説明

酸素富化空気導入装置

【課題】真空ポンプを不要として、コスト安で、小空間に設置可能で、耐久性が向上する酸素富化空気導入装置を提供する。
【解決手段】酸素富化膜12と、この酸素富化膜12の表面空気を換気する換気ファン13と、酸素富化膜12で生成される高濃度の酸素富化空気を通水管4に導入する導入配管14とからなる酸素富化空気導入装置11において、通水管4の水流で発生する負圧を導入配管14から酸素富化膜12に作用させることで、酸素富化膜12で生成される高濃度の酸素富化空気を導入配管14から通水管4に導入するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素富化空気導入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酸素富化膜と、真空ポンプと、酸素富化膜の表面空気を換気する換気ファンとから構成され、酸素富化膜で生成される高濃度の酸素富化空気を導入配管の酸素富化ノズルから浴室内に噴出するようにした酸素富化装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
このような酸素富化膜を用いて酸素富化空気を生成するためには、真空圧で酸素を透過させる必要があることから、酸素富化膜に真空ポンプで真空圧を作用させることで、真空圧に応じた酸素濃度の酸素富化空気を生成するようにしている。
【特許文献1】特開2006−130197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高価な真空ポンプを必要とするから、コスト高になるとともに、真空ポンプは小空間に設置するのが困難な場合があり、また、真空ポンプの故障等によって耐久性が悪くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、真空ポンプを不要として、コスト安で、小空間に設置可能で、耐久性が向上する酸素富化空気導入装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、酸素富化膜と、この酸素富化膜の表面空気を換気する換気ファンと、酸素富化膜で生成される高濃度の酸素富化空気を通水管に導入する導入配管とからなる酸素富化空気導入装置において、前記通水管の水流で発生する負圧を導入配管から酸素富化膜に作用させることで、酸素富化膜で生成される高濃度の酸素富化空気を導入配管から通水管に導入するようにしたことを特徴とする酸素富化空気導入装置を提供するものである。
【0007】
請求項2のように、前記通水管に、送水ポンプ連結若しくは水道管連結をすることが好ましい。
【0008】
請求項3のように、前記通水管における導入配管の導入口を送水ポンプの吸い込み側に設けることが好ましい。
【0009】
請求項4のように、前記通水管における導入配管の導入口よりも上流側に、通水抵抗部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通水管の水流で発生する負圧を導入配管から酸素富化膜に作用させることで、酸素富化膜で生成される高濃度の酸素富化空気を導入配管から通水管に導入するようにしたから、真空ポンプが不要となるので、コスト安になる。また、真空ポンプのような大きい設置空間が不要となって、真空ポンプの配置スペースを省略できることから、装置全体として小型化設計が可能となり、したがって小空間に設置が可能となる。さらに、真空ポンプのような故障等もないので耐久性が向上するようになる。
【0011】
請求項2によれば、通水管に送水ポンプを連結すれば、通水管に高圧水流を流すことができる。若しくは、通水管に水道管を連結すれば、通水管に高圧水流を流すことができる。
【0012】
請求項3によれば、送水ポンプの吸い込み側には真空圧が発生することから、負圧が低くなるので、酸素富化空気の酸素濃度を高めることができる。
【0013】
請求項4によれば、通水抵抗部の下流側の負圧が低くなるので、酸素富化空気の酸素濃度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、微細気泡発生浴槽1であり、この浴槽1の側壁には、吐出(微細気泡発生)ノズル2と吸込み口3とが設けられ、吐出ノズル2と吸込み口3とは循環用の通水管4で連結されている。
【0016】
この通水管4には、循環ポンプ(送水ポンプ)5が介設されていて、循環ポンプ5の駆動で、浴槽1内の浴湯を吸込み口3から吸い込んで通水管4を介して吐出ノズル2から浴槽1内に吐出するようになっている。
【0017】
酸素富化空気導入装置11は、酸素富化膜12と、この酸素富化膜12の表面空気を換気する換気ファン13と、酸素富化膜12で生成される高濃度の酸素富化空気を通水管4に導入口14aから導入する導入配管14とで構成されていて、導入配管14の導入口14aは、循環ポンプ5の上流側(吸い込み側)に設定されている。
【0018】
循環ポンプ5の下流側(吐出側)の通水管4には、溶解タンク15が設けられている。
【0019】
そして、循環ポンプ5の駆動で、浴槽1内の浴湯を吸込み口3から吸い込んで通水管4を介して吐出ノズル2から浴槽1内に吐出する過程において、酸素富化空気導入装置11で発生した高濃度の酸素富化空気を導入配管14の導入口14aから通水管4に導入するとともに、この導入された酸素富化空気を溶解タンク15で浴湯に混合攪拌することで溶解した後に、吐出ノズル2から浴槽1内に吐出する際に、再気化させることで微細気泡が発生するようになる。この微細気泡には、通常は酸素濃度が約21%であるところ、酸素富化されて酸素濃度が約30%の空気が含まれることになる。
【0020】
次に、酸素富化空気導入装置11で発生した高濃度の酸素富化空気を導入配管14の導入口14aから通水管4に導入するための装置を説明する。
【0021】
酸素富化膜12に負圧を作用させることで、高濃度の酸素富化空気が生成されるようになる。すなわち、図6に示すように、酸素富化膜12は、作用する負圧が低いほど、酸素濃度と流量が大きくなるという特性を有している。
【0022】
そのために、従来では、酸素富化膜12に真空ポンプで真空圧を作用させるものであったが、本実施形態の酸素富化空気導入装置11では、真空ポンプに代えて、循環用の通水管4に介設されている既存の循環ポンプ(送水ポンプ)5を利用して、循環ポンプ5の駆動に伴う通水管4の水流で発生する負圧を導入配管14から酸素富化膜12に作用させることで、酸素富化膜12で生成される高濃度の酸素富化空気を導入配管14から通水管4に導入するようにしたものである。
【0023】
本実施形態の酸素富化空気導入装置11によれば、循環ポンプ5の駆動に伴う通水管4の水流で発生する負圧を導入配管14から酸素富化膜12に作用させることで、酸素富化膜で生成される高濃度の酸素富化空気を導入配管14から通水管4に導入するようにしたから、真空ポンプが不要となるので、コスト安になる。また、真空ポンプのような大きい設置空間が不要となって、真空ポンプの配置スペースを省略できることから、装置全体として小型化設計が可能となり、したがって小空間に設置が可能となる。さらに、真空ポンプのような故障等もないので耐久性が向上するようになる。
【0024】
また、循環ポンプ5の駆動力によって、通水管4に高圧水流を流すことができる。さらに、図2(a)に詳細に示すように、通水管4の導入配管14の導入口14aを循環ポンプ5の吸い込み側に設けることで、図2(b)のように、循環ポンプ5の吸い込み側には真空圧が発生することから、負圧が低くなるので、酸素富化空気の酸素濃度を高めることができる。なお、図3に示すように、通水管4の導入配管14の導入口14aを循環ポンプ5の吐出側に設けることも可能である。
【0025】
図4(a)(b)は、シャワー装置20であり、(a)は水道管連結タイプ、(b)は加圧ポンプ(送水ポンプ)連結タイプである。
【0026】
図4(a)において、水道管23に一端4aを連結した通水管4の他端4bには、シャワーヘッド21が連結されている。
【0027】
また、酸素富化空気導入装置11は、酸素富化膜12と、この酸素富化膜12の表面空気を換気する換気ファン13と、酸素富化膜12で生成される高濃度の酸素富化空気を通水管4に導入口14aから導入する導入配管14とで構成されている。
【0028】
そして、通水管4に水道管23から水道水を流す過程において、酸素富化空気導入装置11で発生した高濃度の酸素富化空気が導入配管14の導入口14aからから通水管4に導入されることで水道水に混合されて、この酸素富化空気混合水は、通水管4中の圧力で一部が水道水に溶け込み、過飽和溶存酸素水としてシャワーヘッド21から吐出されるようになる。
【0029】
図4(a)のシャワー装置20では、水道管直結に伴う通水管4の水流で発生する負圧を導入配管14から酸素富化膜12に作用させることで、酸素富化膜12で生成される高濃度の酸素富化空気を導入配管14から通水管4に導入するようになる。
【0030】
このように、通水管4に水道管23を連結すれば、水道水によって、通水管4に高圧水流を流すことができる。
【0031】
図4(b)のように、通水管4に加圧ポンプ(送水ポンプ)22を介設して、導入配管14の導入口14aは、加圧ポンプ22の上流側(吸い込み側)に設定することもできる。
【0032】
このように、通水管4に加圧ポンプ22を介設すれば、加圧ポンプ22の駆動力によって、通水管4に高圧水流を流すことができる。
【0033】
前記各実施形態において、図5(a)(b)に示すように、通水管4の導入配管14の導入口14aよりも上流側に、通水抵抗部(オリフィス、エジェクタ、メッシュ、曲がり管等)24を設けることができる。
【0034】
このような通水抵抗部24を設けると、通水抵抗部24の上流側の負圧P1よりも下流側の負圧P2が高まるようになるので(P1<P2)、酸素富化空気の酸素濃度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る浴槽用酸素富化空気導入装置のシステム図である。
【図2】酸素富化空気導入装置であり、(a)は要部詳細図、(b)はポンプ圧力特性グラフである。
【図3】変形例の酸素富化空気導入装置の要部詳細図である。
【図4】本発明の実施形態に係るシャワー用酸素富化空気導入装置であり、(a)は水道管直結タイプのシステム図、(b)は加圧ポンプ連結タイプのシステム図である。
【図5】変形例の酸素富化空気導入装置であり、(a)は要部詳細図、(b)は要部拡大断面図である。
【図6】酸素富化膜特性グラフである。
【符号の説明】
【0036】
1 浴槽
2 吐出ノズル
3 吸込み口
4 通水管
5 循環ポンプ(送水ポンプ)
11 酸素富化空気導入装置
12 酸素富化膜
13 換気ファン
14 導入配管
14a 導入口
15 溶解タンク
20 シャワー装置
22 加圧ポンプ(送水ポンプ)
23 水道管
24 通水抵抗部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素富化膜と、この酸素富化膜の表面空気を換気する換気ファンと、酸素富化膜で生成される高濃度の酸素富化空気を通水管に導入する導入配管とからなる酸素富化空気導入装置において、
前記通水管の水流で発生する負圧を導入配管から酸素富化膜に作用させることで、酸素富化膜で生成される高濃度の酸素富化空気を導入配管から通水管に導入するようにしたことを特徴とする酸素富化空気導入装置。
【請求項2】
前記通水管に、送水ポンプ連結若しくは水道管連結をしたことを特徴とする請求項1に記載の酸素富化空気導入装置。
【請求項3】
前記通水管における導入配管の導入口を送水ポンプの吸い込み側に設けたことを特徴とする請求項2に記載の酸素富化空気導入装置。
【請求項4】
前記通水管における導入配管の導入口よりも上流側に、通水抵抗部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の酸素富化空気導入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−106352(P2009−106352A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279112(P2007−279112)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】