説明

酸性飲料の保存方法

本発明は、酵母、菌、及び細菌に対する1または4.8未満のpHを有する酸性飲料の保存方法に関する。該保存方法は、ポリリジンおよび/またはその塩と、グリセリドおよび/またはヒドロキシカルボン酸の脂肪酸エステル、その塩またはエステルから選ばれる第二保存剤との組み合わせに基づく組成物の使用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵母、菌、及び細菌のような微生物の成長や存在に対する酸性飲料の保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸性飲料は1〜約4.8のpHを有する飲料である。それら飲料は、酸性の性質を帯びているか、酸味料を添加することにより酸性にされたものでありうる。酸性飲料の例は、たとえば種々の果汁および/または野菜ジュースを含む飲料のようなホットパッケージタイプの飲料と、たとえば炭酸清涼飲料のようなコールドフィルパッケージタイプの飲料を含む。特に、果物および/または野菜をベースとした飲料は、菌、酵母、および細菌の微生物成長を発展しがちである。しかし、酸性飲料は保存剤の使用可能性が限られているため保存が難しい。下記の点で酸性環境下に耐えることができる保存剤だけが適合している。即ち、
1.保存剤が抗菌活性を失わず、および/または
2.保存剤および保存剤を添加された飲料が化学的に安定であり(例えば、タンパク質の変性や沈殿物の形成がない)、及び
3.保存剤が、製品の味覚、色、臭いおよび/または外観に悪い印象を与える副産物を形成する原因となる分解をおこさない。
これは、例えば多くのタンパク質、アミノ酸及び酵素を酸性飲料における保存剤として使用するのに不適合とする。その結果、多くの場合、食品級の酸および/またはそれらの塩が酸性飲料における保存剤として使用される。
一つの例は、安息香酸及び/またはその安息香酸塩の使用である。安息香酸ナトリウムは食品や飲料のための主要な抗菌性保存剤の一つとして好適に使用される。しかし、それら成分の毒性のために、安息香酸および/またはその塩の使用は制限されており、通常0.1%(ナトリウム塩として)を超えない。アスコルビン酸と組み合わせて、安息香酸ナトリウム及びカリウムは、ある条件下で、検出しうるレベルのベンゼンをもたらし得る。
【0003】
ソルビン酸および/またはソルビン酸塩も、酸性食品や飲料製品のために広く使用されている保存剤である。しかし、それら成分もまた使用が制限されている。即ち、例えばペニシリウム属によるカビに対して食品を保存する場合には、ソルビン酸はペニシリウム属によって分解されて、灯油臭を有する1,3−ペンタジエンを生成する。ソルビン酸カリウムの許容使用量は約200〜約3000ppmの範囲でありうる。通常、ソルビン酸カリウムは、抗菌活性を保証する為の最小有効量をはるかに上回る量で飲料に含まれる。しかし、この許容使用範囲の高域では、ソルビン酸カリウムはジュース飲料に異臭を与える可能性がある。
【0004】
ソルベートおよびベンゾエートは、コールドフィルパッケージ法を受ける飲料に通常使用される保存剤である。これらは非常にしばしばホスフェートと組み合わせて使用される。
【0005】
酸性保存剤の3つ目の例は、酵母に対してではなく菌類によって形成されたカビに対する抗菌効果で主に知られているプロピオン酸および/またはプロピオン酸塩である。さらに、プロピオン酸およびプロピオン酸塩の多くは、非常に独特な不快な臭いや味を有する故に使用が限られているという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は低pHタイプの飲料製品を保存するための改善された方法を提供する。本発明は抗菌活性の範囲が広く、菌や酵母の発生を減少または抑制さえすることができ、さらにグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対する抗菌活性を有する。さらに、本発明は、ヒトの摂取のための安全性と、味、色および/または臭いを含む官能特性との両面での許容される品質を維持しながら酸性飲料製品を保存する手段を提供する。
【0007】
さらに、本発明は、先に述べたような、通常の保存剤が例えば沈殿や曇りの出現を原因とする問題を引き起こす飲料のための解決策を提供する。第2に、本発明の適用によって、通常使用される保存剤の使用が、それらの利点を得つつ、それらの欠点をもたらすことなく保存剤が使用され得るような程度にまで低減されることができる。
【0008】
さらに、本発明は、酵母、菌類および特定の細菌のような食品腐敗微生物の不活性化のための加熱処理の使用を余分に、即ち任意なものとする。従って、単純で費用のかからないコールドフィル法またはコールドパッケージ法が使用され得る。また、依然加熱処理を要求する飲料において、本発明の適用は微生物胞子の成長を阻止するだろう。例えばベンゾエートやソルベートのような通常適用される保存剤を含む加熱処理飲料は、この問題を依然として有する。なぜならば、いくつかの微生物の胞子形成は阻止されるが、飲料製品中に既に存在する胞子の成長は阻止されないからである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに、本発明は、菌、酵母、及び細菌に対して1〜4.8のpHを有する酸性飲料を保存する方法に向けられ、該保存方法は、ポリリジンおよび/またはその塩、及び
−ヒドロキシカルボン酸および/またはその塩の脂肪酸エステル
または、
−グリセロールの脂肪酸エステル
の少なくとも1つを含有する組成物の使用を含む。
本発明に従う保存方法は、飲料製品中に既に存在する微生物、または飲料製品の例えば調製、取扱い、および/または貯蔵の間に他成分や環境要因によって飲料製品中に導入された微生物の成長および/または存在の死滅、抑制および/または阻害を含む。
【0010】
ポリリジンは菌、酵母及び細菌に対する抗菌効果を有することが知られている。大抵の先行技術は、様々な文献に記載されているように、ポリリジンおよび特に5〜9のpHで抗菌活性を有するε−ポリリジンを対象としている(Hiraki, J. Antibact. Antifungal Agents, vol. 23 no. 6: 349-354(1995) および Hiraki, Fine chemicals, 29: 18-25 (2000))。さらに、Yamadaらによる米国特開第2001/033884号公報およびMasahiroらによる仏国特許第2634627号公報のように、大抵の先行技術は固形食品を対象としており、飲料製品を対象としていない。技術者がとてもよく知っている通り、飲料製品は、例えば外観、味、臭い、及び風味に関して極めて種々の基準や要求がある。食品に一般的に使用される多くの保存剤は、例えば飲料製品中に曇りや沈殿を発生するといった問題を生じるため、飲料製品に使用されることができない。飲料製品グループには、例えば、乳製飲料、野菜ジュース、pH中性飲料、酸性および微酸性飲料、炭酸飲料または非炭酸飲料等を含む極めて多くの種類がある。これら全ての飲料は夫々独自の基準や要求を有している。
【0011】
Zhengらによる欧州特開第1832182号公報は、ε−ポリリジンを加熱処理と組合せて酸性果汁飲料に使用することを記載している。保存安定な果汁飲料の製造は、胞子形成性細菌の胞子を不活性にするために、通常、該加熱処理、大抵は超高温熱処理(UHT)を要求する。欧州特開第1832182号公報は、この種の飲料にε−ポリリジンを使用することは可能であるが、その抗菌活性は許容される保管寿命を付与するには程遠い事を記載している。ε−ポリリジンの使用は細菌胞子の不活性化には十分ではなく、そもそもそれらの胞子の全存在を阻止するのに不十分である事は言うまでもなく、従って、例えばUTHや低温殺菌といった形式の付加処理がそれら酸性果汁飲料の製造に依然要求されている。
【0012】
ポリリジンおよび/またはその塩は、ヒドロキシカルボン酸(またはその塩)の脂肪酸エステル、またはグリセロールの脂肪酸エステル、またはその組み合わせのいずれかから選択される第二保存剤と組合せることによって、1〜4.8のpH、好ましくは2〜4.6のpHを有する酸性飲料に驚くほど好適に使用できることが今や見出された。
【発明の効果】
【0013】
ポリリジンと、ヒドロキシカルボン酸またはグリセロールのいずれかの脂肪酸エステルとの組合せは、酵母、菌、および細菌の存在および/または活性を減少、阻止または抑制する為に十分な抗菌活性を驚くほどに発生する。この組み合わせにより、非常に効果的な抗菌組成物が得られ、酸性飲料への使用に非常に適している。なぜならば、それは酸性飲料中で容易に沈殿せず、そのような飲料の外観や官能特性に影響しないからである。
【0014】
得られた抗菌活性は、ポリリジンと脂肪酸エステルの抗菌活性における寄与を単に合計したものではなく、脂肪酸エステルがポリリジンとの相乗効果で働くと見出された故に、合計よりも顕著に大きい。これは予測できるものではなく、なぜなら、該ヒドロキシカルボン酸の脂肪酸エステル(例えば、ラクチレート)およびグリセリドは乳化作用があることで知られており、それら自身で十分な抗菌活性を欠いているため抗菌活性では確かに知られていないからである。
【0015】
相乗効果の結果として、両保存剤は酵母、菌、および細菌の存在および/または活性を阻害および/または抑制するのに十分な抗菌活性を達成するのに必要とされる量を減らすことができる。さらに、加熱処理のような付加処理が余分もしくは任意となり、もし使用するとしても極めて低い温度で適用すればよい。
【0016】
さらに、本発明に従う方法で使用される様にポリリジンと脂肪酸ブレンドの相乗効果は、様々な理由により酸性ないし微酸性飲料に使用するのに非常に適しているが、前述した理由により通常使用が制限される化合物をさらに追加の保存剤として、保存剤ブレンドやカクテルを創造する可能性を提供する。例えば、ソルベートやベンゾエートのような酸性保存剤は沈殿や副産物を形成せず、酸性飲料の味や臭いに不快な影響を与えないような極めて少ない量で使用されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ポリリジンはα−ポリリジン、およびε−ポリリジン、あるいはこれらの混合物の形で使用されうる。ε−ポリリジンはより高い抗菌活性を有し、従ってより少ない量で使用されうるので好ましい。ε−ポリリジンは25〜35のL−リジン残基を有するホモポリマーである。ε−ポリリジンの系統名は、ポリ[イミノ(2−アミノ−1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル)]である。典型的なε−ポリリジンホモポリマーの実験式は、C1803626031、分子量約4700(約30のL−リジン残基に相当)である。
【0018】
ポリリジンはポリリジンの1以上の塩の形で本発明に使用してもよい。その例としては、塩酸、スルホン酸、リン酸等の無機酸の塩、または乳酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸の塩が挙げられる。抗菌作用にはさほど違いはないが、塩の形ではポリリジンの溶解性に限りがあるため、遊離体での使用が好ましいこともある。
【0019】
本発明の方法に従ってポリリジンやその塩と組み合わせて使用することができる脂肪酸エステルは、
−ヒドロキシカルボン酸および/またはそれらヒドロキシカルボン酸の塩の脂肪酸エステル、及び
−グリセリドとも称されるグリセロールの脂肪酸エステル
を含む。
【0020】
前記ヒドロキシカルボン酸は、一つのヒドロキシカルボン酸モノマーまたは複数のヒドロキシカルボン酸モノマーが重合結合により互いに結合したものを包含し、前者の例は乳酸の脂肪酸エステルである。複数の重合化されたモノマーを含有する後者の例は周知のラクチレートのグループである。これらラクチレートはその乳化特性でよく知られており、様々な食品や飲料製品の製造に乳化剤として使用される。これらラクチレートにおいて、モノ−及びジ−ラクチレートの両方を含み、ヒドロキシカルボン酸は複数の乳酸モノマーを含有する。前述したヒドロキシカルボン酸モノマーは一般に、例えば上述した乳酸モノマーのように1〜6個の炭素原子を含有するが、該モノマーはリンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、または酒石酸を含んでいてもよい。さらに、ヒドロキシカルボン酸は塩やエステルの形であってもよい。ヒドロキシカルボン酸の塩および/またはエステルも、本発明に従う方法で使用するのにとても適している。非常に効果的に作用するラクチレート塩誘導体の例としては、オクタン酸(C8と称される)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、またはオレイン酸(C18:1)のモノ−及び/またはジ−ラクチレートのナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩である。
【0021】
ポリリジンは本発明に従う方法においてグリセリドとも称されるグリセロールの脂肪酸エステルと組み合わせて使用されてもよい。グリセリドは、グリセロールのモノエステル、ジエステル、トリエステル、あるいはそれらの混合物を含有するものでありうる。該エステルが製造される方法は、しばしば、一般によく知られているように在りうる多種のモノ−、ジ−、および/またはトリ−エステルの混合物をもたらす。エステルは当業者に知られている種々の技術によってそれらの混合物から分離される事ができる。即ち、モノ−エステルについて言うならば、グリセロールのモノエステルは純粋成分及び混合物を包含し、該混合物は主にモノ−エステルを含有するが、ジ−及びトリ−エステルも前記混合物の付加構成要素として含む。
【0022】
ポリリジンとグリセロールのモノ−およびジ−エステルの組合せを使用することで非常に良い結果が得られた。高い相乗効果とそれによる高い抗菌活性が、ポリリジンと、グリセロールと下記脂肪酸の脂肪酸エステルの組合せで観察されており、該脂肪酸は飽和脂肪酸を含有し、例としてはこれらに限定{げんてい}されないが、プロピオン酸(C3)、ヘキサン酸(C6)、オクタン酸(C8)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)、オクタデカン酸(C18)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0023】
例えばC8−グリセリドやC10−グリセリドについて本明細書で言えば、グリセロールと、オクタン酸及びデカン酸の各々との脂肪酸エステルを意味する。
【0024】
第3のまたはそれ以上の追加の保存剤は、好ましくは、安息香酸および安息香酸塩、ソルビン酸およびソルビン酸塩、乳酸および乳酸塩、グルコン酸およびグルコン酸塩、クエン酸およびクエン酸塩、酢酸および酢酸塩、リンゴ酸およびリンゴ酸塩、フマル酸およびその塩、酒石酸およびその塩、アスコルビン酸およびアスコルビン酸塩、EDTA、リン酸およびリン酸塩、フィチン酸およびフィチン酸塩、プロピオン酸およびプロピオン酸塩、ヘキサン酸およびヘキサン酸塩、プロピオン酸および/またはヘキサン酸とグリセロール、乳酸、アルギニンとのエステル、オクタン酸および/またはオクタン酸塩、および/またはそれらとグリセロール、乳酸、アルギニンとで形成されるエステル、またはデカン酸、デカン酸塩および/またはそれらとグリセロール、乳酸またはアルギニンとで形成されるエステル、桂皮酸および/またはその塩から選ばれる1以上の保存剤である。
【0025】
上述した成分と、ポリリジン及びヒドロキシカルボン酸および/またはグリセロールの脂肪酸エステルとの組み合わせは、酸性ないし微酸性飲料に好適に使用されることができ、顕著に高い抗菌活性を立証した。
【0026】
さらには、特に、ソルビン酸、桂皮酸、乳酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、またはそれらを組み合わせたもの、それらの塩も含む、がポリリジンとグリセリドを含有する組成物に、もしくはポリリジンとラクチレート及び任意的にグリセリドと組合せて含有する組成物に加えられると、それを添加した飲料製品の保存効果および所望の官能特性の維持に関して顕著に優れた結果が得られる。上述した特定の酸は、特に味や臭いの点で非常に特有の官能特性を飲料に与える。
【0027】
ポリリジンは飲料製品に直接添加すればよいが、カクテルの形で他の成分と共に飲料製品に導入されてもよい。飲料製品の製造に適した組成物は、例えば、以下の物を含有する。
−0.0001重量%〜50重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜45重量%、最も好ましくは1〜35重量%のポリリジンおよび/またはその塩
および、第二の保存剤として、
−0.0001重量%〜45重量%、さらに好ましくは上限40重量%、最も好ましくは上限35重量%のグリセリド、あるいは、
−0.0001重量%〜45重量%、さらに好ましくは5〜35重量%のラクチレート
のいずれか一方、
及びさらに、
−0〜45重量%、さらに好ましくは0〜30重量%の有機酸または、その塩またはエステル、もしくはそれらの混合物。
【0028】
桂皮酸および/またはソルビン酸が使用される場合には、それらの成分および/またはその塩が、それら成分の0〜45重量%、さらに好ましくは0〜30重量%を含む組成物に加えられるのがよい。
【0029】
組成物は固体または液体の形で入手できる。組成物が液状ならば、大抵は水性組成物の形であり、溶液または分散であり得、キャリアを含有し得る。様々な周知のキャリアの内でも、ポリエチレングリコールおよび/またはラクテートがキャリアとしてとてもよく機能することが分かった。キャリアは約50〜98重量%の濃度で存在し得る。さらに、当業者に知られている様々な乳化剤が添加されてもよい。好ましくは、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート60または80)やレシチンのような乳化剤が、グリセリドおよび/またはラクチレートのような脂肪酸誘導体100%に対して、例えば0.1〜25重量%、さらに好ましくは1〜10%、最も好ましくは2〜4%の濃度で加えられる。
【0030】
組成物が固体状の場合は、通常、その関連する成分の粒子を含有する粉体の形である。キャリアが使用され得る。シリカおよび/またはマルトデキストリンが非常に好適なキャリアであることがわかっており、50〜98重量%の濃度で含まれうる。
【0031】
ポリリジンは通常、製品重量に対し1%以下、好ましくは0.0001%〜1%または0.0001%〜0.1%、さらに好ましくは0.0001%〜0.01%、最も好ましくは0.0001%〜0.001%の量で飲料製品中に含まれる。
【0032】
ラクチレートは通常、製品重量に対し1%以下、好ましくは0.0001%〜1%または0.0001%〜0.1%、最も好ましくは0.0001%〜0.01%の量で上記飲料製品中に含まれる。
【0033】
グリセリドは通常、製品重量に対し5%以下、好ましくは0.0001%〜5%、さらに好ましくは0.0001%〜2%、最も好ましくは0.0001%〜1%の量で飲料製品中に含まれる。
【0034】
有機酸または有機酸塩、例えば、乳酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、グリコール酸、安息香酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、リンゴ酸、およびアジピン酸は、製品重量に対し10%以下、好ましくは0.0001%〜10%、好ましくは0.0001%〜5%の量で食品または飲料製品中に含まれればよい。同じ濃度範囲が最終製品における桂皮酸および/またはソルビン酸の存在に適用される。
【0035】
本発明に従う方法は特に、食品腐敗酵母の成長または存在を死滅、阻害および/または抑制するのに非常に効果的であり、食品腐敗酵母として好ましくは、これらに限定{げんてい}されないが、例えばカンジダ属(例、Candida albicans、fermentati、parapsiolosis、またはtropicalis)、デバリオマイセス属 (例、Debaryomyces hansenii)、デッケラ属(例、Dekkera bruxellensids)、ハンセニアスポラ属(例、Hannseniaspora uvarum)、イサタケンキア属(例、Issatchenkia orientalis)、クリベロマイセス属(例、Kluyveromyces marxianus)、メチニコビア属(例、Metschnokowia pulcherrima)、ピキア属(例、Pichia anomala)、ロドトルラ属(例、Rhodotorula glutinisまたはmucilaginosa)、サッカロマイセス属(例、Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス属(例、Schizosaccharomyces pombe)、トルラスポラ属(例、Torulospora delbruecki)、ヤロウイア属(例、Yarrowia lipolytica)、又はザイゴサッカロマイセス属(例、Zygosaccharomyces bailiiまたはrouxii)が挙げられる。
【0036】
細菌の存在および/または活性は、本発明に従いポリリジンとグリセロールまたはヒドロキシカルボン酸の脂肪酸エステルとを組合せて使用することにより、酸性飲料中で効果的に減少および/または抑制されうる。特に、例えばこれらに限定{げんてい}されないが、アリシクロバチルス属、アセトバクター属、グルコノバクタ−属、グルコノアセトバクタ−属、ラクトバシラス属、および関連する細菌属のような細菌は、本発明の成分が含まれる酸性環境下で影響を受けやすいことがわかった。
【0037】
本発明の方法に従うポリリジンとグリセロールおよび/またはヒドロキシカルボン酸の脂肪酸エステルとの組合せは、酸性飲料中で菌の存在および/または成長に対し効果的であることも立証された。菌は例えばこれらに限定{げんてい}されないが、フサリウム属(例、Fiusarium oxysporum)、ケカビ属(例、Mucor plumbeus)、ビソクラミス属(例、Byssochlamys fulva)、ネオサルトリア属(例、Neosartorya spinosa)、タラロマイセス属(例、Talaromyces trachyspermus、またはmacrosporus)、ゲオトリクム属(例、Geotrichum candidum)、ペシロマイセス属(例、Paecilomyces variotii)、ペニシリウム属(例、Penicillium roqueforti、またはchrysogenum)、アスペルギルス属(例、Aspetrgillus flavus)、ボトリチス属(例、Botrytis cinerea)、リゾープス属(例、Rhoizopus stolonifer)、クラドスポリウム属(例、Cladosporium herbarum)、及びユーロチウム属(例、Eurotium herbariorum)が挙げられる。
【0038】
本発明は、飲料のホットフィルパッケージやコールドフィルパッケージの両方のタイプで使用するのに非常に適していることがわかった。ホットフィルおよびコールドフィルパッケージは非常によく知られている工程手法である。それらの手法にいかなる特定の条件が使用されるかは当業者であれば知っている。コールドフィルパッケージは大抵、摂氏50度未満の温度、好ましくは室温で使用される。前述したように、本発明は加熱処理を余分または任意的とし、加熱処理が必要とされる場合には、はるかに好ましいより低い温度で適用され得る。
【0039】
本発明は、コールドフィルタイプの飲料、即ちコールドフィルパッケージ方法の使用により充填される飲料に非常に適している。
【0040】
果汁または野菜ジュースのような飲料製品は、本発明の方法で非常に好適に保存されうる。ジュースは炭酸を含んでいても含んでいなくてもよい。さらに、ジュースは濃縮されたものやそのまま飲めるジュースであってもよく、それらには天然ジュース、および加工/戻されたジュースが含まれる。
【0041】
本発明に従う方法は炭酸清涼飲料の保存にも非常に効果的であることがわかった。
【0042】
以下の実施例は本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0043】
[実施例1]
ソルビン酸または桂皮酸およびε―ポリリジンといくつかの脂肪酸誘導体との混合物の効果をpH3.5でGPY−ブロス(グルコースペプトン酵母粉末)中で食品腐敗酵母の集落に対して試験した。ε―ポリリジンと特定の中鎖脂肪酸誘導体の濃度は、ソルビン酸や桂皮酸のいずれかが含まれているならば、それら二成分を組み合わせることによりかなり減らされる事が出来た。
【0044】
培養及び培養条件
試験した培養物は表1に記載されている。培養はGPY−ブロスで行い、それは脱塩水1リットル当たり、グルコース40g、ペプトン5g、酵母エキス5gを含み、2N HClにより培地のpHを3.5にした。培養は、スクリューキャップされた試験管中で25℃で少なくとも48時間行った。ピキア・メンブラニファシエンスMUCL27794、CBS8427、及びCBS5567、ロドトルラ・グルチニスCBS2367、ロドトルラ・ムシラジノサCBS8054、及びCBS2401、ザイゴサッカロマイセス・バイリMUCL27812が、振とうフラスコ中で培養された。
【0045】
表1 試験したCBSとMUCL培地
【表1】


【0046】
阻止試験
最小発育阻止濃度の測定(一次元スクリーニング)
阻止試験は無菌96穴マイクロタイタープレート中で行った。各化合物の滅菌保存溶液の量を増加しながら(10μLの10段階で0〜100μLに)無菌マイクロタイタープレート中に注入した。次に、ろ過滅菌された2倍濃度のGPY−ブロスの100μLが添加され、各ウェルの体積が滅菌済脱塩水により200μLに調整された。プレートは2日たった培養物の2μLを接種され、25℃で96時間培養された。成長はマイクロプレートリーダーで595nmにおいて光学密度を計測することにより定量化された。全ての実験は二重に行った。最小発育阻止濃度(MIC)は吸光度の増加が閾値を超えなかった最少濃度であるとし、閾値はブランク吸光度における平均増加プラス標準偏差の3倍と定義された。
【0047】
2つの阻害剤の組み合わせのスクリーニング
【0048】
組み合わせ試験は無菌96穴マイクロプレート中で行われた。無菌GPY−ブロスは、2つの異なった阻害剤の量を増加しながら調製された。各阻害剤の濃度は、8つの等しい濃度段階、即ち特定の阻害剤について特定の酵母のMIC値のゼロないし1〜2倍の濃度であり、64の異なった培地をもたらす。各培地の200mlが無菌96穴マイクロタイタープレートの1つのパネルに移された。完成したウェルプレートは次に使用するまで4℃で保存した。
【0049】
プレートは2日たった培養物の2μlを接種され25℃で96時間培養された。成長はマイクロプレートリーダーで595nmにおける光学密度を計測することにより定量化され、阻害剤を含まないコントロールにおける成長のパーセントとして表された。全ての実験は二重に行った。
【0050】
3成分の組み合わせのスクリーニング
【0051】
これらの組み合わせ試験も無菌96穴マイクロタイタープレート中で行った。無菌GPY−ブロスは阻害剤の量を増加しながら調製された。第一の次元ついて、第一阻害剤の濃度は8つの等しい濃度段階で与えられた。第二の次元について、2つの他の阻害剤の一定比率が選ばれた。この混合物は8つの等しい濃度段階で与えられ、64の異なった培地をもたらす。各培地の200mlが無菌96穴マイクロタイタープレートの1つのパネルに移された。完成したウェルプレートは次に使用するまで4℃で保存した。プレートは2日たった培養物の2μLを接種され、25℃で96時間培養した。成長はマイクロプレートリーダーで595nmにおける光学密度を計測することにより定量化され、阻害剤を含まないコントロールにおける成長のパーセントとして表された。全ての実験は二重に行った。
【0052】
試験された保存剤/抗菌剤
モノ/ジ−オクタノイルグリセロール、モノ/ジ−デカノニルグリセロール、MCE8060(商標)(即ち、モノ/ジ−オクタノイルグリセロールとモノ/ジ−デカノニルグリセロールの混合物)、オクタノイル乳酸ナトリウム、デカノイル乳酸ナトリウム、及びPationic122A(商標)(デカノイル乳酸ナトリウムナトリウムとドデカノイル乳酸塩の混合物)はCaravan Ingredients(アメリカ合衆国カンザス州レネックサ市)から購入された。ソルビン酸および桂皮酸はSigma−Aldrich(アメリカ合衆国セントルイス)から、ε―ポリリジンはチッソ株式会社(日本)から購入された。
【0053】
結果
表2aはpH3.5でのε−ポリリジンについての幾つかの酵母のMIC量の一覧である。
【0054】
表2a:pH3.5での様々な酵母のε―ポリリジンについての最小発育阻止濃度
【0055】
【表2a】


【0056】
表2bは中鎖脂肪酸誘導体、ソルビン酸、桂皮酸、及びε―ポリリジンについて、pH3.5での多数の酵母(例えば、表1に示されたような酵母)のMIC量のまとめを示す。データはデカン酸の誘導体はオクタン酸の誘導体よりも強力な阻害剤であることを示している。桂皮酸もソルビン酸より効果的である。
【0057】
表2b:C8グリセリド(モノ/ジ−オクタノイルグリセロール)、C10グリセリド(モノ/ジ−デカノイルグリセロール)、MCE8060(商標)、C8ラクチレート(オクタノイル乳酸ナトリウム)、C10ラクチレート(デカノイル乳酸ナトリウム)、Pationic122A、ポリリジン、ソルビン酸、桂皮酸(pH3.5)について酵母の集落の平均最小発育阻止濃度(MICavg)、最大MIC(MICmax)
【0058】
【表2b】

【0059】
二成分および三成分の保存剤の組み合わせ
下記表は、種々の酵母における様々な他の保存剤と組み合わせたε―ポリリジンの効果を示す。
【0060】
表3:ε―ポリリジンとソルビン酸カリウムの種々の濃度におけるpH3.5でGPY−ブロスにおけるシゾサッカロマイセス・ポンベの成長。成長は100%で設定されたゼロ濃度の阻害剤での成長(100%とする)に対するパーセントとして表された。
【0061】
【表3】

【0062】
表4:ε―ポリリジンとMCE8060(モノ/ジ−オクタノイルグリセロールとモノ/ジ−デカノイルグリセロールの混合物)の種々の濃度におけるpH3.5でGPY−ブロスにおけるサッカロマイセス・セルビシアの成長。成長は100%で設定されたゼロ濃度の阻害剤での成長(100%とする)に対するパーセントとして表された。
【0063】
【表4】

【0064】
表5:ε―ポリリジンとデカノイル乳酸ナトリウムの種々の濃度におけるpH3.5でGPY−ブロスにおけるトルラスポラ・デルブリュキリの成長。成長は100%で設定されたゼロ濃度の阻害剤での成長(100%とする)に対するパーセントとして表された。
【0065】
【表5】

【0066】
表6:ε―ポリリジン、MCE8060(モノ/ジ−オクタノイルグリセロールとモノ/ジ−デカノイルグリセロールの混合物)およびソルビン酸カリウムの種々の濃度におけるpH3.5でGPY−ブロスにおけるサッカロマイセス・セルビシアの成長。成長は100%で設定されたゼロ濃度の阻害剤での成長(100%とする)に対するパーセントとして表された。ソルビン酸塩とMCE8060の比率は2.33に設定された。
【0067】
【表6】

【0068】
表7:ε―ポリリジン、MCE8060(モノ/ジ−オクタノイルグリセロールとモノ/ジ−デカノイルグリセロールの混合物)および桂皮酸の種々の濃度におけるpH3.5でGPY−ブロスにおけるサッカロマイセス・セルビシアの成長。成長は100%で設定されたゼロ濃度の阻害剤での成長(100%とする)に対するパーセントとして表された。MCE8060とε‐ポリリジンの比率は18.9に設定された。
【0069】
【表7】

【0070】
実施例2:炭酸果汁ジュース
この実施例では、本発明に従う保存方法が、様々な抗菌処方を使用して炭酸果汁ジュースに使用された。これら処方の抗菌活性は、異なる時点で取られた果汁ジュースサンプルにおける菌数により測定した。
【0071】
使用した果汁ジュースは、水、約10〜15重量%の甘味料、約1重量%の果汁濃縮物、約0.3重量%の香料、若干量のクエン酸及びクエン酸塩を含む。初期のpHは約3.15であった。
【0072】
果汁ジュースは、約5.2g/lのCO2濃度をもたらすように炭酸を加えられた。
【0073】
果汁ジュースサンプルは、4つの異なる酵母(カンジダ・パラプシオロシス、シゾサッカロマイセス・ポンベ、ザイゴサッカロマイセス・バイリ、及びサッカロマイセス・セルビシア)の混合培養物を接種され、その接種レベルは約100細胞/mlまたは胞子/mlであった。
【0074】
酵母は無菌GPYpH3.5(pH3.5を有するグルコースペプトン酵母粉体)で前培養された。培地は25℃で24時間培養された。接種の前に細胞の数が血球計算器(ビルケル−チュルク型)を用いて計測された。
【0075】
種々の抗菌処方が使用された。処方は、安息香酸ナトリウム塩(99+%、Acrosより)、ソルビン酸カリウム(99%、Acrosより)、桂皮酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム(以後“SHMP”と称す)、ε―ポリリジン(25重量%、チッソ株式会社より)、およびMCE8060(商標)(Caravan Ingredients)を含む。これらの成分は、後述の非炭酸化アイスティーを対象とする実施例3でも使用された。
【0076】
MCE8060(商標)はCaravan Ingredientsの市販品であり、モノ/ジ−オクタノイルグリセロールとモノ/ジ−デカノイルグリセロールの混合物を含み、モノグリセリイドの合計は最少58%である。
【0077】
表8は果汁ジュースサンプルに用いた抗菌処方の組成を示す。
【0078】
表8:炭酸果汁ジュースにおいて本発明に従う保存方法で使用された抗菌処方の組成。
【0079】
【表8】

【0080】
市販のε―ポリリジンは25重量%のε―ポリリジンを含有する溶液である。
上記表中のε―ポリリジンの量は100重量%である。
【0081】
表9は種々の時点で取られた果汁ジュースサンプルにおける菌数の結果を示す。
【0082】
表9:種々の時点での果汁ジュースサンプルにおける酵母の合計菌数(logCFU/ml)
【0083】
【表9】

【0084】
上記表の結果は、本発明に従う酸性飲料の保存方法が酸性炭酸果汁ジュースの保存に非常に適している事を示す。ε―ポリリジンとC8/C10グリセリドの混合物(サンプル3)は、少なくとも98日間果汁ジュースを保存することを可能にし、これはこれまでに示されていない。
【0085】
その他のサンプルは7日後に行われた計測により、追加の保存剤の添加により本発明に従う方法で用いるポリリジン/グリセリド組合せの抗菌効果がさらに良くなること、および同じ保存結果を得ながら、使用する全保存剤の濃度が低くされうることを立証している。
【0086】
同様の結果は、グリセリドがオクタノイル乳酸ナトリウム、デカノイル乳酸ナトリウムまたはPationic122A(商標)(デカノイル乳酸ナトリウムナトリウムとドデカノイル乳酸塩の市販の混合物、Caravan Ingredientsから)と置き換えられた時、または、グリセリドと上述したラクチレートの一つとの混合物が使用された時に、得られた。
【0087】
実施例3:非炭酸化アイスティー
この実施例では、本発明に従う保存方法が様々な抗菌処方を使用してアイスティーに使用された。これら抗菌処方の抗菌活性は、種々の時点で取られたアイスティーサンプルの菌数により測定した。
【0088】
アイスティーの標準処方が、約2.65の初期pHで作られた。非炭酸化アイスティーサンプルは4種の異なる酵母(カンジダ・パラプシオロシス、シゾサッカロマイセス・ポンベ、ザイゴサッカロマイセス・バイリ及び、サッカロマイセス・セルビシア)の混合培養物を、あるいは3種の異なる腐敗菌(ムコル・プルムベウス、パエシロマイセス・バリオティ、およびペニシリウム・エスピー)の接合胞子または分生子の混合物を接種{しょくきん}された。すべての場合において、その接種レベルは約100細胞/ml及び/または胞子/mlであった。
【0089】
菌は麦芽抽出物寒天で前培養した。培地は25℃で7日間培養した。菌の分生子は0.05%(w/v)のTween80の5〜10mlで各寒天プレートの全体を浸しこすり取って集められた。分生子を含む液体はその後、10〜20の無菌ガラス玉(直径5mm)を有する50ml無菌試験管に移された。試験管の内容物は胞子をほぐす為にボルテックスで短時間攪拌した。その後試験管の内容物は、底にガラス綿栓を有する無菌シリンジに移された。残っている菌糸体はろ過により除去された。
【0090】
接種の前に、細胞または分生子の数は血球計算器(ビルケル−チュルク型)を用いて計測された。
【0091】
種々の抗菌処方が使用された。処方は上述した実施例2と同じ成分を有していた。
【0092】
表10は非炭酸化アイスティーサンプルで使用された抗菌処方の組成を示す。
【0093】
表10:非炭酸化アイスティーサンプルにおいて本発明に従う保存方法で使用した抗菌処方の組成
【0094】
【表10】

【0095】
市販品のε−ポリリジンは25重量%のε−ポリリジンを含有する溶液である。
上記表中のε−ポリリジンの含量は100重量%である。
【0096】
表11及び12は、種々の時点で取られたアイスティーサンプルにおける菌数の結果を示す。
【0097】
表11:種々の時点でのアイスティーサンプルにおける菌の合計菌数(log CFU/ml)
【0098】
【表11】

【0099】
上記表の結果は、本発明に従う酸性飲料の保存方法が菌を含有する酸性の非炭酸化アイスティー飲料の保存に非常に適していることを示す。ε−ポリリジンとC8/C10グリセリドの混合物(サンプル3)は菌の成長の阻害効果を有し、桂皮酸カリウムまたはソルビン酸カリウムのような第三保存剤が添加された時にさらに著しく効果的になる。
【0100】
表12:種々の時点でのアイスティーサンプル中の酵母の合計菌数(log CFU/ml)。
【0101】
【表12】

【0102】
上記表の結果は、本発明に従う酸性飲料の保存方法がアイスティーのような酸性の非炭酸化飲料の保存に非常に適している事を示している。ε−ポリリジンとC8/C10グリセリドの混合物(サンプル3)は、このような飲料を少なくとも62日間保存することを可能にし、これはこれまでに示されていない。
【0103】
その他のサンプルは、追加の保存剤を添加する事によって、より低い濃度で保存剤が使用されたけれど、本発明に従う方法で使用されるポリリジン/グリセリド併用の抗菌効果は同じに維持されることを立証している。
【0104】
非炭酸化アイスティー中の菌や酵母に対する抗菌効果に関する同様の結果は、グリセリドがオクタノイル乳酸ナトリウムまたはデカノイル乳酸ナトリウム、あるいはPationic122A(商標)(デカノイル乳酸ナトリウムナトリウムとドデカノイル乳酸塩の市販の混合物、Caravan Ingredientsから)に置き換えられた時に、あるいはグリセリドと上述のラクチレートの一つとの混合物を使用された時に、得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリリジンおよび/またはその塩、および、第二保存剤としてヒドロキシカルボン酸および/またはその塩の脂肪酸エステル、またはグリセロール脂肪酸エステルの少なくとも1つを含有する組成物の使用を含む、1〜4.8のpHを有する酸性飲料の保存方法。
【請求項2】
飲料が2〜4.6のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
飲料がコールドフィルパッケージ方法を受ける、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
該ヒドロキシカルボン酸の脂肪酸エステルがラクチレートを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
組成物が追加の保存剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該追加の保存剤が、ソルビン酸及びソルビン酸塩、桂皮酸及び桂皮酸塩、乳酸及び乳酸塩、酢酸及び酢酸塩、クエン酸及びクエン酸塩、およびプロピオン酸及びプロピオン酸塩から選ばれる1以上の成分である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリリジンがε−ポリリジンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
組成物が、0.0001重量%〜50重量%のポリリジンおよび/またはポリリジン塩、0.0001重量%〜45重量%のグリセリドまたは0.0001重量%〜45重量%のラクチレートのいずれか一方、さらに0〜45重量%の有機酸、その塩またはエステル、もしくはそれらの混合物、0〜45重量%の桂皮酸または桂皮酸塩、及び0〜45重量%のソルビン酸またはソルビン酸塩を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
有機酸が乳酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、またはそれらの組み合わせを含有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
組成物が、酵母、菌、または細菌に対して使用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該菌が、フサリウム属、ケカビ属、ビソクラミス属、ネオサルトリア属、タラロマイセス属、ゲオトリクム属、ペシロマイセス属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、ボトリチス属、リゾープス属、クラドスポリウム属、及びユーロチウム属からの菌を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該酵母が、カンジダ属、デバリオマイセス属、デッケラ属、ハンセニアスポラ属、イサタケンキア属、クリベロマイセス属、メチニコビア属、ピキア属、ロドトルラ属、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、トルラスポラ属、ヤロウイア属、およびザイゴサッカロマイセス属からの酵母を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ポリリジンと、ラクチレートまたはグリセリドのいずれかまたは両方から選ばれる第二保存剤、及び、ソルビン酸、桂皮酸、乳酸、酢酸、クエン酸、および/またはプロピオン酸、それら酸の塩およびそれらの組み合わせから選ばれる第三保存剤を含有する1〜4.8のpHを有する酸性飲料製品。
【請求項14】
1〜4.8のpHを有する酸性飲料製品の保存のために、ポリリジンおよび/またはその塩を含有する組成物中で抗菌剤としてのグリセロール脂肪酸エステルを用いる方法。
【請求項15】
1〜4.8のpHを有する酸性飲料製品の保存のために、ポリリジンおよび/またはその塩を含有する組成物中で抗菌剤として、酸、塩、またはエステルの形で、脂肪酸とヒドロキシカルボン酸の脂肪酸エステルを用いる方法。

【公表番号】特表2010−538631(P2010−538631A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524527(P2010−524527)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062348
【国際公開番号】WO2009/037274
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(306003419)ピュラック バイオケム ビー.ブイ. (40)
【Fターム(参考)】