説明

重合体粒子組成物およびその製造方法

懸濁重合プロセス由来の微粉問題、乳化重合プロセス由来の乾燥時のエネルギー消費量軽減問題、および加工業者における配合操作問題を一挙に解決できる硬質の成形用熱可塑性重合体粒子を提案する。 懸濁重合により製造し、ガラス転移温度が60℃以上で、平均粒子径50〜500μmの懸濁重合体粒子100重量部を、乳化重合により製造した乳化重合体5重量部以上、22重量部未満で被覆した成形用熱可塑性重合体粒子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、成形用熱可塑性重合体粒子およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は懸濁重合により製造した懸濁重合体粒子を、乳化重合により製造した乳化重合体で被覆した形態を有する懸濁−乳化複合成形用熱可塑性重合体粒子およびその製造方法に関する。本発明の重合体粒子は、硬質の成形用熱可塑性重合体粒子であるので、硬質の汎用熱可塑性樹脂あるいはその品質改良用添加剤として広範に用いることができる。
【背景技術】
懸濁重合法は、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂などの硬質の汎用熱可塑性プラスチックの製造方法として工業的に広く用いられている。その理由としては、重合熱の制御が容易である、脱水−乾燥を実施するだけで簡単に重合体粒子を回収できる点などがあげられる。
しかしながら、懸濁重合法で重合体粒子を製造すると、その粒子径は通常ブロードな分布を示し、目的の粒子径から大きく外れた微粒子ポリマーも同時に生成する。その結果、脱水工程での微粉が原因となったろ布の目詰まりによる極度のろ過性の悪化、脱水排水中への微粉の流出、微粉末の目詰まりによる工程上のトラブルの頻発、粉塵発生による作業環境の悪化、粉塵爆発の危険性増大等好ましからざる結果を生じていた。
懸濁重合時の微粉発生の原因としては、重合に用いるモノマーが多少の水溶性を有するため懸濁重合開始時に少なからぬ乳化が伴う、あるいは撹拌によるせん断を強く受けモノマー液滴が過度に分散してしまうためなどがあげられる。これまで、これらの欠点を克服しようと、前者については重合時に添加する分散安定剤種および量の選定(たとえば、特開昭49−88987号公報2頁左上欄12行目〜右下欄2行目参照)、後者については撹拌翼改良による流動状態の均一化の検討などが実施されてきた。しかし、これらの手法を併用しても、微粒子の発生を完全に抑制することは困難である場合が多く、排水処理等において製造業者にとっては大きな不利益となっていた。
また、乳化重合法は、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂等の硬質プラスチックの、耐衝撃性改良剤の製造方法として広範に用いられている。その理由は、造粒・回収後のグラフト共重合体樹脂を硬質プラスチックと溶融混練した際、グラフト共重合体が重合時の粒子径を維持した状態で硬質プラスチック中に再分散することにより耐衝撃強度が発現すると考えられているためである。
通常、乳化重合ラテックスから目的のグラフト共重合体を回収するためには、ラテックスを凝析させて回収する造粒操作が必要である。この造粒操作は、回収粒子の粉体特性(粒子径分布、微粉量、流動性等)だけでなく、脱水性や乾燥特性等、後処理時の生産性にも大きな影響を与える。従来、乳化重合により製造されたラテックスから粒子状重合体を回収する場合、一般にはラテックス中に凝固剤を投入し、液相中で凝固させ熱処理等の操作により固液分散液状にした後、脱水乾燥を経て粉粒体状合成樹脂を得ている。しかし、この方法の場合には、パウダーの形状は不定形となり、相当の微粉末が含まれるなど、工程上のトラブルの頻発、粉塵発生による作業環境の悪化等の問題が頻発していた。そのため、気相凝固法(たとえば、特開昭52−68285号公報1頁左下欄13行目〜2頁左上欄3行目参照)や緩凝析法(たとえば、特開昭60−217224号公報2頁左下欄8行目〜右下欄2行目参照)などの新規造粒法が提案されるなど、様々な改良検討がなされてきた。しかしながら、そのような多大な努力にもかかわらず前記諸造粒法の凝固工程、洗浄工程、乾燥工程における水使用量および電力使用量は、懸濁重合プロセスなどと比較すると、極めて多大であり、省エネルギーの面で依然満足とは言い難く、樹脂設計を含めた新たな造粒法の開発が望まれていた。
一方、成形加工の分野では、一般に熱可塑性樹脂として使用される、すなわち成形機で製品に加工される懸濁重合重合体は、懸濁重合重合体単独で加工されることは稀であり、通常は耐衝撃強度改質剤あるいは加工性改良助剤などの品質改良剤が添加される。これらの品質改良剤は、前記のように通常は乳化重合法により製造され、粉体として回収される。一般に、加工業者では優れた物性の製品成形体を得るため、前記懸濁重合重合体に品質改良剤を添加し混合する、いわゆる配合操作を行なった後、成形加工を実施している。しかしながら、この配合操作は粉塵発生による作業環境の悪化など、加工業者に作業効率の低下を強いているのが現状である。
本発明に関係する技術としては、優れた摩擦帯電特性を有し、しかも優れた吸湿性を有する静電荷像現像用トナーおよび製造方法として、重合によって形成された核粒子と、当該核粒子の表面に乳化重合によって形成された微小粒子からなる被覆層とよりなることを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている(たとえば、特開昭57−45558号公報2頁左下欄13行目〜右下欄9行目参照)。しかしながら、この方法では、懸濁重合重合体を一旦回収した後、乳化重合重合体による被覆操作を実施するなど、懸濁重合に由来する微粉問題を解消できない。
また、トナーの固着性と低温定着性が両立するトナーを製造するために、懸濁重合重合体粒子の表面を乳化重合重合体が95%以上被覆した静電荷像現像用トナーおよびその製造方法が開示されている(たとえば、特開2000−112174号公報、段落番号[0007]参照)。しかしながら、この方法は前記目的にのみ使用しうる方法であること、また明細書に記載されている懸濁重合重合体の平均粒子径が2〜10μmとそれ自体が微粉であり、本発明の懸濁重合に由来する微粉問題を解消する方法とは関係のない方法である。
また、発泡製品に使用される重合体として、懸濁重合スチレン重合体を乳化重合重合体で被覆する方法が開示されている(たとえば、米国特許第4307134号明細書1欄59行目〜2欄5行目、米国特許第4333969号明細書2欄2行〜22行目、米国特許第4333970号明細書2欄6行〜22行目、米国特許第4385156号明細書2欄2行〜19行目参照)。しかしながら、これらの方法も懸濁重合に由来する微粉問題を解消する方法ではなく、発明の目的も本発明とは全く異なる。
さらに、不粘着性顆粒を含有し、かつ50℃より低いガラス転移温度を有する懸濁重合体であって、該不粘着性顆粒が、50℃より高いガラス転移温度を有する乳化重合体からなる不粘着性被覆を有することを特徴とする懸濁重合体およびその製造方法が開示されている(たとえば、特開平6−179754号公報、段落番号[0010]参照)。この方法は、ガラス転移温度の低いすなわち粘着性の高い懸濁重合重合体の熱融着を防止するためのみに使用しうる方法であること、さらに過剰な量の乳化重合重合体の被覆は脱水時の洗浄により除去されるとの記載があるなど、洗浄排水の微粉問題を解消する本発明とは異なる。
また、乳化重合ラテックスを部分凝固し、そこへエチレン系単量体を撹拌下に加え、乳化系から懸濁系へ重合系を転換した後、懸濁重合を行なう方法として乳化−懸濁重合法が開示されている(たとえば、特開昭56−50907号公報2頁右上欄13行〜20行目参照)。この方法では、通常熱可塑性樹脂として用いられる懸濁重合重合体と耐衝撃強度改良剤である乳化重合重合体粒子が一体化した複合粒子を製造することができる。またこの手法を用いると、乳化重合ラテックスの回収において必須となる凝固(造粒)工程が省略できる、得られる粒子は優美な球形を有し極めて微粉が少ない、乾燥負荷の低い(脱水後の含水率の低い)造粒粒子が得られるのでエネルギー消費量の面で現行乳化重合プロセスよりも有利となるなど、懸濁重合および乳化重合プロセスの問題点を大幅に軽減することが可能となる。しかしながら、この方法は、乳化系から懸濁系に転換する際の系の粘度上昇が極めて著しいこと、重合スケールの生成、あるいは乳化重合を完了した後、さらに懸濁重合を連続して実施するためトータルの重合時間が極めて長くなることなど、生産性の面で劣る。
【発明の開示】
本発明は、上記懸濁重合プロセス由来の微粉問題、乳化重合プロセス由来の乾燥時のエネルギー消費量軽減の問題、および加工業者における配合操作問題を一挙に解決できる硬質の成形用熱可塑性重合体粒子およびその製造方法を提供する。
本発明者等は鋭意検討の結果、懸濁重合により製造し、ガラス転移温度が60℃以上で、平均粒子径50〜500μmの懸濁重合体粒子100重量部を、乳化重合により製造した乳化重合体5重量部以上、22重量部未満で被覆した懸濁−乳化複合成形用熱可塑性重合体粒子とすることで、懸濁重合プロセスの側面からは成形用熱可塑性重合体粒子回収時のろ過性(固液分離性)が極めて良好であり、脱水排水中への微粉の流出を大幅に軽減することができ、乳化重合プロセスの側面からは低含水率で乾燥負荷が小さく乾燥時のエネルギー消費量を大幅に削減でき、さらには加工業者における配合操作を大幅に簡略化できる硬質の成形用熱可塑性重合体粒子を得ることができた。
すなわち、本発明は、懸濁重合により製造した、ガラス転移温度が60℃以上で、平均粒子径50〜500μmの懸濁重合体粒子100重量部を、乳化重合により製造した乳化重合体5重量部以上、22重量部未満で被覆した成形用熱可塑性重合体粒子に関する。
懸濁重合体粒子は、(メタ)アクリル酸エステル30〜100重量%および、これと共重合可能なビニルモノマー0〜70重量%からなることが好ましい。
乳化重合体は、アクリル酸エステル50〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜40重量%、架橋性モノマー0〜5重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜10重量%からなり、ガラス転移温度が0℃以下であるゴムラテックスの固形分50〜90重量部の存在下に、メタクリル酸エステル10〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜90重量%、シアン化ビニルモノマー0〜25重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる単量体混合物10〜50重量部を合計量が100重量部になるようにグラフト重合することにより得られることが好ましい。
また、乳化重合体は、メタクリル酸メチル50〜95重量%、炭素数2〜8のアルキル基を有するメタクリル酸エステル5〜50重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる重合体ラテックスの固形分80〜95重量部の存在下に、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸エステルより選ばれた1種以上のモノマー20〜80重量%、メタクリル酸メチル20〜80重量%、ならびにこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%との単量体混合物5〜20重量部を合計量が100重量部になるように、グラフト重合することにより得られることが好ましい。
また、乳化重合体は、メタクリル酸メチル40〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜60重量%および架橋性モノマー0.01〜10重量%を重合してなる重合体ラテックスの固形分10〜60重量部の存在下に、アルキルアクリレート60〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%および架橋性モノマー0.1〜5重量%からなる単量体混合物40〜90重量部を重合して2層重合体ラテックスを得、得られた2層重合体ラテックスの固形分100重量部の存在下に、さらに(メタ)アクリル酸エステル60〜100重量%およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%からなる単量体混合物11〜67重量部を重合してなる3層構造を有することが好ましい。
本発明は、懸濁重合により製造し、ガラス転移温度が60℃以上で、平均粒子径50〜500μmの懸濁重合体粒子からなる懸濁重合体懸濁液を調製する工程、懸濁重合体粒子100重量部に対して、乳化重合体5重量部以上、22重量部未満の比率で混合する工程、この重合体混合懸濁液中の固形分濃度を35〜40重量%に調整する工程、重合体混合懸濁液に乳化重合体のビカット軟化温度以下の温度で電解質水溶液を添加する工程、重合体混合懸濁液を乳化重合体のビカット軟化温度以上の温度に加熱する工程、固液分離により成形用熱可塑性重合体粒子を回収する工程、からなる成形用熱可塑性重合体粒子の製造方法に関する。
懸濁重合体粒子は、(メタ)アクリル酸エステル30〜100重量%および、これと共重合可能なビニルモノマー0〜70重量%からなることが好ましい。
乳化重合体は、アクリル酸エステル50〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜40重量%、架橋性モノマー0〜5重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜10重量%からなり、ガラス転移温度が0℃以下であるゴムラテックスの固形分50〜90重量部の存在下に、メタクリル酸エステル10〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜90重量%、シアン化ビニルモノマー0〜25重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる単量体混合物10〜50重量部を合計量が100重量部になるようにグラフト重合することにより得られることが好ましい。
乳化重合体は、メタクリル酸メチル50〜95重量%、炭素数2〜8のアルキル基を有するメタクリル酸エステル5〜50重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる重合体ラテックスの固形分80〜95重量部の存在下に、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸エステルより選ばれた1種以上のモノマー20〜80重量%、メタクリル酸メチル20〜80重量%、ならびにこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%との単量体混合物5〜20重量部を合計量が100重量部になるように、グラフト重合することにより得られることが好ましい。
乳化重合体は、メタクリル酸メチル40〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜60重量%および架橋性モノマー0.01〜10重量%を重合してなる重合体ラテックスの固形分10〜60重量部の存在下に、アルキルアクリレート60〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%および架橋性モノマー0.1〜5重量%からなる単量体混合物40〜90重量部を重合して2層重合体ラテックスを得、得られた2層重合体ラテックスの固形分100重量部の存在下に、さらに(メタ)アクリル酸エステル60〜100重量%およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%からなる単量体混合物11〜67重量部を重合してなる3層構造を有することが好ましい。
電解質水溶液は、無機塩の水溶液であることが好ましい。
本発明は、懸濁重合により製造し、ガラス転移温度が60℃以上で、平均粒子径50〜500μmの懸濁重合体粒子100重量部を、乳化重合により製造した乳化重合体5重量部以上、22重量部未満で被覆した成形用熱可塑性重合体粒子に関する。
懸濁重合により製造した懸濁重合体粒子は、単量体または単量体混合物を懸濁重合することにより得られ、ガラス転移温度が60℃以上で、平均粒子径50〜500μmである。
懸濁重合体粒子の組成は、(メタ)アクリル酸エステルの含有量が30〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの含有量が30重量%より少ないと、成形加工において本発明で用いる乳化重合体との相溶性が悪化し、良好な成形体が得られにくくなる傾向がある。また、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニルモノマーの含有量は0〜70重量%が好ましく、0〜30重量%がより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の炭素数が10以下のアルキル基を有するアルキルアクリレート類、またはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の炭素数が10以下のアルキル基を有するアルキルメタクリレート類があげられる。また、これらのモノマーは単独または2種以上を用いることができる。これらのなかでも、本発明で用いる乳化重合体と組合せて良好な品質の成形体が得られる点でメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートが好ましい。
また、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニルモノマーとしては、(1)スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類、(2)アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸類、(3)アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン類、(4)塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類、(5)酢酸ビニル、(6)エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレン等のアルケン類、(7)ハロゲン化アルケン類、(8)アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート等の多官能性モノマーなどがあげられる。これらのなかでも、本発明で用いる乳化重合体と組み合わせて良好な品質の成形体が得られる点でスチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アリルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレートが好ましい。
懸濁重合体粒子は、これらの単独または2種以上のモノマーを主とするモノマー組成物または共重合またはグラフト重合させた重合体の単独または混合重合体粒子とすることができる。
懸濁重合体粒子の平均粒子径は、通常の懸濁重合操作で得られる50〜500μmの粒径である。平均粒子径は75〜300μmが好ましく、100〜250μmがより好ましい。懸濁重合体粒子の平均粒子径が50μmより小さい場合は、ろ過性の悪化を招く。500μmを超えると、本発明の熱可塑性重合体粒子にさらに粒子状配合剤を粉体混合する場合、配合剤との混合均一性が悪化するため好ましくない。
懸濁重合体粒子のガラス転移温度は60℃以上である。ガラス転移温度は65℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。懸濁重合体粒子のガラス転移温度が60℃よりも低い場合は、成形加工により得られる成形体の表面硬度が低下し、硬質プラスチックと用いる場合、引っかき傷等の原因となる。ここで、ガラス転移温度は、示差走査熱量計により測定した値である。
懸濁重合の分散安定剤としては通常の無機系分散剤や有機系分散剤が使用できる。無機系分散剤としては、炭酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム等が、また、有機系分散剤としては、でんぷん、ゼラチン、アクリルアミド、部分ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸およびその塩、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、スルホン化ポリスチレン等の天然物および合成高分子分散剤、さらには、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩等の低分子分散剤あるいは乳化剤が使用可能である。懸濁重合の重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用できる。
また、分子量調節のために、連鎖移動剤を用いても良く、連鎖移動剤としては炭素数2〜18のアルキルメルカプタン、チオグリコール酸エステル、β−メルカプトプロピオン酸等のメルカプト酸、ベンジルメルカプタン、あるいはチオフェノール、チオクレゾール、チオナフトール等の芳香族メルカプタン等が用い得るが、特に好ましいのは炭素数4〜12のアルキルメルカプタンである。
懸濁重合体粒子の製造方法は、単量体あるいは単量体混合物を水に懸濁させ、そのまま重合反応を実施する方法、単量体あるいは単量体混合物の一部を水に懸濁させ重合反応を開始し、重合反応の進行に伴い、残りの単量体あるいは単量体混合物の水懸濁液を一段、あるいは数段に分けて、あるいは連続的に重合反応槽へ追加して重合反応を実施する方法、単量体あるいは単量体混合物の一部を水に懸濁させ重合反応を開始し、重合反応の進行に伴い、残りの単量体あるいは単量体混合物を一段、あるいは数段に分けて、あるいは連続的に重合反応槽へ追加して重合反応を実施する方法など、公知となっている全ての手法を用いることができる。
重合開始剤および連鎖移動剤の添加方法には特に制限はないが、重合開始剤および連鎖移動剤の両方を単量体に溶解した後、単量体を水中に懸濁させ、そのまま重合反応を実施する手法が最も好ましい。重合に要する時間は開始剤の種と量、あるいは重合温度などによって異なるが通常1〜24時間である。また、懸濁重合時に可塑剤、滑剤、安定剤、および紫外線吸収剤等、硬質プラスチックの成形加工時に通常添加される成分を単量体に添加することも可能である。
乳化重合体は、ビニル系単量体を乳化重合により製造した乳化重合体である。乳化重合体としては、(1)アクリル酸エステル50〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜40重量%、架橋性モノマー0〜5重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜10重量%からなり、ガラス転移温度が0℃以下のゴムラテックスの固形分50〜90重量部の存在下に、メタクリル酸エステル10〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜90重量%、シアン化ビニルモノマー0〜25重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる単量体混合物10〜50重量部を合計量が100重量部になるようにグラフト重合することにより得られる乳化重合体、(2)メタクリル酸メチル50〜95重量%、炭素数2〜8のアルキル基を有するメタクリル酸エステル5〜50重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる重合体ラテックスの固形分80〜95重量部の存在下に、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸エステルより選ばれた1種以上のモノマー20〜80重量%、メタクリル酸メチル20〜80重量%、ならびにこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%との単量体混合物5〜20重量部を合計量が100重量部になるように、グラフト重合することにより得られる乳化重合体、(3)メタクリル酸メチル40〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜60重量%および架橋性モノマー0.01〜10重量%を重合してなる重合体ラテックスの固形分10〜60重量部の存在下に、アルキルアクリレート60〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%および架橋性モノマー0.1〜5重量%からなる単量体混合物40〜90重量部を重合して2層重合体ラテックスを得、得られた2層重合体ラテックスの固形分100重量部の存在下に、さらに(メタ)アクリル酸エステル60〜100重量%およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%からなる単量体混合物11〜67重量部を重合してなる3層構造を有する乳化重合体、があげられる。
乳化重合体(1)は、本発明の熱可塑性重合体粒子を成形加工して得られる成形体の耐衝撃強度向上の点で好ましく、乳化重合体(2)は、本発明の熱可塑性重合体粒子の成形加工性改善の点で好ましく、また、乳化重合体(3)は、本発明の熱可塑性重合体粒子を成形加工して得られる成形体の耐衝撃強度および透明性向上の点で好ましい。
前記(1)〜(3)の乳化重合体の一般的な製造方法は、例えば、特開平2−269755号公報、特開平8−217817号公報に詳細に記述されている。しかしこれに限定されるものではない。
前記(1)〜(3)の乳化重合体が好適に使用される理由は、熱可塑性樹脂の品質改良剤として前記乳化重合体が広範に用いられており、本発明の成形用熱可塑性重合体粒子として回収した場合においても、それらの有する様々な品質向上効果を発現させることが可能となるためである。しかしながら、乳化重合体は、これらに限定されるものではなく、例えばつぎの単独または2種以上のモノマーを主とする単量体組成物または共重合またはグラフト重合させた重合体ラテックス粒子の単独または混合ラテックス重合体粒子を用いることができる。たとえば、ビニルモノマーとして、(1)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の炭素数が10以下のアルキル基を有するアルキルアクリレート類、(2)メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の炭素数が10以下、好ましくは炭素数8以下のアルキル基を有するアルキルメタクリレート類、(3)芳香族ビニルモノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類、(4)アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸類、(5)シアン化ビニルモノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類、(6)塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類、(7)酢酸ビニル、(8)エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレン等のアルケン類、(9)架橋性モノマーとして、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレートなどがあげられる。
乳化重合体の平均粒子径は特に制限はないが、通常の乳化重合で得られる平均粒子径0.05〜0.5μmの粒径が好ましく、0.06〜0.3μmの粒径がより好ましい。平均粒子径が0.05μmより小さい、あるいは0.5μmより大きいと、本発明の熱可塑性重合体粒子を成形加工する際の加工性、および得られる成形体の耐衝撃強度、透明性が悪化する傾向がある。
本発明の成型用熱可塑性重合体粒子は、懸濁重合体粒子100重量部を、乳化重合体5重量部以上、22重量部未満で被覆した成型用熱可塑性重合体である。乳化重合体の含有量は6〜15重量部が好ましく、7〜10重量部がより好ましい。乳化重合体の含有量が5重量部より少ないと、電解質水溶液添加後も系中に微粒子重合体が残存し、その結果としてろ過性の改善効果がみられない。また、乳化重合体が22重量部以上では、乳化重合体を介した二次凝集粒子の生成が増加する傾向がある。
ここで、被覆とは、懸濁重合体粒子の全表面を乳化重合体で被覆することのほか、重合体粒子の表面を部分的に乳化重合体で被覆することも意味する。
また、懸濁重合体粒子を乳化重合体で被覆することにより、懸濁重合体粒子の平均粒子径は、被覆前と比べ3〜50%大きくなる。平均粒子径の変化が3%より小さいと、系中に微粒子重合体が残存し、その結果としてろ過性の改善効果が見られない。
乳化重合体で懸濁重合体粒子の表面は、50%以上被覆されることが好ましく、60%以上被覆されることがより好ましい。被覆される面積が50%より低いと、回収後の熱可塑性重合体粒子の粉体特性が悪化する傾向がある。
また、本発明で得られる成形用熱可塑性重合体粒子は、すべての懸濁重合体粒子が乳化重合体によって被覆されていなくても良く、乳化重合体によって被覆されずに残っている懸濁重合体粒子、懸濁重合体粒子を被覆することなく残った乳化重合体粒子を含んでいても良い。
前記好ましい乳化重合体(1)で記載したアクリル酸エステル50〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜40重量%、架橋性モノマー0〜5重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜10重量%からなるゴムラテックスの固形分は、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。乳化重合体のガラス転移温度が0℃を超えると、本発明の熱可塑性重合体粒子を成形加工して得られる成形体の耐衝撃強度の向上が抑制される傾向がある。
さらに、本発明は、懸濁重合により製造し、ガラス転移温度が60℃以上で、平均粒子径50〜500μmの懸濁重合体粒子からなる懸濁重合体懸濁液を調製する工程、懸濁重合体粒子100重量部に対して、乳化重合体ラテックスを乳化重合体5重量部以上、22重量部未満の比率で混合する工程、この重合体混合懸濁液中の固形分濃度を35〜40重量%に調整する工程、重合体混合懸濁液に乳化重合体のビカット軟化温度以下の温度で電解質水溶液を添加する工程、重合体混合懸濁液を乳化重合体のビカット軟化温度以上の温度に加熱する工程、固液分離により成形用熱可塑性重合体粒子を回収する工程、からなる成形用熱可塑性重合体粒子の製造方法に関する。本発明の製造方法により、懸濁重合体粒子表面を均一に乳化重合体で被覆すること、さらにろ過性悪化の原因となる微粒子重合体の残存を大幅に削減することが可能となる。
重合体混合懸濁液に電解質水溶液を添加することは、懸濁重合体懸濁液に電解質水溶液を添加した後に、重合体ラテックスを添加することに比べ、懸濁重合体粒子表面の乳化重合体被覆の均一性、およびろ過性悪化の原因となる微粒子重合体残存量の大幅な低下の点で優れている。
懸濁重合により製造された懸濁重合体粒子からなる懸濁重合体懸濁液と、乳化重合により製造された重合体ラテックスの乳化重合体を混合する固形分比は、懸濁重合体粒子100重量部に対して、乳化重合体5重量部以上、22重量部未満である。混合量は6〜15重量部が好ましく、7〜10重量部がより好ましい。懸濁重合体粒子100重量部に対して、乳化重合体が5重量部より少ないと、電解質水溶液添加後も系中に微粒子重合体が残存し、その結果としてろ過性の改善効果が見られない。懸濁重合体粒子100重量部に対して乳化重合体が22重量部以上では、乳化重合体を介した二次凝集粒子の生成が頻発するため好ましくない傾向がある。
懸濁重合により製造した懸濁重合体懸濁液と、乳化重合により製造した乳化重合体ラテックスを混合する方法は、撹拌下に、懸濁重合体懸濁液へ乳化重合体ラテックスを添加、または乳化重合体ラテックスへ懸濁重合体懸濁液を添加することが好ましい。懸濁重合体懸濁液と、乳化重合により製造した乳化重合体ラテックスを混合することにより、重合体混合懸濁液を得ることができる。
乳化重合体ラテックスと懸濁重合体懸濁液とを混合する場合において、乳化重合体ラテックスおよび懸濁重合体懸濁液の固形分濃度には特に制限はなく、通常の重合操作で得られる乳化重合体ラテックスまたは懸濁重合体懸濁液をそのまま用いるのが製造上最も簡便でありより好ましい。通常は乳化重合体ラテックスの固形分濃度は25〜45重量%が好ましく、30〜40重量%がより好ましい。懸濁重合体懸濁液の固形分濃度は33〜45重量%が好ましく、35〜40重量%がより好ましい。乳化重合体ラテックスの固形分濃度または懸濁重合体懸濁液の固形分濃度がこの範囲から外れると、電解質水溶液添加後も系中に微粒子重合体が残存し、その結果としてろ過性の改善効果が見られない、乳化重合体を介した二次凝集粒子の生成が頻発するなど、生産性の悪化を招く傾向がある。
混合時の温度は5℃以上が好ましく、5℃よりも低い場合はその後の熱処理操作のユーティリティー使用量が多大となるため好ましくない傾向がある。
重合体混合懸濁液の固形分濃度は35重量%〜40重量%に調製される。固形分濃度が35重量%より低いと、電解質水溶液の添加後も系中に微粒子重合体が残存する。40重量%を超えると、乳化重合体を介した二次凝集粒子の生成が頻発し脱水後含水率が高くなる。重合体混合懸濁液の固形分濃度を35〜40重量%に調整した後、電解質水溶液を添加する。
重合体混合懸濁液には、乳化重合体のビカット軟化温度以下の温度で電解質水溶液が添加される。電解質水溶液の添加は、(乳化重合体のビカット軟化温度−10)℃以下がより好ましい。電解質水溶液の添加が乳化重合体のビカット軟化温度を超えた温度で行なわれると、生成する成形用熱可塑性重合体粒子の形状が歪になり脱水後含水率が高くなる、未凝固の乳化重合体が残存し極度のろ過性の悪化を招く、重合体粒子間の凝集が頻発する。
電解質水溶液を添加する工程は、懸濁重合時に生成した微粒子重合体が、乳化重合体の粒子とともに懸濁重合体粒子表面に凝析(析出)し、懸濁重合体粒子表面を被覆できる点で、撹拌下に、重合体混合懸濁液に電解質水溶液を添加することが好ましい。
本発明に用いることのできる電解質水溶液は、乳化重合体ラテックスを凝析・凝固し得る性質を有する有機酸(塩)または無機酸(塩)の水溶液であれば特に限定されない。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン等の無機塩類の水溶液、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸類の水溶液、酢酸、ギ酸等の有機酸類およびそれらの水溶液、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウム等の有機酸塩類の水溶液を単独または2種以上を混合したものをあげることができる。なかでも、懸濁重合体粒子表面の乳化重合体による被覆の均一性、ろ過性悪化の原因となる微粒子重合体残存の大幅削減および排水処理の容易性の点で、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバンなどの無機塩の水溶液を好適に用いることができる。
電解質水溶液の濃度は、0.001重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは1%以上である。電解質水溶液の濃度が0.001重量%より低いと、乳化重合体の粒子を凝析させるために多量の電解質水溶液を添加する必要があり、その後の熱処理操作時のユーティリティー使用量が多大となる傾向がある。
本発明の成形用熱可塑性重合体粒子を製造するにあたり、重合体混合懸濁液中の重合体ラテックスの比率が高い場合、あるいは電解質水溶液の添加速度が極端に速い場合、または電解質水溶液濃度が極端に高い場合には、電解質水溶液添加時に著しい粘度上昇が見られる場合がある。このような場合は、系中に適時水を加えるなど、通常の撹拌状態が維持できる程度に系の粘度を低下させる操作を実施すればよい。電解質水溶液の量は、重合体混合懸濁液中の乳化重合体の比率により当然異なるが、熱処理後に未凝固の乳化重合体の粒子が存在しなくなる量以上を添加すればよい。
本発明では、重合体混合懸濁液に電解質水溶液を添加するだけでは低含水率の重合体粒子は得られない。電解質水溶液が酸性水溶液で、造粒後の重合体混合懸濁液が酸性を示す場合は水酸化ナトリウムなどのアルカリで中和した後に重合体混合懸濁液を乳化重合体のビカット軟化温度以上の温度に加熱する。加熱温度は(ビカット軟化温度+5℃)がより好ましい。
電解質水溶液が中性の水溶液の場合は、重合体混合懸濁液をそのまま乳化重合体のビカット軟化温度以上の温度に加熱する。加熱温度は、50〜120℃がより好ましい。
重合体混合懸濁液を乳化重合体のビカット軟化温度よりも低い温度で加熱すると、懸濁重合体粒子表面を被覆した乳化重合体の粒子の凝集体が緻密化せず、成形用熱可塑性重合体粒子の含水率が低下しない。
重合体混合懸濁液を固液分離することにより成形用熱可塑性重合体粒子を回収する。固液分離は、常法に従って脱水および乾燥を行うことができる。このようにして、本発明の成形用熱可塑性重合体粒子が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、粒子分布を表すグラフである。
第2図は、実施例5で得られた懸濁重合体粒子および成形用熱可塑性重合体粒子の表面状態を示す電子顕微鏡写真(×300倍)の複写である。
符号の説明:
● 懸濁重合体粒子の粒度分布
○ 成形用熱可塑性重合体粒子の粒度分布
□ 乳化重合体単独の凝固粒子の粒度分布
1 懸濁重合体粒子
2 成形用熱可塑性重合体粒子
【発明を実施するための最良の形態】
つぎに本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
以下に示す実施例および比較例で得られた重合体混合懸濁液のろ過性評価、ろ過排水の色の評価、微粒子ポリマー成分含量の定量、および脱水後含水率の測定は以下に示す方法で行なった。
(ろ過性)
実施例および比較例で得られた重合体混合懸濁液500g(固形分濃度:約30重量%)をアスピレーターで吸引ろ過した際に、要した時間を以下の基準により評価した。
○:大部分の水が10秒以内にろ過された。
△:10〜60秒要した。
×:60秒以上要した。
(ろ過排水の色)
実施例および比較例で得られた重合体混合懸濁液500g(固形分濃度:約30重量%)をアスピレーターで吸引ろ過した際のろ過排水の色を、以下の目視評価基準により評価した。
○:透明なもの。
△:多少白濁しているもの。
×:大きく白濁しているもの。
(微粒子ポリマー成分含量)
実施例および比較例で得られた重合体混合懸濁液500g(固形分濃度:約30重量%)を25℃で24時間静置した後、懸濁液の上澄み10gを採取し、100℃熱風対流型乾燥機に12時間入れて水分を蒸発させた。微粒子ポリマー成分含量は、乾燥前の上澄み液の重量をW1、乾燥後の重量をW2とし、次式から求めた。
微粒子ポリマー成分含量(%)=(W2/W1)×100
(脱水後含水率の測定)
実施例および比較例で得られた重合体混合懸濁液30gをアスピレーターで吸引ろ過した後、脱水樹脂を回収し、100℃熱風対流型乾燥機に12時間入れて水分を蒸発させた。脱水後含水率は、乾燥前の脱水直後樹脂重量をWw、乾燥後樹脂重量をWdとし、次式から求めた。
脱水後含水率(%)=[(Ww−Wd)/Wd]×100
以下の実施例および比較例の中で用いる部および%は、それぞれ重量部および重量%を示す。
(表面硬度の測定)
実施例および比較例で得られた成形用熱可塑性重合体粒子を成形加工し、厚さ約1mmの成形体シートを作成した。得られた成形体シートの表面硬度をShoreD表面硬度計で測定した。
(ガラス転移温度の測定)
実施例および比較例で得られた懸濁重合体粒子について、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製 DSC220C)を用いて5℃/分の昇温条件にてガラス転移温度を測定した。
(ビカット軟化温度の測定)
実施例および比較例で得られた乳化重合体について、JIS K7206(A−50法)に準拠して、ビカット軟化温度を測定した。
(粒子径の測定)
(1)実施例1,6,7において,乳化重合ラテックス粒子の平均粒子径の測定は、日立製作所製Spectrophotometer U−2000(546nmの波長の光散乱を利用)を用いて行った。これは、体積平均粒子径を基に作成した検量線を使用して、吸光光度計で濁度法により、体積平均粒子径を求める方法である。
(2)各実施例において、懸濁重合粒子および本発明の懸濁−乳化複合粒子の体積平均粒子径の測定(含、図1)は、日機装株式会社製 Microtrac FRA−SVRSCを用いて行った。
【実施例1】
撹拌機付反応器に脱イオン水153部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート100部の単量体を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度38%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は140μmであった。
撹拌機付反応器に脱イオン水220部、ほう酸0.3部、炭酸ナトリウム0.03部、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.09部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.09部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.006部、および硫酸第一鉄7水塩0.002部を仕込み、窒素置換後、80℃に昇温した。これにメチルメタクリレート25部、アリルメタクリレート0.1部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部よりなるモノマー混合物のうち25%を一括して仕込み、45分間重合を行なった。続いてこの混合液の残り75%を1時間に渡って連続追加した。追加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させた。また、この間に0.2重量部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた最内層架橋メタクリル系重合体ラテックス中の重合体粒子の平均粒子径は、1600Å(546nmの波長の光散乱を利用して求めた)であり、重合転化率(重合生成量/モノマー仕込み量×100)は98%であった。続いて、得た架橋メタクリル系重合体ラテックスを窒素気流中で80℃に保ち、過硫酸カリウム0.1重量部を添加した後、n−ブチルアクリレート41重量部、スチレン9重量部、アリルメタクリレート1重量部のモノマー混合液を5時間に渡って連続追加した。この間にオレイン酸カリウム0.1重量部を3回に分けて添加した。モノマー混合液の追加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05重量部添加し2時間保持した。得られた重合体の平均粒子径は2300Åであり、重合転化率は99%であった。続いて、得られたゴム状重合体ラテックスを80℃に保ち、過硫酸カリウム0.02重量部を添加した後メタクリル酸メチル24重量部、n−ブチルアクリレート1重量部、t−ドデシルメルカプタン0.1重量部の混合液を1時間に渡って連続追加した。モノマー混合液の追加終了後1時間保持し、平均粒子径が0.25μmの多層構造を持つ、ビカット軟化温度90℃の乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を得た。重合体ラテックス(B)の固形分濃度は31重量%であった。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液265部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)32部(固形分10部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
【実施例2】
撹拌機付反応器に脱イオン水153部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度38%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液265部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)32部(固形分10部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
【実施例3】
撹拌機付反応器に脱イオン水153部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート70部とブチルアクリレート30部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度38%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は140μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液265部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)32部(固形分10部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
【実施例4】
撹拌機付反応器に脱イオン水156部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度37%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液268部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)16部(固形分5部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
【実施例5】
撹拌機付反応器に脱イオン水147部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度39%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液259部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)69部(固形分21部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
【実施例6】
撹拌機付反応器に脱イオン水156部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度37%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
水250部、オレイン酸ナトリウム0.04部、硫酸第一鉄(FeSO・7HO)0.002部、EDTA・2Na塩0.008部およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2部を、撹拌基付反応器に仕込み、窒素置換後、50℃まで昇温した。これにブチルアクリレート100部、アリルメタクリレート1部およびクメンハイドロパーオキシド0.2部の混合液の10重量%を加えた。その1時間後から混合液の残りの90重量%を5時間かけて追加した。また、混合液の残りの追加と同時に、1部のステアリン酸カリウムを5%水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。さらに、1時間の重合を行ない、重合転化率99%、平均粒子径0.18μm、ガラス転移温度−40℃のアクリル酸エステル系ゴムラテックスを得た。ついで、前記アクリル酸エステル系ゴムラテックス225部(固形分75部)、硫酸第一鉄(FeSO・7HO)0.002部、EDTA・2Na塩0.004部およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.1部を、撹拌基付反応器に仕込み、窒素置換後、70℃まで昇温した。これにメチルメタクリレート23部、ブチルアクリレート2部およびクメンハイドロパーオキシド0.1部の混合液を3時間かけて追加し、さらに1時間の後重合を行なって、平均粒子径0.2μmの乳化重合グラフト共重合体ラテックス(A)を得た。乳化重合グラフト共重合体ラテックス(A)の固形分濃度は33重量%であった。また、ビカット軟化温度は60℃であった。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液268部(固形分100部)を50℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(A)30部(固形分10部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
【実施例7】
撹拌機付反応器に脱イオン水159部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度37%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
撹拌機付反応器に脱イオン水200部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1部および過硫酸カリウム0.03部を仕込み、窒素置換後、65℃に昇温した。これにメチルメタクリレート84部およびブチルメタクリレート16部よりなるモノマー混合物を4時間かけて加えた後、1時間加熱撹拌を続け、重合反応を実質的に完結させた。その後、ブチルアクリレート11部およびメチルメタクリレート9部よりなるモノマー混合物を1時間かけて加えた後、さらに1.5時間65℃で重合を実施し、平均粒子径が0.1μm、ビカット軟化温度90℃の乳化重合グラフト共重合体ラテックス(C)を得た。乳化重合グラフト共重合体ラテックス(C)の固形分濃度は37重量%であった。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液271部(固形分100部)を70℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(C)27部(固形分10部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で95℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
【実施例8】
撹拌機付反応器に脱イオン水170部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度36%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液282部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)32部(固形分10部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
【実施例9】
撹拌機付反応器に脱イオン水131部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度41%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液243部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)32部(固形分10部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
比較例1
撹拌機付反応器に脱イオン水153部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート60部とブチルアクリレート40部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度38%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は140μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液265部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)32部(固形分10部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
比較例2
撹拌機付反応器に脱イオン水158部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度37%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液270部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)6.4部(固形分2部)、15%塩化カルシウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
比較例3
撹拌機付反応器に脱イオン水158部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度37%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液270部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に15%硫酸ナトリウム水溶液を滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
比較例4
撹拌機付反応器に脱イオン水220部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度30%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液331部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)32部(固形分10部)、15%塩化カルシウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
比較例5
撹拌機付反応器に脱イオン水220部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度30%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液331部(固形分100部)に80部の水を加え60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)32部(固形分10部)、15%塩化カルシウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
比較例6
撹拌機付反応器に脱イオン水110部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度45%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液223部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)32部(固形分10部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
比較例7
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)100部(固形分31部)に、水65部を加え、55℃で撹拌下に3%塩化カルシウム水溶液50部を加え、凝固操作を実施し、その後95℃まで昇温して熱処理を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
参考例
撹拌機付反応器に脱イオン水144部、3%PVA水溶液15部(日本合成化学工業(株)製KH−20およびGH−20の等量混合品)を仕込み、反応機内を窒素置換した。そこへ、ラウロイルパーオキシド0.5部、ベンゾイルパーオキシド0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を溶解させたメチルメタクリレート75部とブチルアクリレート25部の単量体混合物を加え、単量体の分散粒子径が約250μmとなるように撹拌機の回転数を調整した。その後、60℃で2時間、70℃で2時間、80℃で2時間、90℃で1時間と段階的に昇温加熱し重合を完結させ、重合体固形分濃度39%の懸濁重合体懸濁液を作成した。懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであった。
実施例1と同様にして、乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)を作成した。
このようにして得られた懸濁重合体懸濁液256部(固形分100部)を60℃に調整した後、撹拌下に乳化重合グラフト共重合体ラテックス(B)96部(固形分30部)、15%硫酸ナトリウム水溶液6部の順で滴下した。その後、撹拌下で90℃まで昇温し熱処理操作を実施して、固液分離を行ない成形用熱可塑性重合体粒子を得た。
表1および2には、実施例1〜9および比較例1〜6で得られた懸濁重合体粒子の組成、乳化重合体種、懸濁重合体粒子/乳化重合体の重量比、重合体混合懸濁液の固形分濃度、およびそれらのろ過性、ろ過排水の色、微粒子ポリマー成分含量、脱水後の含水率、懸濁重合体粒子のガラス転移温度、表面硬度の評価結果を示した。


以上の結果より、まず微粒子ポリマー成分含量に着目すると、本発明の実施例1〜9の重合体粒子組成物は、比較例3の懸濁重合のみを実施した場合に比べ、懸濁重合体懸濁液中の微粒子ポリマー量が極めて少ないこと、またその結果として重合体混合懸濁液のろ過性が極めて良好であり、ろ過排水も透明であることがわかる。さらに、実施例1〜9と比較例2の懸濁重合体粒子100重量部に対して乳化重合体5重量部よりも少ない場合、および比較例4、5の電解質水溶液滴下時の重合体混合懸濁液の固形分濃度が35重量%より少ない場合は、ろ過性の改善効果が低く、ろ過排水も白濁するなど、重合体混合懸濁液中に微粒子重合体が残存していることがわかる。
一方、重合体粒子の脱水後含水率に着目すると、本発明の実施例1〜9の成形用熱可塑性重合体粒子は、比較例7の乳化重合体ラテックスを従来の凝固操作のみにより回収した場合に比べ、脱水後含水率が極めて低く乾燥時の消費エネルギー量を大幅に削減できることがわかる。また、参考例の懸濁重合体粒子100重量部に対して乳化重合体が22重量部以上の場合、また比較例6の電解質水溶液滴下時の固形分濃度が40重量%を超える場合は、脱水後含水率が高くなることがわかる。
また、本発明の実施例1〜9の成形用熱可塑性重合体粒子組成物を成形して得られるシートは、懸濁重合ポリマーとして用いるに充分の表面硬度70以上を有していることがわかる。
ここで、図1は、実施例5で得られた懸濁重合体粒子および成形用熱可塑性重合体粒子、および比較例7で得られた乳化重合体単独の凝固粒子の粒度分布を表すグラフである。
図1中の”●”は懸濁重合体粒子の粒度分布、”○”は成形用熱可塑性重合体粒子の粒度分布、”□”は乳化重合体単独の凝固粒子の粒度分布を示している。
懸濁重合体粒子の平均粒子径は130μmであり、成形用熱可塑性重合体粒子の平均粒子径は179.31μmであり、乳化重合体単独の凝固粒子の平均粒子径は132.13μmであった。したがって、成形用熱可塑性重合体粒子の粒度分布は、懸濁重合体粒子と比較して40μm程度大粒径側にシフトしていることがわかる。また、成形用熱可塑性重合体粒子は懸濁重合体粒子に比べ、ろ過性悪化の原因となる粒子径50μm以下粒子の頻度が極めて少ないことがわかる。
なお、図1の横軸は粒度分布(μm)、縦軸は頻度(%)を示している。
図2は、実施例5で得られた懸濁重合体粒子および成形用熱可塑性重合体粒子の表面状態を示す写真である(×300倍)。図2中の(a)は懸濁重合体粒子であり、(b)は成形用熱可塑性重合体粒子である。懸濁重合体粒子1の表面が乳化重合体で被覆されて、成形用熱可塑性重合体粒子2が得られていることがわかる。なお、撮影は電解放射型走査電子顕微鏡(日立製作所(株)製 S−800形)により行なった。
【産業上の利用可能性】
本発明の成形用熱可塑性重合体粒子は、懸濁重合プロセス由来の微粉問題、乳化重合プロセス由来の乾燥時のエネルギー消費量軽減問題、および加工業者における配合操作問題を一挙に解決できる硬質の成形用熱可塑性重合体粒子組成物として懸濁重合体粒子および乳化重合体を回収することができる。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁重合により製造した、ガラス転移温度が60℃以上で、平均粒子径50〜500μmの懸濁重合体粒子100重量部を、乳化重合により製造した乳化重合体5重量部以上、22重量部未満で被覆した成形用熱可塑性重合体粒子。
【請求項2】
懸濁重合体粒子が、(メタ)アクリル酸エステル30〜100重量%および、これと共重合可能なビニルモノマー0〜70重量%からなる請求項1記載の成形用熱可塑性重合体粒子。
【請求項3】
乳化重合体が、アクリル酸エステル50〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜40重量%、架橋性モノマー0〜5重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜10重量%からなり、ガラス転移温度が0℃以下であるゴムラテックスの固形分50〜90重量部の存在下に、メタクリル酸エステル10〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜90重量%、シアン化ビニルモノマー0〜25重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる単量体混合物10〜50重量部を合計量が100重量部になるようにグラフト重合することにより得られる請求項1または2記載の成形用熱可塑性重合体粒子。
【請求項4】
乳化重合体が、メタクリル酸メチル50〜95重量%、炭素数2〜8のアルキル基を有するメタクリル酸エステル5〜50重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる重合体ラテックスの固形分80〜95重量部の存在下に、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸エステルより選ばれた1種以上のモノマー20〜80重量%、メタクリル酸メチル20〜80重量%、ならびにこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%との単量体混合物5〜20重量部を合計量が100重量部になるように、グラフト重合することにより得られる請求項1または2記載の成形用熱可塑性重合体粒子。
【請求項5】
乳化重合体が、メタクリル酸メチル40〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜60重量%および架橋性モノマー0.01〜10重量%を重合してなる重合体ラテックスの固形分10〜60重量部の存在下に、アルキルアクリレート60〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%および架橋性モノマー0.1〜5重量%からなる単量体混合物40〜90重量部を重合して2層重合体ラテックスを得、得られた2層重合体ラテックスの固形分100重量部の存在下に、さらに(メタ)アクリル酸エステル60〜100重量%およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%からなる単量体混合物11〜67重量部を重合してなる3層構造を有する請求項1または2記載の成形用熱可塑性重合体粒子。
【請求項6】
懸濁重合により製造し、ガラス転移温度が60℃以上で、平均粒子径50〜500μmの懸濁重合体粒子からなる懸濁重合体懸濁液を調製する工程、懸濁重合体粒子100重量部に対して、乳化重合体5重量部以上、22重量部未満の比率で混合する工程、この重合体混合懸濁液中の固形分濃度を35〜40重量%に調整する工程、重合体混合懸濁液に乳化重合体のビカット軟化温度以下の温度で電解質水溶液を添加する工程、重合体混合懸濁液を乳化重合体のビカット軟化温度以上の温度に加熱する工程、固液分離により成形用熱可塑性重合体粒子を回収する工程、からなる成形用熱可塑性重合体粒子の製造方法。
【請求項7】
懸濁重合体粒子が、(メタ)アクリル酸エステル30〜100重量%および、これと共重合可能なビニルモノマー0〜70重量%からなる請求項6記載の成形用熱可塑性重合体粒子の製造方法。
【請求項8】
乳化重合体が、アクリル酸エステル50〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜40重量%、架橋性モノマー0〜5重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜10重量%からなり、ガラス転移温度が0℃以下であるゴムラテックスの固形分50〜90重量部の存在下に、メタクリル酸エステル10〜100重量%、芳香族ビニルモノマー0〜90重量%、シアン化ビニルモノマー0〜25重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる単量体混合物10〜50重量部を合計量が100重量部になるようにグラフト重合することにより得られる請求項6または7記載の成形用熱可塑性重合体粒子の製造方法。
【請求項9】
乳化重合体が、メタクリル酸メチル50〜95重量%、炭素数2〜8のアルキル基を有するメタクリル酸エステル5〜50重量%、およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%からなる重合体ラテックスの固形分80〜95重量部の存在下に、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸エステルより選ばれた1種以上のモノマー20〜80重量%、メタクリル酸メチル20〜80重量%、ならびにこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%との単量体混合物5〜20重量部を合計量が100重量部になるように、グラフト重合することにより得られる請求項6または7記載の成形用熱可塑性重合体粒子の製造方法。
【請求項10】
乳化重合体が、メタクリル酸メチル40〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜60重量%および架橋性モノマー0.01〜10重量%を重合してなる重合体ラテックスの固形分10〜60重量部の存在下に、アルキルアクリレート60〜100重量%、これらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%および架橋性モノマー0.1〜5重量%からなる単量体混合物40〜90重量部を重合して2層重合体ラテックスを得、得られた2層重合体ラテックスの固形分100重量部の存在下に、さらに(メタ)アクリル酸エステル60〜100重量%およびこれらと共重合可能なビニルモノマー0〜40重量%からなる単量体混合物11〜67重量部を重合してなる3層構造を有する請求項6または7記載の成形用熱可塑性重合体粒子の製造方法。
【請求項11】
電解質水溶液が、無機塩の水溶液である請求項6、7、8、9または10記載の成形用熱可塑性重合体粒子の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/076538
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502826(P2005−502826)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001360
【国際出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】