説明

重合性液晶組成物、及び、それを用いたコレステリック反射フィルム、反射型偏光板

【課題】 コレステリック反射フィルムの選択反射の波長領域を容易に拡大し、かつ、生産性に優れた重合性液晶組成物提供し、併せて、当該重合性液晶組成物を用いた外観の優れたコレステリック反射フィルム及び反射型偏光板を提供する。
【解決手段】 a)一般式(1)
【化9】


で表される液晶化合物を1種又は2種以上含有し、b)重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、c)重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、d)重合性官能基を1つ以上有するキラル化合物を1種又は2種以上含有しe)重合開始剤を1種又は2種以上含有することを特徴とする重合性液晶組成物及び当該重合性液晶組成物により構成されるコレステリック反射フィルムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶デバイス、ディスプレイ、光学部品、着色剤、セキュリティ用マーキング、レーザー発光用部材等として有用な、重合性液晶組成物、及び、重合液晶組成物から得られるコレステリック偏光フィルム、反射型偏光板に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステリック液晶の選択反射特性を利用した偏光板の開発は、1990年代から盛んに行われてきた。コレステリック液晶を偏光板として用いるためには、選択反射の波長領域を可視光領域にすることが必要であり、コレステリック液晶のピッチを所定の値にすることにより偏光特性を得ることができる。しかし、キラル化合物をネマチック液晶に添加した場合、そのピッチは一般に一定のピッチを保持し、これに対応した特定の狭い波長領域の選択反射しか得ることができない。そのため、コレステリック液晶組成物を工夫することによる選択反射の波長領域を広げる試みがなされている。
【0003】
その一つとして、重合性コレステリック液晶において、光の照射面と非照射面での重合速度をコントロールすることでピッチの幅を順次制御する方法(特許文献1・特許文献2)が開示されている。この方法は、重合性コレステリック液晶組成物中に光開始剤の吸収波長と重なる吸収波長を有する染料を添加することにより、コレステリック液晶組成物中に含まれる光開始剤の吸収を抑制し、これによって生じる光の照射面と非照射面での重合速度の差によりピッチをコントロールしている。しかしながら、この方法では、選択反射の波長領域を拡大したコレステリック反射フィルムを得るのに長い時間がかかり、生産性に問題があった。又、染料は液晶化合物ではないため、添加量の増加に伴い、フィルムへの着色、配向欠陥の発生等、不具合が生じやすいという問題があった。
【0004】
別の方法としては、コレステリック液晶組成物中のキラル化合物を非重合タイプにすることでピッチの変化を起こしやすくする方法が挙げられる(非特許文献1)。この方法では、弱い光を照射面に照射し、照射面から少しずつコレステリック液晶組成物を光重合させることによりピッチを分散させている。
しかしながら、選択反射の波長領域を拡大する際に、これら上記方法では、コレステリック反射フィルムを作製するのに長い時間がかかり、生産性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3224467号公報
【特許文献2】特許4271729号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Liquid Crystal,Vol.34,No.9,1009〜1018(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、コレステリック反射フィルムの選択反射の波長領域を容易に拡大し、かつ、生産性に優れた重合性液晶組成物提供し、併せて、当該重合性液晶組成物を用いた外観の優れたコレステリック反射フィルム及び反射型偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者らは、従来技術で開示されているような染料では、添加量の増加に伴い配向欠陥が発生することから、染料に近い機能を有し、かつ液晶になりうる化合物が添加量を増加しても配向欠陥が発生しにくいことに着目し、本発明に至った。
本発明は、
a)一般式(1)
【0009】
【化1】

(式中、R及びRはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数2〜12のアルケニル基を表し、これらの基中に含まれる水素原子の1個又はそれ以上がフッ素原子に置換されても良く、Zは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、Zは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、Aは−C≡C−、−C=N−、−N=N−、若しくは−C=N−N=C−、又は以下の何れかの環構造
【0010】
【化2】

を表し、Rは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はシアノ基を表し、Bは以下の環構造
【0011】
【化3】

【0012】
を表し、Rは、フッ素原子、塩素原、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はシアノ基を表す。)で表される液晶化合物を1種又は2種以上含有し、b)重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、c)重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、d)重合性官能基を1つ以上有するキラル化合物を1種又は2種以上含有しe)重合開始剤を1種又は2種以上含有することを特徴とする重合性液晶組成物
を提供し、
プレーナー配向した重合性液晶組成物の硬化物によって構成されるコレステリック反射フィルムであって、該重合性液晶組成物が、前記重合性液晶組成物であるコレステリック反射フィルムを提供し、
基材、コレステリック反射フィルム及び位相差フィルムが順次積層された反射型偏光板であって、該位相差フィルムが前記位相差フィルムであることを特徴とする反射型偏光板を提供し、
基材、コレステリック反射フィルム、位相差フィルム及び直線偏光フィルムが順次積層された反射型偏光板であって、該位相差フィルムが前記位相差フィルムであることを特徴とする反射型偏光板を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の重合性液晶組成物は、染料に近い機能を有し、かつ液晶になりうる化合物を含有することによって、配向欠陥が発生しにくく、かつ、選択反射の波長領域を容易に拡大できる特徴を有する。また、本発明の重合性液晶粗生物は簡便な方法でコレステリック反射フィルムを作製することができ、生産性にも優れている。よって、本発明の重合性液晶組成物、及び、コレステリック反射フィルム、反射型偏光板は、液晶デバイス、ディスプレイ、光学部品、着色剤、セキュリティ用マーキング、レーザー発光用部材に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1で作製したコレステリック反射フィルムの偏光反射帯域を示す図である。
【図2】実施例17で作製したコレステリック反射フィルムの偏光反射帯域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明について、詳細に説明する。
a)(一般式(1)で表される液晶化合物)
本発明の重合性液晶組成物には、一般式(1)で表される液晶化合物を用いるものであるが、光開始剤の吸収波長と重なる吸収波長を有する染料を添加することにより、コレステリック液晶組成物中に含まれる光開始剤の吸収を抑制するという観点から、液晶化合物の共役結合の重なりが多い化合物が好ましい。
このような観点から、一般式(1)で表される液晶化合物において、R及びRはそれぞれ独立してフッ素原子、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜12のアルケニル基が好ましく、特にフッ素原子、炭素数3〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルケニル基が好ましい。
【0016】
は単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−OCH−、が好ましく、特に単結合、−O−、−COO−又は−OCO−が好ましい。Zは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−又は−OCH−、が好ましく、特に単結合、−O−、−COO−又は−OCO−が好ましい。
Aは−C≡C−、−C=N−、−N=N−、−C=N−N=C−、
【0017】
【化4】

が好ましく、特に−C≡C−、−C=N−N=C−、
【0018】
【化5】

が好ましい。Rは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基が好ましく、特にフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
一般式(1)で表される液晶化合物のBは、
【0019】
【化6】

が好ましく、特に、
【0020】
【化7】

が好ましい。Rは、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はシアノ基が好ましく、特にフッ素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0021】
一般式(1)は具体的には以下のような液晶化合物が例示されるが、これに限定される訳ではない。
【0022】
【化8】

【0023】
【化9】

【0024】
【化10】

【0025】
【化11】

【0026】
【化12】

【0027】
【化13】

【0028】
【化14】

【0029】
【化15】

【0030】
【化16】

【0031】
【化17】

【0032】
【化18】

【0033】
【化19】

【0034】
【化20】

【0035】
【化21】

【0036】
【化22】

【0037】
【化23】

【0038】
【化24】

【0039】
【化25】

【0040】
【化26】

【0041】
【化27】

【0042】
【化28】

【0043】
【化29】

【0044】
【化30】

【0045】
【化31】

【0046】
【化32】

【0047】
【化33】

【0048】
【化34】

【0049】
【化35】

【0050】
【化36】

【0051】
【化37】

【0052】
【化38】

【0053】
【化39】

【0054】
【化40】

【0055】
【化41】

【0056】
【化42】

【0057】
【化43】

【0058】
【化44】

【0059】
【化45】

【0060】
【化46】

【0061】
【化47】

【0062】
【化48】

【0063】
【化49】

【0064】
【化50】

【0065】
【化51】

【0066】
【化52】

【0067】
【化53】

【0068】
【化54】

【0069】
【化55】

【0070】
【化56】

【0071】
【化57】

【0072】
(式中、m及びnはそれぞれ独立して0〜7の整数を表し、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
一般式(1)で表される化合物の含有率は0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
b)(重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物)
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物は、単独又は他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す。重合性官能基を1つのみ有する化合物であれば、特に限定はなく、公知慣用のものを用いることができる。
【0073】
例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行,1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編,1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−116538号公報、特開平11−148079号公報、等に記載されているような、1,4−フェニレン基1,4−シクロヘキレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、グリシジル基といった重合性官能基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物が挙げられる。中でも、重合性基を有する棒状液晶化合物が、液晶温度範囲として室温前後の低温を含むものを作りやすく好ましい。
【0074】
重合性官能基は、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、グリシジルエーテル基、オキセタニル基又はマレイミド基等が上げられるが、生産性の観点から、アクリロイル基又は(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物は、具体的には以下に示されるような液晶化合物が例示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0075】
【化58】

【0076】
【化59】

【0077】
【化60】

【0078】
【化61】

【0079】
【化62】

【0080】
【化63】

【0081】
【化64】

【0082】
【化65】

【0083】
【化66】

【0084】
【化67】

【0085】
【化68】

【0086】
【化69】

【0087】
【化70】

【0088】
【化71】

【0089】
【化72】

【0090】
【化73】

【0091】
【化74】

【0092】
【化75】

【0093】
【化76】

【0094】
【化77】

【0095】
【化78】

【0096】
【化79】

【0097】
【化80】

【0098】
【化81】

【0099】
【化82】

【0100】
【化83】

【0101】
【化84】

【0102】
【化85】

【0103】
【化86】

【0104】
【化87】

【0105】
【化88】

【0106】
【化89】

【0107】
(式中、l及びmはそれぞれ独立して1〜9の整数を表し、nは、0〜10の整数を表す。)
これらの液晶化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0108】
又、重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物が一般式(2)
【0109】
【化90】

【0110】
(式中、Lは水素原子又はメチル基を表し、Spは単結合又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Xは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−を表し、Gは単結合、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,4−シクロヘキシレン基を表すが、これらの基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はシアノ基で置換されていてもよく、Mは、単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−を表すが、Gが単結合を表す場合、Mは単結合を表し、Gが1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,4−シクロヘキシレン基を表す場合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−を表し、Gは水素原子、フェニル基、シクロヘキシル基、ナフチル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表すが、が該フェニル基、シクロヘキシル基又はナフチル基中の水素原子は未置換であるか、又は1つ又は2つ以上のハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はシアノ基で置換されていてもよく、該カルボキシル基又はカルバモイル基中の水素原子は未置換であっても炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。Y及びYはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)で表される化合物の場合が、選択反射の波長領域をさらに拡大できるので、特に好ましい。
【0111】
一般式(2)で表される液晶化合物のLは水素原子が好ましい。
一般式(2)で表される液晶化合物のSpは、単結合又は炭素数3〜6のアルキル基が好ましく、特に炭素数3〜6のアルキル基が好ましい。
一般式(2)で表される液晶化合物のXは、単結合、−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−CH=CH−が好ましく、単結合、−O−又は−OCO−、が特に好ましい。
【0112】
一般式(2)で表される液晶化合物のMは、Gが1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,4−シクロヘキシレン基を表す場合、−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−が好ましく、−O−、−COO−、−OCO−が特に好ましい。
一般式(2)で表される液晶化合物のGは、水素原子、フェニル基、シクロヘキシル基、ナフチル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基又はフッ素原子が特に好ましい。
一般式(2)で表される液晶化合物のYは水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基が特に好ましい。
一般式(2)で表される液晶化合物のYは水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基が特に好ましい。
一般式(2)で表される液晶化合物の含有率は、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%が特に好ましい。また、一般式(2)で表される液晶化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
一般式(2)で表される液晶化合物は、具体的には以下のような液晶化合物が例示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0113】
【化91】

【0114】
【化92】

【0115】
【化93】

【0116】
【化94】

【0117】
【化95】

【0118】
【化96】

【0119】
【化97】

【0120】
【化98】

【0121】
【化99】

【0122】
【化100】

【0123】
【化101】

【0124】
【化102】

【0125】
【化103】

【0126】
【化104】

【0127】
【化105】

【0128】
【化106】

【0129】
【化107】

【0130】
(式中、mは1〜6の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を表すが、これらの基がカルボキシル基又はカルバモイル基の場合、末端の水素原子は未置換であるか、又は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
さらに重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物が一般式(3)
【0131】
【化108】

【0132】
(式中、Lは水素原子又はメチル基を表し、Spは、単結合又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、X及びXはそれぞれ独立して単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−を表し、Y、Y、Y及びYはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表すが、該アルキル基又はアルコキシ基中の水素原子は1つ又は2つ以上のハロゲン原子により置換されていてもよく、該カルボキシル基又はカルバモイル基中の水素原子未置換であっても炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
で表される液晶化合物の場合も、選択反射の波長領域をさらに拡大できるので、特に好ましい。
【0133】
一般式(3)で表される液晶化合物のLは水素原子が好ましい。
一般式(3)で表される液晶化合物のSpは、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数2〜6のアルキル基が特に好ましい。
一般式(3)で表される液晶化合物のXは−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−が好ましく、−O−、−COO−又は−OCO−が特に好ましい。
一般式(3)で表される液晶化合物のXは−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−が好ましく、−COO−、−OCO−、−CH=CH−又は−O−が特に好ましい。
【0134】
一般式(3)で表される液晶化合物のY、Y、Y及びYはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基又はフッ素原子が好ましく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基又はシアノ基が特に好ましい。
これらの液晶化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
一般式(3)で表される液晶化合物は、具体的には以下のような液晶化合物が例示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0135】
【化109】

【0136】
【化110】

【0137】
【化111】

【0138】
【化112】

【0139】
【化113】

【0140】
【化114】

【0141】
【化115】

【0142】
【化116】

【0143】
【化117】

【0144】
【化118】

【0145】
【化119】

【0146】
【化120】

【0147】
【化121】

【0148】
【化122】

【0149】
【化123】

【0150】
【化124】

【0151】
(式中、mは1〜10の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子を表すが、これらの基が炭素数1〜6のアルキル基、あるいは炭素数1〜6のアルコキシ基の場合、全部が未置換であるか、あるいは1つ又は2つ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい。これらの基がカルボキシル基、カルバモイル基の場合、末端の水素原子が未置換であるか、あるいは炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
これらの式において、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又はシアノ基を表すことが好ましい。
これらの液晶化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0152】
c)(重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物)
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物は、単独又は他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す。重合性官能基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定はなく、公知慣用のものを用いることができる。
例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行,1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編,1994年)、あるいは、特開平4−227684号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−116538号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報、特開2004−125842号公報等に記載されているような、1,4−フェニレン基1,4−シクロヘキレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、グリシジル基といった重合性官能基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物が挙げられる。中でも、重合性基を有する棒状液晶化合物が、液晶温度範囲として室温前後の低温を含むものを作りやすく好ましい。
【0153】
重合性官能基は、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、グリシジルエーテル基、オキセタニル基又はマレイミド基等が上げられるが、生産性の観点から、アクリロイル基又は(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物は、具体的には以下に示されるような液晶化合物が例示される。
【0154】
【化125】

【0155】
【化126】

【0156】
【化127】

【0157】
【化128】

【0158】
【化129】

【0159】
【化130】

【0160】
【化131】

【0161】
【化132】

【0162】
【化133】

【0163】
【化134】

【0164】
【化135】

【0165】
【化136】

【0166】
【化137】

【0167】
【化138】

【0168】
【化139】

【0169】
【化140】

【0170】
【化141】

【0171】
【化142】

【0172】
【化143】

【0173】
【化144】

【0174】
【化145】

【0175】
(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜10の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表すが、これらの基が炭素数1〜6のアルキル基、あるいは炭素数1〜6のアルコキシ基の場合、全部が未置換であるか、又は1つ又は2つ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい。これらの基がカルボキシル基、カルバモイル基の場合、末端の水素原子が未置換であるか、又は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基又はシアノ基が好ましい。
これらの液晶化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
d)(重合性官能基を少なくとも1つ以上有するキラル化合物)
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を少なくとも1つ以上有するキラル化合物であれば特に限定はなく、公知慣用のものを用いることができる。
例えば、特開平11−193287号公報、特開2001−158788号公報、特表2006−52669号公報、特開2007−269639号公報、特開2007−269640号公報、2009−84178号公報等に記載されているような、イソソルビド、イソマンニット、グルコシド等のキラルな糖類を含み、かつ、1,4−フェニレン基1,4−シクロヘキレン基等の剛直な部位と、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、グリシジル基といった重合性官能基を有する重合性キラル化合物、特開平8−239666号公報に記載されているような、テルペノイド誘導体からなる重合性キラル化合物、NATURE VOL35 467〜469ページ(1995年11月30日発行)、NATURE VOL392 476〜479ページ(1998年4月2日発行)等に記載されているような、メソゲン基とキラル部位を有するスペーサーからなる重合性キラル化合物、あるいは特表2004−504285号公報、特開2007−248945号公報に記載されているような、ビナフチル基を含む重合性キラル化合物が挙げられる。中でも、らせんねじれ力(HTP)の大きなキラル化合物は、本発明の重合性液晶組成物が作りやすく好ましい。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を少なくとも1つ以上有するキラル化合物は、具体的には以下に示されるような液晶化合物が例示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0176】
【化146】

【0177】
【化147】

【0178】
【化148】

【0179】
【化149】

【0180】
【化150】

【0181】
【化151】

【0182】
【化152】

【0183】
【化153】

【0184】
【化154】

【0185】
【化155】

【0186】
【化156】

【0187】
【化157】

【0188】
【化158】

【0189】
【化159】

【0190】
【化160】

【0191】
【化161】

【0192】
【化162】

【0193】
【化163】

【0194】
【化164】

【0195】
【化165】

【0196】
【化166】

【0197】
【化167】

【0198】
【化168】

【0199】
【化169】

【0200】
(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜10の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子を表すが、これらの基が炭素数1〜6のアルキル基、あるいは炭素数1〜6のアルコキシ基の場合、全部が未置換であるか、又は1つ又は2つ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい。これらの基がカルボキシル基、カルバモイル基の場合、末端の水素原子が未置換であるか、又は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
これらのキラル化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
e)(重合開始剤)
本発明の重合性液晶組成物で用いられる重合開始剤は、本発明の重合性液晶組成物を重合させるために用いる。重合を光照射によって行う場合に使用する光重合開始剤としては公知慣用のものが使用できる。
【0201】
例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)。ベンジルメチルケタ−ル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア369」)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア379」)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア819」)、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアOXE01」)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアOXE02」)。2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ−ドプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)、などが挙げられる。
【0202】
光重合開始剤の含有率は1〜10質量が好ましく、2〜7質量%が特に好ましい。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0203】
また、熱重合の際に使用する熱重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、メチルアセトアセテイトパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカーボネイト、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパ−オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、p−ペンタハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネイト、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオン−アミヂン)ジハイドロクロライド等のアゾアミヂン化合物、2,2’アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、2,2’アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアルキルアゾ化合物等を使用することができる。熱重合開始剤の含有利量は1〜10質量が好ましく、2〜6質量%が特に好ましい。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
上記光重合開始剤、及び、上記熱重合開始剤は、それぞれ用途や製法に合わせて併用しても良い。
【0204】
f)(溶剤)
本発明の組成物は前記重合性液晶組成物と溶剤を含むものであるが、組成物で用いられる溶剤は、基材上に塗布した際に基材、あるいは、基材上に形成されている配向膜を完全させず、本発明の重合性液晶組成物が欠陥なく配向できれば、使用する溶剤としては特に限定はないが、重合性液晶化合物が良好な溶解性を示す溶媒が好ましい。
そのような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
溶剤の比率は、本発明に用いられる重合性液晶組成物が通常塗布により行われることから、塗布した状態を著しく損なわない限りは特に制限はないが、重合性液晶組成物の固形分と溶剤の比率が0.1:99.9〜80:20が好ましく、塗布性を考慮すると、1:99〜60:40がさらに好ましい。
【0205】
g)(プレーナー配向を促進する界面活性剤、又は高分子)
本発明の重合性液晶組成物はプレーナー配向した状態で重合するため、必要に応じてプレーナー配向を促進する界面活性剤、又は高分子を用いる。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、プレーナー配向を促進する界面活性剤は、重合液晶組成物に可溶で、かつ、重合性液晶組成物の塗布乾燥時に、基材とは反対側の空気界面に偏析する材料であれば、使用する界面活性剤としては特に限定はないが、重合性官能基を有する液晶化合物よりも表面張力が小さい界面活性剤が好ましい。そのような界面活性剤としては、例えば、フッ素含有ノニオン系界面活性剤、オルガノシラン系界面活性剤、ポリアクリル酸エステル系界面活性剤、等が挙げられる。前記界面活性剤は、重合した際により強固なフィルムにするために重合性基を有してもよい。
【0206】
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、プレーナー配向を促進する高分子も、重合液晶組成物に可溶で、かつ、重合性液晶組成物の塗布乾燥時に、基材とは反対側の空気界面に偏析する材料であれば、使用する高分子としては特に限定はないが、重合性官能基を有する液晶化合物よりも表面張力が小さい高分子が好ましい。そのような高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、パラフィン、流動パラフィン、塩素化ポリプロピレン、塩素化パラフィン、又は塩素化流動パラフィン、ポリフッ化ビニリデン、等が挙げられる。
前記高分子の質量平均分子量は200〜1000000であることが好ましく、300〜100000であることがさらに好ましく、400〜10000であることが特に好ましい。
プレーナー配向を促進する界面活性剤、又は高分子の含有率0.01〜3質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%が特に好ましい。
【0207】
h)(安定剤)
本発明の重合性液晶組成物は、均一に塗布するため、膜厚の均一なコレステリック反射フィルムを得るため、あるいは、各々の目的に応じて汎用の添加剤を使用することもできる。例えば、レベリング剤、チキソ剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤、重合禁止剤等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
(コレステリック反射フィルム)
本発明のコレステリック反射フィルムは、プレーナー配向した重合性液晶組成物の硬化物によって構成されるコレステリック反射フィルムであって、該重合性液晶組成物が、
a)一般式(1)
【0208】
【化170】

【0209】
(式中、R及びRはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数2〜12のアルケニル基を表し、これらの基中に含まれる水素原子の1個又はそれ以上がフッ素原子に置換されても良く、Zは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、Zは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、Aは−C≡C−、−C=N−、−N=N−、若しくは−C=N−N=C−、又は以下の何れかの環構造
【0210】
【化171】

を表す。Rは、F、Cl、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基を表す。Bは
【0211】
【化172】

【0212】
を表し、Rは、フッ素原子、塩素原、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はシアノ基を表す。)で表される液晶化合物を1種又は2種以上含有し、b)重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、c)重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、d)重合性官能基を1つ以上有するキラル化合物を1種又は2種以上含有しe)重合開始剤を1種又は2種以上含有することを特徴とするものである。
本願発明のコレステリック反射フィルムは、偏光反射帯域が300nm以上であるコレステリック反射フィルムが好ましい。
【0213】
(コレステリック反射フィルムの製法)
(基材)
本発明のコレステリック反射フィルムに用いられる基材は、液晶デバイス、ディスプレイ、光学部品や光学フィルムに通常使用する基材であって、本発明の重合性液晶組成物の塗布後の乾燥時、あるいは、液晶デバイス製造時における加熱に耐えうる耐熱性を有する材料であれば、特に制限はない。そのような基材としては、ガラス基材、金属基材、セラミックス基材やプラスチック基材等の有機材料が挙げられる。特に基材が有機材料の場合、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン、又はポリスチレン等が挙げられる。
【0214】
中でもポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロース誘導体、ポリアリレート、ポリカーボネート等のプラスチック基材が好ましい。
本発明の重合性液晶組成物の塗布性や接着性向上のために、これらの基材の表面処理を行っても良い。表面処理として、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、シランカップリング処理などが挙げられる。また、光の透過率や反射率を調節するために、基材表面に有機薄膜、無機酸化物薄膜や金属薄膜等を蒸着など方法によって設ける、あるいは、光学的な付加価値をつけるために、基材がピックアップレンズ、ロッドレンズ、光ディスク、位相差フィルム、光拡散フィルム、カラーフィルター、等であっても良い。中でも付加価値がより高くなるピックアップレンズ、位相差フィルム、光拡散フィルム、カラーフィルターは好ましい。
【0215】
また、上記基材には、本発明の重合性液晶組成物を塗布乾燥した際に重合性液晶組成物が配向するように、通常配向処理が施されている、あるいは配向膜が設けられていても良い。配向処理としては、延伸処理、ラビング処理、偏光紫外可視光照射処理、イオンビーム処理、等が挙げられる。配向膜を用いる場合、配向膜は公知慣用のものが用いられる。そのような配向膜としては、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クマリン化合物、カルコン化合物、シンナメート化合物、フルギド化合物、アントラキノン化合物、アゾ化合物、アリールエテン化合物等の化合物が挙げられる。ラビングにより配向処理する化合物は、配向処理、もしくは配向処理の後に加熱工程を入れることで材料の結晶化が促進されるものが好ましい。ラビング以外の配向処理を行う化合物の中では光配向材料を用いることが好ましい。
【0216】
(塗布)
本発明のコレステリック反射フィルムを得るための塗布法としては、アプリケーター法、バーコーティング法、スピンコーティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディッピング等、公知慣用の方法を行うことができる。通常は、溶剤で希釈した重合性液晶組成物を塗布するので、塗布後は乾燥させることになる。
(重合工程)
本発明の重合性液晶組成物の重合操作については、重合性液晶組成物中の溶剤を乾燥等で除去した後、プレーナー配向した状態で一般に紫外線等の光照射、あるいは加熱によって行われる。重合を光照射で行う場合は、具体的には390nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜370nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、390nm以下の紫外光により重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、390nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。この光は、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。
【0217】
一方、加熱による重合は、重合性液晶組成物が液晶相を示す温度又はそれより低温で行うことが好ましく、特に加熱によりラジカルを放出する熱重合開始剤を使用する場合にはその開裂温度が上記の温度域内にあるものを使用することが好ましい。また該熱重合開始剤と光重合開始剤とを併用する場合には上記の温度域の制限と共に光配向膜と重合性液晶膜の両層の重合速度が大きく異なることの無い様に重合温度と各々の開始剤を選択することが好ましい。加熱温度は、重合性液晶組成物の液晶相から等方相への転移温度にもよるが、熱による不均質な重合が誘起されてしまう温度よりも低い温度で行うことが好ましい。ただし、有機材料からなる基材のガラス転移点を越えると基材の熱変形が著しくなるので、室温〜基材のガラス転移点が好ましい。また例えば、重合性基が(メタ)アクリロイル基である場合は、90℃よりも低い温度で行うことが好ましい。
【0218】
得られたコレステリック反射フィルムの耐溶剤特性や耐熱性の安定化のために、コレステリック反射フィルムを加熱処理することもできる。この場合、前期重合性液晶膜のガラス転移点以上で加熱することが好ましい。通常は、有機材料からなる基材のガラス転移点を越えない範囲での加熱が好ましい。また、上記目的のために、光照射処理することもできる。この場合、光照射により、コレステリック反射フィルム中の液晶化合物成分が光分解しない程度であることが好ましい。
【0219】
(反射型偏光板)
本発明の反射型偏光板は、基材、コレステリック反射フィルム、位相差フィルムが順次積層された反射型偏光板又は基材、コレステリック反射フィルム、位相差フィルム、直線偏光フィルムが順次積層された反射型偏光板であって、該コレステリック反射フィルムが前記本発明のコレステリック反射フィルムを用いるものである。
又、反射型偏光板中に2つ以上の位相差フィルムを有し、該位相差フィルムが位相差の異なる位相差フィルムを用いた態様も好ましい。
基材、及び、コレステリック反射フィルムの積層は、前記コレステリック反射フィルムの製法に記載したとおりである。位相差フィルムの積層は、以下に示す方法が挙げられる。
【0220】
(コレステリック反射フィルムに直接積層する場合)
本発明のコレステリック反射フィルム上に配向膜を形成し、その上に前記液晶化合物を含有する溶液を塗布乾燥し、前記液晶化合物が1軸配向した状態で重合することによって得られる。配向膜を形成しなくても前記液晶化合物が1軸配向する場合は、本発明のコレステリックフィルムの上に直接前記液晶化合物を含有する溶液を塗布乾燥し、重合することによって得られる。配向膜を用いる場合、配向膜は上記基材の項で記載したとおり、公知慣用のものが用いられる。
【0221】
(コレステリック反射フィルムに貼合する場合)
上記基材上に上記塗布の方法で塗布乾燥を行い、上記重合工程と同じ方法で位相差フィルムを得る。得られた位相差フィルムに接着剤、あるいは、接着フィルムを貼り合せた後、本発明のコレステリック反射フィルム、及び、前記位相差フィルムを接着剤、あるいは、接着フィルムを介して貼合することによって得られる。接着剤、あるいは、接着フィルムを用いる場合、接着剤、接着フィルムは、光学フィルム用途の公知慣用のものが用いられる。
【0222】
さらに上記位相差フィルムは、異なる2つの位相差フィルムを設けることもできる。異なる2つの位相差フィルムの組み合わせとしては、液晶化合物の配向がホモジニアス(ポジAプレート)とホモジニアス(ポジAプレート)、ホモジニアス(ポジAプレート)とホメオトロピック(ポジCプレート)、ホモジニアス(ポジAプレート)とハイブリッド(Oプレート)等が挙げられる。
さらに上記位相差フィルムの上に直線偏光フィルムを設ける場合、通常は貼合方式で積層する。
積層方法は、上記コレステリック反射フィルム上に位相差フィルムを積層する方法と同様である。
【0223】
本発明のコレステリック反射フィルムにX線照射処理、あるいは電子線照射処理を施すことにより、基材と本発明の重合性液晶組成物の重合物との密着性が向上する。X線は波長が0.1〜100Å(オングストローム)、エネルギーで0.1〜100keV程度の電磁波であり、通常は市販のX線照射装置が用いられる。X線のエネルギーは、本発明のコレステリック反射フィルムがX線照射処理により分解しない程度であればよく、具体的には1〜100kGy(グレイ)が好ましい。一方、電子線(EB)は、加速器によって大きなエネルギーを与えられ、加速された電子の流れであり、通常は市販の電子線照射装置が用いられる。電子線の出力は、本発明のコレステリック反射フィルムが電子線照射処理により分解しない程度であればよく、具体的には10〜200kGyが好ましい。
【実施例】
【0224】
以下に本発明を合成例、実施例、及び、比較例によって説明するが、もとより本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(重合性液晶組成物(1)の調製)
式(A−1)で表される液晶化合物、式(B−1)で表される液晶化合物、式(C−1)で表される液晶化合物、式(C−2)で表される液晶化合物、式(D−1)で表されるキラル化合物、式(E−1)で表される重合開始剤、式(E−2)で表される重合開始剤、流動パラフィン(G−1)0.5部を混合して本発明の重合性液晶組成物(1)を得た。得られた重合性液晶組成物に4−メトキシ−1−ナフトール(H−1)0.07部、シクロヘキサノン(F−1)60部を加えた後、60℃で溶解させ、本発明の重合性液晶組成物(2)を得た。
【0225】
【化173】

【0226】
【化174】

【0227】
【化175】

【0228】
【化176】

【0229】
【化177】

【0230】
【化178】

【0231】
【化179】

【0232】
(重合性液晶組成物(3)〜(25)の調製)
本発明の重合性液晶組成物(2)の調製と同様にして本発明の重合性液晶組成物(3)〜(21)及び比較例の重合性液晶組成物(22)〜(25)を得た。表1から表6に、本発明の重合性液晶組成物(1)〜(21)及び比較例の重合性液晶組成物(22)〜(25)の具体的な組成を示す。
【0233】
【表1】

【0234】
【表2】

【0235】
【表3】

【0236】
【表4】

【0237】
【表5】

【0238】
【表6】

【0239】
表1から表6に示す化合物は以下に示すとおりである。
【0240】
【化180】

【0241】
【化181】

【0242】
【化182】

【0243】
【化183】

【0244】
【化184】

【0245】
【化185】

【0246】
【化186】

【0247】
【化187】

【0248】
【化188】

【0249】
【化189】

【0250】
【化190】

【0251】
【化191】

【0252】
【化192】

【0253】
【化193】

【0254】
【化194】

【0255】
シクロペンタノン(F−2)
トルエン(F−3)
質量平均分子量2200のポリプロピレン(G−2)
4−メトキシフェノール(H−2)
【0256】
【化195】

【0257】
【化196】

【0258】
(実施例1)
配向膜用ポリイミド溶液を厚さ0.7mmのガラス基材にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得た。得られた塗膜をラビング処理して、本発明のコレステリック反射フィルム用基材とした。ラビング処理は、市販のラビング装置を用いて行った。
ラビングした基材に本発明の重合性液晶組成物(2)をスピンコート法で塗布し、80℃で2分乾燥した。得られた塗膜を60℃のホットプレート上に置き、バンドパスフィルターで365nm付近のみの紫外光(UV光)が得られるように調整を行った高圧水銀ランプを用いて、15mW/cmの強度で10秒間UV光を照射した。次にバンドパスフィルターを取り外し、70mW/cmの強度で20秒間UV光を照射することで本発明のコレステリック反射フィルムを得た。
得られたコレステリック反射フィルムの選択反射波長を分光光度計(U−4100「株式会社 日立製作所製」を用いて測定すると図1に示すように偏光反射帯域は凡そ350nmであった。
(実施例2〜16)
実施例1と同様にして、実施例2〜16のコレステリック反射フィルムを得た。得られたコレステリック反射フィルムの偏光反射帯域は、表7に示すようにいずれも300nm以上であった。したがって、本発明の重合性液晶組成物を用いて作製したコレステリック反射フィルムは、可視光全体を反射できる優れたコレステリック反射フィルムといえる。また、コレステリック反射フィルムを作製する際の塗布、乾燥、照射、いずれも従来よりも短時間で行うことができ、生産性にも優れているといえる。
【0259】
【表7】

【0260】
(比較例1〜3)
重合性液晶組成物(21)〜(23)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜3のコレステリック反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの偏光反射帯域は、表8に示すように、いずれも150nm以下であった。
【0261】
【表8】

【0262】
(比較例4〜5)
実施例1と同様にして、重合性液晶組成物(24)及び(25)を用いて、比較例4及び5のコレステリック反射フィルムを得ようと試みたが、外観上の不具合が多数発生し、所定のコレステリック反射フィルムが得られなかった。
(実施例17)
本発明の重合性液晶組成物(4)をラビング処理したPETフィルムにバーコーターで塗布し、90℃で2分乾燥した。得られた塗膜を60℃に保持し、バンドパスフィルターで365nm付近のみのUV光が得られるように調整を行った高圧水銀ランプを用いて、15mW/cmの強度で10秒間UV光を照射した。次にバンドパスフィルターを取り外し、70mW/cmの強度で20秒間UV光を照射することで実施例17のコレステリック反射フィルムを得た。
【0263】
得られたコレステリック反射フィルムの選択反射波長を測定したところ、実施例2と同様に偏光反射帯域は図2に示すように凡そ360nmであった。
(実施例18〜32)
実施例17と同様にして実施例18〜32のコレステリック反射フィルムを得た。得られたコレステリック反射フィルムの偏光反射帯域は、表9に示すようにいずれも300nm以上であった。
【0264】
【表9】

【0265】
(実施例33)
ポリビニルブチラール(製品名「エスレックBM−2」積水化学工業株式会社製)2部をエタノ−ル49部、2−ブトキシエタノール49部に溶解させた。得られたポリビニルブチラール溶液を実施例1で得られたコレステリック反射フィルムにスピンコート法で塗布し、80℃で2分乾燥した。得られた塗膜をラビング処理した。ラビング処理は、市販のラビング装置を用いて行った。
次に位相差フィルム用の重合性液晶組成物(製品名:UVキュアラブル液晶「UCL−017」DIC株式会社製)のトルエン溶液(固形分比率:20%)を上記ラビング処理した基材にスピンコート法で塗布し、80℃で2分乾燥した。得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて、30mW/cmの強度で15秒間UV光を照射し、実施例33の反射型偏光板を得た。
得られた反射型偏光板の分光特性を分光光度計(U−4100「株式会社 日立製作所製」を用いて測定した。測定は、実施例33の反射型偏光板と検出器の間に市販の直線偏光板を置き、実施例33の反射型偏光板と市販の直線偏光板のそれぞれの偏光方向が平行になる場合(パラレルニコル)と垂直になる場合(クロスニコル)で透過率を測定した。パラレルニコルの場合、透過率は可視光領域で90%以上となった。クロスニコルの場合、透過率は可視光領域でほぼ0%となった。
【0266】
(実施例34)
実施例33で用いたUCL−017のトルエン溶液を表面ラビング処理したポリアセチルセルロースフィルムに塗布し、60℃で3分乾燥した。得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて、30mW/cmの強度で15秒間UV光を照射し、重合性液晶組成物からなる位相差フィルムが得られた。市販の透明両面粘着テープの片側の剥離層を剥してから、得られた位相差フィルムの上に貼り、もう一方の剥離層を剥した後に実施例17のコレステリック反射フィルムの上に貼り合せ、実施例34の反射型偏光板を得た。得られた反射型偏光板の分光特性を実施例33と同じ方法で行ったところ、実施例33と同様に良好な偏光特性が得られた。
【0267】
(実施例35)
実施例33のポリビニルブチラール溶液を実施例33の反射型偏光板の上にスピンコート法で塗布し、80℃で2分乾燥した。
次に位相差フィルム用の重合性液晶組成物(製品名:UVキュアラブル液晶「UCL−018」DIC株式会社製)のキシレン溶液(固形分比率:25%)を上記反射型偏光板にスピンコート法で塗布し、80℃で2分乾燥した。得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて、30mW/cmの強度で20秒間UV光を照射し、実施例35の反射型偏光板を得た。
【0268】
(実施例36)
実施例35で用いたUCL−018のキシレン溶液を表面処理したポリアセチルセルロースフィルムに塗布し、60℃で3分乾燥した。得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて、30mW/cmの強度で20秒間UV光を照射し、重合性液晶組成物からなる位相差フィルムが得られた。市販の透明両面粘着テープの片側の剥離層を剥してから、得られた位相差フィルムの上に貼り、もう一方の剥離層を剥した後に実施例34の反射型偏光板の上に貼り合せ、実施例36の反射型偏光板を得た。
【0269】
(実施例37)
実施例17のコレステリック反射フィルムの上に市販の透明両面粘着テープの片側の剥離層を剥してから貼り、もう一方の剥離層を剥した後に実施例17のコレステリック反射フィルムを貼りあわせ、実施例37のコレステリック反射フィルムを得た。
実施例37のコレステリック反射フィルムの選択反射波長を測定したところ、実施例2と同様に偏光反射帯域は凡そ400nmであった。また、透過率は可視光全域に渡ってほぼ50%以下であった。
【0270】
(実施例38)
実施例17のコレステリック反射フィルムに、市販のX線照射装置を用いて、室温下5kGyのX線を照射し、実施例38のコレステリック反射フィルムを得た。
得られたコレステリック反射フィルムの密着性の評価は、JIS−K5400に記載のクロスカット試験により行った。クロスカット試験は、カッターを用いて、2mm間隔で縦横に切れ目を入れ、25のマス目を作った。このマス目の上にセロハンテープを貼り付け、剥したときのマス目を数えたところ、24マス残った。
【0271】
(実施例39)
実施例17のコレステリック反射フィルムに、市販の電子線照射装置を用いて、室温下10kGyの電子線を照射し、実施例39のコレステリック反射フィルムを得た。
実施例38と同様にして密着性の評価を行ったところ、20マス残った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)一般式(1)
【化1】

(式中、R及びRはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数2〜12のアルケニル基を表し、これらの基中に含まれる水素原子の1個又はそれ以上がフッ素原子に置換されても良く、Zは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、Zは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、Aは−C≡C−、−C=N−、−N=N−、若しくは−C=N−N=C−、又は以下の何れかの環構造
【化2】

を表し、Rは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はシアノ基を表し、Bは以下の環構造
【化3】

を表し、Rは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はシアノ基を表す。)で表される液晶化合物を1種又は2種以上含有し、b)重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、c)重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、d)重合性官能基を1つ以上有するキラル化合物を1種又は2種以上含有しe)重合開始剤を1種又は2種以上含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
【請求項2】
一般式(1)で表される化合物の含有率が0.1〜20質量%である請求項1記載の重合性液晶組成物。
【請求項3】
a)重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物を2種類以上
含有する請求項1又は2記載の重合性液晶組成物。
【請求項4】
重合性官能基を2つ有する液晶化合物を2種類以上含有する請求項1、2又は3記載の重合性液晶組成物。
【請求項5】
重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物が一般式(2)
【化4】

(式中、Lは水素原子又はメチル基を表し、Spは単結合又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Xは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−を表し、Gは単結合、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,4−シクロヘキシレン基を表すが、これらの基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はシアノ基で置換されていてもよく、Mは、単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−を表すが、Gが単結合を表す場合、Mは単結合を表し、Gが1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,4−シクロヘキシレン基を表す場合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−を表し、Gは水素原子、フェニル基、シクロヘキシル基、ナフチル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表すが、が該フェニル基、シクロヘキシル基又はナフチル基中の水素原子は未置換であるか、又は1つ又は2つ以上のハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はシアノ基で置換されていてもよく、該カルボキシル基又はカルバモイル基中の水素原子は未置換であっても炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。Y及びYはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)で表される請求項1から4の何れか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項6】
一般式(2)で表される化合物の含有率が5〜80質量%である請求項1から5の何れか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項7】
重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物が一般式(3)
【化5】

(式中、Lは水素原子又はメチル基を表し、Spは、単結合又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、X及びXはそれぞれ独立して単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−又は−OCO−CH=CH−を表し、Y、Y、Y及びYはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表すが、該アルキル基又はアルコキシ基中の水素原子は1つ又は2つ以上のハロゲン原子により置換されていてもよく、該カルボキシル基又はカルバモイル基中の水素原子未置換であっても炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
で表される請求項1から6の何れか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項8】
重合開始剤の含有率が1〜10質量%である請求項1から7の何れか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項9】
プレーナー配向を促進する界面活性剤、又は高分子を1種又は2種以上含有する請求項1から8の何れか一項に記載の重合性液晶組成物。
【請求項10】
プレーナー配向を促進する界面活性剤、又は高分子の含有率が0.01〜3質量%である請求項9記載の重合性液晶組成物。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の重合性液晶組成物及び溶剤を1種又は2種以上含有する組成物。
【請求項12】
プレーナー配向した重合性液晶組成物の硬化物によって構成されるコレステリック反射フィルムであって、該重合性液晶組成物が、
a)一般式(1)
【化6】

(式中、R及びRはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数2〜12のアルケニル基を表し、これらの基中に含まれる水素原子の1個又はそれ以上がフッ素原子に置換されても良く、Zは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、Zは単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−CH=CH−、−CH=CH−COO−、又は−OCO−CH=CH−を表し、Aは−C≡C−、−C=N−、−N=N−、若しくは−C=N−N=C−、又は以下の何れかの環構造
【化7】

を表し、Rは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はシアノ基を表し、Bは以下の環構造
【化8】

を表し、Rは、フッ素原子、塩素原、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はシアノ基を表す。)で表される液晶化合物を1種又は2種以上含有し、b)重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、c)重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、d)重合性官能基を1つ以上有するキラル化合物を1種又は2種以上含有しe)重合開始剤を1種又は2種以上含有することを特徴とするコレステリック反射フィルム。
【請求項13】
偏光反射帯域が300nm以上である請求項12記載のコレステリック反射フィルム。
【請求項14】
基材を有するコレステリック反射フィルムであって、該基材がプラスチックフィルムである請求項12又は13記載のコレステリック反射フィルム。
【請求項15】
基材、コレステリック反射フィルム及び位相差フィルムが順次積層された反射型偏光板であって、該コレステリック反射フィルムが請求項12から14の何れか一項に記載のコレステリック反射フィルムであることを特徴とする反射型偏光板。
【請求項16】
基材、コレステリック反射フィルム、位相差フィルム及び直線偏光フィルムが順次積層された反射型偏光板であって、該コレステリック反射フィルムが請求項12から14の何れか一項に記載のコレステリック反射フィルムであることを特徴とする反射型偏光板。
【請求項17】
反射型偏光板中に2つ以上の位相差フィルムを有し、該位相差フィルムが位相差の異なる位相差フィルムを有する請求項15又は16記載の反射型偏光板。
【請求項18】
X線照射処理、あるいは電子線照射処理を施したことを特徴とする請求項12から14の何れか一項に記載のコレステリック反射フィルム。
【請求項19】
基材が光拡散フィルムであることを特徴とする請求項14〜18の何れか一項に記載の反射型偏光板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−213790(P2011−213790A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81251(P2010−81251)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】