説明

酸性官能基を有するグラジエントブロック共重合体

本発明は、酸性官能基を有するグラジエントブロック共重合体類、その製造方法、及び、制限されないが毛髪固定剤、強化剤及び接着剤への用途を含むその使用に関する。驚くべきことに、出願人は前記酸性官能基を有するグラジエントブロック共重合体類が有利な特性を有し、様々な応用分野で利用し得ることを発見した。これらの重合体は、単量体の逐次付加(即ち、「ワンポット」合成)によって容易に製造され、その方法は、重合後の修正工程を必要としない。前記重合体は、通常用いられる単量体から生じる。このような通常用いられる単量体の使用には、経済的利点、及び、固有の安全性についての利点(例えば通常の単量体は生体適合性を有すると考えられている)という両方の利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新種の酸性官能基を有するグラジエントブロック共重合体に関する。本発明に係る酸性官能基を有するグラジエントブロック共重合体は、有利な特性を有し、幅広い応用分野で用いることができる。その重合体は、単量体の逐次付加(即ち、「ワンポット」合成)によって容易に製造することができ、その方法は、重合後の修正工程を必要としない。これらの重合体は、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、又は、エマルジョン重合法によって合成することができる。上述の重合体は、一般に用いられる単量体から形成される。
【背景技術】
【0002】
アクリル酸(AA)は広く知られており、例えば、粘着性、膨張性及び溶解性等の特性を発揮するように用いられる。さらに、それは、pH依存性を付与し、重合後反応が可能な官能基を提供するために用いられる。本願出願人らは、AAの好ましい特性とブロック及びグラジエント共重合体の両方の特性とを組み合わせると、最終用途の特性や製造の単純化に有利な効果を有する材料となることを発見した。メタクリル酸は、アクリル酸の代わりに用いることができる。また、例えば、当業者に知られているような重合後の改質工程において加水分解可能な無水物又は保護された酸エステル等の酸性型に容易に改質される単量体を用いることもできる。さらに、この単量体組成物の調整と配列によって、最終用途の重合体の特性を特別に形成することができる。例えば、共単量体としてのAAを、疎水性で低Tg(ガラス転移温度)の単量体(例えば、ブチルアクリレートやエチルヘキシルアクリレート等)と共に用いると、例えば、ガラス、髪又は金属等の物質への接着性の改善に効果がある。また、AAの親水性及びイオン性も、極性有機溶媒及び水の両方における溶解性を改善する。さらに、上述の好ましい特性を達成するためにAAを共単量体として用いると、例えば、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート又はメトキシエチルアクリレート等の、より高価な、又は、場合により毒性を有する他の単量体代替物に依存する必要がなくなる。
【0003】
グラジエントブロック構造体を用いると、最終重合体の特性をさらに調整することができる。例えば、従来の重合体において得られる特性は、典型的には、包含している生成物である単量体によって得られる特性の平均であると同時に、ブロック共重合体は、結局、各親重合体のブロック単位に特有の特性を有する複合材料となる。グラジエント構造体によれば、各ブロック単位の調整、さらには重合体合成法の単純化が可能となる。一例としては、高Tgの重合体単位において低Tgの単量体のグラジエントを創造すること等により1単位のTgを調整すると、その単位の全てのTgを減少させることができる。
【0004】
米国特許第6887962号明細書及び米国特許出願第2004/0180019号明細書には、制御ラジカル重合(CRP)によって形成されたグラジエント重合体が例示されている。いずれの明細書も、ブロック共重合体とAAとの組み合わせによるグラジエント構造体の使用は開示していない。
【0005】
ここで、「共重合体」とは、少なくとも2つの化学的に異なる単量体で形成される重合体を意味する。共重合体は、三元重合体や3超の単量体で形成されたそれらの重合体を含む。各ブロック単位は、2つ又はそれより多数の異なる単量体の共重合体を構成することができる。
【0006】
本発明に係るブロック共重合体は、制御ラジカル重合(CRP)で形成されたものが好ましく、窒素酸化物が媒介するCRPがその好ましい経路である。例となる窒素酸化物は、米国特許第6255448号明細書に開示されている(これらは参照することにより本発明に組み込まれる)。そこに開示されているものは、下記化学式の配列を含む窒素酸化物族からの安定なフリーラジカルである。
【化1】

【0007】
上記式において、RL基は、15より大きいモル質量を有する。一価のRL基は、窒素酸化物ラジカルの窒素原子に関しては、β位に位置すると言われている。化学式(1)における炭素原子及び窒素原子の残留荷電子帯は、水素原子又は炭化水素ラジカル等、炭素原子数1〜10で構成されるアルキル、アリル又はアラルキルラジカル等の様々なラジカルと結合し得る。
【特許文献1】米国特許第6887962号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2004/0180019号明細書
【特許文献3】米国特許第6255448号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようなブロック共重合体は、統計的分布又は単量体間の反応速度の差と関連するある種の単量体のブロックをいくつか含み得るランダム共重合体とは異なる。これらのランダム重合において、実質的には、重合体の構造、分子量、又は、多分散性の制御はできず、個々のポリマー鎖の相対組成は不均一である。本発明のブロック共重合体は、2ブロック共重合体、3ブロック共重合体、マルチブロック共重合体、星形重合体、くし形重合体、グラジエント重合体及び当業者に公知のその他のブロック構造を有する重合体を含んでいる。
【0009】
共重合体単位が、例えば窒素酸化物媒介重合等のCRP技術を用いて合成される際、それをグラジエント共重合体又は「プロファイルド」共重合体と称する。この種の共重合体は、従来のフリーラジカル法で得られた重合体と異なっており、また、共重合体の特性は単量体の組成、用いる制御剤、及び、重合条件に依存する。例えば、従来のフリーラジカル重合によって単量体の混合物を重合する際、成長鎖が存在する期間中(約1秒間)単量体の混合物の組成が変化せず、統計共重合体が生成する。さらに、反応を通してフリーラジカルが継続的に生成されるため、鎖組成は不均一となる。制御ラジカル重合の間中、鎖はアクティブであるため、その組成は不均一であり、反応時間に関しては対応する単量体の混合物に依存する。このように、一方の単量体が他方より速く反応する2単量体システムにおいて、単量体ユニットの分配又は「プロファイル」は、重合体単位の一端で1単量体ユニットの濃度がより高くなるほどである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の共重合体は、アクリルのブロック重合体である。ここで用いられるアクリルのブロック重合体は、共重合体の少なくとも1ブロックが1又はそれより多数のアクリルの単量体で形成されているものを意味している。アクリルのブロックは、少なくとも5モル%、好ましくは25モル%、最も好ましくは50モル%のアクリルの単量体ユニットを含んでいる。1つの好ましい実施形態において、アクリルのブロックは、100%のアクリルの単量体ユニットを含んでいる。その他のブロック等は、アクリルのものであってもよく、非アクリルのものであってもよい。
【0011】
ここで、「アクリル」とは、限定されないが、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド及びアクリロニトリルを含むアクリルの単量体で形成される重合体又は共重合体を意味している。また、それは、アルカクリル(alkacryl)誘導体、及び、特にメタクリル誘導体を含んでいる。機能的なアクリルの単量体も含んでいる。限定されないが、アクリルの単量体の有用な例としては、アクリル酸;メタクリル酸;アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸の混合エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−及びN,N−置換(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸及びその無水物、ハロゲン化カルボニル、アミド、アミド酸、アミドエステル、及び、それら全ての及び部分的なエステルがある。特に、好ましいアクリルの単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、他のC6〜C22のアルキル(メタ)アクリレート、及び、それらの混合物である。
【0012】
グラジエントブロック共重合体の例は、1単位から用いられる単量体又は単量体群が、次に続く単位において副組成物としてさらに反応する余地のあるときのものである。例えば、もしAB2ブロック共重合体の第1のブロック(Aブロック)に用いる単量体の混合物が80%しか重合しない場合、その後、残り20%の未反応単量体はBブロック単位のために加えられる新しい単量体と反応する余地がある。その結果、AB2ブロック共重合体のB単位はA単位組成物のグラジエントを含んでいる。
【0013】
A単位又はB単位の一方又は両方が酸性官能基を有するABA3ブロックの熱可塑性エラストマーは、1つの有用な種類の酸性官能基を有するグラジエントブロック共重合体である。上述したように、弾性、Tg、接着性及び溶解性等は、酸性官能基の様々な組成、量及び位置によって調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、新種の酸性官能基を有するグラジエントブロック共重合体に関し、2ブロック共重合体、3ブロック共重合体、マルチブロック共重合体、星形重合体、くし形重合体、当業者に公知のその他のブロック構造を有する重合体を含んでいる。1つの好ましい実施形態において、本発明のブロック共重合体は、少なくとも1つの異なる単位から得られる単量体(群)が隣接単位においてグラジエントとして組み込まれたグラジエント組成物を含んでいる。1つ又はそれより多くのブロック単位は酸性官能基を含んでいる。好ましくは、1つより多くの単位が酸性官能基を含んでいる。酸性官能基は、アクリル酸又はメタクリル酸の使用から生ずるのが好ましい。ブロック共重合体、グラジエント共重合体及び酸含有官能基の組み合わせを通して、単位組成物の公平な選択や重合体構造の合理的設計により重合体材料の特性を効果的に調整することができる。一例として、公知のポリメチルメタクリレート−ブロック−ポリブチルアクリレート−ブロック−ポリメチルメタクリレート(PMMA−PBA−PMMA)ブロック共重合体の特性を、グラジエントプロファイルを導入し、酸性官能基を組み込むことによって著しく変えることが可能である。前述の3ブロックは、水溶性も吸水性も有さない。酸がグラジエントプロファイルを経由して両ブロックへ組み込まれた場合、水溶性重合体を特に中和によって得ることができる。酸が選択的に中間ブロック単位で保持されると、その材料はヒドロゲルとして機能し、酸が選択的にエンドブロックで隔離されると、その重合体は増粘剤として機能する。機械的特性は、他の単量体をグラジエントプロファイルに組み込むことでさらに調整することができる。例えば、ブチルアクリレート(BA)は、結果物である3ブロックのモジュール及びTgをさらに減らすために、エンドブロックへのグラジエントとして中間ブロックから持ち越すことができる。
【0015】
グラジエント構造、関連する酸組成物及び構成を変えることによって、本発明では、調整された、接着性、膨張性、溶解性、pH依存性、レオロジー特性及び機械的特性等の特性を有するブロック共重合体の生成が可能となる。
【0016】
(重合体の製造方法)
本発明の別の局面は、以下の実施例1〜6に示すような酸含有グラジエントブロックの単純な製造方法に関する。そこでは、当業者に公知の制御重合技術を用いることができる。この製造方法としては、ラジカル重合制御が好ましく、窒素酸化物媒介制御ラジカル重合が最も好ましい。広範囲の単量体を当業者にとって明らかな上述の制御重合技術にあわせて用いることが可能である。単量体は、限定されないが、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、及び、アルカクリル(alkacryl)誘導体、特にメタクリル誘導体を包含するアクリロニトリルを含んでいる。ビニル芳香族化合物、置換ビニル芳香族化合物、及び、ジエン等の非アクリレート単量体だけでなく、フッ素又はシリルを含んだ(メタ)アクリレート単量体も含まれる。
【0017】
本発明の酸含有グラジエントブロック共重合体は、例えば、適合剤、熱可塑性エラストマー、衝撃調整剤、接着剤、増粘剤、毛髪固定剤、制御伝達の(調合剤、殺虫剤、芳香剤等の)基質、化粧用品、界面活性剤、発泡剤、低表面エネルギー添加物(着色防止用、防汚用又は固着防止用として、また、湿潤剤やコーティング剤として、さらに、汚染防止剤として)、医療用器具のコーティング剤、潤滑剤、その他当業者にとって明らかなもの等の広範囲の用途に応用することができる。
【0018】
これらの重合体は、添加剤中に、又は、バルク剤として用いることができる。添加剤は、バルク重合体が本来有しない耐衝撃性等の特性を与えるために、広範囲の当該バルク重合体に含まれていても良い。
【0019】
次に示す実施例は、本発明の典型例であるが、何らそれらに限定されない。バルク重合及び溶液重合の例が示される際は、これらの技術は懸濁重合及び乳化重合法に拡張することができる。
【実施例】
【0020】
(実施例1)
酸性官能基を有するポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレートグラジエントブロック共重合体の調整。
【0021】
(二官能性開始剤の合成)
47.0g(0.237モル)の1,4−ブタンジオールジアクリレートを355.9gの無水エタノールに混ぜ合わせ、窒素で10分間泡立てた。次に、この混合物を190.25g(0.499モル)のBlocBuilder(登録商標)のアルコキシアミン・フリーラジカル重合コントローラ(Arkema社から入手可能)へ加えた。その結果生ずる溶液を撹拌しながら78〜80℃で還流し、4時間保持することによって反応を完了させた。NMRによれば、反応物は新規なジアルコキシアミンが95%を超えている。従って、エタノール中の溶液は約38%が活性である。
【0022】
(第1ブロックの合成)
33.9g(0.0134モル)の前記工程で得られたジアルコキシアミン溶液を、適当な容器内で、31.4g(0.435モル)のアクリル酸及び550g(4.29モル)のブチルアクリレートに混ぜ合わせた。その混合物を、単量体に存在する阻害物質を非活性化するために10分間窒素で泡立てた。この処理に引き続き、その溶液を、容量が1Lで、100psiを越える圧力に調整可能で、且つ、機械的撹拌部とサンプリング弁とを備えたステンレス鋼のポリマー反応器へ注ぎ込んだ。重合は、80%の変化率となるまで110〜120℃で約3時間行った。結果として得られた第1ブロック混合物を、500gのトルエンで希釈した。
【0023】
(3ブロック共重合体の合成)
上述のように希釈された第1ブロック混合物を500gとり、88.5g(0.89モル)のメチルメタクリレート及び15.7g(0.22モル)のアクリル酸と混合した。この混合物を30分間窒素で泡立て、その後、上述したものと同じ反応器により、105℃で1時間、さらに115℃で2時間の重合処理を行った。第2ブロックの全変化率は85%であった。溶媒及び残留単量体を115〜130℃で真空除去した。
【0024】
結果として得られた重合体は、Bブロックがブチルアクリレートとアクリル酸(BA/AA)の共重合体を含み、Aブロックがアクリル酸とブチルアクリレートグラジエント(MMA−BA/AA)を含んだポリメチルメタクリレートブロックを含み、P(MMA−BA/AA)−b−P(BA/AA)−b−P(MMA−BA/AA)で表示されるABA3ブロック共重合体である。また、「b」は、ブロックを示し、中間ブロック組成物からエンドブロックへの移行部を示す。
【0025】
(実施例2)
上記ジアルコキシアミン溶液を24.239g(0.00958モル)とり、適当な容器中で、67.639g(0.939モル)のアクリル酸及び383.330g(2.99モル)のブチルアクリレートに混ぜ合わせた。その混合物を、単量体中の阻害物質を非活性化するために10分間窒素で泡立てた。この処理に引き続いて、その溶液を、容量が1Lで、100psiを越える圧力に調整可能で、且つ、機械的撹拌部とサンプリング弁とを備えたステンレス鋼のポリマー反応器へ注ぎ込んだ。重合は、90%の変化率となるまで110〜120℃で約4時間行った。結果として得られた第1ブロック混合物を、168gのトルエンで希釈した。
【0026】
408gの上記混合物、151.227g(1.51モル)のメチルメタクリレート及び追加で47.337gのトルエンを混合することにより3ブロック共重体を製造した。MMAが80%の変化率で重合され、88%のPMMA、10%のBA及び1.6%のAAを含んだエンドブロックが生成された。
【0027】
(実施例3)
酸性官能基を有するポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレートグラジエントブロック共重合体(実施例1で与えられる)と、酸性官能基を有するメチルメタクリレート及びブチルアクリレートのランダム共重合体との混合物の調整。
【0028】
実施例1で詳述された3ブロック共重合体の合成は、第2ブロックの変化率が85%に到達した際に実施可能となる。変化率が85%に到達すると、Luperox575(Arkema社製のt−アミルパーオクトエート)等の適当な過酸化物を反応中へ加えることが可能となり、混合物は、115℃で少なくとも30分間、好ましくは6〜7半減期保持される。反応の最後における残存単量体を除去するための過酸化物の添加は、当業者にとって明らかであるが、一般的に「チェイシング」と呼ばれている。結果として得られる混合物は、ブロック共重合体と、酸性官能基を有するメチルメタクリレート及びブチルアクリレートのランダム共重合体とを含んでいる。ブロック共重合体組成物は、P(MMA/AA)−b−P(BA/AA)−b−P(MMA/AA)で表示される。「b」は、ブロックを示し、中間ブロック組成物からエンドブロックへの移行部を示す。
【0029】
(実施例4)
実施例4は、第1ブロックの合成の際にアクリル酸が添加されない点を除くと実施例1と厳密に同様に行われる。結果として得られるブロック共重合体は、純粋なブチルアクリレート中間ブロックと、メチルメタクリレート及びブチルアクリレートグラジエントを含むアクリル酸共重合体を含むエンドブロックとを含んでおり、P(MMA/AA−BA)−b−PBA−b−P(MMA/AA−BA)で表示される。「b」は、ブロックを示し、中間ブロック組成物からエンドブロックへの移行部を示す。
【0030】
(実施例5)
実施例5は、第1ブロックの合成の際に適当なアクリル共重合体がアクリル酸の代わりに用いられる点を除くと実施例1と厳密に同様に行われる。結果として得られるブロック共重合体は、ブチルアクリレート−アクリレート重合中間ブロックと、メチルメタクリレート及びブチルアクリレートグラジエントを包含するアクリル酸共重合体を含むエンドブロックとを含んでおり、P(MMA/AA−BA)−b−PBA/coacrylic−b−P(MMA/AA−BA)で表示される。「b」は、ブロックを示し、中間ブロック組成物からエンドブロックへの移行部を示す。
【0031】
(実施例6)
実施例6は、第1ブロックの合成の後に、残留単量体がエンドブロック付加前に真空蒸留によって除去される点を除くと実施例1と厳密に同様に行われる。結果として得られるブロック共重合体は、ブチルアクリレート−アクリル酸重合中間ブロックと、メチルメタクリレートを含むエンドブロックとを含んでおり、P(MMA)−b−PBA/AA−b−P(MMA)で表示される。「b」は、ブロックを示し、中間ブロック組成物からエンドブロックへの移行部を示す。
【0032】
(実施例7)
実施例7は、エンドブロックの合成の際に、ブチルアクリレートが共重合体として加えられる点を除くと実施例6と厳密に同様に行われる。結果として得られるブロック共重合体は、ブチルアクリレート−アクリ酸重合中間ブロックと、メチルメタクリレート及びブチルアクリレートグラジエントを包含するブチルアクリレート共重合体を含むエンドブロックとを含んでおり、P(MMA/BA)−b−PBA/AA−b−P(MMA/BA)で表示される。「b」は、ブロックを示し、中間ブロック組成物からエンドブロックへの移行部を示す。
【0033】
本発明が、その特定の実施例に関して述べられる場合、多数の他の形態で表され、また、修正されるのは当業者にとって自明なことである。添付の特許請求の範囲及び本発明は、一般的に、本発明の真意及び本発明の範囲に属するそのような自明の形態及び修正を全て包含するように構成されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる単量体又は重合体のブロックを含むブロック共重合体であって、
前記異なる単量体又は重合体のブロックの少なくとも1つがグラジエント共重合体であり、さらに、
前記異なる単量体又は重合体のブロックの少なくとも1つが酸性官能基を有するブロック共重合体。
【請求項2】
前記酸性官能基が1つ又はそれより多くの酸性単量体ユニットで与えられる請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項3】
1つ又はそれより多くの酸性単量体ユニットが、少なくとも1つの前記異なる単量体又は重合体中に、総量で少なくとも5モル%存在する請求項2に記載のブロック共重合体。
【請求項4】
1つ又はそれより多くの酸性単量体ユニットが、少なくとも1つの前記異なる単量体又は重合体中に、総量で少なくとも25モル%存在する請求項2に記載のブロック共重合体。
【請求項5】
1つ又はそれより多くの酸性単量体ユニットが、少なくとも1つの前記異なる単量体又は重合体中に、総量で少なくとも50モル%存在する請求項2に記載のブロック共重合体。
【請求項6】
フリーラジカル重合技術で形成された請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項7】
制御フリーラジカル技術で形成された請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項8】
窒素酸化物媒介制御フリーラジカル技術で形成された請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項9】
前記窒素酸化物は、下記化学式の配列を含む請求項8に記載のブロック共重合体。
【化1】

(RL基のモル質量は15超である。)
【請求項10】
前記ブロック共重合体が、2ブロック共重合体、3ブロック共重合体、マルチブロック共重合体、星形共重合体、くし形共重合体又はグラジエント共重合体である請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項11】
前記酸は、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸;フマル酸;クロトン酸;イタコン酸、カルボキシエチルアクリレート、アクリルアミド−2−メチル−2−プロパンスルフォネート及びスチレンスルホン酸から選択される請求項2に記載のブロック共重合体。
【請求項12】
前記酸は、無水マレイン酸、無水フマル酸及び無水イタコン酸から選択される対応する無水物を加水分解して形成された請求項2に記載のブロック共重合体。
【請求項13】
前記酸は、t−ブチルアクリレート及びt−ブチルメタクリレートから選択される対応する保護されたエステルを加水分解して形成された請求項2に記載のブロック共重合体。
【請求項14】
バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、又は、エマルジョン重合法によって合成された請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項15】
少なくとも1ブロック単位が酸性官能基を含み、少なくとも2ブロック単位が異なるグラジエント共重合体である3ブロック共重合体を包含する請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項16】
少なくとも2ブロック単位が酸性官能基を含み、少なくとも2ブロック単位が異なるグラジエント共重合体である3ブロック共重合体を包含する請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項17】
前記3ブロック共重合体がポリスチレン−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレート(PS−PBA−PMMA PS−PBA−PMMA)3ブロック共重合体を含む請求項15に記載のブロック共重合体。
【請求項18】
前記酸性官能基が部分的に又は完全に中和された請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項19】
少なくとも1ブロックが酸性官能基を含み、少なくとも1ブロックがグラジエント構造を有するポリメチルメタクリレート−b−ポリブチルアクリレート−b−ポリメチルメタクリレートの3ブロックを包含するブロック共重合体。
【請求項20】
少なくとも1ブロックが酸性官能基を含み、少なくとも2ブロックが別々にグラジエント構造を有するポリメチルメタクリレート−b−ポリブチルアクリレート−b−ポリメチルメタクリレートの3ブロック共重合体を包含するブロック共重合体。
【請求項21】
少なくとも2ブロックが酸性官能基を含み、少なくとも1ブロックが別々にグラジエント構造を有するポリメチルメタクリレート−b−ポリブチルアクリレート−b−ポリメチルメタクリレートの3ブロック共重合体を包含するブロック共重合体。

【公表番号】特表2009−538384(P2009−538384A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512276(P2009−512276)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/069503
【国際公開番号】WO2007/140192
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】