説明

酒酔い又は二日酔い防止・軽減用組成物

【課題】安全性が高く容易に製造することができ、健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)などの飲食品、医薬品又は医薬部外品などに利用することができる、酒酔い又は二日酔い防止・軽減剤およびそれを含む組成物を提供する。
【解決手段】甘草を、有機溶剤、油脂又はそれらの混合物などの非水溶剤で抽出して得られる抽出物を、有効成分として含有する、酒酔い又は二日酔い防止・軽減用組成物。甘草を水溶性有機溶剤と接触させて得られる抽出物に、更に油脂を接触させることにより得られるものである甘草の非水溶剤抽出物が特に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)などの飲食品、医薬品又は医薬部外品などに使用することができる、酒酔い又は二日酔い防止用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酒酔いには、アルコールに含まれるエタノール(エチルアルコール)が脳の機能を抑制する事によって引き起こされる酒酔いと、体内でのアルコール代謝の中間生成物であるアセトアルデヒドの作用によって引き起こされる酒酔いとの二種類がある。
【0003】
エタノールの作用による酒酔いは、飲酒によって摂取したエタノールの量に応じて脳の麻痺(抑制)が起こることが要因である。脳の麻痺はまず大脳の高位機能の麻痺から始まるため、最初に判断力、集中力、抑止力等が低下する。その結果、脳の低位機能(いわゆる本能的と呼ばれる機能)が表層化する事により、軽い興奮状態となり、気が大きくなったり、気分が良くなったりする、いわゆる酒酔い状態となる。さらに脳の麻痺が進行すると、運動神経へ影響したり、場合によっては急性アルコール中毒となる可能性もある。また、体内でエタノールを分解する際に生成されるアセトアルデヒドは後述するように有毒物質である。これが血中に蓄積されると心拍数の増加、嘔吐、皮膚の紅潮などの状態が引き起こされる。このアセトアルデヒドによる状態は、前者のエタノールによる酒酔いとは別の症状であり、それが過剰となるといわゆる悪酔いといわれる状態となる。
【0004】
さらに、アセトアルデヒドは二日酔いの原因物質でもある。エタノールを摂取すると、体内でエタノールはアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解され、さらにアセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素により酢酸へと分解され、最終的には水と二酸化炭素に分解されることにより体外へと排出される。エタノールの中間代謝物質であるこのアセトアルデヒドは毒性が非常に強く、その毒性により引き起こされる症状が飲酒後の翌日に現れるのが二日酔いである。つまり二日酔いの原因はエタノールそのものではなく、その体内での中間代謝物質であるアセトアルデヒドの残留によって引き起こされると考えられている。従って、エタノールによる酒酔いとアセトアルデヒドによる酒酔いとはその原因物質が異なるため、その症状改善に適した物質や方法も異なると考えられる。
【0005】
適度な飲酒は、食欲増進、ストレス解消などの効果があるが、過剰の飲酒は、顔面紅潮、頭痛、眠気、吐気などの悪酔い、二日酔いの症状が現れるばかりではなく、肝臓障害、膵臓炎などの弊害を引き起こす。これらの症状を抑える方法としていくつかの方法が提案されている。すなわち、血液中のアルコール(エタノール)濃度を低下させる物質(特許文献1〜3)、アセトアルデヒドの毒性を軽減する物質(特許文献4)などが開示されている。
【0006】
甘草はマメ科カンゾウ属(Glycyrrhiza属)の植物であり、食用や医薬用(生薬)として利用されており、主な品種としてグリキルリーザ・グラブラ(Glycyrrhiza. glabra)、G.ウラレンシス(G. uralensis)、G.インフラータ(G. inflata)などが挙げられる。いずれの品種にも親水性成分であるグリチルリチン(グリチルリチン酸)が含まれている。
【0007】
甘草から得られる抽出物のうち、甘草フラボノイドを多く含み、グリチルリチン含量が極微量である甘草非水溶剤抽出物は、マルチプル・リスク・ファクター症候群の予防や処置に有用であることが見出されている(特許文献5)。さらに最近の研究において、この甘草非水溶剤抽出物がPPARγリガンド活性を有することや、その活性成分がフラボノイドであることが見出されている(特許文献6)。一方、甘草非水溶剤抽出物に含まれる化合物、例えば甘草疎水性フラボノイドは、水にほとんど溶解せず、また、有機溶媒抽出物のままでは固結し易く、着色の進行も早いなど、経時的変化が著しいという性質があるため、利用し難い。それを解決するために、中鎖脂肪酸トリグリセリドに溶解して安定化して製剤化することが提案されている(特許文献7)が、甘草非水溶剤抽出物を得るための抽出溶剤の種類と用途との関連性についての詳細な検討はなされていない。
【0008】
また、結実前のそばの若株粉末と、甘草又は甘草抽出物を必須成分とする、飲酒に伴う酔い過ぎ、悪酔い、二日酔いの予防及び防止等に有効な機能性健康食品が報告されている(特許文献8)。さらに、ケルセチンの配糖体と、2価の金属イオン及び甘草抽出物を必須成分とする、飲酒に伴う酔い過ぎ、悪酔い、二日酔いの予防や防止を効果的に図る健康飲料が報告されている(特許文献9)。これら2件の報告においては、いずれも甘草抽出物中のグリチルリチンが、その有効成分として働くことが記載されており、中でも特許文献9においては、甘草抽出物単独ではアルコール(エタノール)の代謝促進作用は十分ではないことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5―170659号
【特許文献2】特開平6−256201号
【特許文献3】特開平11−228428号
【特許文献4】特開平6−40901号
【特許文献5】WO02/047699
【特許文献6】WO03/037316
【特許文献7】特許2794433号公報
【特許文献8】特許2996313号公報
【特許文献9】特開平6−14746号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明においては、安全性が高く容易に製造することができる、酒酔い又は二日酔い防止・軽減剤およびそれを含む組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、本発明者らは、甘草を非水溶剤と接触させて得られる抽出物が、酒酔いの防止や軽減効果を有するだけでなく、二日酔いの防止及び軽減効果も有することを見出して、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち本発明は、甘草の非水溶剤抽出物を有効成分として含有する酒酔い又は二日酔い防止・軽減用組成物である。さらに好ましい実施態様としては、甘草の非水溶剤抽出物が、甘草を第1の非水溶剤と接触させて得られる抽出物に、更に別の第2の非水溶剤を接触させることにより得られるものである前記組成物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)などの飲食品、医薬品又は医薬部外品などに利用することができる、酒酔い又は二日酔い防止・軽減用の組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0015】
本発明の酒酔い又は二日酔い防止・軽減用組成物は、甘草の非水溶剤抽出物を有効成分として含有する組成物である。
【0016】
本発明の組成物の有効成分である甘草の非水溶剤抽出物は、甘草より得ることができる。本発明の組成物の原料として用いられる甘草材料は、マメ科カンゾウ属(Glycyrrhiza属)の植物であれば限定されず、グリキルリーザ・グラブラ(Glycyrrhiza. glabra)、G.ウラレンシス(G. uralensis)、G.インフラータ(G. inflata)などが挙げられる。中でも最も分布が広く食経験も豊かなG.グラブラ種の甘草が好ましい。
【0017】
前記甘草の非水溶剤抽出物を、甘草から得る場合の方法は特に限定されないが、例えば甘草またはその粉末を、非水溶剤と接触させる抽出によって得ることができる。あるいは、あらかじめ甘草中の親水性成分を水あるいはアルカリ水溶液を用いて抽出・除去した後、その甘草残渣または該甘草残渣を乾燥させたものに、非水溶剤を接触させることで抽出することもできる。
【0018】
本発明において使用する非水溶剤としては水以外の溶剤であれば特に限定されず、有機溶剤、油脂又はそれらの混合溶剤を好ましく使用できる。有機溶剤としては、特に制限されないが、医薬品や食品、食品添加物などの製造、加工に使用できる安全なものが好ましく、例えば、アセトン、炭素数1〜4の1価アルコール、グリセリン、脂肪酸エステル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、プロピレングリコールなどが挙げられ、またこれらの溶剤のうち少なくとも2種以上を混合して用いても良い。これらのうち、好適に使用しうる溶剤としては、酢酸エチル等の脂肪酸エステルや、炭素数1〜4の1価アルコール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、プロピレングリコール、グリセリン等である。その中でも、炭素数1〜4の1価アルコール、アセトン、プロピレングリコール、グリセリンなどの水溶性有機溶剤が好ましく、水溶性有機溶剤のなかでも、炭素数1〜4の1価アルコール、アセトンがより好ましく、とりわけエタノールが好ましい。油脂としては、特に制限されず、医薬品や食品、食品添加物などの製造、加工に使用できる安全なものが使用できるが、後述するように、多価アルコール脂肪酸エステルなどの多価アルコールの誘導体を含有するものが好ましく、多価アルコール脂肪酸エステルとして、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含むグリセリン脂肪酸エステルや脂肪酸部分グリセリドを含むグリセリン脂肪酸エステルがより好ましい。そのような観点から、油脂として、中鎖脂肪酸トリグリセリドやジグリセリドやそれらを含むものが特に好ましい。
【0019】
甘草の非水溶剤による抽出は、一般的な方法に従って実施することができ、特に制限されない。抽出温度は、特に制限されず、系の固化温度から沸点の間、一般に−20〜100℃ 、普通1〜80℃ 、好ましくは20〜60℃の範囲で好適に実施しうる。抽出の操作は、上記の甘草に対して、例えば1〜20倍容量、好ましくは2〜10倍容量の上記非水溶剤を用いて、例えば、0.1時間以上、好ましくは0 .2時間以上、より好ましくは0.5時間以上、抽出を行えば良い。普通、1回当たりの抽出時間は1〜10時間程度で好適に実施しうる。上限は特に制限されず、1日程度であるが、更に長時間行っても良い。抽出は、必要に応じて、1回もしくは複数回実施しても良く、また用いる溶剤を適宜組み合わせても良い。抽出時の圧力は、特に制限されない。常圧〜加圧された状態(1〜数気圧)が用いられうるが、所望ならば減圧にすることもできる。還流下に、またやや加圧された状態でも実施しうる。
【0020】
本発明において甘草の非水溶剤抽出物は、得られた抽出物をそのまま使用してもよいが、さらに精製工程、たとえばカラム処理、脱臭処理、脱色処理などにより粗精製又は精製したものを使用してもよい。甘草の非水溶剤抽出物には、甘草の疎水性成分である甘草ポリフェノールが多く含まれる。さらに、甘草ポリフェノールの多くは抗酸化作用を有し、また、その化合物の構造にプレニルフラボノイド基を有していることが特徴である。本発明の甘草非水溶剤抽出物に含まれる、プレニルフラボノイド基を有する甘草ポリフェノールの含量は、その総量として通常約0.01〜100重量%であり、0.1〜99重量%含有しているものが好ましく、1〜80重量%含有しているものがより好ましく、3〜50重量%含有しているものがさらに好ましい。
【0021】
本発明の酒酔い又は二日酔い防止・軽減用組成物においては、上記甘草ポリフェノールとして、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、ヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を少なくとも含有しているのが好ましい。該化合物は、甘草、好ましくはG.グラブラ種の甘草を、エタノール、ヘキサン、アセトンなどの有機溶媒で抽出することによって得ることができ、該抽出物のまま使用してもよいが、さらにカラム処理、脱臭処理、脱色処理などにより粗精製又は精製したものを使用してもよい。勿論、該化合物は、その他植物等の天然由来のものや、化学合成あるいは培養細胞などにより生合成した化合物のいずれであっても使用することができる。また、該化合物は、精製したものを使用することができるが、飲食品、医薬品、医薬部外品などとして不適当な不純物を含有しない限り粗精製したものを使用することもできる。
【0022】
該化合物の中でも、グラブリジンを含有し、かつグラブレン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、ヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を含有することが好ましい。さらに、グラブリジン及びグラブレンを含有し、かつグラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、ヒスパグラブリジンBからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を含有することがより好ましい。とりわけ、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、ヒスパグラブリジンBを全て含有していることが最も好ましい。
【0023】
ここで、グラブリジン(glabridin)、3'−ヒドロキシ−4'−O−メチルグラブリジン(3'-hydroxyl-4'-O-methylglabridin)、4'−O−メチルグラブリジン(4'-O-methylglabridin)、ヒスパグラブリジンB(hyspaglabridin B)はイソフラバン(isoflavan)に分類されるフラボノイドであり、下記一般式(1)にて表される化合物である。
【0024】
【化1】

【0025】
〔グラブリジンはR1=H、R2=OH;3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジンはR1=OH、R2=OCH;4’−O−メチルグラブリジンはR1=H、R2=OCH;ヒスパグラブリジンBはR1〜R2が−CH=CH−C(CH−O−で六員環を構成する。〕
グラブレン(glabrene)は、イソフラブ−3−エン(isoflav-3-ene)に分類されるフラボノイドであり、下記一般式(2)で表される化合物である。
【0026】
【化2】

【0027】
グラブロール(glabrol)は、フラバノン(flavanone)に分類されるフラボノイドであり、下記一般式(3)で表される化合物である。
【0028】
【化3】

【0029】
グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、ヒスパグラブリジンBは、甘草の中でもグリキリーザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)に特異的に含まれる成分であり、他品種にはほとんど含まれていない。ただし、G.グラブラと他品種との雑種においては含まれる場合もある。該化合物は、ODSなどの逆相カラムを用いたHPLC分析により、他のフラボノイド成分と分離して検出、定量することができる。
【0030】
上記化合物は、油脂に溶解された状態で使用するのが好ましい。その場合、精製あるいは合成された上記化合物を直接油脂に溶解してもかまわないが、後述するように、甘草を水溶性有機溶剤で抽出して、上記化合物を含有する甘草抽出物を得、該抽出物に油脂を接触混合する方法が簡便で好ましい。
【0031】
ところで、本発明においては、甘草非水溶剤抽出物中の有効成分含量を高め、且つ、グリチルリチン等の水溶性不純物の含量を低く抑えることが重要である。グリチルリチンは医薬としても利用されているが、血圧上昇作用、心筋障害、水血症( 以上、Harders, H. & Rausch-Stroomann, J. G., Munch. Med. Wschr. 95, 580 (1953) ) 、低カリウム血症、血漿レニン活性減少、偽性アルドステロン症、四肢弛緩性麻痺(以上、Conn, J. W., Rovner, D. R. & Cohen, E. L., J. Am. Med. Assoc. 205, 492( 1968) ) 、尿中アルドステロン排泄減少、浮腫、頭痛、嗜眠状態(以上、Epstein, M. T., et al., Brit. Med. J., 1, 488 (1977) )等の副作用があり、またショ糖の150倍の甘さがある。
【0032】
グリチルリチンの混入は、甘草非水溶剤抽出物のもつ種々の効果を阻害したり、上記副作用や強い甘さのために食品等としての利用に不利を生じる。得られる甘草非水溶剤抽出物中の有効成分含量を高め、且つ、グリチルリチン等の水溶性不純物含量を低く抑えるためには、非水溶剤による抽出時に共存する水分含量を低くするのが好ましい。そのためには、一般に、極力乾いた甘草を用い、更に、水をできるだけ含まない非水溶剤を使用することが重要となる。しかしながら、甘草はいうまでもなく植物体であり、極力乾いた甘草を得るためには、通常行われている天日干し等では必ずしも十分ではなく、乾燥器等の使用が必要となる。これは、工業的規模での生産上、大きな難点となる。また、水を含まない非水溶剤を最初に使用したとしても、用いる甘草や作業環境からの水分の混入を完全に防止することが困難なために、抽出後は水分含量の増加した非水溶剤として回収される。これを、そのままリサイクルすると水分含量の高い抽出溶剤を使用することになるため、非水溶剤を使い捨てにするか、あるいは、無水化のための特殊で高価な精製設備が必要となり、いずれにせよ、製造コストの上昇につながる。
【0033】
水分を含有する非水溶剤を使用した場合でも、上記高品質の甘草非水溶剤抽出物を得る為には、甘草の形態として、全表面積に占める皮の面積の割合が高いもの、普通3割以上、好ましくは5割以上、より好ましくは7割以上、とりわけ8割以上、なかんずく9割以上のものを使用するのが好ましい。またその場合、非水溶剤として、上述したような水溶性有機溶剤、好ましくは炭素数2〜4の1価アルコール、より好ましくはエタノールを用いる場合にその効果が最大限に発揮される。用いる非水溶剤の含水率としては、普通約30容量%以下、好ましくは約20容量%以下、より好ましくは約10容量%以下、とりわけ約8容量%以下のものを好適に使用しうる。下限は、特に制限されないが、実用性の観点から、普通約3容量% 、好ましくは約4容量%である。
【0034】
上記好ましい方法により、有効成分含量が高く、水溶性不純物含量の低い高品質の甘草非水溶剤抽出物を好適に取得できる。得られる抽出物中のグリチルリチン含量は、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、さらに好ましくは0.01重量%未満あるいは検出限界以下(実質的にグリチルリチンを含まない)に最小化できる。また、甘草を特別に乾燥することなく、抽出溶媒として安価な含水した水溶性有機溶剤を使用する場合においても高品質の抽出物を好適に取得できるため、製造プロセスの簡略化とコスト削減の点で、非常に大きなメリットが期待できる。
【0035】
この場合の水溶性有機溶剤による抽出の方法は特に限定されず、上述したような抽出方法がそのまま利用できる。
【0036】
但し、特に水溶性有機溶剤を抽出溶媒として得られる甘草非水溶剤抽出物は、水及び一般的な油にはほとんど溶解せず、水溶性有機溶剤抽出物のままでは固結し易く着色する等、不安定なことが知られている為、使い易く且つ安定な状態に製剤化することが必要とされる。また、抽出に有機溶剤を使用することから、製造コストが高く、環境への負荷も大きい等、改善すべき問題点が多い。
【0037】
その問題を解決するためには、抽出に用いる非水溶剤として2種類の溶剤を使用し、甘草を第1の非水溶剤である水溶性有機溶剤と接触させて得られる抽出物に、更に別の第2の非水溶剤を接触させるという、2段階の抽出を行うことが好ましい。
【0038】
このとき、2段階目の抽出に用いる第2の非水溶剤としては油脂が好ましい。特に、油脂として後述するような特定の油溶性の多価アルコール脂肪酸エステルを用いることにより好適に上述の目的を達成し、さらにはそのままであらゆる用途にも使用できる油脂組成物とすることができる。
【0039】
2段階抽出の際に第2の非水溶剤として使用する油脂は、多価アルコールの誘導体を含有するものであるのが好ましく、さらには多価アルコールの誘導体として油溶性の多価アルコール脂肪酸エステルを10重量%以上含有する油脂が好ましい。油脂中の油溶性の多価アルコール脂肪酸エステル含量が10重量%以上の場合に、特に、甘草非水溶剤抽出物を抽出する効果が十分に発揮される。本発明で使用する油溶性の多価アルコール脂肪酸エステルとしては、同一分子内に水酸基を2個以上有するアルコールの脂肪酸エステルであれば特に限定されず、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、糖、糖アルコール、ポリソルベート等の多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0040】
本発明で使用される多価アルコール脂肪酸エステルとして好ましいものは、中鎖脂肪酸トリグリセリドまたは中鎖脂肪酸トリグリセリドを主成分とするグリセリン脂肪酸エステルである。第2の非水溶剤として使用される油脂中の中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量は約50重量%以上が好ましく、約70重量%以上がより好ましい。ここでの中鎖脂肪酸トリグリセリドは、炭素原子数約6〜12の脂肪酸を構成脂肪酸とするものであれば、その脂肪酸の構成比率は特に限定されないが、炭素原子数約8〜10の脂肪酸の構成比率が約50重量%以上であるものが好ましく、約70重量%以上であるものがより好ましい。また、約20℃での比重が約0.94〜0.96、約20℃での粘度が約23〜28cPの中鎖脂肪酸トリグリセリドがさらに好ましい。また、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、天然由来のものやエステル交換などにより調製したものなど、いずれも使用することができる。
【0041】
また、本発明で使用される多価アルコール脂肪酸エステルは、脂肪酸部分グリセリドまたは脂肪酸部分グリセリドを主成分とするグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。その場合、第2の非水溶剤として使用される油脂中の部分グリセリドの含有量は約50重量%以上が好ましく、約70重量%以上がより好ましい。ここでの部分グリセリドとは、ジグリセリド(1,2−ジアシルグリセロール、1,3−ジアシルグリセロール)又はモノグリセリド(1−モノアシルグリセロール、2−モノアシルグリセロール)であり、いずれを用いても良いし、両者が混合されたものを用いても良く、構成脂肪酸についても特に限定されないが、加工性の観点から不飽和脂肪酸および/または中鎖脂肪酸を構成脂肪酸とするジグリセリドが好ましい。また、部分グリセリドは、天然由来のものやエステル交換などにより調製したものなど、いずれも使用することができる。
【0042】
さらに、本発明で使用される油脂は、上記の中鎖脂肪酸トリグリセリドと部分グリセリドが混合されたものを用いることもできる。
【0043】
本発明において、甘草を上記のように2種類の非水溶剤を使用して2段階抽出した組成物を得る方法は特に限定されないが、好ましくは、上記1回目の水溶性有機溶剤による抽出で得られた甘草有機溶剤抽出物を、第2の非水溶剤である油脂に溶解することによって得ることが出来る。この場合、甘草有機溶剤抽出物は抽出液の状態でも溶剤を除去したものでもどちらでもかまわない。甘草有機溶剤抽出物の第2の非水性溶剤への溶解は、通常の撹拌又は混合などの操作により実施できるが、撹拌又は混合などの操作により甘草有機溶剤抽出物を油脂に溶解した後に、ろ過又は遠心分離などの操作により油脂に不溶な不純物を除去することが望ましい。抽出効率を上げる為に、好ましくは30〜100℃ 、より好ましくは40〜90℃に加温して混合攪拌することが好ましく、加温による劣化を防ぐ為に、減圧下又は窒素気流下で混合攪拌を行うことがさらに好ましい。また、混合攪拌時間としては、特に限定されないが、好ましくは1時間以上、より好ましくは1〜5時間、さらに好ましくは1〜3時間である。或いは、WO03/84556記載の方法も好適に使用できる。例えば、甘草原料から直接水溶性有機溶剤と油脂により抽出することも可能であるが、甘草を水溶性有機溶剤で抽出して得られる抽出液に、油脂を混合した後、水溶性有機溶剤を除去することによっても得ることができ、好ましくは、甘草原料をエタノールと接触混合後、不要成分を除去して得られる甘草非水溶剤抽出物のエタノール溶液に、油脂、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリドを混合した後、エタノールを除去することによって得ることが出来る。さらに、本発明では、これらの甘草非水溶剤抽出物と油脂の混合物に対してさらに油脂を添加して、甘草非水溶剤抽出物と油脂の組成比を調整しても良い。
【0044】
一般に、疎水性の甘草非水溶剤抽出物は、粉末状態において不安定であり、エタノールなどの有機溶剤へ溶解しても安定性は改善されない。しかし、該抽出物を上記の好ましい方法により油脂に溶解することでその安定性を改善することができる。また、甘草非水性抽出物は難水溶性であることから、油脂に溶解した状態で使用することにより、その吸収性が向上することも期待できる。その場合、抽出物の性状は、液状又はスラリー状となるのが好ましい。
【0045】
上記の方法によって得られる甘草の非水溶剤抽出物を、本発明の酒酔い又は二日酔い防止・軽減用組成物として使用する場合、その形態は特に限定されず、例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤、散剤、シロップ、ドリンク剤などの形態で、健康食品や保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)などの飲食品、医薬品又は医薬部外品などに利用することができる。また、グラブレン、グラブリジン、グラブロール、3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン、4’−O−メチルグラブリジン、ヒスパグラブリジンBよりなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物が溶解している油脂を、そのまま単独で調理用、ソフトカプセル製剤用などとして利用することもできる。さらに、上記好ましい方法によって得られる甘草の非水溶剤抽出物と油脂の混合物は、油性の対象物と自由に混和することができるため、目的に応じて他の油脂と混合して物性を調整することが可能である。この場合、他の油脂は食品又は医薬品であることが好ましく、その種類及び使用量は、個々の製品に要求される物性や使用温度域などの諸条件を考慮して決定され、その種類及び使用量を調整することにより稠度や融点などの特性をコントロールすることができる。例えば、コーン油、ナタネ油、ハイエルシンナタネ油、大豆油、オリーブ油、紅花油、綿実油、ヒマワリ油、米糠油、パーム油、パーム核油などの植物油、魚油、牛脂、豚脂、乳脂、卵黄油などの動物油、又はこれらを原料として分別、水添、エステル交換などを行った油脂、あるいはこれらの混合油を使用して油脂組成物とすることができる。このようにして得られる油脂組成物は、サラダ油やフライ油などの液状油脂、マーガリンやショートニングなどの可塑性油脂としての利用や、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョンへ利用することができる。また、これらを原材料にして製造される飲食用の油脂含有組成物として、チューインガム、チョコレート、キャンディー、ゼリー、ビスケット、クラッカーなどの菓子類、アイスクリーム、氷菓などの冷菓類、乳飲料、清涼飲料、栄養ドリンク、美容ドリンクなどの飲料、うどん、中華麺、スパゲティー、即席麺などの麺類、蒲鉾、竹輪、半片などの練り製品、ドレッシング、マヨネーズ、ソースなどの調味料、パン、ハム、スープ、各種レトルト食品、各種冷凍食品などが例示され、ペットフードや家畜飼料などへも利用することができる。
【0046】
さらに、栄養強化を目的として、ビタミンA,D,Eなどの各種ビタミン類を添加、併用してもよいし、呈味剤としての各種塩類、各種香料、乳関連物質、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、発酵乳、乳脂肪などを添加、併用してもよい。また、上記以外の原材料として、通常の油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョンに使用される酸化防止剤、着色剤などを全て使用することができる。
【0047】
また、本発明の酒酔い又は二日酔い防止・軽減用組成物は、上記甘草の非水溶剤抽出物の他に、飲食用または医薬用に許容される担体を含みうる。該医薬用担体は、例えば経口、経腸、経皮、皮下、または非経腸投与のため好適な任意の不活性、有機または無機材料であり得、限定されないが水、ゼラチン、アラビアガム、ラクトース、微結晶性セルロース、スターチ、ナトリウムスターチグリコレート、燐酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、およびコロイド性二酸化ケイ素等であることができる。そのような組成物はまた、他の薬理学的活性な製剤成分、および通常の添加物、例えば安定剤、湿潤剤、乳化剤、香味剤、および緩衝剤等を含みうる。
【0048】
本発明において、酒酔い、二日酔いの防止・軽減効果の確認は、動物(マウス、ラットなど)を用いて、エタノール及び被検サンプルを与えて、行動観察や血中のエタノール濃度及びアセトアルデヒド濃度を測定する方法で可能である。サンプルの与え方は餌あるいは飲料水中に混入させても良いし、またゾンデなどを用いて強制的に経口投与しても構わない。被験サンプルの投与タイミングを工夫することで酒酔い防止あるいは二日酔い防止の効果を確認することができる。また、ボランティアによるヒトでの試験も可能である。
【0049】
本発明の組成物は、エタノールに起因する酒酔いだけでなく、アセトアルデヒドの残留による二日酔いの症状も防止または軽減する優れた効果を有する。すなわち、本発明の組成物は、酒酔い又は二日酔いの防止・軽減剤としても利用できる。本発明の酒酔い又は二日酔い防止・軽減用組成物(酒酔い又は二日酔いの防止・軽減剤)を摂取する方法は特に限定されないが、飲酒前、飲酒中、または飲酒後などの飲酒前数時間〜飲酒後数時間の間に摂取するのが効果的であり、さらに飲酒前0〜2時間の時期に摂取するのがより好ましい。摂取経路も特に限定されないが、経口投与が簡便で好ましい。あるいは、飲酒に関係なく、日常的に継続的に摂取することでも酒酔いや二日酔いの防止・軽減効果を得ることができ、さらにはアルコール依存症や肝臓障害、膵臓炎等の予防にも役立つことが期待できる。摂取量は特に限定されないが、甘草非水性溶剤抽出物の量に換算して、成人で30〜500mg/回または30〜500mg/日の範囲の量が好ましく、50mg〜300mg/回または50〜300mg/日の範囲の量がより好ましく、80mg〜200mg/回または80〜200mg/日の範囲の量がさらに好ましい。
【実施例】
【0050】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0051】
アフガン産甘草(G.グラブラ)9.85kgにエタノール49.25Lを加え、45℃、2時間で2回抽出し、次いで濃縮して、濃縮液4.4Lを得た。そのうち3Lを更に濃縮して、活性炭処理し、さらに濃縮して、甘草非水溶剤抽出物を含有したエタノール溶液811.2gを得た。
【0052】
上記のエタノール溶液629.2g(甘草非水溶剤抽出物125.8gを含有)と中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)(アクターM−2、理研ビタミン(株)製、脂肪酸組成はC8:C10=99:1)187.6gを混合し、約80℃に保温しながら約1時間撹拌した後、減圧濃縮によりエタノールを除去した。吸引ろ過により不溶分を分離し、ろ別後のろ液にMCT45.7gを更に添加して、MCT溶液297.0gを得た。得られたMCT溶液1gをHPLC用メタノールに溶解し、全量を100mlとし、この溶液を試料として下記の条件にてHPLC分析を行った結果、前記MCT溶液1gあたりにグラブレン、グラブリジン、グラブロール、4’−O−メチルグラブリジンがそれぞれ6.6mg、30.8mg、12.6mg、3.7mg含まれていることがわかった。また、該MCT溶液中の甘草非水溶剤抽出物の含有量は約30重量%であった。
【0053】
(HPLC分析条件)
分析カラムは、J’sphere ODS−H80,4.6×250mm(ワイエムシィ)をカラム温度40℃にて使用した。移動相は、20mMリン酸水溶液に対してアセトニトリルの比率を分析開始から20minまで35%で一定とし、20min以降75min後に70%となるように一定の比率で上昇させ、75minから80minまで80%で一定とするグラジエント条件で、流速1ml/minとした。注入量は20μlとし、検出波長は254nmとした。各化合物の保持時間は、グラブレンが40.0min、グラブリジンが50.2min、グラブロールが58.3min、4’−O−メチルグラブリジンが66.8minである。
【実施例2】
【0054】
SD系雄性ラット(チャールズリバー) を6週齢で購入し、約1週間馴化飼育した後、7週齢で実験に使用した。20匹のラットを体重を指標にして均等となるよう5匹ずつ4群に分けた。正常群にはMCTを3ml/kgと蒸留水を8ml/kg投与した。対照群にはMCTを3ml/kgと37.5%エタノールを8ml/kg投与した。サンプル低用量投与群には、実施例1で得られた甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液を1ml/kgと37.5%エタノールを8ml/kg投与した。サンプル高用量投与群には、実施例1で得られた甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液を3ml/kgと37.5%エタノールを8ml/kg投与した。MCTまたは甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液(サンプル)は、蒸留水またはエタノール投与の30分前に投与した。酒酔いの状態は、エタノール投与後5〜10分までの間のラットの自発運動状態で評価した。
【0055】
【表1】

【0056】
その結果、表1のように、エタノールを摂取しない正常群では全ての個体が動かない状態であったが、対照群ではエタノールの影響と考えられる活発な自発運動の増加が有意に認められた。それに対して、甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液を投与することで運動量は低下し、1ml/kgの投与量でも運動量の抑制傾向が認められ、3ml/kgの投与量では対照群に対して優位な差が認められた。これは、エタノールによる興奮状態を、甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液が抑制した結果と考えられる。つまり、甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液は、エタノールによる酒酔い状態を抑制する効果を有することが確認された。
【実施例3】
【0057】
甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液の人での効能については、年齢・性別についてランダムに選んだ被験者16人について、実施例1で得られた甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液を、飲酒前に300mg摂取して酒を摂取する宴会に出席したときの酒酔い及び二日酔いの程度と、1週間後に甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液を飲まずに宴会をしたときの酒酔い及び二日酔いの程度を比較することで評価した。両宴会で、アルコール飲料の飲酒量は同一とし、下記の自覚症状のある項目について回答してもらい、その合計人数を集計した。その結果を以下に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
表2、表3で示すように、甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液を摂取することで、酒酔いの症状が緩和されるだけでなく、二日酔いの症状をも緩和されることが明らかとなった。特に、本発明の組成物には二日酔いに対して強い緩和効果が認められた。
【実施例4】
【0061】
ソフトカプセル剤の製造
実施例1の甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液を、ロータリー式ソフトカプセル製造装置を用いてゼラチン皮膜に圧入し、内容量350mgのソフトカプセル剤を得た。
【実施例5】
【0062】
マーガリンの製造
硬化綿実油(商品名:スノーライト、株式会社カネカ製)80重量部、実施例1の甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液20重量部、無塩バター(四つ葉乳業(株)製)10重量部に、グリセリンモノ脂肪酸エステル(商品名:エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)0.2重量部、レシチン0.2重量部を添加し、60℃に加熱溶解し油相を調製した。
【0063】
調製された油相84.9重量部に撹拌しながら水15.1重量部を添加し、20分間乳化を行った後、コンビネーターで冷却捏和してマーガリンを作製した。
【実施例6】
【0064】
濃縮乳の製造
実施例1の甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液10重量部を70℃に加温後、レシチン0.1重量部及びポリグリセリン脂肪酸エステル0.1重量部を順次溶解して油相を作製した。
【0065】
脱脂粉乳25重量部、グリセリン脂肪酸エステル0.1重量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1重量部を60℃の水64.6重量部に溶解して水相を調製した。
【0066】
調製した水相と油相を予備乳化した後、UHT殺菌機にて145℃で4秒間殺菌した。次いで真空冷却した後、均質化機により10MPaの圧力で均質化し、更に10℃までプレート冷却して加工用濃縮乳を得た。
【実施例7】
【0067】
マヨネーズの製造
醸造酢10重量部、食塩1重量部、砂糖0.6重量部、マスタード粉末0.2重量部、グルタミン酸ナトリウム0.2重量部を混合器の中に加え、15〜20℃下で攪拌・混合し水相を調製した。その後、米白絞油68重量部、実施例1の甘草非水溶剤抽出物を含むMCT溶液10重量部に卵黄10重量部を加え、攪拌乳化して得た乳化液(10〜15℃)を少しずつ加えながら15〜20℃下で攪拌し、予備乳化した。次いで、コロイドミルを用いて仕上げ乳化を行いマヨネーズを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘草の非水溶剤抽出物を有効成分として含有する酒酔い又は二日酔い防止・軽減用組成物。
【請求項2】
非水溶剤が、有機溶剤、油脂又はそれらの混合溶剤である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物の性状が液状又はスラリー状である請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
甘草の非水溶剤抽出物中のグリチルリチン含量が0.5重量%以下である、請求項1〜3いずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
甘草の非水溶剤抽出物が、甘草を第1の非水溶剤と接触させて得られる抽出物に、更に別の第2の非水溶剤を接触させることにより得られるものである、請求項1〜4いずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
第1の非水溶剤が有機溶剤である請求項5記載の組成物。
【請求項7】
有機溶剤が、炭素数1〜4の1価アルコール、アセトン、ヘプタン、ヘキサン、グリセリン、脂肪酸エステル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン及びプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項6記載の組成物。
【請求項8】
第2の非水溶剤が、油脂である請求項5〜7いずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
油脂が多価アルコール脂肪酸エステルを含むものである請求項8記載の組成物。
【請求項10】
多価アルコール脂肪酸エステルが、グリセリン脂肪酸エステルである、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
油脂が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを50重量%以上含むものである、請求項8記載の組成物。
【請求項12】
油脂が、脂肪酸部分グリセリドを50重量%以上含むものである、請求項8記載の組成物。
【請求項13】
医薬用である請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。

【公開番号】特開2011−1348(P2011−1348A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112425(P2010−112425)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】