説明

重量測定装置

【課題】十分な薄型化を実現することができる重量測定装置を提供する。
【解決手段】ベース14の表面にロードセル37は支持される。プラットフォーム13およびロードセル37の間に荷重伝達部材19が挟み込まれる。荷重伝達部材19の周囲に弾性変形体33が配置される。弾性変形体33は、ベース14に対して姿勢変化自在に枠体27に荷重伝達部材19を連結する。荷重伝達部材19は不必要に拘束されないことから、荷重のエネルギーは損失なくロードセル37に伝達される。弾性変形体33は荷重伝達部材19の周囲にあって、荷重伝達部材19とプラットフォーム13との間には弾性部材が挟み込まれないことから、プラットフォーム13とベース14との間隔は狭められることができる。重量測定装置は十分に薄型化されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば体重計といった重量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体重計は広く知られる。体重計ではベースおよびプラットフォームで収容空間が挟み込まれる。特許文献1および特許文献2に記載されているように、収容空間にはロードセルが収容される。プラットフォームに加わる重量の大きさに応じてロードセルは電気信号を出力する。電気信号に基づきプラットフォームに作用する重量は算出される。
【0003】
ロードセルには起歪体が組み込まれる。起歪体の支点は床面に対して支持される。起歪体の力点はプラットフォームに連結される。プラットフォームから力点に荷重が加わると、起歪体は力点および支点の間で変形する。変形量が例えば歪みゲージで測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−307454号公報
【特許文献2】特開2004−156937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、プラットフォームと起歪体との間には弾性部材が挟み込まれる。弾性部材は、プラットフォームと起歪体との連結を維持しつつ、起歪体に対してプラットフォームの姿勢変化を許容する。しかしながら、十分な姿勢変化量の確保にあたって弾性部材には相当な厚みが要求される。その結果、体重計といった重量測定装置の薄型化は阻害されてしまう。特に弾性部材としてゴムを使用すると、ゴムの硬化を予測してその厚さを大きくする必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、十分な薄型化を実現することができる重量測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば、ベースおよびプラットフォームで収容空間を挟み込む本体と、前記収容空間に収容されて前記ベースの表面に支持されるロードセルと、前記プラットフォームおよび前記ロードセルの間に挟み込まれた荷重伝達部材と、前記ベースに固定されるブラケットと、前記荷重伝達部材の周囲に配置されて、前記ブラケットに対して姿勢変化自在に前記ブラケットに前記荷重伝達部材を連結する弾性変形体とを備えることを特徴とする重量測定装置が提供される。
【0008】
かかる重量測定装置では、プラットフォームに重量が作用すると重量は荷重伝達部材に作用する。荷重伝達部材はロードセルに荷重を伝達する。荷重伝達部材の働きで荷重は損失なくロードセルに伝達される。ロードセルでは正確に重量に応じて信号が出力される。荷重伝達部材の周囲に配置された弾性変形体のため、プラットフォームの撓みに応じて荷重伝達部材の姿勢は変化する。荷重伝達部材は不必要に拘束されないことから、荷重のエネルギーは損失なくロードセルに伝達される。弾性変形体は荷重伝達部材の周囲にあって、荷重伝達部材とプラットフォームとの間には弾性部材が挟み込まれないことから、プラットフォームとベースとの間隔は狭められることができる。重量測定装置は十分に薄型化されることができる。
【0009】
重量測定装置は、前記ロードセルに組み込まれて、前記荷重伝達部材に点接触する力点、および、支点の間に、前記プラットフォームから伝わる力の作用に応じて歪む歪み域を有する起歪体と、前記支点に結合され、前記ベースの表面に向かって盛り上がるドーム体で前記ベースの表面に点接触する受け部材と、前記受け部材に可撓板で連結され、前記ベースに対して姿勢変化自在に前記ベースに前記受け部材を取り付ける結合体とをさらに備えてもよい。
【0010】
ドーム体の働きでベースに対して受け部材は姿勢を変化させることができる。その結果、ベースの撓みに応じて支点側で起歪体は重力方向に直交する姿勢を維持することができる。ベースの撓みに拘わらず支点側で起歪体の姿勢は維持されることから、荷重伝達部材から伝わる荷重に応じて正確にロードセルは荷重を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】重量測定装置の一具体例として体重計の外観を示す斜視図である。
【図2】体重計の内部構造を概略的に示す平面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面に相当し、荷重伝達部品ユニットおよびロードセルユニットの拡大断面図である。
【図4】ロードセルユニットの分解斜視図である。
【図5】図2の5−5線に沿った断面に相当し、荷重伝達部品ユニットおよびロードセルユニットの拡大断面図である。
【図6】起歪体のひずみゲージおよび配線の拡大平面図である。
【図7】荷重伝達部品ユニットの拡大分解斜視図である
【図8】重量測定装置の一具体例として体組成計の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る重量測定装置すなわち体重計11を示す。体重計11は本体12を備える。本体12はプラットフォーム13を備える。プラットフォーム13は例えば水平な平坦面を有する。体重計11の利用者はプラットフォーム13上で直立する。
【0013】
本体12はベース14を備える。ベース14は例えばステンレス鋼といった剛体物から形成される。ベース14は平面視でほぼ矩形に形作られる。矩形の四隅には台足15が固定される。台足15は、床面に直交する方向にベース14に対して変位することができる。こうした変位に基づき台足15の足裏とプラットフォーム13との距離は調整されることができる。調整に応じてプラットフォーム13の水平姿勢は確立される。水平姿勢が確立されると、プラットフォーム13の平坦面は重力方向に直交する。台足15の変位は、例えば重力方向に軸心を有するねじ軸の働きで実現されればよい。
【0014】
ベース14に前述のプラットフォーム13が覆い被さる。ベース14とプラットフォーム13との間には収容空間が形成される。プラットフォーム13の前方で本体12にはディスプレイパネル16が組み込まれる。ディスプレイパネル16のスクリーンは本体12の表面で露出する。ディスプレイパネル16のスクリーンには例えば体重値といった生体情報が表示される。
【0015】
図2では本体12からプラットフォーム13が取り外される。図2に示されるように、ベース14には4つのロードセルアセンブリ18が固定される。ロードセルアセンブリ18は、鉛直方向に変位する荷重伝達部材19を備える。鉛直方向の下向きは重力方向に一致する。プラットフォーム13に与えられた荷重は、4つの荷重伝達部材32に伝達されて、さらに4つのロードセル(ここでは図示されず)に与えられる。各荷重伝達部材32に与えられた荷重は、ロードセルで電気信号に変換される。電気信号は、荷重伝達部材19に作用する重量を特定する。
【0016】
本体12内には重量測定回路すなわち重量測定ボード21が組み込まれる。重量測定ボード21にはロードセルアセンブリ18内のロードセルが接続される。ロードセルの電気信号は重量測定ボード21に供給される。供給される電気信号に基づき重量測定ボード21はプラットフォーム13に加わる重量値を特定する。重量測定ボード21は測定値データを生成する。この測定値データで重量値が特定される。測定値データはディスプレイパネル16に供給される。こうしてディスプレイパネル16には重量値すなわち体重値が表示される。
【0017】
図2に示されるように、4つのロードセルは直方体空間22内に配置される。直方体空間22は、相互に平行な4本の稜線にそれぞれ台足15の軸心を含む。プラットフォーム13に重量が作用すると、ベース14にはロードセルから重量が加わる。ベース14に作用する力の作用点は台足15の位置からずれる。台足15の軸心を結ぶ対角線の交差点すなわち矩形の中心位置に近づくにつれてベース14の鉛直方向変位は増大する。個々のロードセルは、ロードセルごとに異なる大きさのベース14の撓みに曝される。
【0018】
図3に示されるように、プラットフォーム13は、鋼板で形成された箱状の部分13aと、その外側に配置された樹脂カバー13bとを備える。樹脂カバー13bは、プラットフォームの外装となる。また、プラットフォーム13が、図8に示されて後述される体組成計91に使用される場合には、樹脂カバー13bは、鋼板で形成された部分13aと後述する電極14a、14b、15a、15bとを絶縁する。樹脂カバー13bにはリブが形成されており、リブが鋼板で形成された部分13aに接している。
【0019】
図3に示されるように、個々のロードセルアセンブリ18は荷重伝達部品ユニット23とロードセルユニット24とを備える。荷重伝達部品ユニット23は、ベース14に固定されるフレーム25と、フレーム25に固定された枠体27と、枠体27の内側に配置された荷重伝達部材19と、枠体27と荷重伝達部材19とを連結する弾性変形体33を備える。ベース14への固定にあたって、例えばフレーム25はベース14にねじ留めされればよい。フレーム25は、ベース14の表面から所定の高さで離れる支持板26を備える。支持板26は例えばベース14の表面に平行に広がる。
【0020】
フレーム25の支持板26上には枠体27が搭載される。枠体27は例えば支持板26の表面に重ね合わせられる。枠体27は支持板26に固定される。固定にあたってねじ28が用いられる。ねじ28は支持板26の雌ねじ孔29にねじ込まれる。ねじ28のねじ頭と支持板26との間に枠体27は挟み込まれる。枠体27とフレーム25とは本発明に係るブラケットとして機能する。
【0021】
枠体27の内側には前述の荷重伝達部材19が配置される。荷重伝達部材19は、例えばゴムよりも堅い樹脂から形成される。荷重伝達部材19の上端には水平面19aが規定される。この水平面19aにプラットフォーム13が重ね合わせられる。すなわち、プラットフォーム13は荷重伝達部材19に直接に受け止められる。荷重伝達部材19はプラットフォーム13に連結される。連結にあたって例えばねじ31が用いられる。ねじ31は、水平面19aに穿たれる有底のねじ穴32にねじ込まれる。ねじ31のねじ頭と荷重伝達部材19との間にプラットフォーム13は挟み込まれる。ねじ31の軸心は重力方向に合わせられる。
【0022】
荷重伝達部材19の周囲には弾性変形体33が配置される。弾性変形体33は、枠体27に対して姿勢変化自在に枠体27に荷重伝達部材19を連結する。支持板26には開口34が形成される。開口34内に荷重伝達部材19は配置される。荷重伝達部材19の姿勢が変化しても荷重伝達部材19と枠体27との間で接触が確実に回避される程度に開口34の大きさは設定される。荷重伝達部材19、弾性変形体33および枠体27は例えば樹脂材料から一体成型される。こうした成型部品の詳細は後述される。荷重伝達部材19の下端には金属板35が埋め込まれる。金属板35は下向きに水平面を露出する。金属板35は例えばステンレス鋼の板ばね材から成形されればよい。
【0023】
ロードセルユニット24は、ロードセル37と支持機構アセンブリ42を備える。ロードセル37は起歪体38と歪みゲージ67(図5および図6参照))を備える。起歪体38の力点には窪み39が形成される。窪み39には金属製の球体41が配置される。球体41は剛体材から形成される。窪み39は、球体41の転がりを防止しつつ球体41を受け入れる。球体41は起歪体38に直接に接触する。球体41は窪み39から突き出る。球体41は前述の金属板35を受け止める。球体41は金属板35に直接に接触する。こうして起歪体38の力点は荷重伝達部材19に点接触する。起歪体38の支点には支持機構アセンブリ42が連結される。支持機構アセンブリ42はベース14の表面に固定される。
【0024】
図4に示されるように、起歪体38は第1剛体板38aおよび第2剛体板38bを備える。第1剛体板38aには力点45が設定される。第2剛体板38bには1対の支点46が設定される。第1剛体板38aおよび第2剛体板38bは1対の歪み梁38cで相互に連結される。ここでは、第1剛体板38a、歪み梁38cおよび第2剛体板38bは1枚の板材から成形される。板材は一定の板厚を有する。板材には例えば炭素工具鋼板が用いられる。板材は例えばほぼ矩形の輪郭を有する。
【0025】
力点45および支点46は板材の表面を含む水平面内で1直線上に配置される。力点45は、例えば矩形の対角線の交差点すなわち中心位置に設定される。力点45および支点46は矩形の二等分線47上に配置される。2つの支点46は力点45から等距離に配置される。歪み梁38cは、支点46同士を結ぶ直線の両延長線上で二等分線47を横切る。歪み梁38cは水平面内で二等分線47に直交する平行線上で延びる。個々の歪み梁38cでは、二等分線47から第1剛体板38aまでの長さと、二等分線47から第2剛体板38bまでの距離は等しく設定される。個々の支点46には雌ねじ溝付きの貫通孔48が形成される。図4から明らかなように、起歪体38は、二等分線47に直交し力点45を含む垂直面49で面対称に形成される。こうした起歪体38で鉛直方向から力点45に荷重が作用すると、両方の歪み梁38cの歪みは、垂直面49に対して面対称に生じる。同時に、二等分線47に直交し力点45を含む垂直面で面対称に歪み梁38cの歪みは生じる。
【0026】
第2剛体板38bには支持機構アセンブリ42が連結される。支持機構アセンブリ42は支持板51と、共通スペーサー52、2つの個別スペーサー53、連結部品58および取り付け板56を備える。支持板51は、起歪体38の第2剛体板38bに固定される。固定にあたって支持板51の表面には共通スペーサー52および2つの個別スペーサー53が重ね合わせられる。共通スペーサー52および個別スペーサー53はそれぞれ例えば鋼板から成形されればよい。第2剛体板38bの貫通孔48には下からねじ54がねじ込まれる。ねじ54の軸は支持板51、共通スペーサー52および個別スペーサー53を貫通する。ねじ54のねじ頭と第2剛体板38bの裏面との間に支持板51、共通スペーサー52および個別スペーサー53は挟み込まれる。支持板51は、起歪体38の第2剛体板38bの剛性を補強する。
【0027】
上記の通り、支持機構アセンブリ42は取り付け板56を備える。取り付け板56は例えば鋼板から成形される。取り付け板56はベース14の表面に例えば不動に固定される。固定にあたって例えば溶接が用いられる。取り付け板56の表面には荷重点受け板57が重ね合わせられる。荷重点受け板57は例えばステンレス鋼板から成形される。荷重点受け板57は取り付け板56に不動に固定される。
【0028】
取り付け板56には連結部品58が結合される。連結部品58は例えば1枚の金属板から成形される。金属板には例えばステンレス鋼板材が用いられる。図4に示されるように、連結部品58は、中央の幅の狭い部分と、その両側にある幅の広い部分とを有する一体の部品である。中央の幅の狭い部分を受け部材58bと呼ぶ。幅の広い部分の各々は、結合体58aと可撓板58cから構成される。可撓板58cは、幅の広い部分のうちの受け部材58bの近くにあって、ほぼC字形の溝59が形成された部分である。結合体58aは、溝59よりも受け部材58bから遠い部分である。
【0029】
連結部品58の結合体58aは、その下の取り付け板56に固定される。固定にあたってねじ61が用いられる。ねじ61は重力方向に取り付け板56の雌ねじ溝付き貫通孔62にねじ込まれる。取り付け板56には結合体58aが重ね合わせられる。ねじ61のねじ軸は結合体58aを貫通する。したがって、ねじ61のねじ頭と取り付け板56との間に結合体58aは挟み込まれる。
【0030】
連結部品58の受け部材58bは、その上の支持板51に連結される。連結にあたってねじ63が用いられる。ねじ63は下から支持板51にねじ込まれる。ねじ63は受け部材58bを貫通する。ねじ63のねじ頭と支持板51との間に受け部材58bは挟み込まれる。こうして受け部材58bは起歪体38の支点46に結合される。受け部材58bには1対の開口64が形成される。受け部材58bに支持板51が重ね合わせられると、ねじ54のねじ頭は開口64に受け入れられる。開口64の働きで受け部材58bとねじ54との接触は回避される。
【0031】
結合体58aと受け部材58bとは可撓板58cで相互に連結される。連結部品58の可撓板58cは結合体58aに対して受け部材58bの姿勢変化を許容する。可撓板58cの形成にあたって結合体58aの縁で板材は鉛直方向に立ち上がる。板材は折り曲げられる。曲げに応じて稜線65が区画される。その結果、可撓板58cに比べて結合体58aの剛性は高められる。同様に、受け部材58bの剛性の向上にあたって受け部材58bの縁では板材は鉛直方向に立ち上がる。稜線65が区画される。
【0032】
図5に示されるように、連結部品58の受け部材58bにはベース14の表面に向かって盛り上がるドーム体66が区画される。ドーム体66の表面には部分球面が形成される。ドーム体66は荷重点受け板57に支持される。こうして受け部材58bはドーム体66でベース14の表面に点接触する。受け部材58bはベース14に対して姿勢変化自在にベース14に取り付けられる。前述のように、プラットフォーム13上に利用者が載ると、プラットフォーム13およびベース14は撓む。ロードセル37の位置は台足15の位置からずれることから、重力方向に直交する水平面内にベース14は維持されることはできない。そういった水平面に対してベース14の姿勢は変化する。このとき、ドーム体66の働きでベース14に対して受け部材58bは姿勢を変化させることができることから、起歪体38の第2剛体板38bは重力方向に直交する姿勢を維持することができる。
【0033】
起歪体38の裏面には歪みゲージ67が固定される。歪みゲージ67は歪み梁38cに張り付けられる。図6に示されるように、歪みゲージ67は、二等分線47を含む垂直面で面対称に配置される。同時に、歪みゲージ67は垂直面49で面対称に配置される。歪みゲージ67には複数本の配線68が接続される。配線68は例えば1本にまとめられる。すなわち、複数本の配線68は例えば1本の絶縁性シース内に収容される。個々の配線68ごとに絶縁性のシースで覆われる。このロードセルアセンブリ18では配線68は任意の部材同士の間に挟まれることなく引き出されることができる。
【0034】
図7に示されるように、荷重伝達部材19は円柱体で形成される。円柱体は重力方向に一致する軸心を有する。枠体27は環状体で形成される。環状体はフレーム25の支持板26に重ね合わせられる。環状体の内側には90度の中心角位置ごとにボス81が形成される。ボス81にはねじ28用の貫通孔82が形成される。
【0035】
弾性変形体33は4本の腕部材83を備える。個々の腕部材83は、重力方向に直交する水平面に沿って延びる板材から形成される。板材の板厚は、撓みやすいように十分に小さく設定される。個々の腕部材83は、ボス81から円柱体(荷重伝達部材19)の軸心回りで反時計回りに円周方向に延びる第1湾曲部84を備える。第1湾曲部84は、荷重伝達部材19の軸線を中心とした90度よりやや小さい角度範囲にわたって延びる。個々の腕部材83には、ボス81に向き合う位置で円柱体(荷重伝達部材19)に結合され、その位置から円柱体の軸心回りで反時計回りに円周方向に延びる第2湾曲部85が形成される。第2湾曲部85は、荷重伝達部材19の軸線を中心とした90度よりやや小さい角度範囲にわたって延びる。第1湾曲部84の先端と第2湾曲部85の先端とは屈曲部86で相互に連結される。こうした腕部材83の形状に基づき弾性変形体33の弾性変形は実現される。
【0036】
いま、プラットフォーム13上で利用者が直立すると、プラットフォーム13に利用者の体重が作用する。図3から明らかなように、体重は個々の荷重伝達部材19に作用する。荷重伝達部材19は起歪体38の力点45に荷重を伝達する。このとき、荷重伝達部材19から荷重は力点45に損失なく伝達される。荷重は余すことなく歪み梁38cの変形に利用される。その結果、ロードセル37では正確に重量に応じた電気信号が出力される。利用者の体重は正確に測定される。
【0037】
プラットフォーム13上に利用者が載ると、プラットフォーム13およびベース14は撓む。プラットフォーム13の撓みに応じて荷重伝達部材19の姿勢は変化する。荷重伝達部材19は不必要に拘束されないことから、荷重のエネルギーは損失なく力点45に伝達される。弾性変形体33は荷重伝達部材19の周囲にあって、荷重伝達部材19とプラットフォーム13との間には弾性部材が挟み込まれないことから、プラットフォーム13とベース14との間隔は狭められることができる。体重計11の本体12は十分に薄型化されることができる。しかも、前述のように、ドーム体66の働きでベース14に対して連結部品58の受け部材58bは姿勢を変化させることができることから、起歪体38の第2剛体板38bは重力方向に直交する姿勢を維持することができる。ベース14の撓みに拘わらず第2剛体板38bの姿勢は維持されることから、荷重伝達部材19から伝わる荷重に応じて正確に起歪体38の歪み梁38cの変形は引き起こされる。
【0038】
なお、重量測定装置には前述の体重計11のほかに例えば体組成計が含まれる。図8に示されるように、体組成計91は例えば電流電極92a、92bおよび電圧電極93a、93bを備える。電流電極92a、92bおよび電圧電極93a、93bがプラットフォーム13上に配置される。
【0039】
体組成計91の利用者がプラットフォーム13上で直立すると、左足の足裏は左の電流電極92aおよび左の電圧電極93aに受け止められる。同時に、右足の足裏は右の電流電極92bおよび右の電圧電極93bに受け止められる。電流電極92a、92bから利用者すなわち生体に特定周波数の電流が供給される。電圧電極93a、93bを通じて利用者の電圧は測定される。その結果、利用者のインピーダンスは測定される。重量およびインピーダンスに基づき生体指標が算出される。算出される生体指標としては、生体の体組成に関する指標が含まれる。体組成に関する指標としては、皮下脂肪厚、腹筋厚、皮下脂肪面積、内臓脂肪面積、腹部全脂肪面積、体幹部脂肪率および全身脂肪率が挙げられる。その他、前述の体重計11と均等な構成には同一の参照符号が付される。
【0040】
図示しないが、図8に示される体組成計91のほかにも、両手で握られるハンドルを有し、ハンドルに左手用の電流電極と電圧電極と、右手用の電流電極と電圧電極を有する体組成計も重量測定装置に含まれる。また、プラットフォームに取り付けられた支柱に、ディスプレイパネルが支持されている体組成計も重量測定装置に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
11 体重計(重量測定装置)、12 本体、13 プラットフォーム、14 ベース、19 荷重伝達部材、25 ブラケット(フレーム)、27 ブラケット(枠体)、33 弾性変形体、37 ロードセル、38 起歪体、45 力点、46 支点、58a 結合体、58b 受け部材、58c 可撓板、66 ドーム体、91 体組成計(重量測定装置)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースおよびプラットフォームで収容空間を挟み込む本体と、
前記収容空間に収容されて前記ベースの表面に支持されるロードセルと、
前記プラットフォームおよび前記ロードセルの間に挟み込まれた荷重伝達部材と、
前記ベースに固定されるブラケットと、
前記荷重伝達部材の周囲に配置されて、前記ブラケットに対して姿勢変化自在に前記ブラケットに前記荷重伝達部材を連結する弾性変形体と
を備えることを特徴とする重量測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の重量測定装置において、
前記ロードセルに組み込まれて、前記荷重伝達部材に点接触する力点、および、支点の間に、前記プラットフォームから伝わる力の作用に応じて歪む歪み域を有する起歪体と、
前記支点に結合され、前記ベースの表面に向かって盛り上がるドーム体で前記ベースの表面に点接触する受け部材と、
前記受け部材に可撓板で連結され、前記ベースに対して姿勢変化自在に前記ベースに前記受け部材を取り付ける結合体と
をさらに備えることを特徴とする重量測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−179921(P2011−179921A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43408(P2010−43408)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)