説明

醤油諸味充填装置

【課題】 醤油諸味充填において、充填量の変更・確認が容易で、かつ精度良く充填することができる醤油諸味充填装置の提供。
【解決手段】 加圧タンクと充填ノズルを諸味移送管で連結してなる醤油諸味充填装置において、加圧タンクに、エアー吹き込み用電磁弁を備えたエアー導入管と当該エアー吹き込み用電磁弁の開閉作動を自動制御する液位センサーを設置すると共に、諸味移送管に、流量調節バルブと当該流量調節バルブの閉タイミングを自動制御する電磁流量計を設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は醤油諸味充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧搾工程において醤油諸味を濾過部材に充填するには、汎用ピストンポンプにより醤油諸味を加圧タンクへ圧送し、その加圧タンクより配管を通じて、充填台車上に設置してある計量タンクの三方弁が(加圧タンク−計量タンク)方向を開くことにより計量タンク内へ設定された容積まで醤油諸味を蓄え、充填時には三方弁が(計量タンク−濾過部材)方向へ開くことにより軽量タンク内の醤油諸味が濾過部材へ充填される「計量タンク方式」や加圧タンク、計量タンクを使用せず、定量ピストンポンプの1ストローク分の容積により充填量を設定し、ポンプ圧送にて配管を通じ濾過部材へ直接充填される「定量ピストンポンプ方式」が汎用されていた(例えば、非特許文献1)。
【0003】
しかしながら、計量タンク方式は、一定容積タンクで計量するため、多少の微調整を除き充填量の変更ができず、充填量の確認も困難であった。また、醤油諸味の腐食性により三方弁の劣化が発生し易く、充填量精度を悪くする原因となっていた。また計量タンクへ圧送する加圧タンクには汎用ピストンポンプの圧力のみで加圧されていた為、配管系統の僅かなエアー漏れや醤油諸味内へのエアー混入等により少しずつ加圧タンク内に占めるエアーの容積が小さくなり、醤油諸味の圧送流量が減少してしまうことにより、計量タンク内に所定の充填量を充填できないという問題があった。
【0004】
一方、定量ピストンポンプ方式は機構が単純であり、ストローク調整により充填量の変更は可能であるものの、計量タンク方式と同様、充填量の確認が困難であった。また、充填機と定量ピストンポンプは離れた場所に設置されているため充填量の変更、調整作業が容易ではなかったのが実情であった。
【非特許文献1】「増補醤油の科学と技術」財団法人 日本醸造協会、昭和63年3月20日、P228〜P240
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたものであり、醤油諸味の充填量の変更・確認が容易で、かつ精度良く濾過部材に充填することができる醤油諸味充填装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
而して、本発明者は上記課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、加圧タンク内の圧力をほぼ一定にした上で、電磁流量計にて諸味流量を計測すれば、極めて良い結果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は加圧タンクと充填ノズルを諸味移送管で連結してなる醤油諸味充填装置において、加圧タンクに、エアー吹き込み用電磁弁を備えたエアー導入管と当該エアー吹き込み用電磁弁の開閉作動を自動制御する液位センサーを設置すると共に、諸味移送管に、流量調節バルブと当該流量調節バルブの閉タイミングを自動制御する電磁流量計を設置することにより上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、加圧タンク内の圧縮エアーの容積が、液位センサーの設定位置に応じた所定の容積に保持される。すなわち、加圧タンク内の圧力は所定の圧力状態に保持される結果、醤油諸味が安定した流量で充填ノズルまで圧送されるので、電磁流量計にて安定して流量を計測できる。従って、本発明装置によれば、醤油諸味の充填量の変更・確認が容易で、かつ精度良く醤油諸味を濾過部材に充填することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0010】
図1は本発明醤油諸味充填装置の概略構成説明図である。該図1において、10は加圧タンクで、当該加圧タンク10内の醤油諸味Mを諸味移送管20を介して充填ノズル30まで圧送するものである。
【0011】
加圧タンク10には、エアー吹き込み用電磁弁11aを備えたエアー導入管11と液位センサー12が設置されている。エアー吹き込み用電磁弁11aは、弁が開いた時に圧縮エアーボンベ(図示省略)からエアーを圧縮タンク10内に吹き込み、弁が閉じた時に圧縮タンク10内へのエアー吹き込みを停止するものである。液位センサー12は、このエアー吹き込み用電磁弁11aの開閉作動を自動制御、すなわち加圧タンク10内の醤油諸味Mに接触した時にエアー吹き込み用電磁弁11aを開き、当該醤油諸味Mから離脱した時にエアー吹き込み用電磁弁11aを閉じるものである。この液位センサー12としては、例えば電極棒が好適に用いられ、その下端は予め定めた加圧タンク10内の圧縮エアーの容積に対応した位置にセットされる。
【0012】
前記のエアー導入管11と液位センサー12は、加圧タンク10に各別に設置しても良いが、水平管部11xと垂直管部11yから成るエアー導入管11の当該垂直管部11y内に液位センサー12を挿通取り付け、その下部を垂直管部11yの下部開口端から突出せしめるのが、液位センサー12に醤油諸味Mが付着しても、これをエアー吹き込み時のエアー力によって除去することができるので、醤油諸味M付着による加圧タンク(金属製)との導通による液位センサー12の誤作動を防止する上で特に有利である。
【0013】
尚、13は圧力ゲージ、14は圧力スイッチである。
【0014】
諸味移送管20には、2つの流量調節バルブ21a、21bと、電磁流量計22と、ハンドル式弁23が設置されている。ウォーターハンマー(水撃)現象を防止するため、第1流量調節バルブ21aは諸味移送管20の中途に設置され、緩慢に閉止作動するものであり、また、第2流量調節バルブ21bは充填ノズル30の直前に設置され、急激に閉止作動するものである。電磁流量計22は加圧タンク10と第1流量調節バルブ21a間に設置され、加圧タンク10から圧送される醤油諸味Mの流量を計測し、制御部(図示省略)に伝達することによって第1流量調節バルブ21a及び第2流量調節バルブ21bの閉タイミングを自動制御、すなわちウォーターハンマー現象を防止するため、第1流量調節バルブ21aを緩慢に閉じると共に、充填ノズル30から醤油諸味Mが飛散することを防止するため、第1流量調節バルブ21aにより諸味移送管20内の圧力が下がったところで第2流量調節バルブ21bを急激に閉じるものである。
ハンドル式弁23は、加圧タンク10と電磁流量計22間に設置され、手動により加圧タンク10からの流路を開閉するものである。
【0015】
51は諸味待ちタンク、52はピストンポンプ、53は加温タンクで、移送管54を介して順次加圧タンク10まで連結されている。
【0016】
次に、斯かる実施の形態に係る本発明醤油諸味充填装置の作動例を説明する。
【0017】
諸味待ちタンク51よりピストンポンプ52にて移送された醤油諸味Mは、加温タンク53内配管を通り、加圧タンク10内に送られ、加圧される。次いで、加圧された醤油諸味Mは、諸味移送管20内を通って充填ノズル30まで圧送され、濾過部材に充填される。
【0018】
この醤油諸味の圧送過程において、エアー漏れ等により加圧タンク10内の圧縮エアーAの容積が予め定めた所定の容積より減少すると、当該加圧タンク10内の醤油諸味Mの液面が上昇し、予め所定位置にセットされている液位センサー12と接触してエアー吹き込み用電磁弁11aが開き、加圧タンク10内にエアーが吹き込まれる。このエアーの吹き込みにより圧縮エアーAの容積が所定容積に戻ると、醤油諸味Mの液面の下降により液位センサー12との接触が離脱するので、エアー吹き込み用電磁弁11aが閉じ、エアーの吹き込みが停止する。
【0019】
而して、加圧タンク10内の圧縮エアーAの容積は、上記作動により予め定めた容積にほぼ常に一定に保持、換言すれば加圧タンク10内の圧力がほぼ常に一定に保持される結果、加圧タンク10から圧送される諸味の流量は極めて安定したものとなる。
【0020】
また、電磁流量計22は予め設定した所定の流量値を検知すると、第1流量調節バルブ21aを緩慢に閉じてウォーターハンマー現象を防止すると共に、予め定めた所定の流量値を検知したところで第2流量調節バルブ21bを急激に閉じて醤油諸味Mの充填が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明醤油諸味充填装置の概略構成説明図。
【図2】エアー導入管の概略拡大構成説明図。
【符号の説明】
【0022】
10:加圧タンク
11:エアー導入管
11a:電磁弁
11x:水平管部
11y:垂直管部
12:液位センサー
13:圧力ゲージ
14:圧力スイッチ
20:諸味移送管
21a:第1流量調節バルブ
21b:第2流量調節バルブ
22:電磁流量計
23:ハンドル式弁
30:充填ノズル
51:諸味待ちタンク
52:ピストンポンプ
53:加温タンク
54:移送管
A:圧縮エアー
M:醤油諸味


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧タンクと充填ノズルを諸味移送管で連結してなる醤油諸味充填装置において、加圧タンクに、エアー吹き込み用電磁弁を備えたエアー導入管と当該エアー吹き込み用電磁弁の開閉作動を自動制御する液位センサーを設置すると共に、諸味移送管に、流量調節バルブと当該流量調節バルブの閉タイミングを自動制御する電磁流量計を設置したことを特徴とする醤油諸味充填装置。
【請求項2】
液位センサーが、水平管部と垂直管部から成るエアー導入管の当該垂直管部内に、その下部が垂直管部の下部開口端から突出するように挿通取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の醤油諸味充填装置。
【請求項3】
諸味移送管の中途に緩慢に閉止作動する第1流量調節バルブを設置すると共に、充填ノズルの直前に急激に閉止作動する第2流量調節バルブを設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の醤油諸味充填装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−14682(P2006−14682A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197000(P2004−197000)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000195052)正田醤油株式会社 (5)
【Fターム(参考)】