野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックス
【課題】 投球をレッグガードに受けたときの着用者の痛みを和らげることができながらも、レッグガードの位置ズレを効果的に抑制することのできる野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスを提供する。
【解決手段】 足脛及び足膝保護用レッグガード5の接触部2を備える野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックス1において、接触部2に厚手の衝撃吸収部3と薄手の通気形成部4とを形成することにより、接触部2のソックス外面1aにおいて衝撃吸収部3と通気形成部4との境界部位で段差Dが形成される構成にしてある。
【解決手段】 足脛及び足膝保護用レッグガード5の接触部2を備える野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックス1において、接触部2に厚手の衝撃吸収部3と薄手の通気形成部4とを形成することにより、接触部2のソックス外面1aにおいて衝撃吸収部3と通気形成部4との境界部位で段差Dが形成される構成にしてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスに関し、より詳しくは、足脛及び足膝保護用レッグガードの接触部を備える野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、野球又はソフトボールの捕手又は審判(投手の投球を判定する主審)は、主として投手に正対する状況下におかれることから投球を身体に受ける危険性が高く、その危険性の高さ故に、胸を保護するプロテクターや足脛及び足膝を保護するレッグガードなどの防具を着用している。
【0003】
すなわち、野球又はソフトボールの捕手又は審判は、上述の防具を装着した状態で、捕手にあっては立ち姿勢と又開き状態でしゃがみ込む捕球姿勢との往復動作など、また、審判にあっては立ち姿勢と中腰の判定姿勢との往復動作などの動作を頻繁に行うことになるが、これまで、このような捕手又は審判の特殊な使用状況を考慮したロングソックスは皆無であった。
そのため、従来は、捕手又は審判も平編みで均一に構成された一般的な野球用のロングソックスを着用していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、捕手又は審判が上記の如き一般のロングソックスを着用した場合、捕手又は審判の上記の動作に伴う膝関節の動きなどにより足脛及び足膝に装着されたレッグガードが位置ズレを起こし易いという問題があった。
【0005】
また、足脛及び足膝を保護するレッグガードを装着するとはいえ、一定の基準のもとで製作されたレッグガードでは、捕手又は審判が投球を身体に受けた場合に生じる痛みなどを投手によっては十分に和らげることができない問題もあった。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、投球をレッグガードに受けたときの着用者の痛みを和らげることができながらも、レッグガードの位置ズレを効果的に抑制することのできる野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスに係り、その特徴は、
足脛及び足膝保護用レッグガードの接触部を備える野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスであって、
前記接触部に厚手の衝撃吸収部と薄手の通気形成部とを形成することにより、接触部のソックス外面において衝撃吸収部と通気形成部との境界部位で段差が形成される構成にしてある点にある。
【0008】
つまり、上記第1特徴構成であれば、レッグガードの接触部における通気性を薄手の通気形成部により確保しながらも、投球をレッグガードに受けたときにレッグガードを介して身体に伝わる衝撃を厚手の衝吸収部により吸収することができて、投球をレッグガードに受けたときの着用者の痛みを和らげることができるとともに、これら通気形成部と衝撃吸収部との厚み差により形成されるソックス外面の段差によりソックス外面に対するレッグガードの位置ズレを効果的に抑止することができて、着用者の装着部位に対するレッグガードの位置ズレを効果的に抑止するこができる。
【0009】
さらに、この通気形成部と衝撃吸収部との段差により通気形成部とレッグガード内面との間に隙間を形成することができるから、この隙間を通じてレッグガード内面と接触部との間で通風を図ることができて、レッグガードの接触部における通気性を高く確保することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記厚手の衝撃吸収部は、ソックス内面側を拡厚して構成されている点にある。
【0011】
つまり、上記第2特徴構成によれば、着用者が着用したとき、ソックス内面側が拡厚された衝撃吸収部は、その内面が衝撃吸収部以外の他部分の内面と同じ位置に移動するまでソックス外面側に押圧されることになる。
【0012】
すなわち、衝撃吸収部がソックス外面側に拡厚して構成されている場合に比して、外観上の体裁を良くすることができながらも、上述の如く衝撃吸収部がソックス外面側に押圧される分だけ衝撃吸収部と着用者の装着部位とを圧着させて衝撃吸収部と着用者の装着部位との間の摩擦力を高めることができ、これにより、着用者の装着部位に対する接触部の位置ズレを抑止することができて、接触部に装着されるレッグガードの着用者の装着部位に対する位置ズレを一層効果的に抑止することができる。
【0013】
さらに、膝関節を伸ばした状態から膝関節を曲げたとき、膝関節中央よりも前面側に該当するレッグガードの接触部は、引張力を受けながら膝関節の曲がりに応じて曲げ変形することになるが、上記第2特徴構成であれば、膝関節の曲伸に対し、ソックス内面側に拡厚された衝撃緩衝部により接触部の着用者の装着部位における凹凸部との係合し易さを向上させることができ、これにより、膝関節の伸曲に原因する引張力による着用者の装着部位に対する接触部の位置ズレの確率及び量を低減することができて、接触部に装着されるレッグガードにおける着用者の装着部位に対する位置ズレを一層効果的に抑止することができる。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記厚手の衝撃吸収部はパイル編みで構成されているとともに、前記薄手の通気形成部は平編みで構成されている点にある。
【0015】
つまり、上記第3特徴構成であれば、膝関節に曲伸に対し、平編みの通気形成部により接触部の曲げ変形性能を確保しながらも、パイル部の嵩張りから平編みに比して曲げ変形し難いパイル編みの衝撃緩衝部により、接触部と着用者の装着部位における凹凸部との係合状態が衝撃部緩衝部の曲げ変形に原因して外れることを抑止することができ、これにより、膝関節の伸曲に原因する引張力による着用者の装着部位に対する接触部の位置ズレの確率及び量を一層低減することができて、接触部に装着されるレッグガードにおける着用者の装着部位に対する位置ズレを一層効果的に抑止することができる。
【0016】
また、編み方を変更するだけで厚手の衝撃吸収部と薄手の通気形成部とが形成された接触部を形成することができるから、接触部を接触部以外の他部分と一体的に形成することができ、これにより、接触部が脱落したり、或いは、接触部の位置がズレたりするなどの不具合を確実に防止することができて、上述の如き接触部による効果を確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図12は、野球又はソフトボールの捕手又は審判用のロングソックス1を示し、このロングソックス1は、野球又はソフトボールの球技時において、捕手又は審判用のレッグガード5をソックス前面側の足脛相当部1Aから足膝相当部1Bに亘るレッグガード接触部2に対し、捕手にあってはズボン6(図5を参照)を介して接触する状態で、審判にあってはズボン6の内側でズボン6を介さずに直接接触する状態で装着して使用される。
【0018】
前記ロングソックス1は、着用者のつま先から膝下までの装着長さを備える一般の野球用ロングソックスよりも長い装着長さで、詳しくは、着用者のつま先から大腿中間部までの装着長さで形成してあり、特に、審判がズボン6を介さずにレッグガードを装着したときに、ロングソックス1の上端よりも上方で後述するレッグガード5の固定ベルト5Aが身体と直接接触することを抑止し、これにより、固定ベルト5Aと身体との接触に原因する着用者の違和感や痛みなどを抑止するようにしてある。
【0019】
前記レッグガード接触部2は、比較的小面積の厚手の衝撃吸収部3を縦方向に複数個(本例では8個)形成するとともに、その衝撃吸収部3どうしの間に横方向細帯状の薄手の通気形成部4を複数本(本例では7本)形成して構成してあり、薄手の通気形成部4を通じた通気によりレッグガードの接触部2の通気性を良好に確保しながらも、投球をレッグガード5に受けたときに身体に伝わる衝撃を厚手の衝撃吸収部3に吸収させることで、投球をレッグガード5に受けたときの着用者の痛みを和らげるようにしてある。
【0020】
前記薄手の通気形成部4は、平編みで構成してあり、また、前記衝撃吸収部3は、平編みからソックス内面1b側にパイル部3bを突出形成したパイル編みで構成して、図4に示すようにソックス内面1b側に拡厚される構成にしてあり、これにより、衝撃吸収部3が外観に露呈することを防止するとともに、膝関節の曲伸に対するレッグガード接触部2の着用者の装着部位における凹凸部との引掛り易さなどの係合し易さ、及び、その係合の外れ難さを高めて、膝関節の伸曲に原因する引張力により着用者の装着部位に対するレッグガード接触部2の位置ズレの確率及び量を低減するようにしてある。
【0021】
前記衝撃吸収部3は、図4、図5に示す如く、着用者が着用したときにソックス内面1bよりも内方に位置する衝撃吸収部内面(すなわち、パイル部3b)がソックス外面1a側に押圧されることで、ソックス外面1aにおいて複数の衝撃吸収部3と複数の通気形成部4との境界部位に複数の段差Dが形成される構成にしてある。
【0022】
つまり、パイル部3bがソックス外面1a側に押圧される分だけ衝撃吸収部3と着用者とを圧着させて衝撃吸収部3と着用者との間の摩擦力を高めることで、衝撃吸収部3の着用者の装着部位に対する位置ズレを抑止して、衝撃吸収部3を着用者に対する好適な位置に保持するようにしてある。
【0023】
前記レッグガード5は、例えば、硬質プラスチック製のレッグガード外側面部5bと弾性を備えるウレタンやスポンジ製のレッグガード内側面部5aとから構成してあり(図5を参照)、レッグガード内側面部5aとロングソックス1の接触部2とが、捕手にあってはズボン6を介して接触する状態で、また、審判にあってはズボン6を介さずに直接接触する状態で固定ベルト5Aをロングソックス1に巻装することによりロングソックス1に固定される。
【0024】
図5に示す如く、このレッグガード5とロングソックス1との固定状態においては、レッグガード内側面部5aと衝撃吸収部外面3aとが上述の如くズボン6を介して、又はズボン6を介さずに接触することで、レッグガード内側面部5aと通気形成部4との間に隙間Sが形成される。
【0025】
そして、この隙間Sを通じた通風により接触部2での通気性を良好に確保するとともに、弾性のレッグガード内側面5aの隙間S対向部分を固定ベルトの締め付け圧力により隙間S内に入り込ませることで、ソックス外面1aに対するレッグガード5の位置ズレを抑止して、着用者の装着部位に対するレッグガード5の位置ズレを効果的に抑止する。
【0026】
なお、つま先相当部1C、足底相当箇所及びくるぶし相当箇所から土踏まず相当箇所を除く足底相当部1D、膝裏相当箇所を除くふくらはぎ相当部1Eは、前記衝撃吸収部3と同様のパイル編みにより一体的に厚手に構成してあり、着用者の体重を受け止めるつま先相当部1C及び足裏相当部1Dでの破れなどの破損を抑止するとともに、レッグガード5を装着するときに巻装される固定ベルト5Aによる締め付け圧力をふくらはぎ相当部1Eで吸収し、これにより、固定ベルト5Aの締め付け圧力に原因する着用者の違和感を低減するようにしてある。
【0027】
また、つま先相当部1C、足裏相当部1D、ふくらはぎ相当部1E、及び、前記レッグガード接触部2以外の部分は平編みで構成してあり、ロングソックス1の通気性を極力確保するようにしてある。
【0028】
そしてまた、レッグガード接触部2を備えるロングソックス1を編み方の変更により一体的に構成することで、レッグガード接触部2が脱落したり、或いは、レッグガード接触部2の位置がズレたりするなどの不具合を確実に防止するようにしてある。
【0029】
さらに、ロングソックス1の着用者の足に対する締め付け圧力は、足底から上方に向かって強から弱に、詳しくは、足底から上方に向かって、約25hpa、約19hpa、約16hpa、約15hpaの順に変化する調整にしてあり、これにより、足とのフィット感、疲労回復及び疲労軽減、足の浮腫み抑制などに良好なロングソックスとなるようにしてある。
【0030】
[その他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、衝撃吸収部3を備えるロングソックス1を一体的に構成した場合を例に挙げて説明したが、衝撃吸収部3を独立して構成してロングソックス1に配設する構成にしてもよい。
【0031】
(2)前述の実施形態では、衝撃吸収部3をパイル部3bがソックス内面1b側に突出形成されるパイル編みで構成した場合を例に挙げて説明したが、パイル部3bがソックス外面1a側に突出形成されるパイル編みで構成してもよく、また、パイル部3bがソックス外面1b側とソックス外面1a側の両方側に突出形成されるパイル編みで構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの着用状態を示す図
【図2】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの着用状態を示す図
【図3】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの着用状態を示す図
【図4】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスにおける衝撃吸収部を模式的に示す側面断面部分説明図
【図5】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの着用状態においてレッグガードを装着した球技時の衝撃吸収部の状態を模式的に示す側面断面部分説明図
【図6】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの正面図
【図7】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの背面図
【図8】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの右側面図
【図9】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの左側面図
【図10】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの平面図
【図11】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの底面図
【図12】図8のA−A線断面図
【符号の説明】
【0033】
1 ロングソックス
1a ソックス外面
1b ソックス内面
2 レッグガード接触部
3 衝撃吸収部
4 通気形成部
5 レッグガード
D 段差
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスに関し、より詳しくは、足脛及び足膝保護用レッグガードの接触部を備える野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、野球又はソフトボールの捕手又は審判(投手の投球を判定する主審)は、主として投手に正対する状況下におかれることから投球を身体に受ける危険性が高く、その危険性の高さ故に、胸を保護するプロテクターや足脛及び足膝を保護するレッグガードなどの防具を着用している。
【0003】
すなわち、野球又はソフトボールの捕手又は審判は、上述の防具を装着した状態で、捕手にあっては立ち姿勢と又開き状態でしゃがみ込む捕球姿勢との往復動作など、また、審判にあっては立ち姿勢と中腰の判定姿勢との往復動作などの動作を頻繁に行うことになるが、これまで、このような捕手又は審判の特殊な使用状況を考慮したロングソックスは皆無であった。
そのため、従来は、捕手又は審判も平編みで均一に構成された一般的な野球用のロングソックスを着用していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、捕手又は審判が上記の如き一般のロングソックスを着用した場合、捕手又は審判の上記の動作に伴う膝関節の動きなどにより足脛及び足膝に装着されたレッグガードが位置ズレを起こし易いという問題があった。
【0005】
また、足脛及び足膝を保護するレッグガードを装着するとはいえ、一定の基準のもとで製作されたレッグガードでは、捕手又は審判が投球を身体に受けた場合に生じる痛みなどを投手によっては十分に和らげることができない問題もあった。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、投球をレッグガードに受けたときの着用者の痛みを和らげることができながらも、レッグガードの位置ズレを効果的に抑制することのできる野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスに係り、その特徴は、
足脛及び足膝保護用レッグガードの接触部を備える野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスであって、
前記接触部に厚手の衝撃吸収部と薄手の通気形成部とを形成することにより、接触部のソックス外面において衝撃吸収部と通気形成部との境界部位で段差が形成される構成にしてある点にある。
【0008】
つまり、上記第1特徴構成であれば、レッグガードの接触部における通気性を薄手の通気形成部により確保しながらも、投球をレッグガードに受けたときにレッグガードを介して身体に伝わる衝撃を厚手の衝吸収部により吸収することができて、投球をレッグガードに受けたときの着用者の痛みを和らげることができるとともに、これら通気形成部と衝撃吸収部との厚み差により形成されるソックス外面の段差によりソックス外面に対するレッグガードの位置ズレを効果的に抑止することができて、着用者の装着部位に対するレッグガードの位置ズレを効果的に抑止するこができる。
【0009】
さらに、この通気形成部と衝撃吸収部との段差により通気形成部とレッグガード内面との間に隙間を形成することができるから、この隙間を通じてレッグガード内面と接触部との間で通風を図ることができて、レッグガードの接触部における通気性を高く確保することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記厚手の衝撃吸収部は、ソックス内面側を拡厚して構成されている点にある。
【0011】
つまり、上記第2特徴構成によれば、着用者が着用したとき、ソックス内面側が拡厚された衝撃吸収部は、その内面が衝撃吸収部以外の他部分の内面と同じ位置に移動するまでソックス外面側に押圧されることになる。
【0012】
すなわち、衝撃吸収部がソックス外面側に拡厚して構成されている場合に比して、外観上の体裁を良くすることができながらも、上述の如く衝撃吸収部がソックス外面側に押圧される分だけ衝撃吸収部と着用者の装着部位とを圧着させて衝撃吸収部と着用者の装着部位との間の摩擦力を高めることができ、これにより、着用者の装着部位に対する接触部の位置ズレを抑止することができて、接触部に装着されるレッグガードの着用者の装着部位に対する位置ズレを一層効果的に抑止することができる。
【0013】
さらに、膝関節を伸ばした状態から膝関節を曲げたとき、膝関節中央よりも前面側に該当するレッグガードの接触部は、引張力を受けながら膝関節の曲がりに応じて曲げ変形することになるが、上記第2特徴構成であれば、膝関節の曲伸に対し、ソックス内面側に拡厚された衝撃緩衝部により接触部の着用者の装着部位における凹凸部との係合し易さを向上させることができ、これにより、膝関節の伸曲に原因する引張力による着用者の装着部位に対する接触部の位置ズレの確率及び量を低減することができて、接触部に装着されるレッグガードにおける着用者の装着部位に対する位置ズレを一層効果的に抑止することができる。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記厚手の衝撃吸収部はパイル編みで構成されているとともに、前記薄手の通気形成部は平編みで構成されている点にある。
【0015】
つまり、上記第3特徴構成であれば、膝関節に曲伸に対し、平編みの通気形成部により接触部の曲げ変形性能を確保しながらも、パイル部の嵩張りから平編みに比して曲げ変形し難いパイル編みの衝撃緩衝部により、接触部と着用者の装着部位における凹凸部との係合状態が衝撃部緩衝部の曲げ変形に原因して外れることを抑止することができ、これにより、膝関節の伸曲に原因する引張力による着用者の装着部位に対する接触部の位置ズレの確率及び量を一層低減することができて、接触部に装着されるレッグガードにおける着用者の装着部位に対する位置ズレを一層効果的に抑止することができる。
【0016】
また、編み方を変更するだけで厚手の衝撃吸収部と薄手の通気形成部とが形成された接触部を形成することができるから、接触部を接触部以外の他部分と一体的に形成することができ、これにより、接触部が脱落したり、或いは、接触部の位置がズレたりするなどの不具合を確実に防止することができて、上述の如き接触部による効果を確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図12は、野球又はソフトボールの捕手又は審判用のロングソックス1を示し、このロングソックス1は、野球又はソフトボールの球技時において、捕手又は審判用のレッグガード5をソックス前面側の足脛相当部1Aから足膝相当部1Bに亘るレッグガード接触部2に対し、捕手にあってはズボン6(図5を参照)を介して接触する状態で、審判にあってはズボン6の内側でズボン6を介さずに直接接触する状態で装着して使用される。
【0018】
前記ロングソックス1は、着用者のつま先から膝下までの装着長さを備える一般の野球用ロングソックスよりも長い装着長さで、詳しくは、着用者のつま先から大腿中間部までの装着長さで形成してあり、特に、審判がズボン6を介さずにレッグガードを装着したときに、ロングソックス1の上端よりも上方で後述するレッグガード5の固定ベルト5Aが身体と直接接触することを抑止し、これにより、固定ベルト5Aと身体との接触に原因する着用者の違和感や痛みなどを抑止するようにしてある。
【0019】
前記レッグガード接触部2は、比較的小面積の厚手の衝撃吸収部3を縦方向に複数個(本例では8個)形成するとともに、その衝撃吸収部3どうしの間に横方向細帯状の薄手の通気形成部4を複数本(本例では7本)形成して構成してあり、薄手の通気形成部4を通じた通気によりレッグガードの接触部2の通気性を良好に確保しながらも、投球をレッグガード5に受けたときに身体に伝わる衝撃を厚手の衝撃吸収部3に吸収させることで、投球をレッグガード5に受けたときの着用者の痛みを和らげるようにしてある。
【0020】
前記薄手の通気形成部4は、平編みで構成してあり、また、前記衝撃吸収部3は、平編みからソックス内面1b側にパイル部3bを突出形成したパイル編みで構成して、図4に示すようにソックス内面1b側に拡厚される構成にしてあり、これにより、衝撃吸収部3が外観に露呈することを防止するとともに、膝関節の曲伸に対するレッグガード接触部2の着用者の装着部位における凹凸部との引掛り易さなどの係合し易さ、及び、その係合の外れ難さを高めて、膝関節の伸曲に原因する引張力により着用者の装着部位に対するレッグガード接触部2の位置ズレの確率及び量を低減するようにしてある。
【0021】
前記衝撃吸収部3は、図4、図5に示す如く、着用者が着用したときにソックス内面1bよりも内方に位置する衝撃吸収部内面(すなわち、パイル部3b)がソックス外面1a側に押圧されることで、ソックス外面1aにおいて複数の衝撃吸収部3と複数の通気形成部4との境界部位に複数の段差Dが形成される構成にしてある。
【0022】
つまり、パイル部3bがソックス外面1a側に押圧される分だけ衝撃吸収部3と着用者とを圧着させて衝撃吸収部3と着用者との間の摩擦力を高めることで、衝撃吸収部3の着用者の装着部位に対する位置ズレを抑止して、衝撃吸収部3を着用者に対する好適な位置に保持するようにしてある。
【0023】
前記レッグガード5は、例えば、硬質プラスチック製のレッグガード外側面部5bと弾性を備えるウレタンやスポンジ製のレッグガード内側面部5aとから構成してあり(図5を参照)、レッグガード内側面部5aとロングソックス1の接触部2とが、捕手にあってはズボン6を介して接触する状態で、また、審判にあってはズボン6を介さずに直接接触する状態で固定ベルト5Aをロングソックス1に巻装することによりロングソックス1に固定される。
【0024】
図5に示す如く、このレッグガード5とロングソックス1との固定状態においては、レッグガード内側面部5aと衝撃吸収部外面3aとが上述の如くズボン6を介して、又はズボン6を介さずに接触することで、レッグガード内側面部5aと通気形成部4との間に隙間Sが形成される。
【0025】
そして、この隙間Sを通じた通風により接触部2での通気性を良好に確保するとともに、弾性のレッグガード内側面5aの隙間S対向部分を固定ベルトの締め付け圧力により隙間S内に入り込ませることで、ソックス外面1aに対するレッグガード5の位置ズレを抑止して、着用者の装着部位に対するレッグガード5の位置ズレを効果的に抑止する。
【0026】
なお、つま先相当部1C、足底相当箇所及びくるぶし相当箇所から土踏まず相当箇所を除く足底相当部1D、膝裏相当箇所を除くふくらはぎ相当部1Eは、前記衝撃吸収部3と同様のパイル編みにより一体的に厚手に構成してあり、着用者の体重を受け止めるつま先相当部1C及び足裏相当部1Dでの破れなどの破損を抑止するとともに、レッグガード5を装着するときに巻装される固定ベルト5Aによる締め付け圧力をふくらはぎ相当部1Eで吸収し、これにより、固定ベルト5Aの締め付け圧力に原因する着用者の違和感を低減するようにしてある。
【0027】
また、つま先相当部1C、足裏相当部1D、ふくらはぎ相当部1E、及び、前記レッグガード接触部2以外の部分は平編みで構成してあり、ロングソックス1の通気性を極力確保するようにしてある。
【0028】
そしてまた、レッグガード接触部2を備えるロングソックス1を編み方の変更により一体的に構成することで、レッグガード接触部2が脱落したり、或いは、レッグガード接触部2の位置がズレたりするなどの不具合を確実に防止するようにしてある。
【0029】
さらに、ロングソックス1の着用者の足に対する締め付け圧力は、足底から上方に向かって強から弱に、詳しくは、足底から上方に向かって、約25hpa、約19hpa、約16hpa、約15hpaの順に変化する調整にしてあり、これにより、足とのフィット感、疲労回復及び疲労軽減、足の浮腫み抑制などに良好なロングソックスとなるようにしてある。
【0030】
[その他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、衝撃吸収部3を備えるロングソックス1を一体的に構成した場合を例に挙げて説明したが、衝撃吸収部3を独立して構成してロングソックス1に配設する構成にしてもよい。
【0031】
(2)前述の実施形態では、衝撃吸収部3をパイル部3bがソックス内面1b側に突出形成されるパイル編みで構成した場合を例に挙げて説明したが、パイル部3bがソックス外面1a側に突出形成されるパイル編みで構成してもよく、また、パイル部3bがソックス外面1b側とソックス外面1a側の両方側に突出形成されるパイル編みで構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの着用状態を示す図
【図2】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの着用状態を示す図
【図3】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの着用状態を示す図
【図4】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスにおける衝撃吸収部を模式的に示す側面断面部分説明図
【図5】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの着用状態においてレッグガードを装着した球技時の衝撃吸収部の状態を模式的に示す側面断面部分説明図
【図6】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの正面図
【図7】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの背面図
【図8】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの右側面図
【図9】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの左側面図
【図10】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの平面図
【図11】本発明の野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスの底面図
【図12】図8のA−A線断面図
【符号の説明】
【0033】
1 ロングソックス
1a ソックス外面
1b ソックス内面
2 レッグガード接触部
3 衝撃吸収部
4 通気形成部
5 レッグガード
D 段差
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足脛及び足膝保護用レッグガードの接触部を備える野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスであって、
前記接触部に厚手の衝撃吸収部と薄手の通気形成部とを形成することにより、接触部のソックス外面において衝撃吸収部と通気形成部との境界部位で段差が形成される構成にしてある野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックス。
【請求項2】
前記厚手の衝撃吸収部は、ソックス内面側を拡厚して構成されている請求項1記載の野球又はソフトボールにおける捕手又は審判用ロングソックス。
【請求項3】
前記厚手の衝撃吸収部はパイル編みで構成されているとともに、前記薄手の通気形成部は平編みで構成されている請求項2記載の野球又はソフトボールにおける捕手又は審判用ロングソックス。
【請求項1】
足脛及び足膝保護用レッグガードの接触部を備える野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックスであって、
前記接触部に厚手の衝撃吸収部と薄手の通気形成部とを形成することにより、接触部のソックス外面において衝撃吸収部と通気形成部との境界部位で段差が形成される構成にしてある野球又はソフトボールの捕手又は審判用ロングソックス。
【請求項2】
前記厚手の衝撃吸収部は、ソックス内面側を拡厚して構成されている請求項1記載の野球又はソフトボールにおける捕手又は審判用ロングソックス。
【請求項3】
前記厚手の衝撃吸収部はパイル編みで構成されているとともに、前記薄手の通気形成部は平編みで構成されている請求項2記載の野球又はソフトボールにおける捕手又は審判用ロングソックス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−159966(P2007−159966A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363177(P2005−363177)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000108258)ゼット株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000108258)ゼット株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
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