説明

酸性飲料組成物、および水性タンパク質成分を用いるその製造方法

本発明は、
(A)水和タンパク質安定剤と、
(B)果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトンまたはリン酸を含む少なくとも1つの香味材料と、
(C)(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)前記水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)前記沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)前記懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成し、そして任意で、
(5)前記水性タンパク質材料のスラリーを低温殺菌すること
を含む方法によって調製される水性タンパク質材料のスラリーと、
を含み、3.0〜4.5のpHを有する酸性飲料組成物に関する。また、該酸性飲料組成物を調製するためのいくつかの方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口当たりがよく、美味しく、嗜好性であり、そして良好な貯蔵安定性を有するタンパク質ベースの酸性飲料の調製方法に関する。タンパク質源としては、典型的な乾燥タンパク質の代わりに水性タンパク質が使用される。
【背景技術】
【0002】
ジュースおよび他の酸性ジュース様飲料は、人気のある市販の製品である。栄養健康飲料に対する消費者需要により、タンパク質を含有する栄養ジュースまたはジュース様飲料の開発が行われている。タンパク質は、飲料の成分により提供される栄養素に加えて、栄養を提供する。近年、特定のタンパク質は、栄養を提供することを超えて、特別の健康上の利益を有することが発見された。例えば、大豆タンパク質は、米国食品医薬品庁(United States Food and Drug Administration)によって、健康的な食事と併せて血中コレステロール濃度を低下させるために有効であると認識されている。それに応じて、このような特別な健康上の利益を提供するタンパク質を含有する酸性ジュース様飲料に対する消費者需要が高まってきている。
【0003】
しかしながら、タンパク質を酸性飲料に添加することへの障害は、タンパク質が水性の酸性環境で比較的不溶性なことである。大豆タンパク質およびカゼインなどの最も一般的に使用されるタンパク質は、酸性pHで等電点を有する。従って、タンパク質は、酸性飲料のpHにおいて、あるいはその付近で、水性液体中での溶解性が最も低い。例えば、大豆タンパク質はpH4.5で等電点を有し、カゼインはpH4.7で等電点を有するが、最も一般的なジュースは、3.7〜4.0の範囲のpHを有する。結果として、タンパク質は、酸性タンパク質含有飲料中で沈降物として沈降しやすく、飲料において望ましくない品質である。
【0004】
水性の酸性環境でタンパク質を懸濁液として安定させるタンパク質安定剤は、タンパク質の不溶性により提示される問題を克服するために使用される。ペクチンは、一般に使用されるタンパク質安定剤である。しかしながら、ペクチンは高価な食品成分であり、タンパク質を含有する水性の酸性飲料の製造業者はあまり高価でない安定剤を所望し、必要とされるペクチンの量が低減されるか、あるいは排除されて、あまり高価でない安定剤が選ばれる。
【0005】
タンパク質ベースのジュース飲料の大部分は、カゼイン、乳漿および大豆タンパク質を含む乾燥タンパク質源から製造される。乾燥タンパク質源の利点は、タンパク質をスプレー乾燥して粉末を得るので、貯蔵容積が小さく、出荷が容易であり、そして製造中の取扱いが容易なことである。しかしながら、乾燥タンパク質粉末はスプレー乾燥過程で高熱処理を受け、これは次に、特にジュース飲料中での溶解度においていくらかの機能性の損失につながる。溶解度は、安定な酸性タンパク質ジュース飲料のための重要な要素である。
【0006】
豆乳はジュース飲料において使用され得る代替原材料であるが、その豆の香味と共に、豆乳の低タンパク質含量によって、豆乳のジュース飲料における適用は制限される。
【0007】
本発明の利点は、酸性飲料のために大豆タンパク質が使用されるが、大豆タンパク質がスプレー乾燥工程を受けないことである。スプレー乾燥過程の前に得られる液体大豆タンパク質は、高タンパク質濃度および完全な機能性を有する。それ自体、酸性飲料において使用することができ、周囲温度で長期の貯蔵期間にわたって高度の安定性を有するであろう。液体大豆タンパク質は、スプレー乾燥過程により生じる相転移がないので、その機能性の全てを保持するであろう。スプレー乾燥工程は、酸性飲料中のタンパク質の溶解度を低下させやすく、これは次に、酸性飲料中に大量の不溶性粒子を生じる。
【0008】
液体大豆タンパク質を使用する利点は、乾燥タンパク質製品と比較して低い密度によって、より懸濁安定性の酸性飲料が製造されることである。液体タンパク質を輸送するコストの増大は、スプレー乾燥工程の排除によってある程度相殺されるであろう。
【0009】
米国特許第3,995,071号明細書(Goodnight,Jr.ら、1976年11月30日)は、低フィチン酸含量を有する改善された精製大豆タンパク質の調製方法を提供する。この参考文献の特徴は、他の成分と構成する前に中間の乾燥工程を用いるのではなく、水性タンパク質が液体として最終組成物に直接取り込まれると、改善された栄養価、機能性(物理的特性)および香味が達成されることが発見されたので、特別の規定食品および食品に水性タンパク質を直接取り込むことを含む。
【0010】
米国特許第5,286,511号明細書(Klavonsら、1994年2月15日)は、大豆タンパク質粒子の懸濁により濁ったオレンジジュースなどの飲料を提供しており、ペクチンによって、タンパク質粒子は沈降する程度まで凝集することが防止される。ペクチンは、個々のタンパク質粒子に吸着して、タンパク質粒子に全体として負の電荷を付与することによってタンパク質が沈降するのを抑制し、その結果として粒子の相互の反発力をもたらし、それにより、タンパク質粒子が凝集して懸濁液から沈降することが防止される。またペクチンは飲料の粘度を増大させ、タンパク質粒子を重力に対して安定させるのに役立つ。
【0011】
米国特許第6,221,419号明細書(Gerrish、2001年4月24日)は、水性の酸性化乳飲料中に存在するタンパク質を安定させる際に使用するために、タンパク質を安定させるペクチンに関する。ペクチンを含有することが、酸性化乳飲料の特性に対して望ましい効果と望ましくない効果の両方を有することは理解されるに違いない。ペクチンは、カゼイン粒子の沈降または乳漿の分離に対する安定剤の役割を果たすことができるが、自然に共存するカルシウムカチオンとの架橋のために飲料の粘度を増大させるという不都合を有し、飲料の味を悪くし得る。ペクチンがなければ、どちらの飲料の場合にも、カゼイン粒子の不安定性によって生じる著しい沈降があり、これも比較的高い粘度をもたらすことが分かるであろう。特定の濃度のペクチンの添加後、カゼイン粒子は沈降に対して安定になり、その後、ペクチン濃度の増大は沈降に対してあまり影響を有さない。飲料の粘度について考えると、これもカゼイン粒子の安定化の際に顕著に降下するが、次に、共存するカルシウムカチオンによって添加される過剰のペクチンの架橋のためにほとんど直ぐに再度上昇し始める。この粘度の増大は、官能特性が良くない飲料をもたらすので望ましくない。この範囲は、飲料重量全体を基準としたときにペクチンがわずか0.06重量%であるように狭くし得る。この動作範囲より下では、沈降が顕著な問題であり、これより上では、飲料の粘度は望ましくなく高い。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
(A)水和タンパク質安定剤と、
(B)果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトンまたはリン酸を含む少なくとも1つの香味材料と、
(C)(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)前記水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)前記沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)前記懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成し、そして任意で、
(5)前記水性タンパク質材料のスラリーを低温殺菌すること
を含む方法によって調製される水性タンパク質材料のスラリーと、
を含み、3.0〜4.5のpHを有する酸性飲料組成物に関する。
【0013】
また、酸性飲料組成物のいくつかの調製方法が開示される。第1の方法は、
(A)水和タンパク質安定剤と、
(B)果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトンまたはリン酸を含む少なくとも1つの香味材料と、
を混合してプレブレンド(I)を形成することと、
前記プレブレンド(I)と、
(C)(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)前記水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)前記沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)前記懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成し、そして
(5)前記水性タンパク質材料のスラリーを低温殺菌すること
を含む方法によって調製される水性タンパク質材料のスラリーと、
を混合してブレンドを形成することと、
前記ブレンドを低温殺菌および均質化することと、
を含み、前記酸性飲料組成物は3.0〜4.5のpHを有する。
【0014】
酸性飲料組成物の第2の調製方法は、
(A)水和タンパク質安定剤と、
(B)果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトンまたはリン酸を含む少なくとも1つの香味材料と、
を混合してプレブレンド(I)を形成することと、
(A)水和タンパク質安定剤と、
(C)(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)前記水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)前記沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)前記懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成し、そして
(5)前記水性タンパク質材料のスラリーを低温殺菌すること
を含む方法によって調製される水性タンパク質材料のスラリーと、
を混合してプレブレンド(II)を形成することと、
前記プレブレンド(I)および前記プレブレンド(II)を混合して、ブレンドを形成することと、
前記ブレンドを低温殺菌および均質化することと、
を含み、前記酸性飲料組成物は3.0〜4.5のpHを有する。
【0015】
酸性飲料組成物の第3の調製方法は、
(A)水和タンパク質安定剤と、
(C1)(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)前記水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)前記沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)前記懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成すること
を含む方法によって調製される水性タンパク質材料のスラリーと、
を混合してプレブレンド(III)を形成することと、
前記プレブレンド(III)と、
(B)果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトンまたはリン酸を含む少なくとも1つの香味材料と、
を混合してブレンドを形成することと、
前記ブレンドを低温殺菌および均質化することと、
を含み、前記酸性飲料組成物は3.0〜4.5のpHを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
タンパク質ベースの酸性飲料は、通常、可能性のある立体安定化および静電反発機構により安定な懸濁液を提供する安定剤で安定化される。図1は、タンパク質安定化酸性飲料の通常の加工条件を示す。1において、安定剤は単独で2〜3%のスラリーに水和されるか、あるいは糖とブレンドされるかのいずれかで、pH3.5を有する安定剤スラリーが生じる。5において、乾燥タンパク質粉末は、まず周囲温度で水中に分散され、高温でしばらくの間水和される。5におけるpHは、ほぼ中性である。1からの水和安定剤スラリーおよび5からの水和タンパク質スラリーは、10において、攪拌下で10分間一緒に混合される。10におけるpHは、約7である。追加の糖、果実ジュースまたは野菜ジュースや、リン酸、アスコルビン酸、クエン酸などの様々な酸などのその他の成分は、20において添加され、pHは約3.8にされる。内容物は、30において、195°Fで30秒間低温殺菌され、そしてまず2500ポンド/平方インチで、次に500ポンド/平方インチで均質化される。40において容器は高温充填および冷却され、50においてpH3.8を有する製品が与えられる。この方法の問題点は、安定剤がタンパク質と混合された後、ブレンドのpHが中性付近であり、特に加熱時にベータ脱離によって安定剤が潜在的に分解されることである。このことは安定剤の分子量の低下を引き起こし、pHが後で更に低くされたときに安定剤がタンパク質を安定させる能力は大きく低下される。安定剤は、室温で安定なだけである。温度が上昇するにつれてベータ脱離が始まり、その結果、鎖の切断が起こり、安定剤が安定な懸濁液を提供する能力が非常に急速に損失される。
【0017】
本発明では、水和タンパク質安定剤(A)および香味材料(B)はプレブレンド(I)として混ぜ合わせられ、そして乾燥していない水性タンパク質材料のスラリー(C)か、あるいは水和タンパク質安定剤(A)および乾燥していない水性タンパク質材料のスラリー(C)のプレブレンド(II)のいずれかと混ぜ合わせられる。図2および図3は、これらの方法を示す。図4では、水和タンパク質安定剤(A)と、乾燥および低温殺菌していない水性タンパク質スラリー(C1)とは、プレブレンド(III)として混ぜ合わせられ、そして香味材料(B)と混ぜ合わせられる。
【0018】
図2は、本発明の第1の方法を概説する。安定剤は、101において、糖を用いて、あるいは糖を用いずに0.5〜10%の分散液に水和される。101におけるpHは、3.5である。102において、追加の糖、果実ジュース、野菜ジュースや、リン酸、アスコルビン酸、クエン酸などの様々な酸などの香味材料(B)が添加され、内容物は高温で混合されてプレブレンド(I)を形成する。水性タンパク質スラリーは、104で調製される。このスラリーは、スプレー乾燥条件を受けない。スラリーは、105において低温殺菌されて成分(C)を生じる。105におけるpHは、約4〜約6である。105からの低温殺菌スラリーおよび102からのプレブレンド(I)は110において一緒にブレンドされ、追加の酸でpH3.8にされる。130において、内容物は180°Fの温度で30秒間低温殺菌され、2500ポンド/平方インチの高圧段階、それから500ポンド/平方インチの低圧段階の2段階で均質化される。容器は140で高温充填および冷却され、150においてpH3.8を有する製品が与えられる。
【0019】
図3は、本発明の第2の方法を概説する。図3では、204において水性タンパク質スラリーが調製される。このスラリーは、スプレー乾燥条件を受けない。スラリーは、205において低温殺菌されて成分(C)を与える。205におけるpHは、約4〜約6である。全部の安定剤成分(A)のうちの一部(約30%)は、203において水和され、簡単に混合され、次に成分(C)に添加されて、206においてプレブレンド(II)を形成する。206におけるpHは、約6.5である。残りの安定剤は、201において、糖を用いずに水和される。201におけるpHは、3.5である。202において、追加の糖、果実ジュース、野菜ジュースや、リン酸、アスコルビン酸、クエン酸などの様々な酸などの香味材料(B)が添加され、内容物は高温で混合されてプレブレンド(I)を形成する。202からのプレブレンド(I)のスラリーおよび206からのプレブレンド(II)のスラリーは、210において一緒にブレンドされ、追加の酸でpH3.8にされる。230において、内容物は195°Fの温度で30秒間低温殺菌され、2500ポンド/平方インチの高圧段階、それから500ポンド/平方インチの低圧段階の2段階で均質化される。容器は240で高温充填および冷却され、250においてpH3.8を有する製品を与える。
【0020】
図4は、本発明の第3の方法を概説する。図4では、303において、低温殺菌されていない水性タンパク質スラリーが調製されて(C1)を与える。このスラリーは、スプレー乾燥条件を受けない。303におけるpHは、約4〜約6である。安定剤は、301において、糖を用いて、あるいは糖を用いずに0.5〜10%のスラリーに水和されて、pH3.5にし、そして成分(C1)に添加されて、310においてプレブレンド(III)を形成する。320において、追加の糖、果実ジュース、野菜ジュースや、リン酸、アスコルビン酸、クエン酸などの様々な酸などの香味材料(B)が添加され、内容物は混合される。330において、内容物は195°Fの温度で30秒間低温殺菌され、2500ポンド/平方インチの高圧段階、それから500ポンド/平方インチの低圧段階の2段階で均質化される。容器は340で高温充填および冷却され、350においてpH3.8を有する製品を与える。
【0021】
成分(A)
本発明は安定剤を使用し、該安定剤は、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、ジェランガム(jellan gum)、タラガム、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、セルロースガムおよびペクチンを含む親水コロイドである。好ましい親水コロイドはペクチンである。本明細書中での使用では、「ペクチン」という用語は、部分的にメトキシル化されたポリガラクツロン酸から主になる中性の親水コロイドを意味する。「高メトキシルペクチン」という用語は、本明細書における使用では、50パーセント(50%)以上のメトキシルエステル化度を有するペクチンを意味する。本発明において有用な高メトキシル(HM)ペクチンは市販されている。1つの供給業者は、Hercules Incorporated(DK−4623,Lille Skensved、Denmark)の部門であるCopenhagen Pectin A/Sである。その製品は、Hercules YM100L、Hercules YM100H、Hercules YM115L、Hercules YM115HおよびHercules YM150Hで識別される。Hercules YM100Lは約56%のガラクツロン酸を含有し、ガラクツロン酸の約72%(±2%)がメチル化されている。もう1つの供給業者は、Danisco A/S(Copenhagen,Denmark)であり、AMD783が供給される。
【0022】
酸性飲料を調製する前に、安定剤(A)を水和させることが必要である。安定剤を水和させるために、スラリーを形成するのに十分な量の水が添加される。スラリーは、高せん断下、室温で混合され、更に10分間、140〜180°Fに加熱される。この固形分濃度では、安定剤において最も完全な水和が得られる。従って、スラリー中の水は、この濃度で最も効率的に使用される。甘味料は、この時点または後で添加されてもよいし、あるいは甘味料の一部がここで添加され、また後で添加されてもよい。好ましい甘味料は、スクロース、コーンシロップを含み、そして、デキストロースおよび高フルクトースコーンシロップおよび人口甘味料を含んでもよい。
【0023】
成分(B)
タンパク質材料は、それ自体、望ましくないあと味または望ましくない香味を有し得る。香味材料(B)の作用は、タンパク質材料(C)の不利な香味を隠し、酸性飲料組成物に好ましい味感を与えることである。香味材料(B)は、果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトン(glucone delta lactone)、リン酸またはこれらの組み合わせを含む。
【0024】
ジュースとしては、果実および/または野菜を、丸ごと、液体、液体濃縮物、ピューレまたは別の変性形態で添加することができる。果実および/または野菜からの液体は、ジュース製品において使用される前にろ過されてもよい。果実ジュースは、トマト、ベリー、シトラスフルーツ、メロンおよび/またはトロピカルフルーツからのジュースを含むことができる。単一の果実ジュースまたは果実ジュースのブレンドを使用することができる。野菜ジュースは、多数の異なる野菜ジュースを含むことができる。本発明において用いることができる多数の特定のジュースのうちのいくつかの実施例には、全ての種類のベリー、フサスグリ、アプリコット、ピーチ、ネクタリン、プラム、チェリー、リンゴ、洋ナシ、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、ミカン、マンダリン、タンジェロ、バナナ、パイナップル、グレープ、トマト、ダイオウ、プルーン、イチジク、ザクロ、パッションフルーツ、グアバ、キウイ、キンカン、マンゴ、アボカド、全ての種類のメロン、パパイヤ、カブ、ルタバガ、ニンジン、キャベツ、キュウリ、カボチャ、セロリ、ラディッシュ、モヤシ、アルファルファの芽、タケノコ、豆および/または海草からのジュースが含まれる。認識されるように、1つまたは複数の果実、1つまたは複数の野菜、および/または1つまたは複数の果実および野菜が酸性飲料に含有されて、酸性飲料の所望の香味を得ることができる。
【0025】
果実および野菜の香味は、香味材料(B)の役割も果たすことができる。果実香味料は、タンパク質材料のあと味を中和することが分かっている。果実香味料は、天然および/または人工の香味料でよい。認識されるように、酸性飲料の特徴的な香味を高め、そしてタンパク質材料に由来し得る望ましくない香味感を隠すために、野菜香味料などの他の香味材料と共に使用される場合には果実香味料が最も良い。
【0026】
成分(C)
タンパク質材料は水性タンパク質材料のスラリーであり、該水性タンパク質材料のスラリーは、
(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成し、そして任意で、
(5)水性タンパク質材料のスラリーを低温殺菌すること
を含む方法によって調製される。
【0027】
(C)(5)において低温殺菌が行われると、生成される成分は成分(C)である。(C)(5)が存在しない場合、低温殺菌工程が存在しないことを意味し、生成される成分は、成分(C1)である。
【0028】
タンパク質材料は、水性の酸性液体、好ましくは3.0〜5.5のpHを有する水性の酸性液体、最も好ましくは3.5〜4.5のpHを有する水性の酸性液体中に少なくとも部分的に不溶性であるどんな植物性または動物性タンパク質でもよい。本明細書中での使用では、「部分的に不溶性の」タンパク質材料は、特定のpHでタンパク質材料の少なくとも10重量%の不溶性材料を含有するタンパク質材料である。本発明の組成物において有用な好ましいタンパク質材料には、大豆タンパク質材料、カゼインまたはカゼイン塩、コーンタンパク質材料、特にゼイン、および小麦グルテンが含まれる。また好ましいタンパク質には、酪農の乳漿タンパク質(特に酪農のスイートホエータンパク質)、およびウシ血清アルブミン、卵白アルブミンなどの非酪農の乳漿タンパク質、ならびに大豆タンパク質などの植物性乳漿タンパク質(すなわち、非酪農の乳漿タンパク質)も含まれる。
【0029】
タンパク質材料は、スプレー乾燥工程を受けないことが必要である。本発明のためのタンパク質材料は乾燥タンパク質材料ではなく、まだ水性の形態にあるタンパク質材料である。すなわち、低温殺菌されているが乾燥されていないタンパク質である。スプレー乾燥過程中に高熱処理を受けた乾燥タンパク質粉末は、特にジュース飲料中での溶解度においていくらかの機能性の損失を生じる。溶解度は、安定な酸性タンパク質ジュース飲料のための重要な要素である。
【0030】
本発明と共に有用な大豆タンパク質材料は、大豆粉、大豆濃縮物、そして最も好ましくは大豆タンパク質単離物である。大豆粉、大豆濃縮物、および大豆タンパク質単離物は、大豆または大豆誘導体であり得る大豆出発材料から形成される。好ましくは、大豆出発材料は、大豆ケーク、大豆チップ、大豆ミール、大豆フレーク、またはこれらの材料の混合物のいずれかである。大豆ケーク、チップ、ミール、またはフレークは、当該技術分野における従来の手順に従って大豆から形成することができる。ここで、大豆ケークおよび大豆チップは、加圧または溶媒により大豆の油の一部を抽出することによって形成され、大豆フレークは、大豆を砕き、加熱し、薄片にし、そして溶媒抽出により大豆の油含量を低減することによって形成され、大豆ミールは、大豆ケーク、チップ、またはフレークを粉砕することによって形成される。
【0031】
大豆粉、大豆濃縮物および大豆タンパク質単離物は、「無水基準(moisture free basis)」(mfb)に基づくタンパク質範囲を含むと以下に説明されており、これは乾燥工程を示す。水性状態にある大豆粉、大豆濃縮物および大豆タンパク質単離物のためのタンパク質範囲が何であるかは分かっていない。しかしながら、大豆粉、大豆濃縮物および大豆タンパク質単離物が乾燥されたとしたら、これらは、無水基準でそのように示されるタンパク質範囲を有するであろう。
【0032】
大豆粉は、本明細書において使用される場合、No.100メッシュ(米国基準)スクリーンを通過できるようなサイズを有する粒子で形成された、好ましくは1%未満の油を含有する脱脂大豆材料の細分した形態を示す。大豆ケーク、チップ、フレーク、ミールまたは材料の混合物は、従来の大豆粉砕法を用いて大豆粉に細分される。大豆粉は、無水基準(mfb)で約49%〜約65%の大豆タンパク質含量を有する。好ましくは、粉は非常に細かく粉砕され、最も好ましくは約1%未満の粉が300メッシュ(米国基準)スクリーン上に保持されるように粉砕される。
【0033】
大豆濃縮物は、本明細書において使用される場合、約65%〜約72%の大豆タンパク質(mfb)を含有する大豆タンパク質材料を示す。大豆濃縮物は、好ましくは、溶媒抽出により油が除去された市販の脱脂大豆フレーク材料から形成される。大豆濃縮物は、酸浸出法によって、またはアルコール浸出法によって製造される。酸浸出法では、大豆フレーク材料は、ほぼ大豆タンパク質の等電点のpH、好ましくは約4.0〜約5.0のpH、最も好ましくは約4.4〜約4.6のpHを有する水性溶媒で洗浄される。等電点洗浄は、大量の水溶性炭水化物および他の水溶性成分をフレークから除去するが、タンパク質および繊維はあまり除去せず、これにより大豆濃縮物が形成される。大豆濃縮物は、等電点洗浄のあとに乾燥されない。アルコール浸出法では、大豆フレーク材料は、エチルアルコール水溶液で洗浄され、ここでエチルアルコールは、約60重量%で存在する。タンパク質および繊維は不溶性のままであるが、スクロース、スタキオースおよびラフィノースの炭水化物大豆糖は、脱脂フレークから浸出される。水性アルコール中に可溶性の大豆糖は、不溶性タンパク質および繊維から分離される。水性アルコール相中に不溶性のタンパク質および繊維は乾燥されない。
【0034】
大豆タンパク質単離物は、本明細書において使用される場合、少なくとも約90%以上のタンパク質含量、好ましくは約92%以上のタンパク質含量(mfb)を含む大豆タンパク質材料を示す。大豆タンパク質単離物は、通常、脱脂大豆材料などの出発材料から製造されるが、その際、油が抽出されて、大豆ミールまたはフレークが残される。より詳細には、大豆は、まず砕かれ、または粉砕され、次に従来の搾油機を通過させられる。しかしながら、ヘキサンまたはその共沸混合物などの脂肪族炭化水素を用いる溶媒抽出によって、大豆に含まれる油を除去することが好ましく、これらは、油の除去のために使用される従来の技法を表す。脱脂大豆タンパク質材料または大豆フレークは、次に、タンパク質を抽出するために、水性浴中に置かれ、少なくとも約6.5、好ましくは約7.0〜10.0のpHを有する混合物を提供する。通常、pHを6.7よりも高くすることが所望されるならば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムまたは他の一般に容認される食品グレードのアルカリ試薬などの様々なアルカリ試薬を使用して、pHを高めることができる。アルカリ抽出はタンパク質の可溶化を容易にするので、約7.0よりも高いpHが通常好ましい。通常、タンパク質の水性抽出物のpHは、少なくとも約6.5、好ましくは約7.0〜10.0であろう。植物性タンパク質材料に対する水性抽出剤の重量比は、通常、約20対1〜好ましくは10対1の比率の間である。代替の実施形態では、植物性タンパク質は、水を用いて、すなわちpH調節なしに、粉砕した脱脂フレークから抽出される。
【0035】
また、本発明で使用される大豆タンパク質単離物を得る際には、pH調整を用いてまたは用いずに、水性抽出工程中に高温を使用してタンパク質の可溶化を容易にすることも望ましいが、所望されるなら、周囲温度も同様に満足できる。使用することができる抽出温度は、周囲温度から約120°Fまでの範囲であり、好ましい温度は90°Fである。抽出時間は更に限定されず、約5〜120分の間の時間を都合よく使用することができ、好ましい時間は約30分間である。植物性タンパク質材料の抽出に続いて、タンパク質の水性抽出物は、貯蔵タンクまたは適切な容器に貯蔵することができ、第1の水性抽出工程からの不溶性固形分において第2の抽出が実行される。このことは、第1の工程の残留固形分からタンパク質を徹底的に抽出することによって、抽出過程の効率および歩留まりを改善する。
【0036】
pH調整をせずに、または少なくとも6.5、好ましくは約7.0〜10のpHを有する、両方の抽出工程から混ぜ合わせた水性タンパク質抽出物は、次に、抽出物のpHをタンパク質の等電点、またはその付近に調整することによって沈殿されて、不溶性の凝乳沈殿物を形成する。タンパク質抽出物が調整される実際のpHは、使用される植物性タンパク質材料に応じて変化するが、大豆タンパク質の場合には、これは通常約4.0〜5.0である。沈殿工程は、酢酸、硫酸、リン酸、塩酸などの一般の食品グレードの酸性試薬の添加によって、あるいは他の適切な酸性試薬を用いて、都合よく実行することができる。大豆タンパク質は、酸性化した抽出物から沈殿し、次に抽出物から分離される。分離されたタンパク質は水で洗浄されて、残留する可溶性炭水化物および灰分をタンパク質材料から除去することができ、残留する酸は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基性試薬の添加によって、約4.0〜約6.0のpHに中和され、水性タンパク質材料のスラリーを形成する。この時点で、水性タンパク質材料は、任意で、低温殺菌工程を受ける。低温殺菌工程は、存在し得る微生物を殺す。低温殺菌は、少なくとも180°Fの温度で少なくとも10秒間、少なくとも190°Fの温度で少なくとも30秒間、あるいは少なくとも195°Fの温度で少なくとも60秒間実行される。低温殺菌が実行されなければ、水性タンパク質は成分(C1)と定義される。低温殺菌では、水性タンパク質は成分(C)と定義される。通常、この時点で、分離したタンパク質は、次に従来の乾燥手段を用いて乾燥されて、大豆タンパク質単離物を形成する。しかしながら、本発明では、大豆タンパク質単離物は、水性大豆タンパク質単離物であることが必要である。
【0037】
好ましくは、本発明で使用される水性タンパク質材料は、タンパク質材料の特性を高めるように変化される。この変化は、タンパク質材料の有用性または特性を改善するために当該技術分野において知られている変化であり、タンパク質材料の変性および加水分解を含むが、これらに限定されない。
【0038】
水性タンパク質材料は、より低い粘度に変性および加水分解され得る。タンパク質材料の化学的な変性および加水分解は、当該技術分野においてよく知られており、通常は、pHおよび温度の制御された条件下で、タンパク質材料を所望の程度まで変性および加水分解するのに十分な時間、水性タンパク質材料を水溶液中で1つまたは複数のアルカリ試薬で処理することからなる。タンパク質材料の化学的な変性および加水分解のために用いられる典型的な条件は、約10まで、好ましくは約9.7までのpH、約50℃〜約80℃の温度、および約15分〜約3時間の期間であり、ここで、水性タンパク質材料の変性および加水分解は、より高いpHおよび温度条件でより急速に生じる。
【0039】
また、水性タンパク質抽出物の加水分解は、タンパク質を加水分解することができる酵素で水性タンパク質抽出物を処理することによっても達成することができる。タンパク質材料を加水分解する多くの酵素が当該技術分野において知られており、真菌プロテアーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、およびキモトリプシンを含むが、これらに限定されない。酵素加水分解は、十分な量の酵素、通常は水性タンパク質抽出物の約0.1重量%〜約10重量%の酵素を水性タンパク質材料の水性分散液に添加し、酵素が活性化される通常は約5℃〜約75℃の温度、そして通常は約3〜約9のpHで、水性タンパク質抽出物を加水分解するのに十分な時間、酵素および水性タンパク質抽出物を処理することによって達成される。十分な加水分解が生じたら、75℃よりも高い温度に加熱することによって酵素は不活性にされ、溶液のpHをタンパク質材料の等電点に付近に調整することによって、タンパク質抽出物が水性抽出物から沈殿される。本発明において加水分解に有用な酵素には、ブロモライン(bromolein)およびアルカラーゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
また、大豆タンパク質材料のミネラル濃縮または強化も望ましい。水性タンパク質材料は、リン酸マグネシウムまたはリン酸カルシウムのいずれかとして、アルカリ土類金属のリン酸塩を含有することによって変化される。リン酸カルシウムが好ましい。通常、リン酸は、超音波処理または均質化を用いながら、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物の水性スラリーに急速に添加される。超音波処理および均質化は、形成されるリン酸カルシウムの粒径を小さくするのに役立ち、全ての水酸化カルシウムがリン酸と反応するように機械的エネルギーも提供する。
【0041】
本発明の方法において有用なカゼインタンパク質材料は、スキムミルクから凝乳の凝固によって調製される。カゼインは、酸凝固、自然の酸性化(natural souring)、またはレンネット凝固によって凝固される。カゼインの酸凝固をもたらすために、適切な酸、好ましくは塩酸がミルクに添加されて、ミルクのpHをカゼインの等電点付近、好ましくは4.0〜5.0のpH、最も好ましくは4.6〜4.8のpHまで低下させる。自然の酸性化による凝固をもたらすために、ミルクは発酵用バットに保持され、乳酸を形成させる。ミルクは十分な時間発酵させられ、形成した乳酸がミルク中のカゼインの大部分を凝固できるようにする。レンネットによるカゼインの凝固をもたらすために、十分なレンネットがミルクに添加され、ミルク中のカゼインの大部分を沈殿させる。酸凝固、自然の酸性化、およびレンネット沈殿されたカゼインは全て、多数の製造業者または供給業者から市販されている。
【0042】
本発明において有用なコーンタンパク質材料には、コーングルテンミール、最も好ましくはゼインが含まれる。コーングルテンミールは、従来のコーン精製法から得られ、市販されている。コーングルテンミールは、約50%〜約60%のコーンタンパク質および約40%〜約50%のデンプンを含有する。ゼインは、コーングルテンミールを希アルコール、好ましくは希イソプロピルアルコールで抽出することによって製造される市販の精製コーンタンパク質である。
【0043】
本発明の方法において有用な小麦タンパク質材料には、小麦グルテンが含まれる。小麦グルテンは従来の小麦精製法から得られ、市販されている。
【0044】
以下の実施例1〜5は、本発明の一部として、成分(C)または成分(C1)のいずれかの調製に関する。
【実施例】
【0045】
実施例1
抽出タンクに、100ポンドの脱脂大豆フレークおよび1000ポンドの水を添加する。内容物を90°Fに加熱し、十分な水酸化カルシウムを添加してpHを9.7に調整する。これにより、水対フレークの重量比10:1が提供される。フレークを抽出物から分離し、9.7のpHおよび90°Fの温度を有する600ポンドの水で再抽出する。この第2の抽出工程は、水対フレークの重量比6:1を提供する。フレークを遠心分離により除去し、第1および第2の抽出物を混ぜ合わせて、塩酸またはリン酸のいずれかでpH4.5に調整し、沈殿タンパク質凝乳および可溶性の水性乳漿が形成される。酸沈殿された水に不溶性の凝乳を、CH−14遠心機において4,000rpmの速度、そしてSharples P3400遠心機において3,000rpmの速度で遠心分離および洗浄することによって水性乳漿から分離する。タンパク質凝乳を10〜12%固形分濃度で水中に再懸濁させ、pHを水酸化ナトリウムで5.2に調整し、タンパク質を部分的に可溶化する。生成物は、低温殺菌されていない水性タンパク質である。
【0046】
実施例2
抽出タンクに、100ポンドの脱脂大豆フレークおよび600ポンドの水を添加する。内容物を90°Fに加熱し、十分な水酸化カルシウムを添加して、pHを9.7に調整する。これにより、水対フレークの重量比6:1が提供される。フレークを抽出物から分離し、9.7のpHおよび90°Fの温度を有する400ポンドの水で再抽出する。この第2の抽出工程は、水対フレークの重量比4:1を提供する。フレークを遠心分離により除去し、第1および第2の抽出物を混ぜ合わせて、リン酸でpH4.5に調整し、沈殿タンパク質凝乳および可溶性の水性乳漿が形成される。酸沈殿された水に不溶性の凝乳を、CH−14遠心機において4,000rpmの速度、そしてSharples P3400遠心機において3,000rpmの速度で遠心分離および洗浄することによって水性乳漿から分離する。タンパク質凝乳を10〜12%固形分濃度で水中に再懸濁させ、希釈された凝乳を与える。希釈凝乳に、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの水性ブレンドを添加し、pHを9.0に調整する。アルカリ処理された材料を約145°Fに加熱し、アルカラーゼの10%溶液を添加する。酵素処理したスラリーを30分間混合し、アルカリブレンドでpHを9.0に保持する。アルカリ処理が完了してから更に22分間保持した後、0.1%のブロモライン(bromolain)溶液を添加する。22分の保持時間の後、塩酸およびリン酸の混合物を添加して、pHを5.54に調整する。内容物を305°Fで9秒間低温殺菌し、水性タンパク質材料が与えられる。
【0047】
実施例3
以下の点を除いて実施例1の手順を繰り返す。水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム混合物の水溶液の最初の添加の後、新しく調製したリン酸カルシウムの全固形分3.4%の水性スラリーを添加する。得られる生成物は、カルシウム強化水性タンパク質材料である。
【0048】
実施例4
実施例1により調製される酸沈殿タンパク質凝乳を全固形分18%に希釈する。内容物を100°Fよりも高温に加熱する。全固形分0.015%のブロメライン(bromelain)酵素を添加し、内容物を混合する。希釈凝乳に、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの水性ブレンドを添加して、pHを8.4に調整する。新しく調製したリン酸カルシウムの全固形分3.4%の水性スラリーを添加し、内容物を100°Fより高温で20分間保持する。内容物を265°Fで9秒間低温殺菌する。全固形分0.015%の追加のブロメライン酵素を添加し、内容物を35分間攪拌する。内容物を305°Fで9秒間低温殺菌し、カルシウム強化水性タンパク質材料が与えられる。
【0049】
実施例5
実施例1により調製される酸沈殿タンパク質凝乳を全固形分14.5%に希釈する。内容物を100°Fよりも高温に加熱する。希釈凝乳に、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの水性ブレンドを添加して、pHを7.2に調整する。新しく調製したリン酸カルシウムの全固形分3.4%の水性スラリーを添加し、内容物を100°Fより高温に保持する。内容物を308°Fで9秒間低温殺菌する。追加の量の水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを125°Fで添加し、pHを9.0に調整し、内容物を攪拌する。全固形分0.02%のアルカラーゼおよび全固形分0.015%のブロメラインを添加し、内容物を100°Fよりも高温で22分間攪拌する。酵素内容物を、塩酸でpH7.2に調整する。内容物を305°Fで9秒間低温殺菌し、カルシウム強化水性タンパク質材料が与えられる。
【0050】
酸性飲料組成物
実施例A〜Dは、図1に定義されるような酸性飲料組成物の基準方法の実施例である。これらの実施例の酸性飲料組成物は、タンパク質源として乾燥タンパク質を用いる。
【0051】
実施例A
8オンス分につき6.5gのタンパク質の強化ジュース飲料を、Solae(登録商標)LLCにより製造されるSupro(登録商標)Plus675を用いて製造する。
【0052】
容器に、5494gの蒸留水を添加し、次に332gのSupro Plus675を添加する。5.70%固形分の内容物を中程度のせん断下で分散させ、5分間混合した後、170°Fで10分間加熱して、タンパク質懸濁スラリーが与えられる。別の容器で、60グラムのペクチン(YM−100L)を高せん断下で2940グラムの蒸留水中に分散させて、2%のペクチン分散液が与えられる。塊が観察されなくなるまで、分散液を170°Fに加熱する。ペクチン分散液をタンパク質懸濁スラリー中に添加し、中程度のせん断下で5分間混合する。この後、27グラムのクエン酸、27グラムのリン酸、210グラムの濃縮リンゴジュースおよび1000グラムの糖を添加する。内容物を中程度のせん断下で5分間混合する。この混合物の室温におけるpHは、3.8〜4.0の範囲である。内容物を195°Fで30秒間低温殺菌し、第1の段階では2500ポンド/平方インチ、そして第2の段階では500ポンド/平方インチで均質化して、タンパク質安定化酸性飲料が与えられる。180〜185°Fにおいてビンに飲料を高温充填する。ビンを逆向きにして2分間保持し、次に、氷水中に入れて、内容物の温度を室温付近にする。ビンの内容物をほぼ室温にしたら、ビンを室温で6ヶ月間貯蔵する。
【0053】
実施例B
タンパク質Supro(登録商標)Plus675の代わりに、Solae(登録商標)LLCにより製造されるタンパク質FXP950を用いる点を除いて、実施例Aの手順を繰り返す。
【0054】
実施例C
タンパク質Supro(登録商標)Plus675の代わりに、Solae(登録商標)LLCにより製造されるタンパク質FXP HO120を用いる点を除いて、実施例Aの手順を繰り返す。
【0055】
実施例D
タンパク質Supro(登録商標)Plus675の代わりに、Solae(登録商標)LLCにより製造されるタンパク質Supro(登録商標)XT40を用いる点を除いて、実施例Aの手順を繰り返す。
【0056】
上記で概略的に説明された本発明は、以下に記載される実施例を参照することによって、よりよく理解されるであろう。以下の実施例は、本発明の特定の(しかし、限定されない)実施形態を表す。
【0057】
成分(A)、(B)および(C)または(C1)を調製したら、残っているのは、3つの方法に従って、成分を混ぜ合わせて、酸性飲料組成物を形成することだけである。第1の方法では、(A)および(B)を混ぜ合わせてプレブレンド(I)を調製する。プレブレンド(I)を更に(C)と混ぜ合わせた後、低温殺菌および均質化を行い、酸性飲料組成物を形成する。安定剤スラリーの水和の後、成分(A)が完成する。香味材料の成分(B)を成分(A)に添加して、プレブレンド(I)を形成する。本発明では、プレブレンド(I)を7よりも低いpHに保持し、安定剤がベータ脱離により分解するのを防止することが必要である。このために、プレブレンド(I)のpHは、2.0〜5.5の間に保持される。プレブレンド(I)を形成するための(A):(B)の重量比は、一般に、65〜73:27〜32であり、好ましくは65〜75:25〜35であり、最も好ましくは60〜80:20〜40である。第1の方法によって酸性飲料組成物を形成するためのプレブレンド(I):(C)は、一般に、55〜75:25〜45であり、好ましくは60〜70:30〜40であり、最も好ましくは62〜68:32〜38である。
【0058】
第2の方法では、(A)および(B)を混ぜ合わせてプレブレンド(I)を形成することに加えて、(A)および(C)を混ぜ合わせてプレブレンド(II)を形成する。プレブレンド(I)およびプレブレンド(II)を混ぜ合わせた後、低温殺菌および均質化が行われて、酸性飲料組成物を形成する。プレブレンド(I)を形成するための(A):(B)の重量比は、一般に65〜73:27〜32、好ましくは65〜75:25〜35、最も好ましくは60〜80:20〜40である。プレブレンド(II)を形成するための(A):(C)の重量比は、一般に25〜35:65〜75、好ましくは20〜30:70〜80、最も好ましくは15〜25:75〜85である。更に、プレブレンド(I):プレブレンド(II)の重量比は、一般に25〜55:45〜75、好ましくは30〜50:50〜70、最も好ましくは35〜45:55〜65である。
【0059】
第3の方法では、(A)および(C1)を混ぜ合わせてプレブレンド(III)を調製する。成分(C1)は、低温殺菌していない水性タンパク質スラリーである。プレブレンド(III)を、更に(B)と混ぜ合わせた後、低温殺菌および均質化を行う。プレブレンド(III)を形成するための(A):(C1)の重量比は、一般に45〜70:30〜55、好ましくは50〜65:35〜50、最も好ましくは55〜60:40〜45である。更に、プレブレンド(III):(B)の重量比は、一般に70〜95:5〜30、好ましくは75〜90:10〜25、最も好ましくは80〜85:15〜20である。
【0060】
第1の方法によりプレブレンド(I)および成分(C)を一緒にブレンドする。第2の方法によりプレブレンド(I)およびプレブレンド(II)を一緒にブレンドする。第3の方法によりプレブレンド(III)および成分(C1)を一緒にブレンドする。ブレンドは、その方法に関係なく、3.0〜4.5、好ましくは3.5〜4.2、最も好ましくは3.8〜4.0のpHを有し、比較的高温で短時間の間、いずれかのブレンドを加熱することによって殺菌または低温殺菌工程を受ける。この低温殺菌工程は、ブレンド中の微生物を殺す。例えば、ブレンド中の微生物を殺すのに有効な処理は、約180°Fの温度で約10秒間、好ましくは少なくとも190°Fの温度で少なくとも30秒間、最も好ましくは195°Fの温度で60秒間、ブレンドを加熱することを含む。180°Fよりも低い温度も作用し得るが、少なくとも180°Fの温度は、安全係数を提供する。200°Fよりも高い温度も微生物を殺す効果がある。しかしながら、より高い温度に関連するコストが、有害な微生物をかなり少ししか含有しない製品につながるわけではない。更に、高すぎる温度で長すぎる時間低温殺菌すると、タンパク質の更なる変性を生じることがあり、更に変性したタンパク質の不溶性のためにより多くの沈降物を発生する。
【0061】
均質化は、ブレンド中のタンパク質の粒径を小さくする働きをする。いずれかのブレンドをGaulinホモジナイザー(モデル15MR)に移し、高圧段階および低圧段階2段階で均質化する。高圧段階は、1500〜5000ポンド/平方インチ、好ましくは2000〜3000ポンド/平方インチである。低圧段階は、300〜1000ポンド/平方インチ、好ましくは400〜700ポンド/平方インチである。
【0062】
いずれかの方法によるブレンドは、3.0〜4.5、好ましくは3.2〜4.0、最も好ましくは3.6〜3.8のpHを有する。ビンを高温充填し、2分間逆向きにし、次に氷水中に置いて、内容物の温度をほぼ室温にする。ビンを貯蔵し、粒径および粘度値を1ヶ月で決定する。沈降値(sediment value)は1、4および6ヶ月において決定する。
【0063】
実施例6〜9は、実施例2〜5の成分(C)と、図4において定義される第3の方法に示されるような成分(A)および(B)とを用いる安定化酸性飲料組成物の調製に関する。
【0064】
実施例6
8オンス分につき6.25gのタンパク質の強化ジュース飲料を、実施例2の水性タンパク質スラリーを用いて製造する。
【0065】
容器に、2695gの脱イオン水および55gのペクチン(YM−100L)を添加する。内容物を170°Fで5分間攪拌し、次に室温まで冷却する。ペクチンスラリーを、実施例2で調製した2360gの水性タンパク質スラリーに添加した後、1kgのスクロースを添加し、5分間混合する。210グラムのリンゴジュース濃縮物および27グラムのクエン酸を添加し、pHをリン酸で3.8〜4.0に調整する。内容物を195°Fで30秒間低温殺菌し、第1の段階では2500psi、そして第2の段階では500psiで均質化して、タンパク質安定化酸性飲料が与えられる。180〜185°Fにおいて、ビンに飲料を高温充填する。ビンを逆向きにして、2分間保持し、次に、氷水中に置いて、内容物の温度をほぼ室温にする。ビンの内容物がほぼ室温になったら、ビンを貯蔵し、沈降物について評価した。
【0066】
実施例7
実施例6の手順に従って、8オンス分につき6.25gのタンパク質の強化ジュース飲料を、実施例3の水性タンパク質スラリーを用いて製造した。
【0067】
実施例8
実施例6の手順に従って、8オンス分につき6.25gのタンパク質の強化ジュース飲料を、実施例4の水性タンパク質スラリーを用いて製造した。
【0068】
実施例9
実施例6の手順に従って、8オンス分につき6.25gのタンパク質の強化ジュース飲料を、実施例5の水性タンパク質スラリーを用いて製造した。
【0069】
基準方法の飲料実施例A、B、CおよびDと、本発明の方法の飲料実施例6、7、8および9とを、表Iの貯蔵沈降値において、タンパク質とタンパク質で互いに比較する。本発明の実施例6を基準実施例Aと比較し、本発明の実施例7を基準実施例Bと比較し、本発明の実施例8を基準実施例Cと比較し、そして本発明の実施例9を基準実施例Dと比較する。
【0070】

【0071】
上記実施例の貯蔵沈降データから、本発明の方法を包含する実施形態は、飲料の通常の調製方法よりも、タンパク質ベースの酸性飲料の調製において沈殿が少ないという点で改善を提供することが観察される。
【0072】
本発明はその好ましい実施形態に関して説明されたが、説明を読むことでその様々な変更が当業者に明らかになるであろうということは理解されるべきである。従って、本明細書中に開示される本発明が、特許請求の範囲内にあるこのような変更も包含することが意図されることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】典型的なタンパク質含有酸性飲料を製造するための産業全体にわたる方法のブロック流れ図である。該方法では、乾燥タンパク質はタンパク質スラリーとして水和され、乾燥安定剤は安定剤スラリーとして水和され、そして2つのスラリーは一緒にブレンドされ、残りの成分が添加された後、低温殺菌および均質化が行われる。
【図2】タンパク質含有酸性飲料を製造するための本発明の第1の方法のブロック流れ図である。該方法では、乾燥安定剤は安定剤スラリーとして水和され、安定剤スラリーに香味材料が添加されて、プレブレンド(I)スラリーが形成される。タンパク質スラリー(成分(C))として乾燥していない水性タンパク質が調製される。プレブレンド(I)スラリーおよび乾燥していない水性タンパク質スラリーが一緒にブレンドされた後、本発明の原理に従って、低温殺菌および均質化が行われる。
【図3】タンパク質含有酸性飲料を製造するための本発明の第2の方法のブロック流れ図である。該方法では、乾燥安定剤スラリーは安定剤スラリーとして水和され、安定剤スラリーに香味材料が添加されて、プレブレンド(I)スラリーが形成される。タンパク質スラリーとして乾燥していない水性タンパク質が調製され、乾燥安定剤スラリーの一部が添加されて、プレブレンド(II)スラリーが形成される。プレブレンド(I)スラリーおよびプレブレンド(II)スラリーが一緒にブレンドされた後、本発明の原理に従って、低温殺菌および均質化が行われる。
【図4】タンパク質含有酸性飲料を製造するための本発明の第3の方法のブロック流れ図である。該方法では、乾燥安定剤は、安定剤スラリー(A)として水和され、タンパク質スラリー(C1)として乾燥および低温殺菌していない水性タンパク質が安定剤スラリーに添加され、プレブレンド(III)スラリーが形成される。プレブレンド(III)スラリーおよび香味材料(B)が一緒にブレンドされた後、本発明の原理に従って、低温殺菌および均質化が行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水和タンパク質安定剤と、
(B)果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトンまたはリン酸を含む少なくとも1つの香味材料と、
(C)(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)前記水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)前記沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)前記懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成し、そして任意で、
(5)前記水性タンパク質材料のスラリーを低温殺菌すること
を含む方法によって調製される水性タンパク質材料のスラリーと、
を含み、3.0〜4.5のpHを有する酸性飲料組成物。
【請求項2】
前記タンパク質安定剤(A)が、親水コロイドを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記親水コロイドが、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、ジェランガム、タラガム、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、セルロースガムおよびペクチンを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記タンパク質安定剤(A)が、高メトキシルペクチンである請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記タンパク質安定剤(A)が、全組成物の0.5〜5重量%で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記タンパク質安定剤(A)のpHが、2.0〜5.5である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
(C)において、前記スラリーが、5〜20重量%の固形分を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(C)において、前記スラリーが、8〜18重量%の固形分を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
(C)において、前記スラリーが、10〜15重量%の固形分を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記タンパク質材料(C)が、大豆タンパク質材料、カゼイン、乳漿タンパク質、小麦グルテンまたはゼインを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記大豆タンパク質材料が、大豆粉、大豆濃縮物または大豆タンパク質単離物を含む請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記大豆タンパク質材料が、大豆タンパク質単離物を含む請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記タンパク質材料(C)が、加水分解タンパク質材料または非加水分解タンパク質材料を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記タンパク質材料(C)が、加水分解タンパク質材料を含む請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記酸性飲料組成物のpHが、3.2〜4.0である請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記酸性飲料組成物のpHが、3.6〜3.8である請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
(A)水和タンパク質安定剤と、
(B)果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトンまたはリン酸を含む少なくとも1つの香味材料と、
を混合してプレブレンド(I)を形成することと、
前記プレブレンド(I)と、
(C)(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)前記水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)前記沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)前記懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成し、そして
(5)前記水性タンパク質材料のスラリーを低温殺菌すること
を含む方法によって調製される水性タンパク質材料のスラリーと、
を混合してブレンドを形成することと、
前記ブレンドを低温殺菌および均質化することと、
を含む酸性飲料組成物の調製方法であって、前記酸性飲料組成物が3.0〜4.5のpHを有する方法。
【請求項18】
前記タンパク質安定剤(A)が、親水コロイドを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記親水コロイドが、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、ジェランガム、タラガム、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、セルロースガムおよびペクチンを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記タンパク質安定剤(A)が、高メトキシルペクチンである請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記プレブレンド(I)において、(A):(B)の重量比が、65〜73:27〜32である請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質安定剤(A)のpHが、2.0〜5.5である請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記プレブレンド(I):(C)の重量比が、55〜75:25〜45である請求項17に記載の方法。
【請求項24】
(C)において、前記スラリーが、5〜20重量%の固形分を有する請求項17に記載の方法。
【請求項25】
(C)において、前記スラリーが、8〜18重量%の固形分を有する請求項17に記載の方法。
【請求項26】
(C)において、前記スラリーが、10〜15重量%の固形分を有する請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記タンパク質材料(C)が、大豆タンパク質材料、カゼイン、乳漿タンパク質、小麦グルテンまたはゼインを含む請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記大豆タンパク質材料が、大豆粉、大豆濃縮物または大豆タンパク質単離物を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記大豆タンパク質材料が、大豆タンパク質単離物を含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(C)(5)において、低温殺菌が、少なくとも180°Fの温度で少なくとも10秒間実行される請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記タンパク質材料(C)が、加水分解タンパク質材料または非加水分解タンパク質材料を含む請求項17に記載の方法。
【請求項32】
前記タンパク質材料(C)が、加水分解タンパク質材料を含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記酸性飲料組成物のpHが、3.2〜4.0である請求項17に記載の方法。
【請求項34】
前記酸性飲料組成物のpHが、3.6〜3.8である請求項17に記載の方法。
【請求項35】
前記ブレンドにおいて、低温殺菌が、少なくとも180°Fの温度で少なくとも10秒間実行される請求項17に記載の方法。
【請求項36】
前記ブレンドにおいて、均質化が、高圧段階および低圧段階を含む2段階で実行される請求項17に記載の方法。
【請求項37】
前記高圧段階が、1500〜5000ポンド/平方インチである請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記低圧段階が、300〜1000ポンド/平方インチである請求項36に記載の方法。
【請求項39】
(A)水和タンパク質安定剤と、
(B)果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトンまたはリン酸を含む少なくとも1つの香味材料と、
を混合してプレブレンド(I)を形成することと、
(A)水和タンパク質安定剤と、
(C)(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)前記水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)前記沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)前記懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成し、そして
(5)前記水性タンパク質材料のスラリーを低温殺菌すること
を含む方法によって調製される水性タンパク質材料のスラリーと、
を混合してプレブレンド(II)を形成することと、
前記プレブレンド(I)および前記プレブレンド(II)を混合して、ブレンドを形成することと、
前記ブレンドを低温殺菌および均質化することと、
を含む酸性飲料組成物の調製方法であって、前記酸性飲料組成物が3.0〜4.5のpHを有する方法。
【請求項40】
前記タンパク質安定剤(A)が、親水コロイドを含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記親水コロイドが、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、ジェランガム、タラガム、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、セルロースガムおよびペクチンを含む請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記タンパク質安定剤(A)が、高メトキシルペクチンである請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記プレブレンド(I)において、(A):(B)の重量比が、65〜73:27〜32である請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記タンパク質安定剤(A)のpHが、2.0〜5.5である請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記プレブレンド(II)において、(A):(C)の重量比が、25〜35:65〜75である請求項39に記載の方法。
【請求項46】
(C)において、前記スラリーが、5〜20重量%の固形分を有する請求項39に記載の方法。
【請求項47】
(C)において、前記スラリーが、8〜18重量%の固形分を有する請求項39に記載の方法。
【請求項48】
(C)において、前記スラリーが、10〜15重量%の固形分を有する請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記タンパク質材料(C)が、大豆タンパク質材料、カゼイン、乳漿タンパク質、小麦グルテンまたはゼインを含む請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記大豆タンパク質材料が、大豆粉、大豆濃縮物または大豆タンパク質単離物を含む請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記大豆タンパク質材料が、大豆タンパク質単離物を含む請求項50に記載の方法。
【請求項52】
(C)(5)において、低温殺菌が、少なくとも180°Fの温度で少なくとも10秒間実行される請求項39に記載の方法。
【請求項53】
前記タンパク質材料(C)が、加水分解タンパク質材料または非加水分解タンパク質材料を含む請求項39に記載の方法。
【請求項54】
前記タンパク質材料(C)が、加水分解タンパク質材料を含む請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記プレブレンド(I):前記プレブレンド(II)の重量比が、25〜55:45〜75である請求項39に記載の方法。
【請求項56】
前記酸性飲料組成物のpHが、3.2〜4.0である請求項39に記載の方法。
【請求項57】
前記酸性飲料組成物のpHが、3.6〜3.8である請求項39に記載の方法。
【請求項58】
前記ブレンドにおいて、低温殺菌が、少なくとも180°Fの温度で少なくとも10秒間実行される請求項39に記載の方法。
【請求項59】
前記ブレンドにおいて、均質化が、高圧段階および低圧段階を含む2段階で実行される請求項39に記載の方法。
【請求項60】
前記高圧段階が、1500〜5000ポンド/平方インチである請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記低圧段階が、300〜1000ポンド/平方インチである請求項59に記載の方法。
【請求項62】
(A)水和タンパク質安定剤と、
(C1)(1)タンパク質含有材料から水性抽出物を調製し、
(2)前記水性抽出物のpHを約4〜約5の値に調整して、タンパク質材料を沈殿させ、
(3)前記沈殿タンパク質材料を分離して、沈殿タンパク質材料の水中懸濁液を形成し、
(4)前記懸濁液のpHを約4.0〜約6.0の値に調整して、水性タンパク質材料のスラリーを形成すること
を含む方法によって調製される水性タンパク質材料のスラリーと、
を混合してプレブレンド(III)を形成することと、
前記プレブレンド(III)と、
(B)果実ジュース、野菜ジュース、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコノデルタラクトンまたはリン酸を含む少なくとも1つの香味材料と、
を混合してブレンドを形成することと、
前記ブレンドを低温殺菌および均質化することと、
を含む酸性飲料組成物の調製方法であって、前記酸性飲料組成物が3.0〜4.5のpHを有する方法。
【請求項63】
前記タンパク質安定剤(A)が、親水コロイドを含む請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記親水コロイドが、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、ジェランガム、タラガム、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、セルロースガムおよびペクチンを含む請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記タンパク質安定剤(A)が、高メトキシルペクチンである請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記プレブレンド(III)において、(A):(C1)の重量比が、45〜70:30〜55である請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記タンパク質安定剤(A)のpHが、2.0〜5.5である請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記プレブレンド(III):(B)の重量比が、70〜95:5〜30である請求項62に記載の方法。
【請求項69】
(C)において、前記スラリーが、5〜20重量%の固形分を有する請求項62に記載の方法。
【請求項70】
(C)において、前記スラリーが、8〜18重量%の固形分を有する請求項62に記載の方法。
【請求項71】
(C)において、前記スラリーが、10〜15重量%の固形分を有する請求項62に記載の方法。
【請求項72】
前記タンパク質材料(C)が、大豆タンパク質材料、カゼイン、乳漿タンパク質、小麦グルテンまたはゼインを含む請求項62に記載の方法。
【請求項73】
前記大豆タンパク質材料が、大豆粉、大豆濃縮物または大豆タンパク質単離物を含む請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記大豆タンパク質材料が、大豆タンパク質単離物を含む請求項73に記載の方法。
【請求項75】
(C)(5)において、低温殺菌が、少なくとも180°Fの温度で少なくとも10秒間実行される請求項62に記載の方法。
【請求項76】
前記タンパク質材料(C)が、加水分解タンパク質材料または非加水分解タンパク質材料を含む請求項62に記載の方法。
【請求項77】
前記タンパク質材料(C)が、加水分解タンパク質材料を含む請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記酸性飲料組成物のpHが、3.2〜4.0である請求項62に記載の方法。
【請求項79】
前記酸性飲料組成物のpHが、3.6〜3.8である請求項62に記載の方法。
【請求項80】
前記ブレンドにおいて、低温殺菌が、少なくとも180°Fの温度で少なくとも10秒間実行される請求項62に記載の方法。
【請求項81】
前記ブレンドにおいて、均質化が、高圧段階および低圧段階を含む2段階で実行される請求項62に記載の方法。
【請求項82】
前記高圧段階が、1500〜5000ポンド/平方インチである請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記低圧段階が、300〜1000ポンド/平方インチである請求項81に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−502320(P2008−502320A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508569(P2007−508569)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/012860
【国際公開番号】WO2005/102075
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(504140299)ソレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (42)
【Fターム(参考)】