酸素インジケーターおよび酸素インジケーターを含有する包装材料
【課題】本発明は、酸素吸収剤による脱酸素状態を判定するための酸素インジケーターにおいて、印刷適性の向上、インキの長寿命化、及び発色不良を防止できるようにした酸素インジケーターおよび酸素インジケーターを含有する包装材料を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも酸化還元色素を含むインキ組成物と、少なくとも還元剤を含むインキ組成物とを、支持体上に重ねて塗布または印刷してなることを特徴とする酸素インジケーターである。また前記支持体が包装体を形成する外装体とは別個のものとしたこと、又は包装体を形成する外装体としたことを特徴とする酸素インジケーターを含有する包装材料である。
【解決手段】少なくとも酸化還元色素を含むインキ組成物と、少なくとも還元剤を含むインキ組成物とを、支持体上に重ねて塗布または印刷してなることを特徴とする酸素インジケーターである。また前記支持体が包装体を形成する外装体とは別個のものとしたこと、又は包装体を形成する外装体としたことを特徴とする酸素インジケーターを含有する包装材料である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、酸素吸収剤による脱酸素状態を判定するための酸素インジケーターにおいて、印刷適性の向上、インキの長寿命化、及び発色不良を防止できるようにした酸素インジケーターおよび酸素インジケーターを含有する包装材料に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
酸素はその反応性の高さから食品や医薬品を酸化し、製品の有効成分を変性、劣化させることが知られている。このため、多くの食品、医薬品は酸素吸収剤を包装体内に共存させる、あるいは内容物充填時に不活性ガスを置換することにより包装体内の酸素濃度を低減させて酸化を防止している。さらに酸素吸収剤の能力や包装体のピンホール、シール不良などによる酸素の進入がなく、内容物が脱酸素状態に保管されていることが目視で確認できるように、酸素インジケーターが包装体内に同時に投入されている。
【０００３】
現在、酸化還元色素、還元剤、バインダー樹脂等の組み合わせを変えた何種類かの酸素インジケーターが上市されている。多くの酸素インジケーターは酸化還元色素が還元型と酸化型とで異なる色調を呈する性質を利用したものである。特にメチレンブルーを用いたものが多く、このメチレンブルーを用いた酸素インジケーターは、脱酸素下では還元剤の働きによって還元型、すなわち無色を呈し、大気下では酸素により酸化され、青色を呈する。（例えば、特許文献１参照。） 酸素インジケーターの形状は錠剤以外に液状、インキタイプ、シート状、ペーパータイプなどが開発されており、さらには酸素吸収剤と一体化したものや包装材料と一体化したものなども開発され、投入時の省力化、検知の判別の容易化がはかられている。
【０００４】
一般に使用される還元剤は、安全衛生性などの観点からグルコースなどの還元糖類にアルカリ性物質を共存させたもの、あるいはアスコルビン酸などがほとんどである。しかしながら、インジケーター機能を付与した包装体において、これを高温滅菌処理する場合、通常使用される上記還元剤は耐熱性に乏しく、熱により分解するという欠点を有している。ゆえに、その機能を失活する恐れがあり、還元剤の変更が必要であった。これに好適な還元剤としては沸点が比較的高いアルコールアミン類や多価アルコール類などが挙げられる。これらを酸化還元色素と混合して高温滅菌処理すれば、色調を酸化色から還元色へ変化させることが可能となる。
【０００５】
酸素インジケーター用インキ組成物を基材へ塗布する場合、高粘性で沸点が比較的高いアルコールアミン類や多価アルコール類といった還元剤は、その添加量が多いと基材へのインキ密着を著しく低下させる性質を有している。よって、印刷あるいは次工程における巻きだしやガイドロールとの接触時に、インキ取られなどの不具合が発生する可能性が高い。
【０００６】
さらに、酸素インジケーター用インキ組成物中に酸化還元色素と還元剤が一成分として混合し、その状態が長期にわたる場合には、保存環境にも依存するが還元能力の一部を失活する、あるいは酸化還元色素の発色不良などが引き起こされる。
【０００７】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献１】特開昭６１−１４４５６８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、酸素吸収剤による脱酸素状態を判定するための酸素インジケーターにおいて、印刷適性の向上、インキの長寿命化、及び発色不良を防止できるようにした酸素インジケーターおよび酸素インジケーターを含有する包装材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項１に係る発明は、少なくとも酸化還元色素を含むインキ組成物と、少なくとも還元剤を含むインキ組成物とを、支持体上に重ねて塗布または印刷してなることを特徴とする酸素インジケーターである。
【００１０】
本発明の請求項２に係る発明は、前記支持体が包装体を形成する外装体とは別個のものとしたことを特徴とする請求項１記載の酸素インジケーターを含有する包装材料である。
【００１１】
本発明の請求項３に係る発明は、前記支持体が包装体を形成する外装体としたことを特徴とする請求項１記載の酸素インジケーターを含有する包装材料である。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１の発明によれば、本発明の酸素インジケーターは、少なくとも酸化還元色素を含むインキ組成物と、少なくとも還元剤を含むインキ組成物とを、支持体上に重ねて塗布または印刷してなることにより、高温滅菌処理直前までそれぞれを可能な限り独立した状態を維持できるので、熱処理前の長期保存による酸素インジケーター機能の失活を抑制することが可能となり、長期保存時の発色不良を防止できるようになる。また、印刷順を限定することで酸素インジケーター用インキ組成物の基材への密着不良を改善することができる。即ち密着不良の原因となる還元剤（アルコールアミン類や多価アルコール類など）を印刷の２回目以降に塗布すれば、加工上必要とされる密着強度を充分に得ることが可能となる。
【００１３】
請求項２の発明によれば、支持体が包装体を形成する外装体とは別個のものとし、内容物を包装すると同時に前記酸素インジケーターを外装体内に封入することにより、該酸素インジケーターの大きさを自由に変えることができ、また酸素吸収剤の包装材料としても使え、包装容器内のスペースを節約することができる。
【００１４】
請求項３の発明によれば、支持体が包装体を形成する外装体としたことにより、酸素インジケーター付き外装体ができるので、生産工程が合理化され、また材料のトータル的な節約をすることができるので低コスト化が図れる。さらに酸素インジケーターを外装体内に封入する工程がなくなり省力化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
本発明は酸素吸収剤による脱酸素状態を判定するための酸素インジケーターにおいて、印刷適性の向上およびインキの長寿命化のために酸素インジケーター用インキ組成物中の有効成分を分離し、印刷順を限定することにより改善を図ったものである。さらに具体的には、基材への密着不良原因となる還元剤を印刷の２回目以降に塗布するインキ中に添加することで印刷適性を向上させ、さらに酸化還元色素と還元剤を高温滅菌処理直前まで可能な限り分離した状態に維持することで、インキの長寿命化および発色不良を防止できるようにしたものである。以下に本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。
【００１６】
本発明の酸素インジケーターを構成するインキ組成物は、基材への印刷１回目に塗布されるインキ中に少なくとも酸化還元色素を含み、基材への印刷２回目に塗布されるインキ
中には、少なくとも室温では安定な還元剤を含む。その他のインキ成分としては、バインダー樹脂や溶媒からなる。たとえば、多色刷りの印刷機を用いてインキを塗布する際、本発明の酸素インジケーターを構成するインキ組成物は、連続した印刷ユニットを２回以上、すなわち複数回塗布した場合にも同様の効果を得ることができる。しかしながら、実用的には連続した印刷ユニットを２つ使用して、酸化還元色素と還元剤を含むインキをそれぞれ塗布するほうが好ましい。上記インキ組成物中には、さらに還元反応を促進する目的により、金属酸化物や遷移金属錯体などの金属触媒を添加してもよい。金属触媒には還元反応を促進する以外に、ブロッキング防止の効果を期待することもできる。
【００１７】
本発明に使用される酸化還元色素は、酸化状態と還元状態で異なる色を呈する色素であれば、特に制限はなく、いずれの公知な色素も使用することができる。具体的にはメチレンブルーの他、ニューメチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、インジゴスルフォン酸カリウム塩、サフラニンＴ、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、ジフェニルアミンスルホン酸、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、ニトロフェロイン、Ｎ−フェニルアントラニル酸などが使用できる。
【００１８】
本発明に使用される還元剤は、熱処理を施した場合に還元作用を発現するものであれば、いずれも使用可能であるが、金属ヒドリドなどの強力な還元剤は色素を変質させるため、好ましくない。また室温で還元作用を示すアルカリ性物質を共存させた還元糖類や、アスコルビン酸は大気中の酸素と反応し、酸素インジケーターの能力低下を引き起こす場合があるので、酸化還元色素と還元剤の組み合わせを選択することは非常に重要である。このような観点から室温では色素を還元せず、安定に存在し、大気中の酸素とは反応しない温和な還元剤を使用することが好ましい。
【００１９】
係る温和な還元剤として好ましいのは、具体的にはｎ−ジブチルアミン、ｎ−トリブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジアミルアミン、トリアミルアミン、ｎ−ヘプチルアミン、２−エチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン類や３−アミノ−１、２−プロパンジオール、３−アミノ−１−プロパノール、３−アミノ−２−プロパノール、アミノフェノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、２−ジメチルエタノールアミン、Ｎ−メチルジエタノールアミンなどのアルコールアミン類、マルトース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、ラクトースなどの還元糖類(アルカリ性物質を共存させない)、あるいは高級アルコールやエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリビニルアルコールなどの多価アルコール類など一般に高温で酸化されやすい物質である。特に安全衛生性や熱安定性を考慮すると、沸点の高いＮ−メチルジエタノールアミンやグリセロールを使用することが好ましく、その使用量は上記色素１重量部に対して、１〜１００重量部であることが好ましい。
【００２０】
バインダー樹脂は、酸化還元色素、還元剤、金属触媒、溶媒を支持体上に固着するために用いられる。インキ化する際に適当なバインダー樹脂としては、具体的にはエチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体やブチラール樹脂、アセタール樹脂、親水基を導入したポリエステル樹脂、その他にアクリル樹脂、ウレタン−ウレア樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。特に酸化還元色素の溶解性とボイル・レトルトなどの高温滅菌処理を考慮し、耐熱性を有する水性樹脂を使用することが好ましい。
【００２１】
上記バインダー樹脂は、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルに代表される有機系溶剤、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールに代表される水系溶剤に溶解あるいは分散させて使用される。これら溶剤は単独でも、また複数の溶剤
を混合してもよい。
【００２２】
金属触媒として、熱的に安定な金属酸化物やそれを担持したゼオライトなどの無機化合物、あるいは遷移金属錯体をインキ組成物中へ添加することで、還元反応を促進することができる。具体的には、表面処理を施していない酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄や、これらを担持させたゼオライトなどの不均一系触媒を使用してもよい。さらにはウィルキンソン錯体に代表される均一系触媒として、ロジウム、ルテニウム、コバルト、クロム、モリブデン、タングステン、パラジウム、白金などのホスフィン錯体、アミン錯体、カルボニル錯体など、さらにはセリウム、マンガン、コバルト、ニッケルなどのナフテン酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、オクテン酸塩などの脂肪酸塩錯体を使用することができる。
【００２３】
上記金属触媒はどちらのインキ組成物中に添加してもよいが、還元剤を含むインキ側に添加する場合、経時による還元剤の能力失活が懸念される。このような場合は冷暗所に保存するなどの注意が必要である。さらにその添加量は、酸化還元色素１重量部に対して２０重量部以下であることが好ましい。金属触媒の濃度がこれより大きいと、その分散が困難であるばかりか、支持体との密着強度が低下するという現象が生じるため、好ましくない。
【００２４】
本発明の酸素インジケーター用インキ組成物には、巻き取りや次工程でのブロッキングを防止してインキ取られを防ぐために、一般に使用されるブロッキング防止剤を金属触媒とは別に添加することも可能である。また、必要に応じて分散剤や消泡剤、さらには酸化還元色素以外に別途、着色剤などを添加してもよい。さらには支持体との密着強度改善や色素の退色防止を目的に、インキ組成物の上下にアンカーコート層やオーバーコート層を設けることで課題解決の効果をより高めることができる。使用できるコーティング剤としては、酸素を透過し、かつ支持体との密着性が良いもの、また紫外線吸収材料を含有するものなどで酸素インジケーターの発色を妨げないものであれば特に制限はなく、いずれも使用することができる。
【００２５】
以上、上記インキ組成物を支持体に塗布して酸素インジケーターを作成する。塗布にあたっては印刷、コーティング法などが用いられる。印刷方法は、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などが利用でき、またコーティング法としては、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ベタコーティングなどが用いられる。
【００２６】
支持体はインキ組成物と反応せず、しかも試薬の呈色性を阻害しないものである事が好ましい。具体的には、紙、合成紙、不織布、または合成樹脂フィルムなどが用いられる。支持体は、食品、医薬品等の内容物を包装するガスバリア性包材からなる外装体とは別個のものとし、内容物を包装すると同時に前記支持体にインキ組成物を塗布したインジケーターを外装体内に封入する。
【００２７】
また、前記内容物を包装する外装体そのもの、あるいはその一部を支持体とし、外装体の内面にインキ組成物を塗布し、外装体をインジケーターとして使用しても良い。酸素インジケーター用インキ組成物の外側には、酸素の進入を防ぐ目的から酸素バリア層を設ける必要がある。これらの材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアミド６やポリアミド６−ポリアミド６６共重合体、ＭＸＤ６などの芳香族ポリアミドに代表されるポリアミド樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂から選択される熱可塑性樹脂層、アルミ箔などの金属箔層、アルミ、シリカ、アルミナなどのＰＶＤ蒸着法あるいはヘキサメチレンジシロキサンなどのオルガノ
シランやアセチレンガス、その他の炭素ガス源を用いたＣＶＤ蒸着法により得られた蒸着熱可塑性樹脂層が挙げられる。
【実施例】
【００２８】
以下に本発明の実施例について、具体的に説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
【００２９】
＜実施例１＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．９６重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２７．４５重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４７．０６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２３．５３重量部
（インキ組成物２）
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．７１重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２５．００重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４２．８６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２１．４３重量部。
【００３０】
＜実施例２＞
（インキ組成物１）
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．７１重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２５．００重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４２．８６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２１．４３重量部
（インキ組成物２）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．９６重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２７．４５重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４７．０６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２３．５３重量部。
【００３１】
＜実施例３＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．８５重量部
酸化チタン・・・・・・・・・・・・・・・・５．５６重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２５．９３重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４４．４４重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２２．２２重量部
（インキ組成物２）
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．７１重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２５．００重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４２．８６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２１．４３重量部。
【００３２】
＜実施例４＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．９６重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２７．４５重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４７．０６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２３．５３重量部
（インキ組成物２）
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．１７重量部
酸化チタン・・・・・・・・・・・・・・・・５．０８重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２３．７３重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４０．６８重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２０．３４重量部。
【００３３】
＜実施例５＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．７５重量部
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．５３重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２４．５６重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４２．１１重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２１．０５重量部。
【００３４】
＜実施例６＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．６７重量部
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．００重量部
酸化チタン・・・・・・・・・・・・・・・・５．００重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２３．３３重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４０．００重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２０．００重量部。
【００３５】
（形態）
上記インキ組成物をペイントコンディショナーなどで微細分散させることにより、実施例１〜６のインキ組成物１および実施例１〜４のインキ組成物２を得た。インキ組成物１→インキ組成物２の順番でインキ組成物を厚さ１２μｍのポリエステルフィルム（ＰＥＴ）のコロナ処理面上に２００線、３０μｍのグラビア版で２度刷りし、室温で１２時間乾燥させた(ただし、実施例５および実施例６はインキ組成物１を２度刷り。)。
【００３６】
＜実験１＞
実施例１〜６で得た評価用の印刷物（酸素インジケーター）に対して、ブロッキングテスト・セロテープ（登録商標）剥離試験を行い、基材へのインキ密着について評価した。結果を表１に示す。
【００３７】
上記印刷物（酸素インジケーター）にウレタン系２液硬化型接着剤を使用し、ドライラミネート法によりＰＥＴ上下にそれぞれアルミナ蒸着フィルムとシーラントフィルムを積層させて、本発明の酸素インジケーターを含有する包装材料を得た。この包装材料を製袋して酸素吸収剤を入れた後、窒素置換して密封した。
【００３８】
＜実験２＞
レトルト処理を行い、実施例１〜６の酸素インジケーターの色調を観察した。結果を表１および表２に示す。
【００３９】
＜実験３＞
長期保存試験を行い、実施例１〜６の酸素インジケーターの還元能力が失活していないかの確認を行った。結果を表１および表３に示す。
【００４０】
【表１】
表１は、酸素インジケーターの総合評価の結果を記す。
【００４１】
【表２】
表２は、酸素インジケーターの色調を観察した結果を記す。
【００４２】
【表３】
表３は、酸素インジケーターの色調を観察した結果を記す。
【００４３】
＜評価＞
実験１の表１より、インキ組成物中に酸化チタン（ＴｉＯ2）を含まない実施例1、２および実施例５は、表面タックによるブロッキングが確認された。これにより、酸化チタンがインキ表面を荒らすことでブロッキングの防止効果を有することがわかった。また、還元剤（Ｎ−メチルジエタノールアミン）を含んだインキ組成物が印刷1回目にＰＥＴ基材へ塗布された実施例２、５および実施例６はセロテープ（登録商標）剥離試験を行うとインキ取られが発生した。
【００４４】
実験２の表１および表２より、印刷直後にラミネート、脱酸素包装、レトルト処理（１２１℃−３０ｍｉｎ）を行った場合、すべての実施例で酸化色から還元色への色調変化を確認でき、レトルト能力は満足していることが確認された。
【００４５】
実験３の表１および表３より、酸化還元色素と還元剤が１成分として混合している１液タイプの実施例５および実施例６は、長期保存によるインジケーターの変色が確認された。これは、一部２５℃において還元剤が作用した結果であると考察した。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、酸素吸収剤による脱酸素状態を判定するための酸素インジケーターにおいて、印刷適性の向上、インキの長寿命化、及び発色不良を防止できるようにした酸素インジケーターおよび酸素インジケーターを含有する包装材料に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
酸素はその反応性の高さから食品や医薬品を酸化し、製品の有効成分を変性、劣化させることが知られている。このため、多くの食品、医薬品は酸素吸収剤を包装体内に共存させる、あるいは内容物充填時に不活性ガスを置換することにより包装体内の酸素濃度を低減させて酸化を防止している。さらに酸素吸収剤の能力や包装体のピンホール、シール不良などによる酸素の進入がなく、内容物が脱酸素状態に保管されていることが目視で確認できるように、酸素インジケーターが包装体内に同時に投入されている。
【０００３】
現在、酸化還元色素、還元剤、バインダー樹脂等の組み合わせを変えた何種類かの酸素インジケーターが上市されている。多くの酸素インジケーターは酸化還元色素が還元型と酸化型とで異なる色調を呈する性質を利用したものである。特にメチレンブルーを用いたものが多く、このメチレンブルーを用いた酸素インジケーターは、脱酸素下では還元剤の働きによって還元型、すなわち無色を呈し、大気下では酸素により酸化され、青色を呈する。（例えば、特許文献１参照。） 酸素インジケーターの形状は錠剤以外に液状、インキタイプ、シート状、ペーパータイプなどが開発されており、さらには酸素吸収剤と一体化したものや包装材料と一体化したものなども開発され、投入時の省力化、検知の判別の容易化がはかられている。
【０００４】
一般に使用される還元剤は、安全衛生性などの観点からグルコースなどの還元糖類にアルカリ性物質を共存させたもの、あるいはアスコルビン酸などがほとんどである。しかしながら、インジケーター機能を付与した包装体において、これを高温滅菌処理する場合、通常使用される上記還元剤は耐熱性に乏しく、熱により分解するという欠点を有している。ゆえに、その機能を失活する恐れがあり、還元剤の変更が必要であった。これに好適な還元剤としては沸点が比較的高いアルコールアミン類や多価アルコール類などが挙げられる。これらを酸化還元色素と混合して高温滅菌処理すれば、色調を酸化色から還元色へ変化させることが可能となる。
【０００５】
酸素インジケーター用インキ組成物を基材へ塗布する場合、高粘性で沸点が比較的高いアルコールアミン類や多価アルコール類といった還元剤は、その添加量が多いと基材へのインキ密着を著しく低下させる性質を有している。よって、印刷あるいは次工程における巻きだしやガイドロールとの接触時に、インキ取られなどの不具合が発生する可能性が高い。
【０００６】
さらに、酸素インジケーター用インキ組成物中に酸化還元色素と還元剤が一成分として混合し、その状態が長期にわたる場合には、保存環境にも依存するが還元能力の一部を失活する、あるいは酸化還元色素の発色不良などが引き起こされる。
【０００７】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献１】特開昭６１−１４４５６８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、酸素吸収剤による脱酸素状態を判定するための酸素インジケーターにおいて、印刷適性の向上、インキの長寿命化、及び発色不良を防止できるようにした酸素インジケーターおよび酸素インジケーターを含有する包装材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項１に係る発明は、少なくとも酸化還元色素を含むインキ組成物と、少なくとも還元剤を含むインキ組成物とを、支持体上に重ねて塗布または印刷してなることを特徴とする酸素インジケーターである。
【００１０】
本発明の請求項２に係る発明は、前記支持体が包装体を形成する外装体とは別個のものとしたことを特徴とする請求項１記載の酸素インジケーターを含有する包装材料である。
【００１１】
本発明の請求項３に係る発明は、前記支持体が包装体を形成する外装体としたことを特徴とする請求項１記載の酸素インジケーターを含有する包装材料である。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１の発明によれば、本発明の酸素インジケーターは、少なくとも酸化還元色素を含むインキ組成物と、少なくとも還元剤を含むインキ組成物とを、支持体上に重ねて塗布または印刷してなることにより、高温滅菌処理直前までそれぞれを可能な限り独立した状態を維持できるので、熱処理前の長期保存による酸素インジケーター機能の失活を抑制することが可能となり、長期保存時の発色不良を防止できるようになる。また、印刷順を限定することで酸素インジケーター用インキ組成物の基材への密着不良を改善することができる。即ち密着不良の原因となる還元剤（アルコールアミン類や多価アルコール類など）を印刷の２回目以降に塗布すれば、加工上必要とされる密着強度を充分に得ることが可能となる。
【００１３】
請求項２の発明によれば、支持体が包装体を形成する外装体とは別個のものとし、内容物を包装すると同時に前記酸素インジケーターを外装体内に封入することにより、該酸素インジケーターの大きさを自由に変えることができ、また酸素吸収剤の包装材料としても使え、包装容器内のスペースを節約することができる。
【００１４】
請求項３の発明によれば、支持体が包装体を形成する外装体としたことにより、酸素インジケーター付き外装体ができるので、生産工程が合理化され、また材料のトータル的な節約をすることができるので低コスト化が図れる。さらに酸素インジケーターを外装体内に封入する工程がなくなり省力化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
本発明は酸素吸収剤による脱酸素状態を判定するための酸素インジケーターにおいて、印刷適性の向上およびインキの長寿命化のために酸素インジケーター用インキ組成物中の有効成分を分離し、印刷順を限定することにより改善を図ったものである。さらに具体的には、基材への密着不良原因となる還元剤を印刷の２回目以降に塗布するインキ中に添加することで印刷適性を向上させ、さらに酸化還元色素と還元剤を高温滅菌処理直前まで可能な限り分離した状態に維持することで、インキの長寿命化および発色不良を防止できるようにしたものである。以下に本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。
【００１６】
本発明の酸素インジケーターを構成するインキ組成物は、基材への印刷１回目に塗布されるインキ中に少なくとも酸化還元色素を含み、基材への印刷２回目に塗布されるインキ
中には、少なくとも室温では安定な還元剤を含む。その他のインキ成分としては、バインダー樹脂や溶媒からなる。たとえば、多色刷りの印刷機を用いてインキを塗布する際、本発明の酸素インジケーターを構成するインキ組成物は、連続した印刷ユニットを２回以上、すなわち複数回塗布した場合にも同様の効果を得ることができる。しかしながら、実用的には連続した印刷ユニットを２つ使用して、酸化還元色素と還元剤を含むインキをそれぞれ塗布するほうが好ましい。上記インキ組成物中には、さらに還元反応を促進する目的により、金属酸化物や遷移金属錯体などの金属触媒を添加してもよい。金属触媒には還元反応を促進する以外に、ブロッキング防止の効果を期待することもできる。
【００１７】
本発明に使用される酸化還元色素は、酸化状態と還元状態で異なる色を呈する色素であれば、特に制限はなく、いずれの公知な色素も使用することができる。具体的にはメチレンブルーの他、ニューメチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、インジゴスルフォン酸カリウム塩、サフラニンＴ、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、ジフェニルアミンスルホン酸、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、ニトロフェロイン、Ｎ−フェニルアントラニル酸などが使用できる。
【００１８】
本発明に使用される還元剤は、熱処理を施した場合に還元作用を発現するものであれば、いずれも使用可能であるが、金属ヒドリドなどの強力な還元剤は色素を変質させるため、好ましくない。また室温で還元作用を示すアルカリ性物質を共存させた還元糖類や、アスコルビン酸は大気中の酸素と反応し、酸素インジケーターの能力低下を引き起こす場合があるので、酸化還元色素と還元剤の組み合わせを選択することは非常に重要である。このような観点から室温では色素を還元せず、安定に存在し、大気中の酸素とは反応しない温和な還元剤を使用することが好ましい。
【００１９】
係る温和な還元剤として好ましいのは、具体的にはｎ−ジブチルアミン、ｎ−トリブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジアミルアミン、トリアミルアミン、ｎ−ヘプチルアミン、２−エチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン類や３−アミノ−１、２−プロパンジオール、３−アミノ−１−プロパノール、３−アミノ−２−プロパノール、アミノフェノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、２−ジメチルエタノールアミン、Ｎ−メチルジエタノールアミンなどのアルコールアミン類、マルトース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、ラクトースなどの還元糖類(アルカリ性物質を共存させない)、あるいは高級アルコールやエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリビニルアルコールなどの多価アルコール類など一般に高温で酸化されやすい物質である。特に安全衛生性や熱安定性を考慮すると、沸点の高いＮ−メチルジエタノールアミンやグリセロールを使用することが好ましく、その使用量は上記色素１重量部に対して、１〜１００重量部であることが好ましい。
【００２０】
バインダー樹脂は、酸化還元色素、還元剤、金属触媒、溶媒を支持体上に固着するために用いられる。インキ化する際に適当なバインダー樹脂としては、具体的にはエチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体やブチラール樹脂、アセタール樹脂、親水基を導入したポリエステル樹脂、その他にアクリル樹脂、ウレタン−ウレア樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。特に酸化還元色素の溶解性とボイル・レトルトなどの高温滅菌処理を考慮し、耐熱性を有する水性樹脂を使用することが好ましい。
【００２１】
上記バインダー樹脂は、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルに代表される有機系溶剤、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールに代表される水系溶剤に溶解あるいは分散させて使用される。これら溶剤は単独でも、また複数の溶剤
を混合してもよい。
【００２２】
金属触媒として、熱的に安定な金属酸化物やそれを担持したゼオライトなどの無機化合物、あるいは遷移金属錯体をインキ組成物中へ添加することで、還元反応を促進することができる。具体的には、表面処理を施していない酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄や、これらを担持させたゼオライトなどの不均一系触媒を使用してもよい。さらにはウィルキンソン錯体に代表される均一系触媒として、ロジウム、ルテニウム、コバルト、クロム、モリブデン、タングステン、パラジウム、白金などのホスフィン錯体、アミン錯体、カルボニル錯体など、さらにはセリウム、マンガン、コバルト、ニッケルなどのナフテン酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、オクテン酸塩などの脂肪酸塩錯体を使用することができる。
【００２３】
上記金属触媒はどちらのインキ組成物中に添加してもよいが、還元剤を含むインキ側に添加する場合、経時による還元剤の能力失活が懸念される。このような場合は冷暗所に保存するなどの注意が必要である。さらにその添加量は、酸化還元色素１重量部に対して２０重量部以下であることが好ましい。金属触媒の濃度がこれより大きいと、その分散が困難であるばかりか、支持体との密着強度が低下するという現象が生じるため、好ましくない。
【００２４】
本発明の酸素インジケーター用インキ組成物には、巻き取りや次工程でのブロッキングを防止してインキ取られを防ぐために、一般に使用されるブロッキング防止剤を金属触媒とは別に添加することも可能である。また、必要に応じて分散剤や消泡剤、さらには酸化還元色素以外に別途、着色剤などを添加してもよい。さらには支持体との密着強度改善や色素の退色防止を目的に、インキ組成物の上下にアンカーコート層やオーバーコート層を設けることで課題解決の効果をより高めることができる。使用できるコーティング剤としては、酸素を透過し、かつ支持体との密着性が良いもの、また紫外線吸収材料を含有するものなどで酸素インジケーターの発色を妨げないものであれば特に制限はなく、いずれも使用することができる。
【００２５】
以上、上記インキ組成物を支持体に塗布して酸素インジケーターを作成する。塗布にあたっては印刷、コーティング法などが用いられる。印刷方法は、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などが利用でき、またコーティング法としては、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ベタコーティングなどが用いられる。
【００２６】
支持体はインキ組成物と反応せず、しかも試薬の呈色性を阻害しないものである事が好ましい。具体的には、紙、合成紙、不織布、または合成樹脂フィルムなどが用いられる。支持体は、食品、医薬品等の内容物を包装するガスバリア性包材からなる外装体とは別個のものとし、内容物を包装すると同時に前記支持体にインキ組成物を塗布したインジケーターを外装体内に封入する。
【００２７】
また、前記内容物を包装する外装体そのもの、あるいはその一部を支持体とし、外装体の内面にインキ組成物を塗布し、外装体をインジケーターとして使用しても良い。酸素インジケーター用インキ組成物の外側には、酸素の進入を防ぐ目的から酸素バリア層を設ける必要がある。これらの材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアミド６やポリアミド６−ポリアミド６６共重合体、ＭＸＤ６などの芳香族ポリアミドに代表されるポリアミド樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂から選択される熱可塑性樹脂層、アルミ箔などの金属箔層、アルミ、シリカ、アルミナなどのＰＶＤ蒸着法あるいはヘキサメチレンジシロキサンなどのオルガノ
シランやアセチレンガス、その他の炭素ガス源を用いたＣＶＤ蒸着法により得られた蒸着熱可塑性樹脂層が挙げられる。
【実施例】
【００２８】
以下に本発明の実施例について、具体的に説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
【００２９】
＜実施例１＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．９６重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２７．４５重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４７．０６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２３．５３重量部
（インキ組成物２）
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．７１重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２５．００重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４２．８６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２１．４３重量部。
【００３０】
＜実施例２＞
（インキ組成物１）
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．７１重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２５．００重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４２．８６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２１．４３重量部
（インキ組成物２）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．９６重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２７．４５重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４７．０６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２３．５３重量部。
【００３１】
＜実施例３＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．８５重量部
酸化チタン・・・・・・・・・・・・・・・・５．５６重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２５．９３重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４４．４４重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２２．２２重量部
（インキ組成物２）
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．７１重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２５．００重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４２．８６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２１．４３重量部。
【００３２】
＜実施例４＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．９６重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２７．４５重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４７．０６重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２３．５３重量部
（インキ組成物２）
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．１７重量部
酸化チタン・・・・・・・・・・・・・・・・５．０８重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２３．７３重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４０．６８重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２０．３４重量部。
【００３３】
＜実施例５＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．７５重量部
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．５３重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２４．５６重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４２．１１重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２１．０５重量部。
【００３４】
＜実施例６＞
（インキ組成物１）
メチレンブルー・・・・・・・・・・・・・・１．６７重量部
Ｎ−メチルジエタノールアミン・・・・・・１０．００重量部
酸化チタン・・・・・・・・・・・・・・・・５．００重量部
水性アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・２３．３３重量部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・４０．００重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・２０．００重量部。
【００３５】
（形態）
上記インキ組成物をペイントコンディショナーなどで微細分散させることにより、実施例１〜６のインキ組成物１および実施例１〜４のインキ組成物２を得た。インキ組成物１→インキ組成物２の順番でインキ組成物を厚さ１２μｍのポリエステルフィルム（ＰＥＴ）のコロナ処理面上に２００線、３０μｍのグラビア版で２度刷りし、室温で１２時間乾燥させた(ただし、実施例５および実施例６はインキ組成物１を２度刷り。)。
【００３６】
＜実験１＞
実施例１〜６で得た評価用の印刷物（酸素インジケーター）に対して、ブロッキングテスト・セロテープ（登録商標）剥離試験を行い、基材へのインキ密着について評価した。結果を表１に示す。
【００３７】
上記印刷物（酸素インジケーター）にウレタン系２液硬化型接着剤を使用し、ドライラミネート法によりＰＥＴ上下にそれぞれアルミナ蒸着フィルムとシーラントフィルムを積層させて、本発明の酸素インジケーターを含有する包装材料を得た。この包装材料を製袋して酸素吸収剤を入れた後、窒素置換して密封した。
【００３８】
＜実験２＞
レトルト処理を行い、実施例１〜６の酸素インジケーターの色調を観察した。結果を表１および表２に示す。
【００３９】
＜実験３＞
長期保存試験を行い、実施例１〜６の酸素インジケーターの還元能力が失活していないかの確認を行った。結果を表１および表３に示す。
【００４０】
【表１】
表１は、酸素インジケーターの総合評価の結果を記す。
【００４１】
【表２】
表２は、酸素インジケーターの色調を観察した結果を記す。
【００４２】
【表３】
表３は、酸素インジケーターの色調を観察した結果を記す。
【００４３】
＜評価＞
実験１の表１より、インキ組成物中に酸化チタン（ＴｉＯ2）を含まない実施例1、２および実施例５は、表面タックによるブロッキングが確認された。これにより、酸化チタンがインキ表面を荒らすことでブロッキングの防止効果を有することがわかった。また、還元剤（Ｎ−メチルジエタノールアミン）を含んだインキ組成物が印刷1回目にＰＥＴ基材へ塗布された実施例２、５および実施例６はセロテープ（登録商標）剥離試験を行うとインキ取られが発生した。
【００４４】
実験２の表１および表２より、印刷直後にラミネート、脱酸素包装、レトルト処理（１２１℃−３０ｍｉｎ）を行った場合、すべての実施例で酸化色から還元色への色調変化を確認でき、レトルト能力は満足していることが確認された。
【００４５】
実験３の表１および表３より、酸化還元色素と還元剤が１成分として混合している１液タイプの実施例５および実施例６は、長期保存によるインジケーターの変色が確認された。これは、一部２５℃において還元剤が作用した結果であると考察した。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
少なくとも酸化還元色素を含むインキ組成物と、少なくとも還元剤を含むインキ組成物とを、支持体上に重ねて塗布または印刷してなることを特徴とする酸素インジケーター。
【請求項２】
前記支持体が包装体を形成する外装体とは別個のものとしたことを特徴とする請求項１記載の酸素インジケーターを含有する包装材料。
【請求項３】
前記支持体が包装体を形成する外装体としたことを特徴とする請求項１記載の酸素インジケーターを含有する包装材料。
【請求項１】
少なくとも酸化還元色素を含むインキ組成物と、少なくとも還元剤を含むインキ組成物とを、支持体上に重ねて塗布または印刷してなることを特徴とする酸素インジケーター。
【請求項２】
前記支持体が包装体を形成する外装体とは別個のものとしたことを特徴とする請求項１記載の酸素インジケーターを含有する包装材料。
【請求項３】
前記支持体が包装体を形成する外装体としたことを特徴とする請求項１記載の酸素インジケーターを含有する包装材料。
【公開番号】特開２００７−１８３１５８（Ｐ２００７−１８３１５８Ａ）
【公開日】平成１９年７月１９日（２００７．７．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１２４３（Ｐ２００６−１２４３）
【出願日】平成１８年１月６日（２００６．１．６）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年７月１９日（２００７．７．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１月６日（２００６．１．６）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]