説明

重合体試薬と重合体試薬の組成物の調製方法

水溶性重合体の活性炭酸塩エステルの調製方法を提供する。水溶性重合体の活性炭酸塩エステルだけでなく対応する組成物に関する他の方法も提供する。(a)任意に触媒または酸で中和された塩基の存在下で活性炭酸塩試薬からなる組成物と非プロトン溶媒およびアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物を混合するステップであって、活性炭酸塩試薬からなる組成物が添加されることにより活性炭酸塩試薬がアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対し過剰になり結果として水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる組成物となるステップと、(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる組成物に添加するステップであって、反応性分子からなる組成物が添加されることにより実質的に全ての未反応活性炭酸塩試薬が実質的に使用されるステップとを含む合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、水溶性および非ペプチド系重合体(「重合体試薬」)だけでなく同様の水溶性の組成物、結合体、医薬組成物の調製方法および医薬組成物の投与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
科学者および臨床医は、患者への供給に適した形態に活性剤を発展されるための試みにおいて多くの課題に直面する。例えば、タンパク質である活性剤は、しばしば、経口よりむしろ注入により供給される。この方法により、タンパク質は、胃のタンパク質分解の環境に曝露されることなく全身循環系に導入される。
【0003】
しかし、タンパク質の注入には、いくつかの欠点がある。例えば、多くのタンパク質は、比較的短い半減期を有し、従って、繰り返し注入が必要であり、しばしば、不便で痛みを伴う。さらに、タンパク質によっては、一つ以上の免疫反応を発現させる可能性があり、結果として、患者の免疫システムが免疫原性のタンパク質を破壊または中和しようとする。もちろん、一度タンパク質が破壊または中和されると、タンパク質は意図する薬力学的作用を発揮することができない。従って、タンパク質などの活性剤の供給は、これらの薬剤が注入により投与されても、しばしば、問題になる。
【0004】
注入を介して活性剤を供給する問題点の解決において、多少の成功を収めた。例えば、活性剤の水溶性重合体への結合は、削減された免疫原性および抗原性を有する重合体−活性剤結合を引き起こした。さらに、重合体−活性結合は、腎臓を介した排除の低下および/または全身循環系における酵素的分解の低下の結果として、非結合対応物と比較すると、しばしば、半減期を増大する。半減期の増大の結果、重合体−活性剤結合は頻繁に投与を必要とせず、結果として痛みを伴う注入および医療担当者への不便な訪問の回数を全体的に削減する。さらに、僅かに可溶性であった活性剤は、水溶性重合体と結合したとき、水溶性が著しく増加した。
【0005】
文書化された安全性だけでなく局所および内部使用の双方に対するFDAによる承認のため、ポリエチレングリコールは活性剤に結合される。活性剤が重合体またはポリエチレングリコールまたは「PEG」に結合されると、結合された活性剤は、慣習的に「ペグ化」と呼ばれる。PEGASYS(登録商標)ペグ化インターフェロンα−2a(Hoffmann−La Roche,Nutley,NJ)、PEG−INTRON(登録商標)ペグ化インターフェロンα−2b(Schering Corp.,Kennilworth,NJ)およびNEULASTATMPEG−フィルグラスチム(Amgen Inc.,Thousand Oaks,CA)などのペグ化活性剤の商業的成功は、活性剤の結合形態の投与が非結合対応物に対して著しい利点を有することを示す。ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(非特許文献1)およびフルオロウラシル(非特許文献2)などの小分子もペグ化されている。非特許文献3は、医薬品におけるペグ化の作用の見直しを提供している。非特許文献3。
【0006】
一般的に、結合の形成は、活性剤と重合体試薬間の反応を伴う。少量の重合体試薬がNektar Therapeuticsなどの市販供給源から入手可能だが、商業規模または生産規模の重合体試薬が必要な場合、懸念が生じる。特に、所望する結合の生成に使用される特定の重合体試薬(または所望する結合の生成に使用される重合体試薬の生成に役立つ中間生成物)が、潜在的に有害な不純物をほとんど含まず、適時に効率的で経済的な方法で合成できないという懸念がある。
【0007】
例えば、重合体試薬だけでなく他の重合体試薬の調製に役立つ中間生成物に使用される活性エステルを有する重合体の従来の合成は、除去されなければならない過剰の低分子試薬(ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸など)を必要とする。複雑だが、低分子量試薬が他の分子と反応せず、これにより所望しない副反応および生成を引き起こし、結果として比較的に不純生成物および生産量の減少を生じるので、低分子量試薬の除去は不可欠である。
【0008】
活性剤を有する重合体を調製するためのアプローチの一つとして、米国特許番号6,624,246は、ベンゾトリアゾール炭酸基を有するメトキシ(基)ポリ(エチレングリコール)(「mPEG−BTC」)の合成を記述している。その記述によると、プロセスは、効果的なmPEG−BTC形成の後、mPEG−BTC種を精製し、未反応のジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸および他の低分子量生産物(例えば、1−ベンゾトリアゾリル)を除去するためのmPEG−BTC精製を伴う。特許文献1に記述されるように、mPEG−BTCの精製は、複数の沈殿工程を伴う。工程の概要を以下に示す。
【0009】
【化4】

ポリ(エチレングリコール)の一部が約20,000ダルトンの重量平均分子量を有するmPEG−BTCの製造において、全てのmPEG−OHのmPEG−BTCへの100%転化を達成するためには、8倍過剰のdiBTCを使用する。比較的多量のdiBTCが未反応に留まるが、さらなる合成工程を実行する前に除去されなければならない。さもなければ、残留のdiBTCは、接触したあらゆる反応基(例えば、アルコール基、アミン基など)と反応し、所望しない不純物の導入および全体的な生産量の減少を引き起こす。
【0010】
特許文献2に記述されるように、mPEG−BTCは、リジン(アミノ基2つとカルボン酸基一つを有する)と反応することによりmPEG残基が各アミノ基に結合し、カルボン酸がさらなる官能化に使用される「リジン分枝状」構造を提供する。過剰のリジンを用いて過剰のdiBTCを使用すると考えることができるが、そのようなアプローチには、少なくとも2つの理由による欠点がある。第一に、diBTCとmPEG−BTCが使用可能なリジンアミノ基を競うため、所望するリジン分枝状構造と単一mPEG残基、単一BTC基および単一カルボン酸のみを有する他の種の混合物となる。第二に、本アプローチが成功したとしても、非リジン残基含有生産物が所望される状態を解決しない。
【0011】
mPEG−BTC精製中にmPEG−BTCの形成から過剰diBTCを破壊することのみにより、リジン反応中に過剰diBTCの保有を避けてよい。イソプロピル(基)アルコール(IPA、イソプロパノール)は、塩化メチレン溶液からmPEG−BTCを沈殿させるためにエチルエーテルに置換されてよい[すなわち、例えば、上記概略図の工程B(c)]。本変更が実施されると、IPAは、塩化メチレンとIPAの混合物に可溶性であるイソプロピル(基)−BTCを形成するために過剰diBTCと反応する。残念だが、大規模でのこのような操作において、イソプロピル(基)−BTCの一部は、mPEG−BTC沈殿中に閉じ込められる。イソプロピル(基)−BTCは、リジンとの任意の反応でmPEG−BTCと競うため、イソプロピル(基)−BTCは、製造を継続する前に除去されなければならない。閉じ込められたイソプロピル(基)−BTCを除去するために、イソプロピル(基)−BTCからmPEG−BTCを分離するための追加の「再沈殿」工程が、1または2つ実行されなければならない。各細沈殿は、約85〜95%の個体のみが回収されるので、mPEG−BTC生産物を多少失うため、本アプローチは、高価でさらなる時間を必要とする。
【0012】
活性剤を有する重合体の別のアプローチにおいて、特許文献3は、スクシンイミド炭酸基(「mPEG−SC」)を有するメトキシ(基)ポリ(エチレングリコール)の合成を記述している。その記述によると、プロセスは、効果的なmPEG−SCの形成後、mPEG−SC種を精製し、未反応のジスクシンイミジルと他の低分子量生産物(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド)を除去するためのmPEG−SC精製を伴う。特許文献3に記述されるように、mPEG−SCの精製は、濾過および複数の沈殿工程を伴う。本プロセスの概略図を以下に示す。
【0013】
【化5】

ポリ(エチレングリコール)の一部が約6100ダルトンの重量平均分子量を有するmPEG−SCの製造において、全てのmPEG−OHからmPEG−SCへの100%転化を達成するために、20倍過剰のDSCが使用される。多量のDSCは、MPEG−OHのmPEG−SCへの最適な転化を確実にするが、比較的多量のDSCが、未反応に留まり、さらなる合成工程を実行する前に除去されなければならない。さもなければ、残留DSCは、接触したらあらゆる反応基(例えば、アルコール基、アミン基など)と反応し、所望しない不純物の導入および全体的な生産量の減少を引き起こす。
【特許文献1】米国特許第6,624,246号明細書
【特許文献2】米国特許第5,932,462号明細書
【特許文献3】米国特許第5,281,698号明細書
【非特許文献1】Zalipsky(1993)Bioconjug.Chem.4(4):296−299
【非特許文献2】Ouchi et al.(1992)Drug Des.Discov.9(1):93−105
【非特許文献3】Harris et al.(2003)Nat.Rev.Drug Discov.2(3):214−221
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、低分子量試薬が添加されることにより「ワンポット」反応を生じる同じ反応混合物からdiBTCおよび/またはその反応性分解剤などの過剰低分子量試薬を除去するための効果的な方法の必要性が残る。本発明は、当該分野における本必要性およびその他の必要性を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の要約
一つ以上の実施形態における合成方法を提供し、本方法は、
(a)任意に触媒または酸で中和された塩基の存在下で、活性炭酸塩試薬からなる組成物とアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物を混合し、活性炭酸塩試薬からなる組成物が添加されることにより、活性炭酸塩試薬がアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応の活性炭酸塩試薬からなる組成物を生じるステップと、
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる組成物に添加し、反応性分子からなる組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応の活性炭酸塩試薬が実質的に使用されるステップと、を含む。
【0016】
本発明の一つ以上の実施形態における合成方法を提供し、本方法は、
(a)(n)が2〜約4000の整数をもつ以下の構造
CHO−(CHCHO)−CHCH−OH
を有するヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物をジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸と混合し、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩からなる組成物が添加されることにより、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩がヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、(n)が2〜約4000の整数で未反応ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩である、以下の構造
【0017】
【化6】

を有する水溶性重合体の活性炭酸塩エステルからなる組成物を生じるステップと、
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩からなる組成物に添加し、反応性化合物からなる組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩が実質的に使用されるステップと、を含む。
【0018】
本発明の一つ以上の実施形態における合成方法を提供し、本方法は、
(a)(n)が2〜約4000の整数をもつ以下の構造
CHO−(CHCHO)−CHCH−OH
を有するヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物をジスクシンイミジル炭酸塩と混合し、ジスクシンイミジル炭酸塩からなる組成物が添加されることにより、ジスクシンイミジル炭酸塩がヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、(n)が2〜約4000の整数で未反応ジスクシンイミジル炭酸塩である、以下の構造
【0019】
【化7】

を有する水溶性重合体の活性炭酸塩エステルからなる組成物を生じるステップと、
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応ジスクシンイミジル炭酸塩からなる組成物に添加し、反応性化合物からなる組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応ジスクシンイミジル炭酸塩が実質的に使用されるステップと、を含む。
【0020】
本発明の一つ以上の実施形態における合成方法を提供し、本方法は、
(a)(n)が2〜約4000の整数をもつ以下の構造
CHO−(CHCHO)−CHCH−OH
を有するヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物をp−ニトロフェニルクロロホルメートからなる組成物と混合し、p−ニトロフェニルクロロホルメートからなる組成物が添加されることにより、p−ニトロフェニルクロロホルメートがヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、(n)が2〜約4000の整数で未反応p−ニトロフェニルクロロホルメートである、以下の構造
【0021】
【化8】

を有する水溶性重合体の活性炭酸塩エステルからなる組成物を生じるステップと、
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応p−ニトロフェニルクロロホルメートからなる組成物に添加し、反応性化合物からなる組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応p−ニトロフェニルクロロホルメートが実質的に使用されるステップと、を含む。
【0022】
本発明の一つ以上の実施形態における合成方法を提供し、本方法は、
(i)任意に触媒または酸で中和された塩基の存在下で、アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物を活性炭酸塩試薬からなる組成物と混合し、活性炭酸塩試薬からなる組成物が添加されることにより、活性炭酸塩試薬がアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応の活性炭酸塩試薬からなる組成物を生じる、および
(ii)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる組成物に添加し、反応性分子からなる組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応活性炭酸塩試薬が結合条件下で活性剤を用いることにより実質的に使用され、結果として水溶性重合体−活性剤結合となることにより、
調製される水溶性重合体の活性炭酸塩エステルを反応させるステップを含む。
【0023】
一つ以上の反応において、重合体試薬は、
(a)任意に触媒または酸で中和された塩基の存在下で、アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物を活性炭酸塩試薬からなる組成物と混合し、活性炭酸塩試薬からなる組成物が添加されることにより、活性炭酸塩試薬がアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応の活性炭酸塩試薬からなる組成物を生じる、
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる組成物に添加し、反応性分子からなる組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応活性炭酸塩試薬が実質的に使用される、および
(c)重合体試薬を形成するために、一つ以上の反応で水溶性重合体の活性炭酸塩エステルを結合条件下で活性剤と反応させることにより、
結果として水溶性重合体−活性剤結合を生じることにより、
調製される。
【0024】
本発明の一つ以上の実施形態における合成方法を提供し、本方法は、
(a)任意に触媒または酸で中和された塩基の存在下で、アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物を活性炭酸塩試薬からなる組成物と混合し、活性炭酸塩試薬からなる組成物が添加されることにより、活性炭酸塩試薬がアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応の活性炭酸塩試薬からなる組成物を生じる、
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる組成物に添加し、反応性分子からなる組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応活性炭酸塩試薬が実質的に使用される、および
(c)重合体試薬を形成するために、一つ以上の反応で水溶性重合体の活性炭酸塩エステルを結合条件下で活性剤と反応させることにより、結果として、水溶性重合体−活性剤結合を生じることにより、
調製される。
【0025】
本発明の一つ以上の実施形態において、結合−含有組成物の調製方法が提供され、本方法は、本明細書で記述される合成方法に従って調製される水溶性重合体(またはそれから調製された重合体試薬)の活性炭酸塩エステルを活性剤と混合することにより結合−含有組成物を生じるステップを含む。
【0026】
本発明の一つ以上の実施形態において、組成物結合−含有組成物が提供され、組成物は、本明細書で提供される結合−含有組成物の調製方法から得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の詳細な説明
本発明の一つ以上の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、特定の重合体、試薬およびその等価物に制限されるものではなく、様々であってよいことを理解する。
【0028】
本仕様および請求項で使用されるように、単一形態「a」、「an」および「the」は、内容が明確に表示されない限り、複数の対象を含むことに留意しなければならない。従って、例えば、「重合体」とは、単一重合体だけでなく2つ以上の同じまたは異なる重合体を含み、「活性炭酸塩試薬」は、単一活性炭酸塩試薬だけでなく2つ以上の同じまたは異なる活性炭酸塩試薬などを示す。
【0029】
本発明の記述および請求項において、以下の用語が以下に提供される定義に基づき使用される。
【0030】
本明細書で使用される「PEG」、「ポリエチレングリコール」および「ポリ(エチレングリコール)」は、交換可能である。一般的に、本発明に基づくPEGsの使用は、(n)が2〜4000である、次の構造、「−(OCHCH−」を含む。本明細書で使用されるように、PEGは、末端炭素が置換されるかされないかにかかわらず「−CHCH−O(CHCHO)−CHCH−」および「−(OCHCHO−」も含む。仕様および請求項を通して、用語「PEG」は、様々な末端または「終端キャップ」基を有する構造を含むことを理解するべきである。用語「PEG」は、大半の、つまり50%,以上の−OCHCH−または−CHCHO−反復サブユニットを含む重合体も意味する。特定の形態において、PEGは、以下に詳細を記述するが、様々な数の分子量だけでなく、「分枝鎖状」、「線状状」、「分岐状」「多官能」などの構造または形状も取る。
【0031】
用語「終端キャップ」および「末端キャップ」は、終端キャップ分子部分を有する重合体の末端またはエンドポイントを意味するために交換可能に使用される。一般的に、必要ではないが、終端キャップされた分子部分は、ヒドロキシまたはC1−20アルコキシ基、より好ましくはC1−10アルコキシ基、さらに好ましくはC1−5アルコキシ基を含む。従って、終端キャップされた分子部分の例は、アルコキシ(例えば、メトキシ(基)、エトキシおよびベンジルオキシ)だけでなく、アリール、ヘテロアリール、シクロ、ヘテロシクロなどを含む。終端キャップ分子部分は、重合体の末端単量体[例えば、CH(OCHCH−の終端キャップ分子部分「メトキシ(基)」]の一つ以上の原子を含んでよい。さらに、前記の各飽和、不飽和、置換および未置換形態が想定される。さらに、終端キャップ基は、シランでもよい。終端キャップ基は、有利に検出可能なラベルも含む。重合体が検出可能なラベルを含む終端キャップ基を有する場合、重合体が結合する重合体および/または分子部分(例えば、活性剤)の量または位置は、適切な検出器を使用して判断されてよい。そのようなラベルは、これに制限されないが、蛍光因子、化学発光物質、酵素ラベルに使用される分子部分、比色分子部分(例えば、染料)、金属イオン、放射活性部分などを含む。適切な検出器は、光測定器、フィルム、スペクトロメータなどを含む。終端キャップ基は、有利にリン脂質も含む。重合体がリン脂質を含む終端キャップ基をもつ場合、特有の性質が重合体に付与され、結合を生じる。例示的なリン脂質は、これに制限されないが、フォスファチジルコリンと呼ばれるリン脂質の類から選択されるものを含む。特定のリン脂質は、これに制限されないが、ジラウロリルフォスファチジルコリン、ジオレイルフォスファチジルコリン、ジパルミトイルフォスファチジルコリン、ジステロイルフォスファチジルコリン、ベヘノイルフォスファチジルコリン、アラキドイルフォスファチジルコリンおよびレシチンからなる群から選択されるものを含む。
【0032】
本明細書で記述される重合体に関する「非天然」は、その全体が自然界で発見されない重合体を意味する。しかし、非天然重合体は、全体的な重合体構造が自然界で発見されない限り、自然に起こる一つ以上の単量体または単量体の一部を含んでよい。
【0033】
「水溶性重合体」の用語「水溶性」は、室温で水に溶解するあらゆる重合体である。一般的に、水溶性重合体は、濾過後同じ溶液により透過される光の少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約95%を透過する。重量基準において、水溶性重合体は、好ましくは、少なくとも約35%(重量で)水に可溶、より好ましくは、少なくとも約50%(重量で)水に可溶、さらに好ましくは、約70%(重量で)水に可溶、さらにより好ましくは、約85%(重量で)水に可溶である。しかし、最も好ましくは、水溶性重合体は、約95%(重量で)水に可溶または完全に水に可溶である。
【0034】
PEGなどの水溶性重合体の状況での分子量は、数平均分子量または重量平均分子量のいずれかにより表現される。記述がない限り、本明細書の分子量に関する全ての基準は、重量平均分子量を意味する。数平均分子量および重量平均分子量双方の分子量測定は、ゲル透過クロマトグラフィーまたは他の液体クロマトグラフィー技術を使用して測定されてよい。数平均分子量を判断するために末端基分析または束一的性質の測定(例えば、氷点降下、沸点上昇または浸透圧)の使用、または重量平均分子量を判断するために光散乱技術、超遠心分離または粘度測定法の使用など、分子量値測定の他の方法も使用されてよい。本発明の重合体は、一般的に、好ましくは約1.2未満、より好ましくは約1.15未満、さらに好ましくは約1.10未満、またさらに好ましくは約1.05未満、最も好ましくは約1.03未満の低多分散値を有する多分散(すなわち、重合体の数平均分子量および重量平均分子量が等しくない)である。本明細書で使用されるように、基準は、重量平均分子量または数平均分子量のいずれかを有する単一水溶性重合体にある時点で行われ、そのような基準は、単一水溶性重合体は、記載された分子量を有する水溶性重合体の組成物から得られたことを意味することを理解する。
【0035】
特定の官能基と関連して使用される時、用語「活性」または「活性された」は、他の分子上の求電子または求核と容易に反応する活性官能基を意味する。これは、反応するために強い触媒または非常に実施不可能な反応条件を必要とする基(すなわち、「非反応性」または「非活性」基)と対照である。
【0036】
本明細書で使用されるように、用語「官能基」またはそのあらゆる同意語は、その保護形態だけでなく非保護形態を包含することを意味する。
【0037】
用語「スペーサ部分」、「リンク」または「リンカー」は、本明細書で重合体の末端と活性剤または活性剤の求電子または求核などの連続の分子部分を連結するために使用される原子または原子の集まりを意味するために使用される。スペーサ部分は、加水分解的に安定していてよい、または生理学的に加水分解性または酵素的に分解性リンクを含んでよい。
【0038】
「アルキル」は、一般的に長さが約1〜15原子の範囲の炭化水素鎖を意味する。そのような炭化水素鎖は、好ましくは、必ずしも飽和でなくてもよく、一般的に直鎖が好ましいが、分枝または直鎖であってよい。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、3−メチルペンチルなどを含む。本明細書で使用されるように、「アルキル」は、シクロアルキルだけでなくシクロアルキレン含有アルキルも含む。
【0039】
「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を意味し、直鎖または分枝であってよい。これに制限されないが、例示的な低級アルキルは、メチル、エチル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルを含む。
【0040】
「シクロアルキル」は、架橋、融合またはスピロ環状化合物を含む飽和または不飽和環状炭化水素鎖を意味し、好ましくは3〜約12個の炭素原子、より好ましくは3〜8個の炭素原子からなる。「シクロアルキレン」は、環構造の任意の2個の炭素での鎖の結合によりアルキル鎖に挿入されるシクロアルキル基を意味する。
【0041】
「アルコキシ」は、Rがアルキル、置換アルキル[好ましくはC1−6アルキル(例えば、メトキシ(基)、エトキシ、プロピルオキシなど)またはC1−6置換アルキル]、アリール、置換アリールである−O−R基を意味する。
【0042】
例えば「置換アルキル」などの用語「置換」は、これに制限されないが、アルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチルなどのC3−8シクロアルキル、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどのハロ、シアノ、アルコキシ、低級フェニル、置換フェニル、ニトロなどの一つ以上の非干渉置換基と置換される分子部分(たとえば、アルキル基)を意味する。「置換アリール」は、一つ以上の非干渉置換基を有するアリールである。フェニル環上の置換基において、置換基は、いずれの位置であってよい(例えば、オルト、メタまたはパラ)。
【0043】
「非干渉置換基」は、一般的に、分子部分に存在するとき、分子内に含まれる他の官能基と反応しない基のことである。
【0044】
「アリール」は、それぞれが5または6のコア炭素原子を有する一つ以上の芳香族環を意味する。アリールは、ナフチルの融合された、またはビフェニルの融合していない複数のアリール環を含む。アリール環は、一つ以上の環状炭化水素、ヘテロアリールまたは複素環式環と融合しても癒合しなくてもよい。本明細書で使用されるように、「アリール」は、ヘテロアリールを含む。
【0045】
「ヘテロアリール」は、1〜4のヘテロ原子、好ましくは、硫黄、酸素または窒素あるいはその組み合わせを含むアリール基である。ヘテロアリール環は、一つ以上の環状炭化水素、複素環式、アリールまたはヘテロアリール環と融合してもよい。
【0046】
「複素環」または「複素環式」は、不飽和または芳香族の性質をもったまたはもたない、炭素でない環原子を少なくとも一つ有する、一つ以上の5〜12原子、好ましくは5〜7原子の環を意味する。好ましくは、ヘテロ原子は、硫黄、酸素および窒素を含む。
【0047】
「置換へテロアリール」は、置換基として一つ以上の非干渉基を有するヘテロアリールである。
【0048】
「置換複素環」は、非干渉置換基から形成される一つ以上の側鎖を有する複素環である。
【0049】
本明細書で使用される「有機ラジカル」は、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールを含んでよい。
【0050】
「求電子」および「求電子基」は、求電子中心、すなわち、電子を探す、求核と反応可能な中心を有するイオン性であってよいイオンまたは原子または原子の集まりを意味する。
【0051】
「求核」および「求核基」は、求核中心、すなわち、電子中心を探す、または求電子と反応可能な中心を有するイオン性であってよいイオンまたは原子または原子の集まりを意味する。
【0052】
「生理学的に切断可能」または「加水分解」結合は、生理学的条件下で水と反応する結合(すなわち、加水分解)である。約30分以下で25°C、pH8で加水分解半減期をもつ結合が好ましい。水中で加水分解する結合傾向は、任意の2つの原子を結ぶリンクの一般型だけでなく、これらの2つの任意の原子に結合する置換基に依存する。適切な加水分解的に不安定で弱いリンクは、これに制限されないが、カルボン酸エステル、リン酸エステル、無水物類、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルソエステル、ペプチドおよびオリゴヌクレオチドを含む。
【0053】
「酵素的に分解可能なリンク」は、一つ以上の酵素による分解を対象とするリンクを意味する。
【0054】
「加水分解的に安定した」リンクまたは結合は、化学結合、一般的に、水中で実質的に安定している、つまり、長期間にわたり生理学的条件下で評価できるほどの度合で加水分解が行われない共有結合を意味する。加水分解的に安定したリンクの例は、これに制限されないが、次の炭素−炭素結合(例えば、脂肪鎖で)、エーテル類、アミン類、ウレタンなどを含む。一般的に、加水分解的に安定なリンクは、生理学的条件下で1日約1〜2%未満の加水分解速度を示すリンクである。典型的な化学結合の加水分解速度は、最も一般的な化学テキストに記載されている。
【0055】
「医薬的に許容される賦形剤」は、任意に組成物に含まれ、患者に投与した時に著しい有害作用を生じない賦形剤を意味する。
【0056】
本明細書で使用される「治療有効量」は、血流または標的組織で所望するレベルの結合(または対応する非結合活性剤)を提供するために必要とされる結合量を意味する。正確な量は、多数の要素、例えば、特定の活性剤、治療組成物の成分および物理的性質、対象患者群、供給方法、患者の考えなどに依存し、当業者はこれを容易に決定することができる。
【0057】
「多官能」は、官能基が同じまたは異なる、そこに含まれる3つ以上の官能基を有する重合体を意味する。多官能重合体試薬は、一般的に、約3〜100の官能基、3〜50の官能基または3〜25の官能基または3〜15の官能基または3〜10の官能基を含む、あるいは重合体骨格内に3、4、5、6、7、8、9、10の官能基を含む。
【0058】
「任意」または「任意に」は、後述する状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味する、従って、記述は、状況が起こる例と状況が起こらない例を含む。
【0059】
「実質的に」(別稿の特定の文脈で特に定義または明確に記述されない限り)は、ほとんど完全または完全を意味し、例えば、次の一つ以上、条件の50%より大きい、51%以上、75%以上、80%以上、90%以上および95%以上を満たす。
【0060】
語句「実質的に非水溶性」は、(i)10,000p.p.m未満の水(1%未満)、より好ましくは、1,000p.p.m.未満の水(0.1%未満)、さらにより好ましくは、100p.p.m未満の水(0.01%未満)、さらにより好ましくは、10p.p.m未満の水(0.001%未満)を有する、組成物または反応媒体を意味する。好ましくは、必然ではないが、実質的に非水溶性条件は、不活性環境を含む。
【0061】
本明細書で使用される用語「使用される」は、化学プロセスで未反応の活性炭素試薬の全てまたはほとんどを破壊するために、任意に樹脂またはカラム上での分子部分結合であってよい反応性分子を使用して未反応活性炭素試薬[ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸など]を中和することを意味する。
【0062】
ワンポット合成方法のように、「ワンポット」は、前の反応からの生産物が次の反応を実施する前に分離を必要としないことを意味する。
【0063】
特に記述されない限り、合成方法の一部として2つ以上の組成物を一緒に「混合」するとあるように、用語「混合」は、添加の順序に関して制限されるものではない。
【0064】
「活性炭酸塩」は、diBTCだけでなく、一つ以上の化合物は真の「炭酸塩」ではないが(ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードからなる群から選択される)、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩(BTC)、ジスクシンイミジル炭酸塩(「DSC」)、p−ニトロフェニルハロホルメート、ジスクシンイミジルオキサレートおよびトリホスゲン、およびdiBTC内のベンゾトリアゾリル分子部分の一つまたは両方のアルコキシ置換も含む。しかし、活性炭酸塩は、アミン停止、ヒドロキシ停止またはチオール停止の水溶性重合体との反応時に活性ウレタン−、炭酸塩−またはチオ炭酸塩停止の水溶性重合体を生じなければならない。活性ウレタン−、炭酸塩−またはチオ炭酸塩停止の水溶性重合体は、逆に、活性基停止の水溶性重合体を生じるためにタンパク質または試薬のいずれかと反応するウレタン−、炭酸塩−またはチオ炭酸塩停止の水溶性重合体である。
【0065】
文脈に明確に記述されない限り、用語「約」が数値に先行する場合、数値は記述される数値の±10%を意味することを理解する。
【0066】
合成方法の工程
合成方法は、以下の工程を含む。
【0067】
(a)任意に触媒または酸で中和された塩基の存在下で、活性炭酸塩試薬からなる組成物とアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物を混合し、活性炭酸塩試薬からなる組成物が添加されることにより、活性炭酸塩試薬がアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応の活性炭酸塩試薬からなる組成物を生じるステップ。
【0068】
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる組成物に添加し、反応性分子からなる組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応の活性炭酸塩試薬が実質的に使用されるステップ。
【0069】
混合ステップは、特に、活性ウレタン−、炭酸塩−またはチオ停止の水溶性重合体の形成を生じる。ウレタン停止の水溶性重合体は、アミン停止の水溶性重合体からなる組成物が使用されるとき形成される。炭酸塩停止の水溶性重合体は、ヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物が使用されるとき形成される。チオ炭酸塩停止の水溶性重合体は、チオ停止の水溶性重合体が使用されるとき形成される。本明細書で提供される方法の一部として調製される、これらの形成された各水溶性重合体(すなわち、ウレタン停止の水溶性重合体、炭酸塩停止の水溶性重合体およびチオ炭酸塩停止の水溶性重合体)は、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと呼ぶ。
【0070】
本発明の方法を概略的に以下に示すが、ヒドロキシ停止の水溶性重合体mPEG−OHからなる組成物が使用されるとき、活性炭酸塩試薬は、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩であり、活性炭酸塩エステルはmPEG−BTC、そして活性分子は水となる。
【0071】
【化9】

従って、例示的なアプローチにおいて、本方法は、
a)式中、POLYが水溶性重合体、Xが(存在する場合)任意のスペーサ分子、(a)がゼロまたは1[好ましくは、POLY−(X)−OHがCHO−(CHCHO)−CHCH−OHである]のいずれかである、次の構造POLY−(X)−OHを有するヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物をジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩からなる組成物と混合し、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩からなる組成物が添加されることにより、ヒドロキシ停止の水溶性重合体に対してジ(1−ベンゾトリアゾリル)が過剰となり、結果として、(n)が2〜約4000の整数で未反応ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩(および解放されたヒドロキシベンゾトリアゾリル)である以下の構造
【0072】
【化10】

を有する水溶性重合体の活性炭酸塩エステルからなる組成物を生じるステップと、
b)水を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩からなる組成物に添加し、水が添加されることにより、実質的に全ての未反応の活性炭酸塩試薬が実質的に使用されるステップとを含む。
【0073】
本方法は、有利に「ワンポット」合成により実施される。さらに、本方法は、米国特許番号6,624,246に開示される方法で必要とされる活性炭酸塩試薬の除去のために沈殿工程を必要としない。しかし、本活性炭酸塩試薬が所望する試薬なら、沈殿により分離されてよい。
【0074】
任意で、本方法は、異なる重合体試薬を形成するために一つ以上の反応で水溶性重合体(mPEG−BTCなど)の活性炭酸塩エステルを反応させることをさらに含む。重合体試薬を形成することにより、結合条件下で重合体試薬を活性剤と反応させることを可能にし、水溶性重合体−活性剤結合を生じる。水溶性重合体(mPEG−BTCなど)の活性炭酸塩エステルは、重合体試薬の形成で中間体として使用されてよいが、結合反応で重合体試薬として活性炭酸塩エステル(mPEG−BTCなど)自体を使用することも可能である。
【0075】
水溶性重合体の活性炭酸塩エステルを回復するために、一般的に、過剰の非溶媒を添加する。非溶媒の例は、イソプロピル(基)アルコール、ジエチルエーテル、MTBE、ヘプタン、THF、ヘキサンおよびその組み合わせを含む。
【0076】
本発明の一つ以上の実施形態において、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルは、以下の構造式をもち、
POLY−O−(C=O)−O−R
式中、
POLYは、水溶性重合体、
Rは、有機ラジカルであり、
POLYは、線状メチルキャップポリ(エチレングリコール)であるときは、線状メチルキャップポリエチレングリコールは、少なくとも103の分子量をもつ。
【0077】
本方法で使用する例示的な活性分子は、水、低級アルキル一価アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなど)、低級アルキル一塩基アミン、および(例えば、Duolite A−7アミンゲルなどのアミンゲルを介して)結合活性カルボキシレート、ヒドロキシ、チオールまたはアミン基を有する樹脂などの求核性分子を含む。有利に、そのような樹脂は、「活性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる組成物に添加」するステップをもたらすために、未反応活性炭酸塩試薬が移動できるカラムの一部を形成する。しかし、活性分子が水であることが好ましい。水は直接添加されてよい。さらに、水は、水和塩などの水を解放する分子部分を介して添加されてよい。
【0078】
本方法の一つ以上の実施形態において、二酸化炭素の形成は、未反応活性炭酸塩試薬が実質的に使用されるとき生じる。
【0079】
混合工程は、アミン停止、ヒドロキシ停止またはチオール停止の水溶性重合体からなる組成物として必要である。本明細書で使用されるように、「アミン停止、ヒドロキシ停止またはチオール停止の水溶性重合体」は、アミン基、ヒドロキシ基またはチオール基が実際に水溶性重合体の末端に位置しているかどうかに関わらず、少なくとも1つのアミン基(「−NH」)またはヒドロキシ基(「−OH」)またはチオール基(「−SH」)を有するあらゆる水溶性重合体である。実際、アミノ基(−NH)またはヒドロキシ基(「OH」)チオール基(「−SH」)は、芳香族基に結合されてよい。
【0080】
混合工程は、活性炭酸塩試薬からなる組成物も必要とする。本方法に使用する活性炭酸塩は、必要ではないが、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩(BTC)、ジスクシンイミジル炭酸塩(「DSC」)、p−ニトロフェニルクロロホルメート、トリクロロフェニルクロロホルメート、p−ニトロフェニルスクシンイミジル炭酸塩、p−ニトロフェニル1−ベンゾトリアゾリル炭酸塩、ペンタフルオロフェニルクロロホルメート、1,1’−カルボニルジイミダゾール、ジスクシンイミジルオキサレートおよびトリホスゲンからなる群から選択される。特定の場合において、活性炭酸塩試薬は、次の構造式、R−O(C=O)−OR;R−O(C=O)−OR’およびR−O(C=O)Xの一つをもち、式中、Rは有機ラジカル、R’はRと異なる有機ラジカル、およびXはCl、BrまたはIである。
【0081】
アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対する活性炭酸塩試薬の過剰は、以下の一つ以上を表す。少なくとも約5モル%過剰、少なくとも約50モル%過剰、少なくとも約2モル過剰、少なくとも約4モル過剰および少なくとも約8モル過剰。
【0082】
水溶性重合体の活性炭酸塩エステルの調製方法は、例えば、米国特許番号6,624,246および5,932,462に記述されるように、特に、重合体試薬の形成に役立つ中間体を提供する有用性をもつ。
【0083】
混合工程は、一般的に、実質的に非水溶性条件下で実行される。さらに、非プロトン性溶媒系組成物は、合成方法で使用される。また、合成アプローチ全体は、しばしば、アルゴンなどの不活性環境下で実行される。
【0084】
本方法の工程の一つ以上は、有機溶媒中で実行される。あらゆる有機溶媒が使用されてよいが、本発明は、これに制限されないが、ハロゲン化脂肪族炭化水素、アルコール類、芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、エーテル、環状エーテルおよびその組み合わせからなる群から選択されるこれらの溶媒を含む。好適な溶媒の例は、塩化メチレン(ジクロロメタン)、クロロホルム、オクタノール、トルエン、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジエチル炭酸、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO、ジメチルアセトアミド、N−シクロヘキシルアセトアミド、シクロヘキサンおよびその組み合わせからなる群から選択されるそれらを含む。
【0085】
結合体含有組成物の調製方法
本発明の一つ以上の実施形態において、結合体含有組成物の調製方法を提供するが、本方法は、活性剤を水溶性重合体の活性炭酸塩エステル(または水溶性重合体のそのような活性炭酸塩エステルを使用して調製された重合体試薬)と混合することを含み、これにより、結合体含有組成物を生じる。従って、結合体含有組成物の調製方法は、本発明内に含まれる。
【0086】
結合体含有組成物
本発明の一つ以上の実施形態において、結合体含有組成物を提供するが、本明細書に提供するように、本方法から得る組成物は、活性剤を水溶性重合体の活性炭酸塩エステル(または水溶性重合体のそのような活性炭酸塩エステルを使用して調製された重合体試薬)と混合することを含む。
【0087】
従って、結合体含有組成物は、本発明内に含まれる。組成物(結合体組成物および試薬組成物の双方)は、既存の方法より純度が高く、より効率的に調製されると考えられる。
【0088】
水溶性重合体(「POLY」)
本明細書で使用されるように、用語「水溶性重合体」は、生体許容および非免疫原性である水溶性重合体を含み、特定的に、生体許容および非免疫原性でないあらゆる水溶性重合体部分を除外する。生体許容に関して、物質のみまたは生組織(例えば、患者への投与)に関する他の物質(例えば活性剤)を用いた物質の使用に関する有益作用が、例えば、医師などの臨床医により評価されるようなあらゆる有害作用を上回る場合、物質は生体許容と考えられる。非免疫原性に関して、in vivoでの物質の使用目的が所望しない免疫反応(例えば、抗体の形成)を生じない場合、または免疫反応が生じてもそのような反応が臨床医により評価されるような臨床的に有意または重要と見なされない場合、物質は非免疫原性と考えられる。本明細書に記載される水溶性ポリマーの一部および結合体は、生体許容かつ非免疫原性であることが特に望ましい。
【0089】
重合体を示すとき、重合体は、本発明での使用に適切であると本明細書に記述されるそれらなど、あらゆる数の水溶性および非ペプチド重合体であってよい。好ましくは、ポリ(エチレングリコール)(すなわち、PEG)は、重合体である。用語PEGは、線状形状、分枝状または多腕形状(例えば、分岐状PEGまたはポリオールコアに結合するPEG)、ペンダント状PEG、または分解性リンクを伴うPEGを含むあらゆる数の幾何学構造または形状のポリ(エチレングリコール)を含むが、以下により完全に記述される。
【0090】
重合体により保持される官能基の数と官能基の位置は変動する。一般的に、重合体は、1〜約25の官能基、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の官能基を含む。PEG重合体などの直状重合体は、一般的に、重合体鎖の末端に位置する1つまたは2つの官能基を含む。PEG重合体が単官基(すなわち、mPEG)の場合、重合体は、官能基を1つ含む。PEG重合体が二官能基の場合、重合体は、重合体鎖の各末端に2つの独立して選択される官能基を含んでよい。理解されるように、多腕または分枝重合体は、多数の官能基を含んでよい。
【0091】
参照によりその全体が本明細書に記載されているものとみなす米国特許番号5,932,462に記述されるものなど、多腕または分枝PEG分子も、PEG重合体として使用されてよい。一般的に、多腕または分枝重合体は、分岐点の中心から伸びる2つ以上重合体「腕」を有する。例えば、例示的な分枝PEG重合体は、
【0092】
【化11】

の構造を有し、
式中、PEGおよびPEGが本明細書で記述されるいずれかの形状または幾何学構造のPEG重合体で、同じまたは異なってよく、L’は、加水分解的に安定したリンクである。例示的な分枝PEGは、
【0093】
【化12】

の構造を有し、
式中、polyおよびpolyは、メトキシ(基)ポリ(エチレングリコール)などのPEG骨格、R”は、H、メチルまたはPEG骨格などの非反応性分子部分、およびPおよびQは、非反応性リンクである。好適な実施形態において、分枝PEG重合体は、メトキシ(基)ポリ(エチレングリコール)二置換リジンである。本明細書の目的のため、多腕構造は、3つ以上の分枝を含むが、分枝構造は、2分枝のみを含む。
【0094】
分枝PEG構造は、以下に示すように、第三低重合体または重合体鎖に結合されてよく、
【0095】
【化13】

式中、PEGは、PEGおよびPEGと同じまたは異なってよい第三PEG低重合体または重合体鎖である。
【0096】
PEG重合体は、代わりに、分岐PEGを含んでよい。一般的に、分岐構造を有する重合体は、重合体の加水分解的に安定した分岐点から伸びる共有結合を介して2つ以上の官能基に結合する重合体鎖を有するのが特徴である。分岐PEGの例は、PEG−YCHZにより示され、式中、Yは結合基で、Zは、生物活性物質に共有結合するための活性末端基である。Z基は、定義された長さの原子鎖によりCHに結合される。米国特許番号6,362,254は、本発明で使用可能な様々な分岐PEG構造を開示している。Z官能基(例えば、ヒドロキシ基)を分枝炭素原子に結合する原子鎖は、連結基として使用され、例えば、アルキル鎖、エーテルリンク、エステルリンク、アミドリンクまたはその組み合わせを含んでよい。
【0097】
PEG重合体は、PEG鎖の末端でなくPEG骨格の長さに沿って共有結合される反応基(例えば、ヒドロキシ基)を有するペンダント状分子を含む。ペンダント状反応基は、アルキレン基など、直接または結合分子部分を介してPEG骨格に結合されてよい。
【0098】
上述のPEG形状に加え、重合体は、上述のあらゆる重合体を含む重合体の骨格に一つ以上の加水分解的に安定したまたは分解性リンクを用いて調製されてもよい。例えば、PEGは、加水分解の対象である重合体の骨格でエステルリンクを用いて調製されてよい。以下に示すように、加水分解は、重合体の切断により低分子量の分解物を生じる。
【0099】
【化14】

重合体の骨格内の分解性リンクとして役立つ、他の加水分解的分解性リンクは、炭酸塩リンク、アミンとアルデヒドの反応から生じるイミンリンク(例えば、Ouchi et al.,Polymer Preprints,38(1):582−3(1997)を参照)、例えば、アルコールをリン酸基と反応させることにより形成されるリン酸エステルリンク、一般的にヒドラジドとアルデヒドの反応により形成されるヒドラゾンリンク、一般的にアルデヒドとアルコール間の反応により形成されるアセタールリンク、例えば、酸誘導体とアルコール間の反応により形成されるオルソエステルリンク、および、例えば、重合体の末端のホスホラミダイト基とオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシ基により形成されるオリゴヌクレオチドリンクを含む。上述の多くの分解性リンクの使用は、アミノ基との不安定なリンクの多くが求核反応をもつため、あまり好ましくない。
【0100】
用語ポリ(エチレングリコール)またはPEGが、上のPEG形状の全てを示すまたは含むことは、当業者にとって明らかである。
【0101】
他の非ペプチドおよび水溶性重合体鎖を含むあらゆる他の様々な重合体も、本発明で使用されてよい。重合体は線状であってよく、上述のいかなる形状(例えば、分枝、分岐など)であってよい。適切な重合体の例は、これに制限されないが、米国特許番号5,629,384に記述される他のポリ(アルキレングリコール)、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(サッカリド)、ポリ(α−ヒドロキシ酢酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)および共重合体、ターポリマーおよびその混合物を含む。
【0102】
水溶性重合体の分子量は所望の実施形態、重合体構造、分枝の程度などの構成により変動する可能性があるが、分子量は以下の値の一つ以上を満たす。100ダルトン以上、200ダルトン以上、400ダルトン以上、500ダルトン以上、750ダルトン以上、900ダルトン以上、1,000ダルトン以上、1,400ダルトン以上、1,500ダルトン以上、1,900ダルトン以上、2,000ダルトン以上、2,200ダルトン以上、2,500ダルトン以上、3,000ダルトン以上、4,000ダルトン以上、4,900ダルトン以上、5,000ダルトン以上、6,000ダルトン以上、7,000ダルトン以上、7,500ダルトン以上、9,000ダルトン以上、10,000ダルトン以上、11,000ダルトン以上、14,000ダルトン以上、15,000ダルトン以上、16,000ダルトン以上、19,000ダルトン以上、20,000ダルトン以上、21,000ダルトン以上、22,000ダルトン以上、25,000ダルトン以上、30,000ダルトン以上。本明細書で有用な対象の水溶性重合体部分の分子量の最大限度は、約300,000ダルトン未満である。
【0103】
重合体の分子量は、一般的に、少なくとも以下の範囲内の一つに収まる。約100ダルトン〜約100,000ダルトン、約200ダルトン〜約60,000ダルトン、約300ダルトン〜約40,000ダルトン。
【0104】
水溶性重合体部分の例示的な分子量は、約100ダルトン、約200ダルトン、約300ダルトン、約350ダルトン、約400ダルトン、約500ダルトン、約550ダルトン、約600ダルトン、約700ダルトン、約750ダルトン、約800ダルトン、約900ダルトン、約1,000ダルトン、約2,000ダルトン、約2,200ダルトン、約2,500ダルトン、約3,000ダルトン、約4,000ダルトン、約4,400ダルトン、約5,000ダルトン、約6,000ダルトン、約7,000ダルトン、約7,500ダルトン、約8,000ダルトン、約9,000ダルトン、約10,000ダルトン、約11,000ダルトン、約12,000ダルトン、約13,000ダルトン、約14,000ダルトン、約15,000ダルトン、約20,000ダルトン、約22,500ダルトン、約25,000ダルトン、約30,000ダルトン、約35,000ダルトン、約40,000ダルトン、約50,000ダルトン、約60,000ダルトンおよび約75,000ダルトンを含む。
【0105】
分枝状重合体に関して、重合体の全分子量における適切なサイズの例示的な範囲(基本的に2つの水溶性重合体の一部の合計量に基づく)は、以下を含む。約200ダルトン〜約100,000ダルトン、約1,000ダルトン〜約80,000ダルトン、約2,000ダルトン〜約50,000ダルトン、約4,000ダルトン〜約25,000ダルトンおよび約10,000ダルトン〜約40,000ダルトン。より特定的に、本発明の分枝状重合体の全重量平均分子量は、以下の一つに対応する。400;1,000;1,500;2,000;3000;4,000;10,000;15,000;20,000;30,000;40,000;50,000;60,000;または80,000。
【0106】
PEGに関して、「−(CHCHO)−」または「−(OCHCH」などの反復エチレン酸化物単量体を含む構造が提供されるとき、(n)の好適な値は、約3〜約3,000、約10〜約3,000、約15〜約3,000、約20〜約3,000、約25〜約3,000、約30〜約3,000、約40〜約3,000、約50〜約3,000、約55〜約3,000、約75〜約3,000、約100〜約3,000および約225〜約3,000を含む。
【0107】
スペーサー分子部分(「X」)
任意に、スペーサー分子部分は水溶性重合体に含まれ、他の構造を本明細書に提供する。例示的なスペーサー分子部分は、以下の−O−、−S−、−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−NH−、−O−C(O)−NH−、−C(S)−、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−CH−O−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−O−CH−、−CH−C(O)−O−CH−、−CH−CH−C(O)−O−CH−、−C(O)−O−CH−CH−、−NH−C(O)−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−NH−CH−、−NH−CH−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−CH−、−C(O)−CH−、−C(O)−CH−CH−、−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−O−C(O)−NH−[CH0−6−(OCHCH0−2−、−C(O)−NH−(CH1−6−NH−C(O)−、−NH−C(O)−NH−(CH1−6−NH−C(O)−、−O−C(O)−CH−、−O−C(O)−CH−CH−、−O−C(O)−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−、二価シクロアルキル基、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、O−C(O)−NH−[CH−(OCHCH−および前述の任意の2つ以上の組み合わせを含み、式中、(f)は0〜6、(n)は0〜20(好ましくは、0〜10、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10、より好ましくは4)である。さらに、前述の炭素含有スペーサー分子部分は、それに結合する分枝状アルキル基を有することができる。二価のシクロアルキル(例えば、シクロアルキレン)基の非制限の例は、シクロプロパジイル(例えば1,1−、シス−11,2−、またはトランス−1,2−シクロプロピレン)、シクロブタジイル、シクロペンタジイル、シクロヘキサジイルおよびシクロヘプタジイルの様々な異性体などのC3−8シクロアルキルを含む。シクロアルキレン基は、一つ以上のアルキル基、好ましくは、C−Cアルキル基と置換されてよい。
【0108】
水溶性重合体の活性炭酸塩エステルが形成されると、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルは、活性剤との結合反応に役立つ重合体試薬として「そのまま」使用されるか、または任意で、異なる反応基を有する異なる重合体を形成するためにさらに誘導されてよい。好適な反応基は、求電子物質および求核物質の群から選択される。
【0109】
【化15】

好適な反応基の特定例は、アミン、カルボン酸、エステル、アルデヒド、アセタール、スクシンイミドおよびマレイミドを含む。
【0110】
【化16】

例えば、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルは、アミノ酸ン誘導体を形成するためにアミノ酸と反応してよい。従って、例えば、mPEG−BTCエステルは、重合体リジン誘導体を形成するためにリジンと反応してよい。例えば、そのようなリジン[例えば、HN(CHCH(NH)COH・HCl]誘導体は、二重にペグ化されたリジンであり、式中、2つのPEGは、以下に示すように(nは、2〜約4000である)、カルバメート結合によりリジンアミンに結合される。
【0111】
【化17】

そのようなリジンのPEG誘導体は、タンパク質のPEG誘導体を調製するための試薬として役立つ。それらのPEG誘導体は、しばしば、in vivoでのより長い循環寿命、タンパク質分解速度の減少および低免疫原性など、非ペグ化タンパク質に対してメリットがある。他の側面において、PEG BTC誘導体は、カルバメート結合を通してPEGをタンパク質に直接結合するのに使用され、しばしば、リジンPEG誘導体で記述したのと同様のメリットがある。
【0112】
従って、例えば、上の「PEG2酸」は、PEG2酸のPEG2活性エステル(N−ヒドロキシスクシンイミド)を形成するために、ジシクロヘキシルカルボジイミドとN−ヒドロキシスクシンイミドと反応してよい。次に、後続の反応で、PEG2活性エステルは、第三アミン塩基の存在下で、タンパク質、生体工学された生体分子および他の重要な治療分子上でチオール基と反応可能なマレイミド基を有する重合体試薬を形成するために、3−N−マレイミドプロピオン酸のエチレンジアミンモノアミドのトリフルオロ酢酸塩と反応させてよい。
【0113】
【化18】

マレイミド基を有する重合体試薬(式中、nは、2〜4000の整数)
結合反応条件下で、マレイミド基を有する上の重合体試薬をチオール含有活性剤[システイン含有ポリペプチド、タンパク質または他のチオール含有生体分子などの「(活性剤)−HS」]と反応させることにより、以下の構造を有する結合が形成される。
【0114】
【化19】

結合[式中、nは2〜4000の整数で、「S−(活性剤)」はチオール含有活性剤の残留物である。
【0115】
生物学的に活性の結合体
あらゆる対象の重合体において、上述の方法は、重合体をさらに変形する能力(あらゆる脱保護工程の前または後のいずれか)を有利に提供するため、特定の反応基を有する。従って、当該分野で周知の技術を使用して、重合体は、反応基(例えば、活性エステル、チオール、マレイミド、アルデヒド、ケトンなど)を含むために官能化されてよい。
【0116】
例えば、重合体が反応基としてカルボン酸を有するとき、対応するエステルは、従来の技術を使用して形成されてよい。例えば、カルボン酸はアルコールを用いて酸触媒型縮合が行われることにより、対応するエステルを提供する。これを達成するためのアプローチの一つは、一般的にFischerエステル化反応と呼ばれる方法を使用することである。所望するエステルを形成するための他の技術は、当事者に周知である。
【0117】
例えば、重合体が反応基としてカルボン酸を有するとき、対応するエステルは、従来の技術を使用して形成されてよい。例えば、カルボン酸は、アルコールを用いて酸触媒型縮合が行われることにより、対応するエステルを提供する。これを達成するためのアプローチの一つは、一般的にFischerエステル化反応と呼ばれる方法を使用することである。所望するエステルを形成するための他の技術は、当該分野の者に周知である。
【0118】
さらに、カルボン酸を有する重合体は、エステル以外の有用な反応基を形成するために変形されてよい。例えば、カルボン酸は、アシルアシルハライド、アシルシアニド、アシルイソシアネートおよびアジドなどのアシル擬ハライド、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム、ナトリウムおよびバリウム塩)などの中性塩、エステル、無水物類、アミド、イミド、ヒドラジド類などを形成するためにさらに誘導されてよい。好適な実施形態において、カルボン酸は、N−スクシンイミジルエステル、o−、m−またはp−ニトロフェニルエステル、1−ベンゾトリアゾリルエステル、イミダゾリルエステルまたはN−スルホスクシンイミジルエステルを形成するためにエステル化される。例えば、カルボン酸は、N−ヒドロキシスクシニミドの存在下でカルボン酸をジシクロへキシルカルボジイミド(DCC)またはジイソプロピル(基)カルボジイミド(DIC)と反応させることにより、対応するN−スクシンイミジルエステルに変換されてよい。
【0119】
上述の合成方法の工程は適切な溶媒中で実施される。当該分野の者は、あらゆる特定の溶媒があらゆる任意の反応に適切かどうかを判断できる。しかし、一般的に、溶媒は、非極性溶媒または極性の非プロトン溶媒である。非極性溶媒の非制限の例は、ベンゼン、キシレン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)およびトルエンを含む。例示的な極性の非プロトン溶媒は、これに制限されないが、アセトニトリル、DMSO(ジメチルスルホキシド)、HMPA(ヘキサメチルリン酸アミド)、DMA(ジメチルホルムアミド)、DMA(ジメチルアセトアミド)およびNMP(N−メチルピロリジノン)を含む。
【0120】
重合体の調製方法は、形成された後、任意で、追加工程の重合体の分離および回復を含む。既知の方法は、重合体を分離するために使用されてよいが、特に、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーの使用が好ましい。代わりにまたはさらに、本方法は、形成された後、重合体を精製する工程を含む。これも、標準の当該分野で既知の精製方法が重合体を精製するために使用されてよい。水溶性重合体の活性炭酸塩エステルの分離は、当該分野で既知の方法を使用して溶媒を蒸留することにより達成されてもよい。
【0121】
本発明の重合体は、アルゴンまたは窒素下などの不活性環境で保存されてよい。これにより、潜在的に、例えば大気酸素などによる分解プロセスが減少または完全に避けられる。場合によっては、酸化的分解を避けるために、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)などの抗酸化剤が、保存前に最終産物に添加されてよい。さらに、水に関連する反応の潜在的な破損を削減するために、保存状態に関する水分量を最小限にすることが望ましい。さらに、光に関する特定の分解プロセスを避けるために、保存状態を暗く保つことが望ましい。従って、好適な保存状態は、以下の一つ以上を含む。乾燥したアルゴンまたは別の不活性ガス下で保存、約−15C以下の温度で保存、光遮断下で保存およびBHTなどの適切な抗酸化剤量(例えば、約50〜500p.p.m.)で保存。
【0122】
上述の重合体は、重合体上の反応基との反応に適切な少なくとも一つの基を含む生物学的活性剤または表面への結合に有用である。例えば、活性剤または表面上のアミノ基(例えば、第一級アミン)、ヒドラジン、ヒドラジドおよびアルコールは、重合体上のカルボン酸基と反応する。さらに、重合体のより「活性的」なカルボン酸が生物学的活性剤または表面への反応性を強化するために調製されてよい。カルボン酸の活性方法は、当該分野において周知であり、例えば、上述の活性エステルの形成方法を含む。カルボン酸を活性するための他のアプローチは、当該分野の者に周知である。
【0123】
一般的に、重合体は、等モル量(反応基と反応するのに適切な所望する数の基に関して)またはモル過剰量で活性剤または表面に添加される。例えば、例えば、重合体は、約1:1(重合体:活性剤)、1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、8:1または10:1のモル比で、標的の活性剤に添加されてよい。結合反応は、実質的に結合が起こらなくなるまで進むことを可能にし、これは、一般的に、時間中、反応の進行を監視することにより判断される。反応の進行は、様々な時間点で反応混合物からアリコートを取り出し、SDS−PAGEまたはMALDI−TOF質量分析法または他の適切な分析方法にて反応混合物を分析することにより監視されてよい。プラトが、形成された結合量と残留未結合の重合体量に関して達成されると、反応は、完了したとみなされる。一般的に、結合反応は、1分〜数時間(例えば、5分〜24時間以上)の範囲で起こる。得られた生成混合物は、好ましくは、必要ではないが、過剰試薬、未結合反応物質(例えば、活性剤)、所望しない多結合種および遊離または未反応重合体を分離するために精製される。得られた結合は、次に、MALDI、細管電気泳動、ゲル電気泳動および/またはクロマトグラフィーなどの分析方法を使用してさらに特性化される。
【0124】
重合体−活性剤結合に関して、結合は、異なる結合種を得る/分離するために精製される。低分子量(例えば、約20キロダルトン未満、より好ましくは、約10キロダルトン未満)重合体における代替的、そして好まししくは、精製混合物は、活性剤につき水溶性重合体部分の分布を得るために精製されてよい。例えば、精製混合物は、活性剤につき(例えば、タンパク質)1〜5PEGsの範囲の平均、一般的には、活性剤(例えば、タンパク質)につき約3PEGsの範囲の平均を得るために精製されてよい。最終結合反応混合物の精製方法は、例えば、使用された重合体の分子量、特定の活性剤、所望する用量法および個々の結合の残活性およびin vivo性質を含む多くの要因に依存する。
【0125】
所望する場合、異なる分子量を有する結合は、ゲル濾過クロマトグラフィーを使用して分離されてよい。つまり、ゲル濾過クロマトグラフィーは、異なる分子量(差異が実質的に水溶性重合体部分の平均分子量に対応する)の基準で、異なる数の重合体:活性剤比(例えば、「1−mer」が1重合体:活性剤を示す、「2−mer」が2重合体:活性剤を示す、1−mer、2−mer、3−merなど)を分別するために使用される。例えば、100kDaのタンパク質が約20kDaの分子量を有するPEGアルカン酸にランダムに結合される例示的反応において、得られる反応混合物は、未改質のタンパク質(MW100kDa)、モノペグ化タンパク質(MW120kDa)、ジペグ化タンパク質(MW140kDa)などを含む可能性がある。本アプローチは、PEGと異なる分子量を有する他の重合体結合を分離するために使用されてよいが、本アプローチは、一般的に、タンパク質内の異なる重合体結合部をもつ位置異性体を分離するのに有効性がない。例えば、各回復したPEG−mer組成物は、活性剤内の異なる反応性アミノ基(リジン残留物)に結合されるPEGsを含むが、ゲル濾過クロマトグラフィーが、PEG1−mers、2−mers、3−mersなどの混合物を分離するために使用されてよい。
【0126】
このタイプの分離に適したゲル濾過カラムは、Amersham Biosciences(Piscataway,NJ)から入手可能なSuperdexTMおよびSephadexTMカラムを含む。特定のカラムの選択は、所望する分布範囲に依存する。溶出は、一般的に、リン酸塩、アセテートなどの適切な緩衝液を使用して実行される。回収された部分は、例えば、(i)タンパク質含量に対して280nmでの光学密度(OD)、(ii)ウシ血清アルブミン(BSA)タンパク質分析、(iii)PEG含量に対するヨード試験[Sims et al.(1980)Anal.Biochem,107:60−63]および(iv)ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)後、ヨウ化バリウムを用いての染色など、多くの異なる方法で分析されてよい。
【0127】
位置異性体の分離は、逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)C18カラム(Amersham BiosciencesまたはVydac)を使用した逆相クロマトグラフィーにより、または例えば、Amersham Biosciencesから入手可能なSepharoseTMイオン交換カラムなど、イオン交換カラムを使用したイオン交換クロマトグラフィーにより実行されてよい。いずれのアプローチも、同じ分子量を有する重合体−活性剤異性体(位置異性体)を分離するために使用されてよい。
【0128】
結合および任意でさらなる分離工程後、結合混合物は、濃縮、無菌濾過され、低温、一般的に、約−20C〜−80Cで保存される。代替的に、結合は、残留緩衝液とともに、またはなしで凍結乾燥され、凍結乾燥粉末として保存される。場合によって、酢酸ナトリウムなど、結合に使用された緩衝液を凍結乾燥中に容易に除去できる炭酸アンモニウムまたは酢酸アンモニウムなどの非揮発性緩衝液に交換することが好ましい。これにより、凍結乾燥粉末は、残留緩衝液を含まない。代替的に、緩衝液交換工程は、調合緩衝液を使用して使用されてよい。これにより、凍結乾燥された結合は、調合緩衝液に再調製に、および最終敵に哺乳類への投与に適した形態になる。
【0129】
本発明の重合体は、共有結合的または非共有結合的に、フィルム、化学分離および精製表面、個体担持体、金、チタニウム、タンタル、ニオビウム、アルミニウム、スチールおよびその酸化物などの金属表面、シリコン酸化物、マクロ分子(例えば、タンパク質、ポリペプチドなど)および小分子を含む多くの物質に結合されてよい。さらに、重合体は、生化学センサー、生体電子スイッチおよびゲートに使用されてもよい。重合体は、アフィニティー分配のための重合体−リガンド結合の調製のため、架橋または非架橋ヒドロゲルの調製のため、およびバイオリアクターの重合体−補助因子付加体の調製のために、ペプチド合成、重合体被覆表面の調製および重合体グラフトの担体として使用されてもよい。
【0130】
本明細書に提示されるような重合体への結合に使用される生物学的活性剤は、以下の任意の一つ以上であってよい。催眠剤および鎮静剤、抗抑鬱薬、精神安定剤、呼吸作用薬、抗痙攣薬、筋弛緩薬、抗パーキンソン病薬(ドーパミン拮抗薬)、鎮痛薬、抗炎症薬、抗不安薬(不安緩解薬)、食欲抑制剤、抗片頭痛薬、筋肉萎縮、抗感染症薬(抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、ワクチン)、抗関節炎、抗マラリア薬、鎮吐薬、anepileptics、気管支拡張薬、サイトカイン、成長因子、抗癌剤、抗血栓剤、降圧薬、新血管治療薬、抗不整脈薬、抗酸化剤、抗喘息薬、避妊薬などのホルモン剤、交感神経模倣薬、利尿薬、脂質調節剤、抗アンドロゲン剤、抗寄生虫薬、抗凝血剤、抗腫瘍薬、抗悪性腫瘍薬、血糖降下薬、栄養剤および栄養補助剤、増殖補助剤、抗腸炎剤、ワクチン、抗生物質、診断剤および造影剤。
【0131】
本発明の反応性重合体への共有結合の使用に適切な活性剤の例は、これに制限されないが、カルシトニン、エリスオポエチン(EPO)、VIII因子、IX因子、セレデース、セレザイム、シクロスポリン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポエチン(TPO)、α−1プロテアーゼ阻害剤、エルカトニン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ひと成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−1受容体、インターロイキン−2、インターロイキン−1受容体拮抗剤、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)、IX因子インスリン、プロインスリン、インスリン類似体(例えば、米国特許番号5,922,675に記述されるモノアシル化インスリン)、アミリン、C−ペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似体、バソプレッシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子(IGF)、インスリントロピン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、神経成長因子(NGF)、組織増殖因子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、グリア成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮成長因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチドチモシンα1、IIb/IIIa阻害剤、α−1抗トリプシン、リン酸ジエストラーゼ(PDE)化合物、VLA−4阻害剤、ビスホスホネート、呼吸器合胞体ウイルス抗体、嚢胞性繊維症膜透過性調節因子(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(Dnase)、殺菌性/透過性増大タンパク質(BPI)、抗CMV抗体、13−シスレチノインサン、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン(davercin)、アジスロマイシン、フルリスロマイシン、ジリスロマイシン、ジョサマイシン、スピロマイシン、ミデカマイシン、ロイコマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、アンドアジスロマイシンおよびスイノライドA(swinolideA)などのマクロライド、シプロフロキサン、オフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、アラトロフロキサシン、モキシフロキサン、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、ロメフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン、プルリフロキサシン、イルロキサシン、パズフロキサシン、クリナフロキサシンおよびシタフロキサンなどのフルオロキノロン、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、パラメシン、トブラマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシンおよびストレプトマイシンなどのアミノグリコシド、バンコマイシン、テイコプラニン、ランポラニン、ミデプラニン、コリスチン、ダプトマイシン、グラミシジン、コリスチメタート、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネムなどのポリミキシン、ペニシリンG、ペニシリンVのようなペニシリナーゼ感受性剤を含むペニシリン、メチリシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、ナフシリン、のようなペニシリナーゼ抵抗性剤、アンピシリン、アモキシシリンおよびヘタシリン、シリンおよびガランピシリンのようなグラム陰性菌活性剤、カルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリンおよびピペラシリンのような抗緑膿菌剤ペニシリン、セスポドキシム、セフプロジル、セフチブテン、セフチドキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラジン、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロル、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セフォラニド、セフォタキシム、セファトリジン、セファセトリル、セフェピム、セフィキシム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォテタン、セフメタゾール、セフタジジム、ロラカルベフおよびモキサラクサムのようなセファロスポリン、アズトレオナムのようなモノバクタム、およびイミペネム、メロペネム、イセチオン酸ペンタミジン、硫酸アルブテロール、リドカイン、硫酸メタプロテレノール、ベクロメタゾンジプレピオネート、トリアムシノロンアセトアミド、プデソニド、アセトニトリル、フルチカゾン、臭化イプラトロピウム、フルニソリド、クロモグリク酸ナトリウム、酒石酸エルゴタミンのようなカルバペネム、および該当する場合、上の類似体、受容体、拮抗剤、阻害剤および医薬的に許容される塩の形を含む。ペプチドおよびタンパク質において、本発明は、合成、未変性、グリコシル化、非グリコシル化、ペグ化の形およびその生物学的に活性の断片および類似体を含むものとする。
【0132】
本発明は、本明細書で提供されるように、医薬賦形剤と組み合わせて、結合体を含む医薬的製剤も含む。一般的に、結合体自体は、個体または液状形態のいずれかの適切な医薬賦形剤と組み合わせられる個体形態(例えば、沈殿物)である。
【0133】
例示的な賦形剤は、これに制限されないが、炭水化物、無機塩、抗菌剤、抗酸化剤、界面活性剤、緩衝液、酸類、塩類およびその組み合わせからなる群から選択されるものを含む。
【0134】
砂糖などの炭水化物、アルジトールなどの誘導化砂糖、アルドン酸、エステル化砂糖および/または砂糖重合体は、賦形剤として存在してよい。特定の炭水化物賦形剤は、例えば、果糖、麦芽糖、ガラクトース、ブドウ糖、D−マンノース、ソルボースなどのモノサッカリド、乳糖、ショ糖、トレハロース、セロビオースなどのジサッカリド、ラフィノース、メレチトース、マルトデキソトリン、デキストラン、デンプンなどのポリサッカリド、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトールなどのアルジトールを含む。
【0135】
賦形剤は、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝石、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウムおよびその組み合わせなど無機塩または緩衝液も含む。
【0136】
調剤は、細菌の成長を防止または阻止するために抗菌剤も含んでよい。本発明に適切な抗菌剤の例は、これに制限されないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セシルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チマーゾル(thimersol)およびその組み合わせを含む。
【0137】
抗酸化剤も調剤に含まれてよい。抗酸化剤は、酸化を防止するために使用されるため、調剤の結合体または他の成分の変質を防止する。本発明に使用される適切な抗酸化剤は、例えば、アスコルピン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、プロピルガラート、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびその組み合わせを含む。
【0138】
界面活性剤が賦形剤として含まれてよい。例示的な界面活性剤は、「Tween20」および「Tween80」などのポリソルベート、F68およびF88(双方ともBASF,Mount Olive,New Jerseyから入手可能)などのプルロニック、ソルビタンエステル、レシチンおよび他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン(リポソーム形態は好ましくないが、)、脂肪酸および脂肪エステルなどのリン脂質などの脂質、コレステロールなどのステロイドおよびEDTA、亜鉛および他の適切なカチオンなどのキレート化剤を含む。
【0139】
酸類および塩類は、調剤に賦形剤として含まれてよい。使用されてよい酸類の例はこれに制限されないが、塩化水素酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、蟻酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸およびその組み合わせからなる群から選択されるものを含む。適切な塩類の例は、これに制限されないが、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、蟻酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウムおよびその組み合わせからなる群から選択されるものを含む。
【0140】
医薬製剤は、全てのタイプの調製を含み、特に、例えば、再構成可能な粉末だけでなく懸濁液または水溶液などの注入に適したものを含む。組成物中の結合体(すなわち、本明細書で記述される活性剤と重合体間で形成された結合体)の量は、多くの要因により変動するが、最適には、組成物が単回用量容器(例えば、バイアル)に保存される場合、医薬的に有効な量である。さらに、医薬製剤は、シリンジに保存されてよい。医薬的に有効な量は、どの用量が臨床的に所望するエンドポイントを生み出すかを判断するために、結合体の量の増加を繰り返し投与することにより実験的に判断されてよい。
【0141】
組成物中のあらゆる個々の賦形剤の量は、賦形剤の活性および組成物の特定の必要性により変動する。一般的に、最適なあらゆる個々の賦形剤の量は、日常的な実験、すなわち、異なる量の賦形剤(少量〜高量の範囲)を含む組成物の調製、組成物の安定性および他のパラメータの調査、そして次に最適な性能が著しい副作用なしに達成される範囲の判断を通して判断される。
【0142】
しかし、一般的に、賦形剤は、賦形剤の約1〜約99重量%、好ましくは約5〜98重量%、さらに好ましくは約15〜95重量%の量で組成物に含まれるが、30重量%未満の濃度が最も好まれる。
【0143】
他の賦形剤と共に前述の医薬的賦形剤は、”Remington:The Science&Practice of Pharmacy”,19th ed.,Williams&Williams,(1995)、the”Physician’s Desk Reference”,52nd ed.,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)およびKibbe,A.H.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd Edition,American Pharmaceutical Association,Washington,D.C.,2000に記述されている。
【0144】
本発明の医薬製剤は、一般的に、必要ではないが、注入により投与され、従って、一般的に、投与前直前には液状溶液または懸濁液である。医薬製剤は、シロップ、クリーム、軟膏、錠剤、粉末などの他の形状をとってもよい。他の投与方法は、肺、直腸、経皮、経粘膜、経口、クモ膜下、皮下、動脈内などを含んでよい。
【0145】
上述のように、結合体は、静脈内投与により、またはあまり好ましくないが、筋肉内または皮下投与により非経口的に投与される。経口的投与の適切な製剤タイプは、すぐに注入できる溶液、使用前に溶媒と混合される乾燥粉末、すぐに注入できる懸濁液、使用前にビヒクルと混合される乾燥不溶性組成物、および投与前に稀釈される乳濁液および液状濃縮物を含む。
【0146】
本発明は、結合体の治療に反応する状態を患う患者に、本明細書で提供される結合体を投与する方法も提供する。本方法は、一般的に、医薬的に有効な量の結合体(好ましくは、医薬製剤の一部として提供される)注入による投与を含む。投与方法は、特定の結合体の投与により改善または防止されるあらゆる状態を治療するために使用されてよい。当該分野の者は、結合体がどの状態を効果的に治療できるかを理解する。投与される実際の量は、患者の年齢、体重および全身状態だけでなく治療される状態の重度、医療従事者の判断および投与される結合体により変動する。医薬的な有効量は、当該分野の者に既知である/または適切な参考テキストおよび文献に記述されている。一般的に、医薬的な有効量は、約0.001mg〜100mgの範囲、好ましくは、0.01mg/日〜75mg/日の用量、より好ましくは、0.10mg/日〜50mg/日の用量である。
【0147】
任意の結合体(好ましくは、医薬製剤の一部として提供される)の単回用量は、医療従事者の判断、患者の必要性などにより、様々な投与スケジュールで投与されてよい。特定の投与スケジュールは、当該分野の者に既知である、または日常的な方法を使用して実験的に判断されてよい。例示的な投与スケジュールは、これに制限されないが、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、週に3回、週に2回、週に1回、月に2回、月に1回、およびそのあらゆる組み合わせを含む。臨床的エンドポイントが達成されたら、組成物の投与は停止される。
【0148】
本発明はその好ましい特定の実施形態と共に記述されるが、面術の説明だけでなく以下の実施例は、本発明を図示しその範囲を制限するものではないことを理解する。本発明の範囲内の他の側面、利点および修正は、本発明が付随する分野の者に明らかである。特定の用語が本明細書で使用されるが、これらは一般的な記述的意味のみに使用され、目的を制限するものではない。
【0149】
実験
本発明の実施は、記述されない限り、当該分野内の有機合成、生化学、タンパク質精製などの従来の技術を使用する。このような技術は、文献に詳細に説明される。例えば、上記のJ.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions Mechanisms and Structure,4th Ed.(New York:Wiley−Interscience,1992)を参照。
【0150】
以下の実施例において、使用される数値(例えば、用量、温度など)に関して、正確性を保つ努力がなされたが、実験的エラーおよびズレが考慮されるべきである。明示されない限り、温度は摂氏温度であり、圧力は海面気圧またはその近くである。以下の実施例のそれぞれは、当該分野の者に、本明細書で記述される一つ以上の実施形態を実行するための説明である。
【実施例】
【0151】
実施例1
mPEG(5,000Da)−BTCの調製
アセトニトリル(30ml)中のmPEG(5,000Da)−OH(MW5,000,15g,0.003モル)、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩(4.0gの70%混合物,0.000945モル)およびピリジン(2.2ml)の溶液を一晩、窒素下、室温で攪拌した。NMR分析は、得られたmPEG(5,000Da)−BTCは100%置換され、反応混合物は0.0012モルの残留ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩を含んでいることを示した。計算された量の精製水(0.025g、diBTCに対して過剰量を提供するように計算された)を添加し、混合物を3時間攪拌した。後続のNMR分析は、mPEG(5,000Da)−BTCはまた100%置換されたが、残留ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩は、完全に加水分解された。溶媒は、蒸留により除去され、残留物は真空下、室温で乾燥し、H NMR分析により100%置換を示す14.8gの産物を得た。予想H NMR(d−DMSO):3.23ppm(s、−OCH,3H)、3.51ppm(s、重合体骨格)、4.62ppm(m、mPEG−O−CH−OCO2H)、7.41〜8.21ppm(複合マルチ、ベンゾトリアゾリルプロトン、4H)。
【0152】
実施例2
mPEG(20,000Da)−BTCの調製
アセトニトリル(40ml)中のmPEG(20,000Da)−OH(MW20,000、20g、0.001モル)、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩(3.4gの70%混合物、0.00803モル)およびピリジン(3.0ml)の溶液を一晩、窒素下、室温で攪拌した。NMR分析は、得られたmPEG(20,000Da)−BTCは100%置換され、反応混合物は0.0027モルの残留ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩を含んでいることを示した。計算された量の精製水(0.050g、diBTCに対して過剰量を提供するように計算された)を添加し、混合物を3時間攪拌した。後続のNMR分析は、mPEG(20,000Da)−BTCはまた100%置換されたが、残留ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩は、完全に加水分解された。得られた混合物は、直接、mPEG(20,000Da)−アミンの調製のために使用された。H NMR(d−DMSO):3.23ppm(s、−OCH、3H)、3.51ppm(s、重合体骨格)、4.62ppm(m、mPEG−O−CH−OCO2H)、7.41〜8.21ppm(複合マルチ、ベンゾトリアゾリルプロトン、4H)。
【0153】
実施例3
mPEG(20,000Da)−BTCからのmPEG(20,000Da)−アミンの調製
実施例2で調製されたアセトニトリル(40ml)中のmPEG(20,000Da)−ベンゾトリアゾリル炭酸塩(20.0g、0.001モル)の溶液を滴下で2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)(Sigma−Aldrich;FW=148.21、3g、0.020モル)に添加し、反応混合物は、窒素下、室温で2時間、攪拌された。次に、溶媒を蒸発乾固した。粗生成物は塩化メチレンに溶解され、イソプロピル(基)アルコールで沈殿させた。湿産物は、減圧下で乾燥させた。収量18.2g。予想H NMR(d−DMSO):2.64ppm(t、−CH−アミン−、2H)、3.11ppm(q、−CH−NH−,)、3.23ppm(s、−OCH、3H)、3.51ppm(s、PEG骨格)、4.04ppm(m、−CH−O(C=O)−、2H)、7.11ppm(t、−(C=O)−NH−、1H)。カチオン交換クロマトグラフィー:mPEG(20,000Da)−アミン97.7%。
【0154】
実施例4
mPEG(20,000Da)−スクシニジヂル炭酸塩の調製
アセトニトリル(300ml)中のmPEG(20,000Da)−OH(MW20,000、60g、0.003モル)、N,N’−ジスクシンイミジル炭酸塩(2.4g、0.00937モル)およびピリジン(6.5ml)の溶液を一晩、窒素下、室温で攪拌した。NMR分析は、得られたmPEG(20,000Da)ジスクシンイミジル炭酸塩は100%置換され、反応混合物は0.0034モルの残留N,N’−ジスクシンイミジル炭酸塩を含んでいることを示した。計算された量の精製水(0.097g、diBTCに対して過剰量を提供するように計算された)を添加し、混合物を4時間攪拌した。後続のNMR分析は、またmPEG(20,000Da)−スクシンイミジル炭酸塩は100%置換されたが、残留N,N’−ジスクシンイミジル炭酸塩は、完全に加水分解された。溶媒は蒸発乾固され、残留物は、真空下で乾燥し、H NMRにより100%置換を示す56.8gの産物を得た。H NMR(d−DMSO):2.80ppm(s、スクシンイミド、4H)、3.23ppm(s、−OCH、3H)、3.51ppm(s、重合体骨格)、4.62ppm(m、mPEG−O−CH−OCO2H)。
【0155】
実施例5
mPEG(20,000Da)−NPCの調製
アセトニトリル(300ml)中のmPEG(20,000Da)−OH(MW20,000Da、60g、0.003モル)、p−ニトロフェニルクロロホルメート(NPC)(1.9g、0.00943モル)およびピリジン(6.5ml)の溶液を一晩、窒素下、室温で攪拌した。NMR分析は、得られたmPEG(20,000Da)−NPCは100%置換され、反応混合物は0.0034モルの残留p−ニトロフェニルクロロホルメートを含んでいることを示した。反応混合物を、小分子を循環させるが大部分の重合体種を除去するゲルカラム(DuoliteA−7アミンゲル)に通した。後続のNMR分析は、mPEG(20,000Da)−NPCはまた100%置換されたが、p−ニトロフェニルクロロホルメートの残留はなかった。H NMR(CDCl):3.39ppm(s、−OCH、3H)、3.58ppm(s、重合体骨格)、4.37ppm(m、mPEG−O−CH−OCO2H)、7.44ppm(m、芳香族プロトン、2H)、8.27ppm(m、芳香族プロトン、2H)。
【0156】
実施例6
mPEG(20,000Da)−NPCからのmPEG(22,000Da)−プロピオン酸の調製
アセトニトリル中のmPEG(20,000Da)−NPC(実施例5からの60.0g、0.0030モル)溶液に、PEG(2,000Da)−a−アミノ−w−プロピオン酸(6.6g、0.0033モル)およびトリエチルアミン(1.8ml)を添加し、反応混合物をアルゴン環境下、室温で6時間攪拌した。次に、混合物を濾過し、溶媒を蒸発乾固した。粗生成物は、塩化メチレンに溶解され、イソプロピル(基)アルコールで沈殿させた。湿産物は、減圧下で乾燥させた。収量54.3g。H NMR(d−DMSO):2.44ppm(t、−CH−COO−、2H)、3.11ppm(q、−CH−NH−、2H)、3.24ppm(s、−OCH)、3.51ppm(s、PEG骨格)、4.04ppm(m、−CH−O(C=O)−、2H)、7.11ppm(t、−(C=O)−NH−、1H)。アニオン交換クロマトグラフィー:M−PEG(20,000Da)−プロピオン酸96.5%.
実施例7
mPEG(20,000Da)−BTCの調製
大規模合成
mPEG(20,000Da)−OH(28kg)をアルゴン環境下で無水アセトニトリル(93kg)に溶解した。混合物を分子ふるいカートリッジに通し、次に、カートリッジを50Lのアセトニトリルで洗浄した。乾燥プロセスは、含水量が100ppm未満になるまで繰り返された。次に、事前に調製された混合物にアルゴン下で添加された泥状物を形成するために、別の管でジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩(1285gの42%混合物)を約2000mLのアセトニトリルと混合した。別の管は、定量的な移行を強化するためにアセトニトリル(約200mL)で2回洗浄した。ピリジン(200mL)を次にアルゴン下で添加した後、31C±3Cで12時間、混合した。アセトニトリル(1L)で稀釈された水(約20mL)を添加し、全反応混合物を31C±3Cで60分間、混合した。その後、反応混合物は減圧下で蒸留され、産物は回収され、冷却された。低含水量のイソプロパノール(551kg)を次に添加した。イソプロパノールの添加が完了した後、得られた沈殿物を最低30分間混合した。その後、アルゴン下で、沈殿物を分離し、イソプロパノール(約90kg)で洗浄した。最後に、沈殿物を真空下で乾燥させた。収率および産物合計量は、22kg(79%収量)であった。NMR分析は、98.6%の所望するmPEG(20,000Da)−BTCと1.4%の開始mPEG(20,000Da)−OHを含んでいることを示した。イソプロピル(基)ベンゾトリアゾリル炭酸塩は、検出されなかった。
【0157】
比較実施例8
mPEG(20,000Da)−BTCの調製
水処理をしない大規模の合成
実施例7に記述されるmPEG(20,000Da)−BTCの大規模合成が繰り返されるが、水は残留ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩を加水分解するために反応混合物に添加されない。NMR分析は、最終産物が44モル%のイソプロピル(基)ベンゾトリアゾリル炭酸塩を含んでいることを示した。従って、本実験は、活性炭酸塩試薬を分離および除去するための必要性を伴う大規模生産が可能であることを示す。しかし、沈殿物の損失は比較実験に基づき、10〜20%と予測される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)任意に触媒または酸で中和された塩基の存在下で、活性炭酸塩試薬からなる組成物と非プロトン溶媒およびアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物を混合するステップであって、活性炭酸塩試薬からなる組成物が添加されることにより、活性炭酸塩試薬がアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応の活性炭酸塩試薬からなる組成物となるステップと、
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる組成物に添加するステップであって、反応性分子からなる組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応の活性炭酸塩試薬が実質的に使用されるステップと、を含む合成方法。
【請求項2】
水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルは以下の式を有し、
POLY−O−(C=O)−O−R
式中、
POLYが線状メチルキャップポリ(エチレングリコール)の時、線状メチルキャップポリエチレングリコールが少なくとも103の分子量の場合、
POLYが水溶性重合体であり、
Rが有機ラジカルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性炭酸塩試薬は、次の式の一つの構造を有し、R−O(C=O)−OR;R−O(C=O)−OR’およびR−O(C=O)X、式中、Rは有機ラジカル、R’はRと異なる有機ラジカル、およびXはCl、BrまたはIである、請求項1または2のいずれか一つに記載の方法。
【請求項4】
前記非プロトン溶媒は、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタンおよびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1、2および3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
重合体試薬を形成するために、一つ以上の反応で前記水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルを反応させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルは、溶媒を留去することにより分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルは、非溶媒の添加により沈殿して分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記非溶媒は、イソプロピル(基)アルコール、ヘキサン、エチルエーテルおよびその組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体は、アミンの末端基またはヒドロキシ基を有する水溶性重合体であり、前記水溶性重合体がポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカリド)、ポリ(α−ヒドロキシ酢酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)およびその共重合体またはターポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶性重合体はポリ(エチレングリコール)である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリ(エチレングリコール)は線状ポリ(エチレングリコール)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリ(エチレングリコール)は、分枝鎖状ポリ(エチレングリコール)である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリ(エチレングリコール)は、多腕ポリ(エチレングリコール)である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリ(エチレングリコール)は、約100〜約100,000ダルトンの分子量を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体は、アミン停止の水溶性重合体である、請求項1、2、3および4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
前記アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体は、ヒドロキシ停止の水溶性重合体である、請求項1、2、3および4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記活性炭酸塩試薬は、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩、ジスクシンイミジル炭酸塩、p−ニトロフェニルクロロホルメート、トリクロロフェニルクロロホルメート、p−ニトリフェニルスクシンイミジル炭酸塩、p−ニトロフェニル1−ベンゾトリアゾリル炭酸塩、ペンタフルオロフェニルクロロホルメートおよび1,1’−カルボニルジイミダゾールからなる群から選択される、請求項1、2、3および4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
前記アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対する前記活性炭酸塩試薬の前記過剰が少なくとも約5モル%過剰を示す、請求項1、2、3および4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
前記アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対する前記活性炭酸塩試薬の前記過剰が少なくとも約50モル%過剰を示す、請求項1、2、3および4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
前記アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対する前記活性炭酸塩試薬の前記過剰が少なくとも約2倍モル過剰を示す、請求項1、2、3および4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
前記反応性分子は、水、低級アルキル一価アルコール、硫化水素および低級アルキル一塩基アミンからなる群から選択される、請求項1、2、3および4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
前記反応性分子は水である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応性分子は、個体担持体に結合したヒドロキシアルキル、個体担持体に結合したメルカプトアルキル、個体担持体に結合した第一級アミンおよび第二支持に結合した第二級アミンから選択される、請求項1、2、3および4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項24】
(a)(n)が2〜約4000の整数である以下の式
CHO−(CHCHO)−CHCH−OH
を有する非プロトン溶媒とヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物をジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩からなる組成物と混合するステップであって、前記ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩からなる前記組成物が添加されることにより、ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩が前記ヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、(n)が2〜約4000の整数で未反応ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩である、以下の構造
【化1】

を有する前記水溶性重合体の活性炭酸塩エステルからなる組成物となるステップと、
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルと未反応ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩からなる前記組成物に添加するステップであって、前記反応性化合物からなる前記組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応ジ(1−ベンゾトリアゾリル)炭酸塩が実質的に使用されるステップと、を含む合成方法。
【請求項25】
前記反応性分子は、水、低級アルキル一価アルコール、硫化水素および低級アルキル一塩基アミンからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記反応性分子は、個体担持体に結合したヒドロキシアルキル、個体担持体に結合したメルカプトアルキル、個体担持体に結合した第一級アミンおよび第二支持に結合した第二級アミンから選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
(a)(n)が2〜約4000の整数である以下の式
CHO−(CHCHO)−CHCH−OH
を有する非プロトン溶媒とヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物をジスクシンイミジル炭酸塩からなる組成物と混合するステップであって、前記ジスクシンイミジル炭酸塩からなる前記組成物が添加されることにより、ジスクシンイミジル炭酸塩が前記ヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、(n)が2〜約4000の整数で未反応ジスクシンイミジル炭酸塩である、以下の構造
【化2】

を有する前記水溶性重合体の活性炭酸塩エステルからなる組成物となるステップと、
(b)反応性分子からなる組成物を前記水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルと未反応ジスクシンイミジル炭酸塩からなる前記組成物に添加するステップであって、前記反応性分子からなる前記組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応ジスクシンイミジル炭酸塩が実質的に使用されるステップと、を含む合成方法。
【請求項28】
前記反応性分子は、水、低級アルキル一価アルコール、硫化水素および低級アルキル一塩基アミンからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記反応性分子は、個体担持体に結合したヒドロキシアルキル、個体担持体に結合したメルカプトアルキル、個体担持体に結合した第一級アミンおよび第二支持に結合した第二級アミンから選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
(a)(n)が2〜約4000の整数である以下の式
CHO−(CHCHO)−CHCH−OH
を有する非プロトン溶媒とヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物をp−ニトロフェニルクロロホルメートからなる組成物と混合するステップであって、前記p−ニトロフェニルクロロホルメートからなる前記組成物が添加されることにより、p−ニトロフェニルクロロホルメートが前記ヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、(n)が2〜約4000の整数で、未反応p−ニトロフェニルクロロホルメートである、以下の構造
【化3】

を有する前記水溶性重合体の活性炭酸塩エステルからなる組成物となるステップと、
(b)反応性分子からなる組成物を水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルと未反応p−ニトロフェニルクロロホルメートからなる前記組成物に添加するステップであって、前記反応性分子からなる前記組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応p−ニトロフェニルクロロホルメートが実質的に使用されるステップと、を含む合成方法。
【請求項31】
前記反応性分子は、水、低級アルキル一価アルコール、硫化水素および低級アルキル一塩基アミンからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記反応性分子は、個体担持体に結合したヒドロキシアルキル、個体担持体に結合したメルカプトアルキル、個体担持体に結合した第一級アミンおよび第二支持に結合した第二級アミンから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜32の方法のいずれかの方法を実施することにより得られる組成物。
【請求項34】
(i)任意に触媒または酸で中和された塩基の存在下で、非プロトン溶媒とアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物を活性炭酸塩試薬からなる組成物と混合し、前記活性炭酸塩試薬からなる前記組成物が添加されることにより、前記活性炭酸塩試薬が前記アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、前記水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応の活性炭酸塩試薬からなる組成物となることにより、および
(ii)反応性分子からなる組成物を前記水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる前記組成物に添加し、反応性分子からなる前記組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応活性炭酸塩試薬が結合条件下で活性剤を用いることにより実質的に使用され、結果として水溶性重合体−活性剤結合となることにより、
調製される水溶性重合体の活性炭酸塩エステルを反応させるステップを含む合成方法。
【請求項35】
(a)任意に触媒または酸で中和された塩基の存在下で、非プロトン溶媒とアミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体からなる組成物を活性炭酸塩試薬からなる組成物と混合し、前記活性炭酸塩試薬からなる前記組成物が添加されることにより、前記活性炭酸塩試薬が前記アミン停止またはヒドロキシ停止の水溶性重合体に対して過剰になり、結果として、前記水溶性重合体の活性炭酸塩エステルと未反応の活性炭酸塩試薬からなる組成物となる、および
(b)反応性分子からなる組成物を前記水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルと未反応活性炭酸塩試薬からなる前記組成物に添加し、反応性分子からなる前記組成物が添加されることにより、実質的に全ての未反応活性炭酸塩試薬が実質的に使用される、および
(c)結合条件下で活性剤を用いて重合体試薬を形成するために、一つ以上の反応で前記水溶性重合体の前記活性炭酸塩エステルを反応させ、結果として水溶性重合体−活性剤結合となる
ことにより、調製される重合体を反応させるステップを含む合成方法。

【公表番号】特表2009−503201(P2009−503201A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524278(P2008−524278)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/029929
【国際公開番号】WO2007/016560
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(500321438)ネクター セラピューティックス エイエル,コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】