受け部67を水平フレーム部63aの下の所定の位置に置く1対のガイドレール71が設置されている。碍管受け部67は、水平フレーム部63aのパッキン圧縮治具差込み溝65の下に位置決めされるようになっている。移動台69の下面には、該移動台69に固定されて各ガイドレール71の上部に嵌ってスライドするスライダー73が複数固定されている。
【0050】
組立時に前処理組立品51は、弾性ブッシュ5の一部が碍管受け部67内の嵌合凹部67b内に嵌合されるように碍管1を碍管受け部67内に挿入し、ナット締め治具59を内部電線29に通して該ナット締め治具59の下部を碍管1の第2の凹部17に挿入し、パッキン圧縮治具57を内部電線29に通して該パッキン圧縮治具57の下部をナット締め治具59の中に通して碍管1の前記第2の凹部17に挿入し、該前処理組立品51の荷重を碍管受け部67で支えた状態にし、縦向きで待機させる。
【0051】
また配電機器ブッシング製造装置は、前述したように碍管受け部67に受け入れられた碍管1を基盤61側に押し下げる碍管押え部75を備えた碍管押下げ機構77を有する。碍管押え部75は1対備えて、碍管1外周の上向きの段部1bに載るようになっている。本例の碍管押下げ機構77は、碍管押え部75に固定された図示しないナット部と、該ナット部に螺合されて基盤61上に回転自在に立設されたボールネジ79と、該ボールネジ79を正逆回転させる図示しないボールネジ回転手段とを備えて構成されている。ボールネジ回転手段は、基盤61上に立設されたフレーム部81内に組み込まれている。碍管押え部75は、フレーム部81の正面に垂直に支持された1対のガイドレール83と、碍管押え部75に支持されて各ガイドレール83に嵌ってスライドする1対のスライダー85とにより垂直上下方向に動けるようにガイドされている。
【0052】
さらに配電機器ブッシング製造装置は、パッキン圧縮治具57の回転によりパッキン33に加えられる圧縮荷重を計測する荷重測定器87を有する。この荷重測定器87は、フレーム構造体63の水平フレーム部63aの上に、パッキン圧縮治具差込み溝65に対応させて設置されている。この荷重測定器87は、パッキン圧縮治具57の雌ネジ部57aを電線接続具3の連結導体部23における雄ネジ部23aに螺合した状態で、操作部57bを回すことにより電線接続具3を上昇させ、フランジ部31の上昇により環状パッキン33を碍管1の仕切壁13との間で圧縮した際の圧縮荷重を、パッキン圧縮治具57の操作部57bからの押圧により測定するようになっている。
【0053】
次に、このような配電機器ブッシング製造装置を用いて行う本例の配電機器ブッシングの製造方法を、図6(A)(B)乃至図14(A)(B)を参照して説明する。
【0054】
これらの図で、(A)と(B)との両方が存在する図では、(A)は前処理組立品51をセットした装置の斜視図、(B)はこの装置での前処理組立品51と碍管受け部67との関係を示す縦断面図である。なお、電線接続具3には前述したように外部電線27と内部電線29とが接続されているが、これらの図では省略している。
【0055】
まず、図6(A)(B)に示すように、前処理組立品51の碍管1の第2の凹部17内の内部電線29には予めナット締め治具59を、ナット穴部59aを下向きにして嵌め、次に内部電線29にパッキン圧縮治具57を、雌ネジ部57aを下向きにして嵌めて、ナット締め治具59内に挿入しておく。
【0056】
かかる状態で、移動台69上の碍管受け部67に、作業者が前処理組立品51をその弾性ブッシュ5と碍管1の下部を碍管嵌合部67aに嵌めて、ナット締め治具59を内部電線29に通して該ナット締め治具59の下部を碍管1の第2の凹部17に挿入し、パッキン圧縮治具57を内部電線29に通して該パッキン圧縮治具57の下部をナット締め治具59の中に通して碍管1の前記第2の凹部17に挿入し、該前処理組立品51の荷重を碍管受け部67で支えた状態にして、縦向きで待機させる。
【0057】
このような前処理組立品51の取り付け操作がし易いように、移動台69と碍管受け部67とに縦向きにスリット89と91とが設けられている。
【0058】
碍管受け部67に対する前処理組立品51の取り付け操作は、移動台69をフレーム構造体63の手前に置いて行う。
【0059】
次に、図7(A)(B)に示すように、移動台69を作業者等がフレーム構造体63側に押して移動させ、パッキン圧縮治具57がフレーム構造体63の水平フレーム部63aに当たる状態で移動台69の移動を停止し、作業者等がパッキン圧縮治具57を作業者の手でパッキン圧縮治具差込み溝65に嵌めつつ移動台69を徐々に移動する。パッキン圧縮治具57をパッキン圧縮治具差込み溝65に嵌ったならば、移動台69の移動を停止する。この状態で移動台69は、図示しないロック手段で基盤61に固定することが好ましい。
【0060】
この状態では、パッキン圧縮治具57の操作部57bが荷重測定器87の上に位置している。
【0061】
次に、図8(A)(B)に示すように、基盤61上の手前側に設けられている次工程操作部93を操作し、碍管押下げ機構77を作動させて碍管押え部75を下降させる。これにより、1対の碍管押え部75は碍管1の外周の上向きの段部1bに当たって該碍管1が押し下げられる。これにより弾性ブッシュ5の下部が碍管受け部67の嵌合凹部67bに圧入される。
【0062】
次に、図9に示すように、碍管押下げ機構77を逆作動させて碍管押え部75を所定位置まで上昇させる。この状態では、環状パッキン33と碍管1の仕切壁13との間に隙間95があいている。
【0063】
次に、図10(A)(B)に示すように、ナット締め治具59のナット穴部59aをナット35に嵌めて、操作部59bを作業者の手で回し、ナット35を連結導体部23の雄ネジ部23aに螺合させる。操作部59bを更に回し、ある程度ナット35を締め込む。
【0064】
その後、パッキン圧縮治具57の操作部57bを回し、その雌ネジ部57aを連結導体部23の雄ネジ部23aに螺合させる。この状態で、パッキン圧縮治具57の操作部57bを回し続けると、パッキン圧縮治具57の雌ネジ部57aが連結導体部23の雄ネジ部23aに螺合されつつ下降し、図10(B)に示すように操作部57bが荷重測定器87の上に当たる。この状態から更に操作部57bを回し続けると、パッキン圧縮治具57の下降が止まり、今度は電線接続具3が上昇するようになる。電線接続具3が上昇すると、そのフランジ部31が環状パッキン33を介して碍管1の仕切壁13に当たっているので、碍管1も上昇する。碍管1が上昇すると、この碍管1の段部1bは待機中の1対の碍管押え部75に当たって碍管1の上昇が停止される。更に操作部57bを回し続けると、電線接続具3の上昇により、フランジ部31が上昇して環状パッキン33が碍管1の仕切壁13に当たって圧縮される。環状パッキン33の圧縮状態は荷重測定器87で測定され、その測定値を基盤61に立設されたモニタ97で監視する。
【0065】
次に、図11(A)(B)に示すように、荷重測定器87のモニタ97での荷重をモニタしながら手動にてパッキン圧縮治具57を規定値まで回転させる。
【0066】
荷重が規定値に達すると、次工程操作部93を操作し、碍管押下げ機構77の作動により碍管押え部75を下降させ、碍管1を再度押し下げて環状パッキン33を圧縮する。即ち、このときの碍管押え部75の下降で碍管1は下降するが、電線接続具3はパッキン圧縮治具57によりフレーム構造体63の水平フレーム部63aに固定されているため、碍管1の仕切壁13と電線接続具3のフランジ部31との間の環状パッキン33が圧縮される。環状パッキン33の圧縮荷重を荷重測定器87のモニタ97で監視する。
【0067】
次に、図12(A)(B)に示すように、碍管押下げ機構77による碍管1の押し下げ量が所定量下がるかまたは環状パッキン33の圧縮荷重が規定値に達するかのいずれか一方または双方が満足された段階で碍管押下げ機構77の作動を停止し、その後例えばトルクレンチよりなる回転工具99を用いて手動でナット締め治具59の操作部59bを回し、ナット35を所定のトルクで締める。これにより配電機器ブッシング101が完成する。
【0068】
次に、図13(A)(B)に示すように、ナット35締め完了後、次工程操作部93を操作し、碍管押え部75を上昇させる。
【0069】
最後に、図14(A)(B)に示すように、移動台69を作業者が手前に引いて碍管受け部67と共に配電機器ブッシング101をフレーム構造体63の手前に出す。かかる状態で、配電機器ブッシング101を碍管受け部67から外す。これで作業が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明で製造する配電機器ブッシングの縦断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】弾性ブッシュの縦断面図である。
【図4】(A)乃至(E)は、本発明で製造前処理組立品の組立過程を示す工程図である。
【図5】(A)乃至(C)は、本発明に係る配電機器ブッシング製造装置の正面図、側面図及びこの配電機器ブッシング製造装置の要部構成を示す拡大縦断面図である。
【図6】(A)は本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法で、前処理組立品を碍管受け部にセットした工程の斜視図、(B)はこの工程での前処理組立品と碍管受け部の関係を示す縦断面図である。
【図7】(A)は本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法で、前処理組立品を碍管受け部にセットしたものをフレーム構造体に移動した工程の斜視図、(B)はこの工程での前処理組立品と碍管受け部の関係を示す縦断面図である。
【図8】(A)は本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法で、碍管押え部を押し下げた工程の斜視図、(B)はこの工程での前処理組立品と碍管受け部の関係を示す縦断面図である。
【図9】本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法で、碍管押え部を上昇させた工程の前処理組立品と碍管受け部の関係を示す縦断面図である。
【図10】(A)は本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法で、パッキン圧縮治具を回す工程の斜視図、(B)はこの工程での前処理組立品と碍管受け部の関係を示す縦断面図である。
【図11】(A)は本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法で、碍管押え部を押し下げた工程の斜視図、(B)はこの工程での前処理組立品と碍管受け部の関係を示す縦断面図である。
【図12】(A)は本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法で、ナット締め治具を回す工程の斜視図、(B)はこの工程での前処理組立品と碍管受け部の関係を示す縦断面図である。
【図13】(A)は本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法で、碍管押え部を上げた工程の斜視図、(B)はこの工程での前処理組立品と碍管受け部の関係を示す縦断面図である。
【図14】(A)は本発明に係る配電機器ブッシングの製造方法で、完成した配電機器ブッシングをフレーム構造体から引き出す工程の斜視図、(B)は得られた配電機器ブッシングと碍管受け部の関係を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 碍管
3 電線接続具
5 弾性ブッシュ
7 碍管本体
13 仕切壁部
13a 連通孔
15 第1の凹部
17 第2の凹部
19 第1の接続部
21 第2の接続部
23 連結導体部
23a 雄ネジ部
25 係合部
25a 第1の係合面
25b 第2の係合面
27 外部電線
29 内部電線
31 フランジ部
33 環状パッキン
35 ナット
37 バネ座金
39 座金
47 膨出部分
49 貫通孔
49a 拡大部分
45c 第1の被係合面
45d 第2の被係合面
51 前処理組立品
57 パッキン圧縮治具
57a 雌ネジ部
57b 操作部
59 ナット締め治具
59a ナット穴部
59b 操作部
61 基盤
63 フレーム構造体
63a 水平フレーム部
65 パッキン圧縮治具差込み溝
67 碍管受け部
69 移動台
71 ガイドレール
73 スライダー
75 碍管押え部
77 碍管押下げ機構
79 ボールネジ
81 フレーム部
83 ガイドレール
85 スライダー
87 荷重測定器
97 モニタ
99 回転工具
101 配電機器ブッシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端面に開口する開口部を有する第1の凹部と前記一方の端面とは反対側に位置する他方の端面に開口する開口部を有する第2の凹部とを有し、前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に仕切壁部を備え、前記仕切壁部に前記第1の凹部と前記第2の凹部とを連通する連通孔が形成されている碍管と、
前記第1の凹部内に収容される第1の接続部と、前記第2の凹部内に収容される第2の接続部と、前記第1の接続部と前記第2の接続部とを連結し且つ前記連通孔を貫通する連結導体部と、前記第1の接続部と前記連結導体部との境界部に設けられたフランジ部と、前記第1の接続部の端部に外周に膨出させて設けられた係合部と、前記第2の接続部に隣接する前記連結導体部の外周に設けられた雄ネジ部とを有する電線接続具と、
弾性材料によって形成されて前記係合部を含めて前記第1の接続部の外周に圧入される弾性ブッシュとを具備し、
前記第1の接続部に配電機器における外部電線の一端が電気的に接続され、前記第2の接続部に配電機器における内部電線の一端が電気的に接続され、
前記電線接続具の前記第1の接続部と前記外部電線との接続部分を包囲した状態で前記弾性ブッシュが圧入されて前記フランジ部の一方の面に当接され、
前記フランジ部の他方の面に一方の面が当接されて環状パッキンが前記連結導体部に嵌め込まれ、
前記弾性ブッシュが前記碍管の前記第1の凹部内に圧入されて前記環状パッキンの他方の面が前記碍管の前記仕切壁部の一方の面に接近または当接され、
前記電線接続具の前記連結導体部と前記内部電線が前記碍管の前記仕切壁部に設けられている前記連通孔に通されて前記第2の凹部に導出され、
前記第2の凹部内で前記連結導体部の外周の前記雄ネジ部に螺合されたナットが座金を介して前記仕切壁部の他方の面に当接されている構造の配電機器ブッシングの製造方法であって、
前記配電機器ブッシングの製造に配電機器ブッシング製造装置を用い、
前記配電機器ブッシング製造装置は、管状をしていて前記内部電線が通されて前記連結導体部の前記雄ネジ部に螺合されるパッキン圧縮治具と、管状をしていて前記パッキン圧縮治具の外周に嵌って前記ナットに回り止め嵌合されるナット締め治具と、前記ナット締め治具を所定のトルクで回転させる回転工具と、水平に設置された基盤と、前記基盤上に立設され且つ前記基盤との間に所定の間隔をあけて水平フレーム部を配置するように設けられたフレーム構造体と、前記基盤上に設けられた碍管受け部と、前記碍管受け部に受け入れられた前記碍管を前記基盤側に押し下げる碍管押え部を備えた碍管押下げ機構と、前記パッキン圧縮治具により前記パッキンに加えられる圧縮荷重を計測する荷重測定器とを具備し、前記水平フレーム部に、パッキン圧縮治具差込み溝が前記水平フレーム部の正面と上下の面に開口するように設けられ、前記碍管受け部内には、その底壁部に前記弾性ブッシュの一部が嵌合される嵌合凹部が形成されて構成されており、
前記電線接続具の前記第1の接続部に前記外部電線の一端が電気的に接続され、前記第2の接続部に前記内部電線の一端が電気的に接続され、前記電線接続具の前記第1の接続部と前記外部電線との接続部分を包囲した状態で前記弾性ブッシュが圧入されて前記フランジ部の一方の面に当接され、前記フランジ部の他方の面に一方の面が当接された状態で環状パッキンが前記連結導体部に嵌め込まれ、前記碍管の前記第1の凹部内に前記環状パッキン及び前記フランジ部が挿入され、前記電線接続具の前記連結導体部と前記内部電線が前記碍管の前記仕切壁部に設けられている前記連通孔に通されて前記第2の凹部に導出され、前記碍管の前記第2の凹部内で前記内部電線に前記座金を先に通して前記ナットが通された構造の前処理組立品を、前記碍管の前記第2の凹部が上に向かって開口する姿勢で予め準備しておき、
前記前処理組立品を、前記弾性ブッシュの前記一部が前記碍管受け部内の前記嵌合凹部内に嵌合されるように前記碍管を前記碍管受け部内に挿入し、前記ナット締め治具を前記内部電線に通して該ナット締め治具の下部を前記碍管の前記第2の凹部に挿入し、前記パッキン圧縮治具を前記内部電線に通して該パッキン圧縮治具の下部を前記ナット締め治具の中に通して前記碍管の前記第2の凹部に挿入し、前記パッキン圧縮治具の上部の一部を前記フレーム構造体の前記水平フレーム部に設けた前記パッキン圧縮治具差込み溝に嵌め込んだ状態に縦向きにセットし、
かかる状態で、前記碍管押下げ機構の作動により前記碍管押え部により前記碍管を押し下げて、前記碍管を押し下げることにより前記弾性ブッシュを前記環状パッキンと共に前記碍管の前記第1の凹部内に圧入し、しかる後、前記碍管押下げ機構の前記碍管押え部を所定の位置まで上昇させて待機させ、
次に、前記ナット締め治具を回して前記ナットを前記連結導体部の前記雄ネジ部に螺合させ、
前記パッキン圧縮治具を前記水平フレーム部に対する位置を固定した状態で回して前記連結導体部の前記雄ネジ部に螺合させていくことにより前記電線接続具を上昇させて、前記碍管が待機中の前記碍管押え部に当たった後、さらに前記パッキン圧縮治具を回して前記電線接続具を上昇させることにより前記環状パッキンの他方の面を前記碍管の前記仕切壁部の一方の面に押し付けて前記環状パッキンを圧縮し、前記荷重測定器により測定した測定値が所定値に達した段階で前記パッキン圧縮治具の回転を停止し、
次に、前記碍管押下げ機構の作動により前記碍管押え部により前記碍管を再度押し下げて、前記碍管の前記仕切壁部で前記環状パッキンを圧縮し、該環状パッキンの圧縮荷重を前記荷重測定器による測定で監視し、
前記碍管押下げ機構による前記碍管の押し下げ量が所定量下がるかまたは前記環状パッキンの圧縮荷重が規定値に達するかのいずれか一方または双方が満足された段階で前記碍管押下げ機構の作動を停止し、
その後前記ナット締め治具を前記回転工具で再度回転して前記ナットを前記所定のトルクで締め付け、
その後、前記碍管押え部を上昇させて完成した前記配電機器ブッシングを取り外すことを特徴とする配電機器ブッシングの製造方法。
【請求項2】
一方の端面に開口する開口部を有する第1の凹部と前記一方の端面とは反対側に位置する他方の端面に開口する開口部を有する第2の凹部とを有し、前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に仕切壁部を備え、前記仕切壁部に前記第1の凹部と前記第2の凹部とを連通する連通孔が形成されている碍管と、
前記第1の凹部内に収容される第1の接続部と、前記第2の凹部内に収容される第2の接続部と、前記第1の接続部と前記第2の接続部とを連結し且つ前記連通孔を貫通する連結導体部と、前記第1の接続部と前記連結導体部との境界部に設けられたフランジ部と、前記第1の接続部の端部に外周に膨出させて設けられた係合部と、前記第2の接続部に隣接する前記連結導体部の外周に設けられた雄ネジ部とを有する電線接続具と、
弾性材料によって形成されて前記係合部を含めて前記第1の接続部の外周に圧入される弾性ブッシュとを具備し、
前記第1の接続部に配電機器における外部電線の一端が電気的に接続され、前記第2の接続部に配電機器における内部電線の一端が電気的に接続され、
前記電線接続具の前記第1の接続部と前記外部電線との接続部分を包囲した状態で前記弾性ブッシュが圧入されて前記フランジ部の一方の面に当接され、
前記フランジ部の他方の面に一方の面が当接されて環状パッキンが前記連結導体部に嵌め込まれ、
前記弾性ブッシュが前記碍管の前記第1の凹部内に圧入されて前記環状パッキンの他方の面が前記碍管の前記仕切壁部の一方の面に当接され、
前記電線接続具の前記連結導体部が前記碍管の前記仕切壁部に設けられている前記連通孔に通されて前記第2の凹部に導出され、
前記第2の凹部内で前記連結導体部の外周の前記雄ネジ部に螺合されたナットが座金を介して前記仕切壁部の他方の面に当接されている構造の配電機器ブッシングを製造する配電機器ブッシング製造装置であって、
管状をしていて前記内部電線が通されて前記連結導体部の前記雄ネジ部に螺合されるパッキン圧縮治具と、管状をしていて前記パッキン圧縮治具の外周に嵌って前記ナットに回り止め嵌合されるナット締め治具と、前記ナット締め治具を所定のトルクで回転させる回転工具と、水平に設置された基盤と、前記基盤上に立設され且つ前記基盤との間に所定の間隔をあけて水平フレーム部を配置するように設けられたフレーム構造体と、
前記基盤上に設けられた碍管受け部と、前記碍管受け部に受け入れられた前記碍管を前記基盤側に押し下げる碍管押え部を備えた碍管押下げ機構と、前記パッキン圧縮治具により前記パッキンに加えられる圧縮荷重を計測する荷重測定器とを具備し、前記水平フレーム部に、パッキン圧縮治具差込み溝が前記水平フレーム部の正面と上下の面に開口するように設けられ、前記碍管受け部内には、その底壁部に前記弾性ブッシュの一部が嵌合される嵌合凹部が形成された構造になっていることを特徴とする配電機器ブッシング製造装置。
【請求項3】
前記碍管受け部は移動台上に固設され、前記基盤上には前記移動台を移動して前記碍管受け部を前記水平フレーム部の下の所定の位置に置くガイドレールが設置されていることを特徴とする請求項2に記載の配電機器ブッシング製造装置。
【請求項4】
前記碍管押下げ機構は前記碍管押え部に固定されたナット部と、前記ナット部に螺合されて前記基盤上に回転自在に立設されたボールネジと、該ボールネジを正逆回転させるボールネジ回転手段とを備えて構成されていることを特徴とする請求項2に記載の配電機器ブッシング製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−200667(P2007−200667A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16798(P2006−16798)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000164483)株式会社キューヘン (15)
【Fターム(参考)】