説明

酢酸を効率良く製造するための及び水バランスを制御するための低含水メタノールカルボニル化法

【課題】酢酸を製造するための改良方法を提供する。
【解決手段】ロジウムベースの触媒を用いて、メタノール及びその反応性誘導体をカルボニル化して酢酸を製造する方法において、水分濃度を低く抑え、高濃度の酢酸メチルと組み合わせて、ロジウムベースの触媒の極めて高い触媒濃度を用いると、速い反応速度を達成できる。本方法によって、少なくとも15g・mol/l/hrの反応速度が達成される。高速反応は、2.0重量%未満の水濃度で進行する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、酢酸を製造するための改良方法に関する。
関連技術
酢酸を製造するための重要な方法は、液体反応媒体中において、アルキルアルコール、特にメタノール、及びその反応性誘導体を、一酸化炭素でカルボニル化する方法である。前記カルボニル化反応は、通常は、触媒、例えばロジウム及びイリジウムのようなVIII族金属触媒と、ハロゲン含有触媒促進剤、例えばヨウ化メチルと、そして水の存在下で行われる。米国特許第3,769,329号は、ヨウ化メチルで例示されるようなハロゲン含有触媒促進剤と一緒に、液体反応媒体中に溶解されたもしくは分散された、又は不活性固体上に担持されたロジウムベースのカルボニル化触媒の使用を開示している。しかしながら、様々な触媒系、特にVIII族金属を含む触媒系を、メタノールのカルボニル化によって、酢酸を製造するために用い得ることが了解される。一般的に、カルボニル化反応は、一酸化炭素ガスが連続的に泡立てられている液体反応媒体中に溶解されている触媒により実行される。 米国特許第3,769,329号は、反応混合物に水を加えて反応速度に有益な効果を及ぼすことができること、またその場合、水の濃度は、典型的には、約14重量%(wt.%)〜約15重量%であることを開示している。この方法は、時には「高含水(high water)」カルボニル化法と呼ばれる。
【0002】
「高含水」カルボニル化法の代替法は、米国特許第5,001,259号、米国特許第5,026,908号、及び米国特許第5,144,068号に記載されているような「低含水」カルボニル化法である。「低含水」カルボニル化法では、14重量%未満の水濃度を用いることができる。低い水濃度を用いると、望ましいカルボン酸のその結晶形態への下流処理が単純化される。反応流中に多くの水が存在していると、生成物酢酸から水を除去する運転コストが嵩み、また、生成物を回収し精製する装置への設備投資も更に必要となる。極めて低い水濃度で運転するときに達成される効率を考えれば、可能な限り最低の水濃度で運転することは魅力的である。しかしながら、反応器の水を減らして運転コストと固定費を最小限に抑える場合、米国特許第5,026,908号で説明されているように、反応器の水が減ると反応速度が低下するので、良好な触媒安定性によって、酢酸製造の許容可能に高い速度を維持することは難しくなる。
【0003】
低含水製造と関連のある問題点の一つは、水の濃度が低下するとき、特に、14重量%未満の濃度のときに、触媒系、特にロジウムベースの触媒が、反応混合物から沈殿する傾向がある点である。有意な触媒沈殿は、もちろん、反応速度の低下、単位操作の中断及び完全な運転停止につながることがある。触媒安定性の問題は、触媒安定剤、例えば可溶性の金属ヨウ化物又は第四ヨウ化物塩(quaternary iodide salt)を用いることによって、最小限に抑え得ることは公知である。米国特許第5,218,143号で検討されているように、特に好適な塩は、ヨウ化リチウムのようなアルカリ金属ヨウ化物であり、その理由は、それらが、反応媒体中で最も可溶性で且つ耐熱性であるからである。EP−A−第0161874号には、アルコール、例えばメタノールを、低含水量の液体反応媒体を用いて、酢酸のようなカルボン酸誘導体へとカルボニル化する反応系が記載されている。その開示は、その反応が、液体反応媒体において、ヨウ化物塩、ヨウ化アルキル及び対応アルキルエステルの規定濃度を用いてロジウム触媒の安定性及びシステム生産性を維持することにより達成されることを記載している。
【0004】
より低い水濃度でのカルボニル化反応と関連のある更なる問題は、触媒系が安定化されているときでも、生成速度が不都合に低下するということである。例えば、米国特許第5,760,279号は、低含水条件下で運転するときに比べて、実際の反応速度が、所定の条件セット下で通常予期されると考えられる反応速度の半分にも満たない場合があることを開示している。
【0005】
低含水カルボニル化反応条件下で生成速度を増加させるための様々な技術が提案されてきた。生成速度は、カルボニル化反応器中に含まれる反応媒体1リットルにつき1時間あたりに生成される酢酸のグラムモル(g・moles/l/hr)で表現される空時収量(STY)によって、典型的に定義される。反応媒体の体積は、非曝気状態において、周囲温度で測定される。米国特許第5,218,143号は、反応器が、反応混合物中酢酸メチルの最適化された濃度により運転される場合、生産レベル(production level)が低い水濃度で増強され得ることを開示している。EP−0−第250189号は、反応混合物への一酸化炭素供給において、水素ガスを加えて、生成速度を速めることを提案している。米国特許第5,939,585号は、触媒促進剤としてルテニウム又はオスミウムを使用して生成速度を速めることを開示している。この特許の開示は、前記促進剤を用いると、1.0重量%未満の水濃度という低含水条件下では、STYは約11g・mol/l/hr以下の場合があることを示している。米国特許第5,218,143号は、2.0重量%の水濃度において、9.2g・mol/l/hr程度まで、低含水条件下でSTYを増加させるためのVIB族金属触媒補助安定剤の使用を開示している。米国特許第5,760,279号は、ロジウム触媒と一緒にマンガン安定剤を混和すると、4.5重量%の水濃度において、最大約8g・mol/l/hrまでSTYが増加する場合があることを示している。米国特許第5,488,153号及びGB第2,336,154 A号は、低含水条件下で反応速度を上げるために、ロジウム触媒に配位結合される二座配位の燐・硫黄配位子の使用を提案している。米国特許第5,488,153号の実施例では、STYが最大19.6g・mol/l/hrまでの生成速度の達成が開示されている。GB第2,336,154 A号は、21.9g・mol/l/hr程度の反応速度を開示している。これらの引例で開示されているこれらの反応は、高含水条件下で起きている。
【0006】
上記引例のいくつかは5000ppm程度のロジウム触媒濃度に言及しているが、これらの引例における実施例では、一般的に、約1000ppm以下のロジウム触媒濃度が開示されている。
【0007】
米国特許第5,144,068号では、低い水濃度において、カルボニル化反応器中において、酢酸メチルとヨウ化物塩安定剤との間に相乗効果が存在し、その結果として、メタノールのカルボニル化が増強されることが開示されている。高濃度の酢酸メチルで反応器を運転する利点は、望ましくない反応生成物の形成が減少する点であることも開示されている。特に、プロピオン酸は1桁減少している。水性ガス転化反応により形成される二酸化炭素と水素も減少している。
【0008】
カルボニル化反応速度が水濃度に強く依存しているので、速い反応速度を維持するために制御範囲内で、酢酸を製造している間、反応混合物中の水レベルを維持することは重要である。Hjortkjaer and Jensen [Ind.Eng.Chem.Prod.Res.Dev.16,281−285(1977)]では、水濃度が14重量%まで増加するにつれて反応速度が増すことを証明することにより、水レベルに関する反応速度の強い依存性が開示されている。反応混合物における水の制御は、反応混合物における2つの重要な反応によって、少なくとも部分的に影響を受けることがある。第一の反応は、以下の反応式:
CHOH + H → CH + H
にしたがうメタン化によって、水を生成する。
【0009】
水を消費する第二の反応は、以下の反応式:
CO + HO → CO + H
により示される上記の水性ガス転化反応として公知である。
【0010】
反応媒体中の水を効果的に制御するためには、水供給運転又は反応域からの水除去運転を規定し、反応域内において、正確な水バランスを維持し、反応器の水濃度の変化の結果として反応カルボニル化速度の変化を最小限に抑えるためにどちらの反応が優位であるかを知ることは重要である。
【0011】
米国特許第5,831,120号は、イリジウムにより触媒されるカルボニル化反応において、メタン化反応による水の生成速度は、比較的速く、また、水性ガス転化反応による水の消費速度に比べてより速くなり得ることを開示している。この状況では、不均衡によって、発生する過剰な水を取り除く必要がある。それとは対照的に、米国特許第5,831,120号は、ロジウムで触媒されるカルボニル化反応において、メタン化反応が、水性ガス転化反応の速度に比べて比較的遅いので、水が反応系で消費されることも開示している。典型的には、ロジウムで触媒される系に水を提供して、反応混合物中の水の定常状態濃度を維持する必要がある。
【0012】
カルボニル化反応系において、生成される粗生成物流から過剰の水を取り除くための様々な手段が提案されてきた。米国特許第3,769,177号及び第3,791,935号は、一連の蒸留による反応系からの水の除去を開示している。米国特許第4,008,131号は、蒸留塔から水を除去するために側留を用いることによる前記系の改良を開示している。前記系の主張されている利点は、水が蒸留塔の オーバーヘッドから取り出されるときに、水による有用なヨウ化メチルの除去を最小限に抑える点である。これらの特許で開示されているプロセス系は、プロセス系の後反応域において、粗生成物流から水を除去するための手段を目的としている。而して、開示された系は、カルボニル化プロセス系の反応域において、水を制御することには対処していない。
【0013】
米国特許第5,831,120号は、軽留分蒸留塔の オーバーヘッドからの水の除去と廃棄とを組み合わせて行い、そして、反応混合物へのメタノール供給の一部を、酢酸メチル、ジメチルエーテル、無水酢酸及びそれらの混合物から成る群より選択される成分で置換することによって、イリジウムにより触媒される系中に存在する過剰な水を除去することを開示している。前記特許は、ジメチルエーテル及び酢酸メチルをカルボニル化して、水の正味の消費と一緒に酢酸を生成させ、そして、無水酢酸は、酢酸を生成させるための反応によって、反応混合物から水を除去する。このプロセスでは、水は、以下の反応式:
【0014】
【化1】

にしたがって消費されると考えられる。
【0015】
米国特許第5,001,259号及び関連米国特許第5,026,908号及び第5,144,068号は、反応域の水濃度を、有限な(0.1重量%以下)水濃度から高い水濃度まで極めて低レベルに維持しながらも速いメタノールカルボニル化速度が達成されるロジウムにより触媒される低含水カルボニル化法を開示している。これらの特許は、反応媒体濃度は、一酸化炭素、水、メタノール、及びヨウ化メチルの流量を制御することによって、維持されることを開示している。これらの特許で開示される最も速い酢酸生成反応速度は、2重量%の水濃度において、STY約32である。しかしながら、2重量%未満の水濃度において、開示された最も高い酢酸STYは約12である。これらの特許の図10は、2.0重量%未満の水濃度では、有利な反応速度を維持することの難しさを示している。図10に示してあるように、水濃度が2.0重量%未満になると、反応速度は急激に低下する。
【0016】
要約すると、カルボニル化技術における技術状態は、制御可能な低含水条件下において、高度に安定な触媒系を維持し、且つ、2重量%未満の水濃度において、15g・mol/l/hr以上の反応速度STYを達成するのに有用である方法を未だに欠いている。
【0017】
発明の概要
本発明は、低含水量の反応混合物において、アルキルアルコール、アルキルアルコールの反応性誘導体、及びアルキルアルコールとそれらの反応性誘導体との混合物をカルボニル化することによって、酢酸を製造する方法に関する。低含水条件下で酢酸を生成することに加えて、本発明は、速い酢酸生成速度を提供する。本発明の更なる特徴は、速い生成速度で運転しつつ、制御された範囲において、低い水濃度を維持することである。本発明は、2.0重量%未満の反応混合物中水濃度下で、15g・mol/l/hr以上の酢酸生成速度を達成する。本発明の方法は、高レベルの酢酸メチルと一緒に、高レベルのロジウム又はロジウム/イリジウム触媒系を使用する。特定の条件下では、本方法の反応混合物における水濃度は、例えばジメチルエーテル、酢酸メチル、無水酢酸、又はそれらの化合物から成る混合物のような水消費成分をプロセスに加えることを含む少なくとも一つのプロセス工程によって、所望の濃度に維持される。水消費成分を反応混合物に加える工程は、カルボニル化反応混合物において、水濃度を制御するための他のプロセス工程と組み合わせることができる。
【0018】
発明の詳細な記述
コスト的見地からすると、反応器において、低含水条件でカルボニル化法を運転するのは望ましいが、米国特許第5,144,068号で検討されているように、低含水条件下では、前記方法の生成収量は、他の条件が同様であって水濃度がより高い条件下で運転するときに予期される生成収量に比べて、かなり低い場合があることは公知である。しかしながら、本発明は、予期外に速い反応速度を達成でき、それと同時に、反応混合物中2重量%未満の水濃度下で運転することができ、また2重量%未満の水濃度のコスト的利点を得ることできる。本発明は、ロジウムベース又はロジウム/イリジウムベースの触媒系の主要な反応成分を最適化し、それと同時に、極めて低い水濃度を効果的な範囲内に維持することによって、これらの速い生成速度を得ることができる。
【0019】
本発明は、高度な生成速度を有する低含水カルボニル化法に関する。過去の理解に反して、高い触媒濃度と共に、酢酸メチル、特に、高濃度の酢酸メチルと、ヨウ化物塩助促進剤との相乗効果を用いることによって、高濃度の触媒の使用を介して、極めて高いレベルに反応速度を引き上げ且つ維持できることを発見した。特定の条件下では、これらの方法は、カルボニル化反応中に、水を生成する場合がある。すなわち、先ほど確認したメタン化反応による水の生成は、検討された水性ガス転化反応による水の消費を上回る。本発明はこれらの条件を把握し、そして速い反応速度を維持すると共に、前記条件中に、反応混合物において、水バランスを維持する方法を提供する。
【0020】
一酸化炭素によるメタノールの触媒カルボニル化によって酢酸を合成する方法は、上記引例の開示により例示されているように当業において、公知である。例えば、VIII族金属元素、特にRh、Ir、Co、Ni、Ru、Pd又はPt、及び多くの場合Rh又はIrと、ハロゲン促進剤、多くの場合ハロゲン化水素又は有機ハロゲン化合物、特にヨウ化アルキル、例えばヨウ化メチルと、周期律表のIA族もしくはIIA族の金属の塩、又は第四級のアンモニウムもしくはホスホシウム(phosphosium)の塩、特にヨウ化物塩もしくは酢酸塩、及び多くの場合ヨウ化リチウムもしくは酢酸リチウムである安定剤/助促進剤とを含むことができる触媒系の存在下で、一酸化炭素は、メタノール及び/又はその反応性誘導体と反応する。活性触媒は、VIII金属の錯体であることができ、また、場合によっては、説明した独立した触媒成分としてではなく、予め形成された錯体として反応域に加えることができる。触媒系は、酢酸メチル、酢酸、有限量の水、例えば少なくとも約0.1重量%の水、及び存在する他の成分と相溶性である任意の他の溶媒成分を含む液体媒体中に溶解又は分散される。カルボニル化反応に用いられるメタノールの好適な誘導体としては、酢酸メチル、ジメチルエーテル及びヨウ化メチルが挙げられる。
【0021】
本発明方法のための好適な触媒系は、VIII族金属としてロジウム及びロジウム/イリジウム金属及び化合物、及びハロゲン促進剤としてヨウ化アルキルを含む。反応媒体中におけるヨウ化アルキルの濃度、通常はヨウ化メチルの濃度は、典型的には約2.0〜約30重量%であり、一つの態様では約5.0〜約15重量%であり、更に別の態様では約5〜約10重量%である。触媒安定剤/助促進剤も用いることができる。安定剤/助促進剤は、上で定義した有効量のヨウ化物イオンを反応溶液中で生成するアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属由来の可溶性塩又は第四級のアンモニウムもしくはホスホニウムの塩の形態であり得る。触媒安定剤/助促進剤は、好ましくはヨウ化リチウム、酢酸リチウム又はそれらの混合物である。触媒系は:ルテニウム、タングステン、オスミウム、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、マンガン、チタン、バナジウム、銅、アルミニウム、スズ及びアンチモンの塩から成る群より選択される遷移金属塩を助促進剤として更に含むことができる。反応媒体のヨウ化物イオンの濃度は、一般的に約2.0〜約20重量%である。一つの態様では、ヨウ化物イオンは、約5.0〜約20重量%で存在し、また、別の態様では約10〜約20重量%で存在する。これらの反応成分のすべては、酢酸メチル
、酢酸、及び低濃度の水を含む媒体中に溶解されるか又は分散される。反応媒体における酢酸メチルの濃度は、一般的には約1.0〜約30重量%であり、一つの態様では約2.0〜約15重量%であり、更に別の態様では約3.0〜約10重量%である。ロジウム触媒系は公知である。VIII族金属としてロジウムを含む好適な触媒系は、米国特許第3,769,329号で例示されている。イリジウム塩と組み合わせたロジウム塩を用いる触媒系も公知である。好適なロジウム/イリジウム触媒系は、米国特許第6,211,405号で例示されている。ロジウムベースの触媒系及びロジウム/イリジウムベースの触媒系は、以下、ロジウムベースの触媒系と呼ぶ。本出願では、VIII族金属とは、特定されたVIII族金属、及び特定されたVIII族金属を含有している化合物を指している。
【0022】
活性反応の間に、メタノール及び一酸化炭素は、一酸化炭素の所望のガス分圧が維持されている反応液を含む反応器へと連続的に供給される。既に言及し且つ以下で検討しているように、反応液は、既に特定された所望の成分に加えて、少量の望ましくない不純物、例えば、アセトアルデヒド及び他のカルボニル含有過マンガン酸塩還元化合物(「PRC」)、及びプロピオン酸を含んでいてもよい。PRCは、本明細書では、例えば不飽和アルデヒドの形成を誘導するアセトアルデヒドのようなカルボニル化合物、及び、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒドなど及びそれらのアルドール縮合生成物のような他のカルボニル不純物と定義される。他のPRCとしては、ヨウ化アルキル、例えば、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ペンチル、及びヨウ化ヘキシルなどが挙げられる。
【0023】
不活性な化合物又は薬剤の蓄積を防止するために、ガスパージ(gaseous purge)を、反応器の最上部から取り出し、そしてそれを処理して、ヨウ化メチル及び酢酸メチルのような有用な凝縮可能物(condensable)をフレアとする前に回収する。反応液は、反応器から取り出して、二次気水分離器(flasher)に供給し、そこで、圧力を低下させて、反応混合物及び生成物酢酸からより軽い成分を蒸発させ、得られた主として酢酸と触媒とを含む反応混合物の残りを反応器へと再循環させることができる。二次気水分離器からの蒸気をライトエンドカラム又はスプリッタカラムに供給し、そこから、粗酢酸生成物を、米国特許第5,144,068号に記載されているように、液体サイドドロー又は液体ベース生成物として取り出し、そして、それを更なる精製へと送り、そしてオーバーヘッド蒸気を凝縮させて、軽い水相と重い有機相とに分離する。軽い水相は、多量の水と、少ないが有意な量の酢酸と、はるかに少量のメタノール、ヨウ化メチル及び酢酸メチルとを含む。初期反応の副生物であるか、又はアセトアルデヒドの更なる反応からその後に形成される、アセトアルデヒド及び他のPCRも存在している。軽い水相に比べて、重い有機相は、主にヨウ化メチル、いくらかの酢酸メチル、半量未満の水、及び典型的にはより低い%でアセトアルデヒドを含む。重い有機相は、反応域に直接再循環されるか、又は更なる処理後に再循環される。
【0024】
ライトエンドカラムのオーバーヘッド凝縮液の軽い水相は、典型的には還流として用いられ、また、一部は反応域に直接再循環される。本明細書で使用される用語「反応域」とは、系の反応器及び二次気水分離器構成要素を集合的に指している。いくつかの方法では、軽い水相は、まず最初に、例えば、米国特許番号第6,143,930号及び米国特許第3,769,329号で開示されているアセトアルデヒド除去システムに最初に供給される。アセトアルデヒド除去システムの一つの変体では、ライトエンドカラムオーバーヘッド凝縮液の軽い水相は、「アセトアルデヒド濃縮器」と呼ばれる第一蒸留塔に供給され、そしてそこで、精製域に再循環される酢酸及び水を含む重質留分から、オーバーヘッドとして、アセトアルデヒド、ヨウ化メチル及び酢酸メチルの大部分が分離される。次に、後者のオーバーヘッドは、この流れの中に存在するアセトアルデヒドの大部分を、精製域
に再循環されるヨウ化メチル及び酢酸メチルを含む重質留分から分離するのに役立つ「アセトアルデヒドストリッパ」と呼ばれる第二蒸留塔に供給される。次に、濃度が増したアセトアルデヒドと、ヨウ化メチルのようないくつかのより重い成分とを含む後者のオーバーヘッドは、水で抽出されて、殆どアセトアルデヒドのみを含む水抽出液と、精製域へと再循環されるヨウ化メチルのような流れを構成する水により溶け難い成分を含む有機ラフィネートとが得られる。水性アセトアルデヒド流は廃水として廃棄される。本明細書で使用される用語「精製域」とは、システムの蒸留及びセパレーター/デカンターの構成要素を集合的に指している。
【0025】
連続カルボニル化法は、3つの基本的区域:すなわち、反応域、精製域及びオフガス処理域を含むと考えることができる。図1を説明する。アルキルアルコール及び/又はそれらの反応性誘導体、及び一酸化炭素の連続流を、それぞれライン1及び2を通して、撹拌反応器3又は他の好適な反応器に供給する。反応の結果、前記反応器は、酢酸溶液、すなわち、ロジウムベースの触媒系、ハロゲン促進剤、助促進剤/安定剤、水、未反応のアルキルアルコール及び/又はその反応性誘導体及び一酸化炭素、及び不純物、例えばアセトアルデヒド及び他のPRC、及びより高級なヨウ化アルキルから成る酢酸溶液を含有する反応液を含む。反応域で形成されたガスは、ライン4から取り出し、反応に再循環させるの好適な成分を分離するために排ガス回収に送る。反応液を、ライン5を通して反応器3から連続的に取り出して、二次気水分離器6に供給し、そしてそこで、圧力を低下させて、酢酸の一部及びより低沸点の化合物を、触媒系のより重い成分から成る溶液から離れる蒸気として蒸発分離させる。二次気水分離器6に残留している液体は、ライン7を通して反応器3に再循環させ、一方、二次気水分離器6からの蒸気は、ライン8を通してライトエンドカラム又は「スプリッタ」カラム9に供給し、そしてそこで、ヨウ化メチル、酢酸メチル及びアセトアルデヒドを含む低沸点成分の大部分と、水の一部とをオーバーヘッドから取り出す。粗水性酢酸液を、ライン10を通してライトエンドカラム9から取り出し、酢酸回収システム(図示せず)に送る。若干の酢酸及びより高沸点の成分を含む塔底分画を、ライン11を通してライトエンドカラム9から取り出し、反応域に再循環させる。ライトエンドカラムからのオーバーヘッド蒸気流を、凝縮し、様々な公知の追加の処理工程にしたがって更に処理するために、ライン12を通して供給する。ヨウ化メチル、酢酸メチル及び若干の酢酸を含むこの更なる処理流の一部(図示せず)を、反応器又は精製域に再循環させる。
【0026】
いくつかの化学プロセスでは、化学反応の進行をモニターし、また反応体の供給を調整して、反応を望み通りに確実に進行させることが必要である。酢酸の生成は、そのような化学プロセスである。メタノール又はその誘導体、例えば酢酸メチルもしくはヨウ化メチルをカルボニル化することによって、酢酸を製造する一つの方法は、既に説明した触媒系により開始される化学反応を含む。カルボニル化は、酢酸を作るための好ましい経路である。にもかかわらず、この方法の実施に影響を与える相殺要件がある。第一に、基礎反応化学は、複雑であって、多くの相互に関連のある反応、副生物及び平衡を含んでおり、それらのすべてを互いに適切にバランスさせて、プロセスを実行可能にし且つ原料利用の効率を最大にしなければならない。また、カルボニル化のために必要な触媒系は一般的に高価である。更に、カルボニル化触媒系は、あらゆる反応パラメータの変化に非常に敏感であり、触媒安定性及び活性に関する悪影響を受けやすい。
【0027】
より高いシステム効率及び生産性を提供するためには、反応混合物において、低い水濃度で酢酸を製造することが望ましい。低い水濃度を用いると、望ましいカルボン酸のその結晶形態(すなわち、高純度形態)への下流処理が単純化される。水は粗酢酸の望ましくない成分であり、粗生成物流の中に存在する水が多くなるにつれて、反応と生成物回収精製のシステムにおける運転費及び必要な設備投資が増加することが認められる。水で占有されるシステム体積への適応、また、高含水方法での水の除去は、資本支出及びエネルギ
ー消費が大きくなることがあり、またシステム容量が制限されることがある。しかしながら、一般的に、水濃度が低下すると、カルボニル化の速度も低下することが認められる。例えば、水濃度が5.0重量%に近づくと、カルボニル化反応速度は有意に減少する。その理由は、反応速度が、特に、極めて低い水濃度においては、反応器水に非常に影響されるからである。反応系周囲で厳しく水バランスを維持することは重要であり、またもっと詳しく言えば、反応域内において、高い反応器活性、而して速い生成速度を維持することは重要である。
【0028】
本発明は、反応混合物の含水量が2.0重量%未満に維持されているときでも、反応速度を高いレベルに維持できる方法を提供する。本発明は、2.0重量%未満の水濃度及び反応混合物において、少なくとも1000ppmのロジウムベース触媒系に由来するロジウム濃度を有する少なくとも15g・mol/l/hrのSTYを有する安定な反応速度を提供する。本発明の一つの態様では、反応速度は、2.0重量%未満の反応混合物含水量において、約20〜約40g・mol/l/hrのSTYである。別の態様では、STYは、2.0重量%未満の反応混合物含水量において、25〜40のg・mol/l/hである。更に別の態様では、2.0重量%未満の反応混合物含水量におけるSTYは、本発明によると、約35〜約40g・mol/l/hrである。
【0029】
本発明は、反応混合物の狭い水バランスを維持しつつ、触媒濃度、酢酸メチル濃度及び反応温度などのような反応パラメータを最適化し組み合わせることによって、上記低い水濃度において、これらの従来得ることができなかった反応速度を達成する。高濃度の酢酸メチルと組み合わせて、ロジウムベースの触媒の極めて高い触媒濃度を用いると、速い反応速度を達成できることを発見した。
【0030】
一般的に、反応混合物において、ロジウムベースの触媒濃度が高くなればなるほど、特に、低い水濃度において、より速い反応速度を達成できる。本発明の一つの態様では、2.0重量%未満の水濃度で、少なくとも1000ppmのロジウム濃度又はロジウム/イリジウム濃度では、STYは15〜約20g・mol/l/hrである。本発明の一つの態様では、0.7重量%未満の水濃度で、少なくとも1500ppmのロジウム/イリジウム濃度では、STYは約20〜約30g・mol/l/hrである。本発明の更に別の態様では、0.5重量%未満の水濃度で、少なくとも1800ppmのロジウム/イリジウム濃度では、STYは約30〜約40g・mol/l/hrである。
【0031】
本発明で有用なロジウムベースの触媒系は、触媒安定剤、例えば可溶性の金属ヨウ化物又は第四ヨウ化物塩と組み合わせて用いる。適当な触媒促進剤は、約2重量%〜約30重量%の濃度で存在するヨウ化メチルである。一つの態様では、ヨウ化メチル濃度は、約5重量%から約15重量%まで変動する。別の態様では、ヨウ化メチルの濃度範囲は、約5重量%〜約10重量%である。
【0032】
反応混合物中の酢酸メチル濃度は、一つの態様において、約1重量%〜約20重量%である。別の態様では、酢酸メチル濃度は、約2重量%〜約15重量%である。本発明の更に別の態様では、酢酸メチル濃度の範囲は、約3重量%〜約10重量%である。
【0033】
本発明にしたがって速い反応速度で運転する場合の重要なファクターは、本発明にしたがって、極めて低い水濃度において、厳しい又は狭い範囲内に水濃度を維持することによって、安定な反応混合物組成物を維持する能力である。一定の条件下では、カルボニル化は、本発明にしたがう反応速度で進行するが、反応系の水バランスは、予想される水バランスのメカニズムから逸脱する場合があることを予期外に発見した。本発明にしたがって速いカルボニル化反応速度を維持するために、特定の反応がいつ水を生成し又はいつ水を消費するのかを認識することは重要である。先に検討した米国特許第5,831,120
号で開示されているように、当業者らは、ロジウム触媒系が、カルボニル化反応で用いられる場合、触媒反応混合物中の水を正味に消費すると考えた。水性ガス転化反応はメタン化反応に比べて優位であるので、ロジウムベースの反応混合物において、安定な水濃度を維持するために、水を反応混合物に加える必要があると従来考えられていた。しかしながら、一定の条件下では、メタン化反応が水性ガス転化反応に比べて優位であるので、ロジウムベースの触媒系によって、水を正味に生成するカルボニル化反応が生起されることが発見された。これらの条件下で、反応混合物において、安定した水濃度を維持して、安定且つ生産的な反応を達成するためには、過剰な水を除去する必要がある。それは、機械的もしくは物理的に又は化学的に反応混合物から水を取り除くことによって、又は化学経路で水を消費することによって、達成できる。
【0034】
水の正味の生成がいつ起こるのかを検出するために、反応器において、二酸化炭素及びメタンの両方のSTYをモニターする必要がある。これらの生成速度をモニターすることによって、反応混合物において、進行中の正味の水の生成メカニズムを評価する。低い反応器水条件における高濃度の触媒及び高濃度の酢酸メチル濃度によるロジウムベースの触媒カルボニル化反応では、反応におけるメタンの生成は、二酸化炭素の生成を上回る場合があり、また、反応系は、水を消費するよりむしろ水を生成するようになる。全体的な水生成反応系のこの変化は、予想外で驚くべきことであった。これは、一定の条件下で、化学方程式:CH0H + H → CH + H0で表されるメタン化反応が、化学方程式:CO + H0 → C0 + Hで表される水性ガス転化反応を支配している(水性ガス転化反応に比べて優位である)からである。
【0035】
上記したように、これらの発見は予想外であり、ロジウムのみにより触媒される反応系では反応系に水を加えることが典型的には必要であると記載している米国特許第5,831,120号に記録されている結果とは正反対である。水、酢酸メチル、及びロジウム濃度を変化させると、水を生成するカルボニル化反応が、約0.1重量%〜4.0重量%の水濃度範囲で起こる場合があることが認められる。
【0036】
(実施例)
以下の表及びそれに関連した考察に記載されている実施例によって、2.0重量%未満の水濃度下で反応速度が15g・mol/l/hrを超える本発明にしたがうカルボニル化反応が例示的に実証される。実験ユニットを使用し、定常状態にした。条件は、表Iに記載してある通りである。
【0037】
【表1】

これらの実施例は、メタン化反応の速度が水性ガス転化反応の速度を上回る条件又は同じとなる条件を示している。実施例のCHのSTY及びC0のSTYを精査すると、実施例2では、C0のSTYがCHのSTYに等しいので、水の正味の生成も正味の消費も無いことが分かる。反対に、実施例1、3及び4では、CHのSTYにより示されるメタン化反応の速度は、C0のSTYにより示される水性ガス転化反応の速度を上回っている。2重量%未満の水濃度において、反応濃度に依存して、いずれの反応も優勢で、反応水濃度に影響を及ぼす可能性があり、その結果としてプロセスの酢酸生成速度にも影響を与える可能性があることに留意しておくことは重要である。実施例1、3及び4では、反応混合物において、水の正味の生成があり、そして、その水は、本発明にしたがって、速い反応速度で低い水濃度を維持するために、除去しなければならない。
【0038】
メタン化反応が優位になり水性ガス転化反応が抑制されて水生成の正味のバランスが得られることは、水濃度、ロジウムベース触媒濃度、及び他の成分の濃度、例えば酢酸メチル及びヨウ化メチル濃度のある範囲で経験できる。例えば、水の正味の生成は、少なくとも15g・mol/l/hrの反応速度及び少なくとも1000ppmのロジウムベース触媒濃度で運転しつつも、2.0重量%未満の低含水条件で起こり得る。水の正味の生成は、1.0重量%未満の水濃度、少なくとも約1200ppmのロジウムベース触媒濃度、及び少なくとも約25g・mol/l/hrの反応速度では、更に起こる可能性が高まる。水の正味の生成は、約0.5重量%未満の水濃度、少なくとも約1500ppmのロ
ジウムベース触媒濃度、及び少なくとも約30g・mol/l/hrの反応速度では、なお更に起こる可能性が高まる。
【0039】
正味の水生成が存在する条件下で酢酸を生成すると共に、所望の低い反応水濃度を維持するために、生成される過剰水を除去する必要がある。水は、本発明にしたがって、機械的に除去できるか又は化学的経路によって、除去できる。水を機械的に除去することを選択する場合、水は、本発明と異なる条件で運転している反応系から水を除去するための公知の様々な技術によって、除去できる。過剰な水を除去する様々な技術のうちのいくつかは、米国特許第4,008,131号、米国特許第3,791,935号、米国特許第3,769,117号で開示されており、また、他の方法は、米国特許第5,831,120号で開示又は言及されている。
【0040】
しかしながら、機械的に水を除去する方法には、追加の設備投資が必要になるなどの多くの欠点がある。この種の機械式水除去システムの使用は本発明の企図の範囲内であるが、本発明にしたがう低含水条件下での速い反応速度では、過剰な水は、化学経路によって、完全に除去できることが発見された。機械式水除去法と化学経路による水の除去とを組み合わせることも本発明の企図の範囲内である。
【0041】
化学経路による水除去プロセスでは、過剰な水は、酢酸メチル、ジメチルエーテル、無水酢酸、又はそれらの混合物を反応域に加えることによって、除去できる。これらの化合物のうちの一つを反応域に加えると、反応域の水濃度が低下する。ジメチルエーテル及び酢酸メチルはカルボニル化され、その過程で水を正味に消費すると共に、酢酸を生成する。上記の化学方程式で説明したように、無水酢酸を添加すると、無水酢酸と水が反応して2モルの酢酸が生成するので、反応域における水の濃度が低下する。反応域及び二次気水分離器ゾーンにおける触媒溶液の温度及び性質は、無水酢酸を急速に加水分解するのに充分である。
【0042】
反応域に加えられる水消費剤(water−consuming agent)の量は、反応器ゾーンにおけるメタン化反応と水性ガス転化反応の相対速度により決定される正味の水生成速度に左右される。しかしながら、一般的に、加えられる水消費剤の量は、上記方程式にしたがってカルボニル化反応で生成される水に関して少なくとも化学量論量でなければならない。水消費剤は、プロセスの様々な時点で導入できる。例えば、水消費剤は、最終的に反応器に再循環される限りにおいて、反応器ゾーン、二次気水分離器ゾーン、又は精製ゾーンに導入できる。しかしながら、水消費剤の導入は、メタノール供給に水消費剤を導入することによっても、便利に達成できる。水消費剤の反応域への添加は、反応域に最終的に再循環されるプロセス流への添加、ならびに反応ゾーン又は二次気水分離器ゾーンへの直接添加を含むことが了解される。
【0043】
本発明にしたがう反応域への水消費剤の添加は、2.0重量%を超える水濃度におけるロジウムベース触媒反応において、有用であることを発見した。水バランスを制御するこの方法は、反応混合物において、5.0重量%以下の水濃度でロジウムベース触媒系を用いる反応系において、申し分のないものである。
【0044】
本明細書で言及したすべての特許及び刊行物は、それらの全内容を本明細書に引用したものとする。
本発明及びその利点を詳細に説明してきたが、様々な改変、代替及び変更が以下の請求項に記載の本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明において成し得ることを了解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は本発明方法の態様に関する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:すなわち、
(a)約0.1重量%〜約3.5重量%の含水量、約2〜20重量%の濃度でヨウ化物イオン、及び約2.0重量%〜約30.0重量%の濃度でハロゲン促進剤を有する反応混合物において、ロジウムベース触媒系の存在下で、メタノール、ヨウ化メチル、酢酸メチル、ジメチルエーテル、及びこれらの組合せから成る群より選択される化合物を、一酸化炭素と反応させる工程、及び
(b)反応域に酢酸メチル、ジメチルエーテル、無水酢酸、及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物を、該反応域に導入する工程 を含む、反応域及び精製域を含むシステムにおいて、カルボニル化反応によって、酢酸を製造する方法。
【請求項2】
該ハロゲン促進剤が、該反応混合物の重量を基準として約5.0重量%〜約15.0重量%の濃度で存在する請求項1記載方法。
【請求項3】
該反応混合物が、酢酸メチルを約1.0重量%〜約30.0重量%含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
該ハロゲン促進剤が、ヨウ化メチルである請求項3記載の方法。
【請求項5】
該アルキルアルコールが、メタノールである請求項4記載の方法。
【請求項6】
該ロジウムベースの触媒系が、ロジウム、イリジウム、及びそれらの配合物から成る群より選択されるVIII族金属を少なくとも1000ppm生成させるのに充分な濃度で該反応混合物中に存在する請求項5記載の方法。
【請求項7】
該ロジウムベースの触媒系が、ロジウム、イリジウム、及びそれらの配合物から成る群より選択されるVIII族金属を少なくとも1500ppm生成させるのに充分な濃度で該反応混合物中に存在する請求項5記載の方法。
【請求項8】
該ロジウムベースの触媒系が、ロジウム、イリジウム、及びそれらの配合物から成る群より選択されるVIII族金属を少なくとも1800ppm生成させるのに充分な濃度で該反応混合物中に存在する請求項5記載の方法。
【請求項9】
該酢酸製造の空時収量が、少なくとも15g・mol/l/hrである請求項6記載の方法。
【請求項10】
該酢酸製造の空時収量が、少なくとも20g・mol/l/hrである請求項7記載の方法。
【請求項11】
該酢酸製造の空時収量が、少なくとも30g・mol/l/hrである請求項8記載の方法。
【請求項12】
該ヨウ化メチルが、該反応混合物の重量を基準として約5.0重量%〜約10.0重量%で存在する請求項11記載の方法。
【請求項13】
該反応混合物中の水濃度が、約0.1重量%〜約3.5重量%である請求項9記載の方法。
【請求項14】
二酸化炭素及びメタンが該反応混合物中で生成され、その場合、該メタン生成の空時収量が、該二酸化炭素生成の空時収量を上回っている請求項13記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−209091(P2010−209091A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101256(P2010−101256)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【分割の表示】特願2004−565036(P2004−565036)の分割
【原出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願人】(500175107)セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション (77)
【Fターム(参考)】