説明

酸化マンガンバナジウムタンタル、およびそれで被覆されたブラックメタリック効果を有する顔料

【課題】赤外反射率が高く、メタリック色の黒色の外観を有し、クロム等の有害成分を含まない顔料を提供する。
【解決手段】式MnxyTazw(式中、1≦x≦3、0.001≦y≦3、0.001≦z≦2、およびw=7、あるいはx=1.25≦x≦2.45、0.1≦y≦2.39、0.2≦z≦1.9、およびw=7)で表すことのできる酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法、およびMnxyTazwとカルコゲニドガラス層を含む粒子の製造方法である。酸化マンガンバナジウムタンタルは優れた近赤外反射特性を有するとともに、相純度、外観および性能に優れた製品を提供し、健康や安全面にも配慮されている。前記粒子は、基材の反射特性とMnxyTazwの近赤外反射特性とが組み合わされると同時に、カルコゲニドガラス層の効果が加わる。前記粒子は、MnxyTazwおよびカルコゲニドガラス層の物理蒸着により行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、該して、赤外反射特性を有する混合金属酸化物の合成、および前記混合金属酸化物を含む顔料の設計に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外反射率が高い顔料が知られている。例えば、式Mnxyz(式中、2x+2.5y≧z)で表される酸化マンガンバナジウム顔料は、赤外反射をもたらし、それらは固体状態反応(solid state reaction)により形成される。この方法では、出発原料を互いに混合、粉砕して、微細で均一な乾燥混合物を形成する。固体状態反応を用いてこれらの混合金属酸化物を合成することは、そのような固体状態処理では標準的であるものの、既存の材料だけでなく、その材料の製造方法についても改善できる可能性がある。
【0003】
黒色顔料が知られている。例えば、黒色顔料は、マイカ基材上に黒色の酸化鉄を用いて形成されてきた。そのような顔料は黒色を呈するものの、メタリック色の外観についてはそれを有さないか、(仮にあっても)弱く、十分な平滑性も欠如している。他の種類の黒色顔料も報告されているが、例えば炭素によって光が散乱されるため、メタリックブラック色が実現されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、日射反射率に関する特定の規格に適合した「クールブラック(cool black)」顔料が存在する。しかしながら、そのような「クール顔料」は暗褐色であることが一般的であり、本当の黒色顔料ではない。即ち、それらの顔料は、ある角度で見た場合に黒色の外観を呈さない。さらに、これらの製品の多くには、クロム等の有害な成分が含まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[発明の概要]
式MnxyTazwで表される酸化マンガンバナジウムタンタル、MnxyTazwの製造方法、MnxyTazwおよびカルコゲニドガラス層で被覆された顔料、および前記被覆顔料の製造方法を記載する。本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルは、優れた近赤外(IR)反射特性を有する。前記酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法は、相純度、外観、および性能に優れた製品を提供し、また健康や安全面にも配慮されている。本開示の被覆顔料の構造では、基材の反射特性とMnxyTazwの近赤外反射特性とが組み合わされると同時に、カルコゲニドガラス層が高い可視吸収性をもたらして暗い外観(例えば黒色効果)を呈する一方で、ある角度では高い反射率(例えばメタリック効果)を呈する。本開示の被覆顔料の製造方法には、MnxyTazwおよびカルコゲニドガラス層の物理蒸着が伴う。
【0006】
本開示の酸化マンガンバナジウムタンタル(単独または他の材料との組み合わせ)および本開示の被覆顔料は、暗色仕上げが望まれる熱管理(heat management)用途、ならびにセキュリティー/認証用途に用いることができる。熱管理用途としては、自動車、建築、プラスチック(例えば農業)、およびインク(グラビア、リソグラフ、フレキソ、凸版印刷)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0007】
1つの実施形態では、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルは式MnxyTazw(式中、xの値は2、yの値は1、zの値は1、wの値は7であり得る)で表される。1つの例では、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルは、最高で約90%の近赤外反射、および約33%の日射反射率(SR)を示すことができる。
【0008】
本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法の1つの実施形態では、固体状態反応が用いられ得る。この手法では、マンガン、バナジウム、およびタンタルの酸化物粉末を互いに混合、粉砕して、微細で均一な乾燥混合物を形成する。1つの例では、混合物をるつぼに詰め、次に所定の時間加熱してもよい。他の例では、混合物を回転管状炉内で所定の温度で反応させてもよい。得られた生成物は微粉末状に粉砕され得る。
【0009】
本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法の他の実施形態では、湿式法(wet route)が用いられ得る。湿式法の1つの例では、バナジウム含有アルカリ溶液と、マンガン含有酸性溶液とを一緒にして、バナジウム−マンガン前駆体ペーストを沈殿させる。次に、タンタル源をこのペーストに混ぜて、混合物全体を所定の温度で処理してもよい。湿式法の他の例では、バナジウム含有アルカリ溶液、マンガン含有酸性溶液、およびタンタル含有溶液を混合して、所定の温度で処理可能なバナジウム−マンガン−タンタル前駆体ペーストを沈殿させる。1つの具体例では、必要に応じて酸または塩基を加えて前記溶液のpHをさらに調整することができる。1つの実施では、湿式法は、固体状態反応にまつわる散粉による危険要因を回避する方法を提供し、またより均一で密接に混合された開始材料を提供する。
【0010】
本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法のさらに他の実施形態では、溶融法(melt route)が用いられ得る。この手法では、マンガン、バナジウム、およびタンタルの酸化物粉末を、それら成分を溶融させるのに十分な温度まで加熱し、次に、溶融物が完全に混ぜ合わさるのに十分な時間それらを浸漬させる。そして所定の時間の後に溶融物を注ぎ出して、急冷させてもよい。次に、得られた材料を粉砕し、ミルにかけてもよい。1つの実施では、溶融法により製造された製品は暗色を呈する。
【0011】
1つの実施形態では、被覆顔料は、MnxyTazw層とカルコゲニドガラス層とで被覆された基材を含む。1つの例では、カルコゲニドガラス層は外層に設けられ得る。この例では、外層により近赤外透過性がもたらされ、かつ審美的な特性ももたされる。1つの具体例では、カルコゲニドガラス層はGe系黒色カルコゲニドガラスシステムを含む。Ge系黒色カルコゲニドガラスシステムとしては、GeSbSe、GeSe、GeSeTe、GeSeSn、GeSeSnTeが挙げられるが、それらに限定されない。1つの実施では、カルコゲニドガラス層はGe28Sb12Se60を含む。他の具体例では、カルコゲニドガラス層はSi系黒色カルコゲニドガラスシステムを含む。Si系黒色カルコゲニドガラスシステムとしては、SiSbSeおよびSiSeが挙げられるが、それらに限定されない。さらに他の具体例では、カルコゲニドガラス層は、Sn−Sb−Bi−Se様ガラスシステムを含む。
【0012】
前記被覆顔料の製造方法の1つの実施形態では、物理蒸着法(PVD)によりMnxyTazw層およびカルコゲニドガラス層を基材に被覆する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本開示の粒子の1つの実施形態の概略側面断面図である。
【図2】図2は、本開示の被覆粒子の1つの実施形態の概略側面断面図である。
【図3】図3は、前記被覆粒子の1つの実施形態の概略側面断面図である。
【図4】図4は、前記被覆粒子の1つの実施形態の概略側面断面図である。
【図5】図5は、固体状態法で調製した様々な酸化マンガンバナジウムタンタルの組成物の反射率の比較データを示す。
【図6】図6は、最適化された固体状態法で得られた、組成がMn2VTaO7の酸化マンガンバナジウムタンタルの屈折率の曲線を示す。
【図7】図7は、溶融法で調製した、組成がMn21.6Ta0.47の酸化マンガンバナジウムタンタルの屈折率の曲線を示す。
【図8】図8は、紫外波長、可視光波長、および近赤外波長における太陽光分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
式MnxyTazwで表される酸化マンガンバナジウムタンタル、MnxyTazwの製造方法、MnxyTazwおよびカルコゲニドガラス層で被覆された顔料、および前記被覆顔料の製造方法を記載する。本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルは、優れた近赤外(IR)反射特性を有する。この材料は暗褐色であり、本質的に非メタリックである。本開示の前記酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法は、相純度、外観、および性能に優れた製品を提供し、また健康や安全面にも配慮されている。本開示の被覆顔料の構造では、基材の反射特性とMnxyTazwの近赤外反射特性とが組み合わされると同時に、カルコゲニドガラス層が審美的な魅力をもたらす。本開示の前記被覆顔料の製造方法には、MnxyTazwおよびカルコゲニドガラス層の物理蒸着が伴う。
【0015】
本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルおよび本開示の被覆顔料は、暗色仕上げが望まれる熱管理用途に用いることができる。熱管理用途としては、自動車、建築、プラスチック(例えば農業)、およびインク(グラビア、リソグラフ、フレキソ、凸版印刷)が挙げられるが、それらに限定されない。本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルおよび本開示の被覆顔料は、クレジットカード、文書、包装等の品目用のセキュリティーマーキング等のセキュリティー/認証用途にも用いることができる。本明細書の概念が他の用途にも適宜応用可能なことが分かるだろう。
【0016】
1つの実施形態では、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルは、式MnxyTazwで表すことができる。1つの例では、x、y、z、およびwは、1≦x≦3、0.001≦y≦3、0.001≦z≦2、およびw=7、あるいは1.25≦x≦2.45、0.1≦y≦2.39、0.2≦z≦1.9、およびw=7であり得る。他の例では、xは2、yは1、zは1、wは7であり得る。この式において、Mnの酸化状態は2+、Vの酸化状態は5+、およびTaの酸化状態は5+であり得る。他の例では、前記式は約Mn21.9Ta0.17から約Mn20.1Ta1.97の間で異なり得る。さらに他の例では、前記式は約Mn21.7Ta0.37から約Mn20.3Ta1.77の間で異なり得る。さらに他の例では、前記式は約Mn21.1Ta0.97から約Mn20.9Ta1.17の間で異なり得る。さらなる例では、組成はMn1.252.39Ta0.357からMn2.050.79Ta1.157の間で異なり得る。
【0017】
本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルは、望ましい近赤外反射特性を有することができ、またカリフォルニア大気資源局(CARB)およびローレンスバークレー国立研究所(LBNC)により規定される日射反射率(SR)が20%を超えることができる。あるいは、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルは、約33%の日射反射率を有し得る。1つの具体例では、本開示の組成物は最高で約90%の近赤外反射率を示し得る。他の具体例では、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルは、20%を超える日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。他の具体例では、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルは、約33%の日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。「近赤外反射率」という用語は、約700nm〜2500nmの波長における組成物の反射率特性を意味する。
【0018】
本開示の組成物の1つの実施形態では、組成物は本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルを含み得る。組成物は20%を超える日射反射率を有し得る。あるいは、組成物は約33%の日射反射率を有し得る。1つの具体例では、本開示の組成物は、最高で約90%の近赤外反射率を示し得る。他の具体例では、本開示の組成物は20%を超える日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。他の具体例では、本開示の組成物は約33%の日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。
【0019】
1つの具体例では、本開示の組成物は図1に示すように粒子10を含み得る。1つの例では、粒子10は、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルからなり得る。1つの例では、粒子10の粒径は、約0.1μm〜約10μmであり得る。他の例では、粒子10の粒径は約2μmであり得る。1つの例では、本開示の組成物は、2つ以上の粒子10を含み得る。本開示の組成物が2つ以上の粒子10を含み得る場合、粒子10の平均粒径は、約0.1μm〜約10μmであり得る。あるいは、平均粒径10は約2μmであり得る。「径」という用語は、粒子の直径、長さ、厚み、または幅を意味し得る。図1では粒子の断面を矩形で示しているが、粒子の形状は特に限定されておらず、球状、板状等であってもよいことが理解されるだろう。
【0020】
他の例では、組成物はカルコゲニドガラス材料を含み得る。カルコゲニドガラス材料としては、高屈折率材料を挙げることができるが、それに限定されない。1つの具体例では、カルコゲニドガラス材料はGe系黒色カルコゲニドガラスシステムを含み得る。Ge系黒色カルコゲニドガラスシステムとしては、GeSbSe、GeSe、GeSeTe、GeSeSn、およびGeSeSnTeを挙げることができるが、それらに限定されない。1つの実施では、カルコゲニドガラス材料はGe28Sb12Se60を含み得る。他の具体例では、カルコゲニドガラス材料は、Si系黒色カルコゲニドガラスシステムを含み得る。Si系黒色カルコゲニドガラスシステムとしては、SiSbSeおよびSiSeを挙げることができるが、それらに限定されない。さらに他の具体例では、カルコゲニドガラス材料は、Sn−Sb−Bi−Se様ガラスシステムを含み得る。
【0021】
図2を参照して、1つの例では、カルコゲニドガラス材料を皮膜として適用し、粒子10上にカルコゲニドガラス層12を形成して被覆粒子20を形成することができる。
【0022】
カルコゲニドガラス層12の皮膜の厚みの範囲は、約400nm〜約2000nmであり得る。他の例では、カルコゲニドガラス層12の皮膜の厚みの範囲は、約500nm〜約1000nmであり得る。さらに他の例では、カルコゲニドガラス層12の皮膜の厚みの範囲は、600nm〜800nmである。そのような厚みは、原子間力顕微鏡法(AFM)により観察することもできる。
【0023】
カルコゲニドガラス層12は、公知の物理蒸着法(PVD)により形成することができる。例えば、被覆粒子20は、熱蒸着法、Eビーム法やスパッタ蒸着法等の方法により作製できるが、それらに限定されない。そのようなPVD蒸着法により、厚みが均一の滑らかな皮膜を得ることができ、さらに鏡面の様な(mirror-like)効果を得ることができる。例えば、PVDを用いて、二乗平均平方根(RMS)粗さの程度が数十ナノメートルの表面の質感が非常に滑らかな粒子を作製することで、被覆粒子20を製造することができる。1つの具体例では、その粗さは、少なくとも0.2μmの凹凸を示す場合のRMS粗さと比べると非常に小さい。RMS粗さは50nm未満であり得る。他の例では、RMS粗さは30nm未満であり得る。さらに他の例では、RMS粗さは20nm未満であり得る。
【0024】
被覆粒子20がブラックメタリック粒子を形成する場合、カルコゲニドガラス層12は、被覆粒子20の外面に対して直角に被覆粒子20を見た場合に被覆粒子20がメタリック色に見え、かつ被覆粒子20の外面に対して直角以外の角度で被覆粒子20を見た場合に被覆粒子20が黒色に見えるような屈折率を有し得る。即ち、被覆粒子20の全体配置は、直角に見た場合にメタリック色の外観(反射性が高い)を与え、またある角度で見た場合は黒色の外観を与えることができる。
【0025】
1つの例では、粒子10および/または被覆粒子20を含む組成物の日射反射率は20%を超える。あるいは、粒子10および/または被覆粒子20を含む組成物の日射反射率は約33%であり得る。1つの具体例では、粒子10および/または被覆粒子20を含む組成物は、最高で約90%の近赤外反射率を示し得る。他の具体例では、粒子10および/または被覆粒子20を含む組成物は、20%を超える日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。他の具体例では、粒子10および/または被覆粒子20を含む組成物は、約33%の日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。
【0026】
1つの実施形態では、粒子10および/または被覆粒子20を含む組成物は被覆組成物であり得る。1つの例では、被覆組成物は担体を含み得る。1つの具体例では、本開示のマンガンバナジウムタンタルは担体中に分散され得る。担体は、アクリル乳剤、水希釈性のアルキル樹脂系、水希釈性のアルキル/メラミン架橋系、水性エポキシ系、およびポリエステル乳剤であってもよいが、それらに限定されない。
【0027】
1つの実施形態では、粒子10および/または被覆粒子20は、物品における被覆に用いられ得る。その物品は、粒子10および/または被覆粒子20を含む被覆を含む。
【0028】
1つの例では、粒子10はクロムを含まない。他の例では、被覆粒子20はクロムを含まない。さらに他の例では、粒子10および/または被覆粒子20を含む組成物はクロムを含まない。さらに他の例では、粒子10および/または被覆粒子20を含む被覆を含む物品はクロムを含まない。本明細書の「クロム」という用語は、−2〜+6の酸化状態を持つクロム、または−2〜+6の酸化状態を持つクロムを含むあらゆる化合物を意味する。
【0029】
本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法の1つの実施形態では、固体状態反応が用いられる。この手法では、酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタル、または酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルを形成可能な前駆体を互いに混合、粉砕し、微細で均一な乾燥混合物を形成する。1つの具体例では、使用する酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルは、それぞれMnO2、V25、およびTa25である。前駆体は、酸化マンガンバナジウムタンタルの形成に適した前駆体であればどのようなものでもよく、例えばMnO、NH4VO3、VClx、NaVO3等が挙げられるが、それらに限定されない。1つの例では、酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタル、またはそれらの前駆体は粉末状である。酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタル、またはそれらの前駆体は、それらが混合物中で所定の元素比(マンガン:バナジウム:タンタル(Mn:V:Ta))になる量で用いられる。Mn:V:Taの所定の元素比は、最適な日射反射率性能、および暗色が得られるように設定される。Mn:V:Taの所定の元素比は、原子価(valance)および化学量論の要件を満たして、その各頂点が酸化マンガン100%、酸化バナジウム100%、および酸化タンタル100%に定義されている三角組成図(triangular composition plot)内にある化学量論が得られるように選択される。1つの例では、Mn:V:Taの所定の元素比は、約2:19:0.1〜約2:0.1:19であり得る。他の例では、Mn:V:Taの所定の元素比は、6.7:5.7:1〜6.7:1:5.7であり得る。さらに他の例では、Mn:V:Taの所定の元素比は、2.2:1.2:1〜2.2:1:1.2であり得る。
【0030】
1つの例では、混合物がるつぼに詰められ、次に所定の時間加熱される。混合粉末が加熱される温度は、約800〜約1100℃であり得る。1つの具体例では、混合粉末は約900〜1050℃で加熱される。他の具体例では、混合粉末は約980〜1020℃で加熱される。加熱時間は30分より長くてもよい。他の例では、混合物を回転管状炉内で所定の時間、所定の温度で反応させる。この場合、混合粉末が加熱される温度は、約800〜約1100℃であり得る。1つの具体例では、混合粉末は約900〜1050℃で加熱される。他の具体例では、混合粉末は約980〜1020℃で加熱される。加熱時間は30分より長くてもよい。次に、得られた生成物は微粉末状に粉砕され得る。微粉末の平均粒径は、約0.1μm〜約20μmであり得る。他の例では、微粉末の平均粒径は、約0.3μm〜約10μmであり得る。他の例では、微粉末の平均粒径は、約0.5μm〜約1.5μmであり得る。
【0031】
固体状態反応による手法の例示的な1つの実施形態では、酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルの粉末は、Mn:V:Taが所定の元素比となるように混合される。1つの実施では、Mn:V:Taの所定の元素比は2:1:1である。混合物を均一になるまで粉砕して、るつぼに詰める。次に、混合物を4時間1000℃まで加熱する。冷却後、生成物を取り出して、微粉末状に粉砕する。
【0032】
固体状態反応を用いた本開示の工程により製造した酸化マンガンバナジウムタンタル組成物の1つの実施形態では、酸化マンガンバナジウムタンタル組成物の一般式は、約Mn21.9Ta0.17から約Mn20.1Ta1.97の間で異なり得る。さらに他の例では、前記一般式は、約Mn21.7Ta0.37から約Mn20.3Ta1.77の間で異なり得る。さらに他の例では、前記一般式は、約Mn21.1Ta0.97から約Mn20.9Ta1.17の間で異なり得る。
【0033】
本開示の材料の製造方法の他の実施形態では、湿式法が用いられる。湿式法の1つの例では、バナジウム含有アルカリ溶液とマンガン含有酸性溶液とを混合して、バナジウム−マンガン前駆体ペーストを沈殿させることができる。バナジウム含有アルカリ溶液に用いられる溶剤は、アルカリ溶液の作製に適した溶剤であればどのようなものでもよく、例えば水性水酸化ナトリウムが挙げられるがそれに限定されない。マンガン含有酸性溶液に用いられる溶剤は、酸性溶液の作製に適した溶剤であればどのようなものでもよく、例えば水が挙げられるがそれに限定されない。1つの具体例では、酸または塩基を添加して溶液のpHをさらに調整することができる。バナジウム含有アルカリ溶液のpHは、約8〜約14であり得る。他の例では、バナジウム含有アルカリ溶液のpHは、9〜12であり得る。マンガン含有酸性溶液のpHは、約0〜約6であり得る。他の例では、マンガン含有酸性溶液のpHは、2〜4であり得る。次に、タンタル源をこのペーストに混ぜることができ、混合物全体が所定の温度で処理される。バナジウム、マンガン、およびタンタルは、それらが混合物中で所定の元素比(Mn:V:Ta)になる量で用いられる。Mn:V:Taの所定の元素比は、最適な日射反射率性能、および暗色が得られるように設定される。Mn:V:Taの所定の元素比は、原子価および化学量論の要件を満たして、その各頂点が酸化マンガン100%、酸化バナジウム100%、および酸化タンタル100%と定義される三角組成図内にある化学量論が得られるように選択される。1つの例では、Mn:V:Taの所定の元素比は、約20:19:1〜約20:1:19であり得る。他の例では、Mn:V:Taの所定の元素比は、約6.7:5.7:1〜6.7:1:5.7であり得る。さらに他の例では、Mn:V:Taの所定の元素比は、約2.2:1.2:1〜約2.2:1:1.2であり得る。混合物が加熱される温度は、約800〜約1100℃であり得る。1つの具体例では、混合物は約900〜1050℃で加熱される。他の具体例では、混合物は約980〜1020℃で加熱される。加熱時間は30分より長くてもよい。
【0034】
湿式法の他の例では、バナジウム含有アルカリ溶液、マンガン含有酸性溶液、およびタンタル含有溶液を混合して、所定の温度で処理可能なバナジウム−マンガン−タンタル前駆体ペーストを沈殿させる。バナジウム含有アルカリ溶液に用いられる溶剤は、アルカリ溶液の作製に適した溶剤であればどのようなものでもよく、例えば水性水酸化ナトリウムが挙げられるがそれに限定されない。マンガン含有酸性溶液に用いられる溶剤は、酸性溶液の作製に適した溶剤であればどのようなものでもよく、例えば水が挙げられるがそれに限定されない。1つの具体例では、酸または塩基を添加して溶液のpHをさらに調整することができる。バナジウム含有アルカリ溶液のpHは、約8〜約14であり得る。他の例では、バナジウム含有アルカリ溶液のpHは、9〜10であり得る。マンガン含有酸性溶液のpHは、約0〜約6であり得る。他の例では、マンガン含有酸性溶液のpHは、2〜4であり得る。タンタル含有溶液に用いられる溶剤としては無水エタノールを挙げることができるが、それに限定されない。バナジウム、マンガンおよびタンタルは、それらが混合物中で所定の元素比(Mn:V:Ta)になる量で用いられる。Mn:V:Taの所定の元素比は、約2:1.9:0.1〜約2:0.1:1.9であり得る。他の例では、Mn:V:Taの所定の元素比は、約2:1.7:0.3〜約2:0.3:1.7であり得る。さらに他の例では、Mn:V:Taの所定の元素比は、約2:1.1:0.9〜約2:0.9:1.1であり得る。混合物が加熱される温度は、約800〜約1100℃であり得る。1つの具体例では、混合物は約900〜1050℃で加熱される。他の具体例では、混合物は約980〜1020℃で加熱される。加熱時間は30分より長くてもよい。
【0035】
例示的な1つの実施形態では、塩化マンガンを水に溶解させて酸性溶液を作成する。バナジン酸アンモニウムを1Mの水酸化ナトリウム溶液に溶解させる。これらの溶液を互いに加えて、Mn−V前駆体を沈殿させる。蒸発により溶液を濃縮した後、酸化タンタルをペーストに混ぜる。塩化マンガン、バナジン酸アンモニウム、および酸化タンタルならびに溶液の使用量は、ペースト混合物中のMn:V:Taの所定の元素比から求めることができる。1つの実施では、ペースト混合物中のMn:V:Taの所定の元素比は、約2:1.9:0.1〜約2:0.1:1.9に設定される。他の実施では、ペースト混合物中のMn:V:Taの所定の元素比は、約2:1.7:0.3〜約2:0.3:1.7に設定される。さらに他の実施では、ペースト混合物中のMn:V:Taの所定の元素比は、約2:1.1:0.9〜約2:0.9:1.1に設定される。1つの具体例では、前記比は2:1:1に設定される。
【0036】
1つの実施では、湿式法は、固体状態反応にまつわる散粉による危険要因を回避する方法を提供し、またより均一で密接に混合された開始材料を提供する。
【0037】
湿式法を用いた本開示の工程により製造された酸化マンガンバナジウムタンタル組成物の1つの実施形態では、酸化マンガンバナジウムタンタル組成物の一般式は、約Mn21.9Ta0.17から約Mn20.1Ta1.97の間で異なり得る。さらに他の例では、前記一般式は、約Mn21.7Ta0.37から約Mn20.3Ta1.77の間で異なり得る。さらに他の例では、前記一般式は、約Mn21.1Ta0.97から約Mn20.9Ta1.17の間で変化し得る。
【0038】
本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法のさらに他の実施形態では、溶融法が用いられる。この手法では、酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタル、または酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルを形成可能な前駆体を、それら成分が溶融するのに十分な温度まで加熱し、次に、溶融物が完全に混ぜ合わさるのに十分な時間それらを浸漬させる。混合物を溶融させる温度は、1000℃より高くてもよい。他の例では、混合物を溶融させる温度は、1150℃〜1450℃であり得る。さらに他の例では、混合物を溶融させる温度は、1100℃〜1250℃であり得る。加熱時間は、用いる炉の種類によって異なるが、約1時間〜約10時間であり得る。浸漬時間は、約数分〜数時間とその規模によって異なる。次に、所定の時間の後に溶融物を金属板上もしくは水浴/ウォーターシュート内に注いで、または2ロールミルを介して急冷させるか、または好適な任意の他の手段を用いて急冷させる。次に、得られた生成物を粉砕し、ミルにかける。
【0039】
1つの具体例では、使用する酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルは、それぞれMnO2、V25、およびTa25であり得る。前駆体は、酸化マンガンバナジウムタンタルの形成に適した前駆体であればどのようなものでもよく、例えばMnO、NH4VO3、VClx、NaVO3等が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの例では、酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタル、またはそれらの前駆体は、粉末状、顆粒状、またはペレット状である。粉末の平均粒径は、約0.1μm〜約10μmであり得る。顆粒の平均粒径は、約10μm〜約2000μmであり得る。ペレットは2000μmより大きい平均粒径を有し得る。酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタル、またはそれらの前駆体は、それらが混合物中で所定の元素比(Mn:V:Ta)になる量で用いられる。Mn:V:Taの所定の元素比は、その各頂点が酸化マンガン100%、酸化バナジウム100%、および酸化タンタル100%を表すように定義される三角組成マップ(triangular composition map)内に生成物の組成が位置するような任意の値をとり得る。1つの例では、MnxyTaz7(式中、1≦x≦3、0.001≦y≦3、0.001≦z≦2、およびw=7、あるいは1.25≦x≦2.05、0.79≦y≦2.39、および0.35≦z≦1.15)の形態の生成組成物(product composition)が得られるように元素比が選択される。一例では、Mn:V:Taの所定の元素比は、1.29:1:0.22であり、Mn2.051.59Ta0.357の生成組成物が得られる。
【0040】
そして所定の時間の後に溶融物を注ぎ出して、急冷させる。次に、得られた生成物を粉砕して、ミルにかける。
【0041】
溶融法による手法の例示的な1つの実施形態では、酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルの粉末/顆粒/ペレットが、混合物中のMn:V:Taが所定の元素比になるように混合される。1つの実施では、Mn:V:Taの所定の元素比は2:1:1である。他の実施では、Mn:V:Taの所定の元素比は1.29:1:0.22である。酸化物の粉末/顆粒/ペレットは、粉砕せずに軽く混合される。次に、混合物をるつぼに詰め、15分間1400℃で加熱する。その後、溶融物をるつぼから金属板上または水浴/ウォーターシュート内に注いで急冷させる。次に、固化した溶融物を粉砕して、ミルにかける。
【0042】
溶融法の他の例では、混合物をるつぼに詰めた後で、混合物を5分間1100℃まで加熱し、次に金属板上または水中で急冷させる以外は混合物を上記のように調製する。
【0043】
本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルの上記製造方法では、鉱化剤を混合物に添加してもよい。使用する鉱化剤としてはホウ酸を挙げることができるが、それに限定されない。
【0044】
図3を参照して、被覆顔料30の1つの実施形態を示す。被覆顔料30は基材40を含む。1つの例では、基材40は封止化可能な板状物(encapsulatable platelet)であり得る。封止化可能な板状物40の大きさは、効果顔料の形成に適した大きさであればどのようなものでもよい。1つの実施では、封止化可能な板状物40の直径の範囲は、約5nm〜約700μmであり得る。他の例では、封止化可能な板状物40の厚みの範囲は、5nm〜500μmであり得る。他の例では、板状物40の厚みの範囲は、約20nm〜約100μmであり得る。さらに他の例では、板状物40の厚みの範囲は、50nm〜1μmであり得る。さらに他の例では、板状物40の大きさの範囲は、100nm〜1000μmであり得る。さらに他の例では、板状物40の大きさの範囲は、500nm〜100μmであり得る。さらに他の例では、板状物40の大きさの範囲は、1μm〜50μmであり得る。直径および厚みは、例えば電界放出走査顕微鏡法(FESEM)を用いて測定することができる。この場合、直径を、板状物の断面平面図に見られるように測定することができ、厚みは、板状物40の側面断面図に見られるように測定される。図3では、基材40の断面を矩形で示しているが、粒子の形状は特に限定されておらず、球状、板状等であってもよい。
【0045】
さらに、基材40は効果顔料の形成に適した材料であればどのようなものから形成されていてもよく、例えばアルミニウム、銀、銅、金、錫、タンタル、チタン、ルテニウム、ロジウム、プラチナ、パラジウム、これらの合金、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。1つの例では、基材40は反射性の不透明金属基材である。1つの具体例では、反射性の不透明金属基材40はアルミニウムである。この場合、基材40は反射特性をもたらす。
【0046】
基材40を第1の層52で被覆し、被覆塗料30を形成する。1つの例では、第1の層52は近赤外反射層である。1つの例では、近赤外反射層52は、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルを含む。1つの例では、近赤外反射層52が皮膜として利用され、近赤外反射層52の皮膜の厚みの範囲は、0.1nm〜1000nmである。そのような厚みは、原子間力顕微鏡法(AFM)により観察することができる。
【0047】
被覆顔料30は20%を超える日射反射率を有し得る。あるいは、被覆顔料30は約33%の日射反射率を有し得る。1つの具体例では、被覆顔料30は最高で約90%の近赤外反射率を示し得る。他の具体例では、被覆顔料30は20%を超える日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。他の具体例では、被覆顔料30は約33%の日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。他の具体例では、被覆顔料30は、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルと同じ日射反射率を示し得る。さらに他の具体例では、被覆顔料30は、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルと同じ近赤外反射率を示し得る。さらに他の具体例では、被覆顔料30は、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルと同じ日射反射率および同じ近赤外反射率を示し得る。
【0048】
図4を参照して、第1の層52をさらに第2の層62で被覆して、被覆顔料50を形成することができる。1つの例では、第2の層62はカルコゲニドガラス層である。カルコゲニドガラス層62は、高屈折率材料を含み得るが、それに限定されない。1つの具体例では、カルコゲニドガラス層62はGe系黒色カルコゲニドガラスシステムを含む。Ge系黒色カルコゲニドガラスシステムとしては、GeSbSe、GeSe、GeSeTe、GeSeSn、およびGeSeSnTeが挙げられるが、それらに限定されない。1つの実施では、カルコゲニドガラス層62は、Ge28Sb12Se60を含む。他の具体例では、カルコゲニドガラス層62はSi系黒色カルコゲニドガラスシステムを含む。Si系黒色カルコゲニドガラスシステムとしては、SiSbSeおよびSiSeが挙げられるが、それらに限定されない。さらに他の具体例では、カルコゲニドガラス層62はSn−Sb−Bi−Se様ガラスシステムを含む。1つの例では、カルコゲニドガラス層62が皮膜として利用され、カルコゲニドガラス層62の皮膜の厚みの範囲は、400nm〜2000nmである。他の例では、カルコゲニドガラス層62の皮膜の厚みの範囲は、500nm〜1000nmである。さらに他の例では、カルコゲニドガラス層62の皮膜の厚みの範囲は、600nm〜800nmである。そのような厚みも、原子間力顕微鏡法(AFM)により観察することができる。
【0049】
反射性の不透明金属基材40、第1の層52、およびカルコゲニドガラス層62がブラックメタリック顔料を形成する場合、カルコゲニドガラス層62は、被覆顔料50の外面に対して直角に被覆顔料50を見た場合に、被覆顔料50がメタリック色に見え、かつ被覆顔料50の外面に対して直角以外の角度で被覆顔料50を見た場合に、被覆顔料50が黒色に見えるような屈折率を有する。即ち、被覆顔料50の全体配置は、直角に見た場合にメタリック色の外観(反射性が高い)を与え、またある角度で見た場合は黒色の外観を与えることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、カルコゲニドガラス層62に用いられる材料に関係なく、カルコゲニドガラス層62の屈折率は少なくとも1.5より大きく、いくつかの具体例では、約2.6である。1つの例では、屈折率は2.6より大きい。高屈性率のガラス層14の屈折率の範囲は、約1.5〜2.6であり得ることが分かるだろう。
【0051】
1つの具体例では、基材40は赤外反射性であり、カルコゲニドガラス層62は赤外透過性である。
【0052】
1つの実施では、被覆顔料30はクロムを含まない。他の実施では、被覆顔料50はクロムを含まない。本明細書の「クロム」という用語は、−2〜+6の酸化状態を持つクロム、または−2〜+6の酸化状態を持つクロムを含むあらゆる化合物を意味する。
【0053】
1つの実施形態では、被覆顔料50の構造では、反射性の不透明金属基材40の反射特性と、本開示のMnxyTazwを含む第1の層52の近赤外反射特性とが組み合わされると同時に、カルコゲニドガラス層62の外層がブラックメタリック効果をもたらす。1つの具体例では、被覆顔料50は、黒色で、反射性があり、かつ光沢があり得る。
【0054】
被覆顔料50は、20%を超える日射反射率を有し得る。あるいは、被覆顔料50は、約33%の日射反射率を有し得る。1つの具体例では、被覆顔料50は、最高で約90%の近赤外反射率を示し得る。他の具体例では、被覆顔料50は20%を超える日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。他の具体例では、被覆顔料50は約33%の日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。他の具体例では、被覆顔料50は、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルと同じ日射反射率を示し得る。さらに他の具体例では、被覆顔料50は、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルと同じ近赤外反射率を示し得る。さらに他の具体例では、被覆顔料50は、本開示の酸化マンガンバナジウムタンタルと同じ日射反射率および同じ近赤外反射率を示し得る。
【0055】
被覆顔料30および被覆顔料50の製造方法の1つの実施形態では、近赤外反射層52およびカルコゲニドガラス層62は、公知の物理蒸着法(PVD)により反射性の不透明金属基材40上に被覆される。例えば、被覆顔料30および被覆顔料50は、熱蒸着法、Eビーム法やスパッタ蒸着法等の方法により作製できるが、それらに限定されない。そのようなPVD蒸着法を用いることで、厚みが均一の滑らかな顔料構造を得ることができ、さらに鏡面の様な効果を得ることができる。例えば、PVDを用いて、二乗平均平方根(RMS)粗さの程度が数十ナノメートルの表面の質感が非常に滑らかな顔料を作製することで、本明細書の顔料を製造することができる。1つの具体例では、その粗さは、少なくとも0.2μmの凹凸を示す場合のRMS粗さと比べると非常に小さい。RMS粗さは50nm未満であり得る。他の例では、RMS粗さは30nm未満であり得る。さらに他の例では、RMS粗さは20nm未満であり得る。
【0056】
1つの実施形態では、被覆顔料30および/または被覆顔料50は被覆組成物に用いられ得る。被覆組成物は、被覆顔料30および/または被覆顔料50、ならびに担体を含む。「担体」成分としては、ベース液またはベース溶剤、フィルム形成成分、および関連の添加剤が挙げられる。担体としては、アクリル乳剤、水希釈性のアルキル樹脂系、水希釈性のアルキル/メラミン架橋系、水性エポキシ系、ポリエステル乳剤、および水希釈性のポリエステル/メラミン被覆が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
被覆顔料30および/または被覆顔料50を含む組成物は、20%を超える日射反射率を有し得る。あるいは、被覆顔料30および/または被覆顔料50を含む組成物は、約33%の日射反射率を有し得る。1つの具体例では、被覆顔料30および/または被覆顔料50を含む本開示の組成物は、最高で約90%の近赤外反射率を示し得る。他の具体例では、被覆顔料30および/または被覆顔料50を含む本開示の組成物は、20%を超える日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。他の具体例では、被覆顔料30および/または被覆顔料50を含む本開示の組成物は、約33%の日射反射率を有することができ、かつ最高で約90%の近赤外反射率を示すことができる。
【0058】
1つの実施形態では、被覆顔料30および/または被覆顔料50は物品の被覆に用いられ得る。物品は、被覆顔料30および/または被覆顔料50を含む被覆を含む。
【0059】
実施例
<実施例1−本開示の材料を製造する固体状態反応法>
35.87gのMnO2、18.68gのV25、および45.42gのTaO5を30分間自動式のグラインダーで互いに混合し、粉砕する。粉末を炉内に設置したアルミナ製るつぼに移し、(10℃/分の速度で)4時間1000℃まで加熱する。この期間の後にるつぼを冷却し、顆粒状の生成物を取り出す。生成物を自動式の乳鉢と乳棒で粉砕した後にビーズミルで細かく粉砕する。得られた生成物は、本開示の材料の2つの結晶異形(crystalline variants)(「相」)から構成されている。得られた生成物のミルにかけた後の色は茶色である。得られた生成物は、約30%の日射反射率を示す。
【0060】
<実施例2−本開示の材料を製造する湿式法>
3.69gのMnCl2・4H2Oを4mlのH2O中でかき混ぜて溶解させ、pHが2.5の溶液を得る。1.16gのNH4VO3を16mlの1MのNaOH溶液中でかき混ぜて溶解させる。これらの溶液を互いに加えて、茶色の前駆体ペーストを沈殿させる。2.21gのTa25をMn/V前駆体ペーストに混合して、均一になるまで乳鉢と乳棒で混ぜ合わせる。このペーストを炉内に設置したアルミナ製るつぼに移し、(10℃/分の速度で)4時間1000℃まで加熱する。この期間の後にるつぼを冷却し、顆粒状の生成物を取り出す。生成物を自動式の乳鉢と乳棒で粉砕した後にビーズミルで細かく粉砕する。得られた生成物は、本開示の材料の2つの結晶異形(「相」)から構成されている。得られた生成物は、固体状態反応による生成物よりも薄い色をしており、約40%の日射反射率を示す。
【0061】
<実施例3−本開示の材料を製造する溶融法>
5.04gのMnO2、4.09gのV25、および2.19gのTa25を混合し、炉内に設置したアルミナ製るつぼに移し、300℃/時間で1400℃まで加熱する。溶融物を15分間浸漬させる。この期間の後にるつぼを取り外し、溶融物を金属板上に注いで急冷させる。生成物を自動式の乳鉢と乳棒で粉砕した後にビーズミルで細かく粉砕する。得られた生成物は、工程全体を通して単一の相を有しており、33%の日射反射率を示す。相が1つしか存在しないことから、固体状態反応による生成物よりも色が暗く、また日射反射率が高くなる。
【0062】
<実施例4−本開示の材料を製造する溶融法>
5.04gのMnO2、4.09gのV25、および2.19gのTa25を混合して、炉内に設置したるつぼに移し、300℃/時間で1400℃まで加熱する。溶融物を5分間浸漬させる。この期間の後にるつぼを取り外し、溶融物を冷水中に注ぎ込んで急冷させる。生成物を自動式の乳鉢と乳棒で粉砕した後にビーズミルで細かく粉砕する。得られた生成物は、工程全体を通して単一の相を有しており、33%の日射反射率を示す。
【0063】
<実施例5−本開示の材料を製造する溶融法>
5.04gのMnO2、4.09gのV25、および2.19gのTa25を混合して、炉内に設置したるつぼに移し、300℃/時間で1250℃まで加熱する。溶融物を5分間浸漬させる。この期間の後にるつぼを取り外し、溶融物を金属板上に注いで急冷させる。生成物を自動式の乳鉢と乳棒で粉砕した後にビーズミルで細かく粉砕する。得られた生成物は、工程全体を通して単一の相を有しており、35%の日射反射率を示す。
【0064】
<実施例6−本開示の材料を製造する溶融法>
5.04gのMnO2、4.09gのV25、および2.19gのTa25を混合して、炉内に設置したるつぼに移し、300℃/時間で1250℃まで加熱する。溶融物を5分間浸漬させる。この期間の後にるつぼを取り外し、溶融物を冷水中に注ぎ込んで急冷させる。生成物を自動式の乳鉢と乳棒で粉砕した後にビーズミルで細かく粉砕する。得られた生成物は、工程全体を通して単一の相を有しており、34%の日射反射率を示す。
【0065】
<実施例7−本開示の材料を製造する溶融法>
5.04gのMnO2、4.09gのV25、および2.19gのTa25を混合して、炉内に設置したるつぼに移し、300℃/時間で1100℃まで加熱する。溶融物を5分間浸漬させる。この期間の後にるつぼを取り外し、溶融物を金属板上または水浴内に注ぎ込んで急冷させる。生成物を自動式の乳鉢と乳棒で粉砕した後にビーズミルで細かく粉砕する。得られた生成物は、工程全体を通して単一の相を有しており、34%の日射反射率を示す。処理温度がより低いことから、耐火物浸食が低減され、急冷速度の影響を生成物の性能が受け難くなる。
【0066】
<実施例8−カルコゲニドガラス層および本開示の材料を含む被覆顔料の調製>
Ge系黒色カルコゲニドガラスシステムを含む市販の塊状カルコゲニドガラスを原料として使用し、実施例1〜7で得られた生成物を基材に用いてカルコゲニド層を蒸着する。カルコゲニド層を、熱蒸着法により75Aの電流を用いて約5×10-7トールで、垂直入射(0°)および2つの斜角(75°および85°)で基材を回転させずに蒸着する。得られたカルコゲニド層の厚みは約400〜2000nmである。作製された被覆顔料はクロムを含まない。
【0067】
<実施例9>
組成物Mn21.8Ta0.27、Mn21.8Ta0.27、Mn21.8Ta0.27、Mn21.8Ta0.27、Mn2VTaO7のL*、a*、b*、および日射反射率(SR)を測定した。組成物は、実施例1に則した固体状態法により作製した。
【0068】
*、a*、b*、および日射反射率(SR)を、積分球が装着されたパーキンエルマー(Perkin Elmer)UV/vis/NIR ATRラムダ950分光光度計を用いて測定した。粉末をポリマー系の試料支持材で保持した。L*、a*、およびb*の値を、擬似D65光源を用い、理論上2度の観測角度(theoretical 2 degree observed angle)でASTM E308/CIE1964に従って測定した。日射反射率の値は、ASTM G173に従って測定した。L*、a*、およびb*は、CIEカラーマップ系の座標であり、L*は暗色と明色との差異を表し、a*およびb*は色の主軸を表し、負のa*は緑色を表し、正のa*は赤色を表し、黄色は正のb*に、青色は正のb*にある。日射反射率(SR)は、太陽スペクトルにおける250nm〜2500nmの波長における反射率の重み付き平均と定義される。
【0069】
上記組成物の、250nm〜2500nmの波長における反射率の測定結果を図5のグラフに示す。Mn2VTaO7の、250nm〜2500nmの波長における反射率の測定結果を図6のグラフに示す。Mn21.6Ta0.47の、250nm〜2500nmの波長における反射率の測定結果を図7のグラフに示す。測定した上記組成物のL*、a*、b*、および日射反射率(SR)の値を下記表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
図8は、紫外波長(300〜400nm)、可視光波長(400〜700nm)、および近赤外波長(700〜2500nm)における太陽光分布を示す。図8から分かるように、日射の光度は波長に伴って変化するため、ブラックメタリック効果顔料は、可視光波長における反射が最も少なく、近赤外波長における反射が高いことが望ましい。図5〜7に示すように、実施例1に則した固体法により作製した組成物は、可視光波長における反射が最も小さく、近赤外波長における反射が高い。
【0072】
<実施例10>
実施例8に記載の方法を用いて、組成物Mn2VTaO7のL*、a*、b*および日射反射率(SR)を測定した。この組成物は、実施例2に則した湿式法により調製した。測定した上記組成物のL*、a*、b*、および日射反射率(SR)の値を下記表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
<実施例11>
組成物Mn2VTaO7、Mn2.051.19Ta0.757、Mn2.051.59Ta0.357、Mn2.050.79Ta1.157、Mn2.451.19Ta0.357、Mn1.651.19Ta1.157、Mn2.450.79Ta0.757、Mn1.651.59Ta0.757、Mn1.651.99Ta0.357、Mn1.251.99Ta0.757、およびMn1.252.39Ta0.357のL*、a*、b*、および日射反射率(SR)を測定した。L*、a*、b*、および日射反射率(SR)を実施例8で説明した方法を用いて測定した。これらの組成物は、実施例3に則した溶融法により調製されており、溶融物は1400℃まで加熱され、金属板を用いて急冷されている。測定した上記組成物のL*、a*、b*、および日射反射率(SR)の値を下記表3に示す。
【0075】
【表3】

【0076】
<態様>
1.式MnxyTazw(式中、1≦x≦3、0.001≦y≦3、0.001≦z≦2、およびw=7)で表される酸化マンガンバナジウムタンタルを含む組成物。
2.前記酸化マンガンバナジウムタンタルは、20%を超える日射反射率(SR)を示す態様1および3〜8のいずれかに記載の組成物。
3.前記酸化マンガンバナジウムタンタルは、約33%の日射反射率を示す態様1〜2および4〜8のいずれかに記載の組成物。
4.前記酸化マンガンバナジウムタンタルは、最高で約90%の近赤外反射率を示す態様1〜3および5〜8のいずれかに記載の組成物。
5.前記式中、1.25≦x≦2.45、0.1≦y≦2.39、および0.2≦z≦1.9である態様1〜4および6〜8のいずれかに記載の組成物。
6.担体をさらに含み、前記酸化マンガンバナジウムタンタルは前記担体中に分散されている態様1〜5および7〜8のいずれかに記載の組成物。
7.前記担体は、アクリル乳剤、水希釈性のアルキル樹脂系、水希釈性のアルキル/メラミン架橋系、水性エポキシ系、およびポリエステル乳剤からなる群から選択される少なくとも1つである態様1〜6および8のいずれかに記載の組成物。
8.Ge系黒色カルコゲニドガラスシステム、Si系黒色カルコゲニドガラスシステム、およびSn−Sb−Bi−Se様ガラスシステムからなる群から選択される少なくとも1つをさらに含む態様1〜7のいずれかに記載の組成物。
9.酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法であって、前記方法は、
(a)酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルの粉末、または酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルを形成可能な前駆体を混合する工程と、
(b)混合物を加熱して、態様1〜8および10〜11のいずれかに記載の組成物を得る工程とを含む方法。
10.前記(a)の混合物におけるMn:V:Taの元素比は、約20:19:1〜約20:1:19である態様9および11のいずれかに記載の方法。
11.前記酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルの粉末は、それぞれMnO2、V25、およびTa25であり、前記前駆体はMnO、NH4VO3、VClx、およびNaVO3を含む態様9および10のいずれかに記載の方法。
12.酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法であって、前記方法は、
(a)バナジウム含有アルカリ溶液とマンガン含有酸性溶液とを混合して、バナジウム−マンガン前駆体ペーストを沈殿させる工程と、
(b)タンタル源を前記バナジウム−マンガン前駆体ペーストに混ぜる工程と、
(c)(b)の混合物を加熱して、態様1〜8のいずれかに記載の組成物を得る工程とを含む方法。
13.前記(a)の混合物におけるMn:V:Taの元素比は、約20:19:1〜約20:1:19である態様12に記載の方法。
14.酸化マンガンバナジウムタンタルの製造方法であって、前記方法は、
(a)酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタル、または酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルを形成可能な前駆体を混合する工程と、
(b)混合物を加熱する工程と、
(c)前記加熱した混合物を急冷して、態様1〜8のいずれかに記載の組成物を得る工程とを含む方法。
15.前記(a)の混合物におけるMn:V:Taの元素比は、2:1:1である態様14および16〜18のいずれかに記載の方法。
16.前記酸化マンガン、前記酸化バナジウム、および前記酸化タンタルは、それぞれMnO2、V25、およびTa25であり、前記前駆体はMnO、NH4VO3、VClx、およびNaVO3を含む態様14〜15および17〜18のいずれかに記載の方法。
17.前記加熱した混合物を金属板上または水浴中で急冷させる態様14〜16および18のいずれかに記載の方法。
18.前記酸化マンガン、前記酸化バナジウム、および前記酸化タンタル、または前記酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルを形成可能な前駆体は、粉末状、顆粒状、またはペレット状である態様14〜17のいずれかに記載の方法。
19.基材、態様1〜8のいずれかに記載の組成物を含む近赤外反射層、および屈折率を有し、前記近赤外反射層の周りに被覆されたカルコゲニドガラス層を含む被覆顔料であって、
前記基材、前記近赤外反射層、および前記カルコゲニドガラス層は、前記被覆顔料の外面に対して直角に前記被覆顔料を見た場合に前記被覆顔料がメタリック色に見え、かつ前記被覆顔料の前記外面に対して直角以外の角度で前記被覆顔料を見た場合に前記被覆顔料が黒色に見えるようなブラックメタリック顔料を形成する被覆顔料。
20.前記被覆顔料はクロムを含まない態様19および21〜23のいずれかに記載の被覆顔料。
21.前記基材は、アルミニウム、銀、銅、金、錫、タンタル、チタン、ルテニウム、ロジウム、プラチナ、パラジウム、これらの合金、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属である態様19〜20および22〜23のいずれかに記載の被覆顔料。
22.前記カルコゲニドガラス層は、Ge系黒色カルコゲニドガラスシステム、Si系黒色カルコゲニドガラスシステム、およびSn−Sb−Bi−Se様ガラスシステムからなる群から選択される少なくとも1つである態様19〜21および23のいずれかに記載の被覆顔料。
23.前記カルコゲニドガラス層は、Ge28Sb12Se60である態様19〜22のいずれかに記載の被覆顔料。
24.態様19〜23のいずれかに記載の被覆顔料の製造方法であって、前記方法は、
物理蒸着法により前記基材を前記カルコゲニドガラス層および前記近赤外反射層で被覆する工程を含む方法。
25.態様19〜23のいずれかに記載の被覆顔料、および担体を含む被覆組成物。
26.態様19〜23のいずれかに記載の被覆顔料を含む被覆を含む物品。
【0077】
本開示の材料および方法を特定の実施形態と共に説明してきたが、開示の視野および範囲内において本開示の材料および方法の他の目的や改良が行われてもよいことは当業者には明らかである。
【0078】
本開示は、その種々の態様および開示の形態において、他の利点を達成するために適宜変更される。開示の詳細は、請求項に対する限定と見なされるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式MnxyTazw(式中、1≦x≦3、0.001≦y≦3、0.001≦z≦2、およびw=7)で表される酸化マンガンバナジウムタンタルを含む組成物。
【請求項2】
前記酸化マンガンバナジウムタンタルは、20%を超える日射反射率(SR)を示す請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸化マンガンバナジウムタンタルは、約33%の日射反射率を示す請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記酸化マンガンバナジウムタンタルは、最高で約90%の近赤外反射率を示す請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記式中、1.25≦x≦2.45、0.1≦y≦2.39、および0.2≦z≦1.9である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
担体をさらに含み、前記酸化マンガンバナジウムタンタルは前記担体中に分散されている請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記担体は、アクリル乳剤、水希釈性のアルキル樹脂系、水希釈性のアルキル/メラミン架橋系、水性エポキシ系、およびポリエステル乳剤からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
Ge系黒色カルコゲニドガラスシステム、Si系黒色カルコゲニドガラスシステム、およびSn−Sb−Bi−Se様ガラスシステムからなる群から選択される少なくとも1つをさらに含む請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、前記方法は、
(a)酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルの粉末、または酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルを形成可能な前駆体を混合する工程と、
(b)混合物を加熱する工程とを含む方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、前記方法は、
(a)バナジウム含有アルカリ溶液とマンガン含有酸性溶液とを混合して、バナジウム−マンガン前駆体ペーストを沈殿させる工程と、
(b)タンタル源を前記バナジウム−マンガン前駆体ペーストに混ぜる工程と、
(c)(b)の混合物を加熱する工程とを含む方法。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、前記方法は、
(a)酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタル、または酸化マンガン、酸化バナジウム、および酸化タンタルを形成可能な前駆体を混合する工程と、
(b)混合物を加熱する工程と、
(c)前記加熱した混合物を急冷する工程とを含む方法。
【請求項12】
基材、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を含む近赤外反射層、および屈折率を有し、前記近赤外反射層の周りに被覆されたカルコゲニドガラス層を含む被覆顔料であって、
前記基材、前記近赤外反射層、および前記カルコゲニドガラス層は、前記被覆顔料の外面に対して直角に前記被覆顔料を見た場合に前記被覆顔料がメタリック色に見え、かつ前記被覆顔料の前記外面に対して直角以外の角度で前記被覆顔料を見た場合に前記被覆顔料が黒色に見えるようなブラックメタリック顔料を形成する被覆顔料。
【請求項13】
請求項12に記載の被覆顔料の製造方法であって、前記方法は
物理蒸着法により前記基材を前記カルコゲニドガラス層および前記近赤外反射層で被覆する工程を含む方法。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物および/または請求項12に記載の被覆顔料、ならびに担体を含む被覆組成物。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物および/または請求項12に記載の被覆顔料を含む被覆を含む物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−20927(P2012−20927A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−155362(P2011−155362)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(511034594)シルバーライン マニュファクチュアリング カンパニー,インク. (7)
【Fターム(参考)】