説明

酸性液の処理装置及び処理方法

【課題】アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に、非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液を通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和脱塩又は中和脱塩減容化するに当たり、酸性液中のカチオンに起因する水酸化物スケールによる処理性能の低下を防止する。
【解決手段】酸性液及び/又はアルカリ溶液中の粒子を除去する粒子除去装置21,22を設けて、酸性液及び/又はアルカリ溶液中の水酸化物スケールの核となる粒子を予め除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液を、効率的に中和脱塩又は中和脱塩減容化する処理装置と方法に関する。詳しくは原子力発電所や火力発電所の復水脱塩装置の再生時に排出されるモノエタノールアミン含有希塩酸性液等の非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液を、効率的かつ経済的に中和脱塩又は中和脱塩減容化する処理装置と処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電や火力発電の復水工程では、モノエタノールアミン(MEA)などのアミン類が蒸気生成ラインの防食剤として用いられている。通常、これらのアミン類は、ライン中に設けられた復水脱塩装置(以下「コンデミ」と称す場合がある。)のカチオン交換樹脂に捕捉され、復水脱塩装置の再生の際に再生廃液に含まれて排出される。排出されたアミン類は、COD源や富栄養化源となって河川や湖沼を汚染するため、これを処理する必要がある。
【0003】
このコンデミ再生廃液は、COD及び窒素負荷の高い液であるため、一般に熱分解又は液中燃焼などにより処理されているが、コンデミ再生廃液をそのまま熱分解又は液中燃焼装置に供するには、廃液量が多く処理コストが高くつくことから、その減容化が望まれる。
【0004】
本出願人は、先に、コンデミ再生廃液等の酸性液を効率的かつ経済的に処理する技術として、次の(1),(2)を提案した。
(1) 窒素化合物を含有する酸性液を、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩処理し、得られた中和脱塩処理液中の窒素化合物を濃縮する方法及び装置(特許文献1)。
(2) 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた該一方の室に該酸性液を通水するとともに、該他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和脱塩及び減容化する方法及び装置(特許文献2)。
【0005】
特許文献1,2の処理技術であれば、コンデミ再生廃液等の酸性液を経済的かつ効率的に処理することができるが、以下の問題点がある。
即ち、これらコンデミ再生廃液等の酸性液には、スケールを生成させるカチオンであるFe、Ni、Co、Cu、Ca、Mgなどが含まれる場合がある。例えば、原子力発電所のカチオン樹脂の復水脱塩再生排液にはFe、Cuなどが含まれる。
このため、特許文献1,2の処理技術では、処理に用いるアニオン交換膜が、酸性液中のこれらのカチオンの水酸化物の粒子やスケールにより劣化、損傷し、経時により処理性能の低下を起こすという問題がある。即ち、中和脱塩又は中和脱塩減容化処理により、酸性液のpHが高くなるために、酸性液中において、酸性液中に含まれるカチオンの水酸化物の粒子が生成する。特に、酸性液を循環処理する場合には、水酸化物の生成量が多くなる。この水酸化物は粒子となってアニオン交換膜表面を劣化、損傷させる。
【0006】
また、酸性液中のカチオンは、アニオン交換膜を透過し難いが一部は透過するために、酸性液側からアルカリ溶液側にカチオンの移動がある。そのため、酸性液側と同様、アルカリ溶液側においても水酸化物の粒子が生成し、アルカリ溶液側でもアニオン交換膜の劣化、損傷の問題がある。
【0007】
また、アニオン交換膜は、その膜内にアルカリ溶液からのOHイオンを保持しているため、アニオン交換膜表面においても水酸化物のスケールが生成し易い。生成したスケールはアニオン交換膜表面を覆うため、中和脱塩又は中和脱塩減容化処理の対象となるアニオン成分の膜透過を妨げ、脱塩処理又は中和脱塩減容化速度を低下させるという弊害をもたらす。
【0008】
酸性液側では、酸性液を新液に切り替えることで、pHが低下し、スケールが再溶解するが、アルカリ溶液側では、高アルカリ条件下で再溶解を起こすようなAl、Ni、Cdなどを除くカチオンによるスケールについては、スケールが増々厚くなり、加速度的に処理速度が低下することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特願2010−262511
【特許文献2】特願2010−262506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、特許文献1,2に記載される中和脱塩或いは中和脱塩減容化処理における水酸化物スケールの問題を解決する酸性液の処理装置及び処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記の中和脱塩或いは中和脱塩減容化処理における水酸化物スケールの問題について種々検討した結果、中和脱塩装置又は中和脱塩減容化装置に導入される酸性液とアルカリ溶液の流路に粒子除去装置を設け、スケールの核となる粒子を除去することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0012】
[1] 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理装置であって、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩する中和脱塩装置と、該中和脱塩装置に導入される前記酸性液及び/又はアルカリ溶液に含まれる粒子を除去する粒子除去装置とを有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【0013】
[2] 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理装置であって、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して、該酸性液を中和脱塩及び減容化する中和脱塩減容化装置と、該中和脱塩減容化装置に導入される前記酸性液及び/又はアルカリ溶液に含まれる粒子を除去する粒子除去装置とを有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【0014】
[3] [1]又は[2]において、前記酸性液が前記一方の室に循環通水されることを特徴とする酸性液の処理装置。
【0015】
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記アルカリ溶液が前記他方の室に循環通水されることを特徴とする酸性液の処理装置。
【0016】
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記他方の室へのアルカリ溶液の通水を停止して該他方の室に酸性の薬液を通水する手段を有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【0017】
[6] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記一方の室と他方の室とで、前記酸性液とアルカリ溶液との通水を切り替える手段を有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【0018】
[7] [1]ないし[6]のいずれかにおいて、前記酸性液のpHを測定するpH計と、該pH計の測定値に基いて、前記酸性液を、該酸性液に含まれる粒子を除去する粒子除去装置を経て前記一方の室に通水する流路選択と、該粒子除去装置を迂回して前記一方の室に通水する流路選択とを制御する制御手段を有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【0019】
[8] 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理方法であって、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩する中和脱塩工程と、該中和脱塩工程に導入される前記酸性液及び/又はアルカリ溶液に含まれる粒子を除去する粒子除去工程とを有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【0020】
[9] 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理方法であって、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して、該酸性液を中和脱塩及び減容化する中和脱塩減容化工程と、該中和脱塩減容化工程に導入される前記酸性液及び/又はアルカリ溶液に含まれる粒子を除去する粒子除去工程とを有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【0021】
[10] [8]又は[9]において、前記酸性液を前記一方の室に循環通水することを特徴とする酸性液の処理方法。
【0022】
[11] [8]ないし[10]のいずれかにおいて、前記アルカリ溶液を前記他方の室端側に循環通水することを特徴とする酸性液の処理方法。
【0023】
[12] [8]ないし[11]のいずれかにおいて、前記他方の室へのアルカリ溶液の通水を停止して該他方の室に酸性の薬液を通水する工程を有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【0024】
[13] [8]ないし[11]のいずれかにおいて、前記一方の室と他方の室とで、前記酸性液とアルカリ溶液との通水を切り替える工程を有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【0025】
[14] [8]ないし[13]のいずれかにおいて、前記酸性液のpHを測定し、該pHの測定値に基いて、前記酸性液中の粒子の粒子除去処理の有無とを制御することを特徴とする酸性液の処理方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液(以下、非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を「非イオン/カチオン性水溶性化合物」と称し、これを含有する酸性液を「非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液」又は「原水」又は単に「酸性液」と称す場合がある。)の中和脱塩或いは中和脱塩減容化処理において、酸性液及び/又はアルカリ溶液中の水酸化物の核となる粒子を予め除去することにより、中和脱塩装置又は中和脱塩減容化装置内でのスケールの生成、膜面へのスケールの付着、堆積が抑制され、装置内でのスケール生成に起因する膜の劣化、損傷、処理性能の低下を防止することができる。
【0027】
特に、アルカリ溶液が通水される室に、酸性の薬液を通水して膜面を洗浄することにより、アルカリ溶液側の膜面に付着したスケールを溶解させて除去することができる。
また、酸性の薬液の代りに、被処理酸性液を用いてもよく、アルカリ溶液を通水する室と酸性液を通水する室とを切り替えることにより、アルカリ溶液側の室を被処理酸性液により洗浄することができ、この場合には、新たな酸性の薬液が不要であり、排液処理量の増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の酸性液の処理装置及び方法の実施の形態を示す系統図である。
【図2】本発明の酸性液の処理装置及び方法の実施の形態を示す系統図である。
【図3】本発明の酸性液の処理装置及び方法の実施の形態を示す系統図である。
【図4】本発明の酸性液の処理装置及び方法の実施の形態を示す系統図である。
【図5】比較例1で用いた処理装置を示す系統図である。
【図6】実施例1及び比較例1における中和脱塩速度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の酸性液の処理装置及び処理方法の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
なお、本明細書では、本発明で処理する非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液が、酸として塩酸(HCl)を含み、このような酸性液をアルカリ溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和脱塩及び減容化処理する場合を例示して、本発明を説明するが、本発明で処理対象とする酸性液に含まれる酸は、塩酸に限らず、硫酸等の他の酸であってもよい。非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液に含まれる酸が硫酸等の他の酸の場合、以下の説明において、ClイオンはSO2−イオン等の酸のHの対となるアニオンであり、また、アルカリ溶液として水酸化ナトリウム水溶液以外のアルカリ溶液を用いた場合、以下の説明において、NaイオンはKイオン等のアルカリのOHの対となるカチオンである。
【0031】
図1〜4は、本発明の実施の形態を示す系統図であり、酸性液槽1、アルカリ溶液槽2、アニオン交換膜10Aを備える中和透析装置10、粒子除去装置21,22で主に構成される。図1〜4は、同一の装置におけるバルブ操作による酸性液及びアルカリ溶液の流路選択を説明するものであり、図1〜4において、黒塗りしたバルブは開(酸性液又はアルカリ溶液が流れている)であることを示し、白抜きのバルブは閉(酸性液又はアルカリ溶液が流れていない)ことを示す。
【0032】
[非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液]
本発明の処理対象となる非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液としては、特に制限はないが、例えば、以下の(1)〜(3)が挙げられる。
(1) 窒素化合物含有酸性液
(2) 金属イオン含有酸性液
(3) 界面活性剤、洗浄剤含有酸性液
【0033】
(1)窒素化合物含有酸性液としては、例えば火力発電所や加圧水型原子力発電所などにおいて、防食剤としてモノエタノールアミン(MEA)やモルホリンなどの有機アミンを添加した復水の脱塩装置(コンデミ)に用いられるカチオン交換樹脂を再生した酸性廃液(以下「コンデミ再生酸性廃液」と称す場合がある。)を挙げることができる。
【0034】
カチオン交換樹脂の再生には、塩酸や硫酸等の酸が用いられるため、このコンデミ再生酸性廃液には脱着した有機アミン(正確には有機アミンの酸塩)と再生薬品としての塩酸や硫酸などの酸のほか、微量の銅イオン、鉄イオン、また有機アミンの分解物であるアンモニアなどが含まれている。
【0035】
このようなコンデミ再生酸性廃液の有機アミンやその他の水質成分の濃度やpHは、その廃液の種類によって異なるが、例えば以下のような水質である。
【0036】
【表1】

【0037】
(2)金属イオン含有酸性液としては、製鉄工場や金属材加工工場などにおける揮発性酸による酸洗工程から排出される金属溶解酸排液などが挙げられる。
【0038】
(3)界面活性剤、洗浄剤含有酸性液としては、例えば、半導体製造プラントから排出されるリンス排水などが挙げられる。
即ち、半導体製造プラントからは、pH2.5〜3.5、H濃度10〜30ppmで、TOC成分として界面活性剤、アセトン、イソプロパノール、酢酸等のカルボン酸などを1〜3ppm含有するリンス排水が排出される。従来、このような半導体リンス排水は、第1の活性炭吸着塔、弱塩基性アニオン交換樹脂塔、強酸性カチオン交換樹脂塔、強塩基性アニオン交換樹脂塔、逆浸透膜処理装置、高圧紫外線照射装置、第2の活性炭吸着塔、真空脱気塔、混床式イオン交換樹脂塔に順次通水して処理されているが、このような従来の半導体リンス排水の処理方法においては、pH2.5〜3.5の酸性のリンス排水を処理するため、第1の活性炭吸着塔の性能が経時により低下して、第1の活性炭吸着塔のH分解性能が低下し、活性炭吸着塔から流出したHが、弱塩基性アニオン樹脂塔の樹脂をHによる酸化で劣化させ、弱塩基性アニオン交換樹脂塔の性能を低下させる;第1の活性炭吸着塔のH分解性能が低下すると、リンス排水中の界面活性剤の吸着性能も低下し、後段の強塩基性アニオン交換樹脂塔の性能低下を引き起こす;といった問題があったが、本発明によれば、このような酸性液を効率的に処理することができる。
【0039】
[中和脱塩処理又は中和脱塩減容化処理]
本発明に係る中和脱塩処理においては、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた一方の室に原水である非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液を通水すると共に、他方の室にアルカリ溶液を通水して原水を中和及び脱塩する。
また、アルカリ溶液として非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を用いた場合には、中和及び脱塩と共に、更に減容化を行うことができる。
【0040】
この原水の中和脱塩処理に用いる装置としては、アニオン交換膜10Aを用いた中和透析装置(拡散透析装置)10が好適に使用される。
【0041】
アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム等の溶解性アルカリ化合物の水溶液を用いることができる。
【0042】
コンデミにおいて、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混床樹脂を分離するために、16重量%のNaOH水溶液を用いてアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比重差を利用して分離する技術を用いている現場では、別途、この分離に用いたアルカリ廃液が排出される。
このようにコンデミの再生現場では、アルカリ廃液が過剰に排出される場合があり、本発明においては、このようなコンデミ再生アルカリ廃液等のアルカリ廃液をアルカリ溶液として用いることもできる。
アルカリ溶液としては、更に他の施設から排出されるアルカリ廃液を用いてもよい。
【0043】
中和透析装置10では、アニオン交換膜10Aで仕切られた一方の室に導入された酸性液中のClイオンがアニオン交換膜10Aを透過して他方の室に移動することにより脱塩され、一方、他方の室内のOHイオンがアニオン交換膜10Aを透過して酸性液が通水される一方の室に移動することにより酸性液が中和される。該酸性液が通水される一方の室の流出液は酸性液槽1に返送され、酸性液は循環処理される。アルカリ溶液が通水される他方の室からの流出液もアルカリ溶液槽2に返送されて循環される。
【0044】
このような中和透析装置10による中和脱塩処理においては、次のような態様を採用することが好ましい。
【0045】
(1) アニオン交換膜10Aとしては、耐酸性、耐アルカリ性に優れた膜を用いる。また、中和透析装置10の接液面も、耐腐食性に優れた材料で構成されていることが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂でライニングしたものが好ましい。
【0046】
(2) アニオン交換膜膜面には濃度分極層が形成され、これが物質の拡散律速となり、Clイオン、OHイオン及び水の透過移動速度が制限される。これを防止して透過移動速度を高めるために、アニオン交換膜面近傍の濃度分極を低減するべく、膜面流速を高めることが好ましく、具体的には、酸性液が通水される一方の室側及びアルカリ溶液が通水される他方の室側の膜面流速をそれぞれ0.1cm/sec以上、例えば1〜8cm/secとすることが好ましい。膜面流速が低いとClイオン及びOHイオンの移動速度を速くすることができず、所望の中和脱塩処理液を得るために長時間を要するようになる。ただし、膜面流速を過度に高くすることは、装置構成上現実的ではない。このような膜面流速を得るために、酸性液を送液するポンプP及びアルカリ溶液を送液するポンプPとしては、高流速送液が可能なダイヤフラムポンプ等を用いることが好ましい。
【0047】
(3) アルカリ溶液としては、中和に必要な酸消費の総量(mg−CaCO)が、原水のアルカリ消費の総量(mg−CaCO)の1倍以上のものを用いる。
なお、アニオン交換膜でのClとOHの移動速度は、極限モル伝導率で示されるイオンの移動のしやすさで決定され、ClとOHの極限モル伝導率はそれぞれ198.3Scm・mol−1、76.35Scm・mol−1である。したがって、OHはClの2.6倍移動しやすいことが分かる。このことより、酸性液からのClのアルカリ溶液側への移動速度を高く維持するには、アルカリ溶液のOH濃度は少なくとも酸性液のCl濃度の1/2.6倍以上とすることが望ましい。
なお、アルカリ(NaOH)の濃度を高くするとアルカリ溶液の浸透圧が原水の浸透圧よりも高くなり、原水中の水がアニオン交換膜を透過してアルカリ溶液側へ移動し、原水が濃縮されるようになる。
【0048】
従って、前述のコンデミ再生アルカリ廃液等のアルカリ廃液をアルカリ溶液として用いる場合において、アルカリ濃度が不足する場合には、必要に応じてNaOH等のアルカリを添加してその濃度を調整することが好ましい。
【0049】
(4) 中和脱塩処理は、得られる中和脱塩処理液のpHが中性、例えば5〜9程度になった時点で終了することが好ましい。
この中和脱塩処理液のpHが3未満では、中和脱塩処理が不十分であり、中和脱塩処理効果を十分に得ることができない。中和脱塩処理液のpHを過度に上げると、アルカリ溶液側からアニオン交換膜10Aを透過して酸性液側に移行するNaイオン量が増え(アニオン交換膜であっても若干量のカチオン成分の透過がある。)、後工程で濃縮処理を行う場合、総イオン量が増加して非効率である。
【0050】
なお、中和透析装置10における酸性液側の室の酸性液流通方向とアルカリ溶液側の室のアルカリ溶液の流通方向は、並流であっても向流であってもよいが、酸性液のアルカリ消費量とアルカリ性液の酸消費量に差をつけて、出口水質を中性に近づけるには、図1に示すように向流通水であることが好ましい。
【0051】
また、酸性液及びアルカリ溶液は一過式で通水することも可能であるが、一般的には、一過式の通水では十分な中和透析を行えないことから、図1に示すような循環通水とすることが好ましい。
【0052】
なお、前述の如く、中和透析装置10において、アルカリ溶液として、非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を用いることにより、非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液の中和脱塩処理と共に減容化処理を行うことができる。
【0053】
[粒子の除去]
本発明においては、中和透析装置10に通水される酸性液及び/又はアルカリ溶液、好ましくは酸性液及びアルカリ溶液中の粒子を除去する。図1に示す装置においては、この酸性液及びアルカリ溶液の粒子除去のために粒子除去装置21,22が設けられている。粒子除去装置21,22としては一般的なカートリッジフィルター等を用いることができる。
【0054】
粒子除去装置21,23は、酸性液及びアルカリ溶液中の粒子を除去して中和透析装置10のアニオン交換膜10Aの劣化、損傷を防止する効果を有するとともに、脱塩性能の低下も防止する効果を有する。即ち、スケールは核となる水酸化物粒子が存在すると、その場においてスケール生成が促進されるため、粒子除去装置21,22でスケールの核となる粒子を除去することにより、中和透析装置10内でのスケール生成を抑制することができる。
【0055】
なお、アルカリ溶液側の粒子除去装置22は、常にアルカリ溶液が通過し、酸性液を通水させない構造とする。アルカリ溶液側の粒子除去装置22に酸性液を通水すると、捕捉された水酸化物が再溶解を起こしてしまうためである。
また、酸性液側の粒子除去装置21は、酸性液のpHを測定し、pH値により粒子除去処理と非処理を制御することが好ましい。即ち、処理開始時の酸性液のpHが低いときは非処理として粒子除去装置21を迂回し、酸性液の循環通水により中和脱塩処理が進行してpHが上昇して水酸化物が生成するpH値となったときには、粒子除去装置21に通水して粒子の除去処理を行うようにすることが好ましく、このようにすることにより、粒子除去装置21で捕捉した粒子の再溶解を抑制し、効率よく粒子除去を行うことができる。
【0056】
この酸性液の粒子除去処理と非処理を制御するpH値は酸性液中のカチオンの種類と濃度によって適宜決定され、例えばコンデミ再生酸性廃液中にはFe(III)が1〜20mg/L程度含まれており、一般的にはpH3〜4の範囲を超えると析出が開始することから、一般的にはpH3〜4の範囲において、pHがこの範囲より低い場合には、粒子除去装置21を迂回し、この範囲より高くなったときには、粒子除去装置21に酸性液を通水して粒子除去処理を行うようにすることが好ましい。
【0057】
また、粒子除去装置21,22は、図1に示す如く、中和透析装置10の入口側に設置することが好ましい。これは、中和透析装置10の出口側では、差圧の上昇により中和透析装置10のアニオン交換膜10Aの膜面に圧力がかかり、膜の破断を起こす恐れがあるためである。
【0058】
[アルカリ溶液側の酸洗浄]
上記のように、酸性液及び/又はアルカリ溶液の粒子除去処理を行っていても、中和透析装置10のアルカリ溶液側の室では、水酸化物スケールが析出することがある。従って、中和透析装置10のアルカリ溶液側の室は、定期的に或いは必要に応じて酸性の薬液を通水して酸洗浄することによりスケールを溶解させて除去することが好ましい。
【0059】
ただし、このように酸性の薬液を用いる酸洗浄では、別途酸性の薬液が必要となる上に、その排液処理の問題も発生することから、酸性の薬液の代りに、中和透析装置10のアルカリ溶液通水室と酸性液通水室とを切り換え、アルカリ溶液を通水した室に酸性液を通水して、アルカリ溶液を通水した室を酸性液で洗浄することが好ましい。この場合には、酸性の薬液が不要であり、新たな排液処理量の増加の問題もない。
【0060】
[酸性液及びアルカリ溶液の通水例]
以下に図1〜4を参照して、酸性液のpH値に応じた粒子除去装置21への通水の有無の流路選択を行う粒子除去処理と、中和透析装置10のアニオン交換膜10Aで仕切られた一方の室と他方の室への酸性液とアルカリ溶液の通水を切り換える流路選択でアルカリ溶液室の酸性液による洗浄処理とを行うためのバルブ操作を説明する。
【0061】
まず、図1に示す如く、バルブV12,V13,V14,V21,V22を開、その他のバルブを閉として、酸性液槽1内の酸性液をポンプPにより、粒子除去装置21を迂回して中和透析装置10の一方の室に循環通水すると共に、アルカリ溶液槽2内のアルカリ溶液を粒子除去装置22で粒子除去した後中和透析装置10の他方の室に循環通水する。
【0062】
このような処理を循環継続することにより、酸性液のpHが上昇し、水酸化物が生成し得るpH以上となった場合には、図2に示す如く、バルブV14を閉、バルブV11を開として、酸性液を粒子除去装置21で粒子除去した後中和透析装置10に通水する。
【0063】
酸性液及びアルカリ溶液の循環通水により、酸性液が所定のpH値にまで中和脱塩又は中和脱塩減容化されたら、酸性液及びアルカリ溶液の通水を停止し、酸性液槽1内の処理液、アルカリ溶液槽2内の廃アルカリ溶液、及び中和透析装置10内及び配管等の系内の液を抜き出し、好ましくは系内を水で洗浄した後、酸性液槽1及びアルカリ溶液槽2にそれぞれ新たな酸性液とアルカリ溶液を入れ、中和透析装置10への酸性液とアルカリ溶液の通水を切り換え、酸性液を通水した室側にアルカリ溶液を通水し、アルカリ溶液を通水した室側に酸性液を通水して次の中和脱塩又は中和脱塩減容化処理を行う。
【0064】
即ち、図3に示す如く、バルブV14,V15,V16,V23,V24を開、その他のバルブを閉として、酸性液槽1内の酸性液をポンプPにより粒子除去装置21を迂回して中和透析装置10の前記他方の室に循環通水すると共に、アルカリ溶液槽2内のアルカリ溶液を粒子除去装置22で粒子除去した後、中和透析装置10の前記一方の室に循環通水する。
【0065】
このような処理を循環継続することにより、酸性液のpHが上昇し、水酸化物が生成し得るpH以上となった場合には、図4に示す如く、バルブV14を閉、バルブV11を開として、酸性液を粒子除去装置21で粒子除去した後中和透析装置10に通水する。
【0066】
酸性液及びアルカリ溶液の循環通水により、酸性液が所定のpH値にまで中和脱塩又は中和脱塩減容化されたら、酸性液及びアルカリ溶液の通水を停止し、酸性液槽1内の処理液、アルカリ溶液槽2内の廃アルカリ溶液、及び中和透析装置10内及び配管等の系内の液を抜き出し、以下、上記と同様の処理を繰り返す。
【0067】
このように中和透析装置10に通水する酸性液及びアルカリ溶液の粒子を除去すると共に、中和透析装置に通水する酸性液とアルカリ溶液の室を切り換えることにより、中和透析装置内での水酸化物スケールの生成に起因するアニオン交換膜10Aの劣化、損傷、脱塩性能の低下を防止して、長期に亘り安定な処理を継続して行うことができるようになる。
【実施例】
【0068】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0069】
なお、以下において、復水脱塩装置のカチオン樹脂再生排液を下記表2に示す組成に調整したものを被処理酸性液(以下「模擬原水」と称す。)として用いた。アルカリ溶液としてはNaOH濃度40g/LのNaOH水溶液を用いた。
【0070】
【表2】

【0071】
[実施例1]
図1〜4に示す装置で循環通水試験を行った。
模擬原水5LとNaOH水溶液6Lとをそれぞれ酸性液槽1、アルカリ溶液槽2に入れ、アニオン交換膜(膜面積0.18m)10Aを備える中和透析装置10に、酸性液室及びアルカリ溶液室の膜面流速がいずれも4cm/secとなるようにそれぞれ循環通水した。液温は20〜25℃である。
粒子除去装置21,22としては、孔径10μmのプレフィルター(保安フィルター)を用いた。
【0072】
酸性液槽1にpH計(図示略)を設け、槽内のpHが4未満のときは、粒子除去装置21を迂回して中和透析装置10に通水し、pHが4以上となったときには粒子除去装置21で粒子を除去した後、中和透析装置10に通水するようにバルブ操作を行った。
また、酸性液槽1内のpHが7.0まで低下したときに、循環通水を停止して、第1回目の処理を終了した。
【0073】
この第1回目の処理終了後に、酸性液槽1及びアルカリ溶液槽2内の液と、中和透析装置10内や配管内の液等を、系内に液が残らないように抜き出し、更に純水で系内を洗浄した後、再度酸性液槽1とアルカリ溶液槽2にそれぞれ新たな模擬原水5Lとアルカリ溶液6Lを入れ、第1回目の処理と同様の条件で第2回目の処理を行った。ただし、中和透析装置10において、1回目の処理において、模擬原水が通水された室にアルカリ溶液が通水され、アルカリ溶液が通水された室に模擬原水が通水されるように、バルブ操作でそれぞれ流路を切り替えた。
【0074】
このように、1回の処理毎に、系内の液抜き出し及び純水洗浄と流路切り替えを行って、複数回処理を継続した。このとき、1回の処理に要する処理時間(模擬原水のpHが7.0になるまでの時間)を計測し、その逆数を中和脱塩速度とし、第1回目の処理における中和脱塩速度を1として、第2回目以降の処理における中和脱塩速度の比を求め、その変化を図6に示した。
【0075】
[比較例1]
図5に示す装置を用い、模擬原水及びアルカリ溶液の粒子除去を行わず、また、1回の処理毎に模擬原水とアルカリ溶液の流路切り替えを行わなかったこと以外は、実施例1と同様の条件で処理を行い、同様に中和脱塩速度の変化を調べ、結果を図6に示した。
なお、図5において、図1と同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
【0076】
[考察]
図6より次のことが分かる。
酸性液及びアルカリ溶液の粒子除去と、酸性液とアルカリ溶液の流路切り替えを行ってアルカリ溶液側の室を酸性液で洗浄した実施例1では、50回の繰り返し処理でも処理性能の低下がわずかであったのに対し、比較例1では2割程度の性能低下が認められた。
50回目の処理後、中和透析装置を解体してアニオン交換膜を観察すると、実施例1におけるアニオン交換膜面は新品と同等の外観であったが、比較例1におけるアニオン交換膜面は鉄の水酸化物と考えられる茶褐色の物質が付着していることが観察された。
【0077】
以上より、酸性液及びアルカリ溶液の流路における粒子除去処理と、アルカリ液が通水される室に酸性の液を通水して膜面を洗浄する処理により、水酸化物生成による処理性能の低下を効果的に抑制して、処理を安定化させることが可能となることが分かる。
【符号の説明】
【0078】
1 酸性液槽
2 アルカリ溶液槽
10 中和透析装置
10A アニオン交換膜
21,22 粒子除去装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理装置であって、
アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩する中和脱塩装置と、
該中和脱塩装置に導入される前記酸性液及び/又はアルカリ溶液に含まれる粒子を除去する粒子除去装置とを有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項2】
非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理装置であって、
アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して、該酸性液を中和脱塩及び減容化する中和脱塩減容化装置と、
該中和脱塩減容化装置に導入される前記酸性液及び/又はアルカリ溶液に含まれる粒子を除去する粒子除去装置とを有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記酸性液が前記一方の室に循環通水されることを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記アルカリ溶液が前記他方の室に循環通水されることを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記他方の室へのアルカリ溶液の通水を停止して該他方の室に酸性の薬液を通水する手段を有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記一方の室と他方の室とで、前記酸性液とアルカリ溶液との通水を切り替える手段を有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、前記酸性液のpHを測定するpH計と、該pH計の測定値に基いて、前記酸性液を、該酸性液に含まれる粒子を除去する粒子除去装置を経て前記一方の室に通水する流路選択と、該粒子除去装置を迂回して前記一方の室に通水する流路選択とを制御する制御手段を有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項8】
非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理方法であって、
アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩する中和脱塩工程と、
該中和脱塩工程に導入される前記酸性液及び/又はアルカリ溶液に含まれる粒子を除去する粒子除去工程とを有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【請求項9】
非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理方法であって、
アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して、該酸性液を中和脱塩及び減容化する中和脱塩減容化工程と、
該中和脱塩減容化工程に導入される前記酸性液及び/又はアルカリ溶液に含まれる粒子を除去する粒子除去工程とを有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【請求項10】
請求項8又は9において、前記酸性液を前記一方の室に循環通水することを特徴とする酸性液の処理方法。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれか1項において、前記アルカリ溶液を前記他方の室端側に循環通水することを特徴とする酸性液の処理方法。
【請求項12】
請求項8ないし11のいずれか1項において、前記他方の室へのアルカリ溶液の通水を停止して該他方の室に酸性の薬液を通水する工程を有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【請求項13】
請求項8ないし11のいずれか1項において、前記一方の室と他方の室とで、前記酸性液とアルカリ溶液との通水を切り替える工程を有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【請求項14】
請求項8ないし13のいずれか1項において、前記酸性液のpHを測定し、該pHの測定値に基いて、前記酸性液中の粒子の粒子除去処理の有無を制御することを特徴とする酸性液の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206067(P2012−206067A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75500(P2011−75500)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】