説明

酸素化生成物の製造

Fischer−Tropsch由来オレフィン供給原料から酸素化生成物を生成するための方法であって、ヒドロホルミル化反応段階において、当該供給原料と一酸化炭素及び水素とを、高い反応温度及び超大気性(superatmospheric)反応圧において、ヒドロホルミル化触媒系の存在下で反応させることを含む方法。当該触媒系は、遷移金属T(Tは、元素の周期律表第VIII族の遷移金属から選択される);一酸化炭素CO;水素H;第一リガンドとしての単座リンリガンド;及び、Fischer−Tropsch由来供給原料中の不所望成分の存在により生じる被毒化に対する抵抗性を触媒系に付与する、第二リガンドとしての二座リンリガンドの、混合物、組み合わせ又は複合体を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、酸素化生成物の製造に関する。それは、特に、オレフィン供給原料から酸素化生成物を製造するための方法に関する。
【0002】
アルデヒド及びアルコールの製造は、一酸化炭素と水素の存在下で遷移金属ヒドロホルミル化触媒を用いてオレフィン基質又は供給原料を変換することにより都合よく達成される。触媒の成分としてのリン含有化合物の使用は、あまり厳しくない作動条件下でも高い生成物直線性が得られうるために非常に有益であることが見出された。広範なオレフィンが、リン含有リガンドで修飾されたそのような遷移金属を用いてヒドロホルミル化されうる。しかしながら、そのオレフィン供給原料は、実質的に純粋であること、即ち、ジエン、ケトン及びアルキンのような化合物が含まれないことが必要であることが見出された。そのような化合物は触媒性能に有害である。これら化合物は、触媒の不可逆的な非活性化をもたらし得、又は活性ヒドロホルミル化触媒がそれと反応する場合にのみその効果から回復することのできるインキュバトリー(incubatory)効果を有しうる。触媒がこれらのインキュベートされた種と結びつく時には、それらの低反応性ゆえに、必ずヒドロホルミル化活性の(完全な喪失でない場合には)劇的な低下が生じる。具体的には、そのような化合物は、α−オレフィンに優先して遷移金属と反応して、非常にゆっくりと反応する種を生成するため、触媒をヒドロホルミル化プロセスから除去するシンク(sink)として作用する。従って、そのような成分を含有する供給原料はヒドロホルミル化プロセスに破滅的な効果を有し得、ヒドロホルミル化活性の完全な停止がもたらされ得る。従って、これら触媒阻害剤は、費用がかかるだけでなく供給原料中の反応可能なα−オレフィンの低減をもたらし得る精製手順により除去されなければならない。
【0003】
Fischer−Tropsh由来オレフィン供給原料は、複雑な供給原料であり、アルデヒド及びアルコールへのヒドロホルミル化のために望まれるオレフィンであるα−オレフィンに加えて、少量の他の化合物、例えば他のオレフィン化合物、即ち、少なくとも一つの二重結合を有する、線形、分岐鎖又は芳香族であるがα−オレフィンでない炭化水素;末端オレフィン官能基と共役した及び共役していないジエン;環状オレフィン;環状ジエン;アルキン;ケトン;アルデヒド;エステル;カルボン酸等を含有する。他の供給成分には、化学的に可能である場合には、これら官能基の組み合わせからなるもの及び/又はそれとα−オレフィンとの組み合わせからなるものが含まれる。上記に示したように、そのような化合物は上記に与えられた理由によりこれまではヒドロホルミル化供給原料においては望まれておらず、そして、以下、‘不所望化合物’とも称する。
【0004】
オレフィン供給原料に関する‘Fischer−Tropsh由来’との用語は、供給原料がいわゆるFischer−Tropshプロセスにより得られたこと、即ち、一酸化炭素と水素とを含む合成ガスを、適切なFischer−Tropsch触媒、通常はコバルト、鉄、又はコバルト/鉄のFischer−Tropsch触媒の存在下で、高温で、通常は固定床、流動床、又はスラリー床反応器である適切な反応器中で反応させて一定範囲の(a range of)生成物を得ることにより得られたことを意味する;次いで、これら生成物は、Fischer−Tropsch由来オレフィンストリーム、典型的には、ヒドロホルミル化プロセスへの供給原料として用いられるのに適するC〜C20オレフィンストリームを得るために後処理されなければならない。この供給原料は、上記した全ての不所望の成分を除くために十分に後処理されていないために未だに複雑な供給原料であることを特徴とする。例えば、ヒドルホルミル化反応により変換するために複雑な供給原料として用いられ得る典型的なFischer−Tropsch由来オレフィンストリームは、20〜100質量%のパラフィン類及びα−オレフィンを包含するオレフィン;0〜40質量%の芳香族化合物;及び0〜40質量%の酸素化物、例えば、アルデヒド、ケトン、エステル及びカルボン酸を含む。
【0005】
かくして、本発明の目的は、ヒドロホルミル化プロセスにおいて、そのような複雑なFischer−Tropsch由来オレフィン供給原料が直接ヒドロホルミル化されうる遷移金属−リガンド触媒系を提供することである。従って、触媒系は、供給原料中の不所望成分のうちの一部の負の影響に対してより抵抗力があるか、又はこれまでよりも迅速にそれらと反応しなければならない。
【0006】
従って、本発明によると、Fischer−Tropsch由来オレフィン供給原料から酸素化生成物を製造するための方法が提供され、当該方法は、ヒドロホルミル化反応段階において供給原料と一酸化炭素及び水素とを高い反応温度、超大気性(superatmospheric)反応圧において、
(i)元素の周期律表のVIII族の遷移金属から選択される遷移金属T;
(ii)一酸化炭素CO;
(iii)水素H
(iv)第一リガンドとして、単座(monodentate)リンリガンド;及び
(v)第二リガンドとして、Fischer−Tropsch由来供給原料中の不所望成分の存在により生じる被毒化に対する抵抗性を触媒系に付与する二座リンリガンド
の混合物、組み合わせ又は複合体を含むヒドロホルミル化触媒系の存在下で反応させることを含む。
【0007】
オレフィン供給原料は、このように、上記された通りの複雑なFischer−Tropsch由来オレフィン供給原料であり、典型的には、少なくとも一つのα−オレフィンに加えて、少なくとも一つの二重結合を有し、線状、分岐鎖又は芳香族であるがα−オレフィンでない別のオレフィン化合物;末端オレフィン官能基と共役しているか又は非共役のジエン;トリエン;環状オレフィン;環状ジエン;アルキン;ケトン;アルデヒド;エステル;カルボン酸及び/又はなどから選択される複数の不所望な成分又は化合物を含有する。
【0008】
より特定的には、TはRh、Co、Ir又はPdでありうる;しかしながら、ロジウム(Rh)が好ましい。用いられ得るロジウム源の例は、Rh(acac)(CO)(‘acac’はアセチルアセトナートである);Rh(acac)(CO)(TPP)(‘acac’はアセチルアセトナートであり;TPPはトリフェニルホスフィンである);[Rh(OAc)(‘OAc’はアセテートである);Rh、Rh(CO)12、Rh(CO)16、Rh(CO)(ジピバロイルメタノエート)又はRh(NOである。好ましくは、ロジウムは最初はRh(acac)(CO)又はRh(acac)(CO)(TPP)の形態である。
【0009】
出願人は、本発明のヒドロホルミル化プロセスのヒドロホルミル化触媒系における一次リガンドとして単座リンリガンドを用いることが、それが容易に入手可能であること;それが比較的低価格であること;それの使用が容易であること、例えば、ヒドロホルミル化プロセスが行われ得る比較的低い圧力;及びその堅牢性を考慮すると有益であることを見出した。しかしながら、出願人は、そのような単座リガンドが用いられ、供給原料が、上記したように不所望成分をも含有するFischer−Tropsch由来オレフィン供給原料である場合には、上記したように、不所望成分が、α−オレフィンに優先して遷移金属と反応して、非常にゆっくり反応する化学種を生成するため、触媒をヒドロホルミル化プロセスから除去するシンクとして作用し、潜在的に破壊的な結果をもたらすことも見出した。換言すると、触媒が単座リンリガンドしか含有しない場合には、それは、複雑なFischer−Tropsch由来供給原料中の複数の不所望の成分によって容易に阻害され被毒化されるのである。
【0010】
しかしながら、出願人は、意外なことに、ヒドロホルミル化触媒系に第二リガンドとして二座リンリガンドを加えることにより、そのような不所望成分の潜在的に有害な作用を克服又は押し留め得ることを見出した。かくして、二座リンリガンドは、不所望成分の被毒化作用に対する抵抗性を触媒に付与する。一般に単座リガンドよりも高価である二座リガンドは、単座リガンドよりも低い、遷移金属に対するモル比率で、触媒に用いられる。
【0011】
ヒドロホルミル化反応段階は、ヒドロホルミル化反応器を含んでよい。このプロセスは、次いで、溶媒中で成分(i)をリガンドと一緒に溶解させて触媒溶液を製造することによって最初に触媒系を調製することを含んでよい。次いで、触媒溶液が反応器中に導入されることができ、そして、それを、COとHとを含む合成ガスの存在下で反応器中で加熱するとすぐに、活性ヒドロホルミル化触媒系が形成される。
【0012】
ヒドロホルミル化反応器中の触媒溶液中のロジウムの濃度は、10〜1000ppm、より好ましくは50〜500ppm、そして最も好ましくは50〜300ppmであってよい。
【0013】
リガンドは、このように、遷移金属に対して過剰モル濃度で用いられる。単座リンリガンドは、遷移金属に対して、少なくとも20:1、典型的には20:1〜2000:1、より好ましくは50:1〜1000:1のモル過剰で用いられる。それは、遷移金属に対して、90:1〜1000:1のモル過剰でさえ用いられうる。多くの状況では、二座リンリガンドは、遷移金属に優先的に結合し、単座リガンドを追い出す。それは、低いリガンド対遷移金属比率、例えば、遷移金属に対して少なくとも0.2:1、典型的には0.2:1〜100:1、そしてより好ましくは0.5:1〜50:1で用いられる。用いられる単座及び二座リンリガンドの相対的な量は、二座リガンド:単座リガンドのモル比率が0.2:1以下であり、0.1:1以下でもよい量でよい。ある場合には、二座リガンド:単座リガンドのモル比率は0.0555:1以下、例えば、0.03:1以下、さらには0.018:1以下でもよい。もちろん、各触媒系において、理想的な単座:二座:遷移金属比率が、用いられるリガンドの性質のみならず要求される製品規格並びに供給原料の組成に依存して決定されなければならないであろう。
【0014】
従って、単座リンリガンドは、遷移金属に付くことができる単一の基を有するキレート剤である。特に、それは、単座ホスフィン又はホスフィトリガンドであり得る。本発明の一つの態様において、単座リンリガンドは式(L1a)のものでよく、‘L1a’はリガンド1a:
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、全てのRは同じか異なっていて、各々、分岐鎖又は直鎖のアルキル又はアリール基である)に由来する。しかしながら、好ましくは、各Rがアリール基であり、全てのRが同じである。最も好ましくは、各Rはフェニル基であってよく、その時、式(L1a)のリガンドはトリフェニルホスフィン(‘TPP’)である。
【0017】
しかしながら、本発明の別の態様においては、単座リガンドは式(L1b)のものであってもよく、‘L1b’は、リガンド1b:
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、Rは上記に定義された通りである)に由来する。しかしながら、好ましくは、式(L1b)における各Rがアリール基であり、全てのRは同じである。最も好ましくは、各Rは置換フェニル環であり得る。従って、式(L1b)のリガンドは、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィトであっても、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフィトであってもよい。
【0020】
従って、二座リンリガンド(以下、一般にL2とも称される)は、遷移金属に付くことのできる2つの基を有するキレート剤である。それは、本発明の一つの態様においては、式(L2a):
【0021】
【化3】

【0022】
に従うものでもよい{式中、
(i)全てのRは同じか異なっていて、各々、H、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ポリエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、−C(O)R、−(R)C(O)R、−CHO、(R)CHO、−COOR、−(R)COOR、−COO、−(R)COO、−SO、−(R)SO、−SO、−(R)SO、−SR、−(R)SR、−SOR、−R(SOR)、−NR、−(R)NR、−N(R)(R)(X)、又は−(R)N(R)(R)(X)であり、ここで、
(a)R及びRは、同じか異なっていて、各々、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり;
(b)Mはカチオンであり;そして
(c)Xはアニオンであり;
(ii)Y及びZは、独立した架橋であり、同じか異なっており、各々、−O−、N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−N(C(O)R)−、−C(R)(R)−、−C(C(R)(R))−、−C(O)−、−S−、−Si(R)(R)−、−Si(OR)(OR)−、−P(R)−、又は−P(OR)−基から選択され、ここでR及びXは上記で定義された通りであり;
(iii)n((Y)及び(Z)中の)は、各場合において、0又は1であり、但し、nはY及びZの両方について0となり得ず;
(iv)W、W、W及びW4は、同じか異なっていて、各々、アルキル(分岐若しくは直鎖)、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、又はトリフルオロメチル基であり;
(v)P及びP中のa、bは、単にそれらP原子を識別するために用いられ;
(vi)各Gは、独立したリンカー基であり、同じか異なっており、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−C(R)(R)−、−S−、−Si(R)(R)−、−C(F)−、又は−C(R)(F)−から選択され、ここで、
(a)Rは、H、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり(但し、当該基が2以上のRを含有する場合には、全てのRは同じか異なっている);
(b)Xは、上記に定義された通りであり;そして
(vii)n(各(G)における)は0又は1である}。
【0023】
は、ナトリウム、カリウム又はバリウムのようなアルカリ又はアルカリ土類金属のイオンであってもよく、アンモニウム又は4級アンモニウムイオンであってもよい。
【0024】
は、有機酸、ホスフェート、又はスルフェート基、例えば、−CO、−PO2−、又は−SOであり得る。
【0025】
(Y)n中でn=0である場合には、必然的に、独立したY架橋は存在しない。その時、L2は、式(L2):
【0026】
【化4】

【0027】
に従う。
【0028】
(Z)n中でn=0である場合には、必然的に、独立したZ架橋は存在しない。その時、L2は、式(L2b):
【0029】
【化5】

【0030】
に従う。
【0031】
式(L2b)及び(L2c)に従うL2において、R、W、W、W、W、Y、Z及びGは、上記に定義された通りである。
【0032】
、W、W及びWは、具体的には、各々、アルキル、アリール又はアリールオキシ基であり得る;しかしながら、アリール及びアリールオキシ基が好ましい。もっとも好ましいものは、式(1)により表されるアリール又はアリールオキシ基である;しかしながら、式(1)の構造は、PをPに結合させる架橋単位を表していない;Pについては、W及びWが、それらのそれぞれのGリンカーを介して結合された基を表し、そしてPについては、W及びWが、それらのそれぞれのGリンカーを介して結合された基を表す;しかしながら、一方のW及びW、そして他方のW及びWについて、Gは式(L2a)のL2中のものと同じでも異なっていてもよい。
【0033】
【化6】

【0034】
{式中、
(i)全てのRは、同じか異なっていて、各々、H、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ポリエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、−C(O)R−、−(R)C(O)R、−CHO、(R)CHO、−COOR、−(R)COOR、−COO、−(R)COO、−SO、−(R)SO、−SO、−(R)SO、−SR、−(R)SR、−SOR、−R(SOR)、−NR、−(R)NR、−N(R)(R)(X)、又は−(R)N(R)(R)(X)であり、R、R、X及びMは、上記で定義した通りであり、
(ii)G及びn((G)中の)は、上記で定義した通りであり;
(iii)D及びEは、各々が独立した架橋であり、同じか異なっていて、各々、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)、−N(C(O)R)−、−N(SiR)−、−C(R)(R)−、−C(C(R)(R))−;−C(O)−、−S−、−Si(R)(R)−、−Si(OR)(OR)−、−P(R)−、又は−P(OR)−基から選択され、ここで、R及びXは、上記で定義された通りであり;
(iv)n((D)及び(E)の各々における)は、0又は1である}
D及び/又はEが存在する場合には、W及びWは、P原子に結合した一つのジラジカルを表す。同じことが、W及びWにもあてはまる。
【0035】
(E)nにおいてn=0である場合、必然的に、独立したE架橋は存在しない。この場合、式(1)の構造は、以下の式(2)に従う構造を有する:
【0036】
【化7】

【0037】
(D)nにおいてn=0の場合には、必然的に、独立したD架橋は存在しない。この場合、式(1)の構造は、以下の式(3)に従う構造を有する:
【0038】
【化8】

【0039】
(D)及び(E)の両方において、n=0の場合には、必然的に、独立した架橋であるD及びEの両方が存在しない。この場合、式(1)の構造は、以下の式(4)に従う構造、即ち、2つの異なる、非架橋基を有する:
【0040】
【化9】

【0041】
式(2)、(3)及び(4)において、R、D、E及びGは、上記で定義した通りである。
【0042】
(G)nに関してn=0である場合には、式(L2a)、(1)、(2)、(3)及び(4)の構造におけるP原子とフェニル環の間に直接結合が存在する。このような場合には、ホスフィン構造が形成され得る。
【0043】
しかしながら、本発明の別の態様においては、L2は、以下の式(L2d)のものでもよい:
【0044】
【化10】

【0045】
{式中、
(i)P、G、W、W、W及びWは、上記で定義した通りであり;
(ii)Aは、架橋単位であり、次のジラジカルの1つから選択され:−(CR−、−(CR−、−(CRCR、−[C(O)]−、−[C(O)C(R−、−(NR−、−S−、−(SiR−、−(SiOR−、ここで、
(a)アルキル基は、n=1〜5を有し、環状、直鎖、又は分岐鎖若しくは直鎖であり;
(b)Rは、上記で定義された通りであり;
(iii)Aは、架橋単位であり、‘−Ar−’であり、これは、4〜18の炭素原子のアリール又はヘテロアリール基である}。
【0046】
式(L2b)において、((G)に関して)n=0の場合には、式(L2d)中のリン原子と架橋単位Aの間に直接結合が存在する。このような場合には、ホスフィン構造が形成され得る。
【0047】
式(L2b)、(L2c)、(1)、(2)及び(3)においては、独立した架橋X、Y、D及びEは、フェニル環の間の、基又は原子を介在しない直接結合を表し得る。
【0048】
理想的には、二座リガンドであるL2が、広いバイトアングル(bite angle)を有するべきであり、Xantphosファミリーのリガンドに属するもの及びその変形物が、その好ましい例である。そのような好ましいリガンドL2の例は、下記式(L2e)〜(L2n)中に与えられる(式中、PhはCであり、BuはC(CHである):
【0049】
【化11】

【0050】
ヒドロホルミル化反応器中の反応温度は、50℃から150℃、より好ましくは70℃〜120℃であり得る。
【0051】
ヒドロホルミル化反応が行なわれる合成ガス圧は、1〜100bar(100kPa〜10,000kPa)であり得るが、より好ましくは5〜40bar(500kPa〜4,000kPa)、最も好ましくは10〜30bar(1,000kPa〜3,000kPa)である。H:CO比率は、1:10〜100:1でよいが、最も好ましくは1:1及び5:1である。
【0052】
実施例
ここで、本発明が、次の非限定的な実施例を参照してより詳細に記載される:
全ての実施例において、オートクレーブ実験はParrオートクレーブにおいて行なわれた。触媒前駆体は、アルゴン雰囲気下でSchlenkチューブ中のトルエンに溶解された。次いで、この溶液が、アルゴンを用いて空気がパージされていたオートクレーブにカニューレを介して移された。反応器が密封され、合成ガスで2回フラッシュされ、次いで合成ガスで加圧された。次いで、反応器の内容物が加熱され、反応温度に達してすぐに、基質、即ちオレフィン供給原料が、サンプルボンベを介して合成ガス過剰圧を用いて当該反応器内に充填された。反応の進行は、マス−フローメーター又はバラスト容器中の圧力の低下によりモニターされた。他のやり方で記載しない限り、1:1のH:CO合成ガス混合物が実験において用いられた。全ての比率又は割合は、他のやり方で明記しない限りモルベースで与えられる。
【実施例1】
【0053】
実施例1a
Rh(acac)(CO)(9.6×10−5mol)及びTPP(Rh:TPP=1:170)が50mlのトルエン中に溶解され、次いで、100ml反応器へ移された。反応温度に到達したらすぐに、メチルビニルケトン(Rhに対して100mol当量)でスパイクされた1−オクテン(10ml)を、反応器内に注入した。このようにして、メチルビニルケトンでスパイクされた1−オクテンは、Fischer−Tropsch由来オレフィン供給原料を模擬した。反応は、15bar(1、500kPa)の圧力で、100℃で行なわれた。
【0054】
50%オレフィン変換率に達するのにかかった時間は、1時間45分であった。
【0055】
実施例1b
比較実施例1aについて記載されたものと同じ実験手順に従ったが、4、5−ビス(ヂフェニルホスフィノ)−9、9−ジメチルキサンテン(以下、Xantphosと称する)を第二リガンドとして加えた(Rh:TPP:Xantphos=1:170:5)点で異なった。
【0056】
50%オレフィン変換率に達するのにかかった時間は1時間であった。
【0057】
実施例1c
実施例1bについて記載されたものと同じ手順に従ったが、Rh:TPP:Xantphos比率が1:170:3に変更された点で異なった。
【0058】
50%オレフィン変換率に達するのにかかった時間は1時間であった。
【0059】
実施例1d
実施例1bについて記載されたものと同じ手順に従ったが、Rh:TPP:Xantphos比率が1:170:1に変更された点で異なった。
【0060】
50%オレフィン変換率に達するのにかかった時間は1時間30分であった。
【0061】
実施例1e
実施例1bについて記載されたものと同じ手順に従ったが、Rh:TPP:Xantphos比率が1:90:5に変更された点で異なった。
【0062】
50%オレフィン変換率に達するのにかかった時間は35分であった。
【実施例2】
【0063】
実施例2a
Rh(acac)(CO)(9.6×10−5mol)及びTPP(Rh:TPP=1:170)が、50mlのトルエン中に溶解され、次いでそれが100ml反応器へ移された。反応温度に達したらすぐに、イソプレン(Rhに対して100mol当量)でスパイクされた1−オクテン(10ml)が反応器内に注入された。このようにして、イソプレンでスパイクされた1−オクテンは、Fischer−Tropsch由来オレフィン供給原料を模擬した。反応は、15bar(1、500kPa)の圧力で100℃で行なわれた。
【0064】
0〜50%オレフィン変換率におけるヒドロホルミル化の速度は、イソプレンが添加されていない類似の反応と比較され、当該ジエンが反応を51%阻害したことが分かった。
【0065】
実施例2b
比較実施例2aについて記載されたものと同じ実験手順に従ったが、Xantphosが第二リガンドとして添加された(Rh:TPP:Xantphos=1:170:5)点で異なった。
【0066】
ジエンが添加されていなたった類似の反応と比較したところ、0〜50%オレフィン変換率において触媒阻害は記録されなかった。
【0067】
実施例2c
実施例2aについて記載されたものと同じ実験手順に従ったが、Xantphosではなく(オキシジ−2、1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(以下、DPEPhosと称する)が第二リガンドとして加えられた(Rh:TPP:DPEphos=1:170:3)点で異なった。
【0068】
ジエンが添加されなかった類似の反応と比較したところ、0〜50%オレフィン変換率において、16%触媒阻害が記録された。
【実施例3】
【0069】
一連の実験において、純粋な供給物(ドデカン−パラフィン溶液;1:1)及び複雑なFicher−Tropsch由来オレフィン供給物(C11/12フラクション)の、異なるロジウムヒドロホルミル化触媒に対する影響が、評価及び比較された。ドデカンが不活性C9−11パラフィンで希釈され、Fischer−Tropsch由来供給物のものと類似した反応性オレフィン含量を有する溶液が得られた。そのFishcer−Tropsch由来オレフィン供給物は、次の組成(質量ベース)を有した:α−オレフィン、内部線状オレフィン、分岐鎖内部及び末端オレフィン、ジエン、トリエン、環状オレフィン、及び環状ジエン包含する、53%のパラフィン及びオレフィン;24%の芳香族;及び、ケトン、アルデヒド、エステル及びカルボン酸を包含する23%の酸素化物。Rh(acac)(CO)(6×10−5mol)及びTPP(Rh:TPP=1:90)が、式I〜VI(式中、PhはCであり、BuはC(CHである)から選択される二座リガンド(Rh:二座=1:5)と共に30mlのトルエン中に溶解され、反応器は上記で記載された通りに準備された。ヘキセン(10ml)とドデカン−パラフィン溶液又はFischer−Tropsch供給物(30ml)とからなるオレフィン混合物を、反応器に接続されたサンプル容器上の合成ガス過剰圧により反応器内に充填することによって、ヒドロホルミル化反応が開始された。反応は、20bar(2,000kPa)で行なわれた。
【0070】
検討された触媒系の生産力は、反応器内容物をサンプリングして、これらサンプル中のアルデヒドに変換されたヘキセンの量のGC−FID分析により測定することにより測定した。純粋な供給物に暴露された触媒とFischer−Tropsch由来供給物に暴露された触媒について、0.5時間後の1−ヘキセン変換率の差を比較することにより、後者の供給物中の不所望成分によって触媒が阻害された割合を得ることができる。これら検討からの結果が、表1中にまとめられている。
【0071】
【化12】

【0072】
【表1】

【0073】
このように、出願人は、意外にも、第VIII族遷移金属を上記した通りの単座リンリガンド/二座リンリガンドの組み合わせとともに含む触媒系を用いることにより、ヒドロホルミル化プロセスにおいて、少なくとも一つのα−オレフィンと少なくとも一つの不所望化合物とを含むオレフィン供給原料を当該プロセスに適応できることを見出した。従って、そのようなオレフィン供給原料を、触媒の受け入れられない非活性化及び/又は活性の損失が生じることなく、ヒドロホルミル化プロセスにおいて処理することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素化生成物をFischer−Tropsch由来オレフィン供給原料から製造するための方法であって、ヒドロホルミル化反応段階において、当該供給原料と一酸化炭素及び水素とを、高い反応温度及び超大気性(superatmospheric)反応圧においてヒドロホルミル化触媒系の存在下で反応させることを含み、当該触媒系が、
(i)元素の周期律表のVIII族の遷移金属から選択される遷移金属T;
(ii)一酸化炭素CO;
(iii)水素H
(iv)第一リガンドとして、単座(monodentate)リンリガンド;及び
(v)第二リガンドとして、Fischer−Tropsch由来供給原料中の不所望成分の存在により生じる被毒化に対する抵抗性を当該触媒系に付与する二座リンリガンド
の混合物、組み合わせ又は複合体を含む、方法。
【請求項2】
TがCo、Ir、Pd、又はRhである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
TがRhであり、化合物(i)が、Rh(acac)(CO)(ここで、‘acac’はアセチルアセトナートである);Rh(acac)(CO)(TPP)(ここで、‘acac’はアセチルアセトナートであり、‘TPP’はトリフェニルホスフィンである);[Rh(OAc)(ここで、‘OAc’はアセテートである);Rh;Rh(CO)12;Rh(CO)16;Rh(CO)(ジピバロイルメタノエート);及びRh(NOから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、ヒドロホルミル化反応段階が、ヒドロホルミル化反応器を含み、当該方法が、成分(i)をそれらリガンドと共に溶媒中に溶解して触媒溶液を製造して、当該触媒溶液を当該反応器中でCOとHとを含む合成ガスの存在下で加熱して活性ヒドロホルミル化触媒系を形成することにより最初に触媒系を調製することを含み、ヒドロホルミル化反応器中の当該触媒溶液中のロジウム濃度が10〜1000ppmである方法。
【請求項5】
単座リンリガンドが、ロジウムに対してモル過剰の50:1〜1000:1で用いられる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
二座リンリガンドが、単座リンリガンドよりも低いリガンド:ロジウムモル比率で用いられ、当該二座リンリガンド:ロジウム比率が0.2:1〜100:1である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
単座リンリガンドが、
P(R)(R)(R) (L1a)
(式中、全てのRは、同じか異なっていて、各々、分岐鎖若しくは直鎖アルキル、又はアリール基である)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式(L1a)のリガンドにおいて、各Rがアリール基であり、全てのRが同じである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(L1a)のリガンドにおいて、各Rがフェニルであり、リガンド(L1a)がトリフェニルホスフィンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
単座リンリガンドが、
P(OR)(OR)(OR) (L1b)
(式中、全てのRは、同じか異なっていて、各々、分岐鎖若しくは直鎖アルキル、又はアリール基である)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
式(L1b)のリガンドにおいて、各Rがアリール基であり、全てのRが同じである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(L1b)のリガンドにおいて、各Rが置換フェニル環である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
リガンド(L1b)が、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィト、又はトリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフィトである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
二座リンリガンドが、
【化1】

{式中、
(i)全てのRは同じか異なっていて、各々、H、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ポリエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、−C(O)R、−(R)C(O)R、−CHO、(R)CHO、−COOR、−(R)COOR、−COO、−(R)COO、−SO、−(R)SO、−SO、−(R)SO、−SR、−(R)SR、−SOR、−R(SOR)、−NR、−(R)NR、−N(R)(R)(X)、又は−(R)N(R)(R)(X)であり、ここで、
(a)R及びRは、同じか異なっていて、各々、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり;
(b)Mはカチオンであり;そして
(c)Xはアニオンであり;
(ii)Y及びZは、独立した架橋であり、同じか異なっており、各々、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−N(C(O)R)−、−C(R)(R)−、−C(C(R)(R))−、−C(O)−、−S−、−Si(R)(R)−、−Si(OR)(OR)−、−P(R)−、又は−P(OR)−基から選択され、ここでR及びXは上記で定義された通りであり;
(iii)n((Y)及び(Z)中の)は、各場合において、0又は1であり(但し、nは、Y及びZの両方について0となることはない);
(iv)W、W、W及びW4は、同じか異なっていて、各々、アルキル(分岐若しくは直鎖)、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、又はトリフルオロメチル基であり;
(v)P及びP中のa、bは、単にそれらP原子を識別するために用いられ;
(vi)各Gは、独立したリンカー基であり、同じか異なっていて、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−C(R)(R)−、−S−、−Si(R)(R)−、−C(F)−、又は−C(R)(F)−から選択され、ここで、
(c)Rは、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり(但し、当該基が2以上のRを含有する場合には、全てのRは同じか異なっている);
(d)Xは、上記に定義された通りであり;そして
(vii)n(各(G)における)は0又は1である}である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
二座リンリガンドが、
【化2】

{式中、
(i)全てのRは同じか異なっていて、各々、H、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ポリエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、−C(O)R、−(R)C(O)R、−CHO、(R)CHO、−COOR、−(R)COOR、−COO、−(R)COO、−SO、−(R)SO、−SO、−(R)SO、−SR、−(R)SR、−SOR、−R(SOR)、−NR、−(R)NR、−N(R)(R)(X)、又は−(R)N(R)(R)(X)であり、ここで、
(a)R及びRは、同じか異なっていて、各々、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり;
(b)Mはカチオンであり;そして
(c)Xはアニオンであり;
(ii)Zは、独立した架橋であり、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−N(C(O)R)−、−C(R)(R)−、−C(C(R)(R))−、−C(O)−、−S−、−Si(R)(R)−、−Si(OR)(OR)−、−P(R)−、又は−P(OR)−基から選択され、ここでR及びXは上記で定義された通りであり;
(iii)n((Z)中の)は1であり;
(iv)W、W、W及びW4は、同じか異なっていて、各々、アルキル(分岐若しくは直鎖)、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、又はトリフルオロメチル基であり;
(v)P及びP中のa、bは、単にそれらP原子を識別するために用いられ;
(vi)各Gは、独立したリンカー基であり、同じか異なっていて、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−C(R)(R)−、−S−、−Si(R)(R)−、−C(F)−、又は−C(R)(F)−から選択され、ここで、
(e)Rは、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり(但し、当該基が2以上のRを含有する場合には、全てのRは同じか異なっている);
(f)Xは、上記に定義された通りであり;そして
(vii)n(各(G)における)は0又は1である}である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
二座リンリガンドが、
【化3】

{式中、
(i)全てのRは同じか異なっていて、各々、H、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ポリエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、−C(O)R、−(R)C(O)R、−CHO、(R)CHO、−COOR、−(R)COOR、−COO、−(R)COO、−SO、−(R)SO、−SO、−(R)SO、−SR、−(R)SR、−SOR、−R(SOR)、−NR、−(R)NR、−N(R)(R)(X)、又は−(R)N(R)(R)(X)であり、ここで、
(a)R及びRは、同じか異なっていて、各々、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり;
(b)Mはカチオンであり;そして
(c)Xはアニオンであり;
(ii)Yは、独立した架橋であり、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−N(C(O)R)−、−C(R)(R)−、−C(C(R)(R))−、−C(O)−、−S−、−Si(R)(R)−、−Si(OR)(OR)−、−P(R)−、又は−P(OR)−基から選択され、ここでR及びXは上記で定義された通りであり;
(iii)n((Y)中の)は1であり;
(iv)W、W、W及びW4は、同じか異なっていて、各々、アルキル(分岐若しくは直鎖)、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、又はトリフルオロメチル基であり;
(v)P及びP中のa、bは、単にそれらP原子を識別するために用いられ;
(vi)各Gは、独立したリンカー基であり、同じか異なっていて、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−C(R)(R)−、−S−、−Si(R)(R)−、−C(F)−、又は−C(R)(F)−から選択され、ここで、
(g)Rは、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり(但し、当該基が2以上のRを含有する場合には、全てのRは同じか異なっている);
(h)Xは、上記に定義された通りであり;そして
(vii)n(各(G)における)は0又は1である}である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
リガンド(L2a)、(L2b)又は(L2c)において、M+が、アルカリ若しくはアルカリ土類金属のイオンであるか、又はアンモニウム若しくは4級アンモニウムイオンである、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
リガンド(L2a)、(L2b)又は(L2c)において、Xが、有機酸、ホスフェート、又はスルフェート基である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
リガンド(L2a)、(L2b)又は(L2c)において、W、W、W及びWが、各々、アルキル、アリール、又はアリールオキシ基である、請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
リガンド(L2a)、(L2b)又は(L2c)において、W、W、W及びWが、各々、下式(1)に従うアリール又はアリールオキシ基である(但し、式(1)の構造は、PをPに結合させる架橋単位を表さない;Pについては、W及びWが、それらのそれぞれのGリンカーを介して結合された基を表し、そしてPについては、W及びWが、それらのそれぞれのGリンカーを介して結合された基を表す)、請求項19に記載の方法。
【化4】

{式中、
(i)全てのReは、同じか異なっていて、各々、H、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ポリエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、−C(O)R−、−(R)C(O)R、−CHO、(R)CHO、−COOR、−(R)COOR、−COO、−(R)COO、−SO、−(R)SO、−SO、−(R)SO、−SR、−(R)SR、−SOR、−R(SOR)、−NR、−(R)NR、−N(R)(R)(X)、又は−(R)N(R)(R)(X)であり、ここで、
(a)R及びRは、同じか異なっていて、各々、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり;
(b)Mはカチオンであり;そして
(c)Xはアニオンであり;
(ii)各Gは、独立したリンカー基であり、同じか異なっていて、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−C(R)(R)−、−S−、−Si(R)(R)−、−C(F)−、又は−C(R)(F)−から選択され、ここで、
(d)Rは、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり(但し、当該基が2以上のRを含有する場合には、全てのRは同じか異なっている);
(e)Xは、上記に定義された通りであり;そして
(ii)n((G)中の)は0又は1であり;
(iii)D及びEは、各々が独立した架橋であり、同じか異なっていて、各々が、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)、−N(C(O)R)−、−N(SiR)−、−C(R)(R)−、−C(C(R)(R))−;−C(O)−、−S−、−Si(R)(R)−、−Si(OR)(OR)−、−P(R)−、又は−P(OR)−基から選択され、ここで、Rは、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり、Xは、上記で定義された通りであり;
(v)n((D)及び(E)の各々における)は、0又は1である}
【請求項21】
式(1)において、(E)中でn=0であり、独立したE架橋が存在せず;式(1)が式(2):
【化5】

の構造を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式(1)において、(D)中でn=0であり、独立したD架橋が存在せず;式(1)が式(3):
【化6】

の構造を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
式(1)において、(D)及び(E)の両方においてn=0であり、独立した架橋D及びEが両方とも存在せず;式(1)が式(4):
【化7】

の構造を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
二座リンリガンドが、
(W)(W)P−(G)−(A)−(G)−P(W)(W
(L2d)
{式中、
(i)各Gは、独立したリンカー基であり、同じか異なっていて、−O−、−N(R)−、−N(R)(R)(X)−、−C(R)(R)−、−S−、−Si(R)(R)−、−C(F)−、又は−C(R)(F)−から選択され、ここで、
(a)Rは、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり(但し、当該基が2以上のRを含有する場合には、全てのRは同じか異なっている);
(b)Xは、アニオンであり;そして
(ii)n(各(G)中の)は0又は1であり;
(iii)P及びPにおけるa、bは、単にそれらP原子を識別するために用いられ;
(iv)W、W、W及びW4は、同じか異なっていて、各々、アルキル(分岐若しくは直鎖)、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、又はトリフルオロメチル基であり;
(v)Aは、架橋単位であり、次のジラジカルの1つから選択され:−(CR−、−(CR−、−(CRCR−、−[C(O)]−、−[C(O)C(R−、−(NR−、−S−、−(SiR−、−(SiOR−、ここで、
(c)アルキル基は、n=1〜5を有し、環状、直鎖、又は分岐鎖若しくは直鎖であり;
(d)Rは、H、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ポリエーテル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、−C(O)R、−(R)C(O)R、−CHO、(R)CHO、−COOR、−(R)COOR、−COO、−(R)COO、−SO、−(R)SO、−SO、−(R)SO、−SR、−(R)SR、−SOR、−R(SOR)、−NR、−(R)NR、−N(R)(R)(X)、又は−(R)N(R)(R)(X)であり、ここで、
(e)R及びRは、同じか異なっていて、各々、Hであるか、又は分岐鎖若しくは直鎖アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ポリエーテル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシ基であり;
(f)Mはカチオンであり;又は
(vi)Aは、架橋単位であり、‘−Ar−’であり、これは、4〜18の炭素原子のアリール又はヘテロアリール基である}である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
反応温度が50℃〜150℃であり;ヒドロホルミル化反応が行なわれる合成ガス圧が1〜100bar(100kPa〜10,000kPa)であり;そしてH:CO比率が1:10〜100:1である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−511599(P2007−511599A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540650(P2006−540650)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003758
【国際公開番号】WO2005/049537
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(500159211)サソール テクノロジー(プロプライエタリー)リミテッド (25)
【Fターム(参考)】