説明

重合性化合物を含有する液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子

【課題】光重合開始剤を使用せずに重合性化合物を重合させ該化合物の残存量が極めて少なくなる重合性化合物含有液晶組成物を提供することにあり、更には、重合性化合物含有液晶組成物が重合することにより液晶配向能が付与され表示性能が優れた液晶表示素子を提供することにある。
【解決手段】第一成分として、一般式(I)


で表わされる重合性化合物を構成部材とする液晶組成物、更に、当該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供する。(式中、R11は重合性基、S11は単結合等の連結基、Z11は水素等、X11−X14はハロゲン等、L11−L14は連結基、M11−M12はフェニレン基等を表す。mは0、1であり、nは1〜3である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性化合物を含有する液晶組成物、更に当該液晶組成物を使用した液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
MVAモード液晶表示装置の製造において、重合可能なモノマーを含有している液晶材料を基板間に注入し、電圧を印加した状態でモノマーを重合して液晶分子の倒れる方向を記憶しておくという技術が導入された。しかし、モノマーを重合する際に使用する重合開始剤や重合が不十分なため残存してしまうモノマーが液晶表示素子に対して焼き付き等の不具合を惹き起こすという問題が生じていた。このため、このような液晶材料中のモノマーを重合することにより液晶配向能を付与した液晶表示素子の製造においては、重合開始剤を使用しなくとも重合し、重合工程によりモノマーが完全に消費されるような液晶組成物の開発が求められていた。更に、実際の使用にあたっては、モノマーと液晶材料が良好に相溶し重合後の配向性も要求レベルを満たす必要があった。
【0003】
従来は、焼き付きを防止するために、1,4−フェニレン基等の構造を有する化合物を用いて作製した素子(特許文献1参照)や、ビアリール構造を有する化合物を用いた素子(特許文献2参照)が提案されていた。しかしながら、当該引用文献記載の重合性化合物では光重合開始剤が含まれていないと重合が進行しなかったり、あるいは未重合でモノマーが残存し、その残存物が液晶表示素子に悪影響を与える懸念があった。一方、エネルギー線により重合性化合物を重合させ、その後熱処理を行うことで焼き付きを防止する製造方法(特許文献3参照)が提案されているが、必ずしも完全に重合性化合物が重合される方法ではなく、上記の他の方法と同様に未重合残存物が液晶表示素子に悪影響を与える懸念があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−307720号公報
【特許文献2】特開2008−116931号公報
【特許文献3】特開2005−221617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、光重合開始剤を使用せずに重合性化合物を重合させ該化合物が残存しない、あるいは極めて残存量が少なくなる重合性化合物含有液晶組成物を提供することにあり、そして、重合性化合物と液晶材料が良好に相溶し、重合後の配向性がより安定し、表示特性に不具合が起こらない重合性化合物含有液晶組成物を提供することにある。更には、重合性化合物含有液晶組成物が重合することにより液晶配向能が付与され表示性能が優れた液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは種々の重合性化合物及び種々の非重合性の液晶材料の検討を行った結果、特定の構造を有する重合性化合物及び液晶材料から成る液晶組成物が前述の課題を解決できることを見出し本願発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、第一成分として、一般式(I)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R11は以下の式(R-1)から式(R-15)
【0010】
【化2】

【0011】
の何れかを表し、
11は、炭素原子数1〜12のアルキレン基、又は単結合を表し、該アルキレン基中のメチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い、
11は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、硫黄原子、−CO−、―COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、又は−C≡C−で置換されて良く、あるいはZ11は、−S12−R12
(式中、R12は独立してR11と同じ意味を表し、S12は独立してS11と同じ意味を表す。)を表し、
11、X12、X13及びX14は、お互い独立して水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、又はニトロ基を表し、
11、L12、及びL14はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、―COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−SCH−、−CHS−、―CH=CH−COO−、−COO―CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、―COOC−、―OCOC−、―COCO−、―CCOO−、−OCOCH−、―CHCOO−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表し(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)、
13は、―CH=CH−COO−、―CH=CH−OCO−、―COO−CH=CH−又は―OCO−CH=CH−を表し、
11、及びM12は、お互い独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、M11、M12は、お互い独立して無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、アルコキシ基、又はニトロ基に置換されていても良く、
mは0又は1を表し、nは、1、2又は3を表し、nが2又は3を表す場合、2個又は3個存在するM12は同一であっても異なっていても良く、2個又は3個存在するL14は同一であっても異なっていても良い。)で表される重合性化合物から選ばれる一種又は二種以上の化合物を含有し、第二成分として、一般式(II)
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
21、M22及びM23はお互い独立して
(a) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基及び
(c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、
oは0、1又は2を表し、
21、及びL22はお互い独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−又は−C≡C−を表し、L22が複数存在する場合は、同一でも良く異なっていても良く、M23が複数存在する場合は、同一でも良く異なっていても良い。)で表される化合物を一種又は二種以上含有し、第三成分として、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)
【0014】
【化4】

【0015】
(式中R31、R32及びR33はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
31、M32、M33、M34、M35、M36、M37、及びM38はお互い独立して、
(d) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(e) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、及び、
(f) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基であり、上記の基(d)、基(e)又は基(f)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
31、L32、L33、L34、L35、L36、L37及びL38はお互い独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表し、M32、M34、M35、M37、M38、L31、L33、L35、L36、及び/又はL38が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
31、X32、X33、X34、X35、X36、及びX37はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、
31、Y32、及びY33はお互い独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、又はジフルオロメトキシ基を表し、
31、X32、又はY31のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、又はジフルオロメトキシ基を表すか、M31、又はM32、に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、
33、X34、X35、又はY32のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ジフルオロメトキシ基を表すか、M33、M34、又はM35、に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、
36、X37、又はY33のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ジフルオロメトキシ基を表すか、M36、M37、及びM38、に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、
p、q、r、s、及びtはお互い独立して、0、1又は2を表すが、q+r及びs+tは2以下である。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物又は
一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)
【0016】
【化5】

【0017】
(式中R41、R42、R43、R44、R45及び、R46はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
41、M42、M43、M44、M45、M46、M47、M48、及びM49はお互い独立して、
(d) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(e) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)及び、
(f) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基であり、上記の基(d)、基(e)又は基(f)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
41、L42、L43、L44、L45、L46、L47、L48、及びL49はお互い独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表し、M42、M43、M45、M46、M48、M49、L41、L43、L44、L46、L47及び/又はL49が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
41、X42はお互い独立してトリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表し、X43、X44、X45、X46、X47、及びX48はお互い独立して水素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表すが、X41及びX42の何れか一つはフッ素原子を表し、X43、X44、及びX45の何れか一つはフッ素原子を表し、X46、X47、及びX48の何れか一つはフッ素原子を表すが、X46、及びX47、は同時にフッ素原子を表すことはなく、X46、及びX48は同時にフッ素原子を表すことはない、
Gはメチレン基又は−O−を表し、
u、v、w、x、y、及びzはお互い独立して、0、1又は2を表すが、u+v、w+x及びy+zは2以下である。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上含有することを特徴とする液晶組成物を提供し、更に、当該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の重合性化合物は他の液晶材料との相溶性が優れるため、安定した液晶組成物を得ることができる。また、該重合性化合物を含有する液晶組成物は、光重合開始剤を使用することなくあるいは少量の添加で重合性化合物を重合させることができ、重合後に残存する未重合の重合性化合物がない、あるいは極めて少ない。これにより液晶材料中の重合性化合物をポリマー化することで配向付与する液晶表示素子の表示不具合が大幅に軽減されるため、該液晶表示素子用の液晶材料として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明の重合性化合物を含有する液晶組成物で用いられる重合性化合物は、一般式(I)で表される化合物で構成される。一般式(I)において、R11は重合基を表すが、重合性基の具体的な例としては、下記に示す構造が挙げられる。
【0020】
【化6】

【0021】
これらの重合基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、及びアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−15)が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)又は式(R−13)がより好ましく、式(R−1)、式(R−2)がより好ましい。
【0022】
11は、スペーサー基又は単結合を表すが、スペーサー基としては、炭素原子数1〜12のアルキレン基、又は単結合が好ましく、該アルキレン基中のメチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い。
【0023】
11は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、メチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、硫黄原子、−CO−、―COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、又は−C≡C−で置換されて良い炭素原子数1〜12のアルキル基、又は−S12−R12が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチレン基が酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−CO−、―COO−、−OCO−、又は−OCO−で置換されて良い炭素原子数1〜12のアルキル基、又は−S12−R12がより好ましく、メチレン基が酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子で置換されて良い炭素原子数1〜12のアルキル基、又は−S12−R12がより好ましい。R12は独立してR11と同じ意味を表し、S12は独立してS11と同じ意味を表す。Z11が、−S12−R12の場合、S11及びS12は、上記同様にお互い独立してスペーサー基又は単結合を表すが、スペーサー基としては、炭素原子数2〜12のアルキレン基、又は単結合が好ましく、メチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い炭素原子数2〜12のアルキレン基、又は単結合が好ましく、少なくとも一方が、メチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い炭素原子数2〜12のアルキレン基がより好ましい。
【0024】
11、X12、X13及びX14は、お互い独立して水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、又はニトロ基が好ましく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、又はハロゲンがより好ましく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲンがより好ましい。
【0025】
11、L12、及びL14はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、―COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−SCH−、−CHS−、―CH=CH−COO−、−COO―CH=CH−、−OCO−CH=CH−OCO−、−CH=CH−、―COOC−、―OCOC−、―COCO−、―CCOO−、−OCOCH−、―CHCOO−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−又は−C≡C−が好ましく(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)、単結合、−O−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、―COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、―CH=CH−COO−、−COO―CH=CH−、−OCO−CH=CH−OCO−、―COOC−、―OCOC−、―COCO−、―CCOO−、−OCOCH−、―CHCOO−、又は−CH=CH−がより好ましく、単結合、−O−、−OCH−、−CHO−、―CH=CH−COO−、−COO―CH=CH−、−OCO−CH=CH−OCO−、―COOC−、―OCOC−、―COCO−、―CCOO−、−OCOCH−、―CHCOO−、又は−CH=CH−がより好ましい。
【0026】
13は、―CH=CH−COO−、―CH=CH−OCO−、―COO−CH=CH−、又は―OCO−CH=CH−が好ましく、―CH=CH−COO−、又は―OCO−CH=CH−がより好ましい。
【0027】
11、及びM12は、お互い独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基が好ましく、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、又はテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基がより好ましく、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基が特に好ましい。M11、M12は、これら基中に含まれる水素原子がお互い独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、アルコキシ基、ニトロ基に置換されているか、又は無置換であることが好ましく、フッ素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基に置換されているか、又は無置換であることがより好ましく、フッ素原子に置換されているか、又は無置換であることが特に好ましい。
【0028】
mは0又は1を表し、nは、1、2又は3を表す。nが2又は3を表す場合、2個又は3個存在するM12は同一であっても異なっていても良く、2個又は3個存在するL14は同一であっても異なっていても良い。
一般式(I)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(I-1)〜(I-39)で表される化合物が好ましい。
【0029】
【化7】

【0030】
【化8】

【0031】
【化9】

【0032】
【化10】

【0033】
【化11】

【0034】
更には、一般式(I-1)〜(I-30)及び(I-36)〜(I-39)で表される化合物が好ましい。
【0035】
本願発明の重合性化合物を含有する液晶組成物では、一般式(I)で表される重合性化合物を少なくとも1種を含有するが、1種〜5種含有することが好ましく、1種〜3種含有することが特に好ましく、一般式(I)で表される化合物の含有率の下限値は0.01質量%であることが好ましく、0.03質量%であることがより好ましく、上限値は2.0質量%であることが好ましく、1.0質量%であることがより好ましい。
【0036】
第二成分として使用する一般式(II)で表される化合物において、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されたもの、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されたものも含む。)が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数3から6のアルケニルオキシ基がより好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基が特に好ましい。
【0037】
21、M22及びM23はお互い独立してトランス-1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個のCH2基が酸素原子に置換されているものを含む)、1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個又は2個以上のCH基は窒素原子に置換されているものを含む)、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、1,4-フェニレン基、又は1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基を表すことがより好ましく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことが特に好ましい。oは0、1又は2が好ましく、0又は1はより好ましい。L21、及びL22はお互い独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−又は−CH2O−がより好ましく、単結合、−CH2CH2−がさらに好ましい。さらに詳述すると、一般式(II)は、具体的な構造として以下の一般式(II-A)から一般式(II-P)からなる群で表される化合物が好ましい。
【0038】
【化12】

【0039】
(式中、R23及びR24は、それぞれ独立的に炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシ基、炭素数2から10のアルケニル基又は炭素数3から10のアルケニルオキシ基を表す。)
R23及びR24は、それぞれ独立的に炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシ基又は炭素数2から10のアルケニル基がより好ましく、炭素数1から5のアルキル基又は炭素数1から10のアルコキシ基が更に好ましい。
一般式(II-A)から一般式(II-P)で表される化合物中、一般式(II-A)、一般式(II-B)、一般式(II-C)、一般式(II-E)、一般式(II-H)、 一般式(II-I)、一般式(II-I)、又は一般式(II-K)で表される化合物が好ましく、一般式(II-A)、一般式(II-C)、一般式(II-E)、 一般式(II-H)又は一般式(II-I)で表される化合物が更に好ましい。
【0040】
本願発明では一般式(II)で表される化合物を少なくとも1種を含有するが、1種〜10種含有することが好ましく、2種〜8種含有することが特に好ましく、一般式(II)で表される化合物の含有率の下限値は5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることが更に好ましく、30質量%であることが特に好ましく、上限値としては80質量%が好ましく、70質量%が更に好ましく、60質量%が更に好ましい。
【0041】
第三成分として使用する一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc) で表される化合物において、R31、R32及びR33はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基、炭素数1〜15の直鎖状アルキル基又は炭素数2〜15のアルケニル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されているもの、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されているものも含む。)を表すことが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、炭素数1〜10の直鎖状アルコキシ基又は炭素数2〜10アルケニル基を表すことがより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表すことが特に好ましい。
31、M32、M33、M34、M35、M36、M37、及びM38はお互い独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられているものも含む。)、1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられているものも含む)、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基で表す基(各々の基はそれぞれ水素原子がシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されているものも含む。)が好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基又は3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基を表すことがより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことが更に好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基を表すことが特に好ましい。
【0042】
31、L32、L33、L34、L35、L36、L37及びL38はお互い独立して単結合、−OCO−、−COO−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表すことが好ましく、単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−又は−C≡C−を表すことがより好ましく、単結合又は−CH2CH2−が特に好ましい。X31、X32、X33、X34、X35、X36、及びX37はお互い独立して水素原子又はフッ素原子をし、Y31、Y32、及びY33はお互い独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ジフルオロメトキシ基又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子を表すことが特に好ましい。p、q、r、s、及びtはお互い独立して、0、1又は2を表すが、q+r及びs+tは2以下を表す。
【0043】
具体的には以下の一般式(IIIa-1)で示される構造を表すことが好ましい。
【0044】
【化13】

【0045】
(式中、R34は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、L39及びL40はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表し、M39は1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、X32は水素原子又はフッ素原子を表し、pは0又は1を表し、Y34はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)
さらに具体的には以下の一般式(IIIa-2a)〜一般式(IIIa-4d)
【0046】
【化14】

【0047】
【化15】

【0048】
【化16】

【0049】
(式中、R34は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、X31及びX32はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y34はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造が好ましく、
【0050】
【化17】

【0051】
(式中、R34は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Y34はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造を表すことも好ましい。
【0052】
一般式(IIIb)は具体的な構造として以下の一般式
【0053】
【化18】

【0054】
【化19】

【0055】
【化20】

【0056】
(式中、R35は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Y35はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造が好ましく、
一般式(IIIc)は具体的な構造として以下の一般式
【0057】
【化21】

【0058】
【化22】

【0059】
【化23】

【0060】
(式中、R36は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Y36はシアノ基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表す。)で表される構造が好ましい。
一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種を含有するが、1種〜10種含有することが好ましく、2種〜8種含有することが特に好ましく、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物からなる群の含有率の下限値は5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることが好ましく、上限値は80質量%が好ましく、70質量%が好ましく、60質量%が好ましく、50質量%が更に好ましい。
【0061】
また、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)で表される化合物において、R41、R42、R43、R44、R45及びR46はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基、炭素数1〜15の直鎖状アルキル基又は炭素数2〜15のアルケニル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されているもの、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されているものも含む。)を表すことが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、炭素数1〜10の直鎖状アルコキシ基又は炭素数2〜10アルケニル基を表すことがより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表すことが特に好ましい。M41、M42、M43、M44、M45、M46、M47、M48及びM49はお互い独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられているものも含む。)、1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられているものも含む)、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基で表す基(各々の基に含まれる水素原子がそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されているものも含む。)が好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基又は2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基を表すことがより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことが更に好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基を表すことが特に好ましい。L41、L42、L43、L44、L45、L46、L47、L48及びL49はお互い独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCO−、−COO−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表すことが好ましく、単結合、−CH2CH2−、−OCH2−、又は−CH2O−を表すことがより好ましい。X41、X42、X43、X44、X45、X46、及びX47はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Gはメチレン基又は−O−を表し、u、v、w、x、y及びzはお互い独立して、0、1又は2を表すが、u+v、w+x及びy+zは2以下で表す。
【0062】
一般式(IVa)で表される化合物において、具体的には以下の一般式(IVa-1)で示される構造を表すことが好ましい。
【0063】
【化24】

【0064】
(式中、R47 及びR48はお互い独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、L50、L51及びL52はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表し、M50は1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、u及びvは、それぞれ独立して0又は1を表す。)
さらに具体的には以下の一般式(IVa-2a)〜一般式(IVa-3i)
【0065】
【化25】

【0066】
【化26】

【0067】
(式中、R47及びR48は、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)で表される構造が好ましく、R47及びR48がそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシル基で表される構造が更に好ましい。
【0068】
一般式(IVb)で表される化合物において、具体的には以下の一般式(IVb-1)で示される構造を表すことが好ましい。
【0069】
【化27】

【0070】
(式中、R49 及びR50はお互い独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、L53、L54及びL55はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表し、M51、M52及びM53は1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、w1及びx1は、独立して0、1又は2を表すが、w1+x1は2以下を表す。)
さらに具体的には以下の一般式(IVb-2a)〜(IVb-3l)
【0071】
【化28】

【0072】
【化29】

【0073】
(式中、R49及びR50は、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)で表される構造が好ましい。
【0074】
一般式(IVc)で表される化合物において、具体的には以下の一般式(IVc-1a)及び一般式(IVc-1b)で示される構造を表すことが好ましい。
【0075】
【化30】

【0076】
(式中、R51 及びR52はお互い独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、L56、L57及びL58はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表し、M54、M55及びM56は1,4-フェニレン基又はトランス-1,4-シクロヘキシレン基を表し、y1及びz1は、独立して0、1又は2を表すが、y1+z1は2以下を表す。)
さらに具体的には以下の一般式(IVc-2a)〜(IVc-2g)
【0077】
【化31】

【0078】
(式中、R51 及びR52はお互い独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)
第三成分として使用する一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物、又は一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種を含有するが、2種〜10種含有することが好ましく、2種〜8種含有することが特に好ましく、含有率の下限値が5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることがより好ましく、上限値が80質量%であることが好ましく、70質量%であることが好ましく、60質量%であることが好ましく、50質量%であることが好ましい。
【0079】
本願発明の液晶組成物において、Δnは0.08〜0.25の範囲であることが好ましい。
【0080】
本願発明の液晶組成物において、Δεは液晶表示素子の表示モードによって、正、又は負のΔεを有するものを用いることができる。MVAモードの液晶表示素子においては、負のΔεを有する液晶組成物を使用する。その場合のΔεは、−1以下が好ましく、−2以下がより好ましい。
【0081】
本願発明の液晶組成物は、広い液晶相温度範囲(液晶相下限温度と液晶相上限温度の差の絶対値)を有するが、液晶相温度範囲が100℃以上であることが好ましく、120℃以上がより好ましい。また、液晶相上限温度は70℃以上であることが好ましく、80℃以上がより好ましい。さらに、液晶相下限温度は−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下がより好ましい。
【0082】
本願発明の液晶組成物は、上記の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有していてもよい。
【0083】
本願発明の重合性化合物を含有する液晶組成物は、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0084】
本願発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%がさらに好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
【0085】
本願発明の液晶組成物は、液晶組成物中の重合性化合物が重合することにより液晶配向能が付与され、液晶組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。液晶表示素子として、AM-LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ネマチック液晶表示素子)、STN-LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)、OCB-LCD及びIPS-LCD(インプレーンスイッチング液晶表示素子)に有用であるが、AM-LCDに特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0086】
液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス、プラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0087】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法、又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0088】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0089】
2枚の基板間に高分子安定化液晶組成物を狭持させるに方法は、通常の真空注入法、又はODF法などを用いることができる。
【0090】
重合性化合物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、液晶組成物に交流を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流は、周波数500Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数1kHzから10kHzがより好ましい。
【0091】
照射時の温度は、本願発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm〜50W/cmが好ましく、2mW/cm〜20W/cmがより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10から10000mJ/cmが好ましく、100から7000mJ/cmがより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10から600秒が好ましい。
【実施例】
【0092】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0093】
液晶組成物の物性として、以下のように表す。
TN-I :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)を液晶相上限温度
Δε :誘電率異方性
Δn :屈折率異方性
Vth :周波数1KHzの矩形波を印加した時の透過率が10%変化する印加電圧(しきい値電圧)
(UV硬化後のモノマー残存量の測定方法)
液晶セルに液晶組成物を注入後、UVを照射し重合性化合物を重合させる。その後、液晶セルを分解し、液晶材料、重合物、未重合の重合性化合物を含む溶出成分のアセトニトリル溶液を得る。これを高速液体クロマトグラフィー(カラム:、展開溶媒:アセトニトリル)により、各成分のピーク面積を測定する。指標とする液晶材料のピーク面積と未重合の重合性化合物のピーク面積比から、残存する重合性化合物の量を決定した。この値と当初添加した重合性化合物の量からモノマー残存量を決定した。なお、重合性化合物の残存量の検出限界は1000ppmであった。
(実施例1)
一般式(II)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−1を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0094】
【化32】

【0095】
上記液晶組成物LC−1の物性を表1に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、一般式(I-1)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−1を調製した。CLC−1の物性は上記のLC−1の物性とほとんど違いはなかった。CLC−1をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角(クリスタルローテーション法)を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前後のプレチルト角及び素子の電気光学特性を表2に示す。
【0098】
【表2】

【0099】
上記のプレチルト角の結果から、重合性化合物が重合することにより、液晶分子にプレチルトが付与された垂直配向性液晶表示素子を得ることがわかった。
また、液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-1)で示される化合物の含有量を分析したが、検出されなかった。これにより、一般式(I-1)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(比較例1)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、一般式(A)
【0100】
【化33】

【0101】
で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−Aを調製した。CLC−Aをセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は89.5度とプレチルトが付与されていなかった。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(A)で示される化合物の含有量を分析した結果、紫外線照射前と含有量に変化はなく、重合性化合物(A)の重合は進行していなかった。
(実施例2)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、一般式(I-2)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−2を調製した。CLC−2をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.4度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-2)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-2)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例3)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、一般式(I-20)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−3を調製した。CLC−3をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.5度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.7度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-20)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-20)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例4)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、一般式(I-36)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−7を調製した。CLC−7をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.5度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.1度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-36)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-36)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例5)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、一般式(I-37)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−8を調製した。CLC−8をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.7度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.3度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-37)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-37)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例6)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、一般式(I-38)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−9を調製した。CLC−9をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.7度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-38)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-38)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例7)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、一般式(I-39)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−10を調製した。CLC−10をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.7度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.1度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-39)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-39)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例8)
一般式(II)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した実例として以下のような構成成分の液晶組成物LC−2を調製した。
【0102】
【化34】

【0103】
上記液晶組成物LC−2の物性を表3に示す。
【0104】
【表3】

【0105】
液晶組成物LC−2 99.7%に対して、一般式(I-1)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−4を調製した。CLC−4をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.4度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-1)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-1)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例9)
一般式(II)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した実例として以下のような構成成分の液晶組成物LC−3を調製した。
【0106】
【化35】

【0107】
上記液晶組成物LC−3の物性を表4に示す。
【0108】
【表4】

【0109】
液晶組成物LC−3 99.7%に対して、一般式(I-1)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−5を調製した。CLC−5をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.5度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.1度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-1)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-1)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例10)
一般式(II)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した実例として以下のような構成成分の液晶組成物LC−4を調製した。
【0110】
【化36】

【0111】
上記液晶組成物LC−4の物性を表5に示す。
【0112】
【表5】

【0113】
液晶組成物LC−4 99.7%に対して、一般式(I-1)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−6を調製した。CLC−6をセルギャップ3.5μmでパラレル配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、0.2度であったのに対して、照射後のプレチルト角は3.1度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-1)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-1)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例11)
一般式(II)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した実例として以下のような構成成分の液晶組成物LC−5を調製した。
【0114】
【化37】

【0115】
上記液晶組成物LC−5の物性を表6に示す。
【0116】
【表6】

【0117】
液晶組成物LC−5 99.7%に対して、一般式(I-2)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−11を調製した。CLC−11をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.0度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-2)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-2)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例12)
一般式(II)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した実例として以下のような構成成分の液晶組成物LC−6を調製した。
【0118】
【化38】

【0119】
上記液晶組成物LC−6の物性を表7に示す。
【0120】
【表7】

【0121】
液晶組成物LC−6 99.7%に対して、一般式(I-37)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−12を調製した。CLC−12をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.8度であったのに対して、照射後のプレチルト角は86.5度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-37)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-37)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例13)
一般式(II)から選ばれる化合物、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)から選ばれる化合物又は、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)から選ばれる化合物を含有した実例として以下のような構成成分の液晶組成物LC−7調製した。
【0122】
【化39】

【0123】
上記液晶組成物LC−7物性を表8示す。
【0124】
【表8】

【0125】
液晶組成物LC−7 99.7%に対して、一般式(I-37)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性液晶組成物CLC−13を調製した。CLC−13をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.7度であったのに対して、照射後のプレチルト角は86.6度とプレチルトが付与されていた。液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(I-37)で示される化合物の含有量を分析したが、検出限界以下であった。これにより、一般式(I-37)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例14及び比較例2)
実施例1〜13及び比較例1で作製した重合後の液晶表示素子を電圧印加し、経過時間と焼き付きの様子を目視観察した。(○は変化は見られないことを表す。×は焼き付きが見られ、×の数が多いほど程度が悪いことを表す。)
【0126】
【表9】

【0127】
比較例1で作製した液晶表示素子は表示後48時間で焼き付きが発生し、168時間後には、ほぼ全面に渡り表示不良が見られた。これに対し実施例1〜13で作製した液晶表示素子では、500時間経過後でも、良好な表示状態を維持した。これにより、本願発明化合物のように重合性材料がすべて重合し消費された液晶表示素子の高い信頼性が確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0128】
液晶表示素子用の液晶材料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分として、一般式(I)
【化1】

(式中、R11は以下の式(R-1)から式(R-15)
【化2】

の何れかを表し、
11は、炭素原子数1〜12のアルキレン基、又は単結合を表し、該アルキレン基中のメチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い、
11は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、硫黄原子、−CO−、―COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、又は−C≡C−で置換されて良く、あるいはZ11は、−S12−R12
(式中、R12は独立してR11と同じ意味を表し、S12は独立してS11と同じ意味を表す。)を表し、
11、X12、X13及びX14は、お互い独立して水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、又はニトロ基を表し、
11、L12、及びL14はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、―COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−SCH−、−CHS−、―CH=CH−COO−、−COO―CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、―COOC−、―OCOC−、―COCO−、―CCOO−、−OCOCH−、―CHCOO−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表し(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)、
13は、―CH=CH−COO−、―CH=CH−OCO−、―COO−CH=CH−又は―OCO−CH=CH−を表し、
11、及びM12は、お互い独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、M11、M12は、お互い独立して無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、アルコキシ基、又はニトロ基に置換されていても良く、
mは0又は1を表し、nは、1、2又は3を表し、nが2又は3を表す場合、2個又は3個存在するM12は同一であっても異なっていても良く、2個又は3個存在するL14は同一であっても異なっていても良い。)で表される重合性化合物から選ばれる一種又は二種以上の化合物を含有し、第二成分として、一般式(II)
【化3】

(式中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
21、M22及びM23はお互い独立して
(a) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、及び
(c) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、
oは0、1又は2を表し、
21、及びL22はお互い独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−又は−C≡C−を表し、L22が複数存在する場合は、同一でも良く異なっていても良く、M23が複数存在する場合は、同一でも良く異なっていても良い。)で表される化合物を一種又は二種以上含有し、第三成分として、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)及び一般式(IIIc)
【化4】

(式中R31、R32及びR33はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
31、M32、M33、M34、M35、M36、M37、及びM38はお互い独立して、
(d) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(e) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい) 、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、及び、
(f) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基であり、上記の基(d)、基(e)又は基(f)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
31、L32、L33、L34、L35、L36、L37及びL38はお互い独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表し、M32、M34、M35、M37、M38、L31、L33、L35、L36、及び/又はL38が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
31、X32、X33、X34、X35、X36、及びX37はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、
31、Y32、及びY33はお互い独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、又はジフルオロメトキシ基を表し、
31、X32、又はY31のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、又はジフルオロメトキシ基を表すか、M31、又はM32、に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、
33、X34、X35、又はY32のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ジフルオロメトキシ基を表すか、M33、M34、又はM35、に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、
36、X37、又はY33のうち少なくともひとつはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ジフルオロメトキシ基を表すか、M36、M37、及びM38、に含まれる水素原子のうち少なくともひとつはシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、
p、q、r、s、及びtはお互い独立して、0、1又は2を表すが、q+r及びs+tは2以下である。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物又は
一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)
【化5】

(式中R41、R42、R43、R44、R45及び、R46はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
41、M42、M43、M44、M45、M46、M47、M48、及びM49はお互い独立して、
(d) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(e) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)及び、
(f) 1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及びデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基
からなる群より選ばれる基であり、上記の基(d)、基(e)又は基(f)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、
41、L42、L43、L44、L45、L46、L47、L48、及びL49はお互い独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−、−CF2O−又は−C≡C−を表し、M42、M43、M45、M46、M48、M49、L41、L43、L44、L46、L47及び/又はL49が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
41、X42はお互い独立してトリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表し、X43、X44、X45、X46、X47、及びX48はお互い独立して水素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又はフッ素原子を表すが、X41及びX42の何れか一つはフッ素原子を表し、X43、X44、及びX45の何れか一つはフッ素原子を表し、X46、X47、及びX48の何れか一つはフッ素原子を表すが、X46、及びX47、は同時にフッ素原子を表すことはなく、X46、及びX48は同時にフッ素原子を表すことはない、
Gはメチレン基又は−O−を表し、
u、v、w、x、y、及びzはお互い独立して、0、1又は2を表すが、u+v、w+x及びy+zは2以下である。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上含有することを特徴とする液晶組成物。
【請求項2】
一般式(I)において、Z11が、−S12−R12の場合、S11及びS21の少なくとも一方が、酸素原子同士が直接結合しないものとして炭素原子が酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い炭素原子数2〜12のアルキレン基を表わすことを特徴とする請求項1記載の液晶組成物。
【請求項3】
一対の基板に液晶を狭持した構造を有し、少なくとも透明電極及び偏光板を備え、液晶組成物中に含有した重合性化合物を重合することにより液晶配向能を付与したことを特徴とする液晶表示素子に使用する請求項1又は2記載の液晶組成物。
【請求項4】
一般式(I)から選ばれる化合物を0.01〜2質量%と、一般式(II)から選ばれる化合物を5〜70質量%と、一般式(IIIa)、一般式(IIIb)又は一般式(IIIc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物又は一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc) で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を5〜70質量%を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶組成物。
【請求項5】
第三成分として、一般式(IVa)、一般式(IVb)及び一般式(IVc)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液晶組成物。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5記載の液晶組成物を使用し、液晶組成物中に含有した重合性化合物を重合することにより液晶配向能を付与したことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項7】
液晶組成物の誘電率異方性が負であることを特徴とする請求項6記載の液晶表示素子。

【公開番号】特開2011−202168(P2011−202168A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103538(P2011−103538)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【分割の表示】特願2010−541623(P2010−541623)の分割
【原出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】