説明

重合性液晶組成物、それを用いた高分子材料および光学異方性フィルム、並びに重合性液晶化合物

【課題】高Δnで耐光性があって製造が比較的容易な重合性液晶組成物を提供すること。
【解決手段】棒状液晶分子と、下記一般式で表される構造を有する重合性化合物と、キラル剤を含む重合性液晶組成物。


[E0〜E4のうち少なくとも1つは重合性基を有する置換基;環B0は以下のいずれかの構造;R1は水素原子またはアルキル基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射フィルム等の光学フィルムの製造に有用な重合性液晶組成物に関する。また、そのような重合性液晶組成物を用いた高分子材料や光学異方性フィルム、および重合性液晶組成物に用いる重合性液晶化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステリック液晶の選択反射を利用した反射フィルムについて、検討が進められている。コレステリック液晶によって効率的に光を反射するためには、選択反射の反射幅を広くする必要がある。そのためには、液晶の複屈折率(Δn)を大きくすることが必要である。またその一方で、フィルムとして用いるためには、液晶分子は重合性を有していなければならない。このような条件を満たす材料として、これまでに重合性を有するトラン系液晶化合物が提案されている(特許文献1参照)。このトラン系液晶化合物は、トランの4,4’位の少なくとも一方に、末端重合性基と0〜2個の環状構造を含む鎖状連結基を含む置換基が置換した構造を有している。
【0003】
一方、反射フィルムとは異なる分野において、重合性を有する縮環系の化合物が知られている(特許文献2)。この化合物は、末端に重合性基を有する置換基と環状構造を含む置換基が置換したベンゾオキサゾール環化合物である。この化合物はルミネッセント化合物として有用であるこことが記載されているが、Δnや反射フィルムとしての有用性については一切記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−512504号公報
【特許文献2】特表2005−531617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるトラン系液晶化合物には、耐光性が低いという課題がある。また、特許文献1に記載されるトラン系液晶化合物は合成ステップ数が多く、コストが高いという課題もある。このため、このトラン系液晶化合物を用いて製造したフィルムも耐光性が低くてコスト高であるという課題がある。
このような従来技術の課題を解決するために、本発明者らは、耐光性が高くて、比較的合成が容易で高Δnである材料を提供することを目的として鋭意検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その結果、本発明者らは、特定の縮環構造を有する重合性化合物が高Δnを示し、且つ合成が比較的容易で耐光性もあることを見出して本発明を提供するに至った。すなわち、従来技術の課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
【0007】
[1] 棒状液晶分子と、下記一般式(1)で表される構造を1つ以上有する少なくとも1種類の重合性化合物と、キラル剤を含むことを特徴とする重合性液晶組成物。
【化1】

[一般式(1)中、E0、E1、E2、E3およびE4はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、E0〜E4のうち少なくとも1つは重合性基を有する置換基を表す。環B0は以下のいずれかの構造を表す。
【化2】

ただし、R1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はE4に対する結合位置を表す。]
【0008】
[2] 前記重合性基を有する置換基が下記一般式(2)で表される基である、[1]に記載の重合性液晶組成物。
【化3】

[上式において、Zは以下のいずれかの構造を有する重合性基を表し、
【化4】

ここで、Xは−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表し、*はQ1に対する結合位置を表し;
1は、単結合、もしくは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族連結基を表し、但し、該脂肪族連結基中の1つの非末端−CH2−もしくは隣接していない2以上の非末端−CH2−は、−O−、−S−、−NR3−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR3CO−、またはCONR3−で置換されていてもよく、R3は水素原子、もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表し;
1は、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表し、R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し;
1は、単結合、または置換基を有していてもよい二価の環状構造を表し;
1は、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表し、R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し;
mは0〜2のいずれかの整数を表し、mが2であるとき、分子内に存在する2つのA1およびX1は互いに同じであっても異なっていてもよい。]
[3] 前記一般式(1)のE1とE4の少なくとも一方が、前記一般式(2)で表される置換基である、[2]に記載の重合性液晶組成物。
【0009】
[4] 前記重合性化合物が、下記一般式(3)、(4)または(5)で表される重合性化合物である、[1]に記載の重合性液晶組成物。
【化5】

[一般式(3)〜(5)中、環B1は以下のいずれかの構造を表し、
【化6】

1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はX0、X1またはX2に対する結合位置を表し;
1およびZ2はそれぞれ独立に、水素原子、CN基、NCS基、ハロゲン原子、または以下のいずれかの構造を有する重合性基を表すが、Z1およびZ2のうち少なくとも一方は重合性基であり;
【化7】

ここで、Xは−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表し、*はQ1またはQ2に対する結合位置を表し;
1およびQ2はそれぞれ独立に、単結合、もしくは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族連結基を表し、但し、該脂肪族連結基中の1つの非末端−CH2−もしくは隣接していない2以上の非末端−CH2−は、−O−、−S−、−NR3−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR3CO−、またはCONR3−で置換されていてもよく、R3は水素原子、もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表し;
0、X1、X2、Y1およびY2はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表し、R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し;
0、A1およびA2はそれぞれ独立に、単結合、または置換基を有していてもよい二価の環状構造を表し;
n、mはそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、ただしn+m≦2であり;m=2またはn=2であるとき、分子中に存在する2つのA1、A2、X0、X1、X2、B1は各々互いに同じであっても、異なっていてもよい。]
【0010】
[5] 前記重合性化合物の極大吸収波長が380nm以下である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
[6] 前記A1およびA2がそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である、[4]または[5]に記載の重合性液晶組成物。
[7] 前記重合性化合物が、前記一般式(3)で表される重合性化合物である、[4]〜[6]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
[8] 前記nが0であることを特徴とする[7]に記載の重合性液晶組成物。
[9] 前記nが0であり、Y2およびQ2がそれぞれ単結合を表し、かつZ2が水素原子であることを特徴とする[7]または[8]に記載の重合性液晶組成物。
[10] 前記Z1が(メタ)アクリル基であることを特徴とする[9]に記載の重合性液晶組成物。
[11] さらに少なくとも1種類の重合開始剤と少なくとも1種類の界面活性剤を含有する、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
[12] [1]〜[11]のいずれかに1項に記載の液晶組成物を重合して得られる高分子材料。
[13] [12]に記載の高分子材料の少なくとも1種を含有するフィルム。
[14] [1]〜[11]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物のコレステリック液晶相を固定してなるフィルム。
[15] 光学異方性を示す[13]または[14]に記載のフィルム。
[16] 選択反射特性を示す[13]〜[15]のいずれか1項に記載のフィルム。
[17] 赤外線波長域に選択反射特性を示す[16]に記載のフィルム。
【0011】
[18] 下記一般式(6)で表される重合性化合物。
【化8】

[一般式(6)中、環Bは以下のいずれかの構造を表し、
【化9】

1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はベンゼン環に対する結合位置を表し;
aおよびAbはそれぞれ独立に、単結合、または置換基を有していてもよい二価の環状構造を表し;
a、XbおよびYはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表し、R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し;
Qは、単結合、もしくは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族連結基を表し、但し、該脂肪族連結基中の1つの非末端−CH2−もしくは隣接していない2以上の非末端−CH2−は、−O−、−S−、−NR3−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR3CO−、またはCONR3−で置換されていてもよく、R3は水素原子、もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表し;
Zは以下のいずれかの構造を有する重合性基を表し、
【化10】

ここで、Xは−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表し、*はQに対する結合位置を表し;
Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基を表し;sは0または1を表し;
tは0〜2のいずれかの整数を表し;t=2であるときに、分子中に存在する2つのRは各々互いに同じであっても、異なっていてもよい。]
【0012】
[19] 前記環Bが以下のいずれかの構造を表すことを特徴とする[18]に記載の重合性化合物。
【化11】

[20] 前記環Bが以下の構造を表すことを特徴とする[18]に記載の重合性化合物。
【化12】

【0013】
[21] 下記一般式(1)で表される構造を1つ以上有する重合性化合物を含む、複屈折率向上剤。
【化13】

[一般式(1)中、E0、E1、E2、E3およびE4はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、E0〜E4のうち少なくとも1つは重合性基を有する置換基を表す。環B0は以下のいずれかの構造を表す。
【化14】

ただし、R1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はE4に対する結合位置を表す。]
【発明の効果】
【0014】
本発明の液晶組成物は、Δnが高くて耐光性に優れている。また、比較的合成が容易な化合物を用いていることから低コストで製造することができる。本発明の組成物を用いて製造した高分子材料やフィルムは、耐光性に優れ、高い複屈折を示す。特に本発明のフィルムは、広い反射帯域を有し、耐光性に優れた反射フィルムとして有用である。さらに本発明の化合物は、合成が簡便で、Δnが高くて耐光性に優れる重合性材料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0016】
1.一般式(1)で表される重合性化合物
本発明の液晶組成物は、棒状液晶分子と、一般式(1)で表される構造を1つ以上有する少なくとも1種類の重合性化合物と、キラル剤を含むことを特徴とする。そこで、まず一般式(1)で表される化合物について詳しく説明する。
【化15】

【0017】
一般式(1)における環B0は以下のいずれかの構造を表す。
【化16】

上式において、R1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はE4に対する結合位置を表す。炭素数1〜3のアルキル基の中では、メチル基、エチル基が好ましい。また、アルキル基に対する置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、アクリロキシ基)などを挙げることができる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示することができ、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子を挙げることができる。
【0018】
一般式(1)におけるE0、E1、E2、E3およびE4は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、E0〜E4のうち少なくとも1つは重合性基を有する置換基を表す。重合性基を有する置換基はE1またはE4の少なくとも一方であることが好ましい。また、重合性基を有する置換基は下記一般式(2)で表される基であることが好ましい。
【化17】

一般式(2)において、Zは以下のいずれかの構造を有する重合性基を表す。
【化18】

ここで、Xは−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表し、*はQ1に対する結合位置を表す。Q1は、単結合、もしくは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族連結基を表す。ここでいう脂肪族連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基を含む概念であり、アルキレン基であることが好ましい。脂肪族連結基は、直鎖状であっても、分枝状であっても、環状であってもよいが、直鎖状か分枝状であることが好ましく、直鎖状であることがさらに好ましい。脂肪族連結基中の1つの非末端−CH2−もしくは隣接していない2以上の非末端−CH2−は、−O−、−S−、−NR3−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR3CO−、またはCONR3−で置換されていてもよい。ここでR3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。Q1が脂肪族連結基を表すとき、その脂肪族連結基の連結鎖を構成する原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、2〜6であることがさらに好ましい。
【0019】
一般式(2)においてY1は、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表す。R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表す。Y1としては、−O−、−S−、−OCO−、−COO−、−OCOO−が好ましい。
【0020】
一般式(2)においてA1は、単結合、または置換基を有していてもよい二価の環状構造を表す。A1が二価の環状構造を表すとき、ベンゼン環、5もしくは6員の脂肪環、5もしくは6員のヘテロ環、または、ベンゼン環と5もしくは6員の脂肪環と5もしくは6員のヘテロ環からなる群より選択される2つまたは3つの環が融合した融合環で構成される二価の環状構造であることが好ましい。5もしくは6員の脂肪環は、シクロペンタン環とシクロヘキサン環である。5もしくは6員のヘテロ環は、シクロペンタン環とシクロヘキサン環の環構成炭素原子の1つ以上が窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置換された環であることが好ましく、環構成炭素原子の1〜3つが窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置換された環であることがより好ましい。環構成炭素原子の2つ以上が置換されている場合、置換される複数のヘテロ原子は互いに同一であっても異なっていてもよい。5もしくは6員のヘテロ環は、ヘテロ芳香環であってもヘテロ脂肪環であってもよい。5もしくは6員のヘテロ環の具体例として、例えばピロリン環、ピロリジン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアザオール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環を挙げることができる。融合環は、ベンゼン環同士、脂肪環同士、ヘテロ環同士の融合環であってもよいし、ベンゼン環と脂肪環、ベンゼン環とヘテロ環、脂肪環とヘテロ環、ベンゼン環と脂肪環とヘテロ環の融合環であってもよい。融合環の具体例として、例えばナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フェナレン環、ペンタレン環、インデン環、ビフェニレン環、インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、シンオリン環、キナゾリン環、キノオキサリン環、フタラジン環、プリン環、プチリジン環、キサンテン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナジン環、フェナントロリン環、インドリン環、イソインドリン環、クマリン環、ベンゾトリアゾール環を挙げることができる。
1を構成するベンゼン環、脂肪環、ヘテロ環に結合している水素原子は、互いに独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜5のアシルオキシ基、炭素原子数2〜4のアシル基、炭素原子数2〜5のアミド基、シアノ基、水酸基、またはハロゲン原子で置換されてもよい。ここでいうアルキル基、ならびにアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基およびアミド基のアルキル部分は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、例えばメチル基、エチル基を挙げることができる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
1は、ベンゼン環を含む二価の連結基であることが好ましく、置換もしくは無置換のフェニレン基であることがより好ましく、置換もしくは無置換の1,4−フェニレン基であることがさらに好ましい。
【0021】
一般式(2)においてX1は、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表す。R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表す。X1としては、−O−、−S−、−OCO−、−COO−、−OCOO−が好ましい。
【0022】
一般式(2)においてmは0〜2のいずれかの整数を表す。mは1または2であることが好ましい。mが2であるとき、分子内に存在する2つのA1は互いに同じであっても異なっていてもよく、分子内に存在する2つのX1は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0023】
一般式(1)においてE0、E1、E2、E3およびE4がとりうる一般式(2)以外の置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0024】
一般式(1)においてE0、E1、E2、E3およびE4がとりうる一般式(2)以外の置換基として、下記の一般式(2−1)で表される基を採用することもできる。
【化19】

一般式(2−1)におけるQ1、Y1、A1、X1およびmは、一般式(2)におけるQ1、Y1、A1、X1およびmの定義と同じであり、また好ましい範囲も同じである。一般式(2−1)におけるZ10は、水素原子、CN基、NCS基またはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。E0、E1、E2、E3およびE4のいずれか1つが重合性基を有する置換基であるとき、残りのE0〜E4のうちのいずれか1つ以下が一般式(2−1)で表される基であることが好ましい。例えば、E4が重合性基を有する置換基であるときは、E1またはE2が一般式(2−1)で表される基であるか、E1とE2が両方とも水素原子であることが好ましい。また、E1またはE2が重合性基を有する置換基であるときは、E4が一般式(2−1)で表される基であるか水素原子であることが好ましい。
【0025】
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(3)、(4)または(5)で表される重合性化合物であることが好ましい。
【化20】

【0026】
一般式(3)〜(5)における環B1は以下のいずれかの構造を表す。
【化21】

*はX0、X1またはX2に対する結合位置を表す。R1の定義および好ましい範囲については、一般式(1)のR1の定義および好ましい範囲と同じである。
【0027】
一般式(3)〜(5)におけるZ1およびZ2はそれぞれ独立に、水素原子、CN基、NCS基、ハロゲン原子、または以下のいずれかの構造を有する重合性基を表すが、Z1およびZ2のうち少なくとも一方は重合性基である。
【化22】

ここで、Xは−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表し、*はQ1またはQ2に対する結合位置を表す。
【0028】
一般式(3)〜(5)におけるQ1およびQ2はそれぞれ独立に、単結合、もしくは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族連結基を表し、但し、該脂肪族連結基中の1つの非末端−CH2−もしくは隣接していない2以上の非末端−CH2−は、−O−、−S−、−NR3−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR3CO−、またはCONR3−で置換されていてもよく、R3は水素原子、もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表す。Q1およびQ2の詳細および好ましい範囲は、一般式(2)のQ1の詳細および好ましい範囲と同じである。
【0029】
一般式(3)〜(5)におけるX0、X1、X2、Y1およびY2はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表す。R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表す。X0、X1、X2、Y1およびY2としては、単結合、−O−、−S−、−OCO−、−COO−、−OCOO−が好ましい。
【0030】
一般式(3)〜(5)におけるA0、A1およびA2はそれぞれ独立に、単結合、または置換基を有していてもよい二価の環状構造を表す。A0、A1およびA2の詳細および好ましい範囲は、一般式(2)のA1の詳細および好ましい範囲と同じである。A0、A1およびA2はそれぞれ1,4−フェニレン基であるのが最も好ましい。
【0031】
一般式(3)〜(5)におけるn、mはそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。ただしn+m≦2である。m=2またはn=2であるとき、分子中に存在する2つのA1、A2、X0、X1、X2、B1は各々互いに同じであっても、異なっていてもよい。
【0032】
上記の一般式(3)〜(5)の中では、一般式(3)で表される化合物を採用することが好ましい。一般式(3)で表される化合物の中では、例えばn=0である化合物群を好ましく採用することができ、その中でもY2およびQ2がそれぞれ単結合であり、Z2が水素原子である化合物群をさらに好ましく採用することができる。また、その中でもZ1が(メタ)アクリル基である化合物群をさらにより好ましく採用することができる。
【0033】
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げる。ただし、本発明で用いることができる一般式(1)で表される化合物は、以下の具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
【0034】
【化23】

【0035】
【化24】

【0036】
一般式(1)で表される化合物のうち、特に下記の一般式(6)で表される化合物は新規な化合物である。
【化25】

【0037】
一般式(6)における環Bは以下のいずれかの構造を表す。
【化26】

1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はベンゼン環に対する結合位置を表す。R1の定義および好ましい範囲については、一般式(1)のR1の定義および好ましい範囲と同じである。
【0038】
一般式(6)におけるAaおよびAbはそれぞれ独立に、単結合、または置換基を有していてもよい二価の環状構造を表す。AaおよびAbの詳細および好ましい範囲は、一般式(2)のA1の詳細および好ましい範囲と同じである。AaおよびAbはそれぞれ1,4−フェニレン基であるのが最も好ましい。
【0039】
一般式(6)におけるXa、XbおよびYはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表し、R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表す。Xa、XbおよびYは、−O−、−S−、−OCO−、−COO−、−OCOO−が好ましい。
【0040】
一般式(6)におけるQは、単結合、もしくは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族連結基を表す。但し、該脂肪族連結基中の1つの非末端−CH2−もしくは隣接していない2以上の非末端−CH2−は、−O−、−S−、−NR3−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR3CO−、またはCONR3−で置換されていてもよく、R3は水素原子、もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表す。Qの詳細および好ましい範囲は、一般式(2)のQ1の詳細および好ましい範囲と同じである。
【0041】
一般式(6)におけるZは以下のいずれかの構造を有する重合性基を表す。
【化27】

ここで、Xは−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表し、*はQに対する結合位置を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基を表す。Zとして好ましいのは、(メタ)アクリル基である。
【0042】
一般式(6)におけるsは0または1を表す。
一般式(6)におけるtは0〜2のいずれかの整数を表す。t=2であるときに、分子中に存在する2つのRは各々互いに同じであっても、異なっていてもよい。
【0043】
一般式(6)で表される重合性化合物は種々の方法で製造することができる。例えば、Xaが−COO−である化合物であれば、下記に示す反応式(1)に従う方法により製造することができる。
【化28】

【0044】
前記反応式(1)において、化合物Aは市販品または公知の方法により合成したものを用いることができる。例えば、特許第4397550号公報の18ページ[0085]〜[0087]に記載の方法を参照すれば、4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸()を合成することが可能である。また、その他の化合物Aもこれに類する合成法により合成することが可能である。また、
Molecular Crystals and Liquid Crystals Science and Technology, Section A,1995年、265号、55ページから-60ページに記載の方法を参照すれば、化合物Bを合成することが可能である。
一般式(6)で表される化合物は、反応式(1)に示すように、化合物Aと化合物Bとの縮合反応により合成することができる。また、Xaが−COO−以外の一般式(6)で表される化合物についても、同様に縮合反応により合成することができる。縮合反応の詳細については、下記の実施例1〜5の記載を参照することができる。
【0045】
一般式(1)で表される化合物を含む本発明の化合物には、重合性の液晶性化合物が含まれる。液晶性化合物は、高いΔnを示すので、その配向を固定した膜は、より低いΔnの液晶性化合物を利用した膜と比較して、より薄膜で所望の光学特性を達成することが期待できる。また、本発明の化合物は、好ましくは極大吸収波長が380nm以下であり、着色がない。さらに、本発明の重合性化合物は、化学的に安定であり、溶剤に溶解しやすく、重合しやすく、無色透明であるなど、複数の特性をも満足する。本発明の化合物を用いて作製される硬化膜は、十分な硬度を示し、無色透明であり、耐候性・耐熱性が良好である等、複数の特性を満足し得る。従って、本発明の化合物を利用して形成された硬化膜は、反射フィルムとして有用であり、その他にも、例えば光学素子の構成要素である位相差板、偏光素子、カラーフィルタ、視野角補償膜、ホログラフィー、配向膜等、種々の用途に利用することができる。
【0046】
2.本発明の重合性液晶組成物、高分子材料およびフィルム
本発明は、一般式(1)で表される化合物を含む重合性液晶組成物(本発明の組成物ともいう)、一般式(1)で表される化合物を重合した高分子材料、および一般式(1)で表される化合物を用いたフィルムも提供する。一般式(1)で表される化合物を含む重合性液晶組成物は、一般式(1)で表される化合物の他に棒状液晶分子とキラル剤を含有するものである。また、本発明の高分子材料は、一般式(1)で表される化合物を重合させることにより得られるものであり、液晶性であることが好ましい。本発明のフィルムは、一般式(1)で表される化合物を用いて得られるフィルムであり、反射フィルム、位相膜等の種々の光学フィルムの材料として有用である。本発明の重合性液晶組成物、高分子化合物およびフィルムは、特に、一般式(3)〜(5)のいずれかで表される化合物を含む重合性液晶組成物、一般式(3)〜(5)のいずれかで表される化合物を重合した高分子材料、および一般式(3)〜(5)のいずれかで表される化合物を用いたフィルムであることが好ましい。
本発明の重合性液晶組成物の一態様は、棒状液晶分子と、一般式(1)の化合物の少なくとも1種と、少なくとも1種のキラル化合物とを含有する重合性組成物である。本態様の組成物をコレステリック液晶相とした後、それを固定して形成された膜は、その螺旋ピッチに応じて、所定の波長の光に対して、選択反射特性を示し、反射膜(例えば、赤外線反射膜)として有用である。本発明の高いΔnを示す重合性化合物を利用することにより、より低いΔnの液晶性化合物を利用した同一の厚みの膜と比較して、反射波長域が広帯域化されるという利点がある。
【0047】
本発明の組成物について、前記一般式(1)の化合物は、主成分であっても、添加剤として使用されていてもよい。前記一般式(1)の化合物を組成物の全質量に対して、5質量%以上含有していれば、一般式(1)の化合物による効果を得ることができ、好ましくは10〜85質量%、より好ましくは10〜75質量%、さらに好ましくは15〜70質量%である。但し、この範囲に限定されるものではない。
【0048】
(1)キラル化合物
本発明の組成物をコレステリック液晶相を示す組成物として調製するためには、キラル化合物を添加するのが好ましい。キラル化合物は液晶性であっても、非液晶性であってもよい。前記キラル化合物は、公知の種々のキラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)から選択することができる。キラル化合物は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物も用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル化合物(キラル剤)は、重合性基を有していてもよい。キラル化合物が重合性基を有するとともに、併用する棒状液晶化合物も重合性基を有する場合は、重合性キラル化合物と重合性棒状液晶合物との重合反応により、棒状液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル化合物から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル化合物が有する重合性基は、重合性棒状液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル化合物の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
本発明の組成物中のキラル化合物は、併用される一般式(1)の化合物に対して、1〜30モル%であることが好ましい。キラル化合物の使用量を、より少なくした方が液晶性に影響を及ぼさないことが多いため好まれる。従って、キラル化合物は、少量でも所望の螺旋ピッチの捩れ配向を達成可能なように、強い捩り力のある化合物が好ましい。この様な、強い捩れ力を示すキラル剤としては、例えば、特開2003−287623号公報に記載のキラル剤が挙げられ、本発明に好ましく用いることができる。
【0049】
(2)他の液晶化合物
本発明の組成物は、前記一般式(1)の化合物とともに、他の1種以上の液晶性化合物を含有していてもよい。前記一般式(1)の化合物は、他の液晶性化合物との相溶性も高いので、他の液晶性化合物を混合しても、不透明化等が生じず、透明性の高い膜を形成可能である。他の液晶性化合物を併用可能であることから、種々の用途に適する種々の組成の組成物を提供できる。併用可能な他の液晶化合物の例には、棒状ネマチック液晶化合物である。前記棒状ネマチック液晶化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
【0050】
本発明に利用可能な他の液晶化合物は、重合性であっても非重合性であってもよい。重合性基を有しない棒状液晶化合物については、様々な文献(例えば、Y. Goto et.al., Mol. Cryst. Liq. Cryst. 1995, Vol. 260, pp.23-28)に記載がある。
重合性棒状液晶化合物は、重合性基を棒状液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、棒状液晶化合物の分子中に導入できる。重合性棒状液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性棒状液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性棒状液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
他の液晶化合物の添加量については特に制限はない。前記一般式(1)の化合物の含有割合が高くても、他の液晶化合物の含有割合が高くても、互いに等しい含有割合であってもよく、用途に応じて好ましい範囲に調整することができる。
【0051】
(3)重合開始剤
本発明の組成物は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。例えば、紫外線照射により硬化反応を進行させて硬化膜を形成する態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)等が挙げられる。 光重合開始剤の使用量は、組成物(塗布液の場合は固形分)の0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがさらに好ましい。
【0052】
(4)配向制御剤
本発明の組成物中に、安定的にまたは迅速に液晶相(例えば、コレステリック液晶相)となるのに寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例には、含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、および下記一般式(X1)〜(X3)で表される化合物が含まれる。これらから選択される2種以上を含有していてもよい。これらの化合物は、層の空気界面において、液晶化合物の分子のチルト角を低減若しくは実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書で「水平配向」とは、液晶分子長軸と膜面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が20度未満の配向を意味するものとする。液晶化合物が空気界面付近で水平配向する場合、配向欠陥が生じ難いため、可視光領域での透明性が高くなる。一方、液晶化合物の分子が大きなチルト角で配向すると、例えば、コレステリック液晶相とする場合は、その螺旋軸が膜面法線からずれるため、反射率が低下したり、フィンガープリントパターンが発生し、ヘイズの増大や回折性を示すため好ましくない。
配向制御剤として利用可能な前記含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマーの例は、特開2007−272185号公報の[0018]〜[0043]等に記載がある。
【0053】
以下、配向制御剤として利用可能な、下記一般式(X1)〜(X3)について、順に説明する。
【0054】
【化29】

【0055】
式中、R1、R2およびR3は各々独立に、水素原子または置換基を表し、X1、X2およびX3は単結合または二価の連結基を表す。R1〜R3で各々表される置換基としては、好ましくは置換もしくは無置換の、アルキル基(中でも、無置換のアルキル基またはフッ素置換アルキル基がより好ましい)、アリール基(中でもフッ素置換アルキル基を有するアリール基が好ましい)、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子である。X1、X2およびX3で各々表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−CO−、−NRa−、−O−、−S−およびSO2−からなる群より選ばれる二価の連結基または該群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがより好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。二価の芳香族基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
【0056】
【化30】

【0057】
式中、Rは置換基を表し、mは0〜5の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。Rとして好ましい置換基は、R1、R2、およびR3で表される置換基の好ましい範囲として挙げたものと同様である。mは、好ましくは1〜3の整数を表し、特に好ましくは2または3である。
【0058】
【化31】

【0059】
式中、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は各々独立に、水素原子または置換基を表す。R4、R5、R6、R7、R8およびR9でそれぞれ表される置換基は、好ましくは一般式(XI)におけるR1、R2およびR3で表される置換基の好ましいものとして挙げたものと同様である。
【0060】
本発明において配向制御剤として使用可能な、前記一般式(X1)〜(X3)で表される化合物の例には、特開2005−99248号公報に記載の化合物が含まれる。
なお、本発明では、配向制御剤として、前記一般式(X1)〜(X3)で表される化合物の一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0061】
前記組成物中における、一般式(X1)〜(X3)のいずれかで表される化合物の添加量は、前記一般式(1)の化合物の質量の0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。
【0062】
(5)その他の添加剤
本発明の組成物は、1種または2種類以上の、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、安定剤、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、消泡剤、レべリング剤、増粘剤、難燃剤、界面活性物質、分散剤、染料、顔料等の色材、等の他の添加剤を含有していてもよい。
【0063】
(6)組成物を用いたフィルムの作製方法
本発明の組成物は、位相差フィルム、反射フィルム等の種々の光学フィルムの材料として有用である。当該フィルムの製造方法の一例は、
(i) 基板等の表面に、本発明の重合性組成物を塗布して、液晶相(コレステリック液晶相等)の状態にすること、
(ii) 前記重合性組成物の硬化反応を進行させ、液晶相を固定して硬化膜を形成すること、
を少なくとも含む製造方法である。
(i)および(ii)の工程を、複数回繰り返して、複数の上記硬化膜が積層されたフィルムを作製することもできる。
【0064】
前記(i)工程では、まず、基板またはその上に形成された配向膜の表面に、本発明の重合性組成物を塗布する。前記組成物は、溶媒に材料を溶解および/または分散した、塗布液として調製されるのが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。該有機溶媒としては、アミド(例えばN,N−ジメチルホルムアミド);スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド);ヘテロ環化合物(例えばピリジン);炭化水素(例えばベンゼン、ヘキサン);アルキルハライド(例えばクロロホルム、ジクロロメタン);エステル(例えば酢酸メチル、酢酸ブチル);ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン);エーテル(例えばテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン);1,4−ブタンジオールジアセテートなどが含まれる。これらの中でも、アルキルハライドおよびケトンが特に好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0065】
前記塗布液の塗布は、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等の種々の方法によって行うことができる。また、インクジェット装置を用いて、組成物をノズルから吐出して、塗膜を形成することもできる。
【0066】
次に、表面に塗布され、塗膜となった組成物を、コレステリック液晶相等の液晶相の状態にする。前記組成物が、溶媒を含む塗布液として調製されている態様では、塗膜を乾燥し、溶媒を除去することで、液晶相の状態にすることができる場合がある。また、液晶相への転移温度とするために、所望により、前記塗膜を加熱してもよい。例えば、一旦等方性相の温度まで加熱し、その後、液晶相転移温度まで冷却する等によって、安定的に液晶相の状態にすることができる。前記組成物の液晶相転移温度は、製造適性等の面から10〜250℃の範囲内であることが好ましく、10〜150℃の範囲内であることがより好ましい。10℃未満であると液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるために冷却工程等が必要となることがある。また200℃を超えると、一旦液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状態にするために高温を要し、熱エネルギーの浪費、基板の変形、変質等からも不利になる。
【0067】
次に、(ii)の工程では、液晶相の状態となった塗膜を硬化させる。硬化は、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法等、いずれの重合法に従って進行させてもよい。一般式(1)の化合物に応じて、適する重合法が選択されるであろう。この重合により、本発明の一般式(1)の化合物から誘導される単位を構成単位中に有する重合体が得られる。
一例では、紫外線を照射して、硬化反応を進行させる。紫外線照射には、紫外線ランプ等の光源が利用される。この工程では、紫外線を照射することによって、前記組成物の硬化反応が進行し、コレステリック液晶相が固定されて、硬化膜が形成される。
紫外線の照射エネルギー量については特に制限はないが、一般的には、100mJ/cm2〜800mJ/cm2程度が好ましい。また、前記塗膜に紫外線を照射する時間については特に制限はないが、硬化膜の充分な強度および生産性の双方の観点から決定されるであろう。
【0068】
硬化反応を促進するため、加熱条件下で紫外線照射を実施してもよい。また、紫外線照射時の温度は、液晶相が乱れないように、液晶相を呈する温度範囲に維持するのが好ましい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達せず、膜強度が不十分の場合には、窒素置換等の方法により、雰囲気中の酸素濃度を低下させることが好ましい。
【0069】
上記工程では、液晶相が固定されて、硬化膜が形成される。ここで、液晶相を「固定化した」状態は、液晶相となっている化合物の配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様である。それだけには限定されず、具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件下では−30℃〜70℃の温度範囲において、該層に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を意味するものとする。本発明では、紫外線照射によって進行する硬化反応により、液晶相の配向状態を固定する。
なお、本発明においては、液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、最終的に硬化膜中の組成物がもはや液晶性を示す必要はない。例えば、組成物が、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
【0070】
上記硬化膜の厚みについては特に制限はない。用途に応じて、または所望とされる光学特性に応じて、好ましい膜厚が決定されるであろう。一般的には、厚さは0.05〜50μmが好ましく、1〜35μmがより好ましい。
【0071】
(7)基板
本発明のフィルムは、基板を有していてもよい。当該基板は自己支持性があり、上記硬化膜を支持するものであれば、材料および光学的特性についてなんら限定はない。ガラス板、石英板、およびポリマーフィルム等から選択することができる。用途によっては、紫外光に対する高い透明性が要求されるであろう。可視光に対する透過性が高いポリマーフィルムとしては、液晶表示装置等の表示装置の部材として用いられる種々の光学フィルム用のポリマーフィルムが挙げられる。前記基板としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム;ポリイミドフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、などが挙げられる。ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースが好ましい。
【0072】
(8)配向層
本発明のフィルムは、基板と前記硬化膜との間に、配向層を有していてもよい。配向層は、液晶化合物の配向方向をより精密に規定する機能を有する。配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成等の手段で設けることができる。さらには、電場の付与、磁場の付与、或いは光照射により配向機能が生じる配向層も知られている。配向層は、ポリマーの膜の表面に、ラビング処理により形成するのが好ましい。
【0073】
配向層に用いられる材料としては、有機化合物のポリマーが好ましく、それ自体が架橋可能なポリマーか、或いは架橋剤により架橋されるポリマーがよく用いられる。当然、双方の機能を有するポリマーも用いられる。ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレ−ト、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコ−ルおよび変性ポリビニルアルコ−ル、ポリ(N−メチロ−ルアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロ−ス、ゼラチン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポリマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロ−ルアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロ−ス、ゼラチン、ポリビルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであり、さらにゼラチン、ポリビルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが好ましく、特にポリビルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
【0074】
(9)本発明のフィルムの用途
本発明のフィルムの一態様は、本発明の重合性組成物の、液晶相の配向(例えば、水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向等)を固定したフィルムであって、光学異方性を示すフィルムである。当該フィルムは、反射フィルムや液晶表示装置等の光学補償フィルム等として利用される。
本発明のフィルムの一態様は、本発明の重合性組成物のコレステリック液晶相を固定したフィルムであって、所定の波長域の光に対して選択反射特性を示すフィルムである。赤外線波長域(波長800〜1300nm)に選択反射特性を示す当該フィルムは、例えば建物または車両の窓ガラスに貼付され、もしくは合わせガラスに組み込まれて、遮熱部材として利用される。
また、本発明のフィルムは、光学素子の構成要素である、偏光素子、選択反射膜、カラーフィルタ、反射防止膜、視野角補償膜、ホログラフィー、配向膜等、種々の用途に利用することができる。
【実施例】
【0075】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0076】
(実施例1)
【化32】

【0077】
特許第4397550号公報の18ページ[0085]〜[0087]に記載の方法を参照して、4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸A−1を合成した。また、非特許文献Molecular Crystals and Liquid Crystals Science and Technology, Section A,1995年、265号、55-60ページに記載の方法を参照して、化合物B−1を合成した。
メタンスルホニルクロリド(0.59mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、化合物A−1(2.7g)とジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を、内部温度が−5℃以下になるように滴下した。同温度にて1時間攪拌を行い、化合物B−1(2.1g)を加え、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)を内部温度が0℃以下となるように滴下した。滴下後、p−メトキシフェノール(0.1g)を加え、室温にて3時間攪拌を行った。反応液にメタノール(100mL)を加え、生じた結晶をろ過し、ろ取した結晶にメタノール(30mL)およびp−メトキシフェノール(0.05g)を加えて30分加熱還流し、室温に冷却して結晶をろ過することで、化合物I−1を得た。
【0078】
(実施例2)
【化33】

【0079】
メタンスルホニルクロリド(1.80mL)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、化合物A−1(8.2g)とジイソプロピルエチルアミン(6.2mL)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を、内部温度が−5℃以下になるように滴下した。同温度にて1時間攪拌を行い、p−ヒドロキシベンズアリデヒド(2.7g)を加え、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(6.2mL)を内部温度が0℃以下となるように滴下した。滴下後、p−メトキシフェノール(0.2g)を加え、室温にて3時間攪拌を行った。反応液にメタノール(300mL)を加え、生じた結晶をろ過し、ろ取した結晶にメタノール(100mL)およびp−メトキシフェノール(0.2g)を加えて30分加熱還流し、室温に冷却して結晶をろ過することで、化合物A−2を得た。
次に、特許第4397550号公報に記載の方法を参照して、化合物A−2のホルミル基を酸化し、化合物A−3を得た。
【化34】

【0080】
メタンスルホニルクロリド(0.59mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、化合物A−3(3.9g)とジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を、内部温度が−5℃以下になるように滴下した。同温度にて1時間攪拌を行い、化合物B−1(2.1g)を加え、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)を内部温度が0℃以下となるように滴下した。滴下後、p−メトキシフェノール(0.1g)を加え、室温にて3時間攪拌を行った。反応液にメタノール(100mL)を加え、生じた結晶をろ過し、ろ取した結晶にメタノール(30mL)およびp−メトキシフェノール(0.05g)を加えて30分加熱還流し、室温に冷却して結晶をろ過することで、化合物I−3を得た。
【0081】
(実施例3)
【化35】

【0082】
非特許文献Synthetic Communications, 2010年、40号, 3027-3032ページに記載の方法を参照して、化合物B−2を合成した。
メタンスルホニルクロリド(0.59mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、化合物A−1(2.7g)とジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を、内部温度が−5℃以下になるように滴下した。同温度にて1時間攪拌を行い、化合物B−2(2.3g)を加え、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)を内部温度が0℃以下となるように滴下した。滴下後、p−メトキシフェノール(0.1g)を加え、室温にて3時間攪拌を行った。反応液にメタノール(100mL)を加え、生じた結晶をろ過し、ろ取した結晶にメタノール(30mL)およびp−メトキシフェノール(0.05g)を加えて30分加熱還流し、室温に冷却して結晶をろ過することで、化合物I−4を得た。
【0083】
(実施例4)
【化36】

【0084】
p−ヒドロキシベンズアリデヒドの代わりにバニリンを用い、化合物B−2と同様の合成方法で化合物B−3を合成した。
メタンスルホニルクロリド(0.59mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、化合物A−3(3.9g)とジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を、内部温度が−5℃以下になるように滴下した。同温度にて1時間攪拌を行い、化合物B−3(2.6g)を加え、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)を内部温度が0℃以下となるように滴下した。滴下後、p−メトキシフェノール(0.1g)を加え、室温にて3時間攪拌を行った。反応液にメタノール(100mL)を加え、生じた結晶をろ過し、ろ取した結晶にメタノール(30mL)およびp−メトキシフェノール(0.05g)を加えて30分加熱還流し、室温に冷却して結晶をろ過することで、化合物I−5を得た。
【0085】
(実施例5)
【化37】

【0086】
p−ヒドロキシベンズアリデヒドの代わりにバニリンを用い、化合物A−3と同様の合成方法で化合物A−4を合成した。
メタンスルホニルクロリド(0.59mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、化合物A−4(3.8g)とジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を、内部温度が−5℃以下になるように滴下した。同温度にて1時間攪拌を行い、化合物B−1(2.1g)を加え、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(2.0mL)を内部温度が0℃以下となるように滴下した。滴下後、p−メトキシフェノール(0.1g)を加え、室温にて3時間攪拌を行った。反応液にメタノール(100mL)を加え、生じた結晶をろ過し、ろ取した結晶にメタノール(30mL)およびp−メトキシフェノール(0.05g)を加えて30分加熱還流し、室温に冷却して結晶をろ過することで、化合物I−8を得た。
【0087】
(実施例6)
上記実施例1で合成した化合物I−1を用いて、下記の組成の液晶性組成物塗布液(1)を調製した。
化合物I−1 33質量部
キラル剤:Paliocolor LC756(BASF社製) 3.2質量部
重合性液晶化合物M−1 67質量部
空気界面配向剤1 0.1質量部
重合開始剤:IRGACURE819(チバジャパン社製) 3質量部
溶媒:クロロホルム 800質量部
【0088】
【化38】

【0089】
次に、洗浄したガラス基板の表面に、日産化学社製ポリイミド配向膜SE−130をスピンコート法により塗布し、乾燥後に250℃で1時間焼成した。これをラビング処理して配向膜付き基板を作製した。この配向膜のラビング処理面に液晶性組成物塗布液(1)をスピンコート法により室温で塗布し、120℃で3分間配向熟成を行った後に、室温でUV光の単波長成分を遮断した高圧水銀ランプを用いて10秒間光照射して配向を固定し選択反射膜1を得た。塗布後に加熱するまでの間に、塗布膜に結晶の析出は見られなかった。
【0090】
得られた選択反射膜1を偏光顕微鏡で観察したところ配向欠陥が無く、均一に配向していることを確認した。さらにこの膜を島津社製の分光光度計UV−3100PCで透過スペクトルを測定したところ1000nmに中心を持つ赤外領域に選択反射ピークがあり、その半値幅が133nmであった。ピークの半値幅と液晶組成物の螺旋周期とを用いて算出した波長1000nmにおけるΔnは0.207であった。また、日本電飾社製ヘイズメータNHD2000を用いて測定したヘイズは0.14であった。
【0091】
次に、この選択反射膜1に対して、キセノンランプを用いて360nm以下をカットした400W/m2の紫外線を1000時間照射した。AXOMETRIX社製のAxoScanを用いて、照射前後の800nmでのReを測定し、下記式によりRe変化率を計算したところ0.3%だった。
【数1】

【0092】
(実施例7〜10)
表1に示す化合物を、化合物(I−1)の代わりにそれぞれ用いて、液晶性組成物塗布液(2)〜(5)を調製し、実施例6と同様な方法によって選択反射膜2〜5を形成した。選択反射膜2〜5はいずれも良好な配向性を示し、0.15以下の低いヘイズであった。また、選択反射膜2〜5に紫外線を照射し、Re変化率を測定した。同様に求めた選択反射膜の半値幅、Δn、ヘイズ値、およびRe変化率を表1にまとめた。
【0093】
(比較例1)
実施例6と同様にして下記の組成の液晶性組成物塗布液(6)を調製した。
上記重合性液晶化合物M−1 100質量部
キラル剤:Paliocolor LC756(BASF社製) 2.8質量部
空気界面配向剤1 0.04質量部
重合開始剤:IRGACURE819(チバジャパン社製) 3質量部
溶媒:クロロホルム 300質量部
【0094】
液晶性組成物塗布液(1)の代わりに液晶性組成物塗布液(6)を用いる以外は実施例6と同様にして選択反射膜6を形成した。但し、この液晶組成物の液晶上限温度が実施例6よりも低いため、配向熟成の温度は100℃とした。また塗布後に加熱するまでの間に、塗布膜上に結晶が一部析出した。そのため再加熱して配向熟成後も、析出部分に膜厚ムラと配向不均一性が残った。実施例6と同様の方法で測定したヘイズは0.88であった。
また、選択反射膜6は1000nm付近に中心を持つ赤外領域に選択反射ピークがあり、その半値幅が106nmであった。ピークの半値幅と液晶組成物の螺旋周期とを用いて算出した波長1000nmにおけるΔnは0.164であった。また、実施例6と同様の方法で測定した紫外線照射前後のRe変化率は、1.0%であった。
【0095】
(比較例2)
化合物(I−1)の代わりに下記化合物M−2を用いた以外は実施例6と同様にして、液晶性組成物塗布液(7)を調製した。この塗布液を用いて、実施例6と同様な方法によって選択反射膜7を形成した。この位相差膜は良好な配向性を示し、実施例6と同様の方法で測定したヘイズは0.24であった。
また、選択反射膜7は1000nm付近に中心を持つ赤外領域に選択反射ピークがあり、その半値幅が134nmであった。ピークの半値幅と液晶組成物の螺旋周期とを用いて算出した波長1000nmにおけるΔnは0.210であった。また、実施例6と同様の方法で測定した紫外線照射前後のRe変化率は、5.1%であった。
【0096】
【化39】

【0097】
【表1】

【0098】
上記の表に示す結果から、本発明の重合性化合物を有する液晶組成物、およびそれを用いて作成したフィルムは、従来の重合性液晶化合物のそれと比較して、半値幅が広く、すなわち広帯域の反射が可能であり、さらにRe変化率が極めて低い。このことから、本発明の重合性化合物を有する液晶組成物は、高い複屈折率を示し、かつ耐光性に優れることが示された。さらに本発明の重合性化合物を有する液晶組成物を用いた場合、ヘイズが低いフィルムを好適に作成できることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状液晶分子と、下記一般式(1)で表される構造を1つ以上有する少なくとも1種類の重合性化合物と、キラル剤を含むことを特徴とする重合性液晶組成物。
【化1】

[一般式(1)中、E0、E1、E2、E3およびE4はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、E0〜E4のうち少なくとも1つは重合性基を有する置換基を表す。環B0は以下のいずれかの構造を表す。
【化2】

ただし、R1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はE4に対する結合位置を表す。]
【請求項2】
前記重合性基を有する置換基が下記一般式(2)で表される基である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【化3】

[上式において、Zは以下のいずれかの構造を有する重合性基を表し、
【化4】

ここで、Xは−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表し、*はQ1に対する結合位置を表し;
1は、単結合、もしくは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族連結基を表し、但し、該脂肪族連結基中の1つの非末端−CH2−もしくは隣接していない2以上の非末端−CH2−は、−O−、−S−、−NR3−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR3CO−、またはCONR3−で置換されていてもよく、R3は水素原子、もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表し;
1は、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表し、R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し;
1は、単結合、または置換基を有していてもよい二価の環状構造を表し;
1は、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表し、R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し;
mは0〜2のいずれかの整数を表し、mが2であるとき、分子内に存在する2つのA1およびX1は互いに同じであっても異なっていてもよい。]
【請求項3】
前記一般式(1)のE1とE4の少なくとも一方が、前記一般式(2)で表される置換基である、請求項2に記載の重合性液晶組成物。
【請求項4】
前記重合性化合物が、下記一般式(3)、(4)または(5)で表される重合性化合物である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【化5】

[一般式(3)〜(5)中、環B1は以下のいずれかの構造を表し、
【化6】

1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はX0、X1またはX2に対する結合位置を表し;
1およびZ2はそれぞれ独立に、水素原子、CN基、NCS基、ハロゲン原子、または以下のいずれかの構造を有する重合性基を表すが、Z1およびZ2のうち少なくとも一方は重合性基であり;
【化7】

ここで、Xは−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表し、*はQ1またはQ2に対する結合位置を表し;
1およびQ2はそれぞれ独立に、単結合、もしくは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族連結基を表し、但し、該脂肪族連結基中の1つの非末端−CH2−もしくは隣接していない2以上の非末端−CH2−は、−O−、−S−、−NR3−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR3CO−、またはCONR3−で置換されていてもよく、R3は水素原子、もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表し;
0、X1、X2、Y1およびY2はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表し、R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し;
0、A1およびA2はそれぞれ独立に、単結合、または置換基を有していてもよい二価の環状構造を表し;
n、mはそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、ただしn+m≦2であり;m=2またはn=2であるとき、分子中に存在する2つのA1、A2、X0、X1、X2、B1は各々互いに同じであっても、異なっていてもよい。]
【請求項5】
前記重合性化合物の極大吸収波長が380nm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項6】
前記A1およびA2がそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である、請求項4または5に記載の重合性液晶組成物。
【請求項7】
前記重合性化合物が、前記一般式(3)で表される重合性化合物である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項8】
前記nが0であることを特徴とする請求項7に記載の重合性液晶組成物。
【請求項9】
前記nが0であり、Y2およびQ2がそれぞれ単結合を表し、かつZ2が水素原子であることを特徴とする請求項7または8に記載の重合性液晶組成物。
【請求項10】
前記Z1が(メタ)アクリル基であることを特徴とする請求項9に記載の重合性液晶組成物。
【請求項11】
さらに少なくとも1種類の重合開始剤と少なくとも1種類の界面活性剤を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに1項に記載の液晶組成物を重合して得られる高分子材料。
【請求項13】
請求項12に記載の高分子材料の少なくとも1種を含有するフィルム。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物のコレステリック液晶相を固定してなるフィルム。
【請求項15】
光学異方性を示す請求項13または14に記載のフィルム。
【請求項16】
選択反射特性を示す請求項13〜15のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項17】
赤外線波長域に選択反射特性を示す請求項16に記載のフィルム。
【請求項18】
下記一般式(6)で表される重合性化合物。
【化8】

[一般式(6)中、環Bは以下のいずれかの構造を表し、
【化9】

1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はベンゼン環に対する結合位置を表し;
aおよびAbはそれぞれ独立に、単結合、または置換基を有していてもよい二価の環状構造を表し;
a、XbおよびYはそれぞれ独立に、単結合、−O−、−S−、−NR2−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR2CO−、−CONR2−、−OCONR2−、−NR2COO−、−NR2CONR2−、−C=N−、またはN=C−を表し、R2は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し;
Qは、単結合、もしくは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の脂肪族連結基を表し、但し、該脂肪族連結基中の1つの非末端−CH2−もしくは隣接していない2以上の非末端−CH2−は、−O−、−S−、−NR3−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NR3CO−、またはCONR3−で置換されていてもよく、R3は水素原子、もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表し;
Zは以下のいずれかの構造を有する重合性基を表し、
【化10】

ここで、Xは−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表し、*はQに対する結合位置を表し;Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基を表し;sは0または1を表し;
tは0〜2のいずれかの整数を表し;t=2であるときに、分子中に存在する2つのRは各々互いに同じであっても、異なっていてもよい。]
【請求項19】
前記環Bが以下のいずれかの構造を表すことを特徴とする請求項18に記載の重合性化合物。
【化11】

【請求項20】
前記環Bが以下の構造を表すことを特徴とする請求項18に記載の重合性化合物。
【化12】

【請求項21】
下記一般式(1)で表される構造を1つ以上有する重合性化合物を含む、複屈折率向上剤。
【化13】

[一般式(1)中、E0、E1、E2、E3およびE4はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、E0〜E4のうち少なくとも1つは重合性基を有する置換基を表す。環B0は以下のいずれかの構造を表す。
【化14】

ただし、R1は水素原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、*はE4に対する結合位置を表す。]

【公開番号】特開2012−193149(P2012−193149A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59132(P2011−59132)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】