説明

酸素を発生する方法及び装置

【課題】
【解決手段】
酸素を発生するための方法及び装置を提供する。水溶性薬剤を水に混合し、結果物は、医学的に純粋な酸素である。前記水溶性薬剤は、長期の保存寿命を有し、無毒であり、環境危険物ではなく、火災危険物ではなく、爆発危険物ではない。一度前記反応が完了すると、悪影響を及ぼさずに、従来の廃液廃棄処理システムで、前記残留廃液を処理することが出来る。これらの全特性が、安全で、コンパクトな、容易に使用できる酸素発生システムに貢献する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明の分野
本発明は、一般的には酸素発生に関し、より具体的には、固体及び液体からの強力な酸素発生に関する。
【0002】
関連発明の説明
高純度酸素ガスは様々な用途で使用されている。より具体的には、医用機器は、患者の治療に高純度酸素ガスを使用する。しかし、酸素の生成又は発生、輸送、送出、使用及び貯蔵は、煩わしく危険である。
【0003】
今日、典型的な装置では、酸素を貯蔵及び生成するのに様々な手段を使用している。中でも、最も一般的な装置は、圧縮ガスタンクである。圧縮ガスタンクは、重いけれども、調整弁を必要とし、極めて危険がある。酸素は、爆発性のある極めて反応性が高い元素である。従って、純酸素ガスの圧縮タンクは、非常に現実的な火災及び爆発の危険を有する。
【0004】
化学反応を用いる様々な他の酸素発生装置がある。例えば、酸素発生キャニスタは、航空機が内部を減圧する場合に、客に酸素を供給するために旅客機で使用される。これらのキャニスタは、非常に不安定な装置であるけれども、特に以前はキャニスタが各保存寿命を長くしたと考えられている。加えて、これらのキャニスタは典型的に化学反応を開始するためにスパークを必要とする。
【0005】
更に、圧縮ガス及び化学的発生器双方について、各タイプは、金属容器及び安全な機器を典型的に要求する。これらの金属容器は、腐食の影響を非常に受けやすく、容器が使い物にならなくなることがある。また、これらの金属は、継続的なメンテナンスを必要とする場合があり、可動部分を有する。また、金属容器の使用は、極めて重くなる。結果として、使用の用途の範囲を限定される場合がある、或いは、広い範囲の用途に適さない場合がある。
【0006】
従って、生成又は発生、輸送、使用、送出又は貯蔵のための、従来の方法及び装置に付随した前記問題の少なくともいくつかに対処する、より強力且つ危険がない酸素を発生するための方法及び装置が要求されている。
【0007】
本発明の要約
本発明は、酸素発生装置を提供する。この装置は容器を具える。また、この装置は、前記容器に含有された酸素発生用水溶液を具え、この廃液は、少なくとも無害であり、前記廃液は、少なくとも環境危険物ではない。
【0008】
本発明及び本発明の利点のより完全な理解のために、添付図面と共に次の説明を参照されたい。
【0009】
発明の詳細な説明
次の説明において、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を説明する。しかし、このような具体的な詳細無しに、本発明を実施出来ることは、当業者は認識するであろう。他の例では、不必要な詳細で本発明を不明瞭なものにしないために概略図又はブロック図で公知の要素を例示した。加えて、大抵の場合は、機械的接続、簡単な無機化学等に関する詳細は、この詳細が本発明の完全な理解を得るために必要とは考えられず、関連技術において当業者の理解で考えられる限り除外されている。
【0010】
図1を参照すると、符号100は、酸素発生器を全体的に示す。この酸素発生器は、容器102、吸湿器104、出力ライン106、及び使用装置108を具える。
【0011】
容器102は、酸素を生成する化学反応が行われる区画室を有する。この容器102を様々な材料から構成することが出来る。例えば、この容器をポリプロピレンから構成することが出来る。しかし、酸素発生器100は、容器102が化学反応中に容器102内部に発生された熱に耐えることが出来る、又はこの熱に耐える伝導性を有する材料で構成されていればよい。典型的には、容器の壁は、様々な厚さであってよい。しかし、酸素発生器100は、容器102の壁が水溶液及びガス圧に起因する内部圧力に耐えることが出来る厚さを有していればよい。
【0012】
容器102内で発生する酸素は、化学反応の結果物である。この化学反応は、水性環境で行われるので、反応制限物質が完全に消耗されると、残留廃液を従来の廃液処分システムに廃棄することが出来る。また、この廃液は、環境保護庁(EPA)のリスクスクリーニング環境表示モデル等の材料特性の測定用に一般的に受け入れられる方式によって規定されるような環境危険物ではない。この廃液は、例えば、水に溶解したソーダ灰である。
【0013】
所望の酸素発生及び環境適格性を達成するために、いくつかの化学物質を使用することが出来る。前記反応制限物質は、無毒であり、環境危険物ではなく、爆発物ではなく、火災危険物ではなく、長期の保存寿命を有する水溶性粉末又は液体であるべきである。無毒であり、火災危険物ではなく、又は爆発物ではないとは、危険有害性情報システム(HMIS)等の環境特性を評価するために一般的に受け入れられる方式によって、それぞれ無毒であり、火災危険物であり、爆発物であるとみなされない化合物として定義することが出来る。また、長期の保存寿命とは、華氏(F)86°の標準温度以下で貯蔵したとき、不定期間貯蔵出来る材料として定義することが出来る。例えば、過炭酸ナトリウム(2NaCO・3H)粉末は、水に溶解することが出来る条件に合った材料である。酸素発生反応において過炭酸ナトリウム(2NaCO・3H)を使用して得られた廃液は、ソーダ灰の溶液である。また、過ホウ酸化ナトリウム(NaBHO)等の反応制限物質として使用できる、種々の他の化学物質もある。
【0014】
しかし、これらの粉末又は液体は、また、触媒の使用を必要とすることがある。この触媒も、水溶性で、無毒で、環境危険物でなく、爆発物ではなく、火災危険物ではなく、長期の保存寿命を有するものでなければならない。典型的に、金属をベースとする触媒は、反応中発生した熱を吸収する水和塩と組み合わせて、化学反応を開始するのに使用することが出来る。例えば、マンガン化合物とナトリウムをベースとした化合物又は類似の水和塩との組み合わせを使用することが出来る。また、鉄又は酸化鉄及び銅又は酸化銅を含有する化合物等の種々の触媒を使用することが出来る。
【0015】
直感的には、発生器からの流量は変化してよい。反応制限物質の量及び触媒の量に依存して、前記流量は変化する。酸素の発生は、反応制限物質及び触媒の量に依存して、継続的に、又は決められた時間行うことが出来る。
【0016】
反応制限物質及び、場合によっては、触媒を反応器102に収容した水に加えると、吸湿器104によって、容器102で発生した酸素が吸湿及び/又は冷却される。典型的には、吸湿器104は、酸素ガスの容積に、加湿又は水蒸気を加える。また、吸湿器の様々な構成によって、酸素の流れに加えることの出来る湿度の量は変得ることが出来る。例えば、吸湿器104は、個人使用に使用することが出来、この場合、酸素ガスの相対湿度が65%である。この吸湿器は、容器102から出てくる酸素の温度を変えることが出来る様々な構成を有することが出来る。
【0017】
吸湿器104には、搬送チューブ106が取り付けられている。この搬送チューブは、使用装置108につながっている。このチューブは、種々の構成であってよい。例えば、搬送チューブは、標準的な医用チューブであってもよい。また、ルーム又は区画室に酸素を提供するために、搬送チューブを省くことも出来る。また、使用装置も、種々の構成であってよい。例えば、使用装置は、標準的な医用呼吸マスクであってよい。
【0018】
図2を説明すると、符号200は、第1の酸素発生方法を全体的に示すフローチャートである。
【0019】
ステップ202、204、206、及び208は、図1の前記酸素発生器を用いた第1の酸素発生方法を提供する。ステップ202で、図1の容器102に、水が加えられる。ステップ204で、反応制限物質粉末を前記水に加えて溶解させる。ステップ206で、もしあれば、触媒を反応制限物質を含有する前記水溶液に触媒と加える。ステップ208で、図1の容器102を密閉する。この後、図1の酸素発生器から発生した酸素を、種々の目的に使用することが出来る。
【0020】
図3を参照すると、符号300は、第2の酸素発生方法を全体的に示すフローチャートである。
【0021】
ステップ302、304、及び306は、図1の前記酸素発生器を使用した第2の酸素発生方法を提供する。ステップ302で、図1の容器102に、水を加える。ステップ304で、反応制限物質粉末及び、もしあれば、触媒を水に同時に加える。ステップ306で、図1の容器102を密閉する。この後、図1の酸素発生器から発生した酸素を、種々の目的に使用することが出来る。
【0022】
図4を参照すると、符号400は、第3の酸素発生方法を全体的に示すフローチャートである。
【0023】
ステップ402、404、及び406は、図1の酸素発生器を使用した第3の酸素発生方法を提供する。ステップ402で、図1の容器102に水に溶解させた液体反応制限物質が加えられる。ステップ404で、もしあるならば、触媒を前記反応制限物質に加える。ステップ406で、図1の容器102を密閉する。この後、図1の酸素発生器から発生した酸素を、種々の目的に使用することが出来る。
【0024】
上記の説明から、本発明の好ましい実施例において、本発明の真の精神から逸脱することなく、種々の修正及び変更を行うことが出来ることが理解される。この説明は、例示の目的のみが意図され、限定する意味で解釈されるべきではない。この発明の範囲は、次の特許請求の範囲の言葉によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、酸素発生器を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の酸素発生方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、第2の酸素発生方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、第3の酸素発生方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素発生用装置において、
容器(102);及び
前記容器(102)に収容された酸素発生用水溶液を具え、得られる廃液が少なくとも無害であり、前記得られる廃液が少なくとも環境危険物ではないことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記酸素発生用水溶液が、水に溶解した過炭酸ナトリウム(2NaCO・3H)及び過ホウ酸塩(NaBHO)から成る群より選択された反応物質を具えることを更に特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、前記酸素発生用水溶液が、水溶性触媒によって更に特徴付けられており、前記水溶性触媒が少なくとも無害であり、少なくとも環境危険物ではなく、少なくとも爆発危険物ではなく、少なくとも火災危険物ではなく、少なくとも長期の保存寿命を有することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、前記酸素発生用水溶液が、二酸化マンガン(MnO)及び炭酸ナトリウム(NaCO)である触媒を具えることを更に特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3記載の装置において、前記水溶性触媒が、二酸化マンガン(MnO)と炭酸ナトリウム(NaCO)との混合物を具えることを更に特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、前記酸素発生用水溶液が、金属酸化物触媒を具えることを更に特徴とする装置。
【請求項7】
請求項3記載の装置において、前記水溶性触媒が、金属酸化物を具えることを更に特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、前記装置が、前記容器(102)に連結されるように少なくとも構成された加湿機(104)を更に具えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、前記装置が、少なくとも前記加湿機(104)に取り付けられるように構成された搬送チューブ(106)を更に具えることを特徴とする装置。
【請求項10】
酸素発生器を操作する方法において、
水で容器を満たすステップ(202、302、402)と;
酸素発生用反応体として少なくとも使用される水溶性粉末又は液体を溶解するステップであって、前記水溶性粉末が少なくとも無毒であり、少なくとも環境危険物ではなく、少なくとも爆発危険物ではなく、少なくとも火災危険物ではなく、少なくとも長期の保存寿命を有するステップ(204、304、402)と;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記方法が、
前記水溶性粉末を溶解後、水溶性触媒を溶解するステップであって、前記水溶性粉末が少なくとも無毒であり、少なくとも環境危険物ではなく、少なくとも爆発危険物ではなく、少なくとも火災危険物ではなく、少なくとも長期の保存寿命を有するステップ(206、304、404);
を更に具えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法において、前記方法が、
前記水溶性粉末と同時に水溶性触媒を溶解するステップであって、前記水溶性粉末が少なくとも無毒であり、少なくとも環境危険物ではなく、少なくとも爆発危険物ではなく、少なくとも火災危険物ではなく、少なくとも長期の保存寿命を有する(206、304、404)ステップ;
を更に具えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−513042(P2007−513042A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541110(P2006−541110)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/010122
【国際公開番号】WO2005/056471
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506168440)オキシシュア システムズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】