説明

重合性化合物含有液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子

【課題】重合後の液晶配向規制力が高く、焼き付き等の表示特性に不具合を生じない重合性化合物含有液晶組成物の提供。
【解決手段】第一成分として、一般式(I)で表される化合物を一種又は二種以上含有し、第二成分として、一般式(II)で表される化合物を一種又は二種以上含有し、第三成分として、一般式(III)で表される重合性化合物を一種又は二種以上含有する重合性化合物含有液晶組成物を提供し、更に、当該液晶組成物を用いた液晶表示素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性化合物含有液晶組成物、更に当該液晶組成物を使用した液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
PSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示装置は、液晶分子のプレチルト角を制御するためにセル内にポリマー構造物を形成した構造を有するものであり、高速応答性や高いコントラストから次世代の液晶表示素子として開発が進められている。
PSA型液晶表示素子の製造は、液晶性化合物及び重合性化合物からなる重合性組成物を基板間に注入し、電圧を印加し液晶分子を配向させた状態で重合性化合物を重合させて液晶分子の配向を固定することにより行われる。このPSA型液晶表示素子の表示不良である焼き付きの原因としては、不純物によるもの及び液晶分子の配向の変化(プレチルト角の変化)が知られている。
不純物による焼き付きは、重合が不完全で残存した重合性化合物及び重合の進行を促進するために添加する重合開始剤により起こる。このため重合終了後の重合性化合物の残存量は最小限に抑え、添加する重合開始剤の量を抑える必要がある。例えば、重合を完全に進行させるために多量の重合開始剤を添加すると、残留した重合開始剤により表示素子の電圧保持率が低下し表示品位に悪影響を及ぼしてしまう。また電圧保持率の低下を抑えるために重合する際に使用する重合開始剤の量を減らしてしまうと、重合が完全に進行しないため重合性化合物が残存し、残存した重合性化合物による焼き付きの発生が避けらない。また、少ない重合開始剤の添加量で重合性化合物を完全に硬化させ、重合性化合物の残留を抑えるためには、重合において強い紫外線を長時間照射する等により、多量のエネルギーを加える方法もある。しかしこの場合、製造装置の大型化、製造効率の低下を招くこととなるとともに、液晶材料の紫外線による劣化等が生じてしまう。従って、従来の重合性化合物を含有する液晶組成物においては、未硬化の重合性化合物及び重合開始剤の両方の残存量を同時に低減することは困難であった。このため重合開始剤を用いることなく重合が完結するような重合性化合物を含有する液晶組成物が求められていた。
一方、焼き付きの発生には、重合性化合物を含有する液晶組成物における、液晶分子のプレチルト角の変化に起因するものも知られている。すなわち、重合性化合物の硬化物であるポリマーが柔軟であると、表示素子を構成した場合において同一のパターンを長時間表示し続けたときにポリマーの構造が変化し、その結果としてプレチルト角が変化してしまう。プレチルト角の変化は焼き付きの原因となるため、ポリマー構造が変化しない剛直な構造を持つポリマーを形成する重合性化合物が必要となる。
【0003】
従来、ポリマーの剛直性を向上させることにより焼き付きを防止するために、環構造と重合性官能基のみを持つ1,4−フェニレン基等の構造を有する重合性化合物を用いて表示素子を構成すること(特許文献1参照)や、ビアリール構造を有する重合性化合物を用いて表示素子を構成すること(特許文献2参照)が検討されてきた。しかし、これらの重合性化合物は液晶化合物に対する相溶性が低いため、液晶組成物を調製した際に、該重合性化合物の析出等の不具合を生じさせる可能性があった。
又、ポリマーの剛直性を向上させることにより焼き付きを防止するため、2官能性の重合性化合物と、ジペンタエリスリトールペンタアクリレイト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレイト等の3官能以上の重合性化合物の混合液晶組成物を用いて表示素子を構成すること(特許文献3参照)が提案されている。しかし、ジペンタエリスリトールペンタアクリレイト及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレイトは、分子内に環構造を持たないため、液晶化合物との親和力が弱く、配向を規制する力が弱いことから、十分な配向安定性が得られない問題があった。また、これらの重合性化合物は重合において重合開始剤の添加が必須であり、重合開始剤を添加しないと重合後に重合性化合物が残存してしまう。
以上より、重合性化合物含有液晶組成物において求められる表示素子の焼き付き特性、配向安定性、析出が発生しない組成物としての安定性、PSA型液晶表示素子作製の際の製造効率等の特性を充足することは困難であり、当該表示素子実用化の妨げとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−307720号公報
【特許文献2】特開2008−116931号公報
【特許文献3】特開2004−302096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、重合開始剤を用いることなくあるいは極めて少量の添加で重合が完結し、重合後の液晶配向規制力が強く、重合性化合物が液晶材料と良好に相溶するため析出等の不具合を生じない重合性化合物含有液晶組成物を提供することにある。更には、重合性化合物含有液晶組成物が重合することにより液晶配向能が付与され表示性能が優れた液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは種々の重合性化合物及び種々の非重合性の液晶化合物の検討を行った結果、特定の構造を有する重合性化合物及び非重合性の液晶化合物から成る重合性化合物含有液晶組成物が前述の課題を解決できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
すなわち、第一成分として、一般式(I)
【化1】

(式中R11及び、R12はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
は、0、1又は2を表し、
11及びM12はお互い独立して、
(a) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)及び、
(c) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及びデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良いが、M12が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
11は単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−又は−C≡C−を表し、
11、X12はお互い独立してトリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子又は塩素原子を表すが、X11及びX12の何れか一つはフッ素原子を表す。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上含有し、
第二成分として、一般式(II)
【化2】

(式中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
は0、1又は2を表し、
21、M22及びM23はお互い独立して
(d) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(e) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、及び
(f) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表すが、M23が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良く、
21、及びL22はお互い独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−又は−C≡C−を表すが、L22が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良い。)で表される化合物を一種又は二種以上含有し、
第三成分として、一般式(III)
【化3】

(式中、Zは、水素原子、ハロゲン、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、又は−C≡C−で置換されて良く、あるいはZは、−S32−R32を表し、
31及びR32はお互い独立して以下の式(R−1)から式(R−15)
【化4】

の何れかを表し、
31及びS32はお互い独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基、又は単結合を表し、該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良く、
は0又は1を表し、nは1、2又は3を表すが、n+nは1、2又は3であり、
31、L32及びL34はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−COCO−、−CCOO−、−OCOCH−、−CHCOO−、−CHOCO−、−COOCH−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表すが(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)、L34が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良く、
33は、−CH=CQ−COO−、−COO−CQ=CH−、−OCO−CQ=CH−又は、−CH=CQ−OCO−(式中、Qは水素原子又はメチル基を表す。)を表し、
31、及びM33はお互い独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、M32は1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表し、M31、M32及びM33はお互い独立して無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がハロゲン、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、又はニトロ基に置換されていても良く、
33が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良い。)で表される重合性化合物を一種又は二種以上含有する重合性化合物含有液晶組成物を提供し、更に、当該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本願の一般式(III)で表される重合性化合物は一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物との相溶性が優れるため、安定した液晶組成物を得ることができる。また、液晶化合物と類似した骨格を有するため液晶化合物の配向規制力が強い。特に一般式(I)で表される化合物と一般式(III)で表される重合性化合物の相性がよく配向規制力が強い。また、該重合性化合物を含有する液晶組成物は、光重合開始剤を使用することなくあるいは極めて少量の添加で重合性化合物を重合させることができ、重合後に残存する未重合の重合性化合物がない、あるいは極めて少ない。加えて、重合性化合物の重合に必要なエネルギーを大幅に削減できる。これにより液晶組成物中の重合性化合物をポリマー化することで配向付与する液晶表示素子の表示不具合が大幅に軽減され、また、製造のためのエネルギーコストを削減し、生産効率を向上できるため、該液晶表示素子用の液晶組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<液晶化合物>
第一成分として使用する一般式(I)で表される化合物において、R11及びR12はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数3から6のアルケニルオキシ基がより好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基が特に好ましく、直鎖状であることが好ましい。
は0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましい。M12が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良い。
【0009】
11及びM12はお互い独立して、
(a) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)及び、
(c) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及びデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良い。トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又は1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基がより好ましく、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基が特に好ましい。
【0010】
11は単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−CHCH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−CHCH−、−CHO−、又は−CFO−がさらに好ましい。
11、X12はお互い独立してトリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子又は塩素原子を表すが、X11及びX12の何れか一つはフッ素原子を表すが、ともにフッ素原子が好ましい。
【0011】
更に詳述すると、一般式(I)は具体的な構造として以下の一般式(I−1)から一般式(I−17)からなる群で表される化合物が好ましい。
【0012】
【化5】

【0013】
【化6】

【0014】
式中、R13及びR14はそれぞれ独立して炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数2から8のアルケニル基を表す。R13及びR14はそれぞれ独立して炭素数1から8のアルキル基又は炭素数1から8のアルコキシ基が更に好ましい。
一般式(I−1)から一般式(I−17)で表される化合物中、一般式(I−1)又は一般式(I−2)で表される化合物がより好ましい。
【0015】
一般式(I)で表される化合物と一般式(III)で表される重合性化合物を用いることで高速応答化が可能となる。第一成分として使用する一般式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種を含有するが、2種〜10種含有することが好ましく、2種〜8種含有することが特に好ましく、含有率の下限値が5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることがより好ましく、上限値が60質量%であることが好ましく、50質量%であることが好ましく、40質量%であることがより好ましい。
【0016】
第二成分として使用する一般式(II)で表される化合物において、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数3から6のアルケニルオキシ基がより好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基が特に好ましい。
は0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましい。M23が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良い。L22が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良い。
【0017】
21、M22及びM23はお互い独立して
(d) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(e) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、及び
(f) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基が好ましい。トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又は1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基がより好ましく、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基が特に好ましい。
【0018】
21、及びL22はお互い独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−又は−C≡C−が好ましい。単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−又は−CHO−がより好ましく、単結合又は−CHCH−が更に好ましい。
【0019】
更に詳述すると、一般式(II)は具体的な構造として以下の一般式(II−A)から一般式(II−P)からなる群で表される化合物が好ましい。
【0020】
【化7】

【0021】
(式中、R23及びR24はそれぞれ独立的に炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシ基、炭素数2から10のアルケニル基又は炭素数3から10のアルケニルオキシ基を表す。)
23及びR24はそれぞれ独立的に炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシ基又は炭素数2から10のアルケニル基がより好ましく、炭素数1から5のアルキル基又は炭素数1から10のアルコキシ基が更に好ましい。
一般式(II−A)から一般式(II−P)で表される化合物中、一般式(II−A)、一般式(II−B)、一般式(II−C)、一般式(II−E)、一般式(II−H)、一般式(II−I)又は一般式(II−K)で表される化合物が好ましく、一般式(II−A)、一般式(II−C)、一般式(II−E)、一般式(II−H)又は一般式(II−I)で表される化合物が更に好ましい。
本願発明では一般式(II)で表される化合物を少なくとも1種を含有するが、1種〜10種含有することが好ましく、2種〜8種含有することが特に好ましい。一般式(II)で表される化合物の含有率の下限値は5質量%であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることが更に好ましく、30質量%であることが特に好ましく、上限値としては90質量%が好ましく、80質量%が好ましく、70質量%が更に好ましく、60質量%が更に好ましい。
【0022】
<重合性化合物>
本願発明の重合性化合物を含有する液晶組成物で用いられる重合性化合物は、一般式(III)で表される化合物で構成される。
一般式(III)において、Zは、水素原子、ハロゲン、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、又は−C≡C−で置換されて良く、あるいはZは、−S32−R32であることが好ましい。
更にZは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、又は−C≡C−で置換されて良く、あるいはZは、−S32−R32であることが好ましい。
【0023】
31及びR32は重合性基を表す。Zが−S32−R32である場合は分子内に重合性基としてR31及びR32の2個を、それ以外の場合はR31の1個を、有することとなる。重合性基が分子内にいくつあるかは、重合後の硬化物の強度を決める上で重要である。重合性基の数が多くなると、重合後の硬化物は強度を増すため、強度の改善と、一般式(I)で表される化合物との相溶性の改善とのバランスから選択することが好ましい。
重合性基の具体的な例としては、下記に示す構造が挙げられる。
【0024】
【化8】

【0025】
これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合及びアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−15)が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)又は式(R−13)がより好ましく、式(R−1)又は式(R−2)がより好ましい。
【0026】
31及びS32はお互い独立して、スペーサー基又は単結合を表す。S31及びS32は、炭素原子数1〜12のアルキレン基、又は単結合が好ましく、該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い。
プレチルト角の変化量を抑えるためには、単結合又は炭素原子数が1〜4のアルキレン基が好ましい。これに対し溶解性を向上させるにはある程度の長さを持つアルキレン基が好ましいが、あまり長くすると重合後のポリマーの柔軟性が上がり、焼付けの原因となる。このため溶解度を改善するためには、炭素原子数1〜8のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキレン基がより好ましい。
【0027】
33は、−CH=CQ−COO−、−COO−CQ=CH−、−OCO−CQ=CH−又は、−CH=CQ−OCO−(式中、Qは水素原子又はメチル基を表す。)が好ましい。
【0028】
31、L32及びL34はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−COCO−、−CCOO−、−OCOCH−、−CHCOO−、−CHOCO−、−COOCH−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−又は−C≡C−が好ましい(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)。更に、単結合、−O−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−COCO−、−CCOO−、−OCOCH−、−CHCOO−、−CHOCO−、−COOCH−又は−CH=CH−が好ましい。
紫外線による重合をより迅速に進行させるには、π電子を有する連結基が好ましく、他の液晶材料、特に一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物との相溶性を改善するにはエーテル結合又はエステル結合を有する連結基及び単結合が好ましい。
連結基として−CH=CQ−COO−、−CH=CQ−OCO−、−COO−CQ=CH−又は−OCO−CQ=CH−(式中、Qは水素原子又はメチル基を表す。)を持つものは液晶材料、特に一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物との相溶性に優れている。更に相溶性を重視するにはQがメチル基のものが好ましく、生産性を重視する場合にはQが水素原子のものが好ましい。
【0029】
31、及びM33はお互い独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基が好ましい。M32は1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。M31、M32及びM33はお互い独立して無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がハロゲン、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、又はニトロ基に置換されていても良い。
更にM31、及びM33はお互い独立して、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基(これらの基は、お互い独立して、無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がハロゲン、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルコキシ基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基に置換されていても良い。)が好ましい。
31、及びM33は他の成分、特に一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物との相溶性を改善するには少なくとも1つがトランス−1,4−シクロヘキシレン基であるか又は基中の少なくとも1個以上の水素原子がフッ素原子、アルキル基、又はアルコキシ基に置換しているか又はスペーサー基が単結合でないことが好ましい。適度な柔軟性を持たせるにはM31、及びM33の少なくとも1個がシクロヘキサン骨格を持つことが好ましく、重合性を改善するにはM31、及びM33の少なくとも2個が芳香環を持つことが好ましく、3個以上が芳香環を持つことが更に好ましい。重合性が高いと、重合時の照射強度を抑えることができ、また残存する重合性化合物の量が減少するため、生産性の向上、液晶組成物の劣化の防止及び焼き付きを防ぐことができ、表示不良の減少などが可能となる。
【0030】
は0又は1を表し、nは1、2又は3を表すが、n+nは1、2又は3である。
34が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良い。
33が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良い。
他の成分、特に一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物との相溶性の改善が特に求められる場合にはn+nは1又は2が好ましく、液晶分子、特に一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物の配向規制力の向上が特に求められる場合にはn+nは2又は3が好ましい。他の成分との相溶性が低いと運搬時や液晶表示素子の製造時に析出等が生じ、含有量の変化や表示不良の原因となる。また配向規制力が低いと液晶分子の配向の変化が生じるなど表示不良の原因となる。
【0031】
一般式(III)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(IIIa−1)〜(IIIa−35)および(IIIb−1)〜(IIIb−67)で表される化合物が好ましい。
【0032】
【化9】

【0033】
【化10】

【0034】
【化11】

【0035】
【化12】

【0036】
【化13】

【0037】
【化14】

【0038】
【化15】

【0039】
【化16】

【0040】
【化17】

【0041】
【化18】

【0042】
【化19】

【0043】
【化20】

【0044】
【化21】

【0045】
【化22】

【0046】
【化23】

【0047】
【化24】

【0048】
【化25】

【0049】
【化26】

【0050】
(式中、p1及びq1はそれぞれ独立的に1〜12の整数を表し、p2及びq2はそれぞれ独立的に0〜12の整数を表す。)
一般式(IIIa−1)〜(IIIa−30)、(IIIb−1)〜(IIIb−11)、(IIIb−32)〜(IIIb−49)および(IIIb−54)〜(IIIb−58)で表される化合物がより好ましく、更に、一般式(IIIa−1)〜(IIIa−30)および(IIIb−1)〜(IIIb−11)で表される化合物がより好ましい。
【0051】
本願発明の重合性化合物含有液晶組成物では、一般式(III)で表される重合性化合物を少なくとも1種を含有するが、1種〜5種含有することが好ましく、1種〜3種含有することが特に好ましい。一般式(III)で表される重合性化合物の含有率は、少ないと非重合性液晶化合物、特に一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物に対する配向規制力が弱くなり、多すぎると重合時の必要エネルギーが上昇し、重合せず残存してしまう重合性化合物の量が増してしまうため、下限値は0.01質量%であることが好ましく、0.03質量%であることがより好ましく、上限値は2.0質量%であることが好ましく、1.0質量%であることがより好ましい。
本願ネマチック液晶組成物に含まれる一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物及び一般式(III)で表される重合性化合物において、−O−O−、−O−S−及び−S−S−等のヘテロ原子同士が直接結合する部分構造をとることはない。
【0052】
<液晶組成物及び液晶表示素子>
本願発明の液晶組成物において、Δnは0.08〜0.25の範囲であることが好ましい。
本願発明の液晶組成物において、Δεは液晶表示素子の表示モードによって、正又は負のΔεを有するものを用いることができる。MVAモードの液晶表示素子においては、負のΔεを有する液晶組成物を使用する。その場合のΔεは、−1以下が好ましく、−2以下がより好ましい。
【0053】
本願発明の液晶組成物は、広い液晶相温度範囲(液晶相下限温度と液晶相上限温度の差の絶対値)を有するが、液晶相温度範囲が100℃以上であることが好ましく、120℃以上がより好ましい。また、液晶相上限温度は70℃以上であることが好ましく、75℃以上がより好ましい。更に、液晶相下限温度は−20℃以下であることが好ましく、−25℃以下がより好ましい。
本願発明の液晶組成物は、上記の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有していてもよい。
【0054】
本願発明の重合性化合物含有液晶組成物は、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
本願発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%が更に好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
【0055】
本願発明の液晶組成物は、液晶組成物中の一般式(III)で表される重合性化合物が重合することにより液晶配向能が付与され、液晶組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。液晶表示素子として、AM−LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ネマチック液晶表示素子)、STN−LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)、OCB−LCD及びIPS−LCD(インプレーンスイッチング液晶表示素子)に有用であるが、AM−LCDに特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0056】
液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0057】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
2枚の基板間に高分子安定化液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。
【0058】
重合性化合物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有液晶組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89度に制御することが好ましい。
【0059】
照射時の温度は、本願発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm〜100W/cmが好ましく、2mW/cm〜50W/cmがより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cmから500J/cmが好ましく、100mJ/cmから200J/cmがより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0061】
液晶組成物の物性として、以下のように表す。
N−I (℃) :ネマチック相−等方性液体相転移温度(液晶相上限温度)
Δε :誘電率異方性
Δn :屈折率異方性
Vth (V) :周波数1KHzの矩形波を印加した時の透過率が10%変化する印加電圧(しきい値電圧)
【0062】
(UV硬化後のモノマー残存量の測定方法)
液晶セルに液晶組成物を注入後、UVを照射し重合性化合物を重合させる。その後、液晶セルを分解し、液晶材料、重合物、未重合の重合性化合物を含む溶出成分のアセトニトリル溶液を得る。これを高速液体クロマトグラフィー(カラム:逆相非極性カラム、展開溶媒:アセトニトリル)により、各成分のピーク面積を測定する。指標とする液晶材料のピーク面積と未重合の重合性化合物のピーク面積比から、残存する重合性化合物の量を決定した。この値と当初添加した重合性化合物の量からモノマー残存量を決定した。なお、重合性化合物の残存量の検出限界は1000ppmであった。
(焼き付き評価方法)
重合後の液晶表示素子を白黒のチェッカーパターンになるように電圧印加し、経過時間ごとに中間調の表示をした時の輝度変化状態を目視観察した。
【0063】
(実施例1)
一般式(I)から選ばれる化合物と一般式(II)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−1を調製した。構成する化合物及び含有する比率は以下の通りである。
【0064】
【化27】

【0065】
上記液晶組成物LC−1の物性を表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、式(IIIa−2)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性化合物含有液晶組成物CLC−1を調製した。
【0068】
【化28】

【0069】
CLC−1の物性は上記のLC−1の物性とほとんど違いはなかった。このため、式(IIIa−2)で表される重合性化合物は添加する液晶組成物の液晶性を低下させないことがわかった。また、このCLC−1を1週間冷所(−20℃)に保存したが、析出等は起こらなかった。このことから、式(IIIa−2)で表される重合性化合物は、他の液晶化合物との相溶性が優れていることがわかった。
CLC−1をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角(クリスタルローテーション法)を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。素子の紫外線照射前後のプレチルト角及び素子の電気光学特性を表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.1度とプレチルトが付与されていた。上記のプレチルト角の測定結果から、重合性化合物が重合することにより、液晶化合物に対する配向規制力が生じており、液晶分子が垂直方向から2.9度傾いた状態でプレチルト角を固定化した垂直配向性液晶表示素子を得ることがわかった。
また、液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する未重合の式(IIIa−2)で示される化合物の含有量を分析したが、検出されなかった。これにより、本願発明の液晶組成物に含有される式(IIIa−2)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
【0072】
(比較例1)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、一般式(A)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性化合物含有液晶組成物CLC−Aを調製した。
【0073】
【化29】

【0074】
CLC−Aをセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。
素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は89.5度とプレチルト角に変化は無く、液晶分子が垂直方向からほとんど傾いていなかった。すなわち、プレチルトが付与されていなかった。また、液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する一般式(A)で示される重合性化合物の含有量を分析した結果、紫外線照射前と含有量に変化はなく、重合性化合物(A)の重合は進行していなかった。
また、このCLC−Aを1週間冷所(−20℃)に保存した結果、析出が起こり、式(A)で示される重合性化合物は本願発明の液晶組成物に含有される一般式(I)及び(II)で表される液晶化合物との相溶性が劣ることがわかった。
【0075】
(実施例2)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、式(IIIa−3)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性化合物含有液晶組成物CLC−2を調製した。
【0076】
【化30】

【0077】
CLC−2の物性は上記のLC−1の物性とほとんど違いはなかった。このため、式(IIIa−3)で表される重合性化合物は添加する液晶組成物の液晶性を低下させないことがわかった。また、このCLC−2を1週間冷所(−20℃)に保存したが、析出等は起こらなかった。このことから、式(IIIa−3)で表される重合性化合物は、他の液晶化合物との相溶性が優れていることがわかった。
CLC−2をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角(クリスタルローテーション法)を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。
素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.0度とプレチルトが付与されていた。上記のプレチルト角の測定結果から、重合性化合物が重合することにより、液晶化合物に対する配向規制力が生じており、液晶分子が垂直方向から3.0度傾いた状態でプレチルト角を固定化した垂直配向性液晶表示素子を得ることがわかった。
また、液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する未重合の式(IIIa−3)で示される化合物の含有量を分析したが、検出されなかった。これにより、本願発明の液晶組成物に含有される式(IIIa−3)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
【0078】
(実施例3)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、式(IIIb−4−a)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性化合物含有液晶組成物CLC−3を調製した。
【0079】
【化31】

【0080】
CLC−3の物性は上記のLC−1の物性とほとんど違いはなかった。このため、式(IIIb−4−a)で表される重合性化合物は添加する液晶組成物の液晶性を低下させないことがわかった。また、このCLC−3を1週間冷所(−20℃)に保存したが、析出等は起こらなかった。このことから、式(IIIb−4−a)で表される重合性化合物は、他の液晶化合物との相溶性が優れていることがわかった。
CLC−3をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角(クリスタルローテーション法)を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。
素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は86.9度とプレチルトが付与されていた。上記のプレチルト角の測定結果から、重合性化合物が重合することにより、液晶化合物に対する配向規制力が生じており、液晶分子が垂直方向から3.1度傾いた状態でプレチルト角を固定化した垂直配向性液晶表示素子を得ることがわかった。
また、液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する未重合の式(IIIb−4−a)で示される化合物の含有量を分析したが、検出されなかった。これにより、本願発明の液晶組成物に含有される式(IIIb−4−a)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
【0081】
(実施例4)
液晶組成物LC−1 99.7%に対して、式(IIIb−8−a)で示される重合性化合物を0.3%添加し均一溶解することにより重合性化合物含有液晶組成物CLC−4を調製した。
【0082】
【化32】

【0083】
CLC−4の物性は上記のLC−1の物性とほとんど違いはなかった。このため、式(IIIb−8−a)で表される重合性化合物は添加する液晶組成物の液晶性を低下させないことがわかった。また、このCLC−4を1週間冷所(−20℃)に保存したが、析出等は起こらなかった。このことから、式(IIIb−8−a)で表される重合性化合物は、他の液晶化合物との相溶性が優れていることがわかった。
CLC−4をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角(クリスタルローテーション法)を測定した後、周波数1KHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して、高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が10mW/cmとなるように調整して600秒間照射して、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。
素子の紫外線照射前のプレチルト角は、89.6度であったのに対して、照射後のプレチルト角は87.0度とプレチルトが付与されていた。上記のプレチルト角の測定結果から、重合性化合物が重合することにより、液晶化合物に対する配向規制力が生じており、液晶分子が垂直方向から3.0度傾いた状態でプレチルト角を固定化した垂直配向性液晶表示素子を得ることがわかった。
また、液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する未重合の式(IIIb−8−a)で示される化合物の含有量を分析したが、検出されなかった。これにより、本願発明の液晶組成物に含有される式(IIIb−8−a)で示される重合性化合物は、重合開始剤を使用することなく重合することができ、かつ重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
【0084】
(実施例5及び比較例2)
実施例1〜4及び比較例1で作製した重合後の液晶表示素子を電圧印加し、経過時間と焼き付きの様子を目視観察した。
比較例1で作製した液晶表示素子は表示後48時間で焼き付きが発生し、168時間後には、ほぼ全面に渡り表示不良が見られた。これに対し実施例1〜4で作製した液晶表示素子では、500時間経過後でも、焼き付きが発生せず、良好な表示状態を維持した。これにより、本願発明の液晶組成物に含有される重合性化合物は重合終了後残存することなくすべて重合し、本願発明の液晶組成物を使用した液晶表示素子は高い信頼性を有することが確認できた。また、配向規制力の低下も起こらずポリマーが十分大きな剛直性を有していることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分として、一般式(I)
【化1】

(式中R11及び、R12はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
は、0、1又は2を表し、
11及びM12はお互い独立して、
(a) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)及び、
(c) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及びデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、ハロゲン、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良いが、M12が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良く、
11は単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−又は−C≡C−を表し、
11、X12はお互い独立してトリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子又は塩素原子を表すが、X11及びX12の何れか一つはフッ素原子を表す。)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上含有し、
第二成分として、一般式(II)
【化2】

(式中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
は0、1又は2を表し、
21、M22及びM23はお互い独立して
(d) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(e) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、及び
(f) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表すが、M23が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良く、
21、及びL22はお互い独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−又は−C≡C−を表すが、L22が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良い。)で表される化合物を一種又は二種以上含有し、
第三成分として、一般式(III)
【化3】

(式中、Zは、水素原子、ハロゲン、シアノ基、チオシアナト基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH=CH−、又は−C≡C−で置換されて良く、あるいはZは、−S32−R32を表し、
31及びR32はお互い独立して以下の式(R−1)から式(R−15)
【化4】

の何れかを表し、
31及びS32はお互い独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基、又は単結合を表し、該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良く、
は0又は1を表し、nは1、2又は3を表すが、n+nは1、2又は3であり、
31、L32及びL34はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−COCO−、−CCOO−、−OCOCH−、−CHCOO−、−CHOCO−、−COOCH−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表すが(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)、L34が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良く、
33は、−CH=CQ−COO−、−COO−CQ=CH−、−OCO−CQ=CH−又は、−CH=CQ−OCO−(式中、Qは水素原子又はメチル基を表す。)を表し、
31、及びM33はお互い独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピペリジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
32は1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表し、
31、M32及びM33はお互い独立して無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がハロゲン、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、又はニトロ基に置換されていても良く、
33が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良い。)で表される重合性化合物を一種又は二種以上含有する重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項2】
一般式(III)において、Zが、−S32−R32を表す請求項1に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項3】
一般式(III)において、R31及び存在する場合のR32がお互い独立して式(R−1)又は(R−2)を表す請求項1又は2のいずれかに記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項4】
一般式(III)において、M31、及びM33がお互い独立して、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基(これらの基は、お互い独立して、無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がハロゲン、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン化アルコキシ基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基に置換されていても良い。)を表す請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項5】
一対の基板に液晶を狭持した構造を有し、少なくとも透明電極及び偏光板を備え、液晶組成物中に含有した重合性化合物を重合することにより液晶配向能を付与したことを特徴とする液晶表示素子に使用する請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項6】
一般式(I)から選ばれる化合物を5〜60質量%と、一般式(II)から選ばれる化合物を20〜90質量%と、一般式(III)から選ばれる重合性化合物を0.01〜2質量%を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物を使用し、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合することにより液晶配向能を付与したことを特徴とする液晶表示素子。

【公開番号】特開2012−82350(P2012−82350A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230833(P2010−230833)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】