説明

量子化効果減少のための映像データ後処理方法

【課題】本発明はブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する時発生する量子化効果を減少させるための映像データ後処理方法、装置及びこれを記録した記録媒体に関する。
【解決手段】逆量子化された前記映像データの逆量子化係数の分布及び以前VOPのブロックと現在VOPのブロックの差を示す動きベクトルを利用して、復号化された映像の後処理必要性可否を示すセマフォを検出するセマフォの検出段階と、検出されたセマフォを検査して後処理が必要ということを示すと、前記セマフォに相応する復号化された映像データを所定の方法によりフィルタリングするフィルタリング段階とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像データ処理に係り、特に量子化効果を減少させるための映像データ後処理方法、装置及びこれを記録した記録媒体に関する。
また本発明はISO/IEC JTC1/SC29/WG11 N1902(ISO/IEC 14496−2 Committee Draft)に採択された。
【背景技術】
【0002】
一般的に国際標準化機構(ISO)のMPEG及びITU(International Telecommunication Union)のH.263を含む大部分の画像符号化標準はブロックに基づいた動き推定及びブロック離散余弦変換(DCT)処理を使用する。また大部分のビデオ符号化標準は情報を少ない数の変換係数でパックキングするために8×8画素ブロックDCTを使用する。このようなブロックに基づいたDCTスキームは映像の局部的な空間相関性質を利用する。
【0003】
しかし、このようなブロックに基づいて符号化された映像データを復元すると、ブロック境界近くのブロッキングアーチファクト、ブロックのクロスにおけるコーナー異常値及び映像エッジ附近のリンギングノイズのような相当な映像劣化を有する。なぜなら、MPEGは8×8画素ブロックの変換された係数を量子化する。特に、イメージが高圧縮されている時はさらにそうする。
【0004】
前記ブロックに基づいた符号化は、特に映像が高圧縮される時、よく知られたブロック境界近くのブロッキングアーチファクト、ブロックのクロスポイントにおけるコーナー異常値及び映像エッジ近くのリンギングノイズを誘発させる。
【0005】
前記ブロッキングアーチファクトは相対的に類似の等質領域のブロック境界に沿って発生するグリッドノイズである。前記グリッドノイズは圧縮されたデータが復元されて画面上にディスプレーされる時、ブロックに基づいて処理した痕跡がブロック間の縁部に現れて、人がブロック間の縁部を分かるようにする。そして前記コーナー異常値は8×8ブロックのコーナーポイントから発生する。また前記リンギングノイズは映像を高圧縮するために、前記離散余弦変換(DCT)の高周波成分の係数を量子化による打切りすることによって発生される典型的なギブズ(Gibb`s)現象であって、映像がややの間隔をおいていくつか重なって現れるように感じる問題を招く。
【0006】
ブロックに基づいた符号化によって発生される前記ブロッキングアーチファクト、コーナー異常値及びリンギングノイズを減少させるためのいくつの方法が提案されてきた。[Y.L.Lee, H.C.Kim, and H.W.Park, ”Blocking Effect Reduction of JPEG images by Signal Adaptive Filtering”, in press IEEE Trans. on Image Processing, 1997][B. Ramamurthi and A.Gersho, ”Nonlinear Space Variant Postprocessing of Block Coded Images”, IEEE Tans on ASSP, vol.34, no.5, pp1258−1267, 1986][Y.Ynag, N.Galatsanos and A.Katsaggelos, ”Projection−Based Spatially Adaptive Reconstruction of Block−Transform Compressed Images,”IEEE trans. on Image Processing, vol.4, no.7, pp 896−908, July 1995][Z.Xiong, M.T.Orchard, and Y.Q.Zhang, ”A Deblocking Algorithm for JPEG Compressed Images Using Overcomplete Wavelet Representations, ”IEEE Trans. Circuits Syst. Video Technol.,vol.7, no.2, pp 433−437, 1997] その中でJPEG−圧縮解除された映像の 量子化効果を減少させるために2次元信号適応フィルタリング(Signal−Adaptive Filtering: SAF)が提案された。[Y.L.Lee, H.C.Kim, and H.W.Park, ”Blocking Effect Reduction of JPEG images by Signal Adaptive Filtering”, in press IEEE Trans. on Image Processing, 1997] そしてブロッキングアーチファクトを減少させるために2次元フィルターを使用し、階段ノイズ減少のためには1次元フィルターを使用したRamamurthi及びGershoの方法[B. Ramamurthi and A.Gersho,”Nonlinear Space Variant Postprocessing of Block Coded Images”, IEEE Tans on ASSP,vol.34,no.5,pp1258−1267, 1986]は良い効果を示したりもした。また、コンベクスセット(convex set)への投影理論を用いる反復的映像復元アルゴリズムも提案された。[Y.Ynag,N.Galatsanos and A.Katsaggelos,”Project−ion−Based Spatially Adaptive Reconstruction of Block−Transform Compressed Images,”IEEE trans. on Image Processing,vol.4,no.7,pp 896−908,July 1995]
【0007】
しかし、このような方法は計算が複雑という短所がある。一方、計算の複雑性を低くめるためにオーバコンプレットウェーブレット(over−complete wavelet)表現を使用する後フィルタリングが提案された。[Z.Xiong, M.T.Orchard, and Y.Q.Zhang, ”A Deblocking Algorithm for JPEG Compressed Images Using Overcomplete Wavelet Representations,”IEEE Trans. Circuits Syst. Video Technol.,vol.7,no.2,pp 433−437,1997]
【0008】
しかし、この方法はJPEG−圧縮解除された映像にだけ適用された。そして低いビット率符号化のために、3次元サブバンド符号化に適用できる空間−時間適応後フィルタリングが提案されたが、この方法もやはり計算が複雑という短所がある。[T.s.Liu and N.Jayant, ”Adaptive Postprocessing Algorithms for Low Bit Rate Video Signals”, IEEE Trans. on Image Processing, vol.4, no 7, pp.1032−1035, July 1995]
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−63997号公報
【特許文献2】特開平7−131757号公報
【特許文献3】特開平8−205178号公報
【特許文献4】特開平9−182075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題はMPEG−圧縮解除された映像でブロッキングアーチファクト、コーナー異常値及びリンギングノイズのような量子化効果を減らすために、計算が複雑でないながら低いビット率符号化が可能な映像データ後処理方法、装置及びこれを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の技術的課題を解決するための本発明による量子化効果減少のための映像データ後処理方法は、ブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する時発生する量子化効果を減少させるための映像データ後処理方法において、逆量子化された前記映像データの逆量子化係数の分布及び以前VOP(Video Object Plane)と現在VOPの差を示す動きベクトルを利用して、復号化された映像の後処理必要性可否を示すセマフォを検出するセマフォの検出段階と、前記検出されたセマフォを検査して後処理が必要ということを示すと、前記セマフォに相応する復号化された映像データを所定の方法によりフィルタリングするフィルタリング段階とを含むことが望ましい。
【0012】
前記セマフォの検出段階のセマフォの検出は前記VOP符号化モードがイントラVOPモードであれば、イントラVOPに対して遂行され、前記VOP符号化モードがインターVOPモードであれば、インターVOPに対して遂行されることを特徴とする。
【0013】
前記セマフォはブロック境界近くのブロッキングアーチファクトを減少させる必要性可否を示すブロッキングセマフォと、映像エッジ近くのリンギングノイズを減少させる必要性可否を示すリンギングセマフォよりなることを特徴とする。
【0014】
前記イントラVOPのブロッキングセマフォ及びリンギングセマフォの検出は、前記圧縮されたビットストリームが逆量子化された後の離散余弦変換(DCT)係数の逆量子化係数の分布を調べて検出することが望ましい。
【0015】
前記イントラVOPのブロッキングセマフォは水平ブロッキングセマフォ(HBS)及び垂直ブロッキングセマフォ(VBS)よりなり、前記イントラVOPの水平及び垂直ブロッキングセマフォの検出は前記圧縮された映像データが逆量子化された後、前記逆量子化された8×8ブロックに対する離散余弦変換係数を求める段階と、前記8×8ブロックを構成する64個の画素中前記ブロックの一番上及び一番左側に位置した画素を画素Aとし、前記画素Aの直ちに右側の画素を画素B、前記画素Aの直ちに下の画素を画素Cとする時、前記画素Aの係数だけ“0”でない値を有すると、前記水平ブロッキングセマフォ及び垂直ブロッキングセマフォを後処理の必要を示す情報“1”でセットする段階と、前記逆量子化された8×8ブロックの一番上行だけが“0”でない値を有する画素を含んでいる時、垂直ブロッキングセマフォを後処理の必要を示す情報“1”でセットする段階と、前記逆量子化された8×8ブロックの一番左側の列だけが“0”でない値を有する画素を含んでいる時、水平ブロッキングセマフォを後処理の必要を示す情報“1”でセットする段階とを含むことが望ましい。
【0016】
前記イントラVOPのリンギングセマフォの検出は、前記8×8ブロックを構成する64個の画素中前記ブロックの一番上及び一番左側に位置した画素を画素Aとし、前記画素Aの直ちに右側の画素を画素B、前記画素Aの直ちに下の画素を画素Cとすると、前記逆量子化された8×8ブロックの画素A、B及びC以外の位置に何れか一つでも“0”でない係数値を有する時、リンギングセマフォを後処理の必要を示す情報“1”でセットすることを特徴とする。
【0017】
現在インターVOPのブロッキングセマフォは水平ブロッキングセマフォ及び垂直ブロッキングセマフォよりなり、前記現在インターVOPのブロックAcに対する水平及び垂直ブロッキングセマフォの検出は基準VOPが所定の基準ブロックよりなり、前記現在インターVOPのブロックAcの動きベクトル(MVx、MVy)により推定される基準VOPのブロックを動きブロックXとする時、前記動きブロックXが前記基準ブロックと重なった程度を調べる段階と、重なった画素数が所定個数以上の前記基準ブロックの水平及び垂直ブロッキングセマフォをビット単位論理積演算する段階と、前記演算結果を前記現在VOPのブロックAcの水平及び垂直ブロッキングセマフォでセットすることを特徴とする。
【0018】
前記現在インターVOPのブロックAcに対するリンギングセマフォ(RS)の検出は、インターVOPの8×8ブロックにおける残差信号の逆量子化係数が“0”でないと、現在ブロックAcのRSを“1”でセットする段階と、MPEG−4アルゴリズムが支援する一つのマクロブロックに対する4つの動きベクトルを伝達する8×8予測モードを有するブロックのRSを“1”でセットする段階と、前記RSが相変らず“0”であれば、基準VOPが所定の基準ブロックよりなり、前記現在インターVOPの現在ブロックAcの動きベクトル(MVx、MVy)により推定される基準VOPのブロックを動きブロックXとする時、前記動きブロックXが前記基準ブロックと重なった程度を調べて、重なった画素数が所定個数以上の前記基準ブロックのリンギングセマフォをビット単位論理和して、前記現在VOPのブロックAcのリンギングセマフォでセットする段階よりなることを特徴とする。
【0019】
前記フィルタリング段階のフィルタリングはブロックI及び前記ブロックIと隣接したブロックJの水平ブロッキングセマフォが“1”でセットされていると、前記ブロックIとブロックJを分ける水平ブロック境界線を介在した所定個数の画素値を変化させる第1フィルタリングと、前記ブロックI及びブロックJ中何れか一つでも水平ブロッキングセマフォが“0”であれば、水平ブロック境界線を介在して隣接した2つの画素の差とH.263の量子化された要素のQPを比較して2つの画素の差がQPより小さいと、前記第1フィルタリングより少ない個数の画素値を変化させる第2フィルタリングよりなる。
【0020】
前記ブロックIとブロックJを分ける水平ブロック境界線を介在した6個の画素をA、B、C、D、E及びFとし、前記画素C及びDを前記水平ブロック境界線に最も隣接した画素、前記画素A及びFが水平ブロック境界線から最も遠い画素、前記画素B及びDが前記A及びC、D及びFの中間に位置した画素とする時、前記第1フィルタリングは前記6個の画素に対して7−タブ(1、1、1、2、1、1、1)低域通過フィルタリングを遂行する。前記第2フィルタリングは前記画素B、C、D及びEに対してフィルタリングを遂行するが、前記画素C及びDの差をdとする時、フィルタリングされた画素C及びDは前記画素C及びDの平均値とし、フィルタリングされた画素B及びEは前記画素B及びE値とd/8が差がある値とすることを特徴とする。
【0021】
前記フィルタリング段階のフィルタリングは映像データの水平エッジ及び垂直エッジを検出するエッジ検出段階と、リンギングノイズを減少させようとする8×8ブロックに対して2次元信号適応フィルタリングをする信号適応フィルタリング段階よりなることを特徴とする。前記エッジ検出段階の水平エッジ検出は所定の大きさを有するブロック内のある画素を画素[m][n]、前記画素[m][n]の右側画素を画素[m][n+1]、左側画素を画素[m][n−1]、前記画素[m][n]と画素[m][n+1]の差をA1、前記画素[m][n]と画素[m][n+1]の差をA2、H.263の量子化要素をQPとする時、条件式((A1>QP) and (A2>QP)) or (A1>2QP) or (A2>2QP)を満足すると、エッジに検出され、エッジ[m][n]=1になる。前記エッジ検出段階の垂直エッジ検出は、前記画素[m][n]の上側画素を画素[m+1][n]、下側画素を画素[m−1][n]、前記画素[m][n]と画素[m+1][n]の差をA’1、前記画素[m][n]と画素[m−1][n]の差をA’2、H.263の量子化要素をQPとする時、条件式((A’1>QP) and (A’2>QP)) or (A’1>2QP) or (A’2>2QP)を満足すると、エッジに検出され、エッジ[m][n]=1になる。前記信号適応フィルタリング段階は4−コネクテッドフィルターウインドを前記8×8ブロックに対して適用し、前記フィルターウインドの中心画素がエッジであればフィルタリングを遂行しなく、前記フィルターウインドの中心画素がエッジでないと加重フィルタリングを遂行する。
【0022】
前記の技術的課題を解決するための本発明による映像データ後処理方法は、ブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する時、前記ブロック4つが会うクロスポイントのコーナーから発生するコーナー異常値を減少させるための映像データ後処理方法において、逆量子化された前記映像データの8×8ブロックのコーナー異常値を検出する検出段階と、前記検出されたコーナー異常値を補償する補償段階を含むことを特徴とする。前記検出段階は前記クロスポイントを中心とした4個の画素を画素A、B、C及びDとし、value[0]をA、value[1]をB、value[2]をC、value[3]をDとし、平均値Average=(A+B+C+D+2)/4とすると、mを0から始めて1ずつ3まで増加させながらvalue[m]とAverageの差をH.263の量子化要素QPと比較して前記差がQPより大きいと、コーナー異常値候補画素の個数を累積してコーナー異常値を検出することを特徴とする。前記補償段階は前記Aが属するブロックで前記Aと隣る画素をA1、A2とし、前記画素Aと対角線に位置する画素をA3とする時、前記検出段階で検出されたコーナー異常値候補が一つでその画素がAであれば、前記画素Aと画素A3の差が3QP/2より小さいと、コーナー異常値補償は次の式
画素Aに対する補償値A’=(4A+B+C+2D+4)/8
画素A1に対する補償値A1’は(A’+3A1+2)/4
画素A2に対する補償値A2’は(A’+3A2+2)/4にようになることを特徴とする。前記コーナー異常値の候補画素数が2つ以上であれば(A3+B3+C3+D3+2)/4(ここでB3、C3、D3もA3と同じ方式で定義される)より最も大きい差を有する候補が選択され、その補償は前記一つの補償の場合と同じ方法で遂行される。
【0023】
前記の技術的課題を解決するための本発明による映像データ後処理方法は、ブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する時発生する量子化効果を減少させるための映像データ後処理方法において、逆量子化された前記映像データの逆量子化係数の分布及び以前VOPのブロックと現在VOPのブロックの差を示す動きベクトルを利用して、復号化された映像の後処理必要性可否を示すセマフォを検出するセマフォの検出段階と、逆量子化された前記映像データの8×8ブロックのコーナー異常値を検出する検出段階と、前記検出されたセマフォを検査して後処理の必要を示すと、前記セマフォに相応する復号化された映像データを所定の方法によりフィルタリングするフィルタリング段階と、前記検出されたコーナー異常値で補償する補償段階とを含むことが望ましい。
【0024】
前記の他の技術的課題を解決するための本発明による映像データ後処理装置は、ブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する時発生する量子化効果を減少させるための映像データ後処理装置において、逆量子化された前記映像データの逆量子化係数の分布及び以前VOPのブロックと現在VOPのブロックの差を示す動きベクトルを利用して、復号化された映像の後処理必要性可否を示すセマフォを検出するセマフォの検出部と、前記セマフォの検出部から検出されたブロッキングセマフォを検査して、前記復号化された映像データをディブロッキングフィルタリングするディブロッキングフィルターと、前記ディブロッキングフィルタリングされたデータ中コーナー異常値を検出して補償するコーナー異常値補償部と、前記セマフォの検出部から検出されたリンギングセマフォを検査して前記コーナー異常値補償されたデータをディリンギングフィルタリングするディリンギングフィルターとを含むことを特徴とする。
【0025】
一方、本発明はコンピュータで実行できるプログラムで作成可能である。またコンピュータで用いられる媒体より前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピューターで具現できる。前記媒体はマグネチック貯蔵媒体(例:ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光学的判読媒体(例:CD−ROM、DVD等)及び搬送波(例:インターネットを通じて伝送)のような貯蔵媒体を含む。
【0026】
例えば、前記貯蔵媒体は、ブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する時発生する量子化効果を減少させるための映像データ後処理プログラムを記録した記録媒体において、逆量子化された前記映像データの逆量子化係数の分布及び以前VOPのブロックと現在VOPのブロック差を示す動きベクトルを利用して、復号化された映像の後処理必要性可否を示すセマフォを検出するセマフォの検出段階と、前記検出されたセマフォを検査して後処理が必要と示すと、前記セマフォに相応する復号化された映像データを所定の方法によりフィルタリングするフィルタリング段階とを含むことを特徴とする量子化効果減少のための映像データ後処理方法を実行させるための、コンピュータにより実行されるプログラムを含んでいる。
【発明の効果】
【0027】
高圧縮された映像データを復元する時、ブロッキングアーチファクト、コーナー異常値及びリンギングノイズのような量子化効果が発生される。本発明による後処理方法はセマフォと適応フィルターを使用することによって量子化効果を減少させる。各ブロックのブロッキング及びリンギングセマフォは後フィルタリングの計算量を減らすのに大きい助けになる。現ブロックに対するブロッキング及びリンギングセマフォを検出するためには、インターVOPの動きベクトルが使われる。
【0028】
ビデオコーディングで、高品質の映像及びハードウェア及びソフトウェアへの具現の容易性のためには計算の複雑性及びPSNRが考慮されるべきである。ハードウェア複雑性の側面で、本発明による方法は乗算と割算なく並列処理により遂行できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する復号化器と、前記復号化器で映像を復号化する時発生する量子化効果減少のための映像データ後処理装置の構成をブロック図で示すことである。
【図2】MPEG−4の復号化器に対するブロック図及び前記復号化器の逆量子化部で逆量子化された8×8DCT係数ブロックを示すことである。
【図3】インターVOPの8×8ブロック(Ac)と基準VOPにおける隣のブロックとの関係を示すことである。
【図4】インターVOPの水平ブロッキングセマフォ(HBS)、垂直ブロッキングセマフォ(VBS)及びリンギングセマフォ(RS)の検出を説明するための一例を示すことである。
【図5】ブロッキングアーチファクト減少を目的とするディブロッキングフィルターの動作説明のために、ブロック境界とブロック境界の画素位置を示すことである。
【図6】(a)は1次元観点のブロッキングアーチファクトの例を示すことであり、(b)は復号化された画素に対して7−タブフィルタリングを遂行した後の結果を示すことであり、(c)は復号化された画素に対して弱フィルタリングを遂行した後の結果を示すことである。
【図7】(a)は量子化によってコーナー異常値を生成する映像エッジの例を示すことであり、(b)は量子化によって発生されたコーナー異常値を示すことであり、(c)はコーナー異常値を補償するためのコーナーポイントの座標値を示すことである。
【図8】(a)は2次元信号適応フィルター(SAF)のカーネルを示すことであり、(b)はエッジ検出のための10×10ブロック及びSAFの例を示すことである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳細に説明する。図1はブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する復号化器20と、前記復号化器20で映像を復号化する時発生する量子化効果減少のための映像データ後処理装置10の構成をブロック図で示すことである。前記復号化器20は通常的な復号化器を使用する。
【0031】
本発明による、前記映像データ後処理装置はセマフォの検出部100、ディブロッキングフィルター110、コーナー異常値補償部120及びディリンギングフィルター130を含んでなされる。前記セマフォの検出部100は逆量子化された前記映像データの逆量子化係数の分布及び以前VOPと現在VOPの差を示す動きベクトルを利用してセマフォを検出する。
【0032】
前記セマフォは復号化された映像の後処理必要性可否を示す情報であり、ブロッキングセマフォとリンギングセマフォに分けられる。前記ブロッキングセマフォはブロック境界近くのブロッキングアーチファクトを減少させる必要性可否を示し、前記リンギングセマフォは映像エッジ近くのリンギングノイズを減少させる必要性可否を示す。そして前記ブロッキングセマフォは、水平ブロック境界線を基準として隣接したブロックの画素に対する後処理可否を示す水平ブロッキングセマフォ(Horizontal blocking Semaphore: HBS)及び垂直ブロック境界線を基準として隣接したブロックの画素に対する後処理可否を示す垂直ブロッキングセマフォ(Vertical blocking Semaphore : VBS)よりなる。
【0033】
また、前記セマフォの検出はイントラVOP及びインターVOPに対して検出する。前記イントラVOPに対するセマフォの検出は逆量子化された前記映像データの逆量子化係数の分布を利用する。前記インターVOPに対するセマフォの検出は以前VOPと現在VOPの差を示す動きベクトルを利用し、より詳細なことは後述する。
【0034】
前記ディブロッキングフィルター110は一次元水平及び垂直低域通過フィルター(LPF)を使用して、前記セマフォの検出部100から検出されたブロッキングセマフォを検査して、前記復号化された映像データをディブロッキングフィルタリングする。
【0035】
前記異常値補償部120は前記ディブロッキングフィルター110でディブロッキングフィルタリングされたデータ中コーナー異常値を検出して補償する。
【0036】
前記ディリンギングフィルター130は二次元信号適応フィルターを使用して、前記セマフォの検出部100から検出されたリンギングセマフォを検査して、前記コーナー異常値補償されたデータをディリンギングフィルタリングする。
【0037】
一方、望ましい実施例を挙げて発明の動作をより詳細に説明する。本発明による、映像データ後処理方法の基本概念は圧縮データから空間周波数及び時間情報を使用することによって適応的に量子化効果を減らすことである。
【0038】
そして主観的画質、PSNR(Peak Signal−to−Noise Ratio)及び計算の複雑性を考慮している。特にMPEG−4で計算の複雑性はソフトウェア及びハードウェアで前記基本概念を具現する時、非常に重要な決定要素である。8×8ブロックごとにブロッキングアーチファクトとリンギングノイズのセマフォを検出するために、周波数領域と動きベクトルでの逆量子化係数の分布が調査になる。ブロッキングセマフォ及びリンギングセマフォを使用することによって、1次元LPFと2次元SAFが8×8ブロックごとに適応的に適用される。
【0039】
まず、前記セマフォの検出部100におけるブロッキングアーチファクトとリンギングノイズに対するセマフォの検出に対する説明をする。
【0040】
1. ブロッキングアーチファクト及びリンギングノイズのためのセマフォ
MPEG−4で計算数及び量子化効果の効率的な減少を遂行するために、二種類のセマフォが定義される。最初はブロッキングセマフォで、二番目はリンギングセマフォである。前記ブロッキング及びリンギングセマフォはイントラVOPで8×8ブロックのDCT領域から検出される。またインターVOPのセマフォは残差信号及び基準VOPのセマフォより計算される。
【0041】
1.1. イントラ−VOPに対するセマフォの検出
逆量子化後のDCT係数の逆量子化係数(IQC)の分布を調べてセマフォを検出する。図2はMPEG−4の復号化器に対するブロック図及び前記復号化器の逆量子化部で逆量子化された8×8DCT係数ブロックを示すことである。図2の8×8逆量子化されたブロックで、係数A、B及びCがブロッキング及びリンギングセマフォを決定する時に使われる。
【0042】
図2に示した8×8ブロックの64個の画素DCT係数中位置Aの係数だけ“0”でない値を有すれば、前記8×8符号化されたブロックの64画素は空間領域で同じ値を有する。したがってDC成分だけを有するブロックは水平及び垂直ブロッキングアーチファクトを誘発できる。この場合、水平ブロッキングセマフォ(HBS)と垂直ブロッキングセマフォ(VBS)二つとも“1”にセットされる。
【0043】
8×8逆量子化されたブロックの一番上行だけが前記一番上行を構成する8画素の係数中いずれか一つでも“0”でない値を有する時、各列の8個の画素は空間領域で同じ値を有する。このブロックは垂直ブロッキングアーチファクトを誘発し、従ってVBSは“1”にセットされる。
【0044】
一番左側列だけが前記一番左側列を構成する8画素の係数中いずれか一つでも“0”でない値を有する時、各行の8個の画素は空間領域で同じ値を有する。このブロックは水平ブロッキングアーチファクトを誘発し、従ってHBSは“1”にセットされる。
【0045】
図2に示したA、B及びC以外の位置に何れか一つでも“0”でない係数値を有する時、リンギングセマフォ(RS)は“1”にセットされる。この高周波係数はブロックが映像エッジを含んでいることを意味する。したがってこのようなブロックは高周波成分係数の打切りによって前記映像エッジ附近にリンギングノイズを作る。
前記HBS、VBS及びRSは各ブロック当3つのビットに貯蔵される。
【0046】
1.2. インターVOPに対するセマフォ伝播
基準VOPのブロッキングセマフォ及びリンギングセマフォは動きベクトルを使用することによて次のインターVOPに伝播される。また、インターVOPの残差信号はインターVOPのセマフォを決定する時に使われる。
【0047】
まず、ブロッキングセマフォが基準VOPからインターVOPに伝播されることを説明する。図3はインターVOPの8×8ブロック(Ac)と基準VOPにおける隣のブロックとの関係を示すことである。ブロッキングセマフォの伝播は動きベクトルMVx、MVyにより次のように記述される。
【0048】
図3でAr、Br、Cr及びDrは基準VOPのブロックで、Acは現在のインターVOPのブロックで、Xは前記Acの動きブロックである。前記動きブロックXは動きベクトルMVx、MVyを使用することによって推定される。まず前記動きブロックXと前記基準ブロックと重なった程度を調べる。もし前記動きブロックXと前記基準ブロックの重なった領域が2×2画素より広いブロックだけ各々計算に使用すれば、前記現在ブロックAcのHBS及びVBSは動き推定されたブロックXにより重なる基準ブロックのHBS及びVBSをビット単位論理積演算することによって計算できる。
【0049】
例えば、動きベクトルがMVx=5、MVy=3.5の時、動き推定されたブロックXは4つの基準ブロックAr、Br、Cr及びDrと重なる。ここで前記4つの重なった領域は全て2×2画素より広い。したがって、現在ブロックAcのHBS及びVBSは図4に示したように4つの基準ブロックAr、Br、Cr及びDrより計算できる。ここで’&’はビット単位論理積演算、’|’はビット単位論理和演算を示す。次に、リンギングセマフォが基準VOPからインターVOPに伝播されることを説明する。まず、インターVOPの8×8ブロックでの残差信号の逆量子化係数(IQC)を検査して前記IQCが“0”でないと、基準ブロックAcのRSを“1”にセットする。MPEG−4アルゴリズムは一つのマクロブロック(MB)に対する4つの動きベクトルを伝達する8×8予測モードを支援する。前記8×8予測モードは大慨高周波成分を有するビジ領域(busy area)に適用される。したがって、前記ブロックが8×8予測モードを有するかを検査して、8×8予測モードを有するブロックのRSは“1”にセットされる。もしRSが前記2種類の検査後にも相変らずRSが“0”であれば、現在ブロックAcのRSは、前記ブロッキングセマフォと同じ方式で、基準ブロックAr、Br、Cr及びDrと重なった領域が各々2×2より広い基準ブロックのRSに対してビット単位論理積演算により計算できる。RS計算の一例が図4に示されている。
【0050】
2. セマフォを用いた映像データの後処理
一方、ディブロッキングフィルター110、コーナー異常値補償部120及びディリンギングフィルター130に対して具体的に説明する。
【0051】
2.1. ブロッキングアーチファクト減少のためのディブロッキングフィルター
ブロッキングアーチファクト減少のための一次元低域通過フィルタリングは水平境界及び垂直境界上のブロッキングセマフォによって強くまたは弱く遂行される。ブロッキングアーチファクトを減らすために、大部分のディブロッキング方法は映像エッジ情報を計算し、前記映像エッジに基づいた低域通過フィルター(LPF)を適応的に適用する。しかし本発明によるディブロッキング方法は前記求めたブロッキングセマフォを利用するため、多くの計算量を要求する映像エッジ検出を必要としない。
【0052】
処理されるべき8×8ブロックと隣接ブロックが図5に示されている。ブロック−IのHBSとブロック−JのHBS二つとも“1”にセットされているとしたら、7−タブ(1、1、1、2、1、1、1)LPFが図5の水平ブロック境界上の画素A、B、C、D、E及びFに適用される。水平ディブロッキングフィルタリングをアルゴリズムに示すと次の通りである。
if(ブロック−IのHBS==1 andブロック−JのHBS==1)
7−tab フィルタリング; // A、B、C、D、E and Fを変更//
else
if ( |D−C| < QP )
弱フィルタリング;; // B、C、D及びEを変更//
【0053】
前記アルゴリズムを説明すると、ブロックI及びブロックJの水平ブロッキングセマフォが“1”にセットされていると、前記ブロックIとブロックJを境界つける水平ブロック境界線を介在した所定個数の画素値を変化させる。前記フィルタリングは前記6個の画素に対して7−タブ(1、1、1、2、1、1、1)低域通過フィルタリングを使用してなされる。
【0054】
前記ブロックI及びブロックJ中何れか一つでも水平ブロッキングセマフォが“0”であれば、水平ブロック境界線を介在して隣接した二つの画素の差とH.263の量子化された要素のQPを比較して、二つの画素の差がQPより小さければ前記7−タブフィルタリングより少ない個数の画素値を変化させる。即ち、前記画素B、C、D及びEに対してフィルタリングを遂行するが、前記画素C及びDの差をdとする時、フィルタリングされた画素C及びDは前記画素C及びDを平均値とし、フィルタリングされた画素B及びEは前記画素B及びE値とd/8の差がある値とする。
【0055】
図6Aは1次元観点のブロッキングアーチファクトの例を示すことである。図6Bは前記7−タブフィルタリングを遂行した後の結果を示している。図6Cは弱フィルタリングを遂行した後の結果を示すことであって、前記弱フィルタリングはブロック境界の画素値の差d=|D−C|がQPより小さい時遂行される。ここでパラメータQPはH.263の量子化要素である。MPEG−4はH.263量子化を支援する。図6Cの弱フィルタリング場合において、境界画素C及びDは平均値になる。また隣接した画素B及びEはブロッキングアーチファクトをやんわりとするために少しだけ変わる。本発明によるディブロッキングフィルタリングは、1次元の人為的な不連続を減らすためにブロック境界上の画素値を変更させる。そして垂直ブロック境界線を介在した画素に対しては、前記垂直ブロッキングセマフォを用いて前記水平ブロック境界線を介在した画素と同じ方式でフィルタリングすればよい。即ち、垂直フィルタリングは水平フィルタリングと同じ方式で遂行される。本発明による方法はブロックに基づいた並列処理によりハードウェアに具現でき、7−タブフィルタリングと弱フィルタリングに対してシフト及び加算演算だけ必要とする。例えば7−タブフィルタリングの場合、画素Cをフィルタリングした値をC’とすると、C’=(A+A+B+2C+D+E+F+4)/8に求めうり、これはシフト演算及び加算演算で可能である。
【0056】
2.2. コーナー異常値補償
コーナー異常値は図7に示したようにMPEG−圧縮解除された映像の8×8ブロックのコーナーポイントで、隣る画素よりその画素値がはるかに大きいかまたは小さな画素により。図7Aで斜線の領域が4つのブロックにかけて分布され、前記斜線の領域の一つや二つの画素が隣るブロックのコーナーポイントに位置する時、コーナーポイントは図7Bに示したようにDCT係数の量子化により歪曲できる。このように歪曲されたコーナーポイントをコーナー異常値という。前記コーナー異常値はディブロッキングフィルター及びディリンギングフィルターでは除去できない。前記コーナー異常値を減らすために、まずコーナー異常値を検出し、その後に、前記検出されたコーナー異常値を補償する。図7Cはコーナー異常値検出のための簡単な座標値を記述している。ここでA、B、C及びDは8×8ブロックのコーナーポイントの画素値である。
【0057】
まず、前記コーナー異常値検出のためのアルゴリズムは次のように示しうる。
value[0]=A; value[1]=B;
value[2]=C; value[3]=D;
Average=(A+B+C+D+2)/4;
Count=0;
for(m=0; m<4; m++)
if (|value[m]−Average| > QP)
Count++; /*候補ポイントの個数*/
ここでQPはH.263の量子化要素である。
【0058】
前記Countはコーナー異常値候補画素の数を貯蔵する変数である。もし前記Countが“0”であれば、コーナー異常値はない。もしAだけ図7Cで候補ポイントであり、|A−A3|が3QP/2より小さければ、コーナー異常値補償はA、A3及びA2上に次のように遂行される。Aに対して補償された値をA’、A1に対して補償された値をA’1、A2に対して補償された値をA’2とすると、前記A’、A’1及びA’2は数式1のように決定される。
(数1)
A’=(4A+B+C+2D+4)/8
A’1=(A’+3A1+2)/4
A’2=(A’+3A2+2)/4
【0059】
候補ポイント個数が二つ以上であれば、(A3+B3+C3+D3+2)/4より最も大きい差を有する候補が選択されて、コーナー異常値補償は前記一つの候補の場合と同じ方法でそのポイントに対して遂行される。
【0060】
2.3. リンギングノイズ減少のためのディリンギングフィルター
各ブロックに対してディリンギングフィルターを適用する前に、RSを調べる。もし現在ブロックのRSが“1”であれば、ディリンギングフィルタリングは前記ブロックに適用される。映像の細部成分がフィルタリングにより歪曲されることを防止するために、フィルタリング前に簡単なエッジ検出が遂行される。図8A及び図8Bに示したように、エッジ検出及び2次元信号適応フィルタリング(2−D SAF)は“0”でないリンギングセマフォを有する8×8ブロックに適用される。2次元SAFは8×8ブロックの中心に位置した4×4画素に適用される。なぜなら境界画素はディブロッキングフィルターによりやんわりとなるからである。
【0061】
まず、エッジ検出に対して説明する。映像エッジを発見するために、1次元水平及び垂直傾斜(gradient)演算子が再構成されたブロックに適用される。エッジ画素を決定するためのしきい値はH.263の量子化要素QPから選択される。2次元SAFが4×4画素に適用されるために、エッジ情報は図8Bに示したように現在ブロック内の6×6画素に対して得られるべきである。水平エッジ検出は、画素[m][n]、前記画素[m][n]の右側画素を画素[m][n+1]、左側画素を画素[m][n−1]、前記画素[m][n]と画素[m][n+1]の差をA1、前記画素[m][n]と画素[m][n−1]の差をA2、H.263の量子化要素をQPとする時、条件式((A1>QP) and (A2>QP)) or (A1>2QP) or (A2>2QP)を満足すると、エッジに検出され、エッジ[m][n] =1になる。そして垂直エッジ検出は、画素[m][n]、前記画素[m][n]の上側画素を画素[m+1][n]、下側画素を画素[m−1][n]、前記画素[m][n]と画素[m+1][n]の差をA’1、前記画素[m][n]と画素[m−1][n]の差をA’2、H.263の量子化要素をQPとする時、条件式((A’1>QP) and (A’2>QP)) or (A’1>2QP) or (A’2>2QP)を満足すると、エッジに検出され、エッジ[m][n]=1になる。
【0062】
以上のエッジマップEdge[m][n]を画素値pixel[m][n]より生成するアルゴリズムで表現すると次の通りである。
/*水平エッジ検出*/
A1=|pixel[m][n]−pixel[m][n+1]|;
A2=|pixel[m][n]−pixel[m][n−1]|;
if (((A1>QP) and (A2>QP)) or (A1>2QP) or (A2>2QP))
Edge[m][n] = 1 ;
else { /*垂直エッジ検出*/
A1=|pixel[m][n]−pixel[m+1][n]|;
A2=|pixel[m][n]−pixel[m−1][n]|;
if (((A1>QP) and (A2>QP)) or (A1>2QP) or (A2>2QP))
Edge[m][n]=1 ;}
【0063】
次に2次元信号適応フィルター(SAF)を使用したディリンギングフィルタリングに対して説明する。前記フィルタリングは映像の細部成分の深刻な損失なくリンギングノイズをやんわりとするためのことである。本発明によるディリンギングフィルタリングはエッジマップによりたたみこみ(convolution)に対する加重要素が変わる簡単なたたみこみ演算である。前記SAFはEdge[m][n]を使用することによって復号化されたブロックに適用される。図8Aは2次元SAFに対するカーネル(kernel)を示している。図8Bのフィルターウインドの中心点Aがエッジ画素であれば、2次元フィルタリング演算は遂行されない(図8Bの例1)。4−コネクテッドフィルターウインドでエッジポイントが含まれていないと、低域通過フィルタリングが遂行される(図8Bの例2)。もし、中心点上にないいずれかのエッジポイントが4−コネクテッド フィルタウインドにあれば、エッジ画素を除外した加重フィルタリングが遂行される(図8Bの例3)。加重要素が計算の複雑性を考えて定義され、従ってSAFフィルタリングが表1に示したように簡単なシフト及び加算演算により遂行される。
【表1】

表1で“0”は非エッジを示し、“1”はエッジを示す。
【0064】
一方、前述した本発明の実施例はコンピュータで実行できるプログラムで作成可能である。そしてコンピュータで用いられる媒体から前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピューターで具現できる。前記媒体はマグネチック貯蔵媒体(例:ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光学的判読媒体(例:CD−ROM、DVD等)及び搬送波(例:インターネットを通じて伝送)のような貯蔵媒体を含む。
【0065】
例えば、前記貯蔵媒体は、ブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する時発生する量子化効果を減少させるための映像データ後処理方法において、逆量子化された前記映像データの逆量子化係数の分布及び以前VOPのブロックと現在VOPのブロック差を示す動きベクトルを利用して、復号化された映像の後処理必要性可否を示すセマフォを検出するセマフォの検出段階がコンピュータにより遂行されるプログラムコード手段と、前記検出されたセマフォを検査して後処理が必要と示すと、前記セマフォに相応する復号化された映像データを所定の方法によりフィルタリングするフィルタリング段階がコンピュータにより遂行されるプログラムコード手段を含むことを特徴とする。
【0066】
そして、本発明を具現するための機能的なプログラム、コード及びコードセグメントは本発明の属する技術分野のプログラマーにより容易に推論できる。
【0067】
〔発明の効果〕
高圧縮された映像データを復元する時、ブロッキングアーチファクト、コーナー異常値及びリンギングノイズのような量子化効果が発生される。本発明による後処理方法はセマフォと適応フィルターを使用することによって量子化効果を減少させる。各ブロックのブロッキング及びリンギングセマフォは後フィルタリングの計算量を減らすのに大きい助けになる。現ブロックに対するブロッキング及びリンギングセマフォを検出するためには、インターVOPの動きベクトルが使われる。
【0068】
ビデオコーディングで、高品質の映像及びハードウェア及びソフトウェアへの具現の容易性のためには計算の複雑性及びPSNRが考慮されるべきである。ハードウェア複雑性の側面で、本発明による方法は乗算と割算なく並列処理により遂行できる。
【0069】
本発明による後処理方法は映像の細部成分を維持しながら主観的画質を大きく向上させるため、広範囲に使われうる。本発明による方法はJPEG、H.263+、MPEG−1及びMPEG−4解体映像に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明による後処理方法は映像の細部成分を維持しながら主観的画質を大きく向上させるため、広範囲に使われうる。本発明による方法はJPEG、H.263+、MPEG−1及びMPEG−4解体映像に適用できる。
【符号の説明】
【0071】
10 映像データ後処理装置
20 映像データ復号化器
100 セマフォ検出部
110 ディブロッキングフィルター
120 コーナー異常値補償部
130 ディリンギングフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックに基づいて圧縮符号化された映像データを復号化する時発生する量子化効果を減少させるための映像データ後処理方法において、
前記映像データのブロックの所定領域に“0”でない値を有するピクセル係数を含んでいるか否かを用いて復号化された映像の隣接したブロック境界近くのブロッキングアーティファクトを減少させるフィルタリングの必要性可否を示すセマフォを抽出するセマフォ抽出段階と、
前記抽出されたセマフォを検査してフィルタリングが必要ということを示すと、復号化された映像データを、前記セマフォの抽出結果によりディブロッキングフィルタリングを行うフィルタリング段階とを含み、
前記セマフォは前記映像データのブロックの所定領域に“0”でない値を有するピクセルを含む場合フィルタリングが必要を示すようにセットし、前記映像データのブロックの所定領域に“0”でない値を有するピクセルを含まない場合フィルタリングが不要を示すようにセットされ、
前記フィルタリングは前記ブロック境界の画素値の差異及び量子化パラメータQPによって強くまたは弱く行なわれる
ことを特徴とする量子化効果減少のための映像データ後処理方法。
【請求項2】
前記ブロック境界の画素値の差異が前記量子化パラメータQP値より小さい場合は弱いフィルタリングが行なわれる
ことを特徴とする請求項1に記載の量子化効果減少のための映像データ後処理方法。
【請求項3】
前記フィルタリング段階は、 抽出されたセマフォによってブロックの境界に該当するピクセルに対してブロッキングアーティファクトを減少できるようにフィルタリングする
ことを特徴とする請求項1に記載の量子化効果減少のための映像データ後処理方法。
【請求項4】
前記セマフォは、
水平に隣接したブロック境界近くのブロッキングアーティファクトを減少させる必要性可否を示す水平ブロッキングセマフォと、
垂直に隣接したブロック境界近くのブロッキングアーティファクトを減少させる必要性可否を示す垂直ブロッキングセマフォとを含み、
逆量子化係数のうち、
低周波成分の係数だけ“0”でないならば、水平ブロッキングセマフォと垂直ブロッキングセマフォをフィルタリングが必要を示すようにセットし、
一番上行の係数中いずれか一つでも“0”でないならば、垂直ブロッキングセマフォをフィルタリングが必要を示すようにセットし、
一番左側列の係数中いずれか一つでも“0”でないならば、水平ブロッキングセマフォを後処理必要を示すようにセットする
ことを特徴とする請求項1に記載の量子化効果減少のための映像データ後処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−249321(P2012−249321A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172865(P2012−172865)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2008−314554(P2008−314554)の分割
【原出願日】平成10年10月9日(1998.10.9)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【出願人】(500192470)コリア・アドヴァンスド・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー (12)
【Fターム(参考)】