説明

金券処理装置

【課題】発行処理以外の処理が可能な金券処理装置の提供。
【解決手段】入金部21に入金された金券の識別を行う識別部24と、識別部24の識別結果に基づいて金券が再利用可能であるか否かを判断する判断手段15と、判断手段15によって再利用可能であると判断された金券を収納する再利用可能券収納部36g〜36iと、判断手段15によって再利用可能でないと判断された金券を収納する再利用不可券収納部36j〜36oと、出金の指定を受け付ける指定手段13と、指定手段13によって出金の指定を受け付けた場合に再利用可能券収納部36g〜36iから金券を繰り出させる出金制御手段15と、再利用可能券収納部36g〜36iから繰り出された金券のICチップに新たな識別番号を書き込む書込制御手段15,46と、書込制御手段15,46により新たな識別番号がICチップに書き込まれた金券を出金する出金部50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金券処理装置に関し、特にその多機能化に関する。
【背景技術】
【0002】
デパート等での商品購入の際に貨幣に代えて用いることができる商品券等の金券が従来から使用されている。このような金券を発行する金券発行装置について、装置内部の収納部に金券をセットし、この金券を発行する際に識別番号を読み取って、この識別番号が発行すべきものであるか否かを判定して、発行すべきと判定された金券を発行する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3644214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した金券発行装置は、市場に未発行の金券の発行処理のみを行うものであり、発行処理以外の処理を行うことができなかった。
【0004】
したがって、本発明は、発行処理以外の処理が可能な金券処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ICチップが埋め込まれた金券の入出金処理を行う金券処理装置であって、金券が入金される入金部と、該入金部に入金された金券の識別を行う識別部と、該識別部の識別結果に基づいて金券が再利用可能であるか否かを判断する判断手段と、該判断手段によって再利用可能であると判断された金券を収納する再利用可能券収納部と、前記判断手段によって再利用可能でないと判断された金券を収納する再利用不可券収納部と、出金の指定を受け付ける指定手段と、該指定手段によって出金の指定を受け付けた場合に前記再利用可能券収納部から金券を繰り出させる出金制御手段と、前記再利用可能券収納部から繰り出された金券のICチップに新たな識別番号を書き込む書込制御手段と、該書込制御手段により新たな識別番号がICチップに書き込まれた金券を出金する出金部とを備えたことを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、未発行の金券を装填する金券装填モードおよび発行済みの金券を収納する金券収納モードの中からいずれか一つのモードが選択設定される入金モード設定手段を備え、前記判断手段は、前記入金モード設定手段によって金券収納モードが設定された場合に、前記識別部の識別結果に基づいて金券が再利用可能であるか否かを判断することを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、ユーザを認証する認証手段を備え、前記入金モード設定手段は、前記認証手段の認証結果に基づいて選択設定可能なモードを制御することを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記識別部は、金券のICチップから識別番号を読み込み、前記判断手段は、前記識別部によって読み込まれた金券の識別番号に基づいて当該金券が再利用可能であるか否かを判断することを特徴としている。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記識別部は、金券のICチップから再利用回数を特定する特定情報を読み込み、前記判断手段は、前記識別部によって読み込まれた金券の再利用回数を特定する特定情報に基づいて当該金券が再利用可能であるか否かを判断することを特徴としている。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記識別部は、金券の画像を撮像するものであり、前記判断手段は、前記識別部によって撮像された金券の画像に基づいて当該金券が再利用可能であるか否かを判断することを特徴としている。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に係る発明において、前記判断手段によって再利用可能であると判断された金券に、当該金券の再利用状況を識別するための再利用状況情報を印刷する再利用状況情報印刷手段を備えていることを特徴としている。
【0012】
請求項8に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記識別部によって撮像された画像から金券の天地方向を判別する天地判別手段を備え、前記判断手段によって再利用可能であると判断された金券に前記天地判別手段の判別結果に基づいて当該金券の再利用状況を識別するための再利用状況情報を印刷する再利用状況情報印刷手段を備えていることを特徴としている。
【0013】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に係る発明において、未発行の金券を発行する金券発行モード、発行済み且つ再利用不可な金券を回収する金券回収モードおよび発行済み且つ再利用可能な金券を発行する金券再利用モードの中からいずれか一つのモードが選択設定される出金モード設定手段を備え、前記書込制御手段は、前記出金モード設定手段によって金券再利用モードが設定された場合に、前記再利用可能券収納部から繰り出された金券のICチップに新たな識別番号を書き込むことを特徴としている。
【0014】
請求項10に係る発明は、請求項9に係る発明において、ユーザを認証する認証手段を備え、前記出金モード設定手段は、前記認証手段の認証結果に基づいて選択設定可能なモードを制御することを特徴としている。
【0015】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至10のいずれか一項に係る発明において、前記書込制御手段によってICチップに新たな識別番号が書き込まれた金券に、当該金券の新たな識別番号と同一の識別番号を印刷する識別番号印刷手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
請求項12に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記識別部は、金券のICチップから識別番号および再利用回数を特定する特定情報を読み込むとともに、金券の画像を撮像するものであり、前記識別部によって撮像された画像から金券の天地方向を判別する天地判別手段と、前記識別部によって識別された金券の識別番号と当該金券の前記天地判別手段による天地方向とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記再利用可能券収納部から繰り出された金券のICチップから識別番号および再利用回数を特定する特定情報を読み込む読込手段と、該読込手段によって読み込まれた識別番号に対応する天地方向を前記記憶手段から読み出すとともに、前記書込制御手段によって金券のICチップに書き込む新たな識別番号と同一の識別番号を、当該金券における前記読み出された天地方向と前記読込手段によって読み込まれた再利用回数とに基づく所定の印刷位置に印刷する識別番号印刷手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、市場に発行済みで市場から回収された金券を入金部に入金すると、識別部が金券を識別し、判断手段がこの識別結果に基づいて金券が再利用可能であるか否かを判断して、再利用可能であると判断された金券を再利用可能券収納部に収納する一方、再利用可能でないと判断された金券を再利用不可券収納部に収納する。また、指定手段によって出金の指定を受け付けた場合に、出金制御手段が再利用可能券収納部から金券を繰り出させることになり、この金券のICチップに書込制御手段が新たな識別番号を書き込んで、出金部に出金する。このように、市場に発行済みで市場から回収された金券を再利用可能な金券とそうでない金券とに分別して収納し、再利用可能な金券については新たな識別番号を付与して出金することで、再利用することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、入金モード設定手段によって、発行済みの金券を収納する金券収納モードが設定された場合に、判断手段が、識別部の識別結果に基づいて金券が再利用可能であるか否かを判断するため、未発行の金券を装填する金券装填モードにおいては、必要のない、金券が再利用可能であるか否かの判断を略すことができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、入金モード設定手段が、ユーザを認証する認証手段の認証結果に基づいて選択設定可能なモードを制御するため、ユーザの職位等に応じて使用できるモードを異ならせることができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、識別部が、金券のICチップから識別番号を読み込むことになり、判断手段が、この金券の識別番号に基づいて再利用可能であるか否かを判断することになるため、例えば発行元毎に設定される再利用可能であるか否かの情報を識別番号から容易且つ確実に判断することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、識別部が、金券のICチップから再利用回数を特定する特定情報を読み込むことになり、判断手段が、この金券の再利用回数を特定する特定情報に基づいて再利用可能であるか否かを判断することになるため、例えば、再利用回数に制限を設けて制限回数内であれば再利用可能とし、制限回数となれば再利用不可とすることによって、新品に近い金券のみを再利用することができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、識別部が、金券の画像を撮像することになり、判断手段が、この撮像された金券の画像に基づいて再利用可能であるか否かを判断することになるため、例えば、汚損のある金券を再利用不可とすることによって、新品に近い金券のみを再利用することができる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、判断手段によって再利用可能であると判断された金券に対して、再利用状況情報印刷手段が、当該金券の再利用状況を識別するための再利用状況情報を視認可能に印刷するため、再利用されて出金された金券であることを容易に認識することができる。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、識別部によって撮像された画像から天地判別手段が金券の天地方向を判別することになり、判断手段によって再利用可能であると判断された金券に、天地判別手段の判別結果に基づいて、再利用状況情報印刷手段が当該金券の再利用状況を識別するための再利用状況情報を視認可能に印刷するため、再利用状況情報を適正な向きで金券に印刷することができる。
【0025】
請求項9に係る発明によれば、出金モード設定手段によって、発行済み且つ再利用可能な金券を発行する金券再利用モードが設定された場合に、書込制御手段が、再利用可能券収納部から繰り出された金券のICチップに新たな識別番号を書き込むため、未発行の金券を発行する金券発行モードおよび発行済み且つ再利用不可な金券を回収する金券回収モードにおいては、必要のない、新たな識別番号の書き込みを略すことができる。
【0026】
請求項10に係る発明によれば、出金モード設定手段が、ユーザを認証する認証手段の認証結果に基づいて選択設定可能なモードを制御するため、ユーザの職位等に応じて使用できるモードを異ならせることができる。
【0027】
請求項11に係る発明によれば、書込制御手段によってICチップに新たな識別番号が書き込まれた金券に対して、識別番号印刷手段が、当該金券の新たな識別番号と同一の識別番号を視認可能に印刷するため、再利用されて出金された金券の新たな識別番号を容易に認識することができる。
【0028】
請求項12に係る発明によれば、識別部によって撮像された画像から天地判別手段が金券の天地方向を判別するとともに、識別部によって識別された金券の識別番号とこの天地方向とを関連付けて記憶手段に記憶する。出金時に再利用可能券収納部から繰り出された金券のICチップから読込手段が識別番号および再利用回数を特定する特定情報を読み込むと、識別番号印刷手段が、読込手段によって読み込まれた識別番号に対応する天地方向を記憶手段から読み出すとともに、書込制御手段によって金券のICチップに書き込む新たな識別番号と同一の識別番号を、当該金券における読み出された天地方向と読込手段によって読み込まれた再利用回数とに基づく所定の印刷位置に天地方向を合わせて印刷する。よって、新たな識別番号を金券の適正な位置に適正な向きで印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の一実施形態の金券処理装置を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の図1に示す金券処理装置11は、図2に示すICチップ1を含む読み書き可能なRFIDタグ2が埋め込まれた複数種類の金券Sの入出金処理を行うものである。
【0030】
ここで、複数種類の金券Sとは、例えば、再利用を所定回数まで許可している発行元から発行される複数の金種(額面)の金券Sと、再利用を一切許可していない発行元から発行される複数の金種(額面)の金券Sである。以下では、金種が1000円券、5000円券および10000円券の3種類であり、金券Sの再利用を二回まで許可している発行元A社と、金券Sの再利用を一切許可していない発行元B社の二つの発行元から発行された金券Sを取り扱う場合を例にとり説明する。勿論、これは一例でありこの例に限定されるものではない。
【0031】
金券SのICチップ1には、発行元を他と識別するための発行元識別番号(識別番号)、金種(額面)、金券Sを他と識別するための金券識別番号および使用状況情報等を含む金券情報が発行元での製造時に記憶されている。また、図2に示す金券Sの裏面の所定の表記部3には、金券識別番号(識別番号)4が視認可能に印刷されている。
【0032】
ここで、金券Sの再利用を許可していない発行元B社から発行される再利用不可な金券S(再利用不可券)は、使用状況情報のみが書き換え可能とされている。この使用状況情報として、発行元での製造時には、市場に未発行(以下、未発行)であることを示す使用状況識別番号が記憶されており、その後、市場に発行済み(以下、発行済み)且つ使用済み未確定であることを示す使用状況識別番号に書き換えられ、その後、発行済み且つ使用済みであることを示す使用状況識別番号に書き換えられる。
【0033】
また、金券Sの再利用を二回まで許可している発行元A社から発行される再利用可能な金券(再利用可能券)Sは、使用状況情報および金券識別番号のみが書き換え可能とされている。この使用状況情報として、発行元での製造時には新品(再利用0回)且つ未発行であることを示す使用状況識別番号が記憶されており、その後、新品且つ発行済み且つ使用済み未確定であることを示す使用状況識別番号に書き換えられ、その後、再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定であることを示す使用状況識別番号(特定情報)に書き換えられ、その後、再利用二回且つ発行済み且つ使用済み未確定であることを示す使用状況識別番号(特定情報)に書き換えられ、最後に、発行済み且つ使用済みであることを示す使用状況識別番号に書き換えられる。
【0034】
金券処理装置11は、ユーザを認証する認証装置(認証手段)12と、ユーザによってモード設定入力等が行われる操作部(指定手段,入金モード設定手段,出金モード設定手段)13と、ユーザに操作ガイダンス等を表示する表示部14とを上面に有している。また、金券処理装置11の内部には、金券処理装置11の全体を制御する制御部(判断手段,出金制御手段,書込制御手段,入金モード設定手段,出金モード設定手段,天地判別手段)15と、各種データを記憶する記憶部16と、制御部15の指令に基づいてネットワークを介して金券の各発行元の管理サーバ17と通信する通信部18とが設けられている。管理サーバ17は複数の金券処理装置11に接続されており、これら金券処理装置11の情報を一括管理する。
【0035】
金券処理装置11は、金券Sが表裏取り揃えられた集積状態で投入つまり入金される入金部21を上部に備えており、入金部21には、集積状態で投入された金券Sを一枚ずつ分離して入金搬送路22に送り出す入金繰出機構23が設けられている。入金部21に投入され入金繰出機構23を介して装置内に送り込まれた金券Sは、入金搬送路22を介して入金識別部24に搬送される。
【0036】
入金識別部24は、入金部21に入金され入金搬送路22で搬送される金券Sの識別を行うものである。この入金識別部24は、例えばCCDカメラ等の画像検出装置25を一対備えており、通過する金券Sの画像データを表裏両側から撮像する。また、入金識別部24は、RFIDリーダ26を備えており、通過する金券SのRFIDタグ2と通信してそのICチップ1に対して情報の読み取りを行う。
【0037】
そして、入金識別部24は、画像検出装置25によって、搬送中の金券Sの画像データを撮像するとともに、RFIDリーダ26によって、搬送中の金券SのICチップ1から金券情報を取り込む。すると、制御部15は、画像検出装置25で撮像された画像データと、予め設定された受入可能な金券Sの金種毎のマスタデータとを比較して、斜行の有無および汚損の有無を判定することになり、これと、RFIDリーダ26によってICチップ1から取り込んだ金券情報とから受入可・不可を判定することになる。
【0038】
つまり、受入可・不可は、斜行ありの場合と、所定の度合い以上の汚損ありの場合と、画像検出装置25で撮像された画像データと一致するマスタデータがない場合と、RFIDリーダ26によってICチップ1から金券情報が読みとれない場合と、ICチップ1から読み取った発行元識別番号が取り扱うべき発行元識別番号のマスタデータにない場合と、ICチップ1から読み取った金種と画像検出装置25で撮像された画像データに基づく金種とが一致しない場合と、RFIDリーダ26によって同時に複数のICチップ1から金券情報が読みとれた場合(重送有りの場合)と、ICチップ1から読み取った使用状況情報が適正でない場合と、のうちの少なくともいずれか一つの条件に合う場合は受入不可とする。これらのいずれの条件にも合致しない場合に受入可と判定する。
【0039】
入金搬送路22における入金識別部24よりも下流側には、入金搬送路22で識別後の金券Sに印刷を行う入金印刷部(使用状況情報印刷手段)27が設けられている。
【0040】
金券処理装置11は、入金時に受入不可と判定した金券Sを機外に取り出し可能に排出する入金リジェクト部28を上部に備えている。制御部15は、入金識別部24の識別結果から受入不可と判定した金券Sを、入金搬送路22および入金搬送路22から分岐する入金リジェクト搬送路29を介して入金リジェクト部28に排出する。なお、入金不可の金券Sを、着脱可能な入金リジェクトボックスに収納しても良い。
【0041】
金券処理装置11は、入金搬送路22における入金リジェクト搬送路29よりも下流側から分岐する複数、具体的には11箇所の分岐搬送路31a〜31nを有しており、これら分岐搬送路31a〜31nの各端末位置および入金搬送路22の端末位置には、金券Sを一時貯留する、底部が開閉可能な一時貯留部32a〜32oがそれぞれ設けられている。これら一時貯留部32a〜32oは、入金識別部24で受入可と識別された金券Sを受け入れる。
【0042】
つまり、A社用の新品且つ未発行の金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて一時貯留する、1000円用の一時貯留部32a、5000円用の一時貯留部32bおよび10000円用の一時貯留部32cが設けられており、B社用の新品且つ未発行の金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて一時貯留する、1000円用の一時貯留部32d、5000円用の一時貯留部32eおよび10000円用の一時貯留部32fが設けられている。また、A社用の再利用可能な発行済みの金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて一時貯留する、1000円用の一時貯留部32g、5000円用の一時貯留部32hおよび10000円用の一時貯留部32iが設けられており、A社用の使用済み(再利用不可)の金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて一時貯留する、1000円用の一時貯留部32j、5000円用の一時貯留部32kおよび10000円用の一時貯留部32lが設けられている。また、B社用の使用済みの金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて一時貯留する、1000円用の一時貯留部32m、5000円用の一時貯留部32nおよび10000円用の一時貯留部32oが設けられている。これら一時貯留部32a〜32oは、機体から引き出し可能な引出ユニット35に一体に設けられており、一時貯留部32a〜32oに貯留された金券Sは、引出ユニット35が機体から引き出されることで返却可能となっている。
【0043】
各一時貯留部32a〜32oの下方には、一時貯留部32a〜32oから受け渡された金券Sを収納するとともに、収納している金券Sを最下のものから出金可能な出金収納部36a〜36oが一対一で設けられている。つまり、出金収納部36a〜36oは、A社用の新品且つ未発行の金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて収納する出金収納部36a〜36cと、B社用の新品且つ未発行の金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて収納する出金収納部36d〜36fと、A社用の再利用可能な発行済みの金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて収納する出金収納部(再利用可能券収納部)36g〜36iと、A社用の使用済みの金券Sを含む再利用可能でない金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて収納する出金収納部(再利用不可券収納部)36j〜36lと、B社用の使用済みの再利用可能でない金券Sをそれぞれ金種別に受け入れて収納する出金収納部(再利用不可券収納部)36m〜36oとに分類されている。
【0044】
なお、未発行の金券Sの額面の種類が上記より多い場合、および発行元の数が上記より多い場合には、一時貯留部および出金収納部の数を適宜増やすことで対応可能である。また、使用済みの金券Sについては発行元毎に一組ずつ一時貯留部および出金収納部を設けて、これらに金種混在で金券Sを受け入れるようにしても良い。さらに、複数の一時貯留部32a〜32oおよび出金収納部36a〜36oへの振り分けを、操作部13を介してのユーザ設定で可変としても良い。
【0045】
各出金収納部36a〜36oの下部には、それぞれ、金券Sを一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す出金繰出機構40が設けられている。そして、出金収納部36oの出金繰出機構40は出金搬送路41に、出金収納部36nの出金繰出機構40は繰出搬送路42nに、出金収納部36mの出金繰出機構40は繰出搬送路42mに、それぞれ金券Sを繰り出す。また、出金収納部36lの出金繰出機構40は繰出搬送路42lに、出金収納部36kの出金繰出機構40は繰出搬送路42kに、出金収納部36jの出金繰出機構40は繰出搬送路42jに、それぞれ金券Sを繰り出す。また、出金収納部36iの出金繰出機構40は繰出搬送路42iに、出金収納部36hの出金繰出機構40は繰出搬送路42hに、出金収納部36gの出金繰出機構40は繰出搬送路42gに、それぞれ金券Sを繰り出す。また、出金収納部36fの出金繰出機構40は繰出搬送路42fに、出金収納部36eの出金繰出機構40は繰出搬送路42eに、出金収納部36dの出金繰出機構40は繰出搬送路42dに、それぞれ金券Sを繰り出す。また、出金収納部36cの出金繰出機構40は繰出搬送路42cに、出金収納部36bの出金繰出機構40は繰出搬送路42bに、出金収納部36aの出金繰出機構40は繰出搬送路42aに、それぞれ金券Sを繰り出す。これら繰出搬送路42a〜42nは、出金搬送路41に合流している。
【0046】
出金搬送路41には、すべての繰出搬送路42a〜42nの合流位置よりも下流側に、出金搬送路41により搬送中の金券S、つまり出金収納部36a〜36oが出金した金券Sの識別を行う出金識別部44が設けられている。この出金識別部44は、例えばCCDカメラ等の画像検出装置45を一対備えており、搬送中の金券Sの表裏両側の画像データを撮像する。また、出金識別部44は、RFIDリーダライタ(書込制御手段,読込手段)46を備えており、通過する金券SのRFIDタグ2と通信してそのICチップ1に対して情報の読み取りおよび書き込みを行う。
【0047】
そして、出金識別部44は、画像検出装置45によって、搬送中の金券Sの画像データを撮像するとともに、RFIDリーダライタ46によって、搬送中の金券SのICチップ1から金券情報を取り込む。すると、制御部15は、画像検出装置45で撮像された画像データと、予め設定された受入可能な金券Sの金種毎のマスタデータとを比較して、斜行の有無、汚損の有無および金種を判定することになり、これと、RFIDリーダライタ46によってICチップ1から取り込んだ金券情報とから出金可・不可を判定することになる。
【0048】
つまり、出金可・不可は、斜行ありの場合と、汚損ありの場合と、画像検出装置45で撮像された画像データと一致するマスタデータがない場合と、RFIDリーダライタ46によってICチップ1から金券情報が読みとれない場合と、ICチップ1から読み取った発行元識別番号が取り扱うべき発行元識別番号のマスタデータにない場合と、ICチップ1から読み取った金種と画像検出装置45で撮像された画像データに基づく金種とが一致しない場合と、RFIDリーダライタ46によって同時に複数のICチップ1から金券情報が読みとれた場合(重送有りの場合)と、ICチップ1から読み取った使用状況情報が適正でない場合と、のうちの少なくともいずれか一つの条件に合う場合は出金不可とする。これらのいずれの条件にも合致しない場合に出金可と判定する。
【0049】
出金搬送路41における出金識別部44よりも下流側には、出金識別部44による識別後の金券Sに印刷を行う出金印刷部(識別番号印刷手段)49が設けられている。
【0050】
出金搬送路41における出金印刷部49よりも下流側には、出金搬送路41から分岐する出金リジェクト搬送路47と、出金リジェクト搬送路47に送られた金券Sを収納する出金リジェクト庫48とが設けられている。この出金リジェクト庫48は、機体に対し着脱可能となっている。制御部15は、出金識別部44の識別結果から出金不可と判定した金券Sを、出金搬送路41および出金リジェクト搬送路47を介して出金リジェクト庫48に収納する。
【0051】
金券処理装置11は、出金する金券Sを機外に取り出し可能に排出する出金部50を上部に備えており、制御部15は、出金識別部44の識別結果から出金可と判定した金券Sを、出金搬送路41を介して出金部50に排出する。
【0052】
認証装置12は、具体的には、ユーザ毎に発行されるIDカードに記憶されたユーザ識別番号を読み取るカードリーダである。ここで、ユーザ識別番号は、上位の「マスタユーザ」と、下位の「制限ユーザ」と、それ以外の「非ユーザ」との三段階のユーザレベルに分類されることになり、記憶部16には、予めユーザ識別番号毎にユーザレベルが関連付けされて記憶されている。
【0053】
制御部15は、金券処理装置11の使用開始にあたって表示部14に認証装置12への認証操作を促す表示を行わせる。この表示を見てユーザが認証装置12にIDカードを走査させると、認証装置12によってユーザ識別番号を読み取らせることになり、このユーザ識別番号を記憶部16に記憶されたデータと比較する。そして、このユーザ識別番号が記憶部16に記憶されていなければ非ユーザであると判定する一方、このユーザ識別番号が記憶部16に記憶されていれば、このユーザ識別番号に関連付けされているユーザレベルがマスタユーザである場合にはマスタユーザであると判定し、このユーザ識別番号に関連付けされているユーザレベルが制限ユーザである場合、制限ユーザであると判定する。そして、制御部15は、認証装置12の認証結果に基づいて、以後の制御を変更する。なお、認証装置12としては、ユーザの静脈の形を検出する静脈認証装置等の生体認証装置を用いることも可能である。
【0054】
操作部13には、未発行の金券Sを装填する金券装填モードおよび発行済みの金券Sを収納する金券収納モードの二種類の入金モードと、未発行の金券Sを発行する金券発行モード、発行済み且つ再利用不可な金券Sを回収する金券回収モードおよび発行済み且つ再利用可能な金券Sを発行する金券再利用モードの三種類の出金モードとの中からいずれか一つのモードを選択設定する操作がユーザによって入力可能となっている。
【0055】
制御部15は、上記した認証装置12による認証結果に基づいて選択設定可能なモードを制御する。つまり、制御部15は、認証装置12による認証結果からユーザ識別番号がマスタユーザであると判定した場合、金券装填モード、金券収納モード、金券発行モード、金券回収モードおよび金券再利用モードのいずれも選択設定可能として、これら五種類のモードから選択を行うように表示部14に表示を行わせる。また、制御部15は、認証装置12による認証結果からユーザ識別番号が制限ユーザであると判定した場合、金券収納モードおよび金券回収モードの二種類のモードのみ選択可能として、これら二種類のモードから選択を行うように表示部14に表示を行わせる。さらに、制御部15は、ユーザ識別番号が非ユーザであると判定した場合、いずれのモードも選択不可とし、正しい認証操作を促す表示を表示部14に表示させる。つまり、操作部13および制御部15は、認証装置12の認証結果に基づいて選択設定可能なモードを制御する。以下、選択設定された各モード別に説明する。
【0056】
「金券装填モード」
金券装填モードが選択設定された場合、制御部15は、未発行の金券Sの入金部21への投入を促す表示を表示部14に表示させる。これを見てユーザが入金部21に未発行の金券Sを投入すると、入金部21に設けられた図示略の検知センサが金券Sを検知することになり、この検知を確認すると、制御部15は、スタート操作を促す表示を表示部14に表示させる。
【0057】
これを見てユーザが操作部13にスタート操作を行う。操作部13にスタート操作が入力されると、制御部15は、入金繰出機構23および入金搬送路22を駆動する。すると、入金部21に投入された金券Sを入金繰出機構23が一枚ずつ繰り出し、入金搬送路22が搬送する。入金搬送路22による搬送中に金券Sを入金識別部24で識別する。つまり、RFIDリーダ26によって、ICチップ1から発行元識別番号、金種(額面)、金券識別番号および使用状況情報を含む金券情報を読み取るとともに、画像検出装置25で撮像する。この入金識別部24の識別結果から、制御部15は、ICチップ1に新品且つ未発行であることを示す使用状況識別番号が記憶されている金券以外の金券を含む受入不可と判定した金券Sを、入金搬送路22および入金搬送路22から分岐する入金リジェクト搬送路29を介して入金リジェクト部28に排出する。
【0058】
他方、制御部15は、入金識別部24によって、ICチップ1に新品且つ未発行であることを示す使用状況識別番号が記憶されていると識別され、受入可と識別された金券Sについて、対応する金種の計数値を加算するとともに、金種および金券識別番号を記憶部16に記憶する。そして、金券Sを一時貯留部32a〜32oの対応する金種のものに送り込み一時貯留させる。つまり、新品且つ未発行のA社の額面1000円の金券Sを一時貯留部32aに、新品且つ未発行のA社の額面5000円の金券Sを一時貯留部32bに、新品且つ未発行のA社の額面10000円の金券Sを一時貯留部32cに、新品且つ未発行のB社の額面1000円の金券Sを一時貯留部32dに、新品且つ未発行のB社の額面5000円の金券Sを一時貯留部32eに、新品且つ未発行のB社の額面10000円の金券Sを一時貯留部32fに送り込む。
【0059】
そして、入金部21に投入されたすべての金券Sが一時貯留部32a〜32fあるいは入金リジェクト部28に送られると、制御部15は、今回の処理に対する入金識別部24の識別結果(金券の金種別の計数値)を表示部14に表示させるとともに、承認操作またはキャンセル操作の入力を促す表示を表示部14に表示させる。
【0060】
操作部13にキャンセル操作が入力されると、制御部15は、引出ユニット35のロックを解除するとともに、今回の金券装填モードで記憶部16に記憶したデータを消去する。ユーザは引出ユニット35を引き出して一時貯留部32a〜32fから金券Sを取り出す。なお、このように入金キャンセルで入金が取り出された金券Sは、ICチップ1に新品且つ未発行であることを示す使用状況識別番号が記憶されていることから、金券装填モードで再入金された場合に、受入可と判断される。
【0061】
他方、操作部13に承認操作が入力されると、制御部15は、金券装填モードによる今回の処理を他の処理と識別する、モードの識別も含む処理識別番号と、すでに記憶部16に記憶されている、今回の処理で受入可と判定したすべての金券Sの金種および金券識別番号と、今回の処理で識別したユーザ識別番号と、今回の処理で受入可と判定したすべての金券Sの金種別の計数値とを関連付けして入金情報として記憶部16に記憶する。それとともに、すべての一時貯留部32a〜32fの金券Sを、それぞれ一対一で対応する出金収納部36a〜36fに収納する。つまり、新品且つ未発行のA社の額面1000円の金券Sを出金収納部36aに、新品且つ未発行のA社の額面5000円の金券Sを出金収納部36bに、新品且つ未発行のA社の額面10000円の金券Sを出金収納部36cに、新品且つ未発行のB社の額面1000円の金券Sを出金収納部36dに、新品且つ未発行のB社の額面5000円の金券Sを出金収納部36eに、新品且つ未発行のB社の額面10000円の金券Sを出金収納部36fに収納する。
【0062】
制御部15は、記憶部16に記憶した入金情報を通信部18を用いて発行元の管理サーバ17に、金券処理装置11の個別の装置識別番号と関連付けして送信することになり、この管理サーバ17において、送信された入金情報を一括して管理する。例えば、管理サーバ17では、金券識別番号が適正であるか否かの照合を行う。つまり、管理サーバ17には発行元から発行された全ての金券識別番号がマスタデータとして記憶されているため、管理サーバ17は、金券処理装置11から送られた金券識別番号について、マスタデータの金券識別番号の中に一致するものがあるか否かを照合する。マスタデータの金券識別番号の中に一致するものがある場合、管理サーバ17は、金券処理装置11から送られた金券識別番号が適正であるとしてこの金券識別番号を金券処理装置11の装置識別番号と関連付けして記憶する。金券処理装置11から送られた金券識別番号に対して、マスタデータの金券識別番号の中に一致するものがない場合、管理サーバ17は、金券処理装置11から送られた金券識別番号が適正でないとしてアラームを発生させる。
【0063】
「金券発行モード」
金券発行モードが選択設定された場合、制御部15は、希望の発行元と額面毎の発行枚数の入力を促す表示を表示部14に表示させる。これを見てユーザが操作部13に、希望の発行元と額面毎の発行枚数を入力する。すると、制御部15は、スタート操作を促す表示を表示部14に表示させる。これを見てユーザが操作部13にスタート操作を行う。
【0064】
操作部13にスタート操作が入力されると、発行元A社が選択された場合、制御部15は、出金収納部36a〜36cのうちの対応するものの出金繰出機構40と、繰出搬送路42a〜42cのうちの対応するものと、出金搬送路41とを駆動する。すると、出金収納部36a〜36cのうちの駆動された出金繰出機構40が金券Sを一枚ずつ繰り出し、出金搬送路41が搬送する。出金搬送路41により搬送中の金券Sに対して、出金識別部44のRFIDリーダライタ46によってICチップ1から金券情報を読み取るとともに、画像検出装置45で画像データを読み込んで識別する。この出金識別部44の識別結果から、制御部15は、新品且つ未発行を示す使用状況識別番号が記憶されている金券S、以外の金券Sを含む出金不可と判定した金券Sを、出金搬送路41および出金搬送路41から分岐する出金リジェクト搬送路47を介して出金リジェクト庫48に収納する。このとき、金券発行モードで出金するのが適正である金券装填モードで入金された金券S、以外の金券Sも出金不可として出金リジェクト庫48に収納する。
【0065】
また、発行元B社が選択された場合、制御部15は、出金収納部36d〜36fのうちの対応するものの出金繰出機構40と、繰出搬送路42d〜42fのうちの対応するものと、出金搬送路41とを駆動する。すると、出金収納部36d〜36fのうちの駆動された出金繰出機構40が金券Sを一枚ずつ繰り出し、出金搬送路41が搬送する。出金搬送路41による搬送中の金券Sに対して、出金識別部44のRFIDリーダライタ46によってICチップ1から金券情報を読み取るとともに、画像検出装置45で画像データを読み込んで識別する。この出金識別部44の識別結果から、制御部15は、新品且つ未発行を示す使用状況識別番号が記憶されている金券S、以外の金券Sを含む出金不可と判定した金券Sを、出金搬送路41および出金搬送路41から分岐する出金リジェクト搬送路47を介して出金リジェクト庫48に収納する。このとき、金券発行モードで出金するのが適正である金券装填モードで入金された金券S、以外の金券Sも出金不可として出金リジェクト庫48に収納する。
【0066】
また、制御部15は、出金識別部44で出金可と識別された金券Sについて、RFIDリーダライタ46によって、ICチップ1に、新品且つ未発行を示す使用状況識別番号にかえて、新品且つ発行済み且つ使用済み未確定を示す使用状況識別番号を記憶し、対応する金種の計数値を加算し、金種および金券識別番号を記憶部16に記憶するとともに、金券Sを出金部50に送り出す。
【0067】
制御部15は、上記を繰り返して金券Sを出金収納部36a〜36cまたは出金収納部36d〜36fから発行枚数分だけ出金部50に出金させる。
【0068】
そして、制御部15は、入力された額面毎の発行枚数を出金部50に繰り出させると、繰り出しを終了して、金券発行モードによる今回の処理を他の処理と識別する、モードの識別も含む処理識別番号と、今回の処理で識別したユーザ識別番号と、今回の金券発行モードによって出金部50に出金されたすべての金券Sの金券識別番号と、今回の処理で出金部50に出金されたすべての金券Sの金種別の計数値とを、関連付けして出金情報として記憶部16に記憶する。
【0069】
制御部15は、記憶部16に記憶した出金情報を通信部18を用いて発行元の管理サーバ17に、金券処理装置11の個別の装置識別番号と関連付けして送信することになり、この管理サーバ17において、送信された情報を管理する。まず、金券装填モードと同様に、金券識別番号が適正であるか否かの照合を行う。マスタデータの金券識別番号と一致するものがある場合、管理サーバ17は、金券処理装置11から送られた金券識別番号が適正であると判定してこの金券識別番号を市場に発行された旨と関連付けして記憶する一方、一致するものがない場合、管理サーバ17は、金券処理装置11から送られた金券識別番号が適正でないと判定してアラームを発生させる。なお、管理サーバ17はネットワークを介して複数の金券処理装置11に接続されているため、複数の金券処理装置11は管理サーバ17に記憶された上記情報を共有することになり、この共有情報によって、一の金券処理装置11によって市場に発行された発行済みの金券Sの金券識別番号を他の金券処理装置11に収納する際であっても、市場に発行されたものか否か照合可能となる。
【0070】
「金券収納モード」
金券収納モードが選択設定された場合、制御部15は、発行済みの金券Sの入金部21への投入を促す表示を表示部14に表示させる。これを見てユーザが入金部21に発行済みの金券Sを投入すると、入金部21に設けられた図示略の検知センサが金券Sを検知することになり、この検知を確認すると、制御部15は、スタート操作を促す表示を表示部14に表示させる。これを見てユーザが操作部13にスタート操作を行う。操作部13にスタート操作が入力されると、制御部15は、入金繰出機構23および入金搬送路22を駆動する。すると、入金部21に投入された金券Sを入金繰出機構23が一枚ずつ繰り出し、入金搬送路22が搬送する。入金搬送路22による搬送中に金券Sを入金識別部24で識別する。つまり、RFIDリーダ26によって、ICチップ1から発行元識別番号、金種(額面)、金券識別番号および使用状況情報を含む金券情報を読み取るとともに、画像検出装置25で撮像する。この入金識別部24の識別結果から、制御部15は、ICチップ1に、発行済み且つ使用済み未確定を示す使用状況識別番号が記憶されている金券S、以外の金券Sを含む受入不可と判定した金券Sを、入金搬送路22および入金搬送路22から分岐する入金リジェクト搬送路29を介して入金リジェクト部28に排出する。
【0071】
他方、制御部15は、入金識別部24によって、ICチップ1に、金券収納モードで入金するのが適正である発行済み且つ使用済み未確定を示す使用状況識別番号が記憶されていると識別され、受入可と識別された金券Sについて、対応する金種の計数値を加算するとともに、金種および金券識別番号を記憶部16に記憶する。
【0072】
そして、発行元識別番号から割り出される発行元がA社であり、使用状況識別番号から割り出される使用状況情報が新品且つ発行済み且つ使用済み未確定であって、金種から割り出される額面が1000円であって、画像検出装置25の撮像結果から割り出される汚損度が所定度合い以下である金券Sと、A社の再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面1000円の汚損度が所定度合い以下の金券Sとを一時貯留部32gに送り込む。また、A社の新品且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面5000円の汚損度が所定度合い以下の金券Sと、A社の再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面5000円の汚損度が所定度合い以下の金券Sとを一時貯留部32hに送り込む。また、A社の新品且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面10000円の汚損度が所定度合い以下の金券Sと、A社の再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面10000円の汚損度が所定度合い以下の金券Sとを一時貯留部32iに送り込む。つまり、入金識別部24の識別結果に基づいて制御部15が、再利用を許可した発行元A社の金券であって、再利用回数が次の出金時に、規制された三回とならない一回以下の金券で、汚損度が再利用可能な度合い以下となっている金券Sを、再利用可能であると判断して、再利用可能金券用の一時貯留部32g〜32iに送り込む。
【0073】
このとき、制御部15は、再利用可能であると判断した上記した金券S、つまり図2に示すように裏面の表記部3に一つの金券識別番号4のみが印刷されていた金券Sに対して、図3(a)に示すように、入金印刷部27によって、再利用可能券であることを示す例えば「○」からなる再利用マーク(再利用状況情報)5を、金券識別番号4に対応する位置に目視可能に印刷する。つまり、この再利用マーク5が印刷されていない金券Sが市場にあれば、それは再利用されたものではない新品の金券Sであると識別でき、この再利用マーク5が印刷された金券Sが市場にあれば、それは、この金券収納モードで金券処理装置11に収納された金券Sであると識別できる。
【0074】
なお、このとき、制御部15は、入金識別部24の画像検出装置25によって撮像された画像から金券Sの天地方向を判別して、入金識別部24のRFIDリーダ26で検出された当該金券Sの金券識別番号と関連付けて記憶部16に記憶する。そして、この判別結果に基づいて再利用マーク5を裏面の所定の表記部3内の所定の印刷位置に印刷する。表記部3内の印刷位置は、再利用の回数に応じた位置に設定される。
【0075】
例えば、新品つまり再利用0回且つ発行済みの金券Sの裏面には、図2に示すように、表記部3の上段位置に一つの金券識別番号4が視認可能に印刷されており、再利用マーク5は印刷されていない。このような金券Sについては、金券識別番号と対応していることが明確な例えば右側に隣り合う所定位置(再利用0回に応じた位置)に再利用マーク5である「○」を図3(a)に示すように印刷する。また、再利用一回且つ発行済みの金券Sの裏面には、図3(b)に示すように、表記部3の上段および中段位置に二つの金券識別番号4が視認可能に印刷されており、そのうちの一つである上側の金券識別番号には対応する位置にすでに再利用マーク5である「○」が印刷されている。このような金券Sについては、再利用マーク5が印刷されていない中段の金券識別番号4と対応していることが明確な例えば右側に隣り合う位置(再利用一回に応じた位置)に再利用マーク5である「○」を図3(c)に示すように印刷する。
【0076】
また、A社の新品且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面1000円の汚損度が所定度合いを超える金券Sと、A社の再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面1000円の汚損度が所定度合いを超える金券Sと、A社の再利用二回且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面1000円の金券Sとを一時貯留部32jに送り込む。また、A社の新品且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面5000円の汚損度が所定度合いを超える金券Sと、A社の再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面5000円の汚損度が所定度合いを超える金券Sと、A社の再利用二回且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面5000円の金券Sとを一時貯留部32kに送り込む。また、A社の新品且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面10000円の汚損度が所定度合いを超える金券Sと、A社の再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面10000円の汚損度が所定度合いを超える金券Sと、A社の再利用二回且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面10000円の金券Sとを一時貯留部32lに送り込む。つまり、入金識別部24の識別結果に基づいて制御部15が、再利用を許可した発行元A社の金券Sであって、再利用回数が次の出金時に規制された三回となる二回の金券Sと、再利用回数が一回以下であっても汚損度が再利用可能な度合いを超えている金券Sとを、再利用不可であると判断して、再利用不可金券用の一時貯留部32j〜32lに送り込む。
【0077】
このとき、一時貯留部32j〜32lに送り込む金券Sについて、制御部15は、汚損度によって再利用不可と判断されたものには、画像検出装置25の画像データによる天地方向の判別に基づく所定位置に、入金印刷部27によって図示略の汚損マークを印刷する。これにより、汚損度に起因して再利用不可と判断されたものであることを視認可能となる。また、再利用回数がすでに二回となっていて再利用不可と判断された金券Sについては、図3(d)に示すように、その裏面の表記部3の上段、中段および下段に三つの金券識別番号4が視認可能に印刷されており、そのうちの上段および中段の二つの金券識別番号4にそれぞれ対応してすでに再利用マーク5である「○」が印刷されている(後述する)。このような金券Sについては、画像検出装置25の画像データによる天地方向の判別に基づいて、再利用マーク5が印刷されていない表記部3の下段の金券識別番号4と対応して隣り合う位置に再利用マーク5である「○」を印刷する。その結果、再利用回数と同数の「○」が印刷されていることになり、これにより制限回数となったため再利用不可と判断された金券Sであることを視認可能となる。あるいは、これに代えて、使用済みであることを示す使用済みマークを印刷しても良い。
【0078】
さらに、B社の新品且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面1000円の金券Sを一時貯留部32mに、B社の新品且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面5000円の金券Sを一時貯留部32nに、B社の新品且つ発行済み且つ使用済み未確定の額面10000円の金券Sを一時貯留部32oに、それぞれ送り込む。つまり、入金識別部24の識別結果に基づいて制御部15が、再利用を許可していない発行元B社の金券Sで発行済みの金券Sを、再利用不可であると判断して、再利用不可金券用の一時貯留部32m〜32oに送り込む。このとき、制御部15は、画像検出装置25の画像データによる天地方向の判別に基づいて、一時貯留部32m〜32oに送り込む金券Sの裏面の所定の表記位置に、入金印刷部27によって図示略の使用済みマークを印刷する。
【0079】
そして、入金部21に投入されたすべての金券Sが一時貯留部32g〜32oあるいは入金リジェクト部28に送られると、制御部15は、今回の処理に対する入金識別部24の識別結果(金種別の計数値)を表示部14に表示させるとともに、承認操作またはキャンセル操作の入力を促す表示を表示部14に表示させる。操作部13にキャンセル操作が入力されると、制御部15は、引出ユニット35のロックを解除するとともに、今回の金券収納モードで記憶部16に記憶したデータを消去する。ユーザは引出ユニット35を引き出して一時貯留部32g〜32oから金券Sを取り出す。
【0080】
他方、操作部13に承認操作が入力されると、制御部15は、今回の金券収納モードによる処理を他の処理と識別する、モードの識別も含む処理識別番号と、すでに記憶部16に記憶されている、今回の処理で受入可と判定したすべての金券Sの金種および金券識別番号と、今回の処理で識別したユーザ識別番号と、今回の処理で受入可と判定したすべての金券Sの金種別の計数値とを関連付けして入金情報として記憶部16に記憶する。それとともに、一時貯留部32g〜32oの金券Sを対応する出金収納部36g〜36oに収納する。
【0081】
制御部15は、記憶部16に記憶した入金情報を通信部18を用いて発行元の管理サーバ17に、金券処理装置11の個別の装置識別番号と関連付けして送信することになり、この管理サーバ17において、送信された入金情報を上記した金券装填モードと同様に管理する。
【0082】
以上により、制御部15は、操作部13によって金券収納モードが設定された場合に、入金識別部24の識別結果に基づいて金券Sが再利用可能であるか否かを判断することになる。また、制御部15は、入金識別部24によって読み込まれた金券Sの発行元識別番号に基づいて当該金券Sが再利用可能であるか否かを判断することになる。また、制御部15は、入金識別部24によって読み込まれた金券Sの再利用回数を特定する使用状況識別番号に基づいて当該金券Sが再利用可能であるか否かを判断する。また、制御部15は、入金識別部24によって撮像された金券Sの画像に基づく汚損度によって当該金券Sが再利用可能であるか否かを判断する。
【0083】
「金券再利用モード」
金券再利用モードが選択設定された場合、制御部15は、額面毎の発行枚数の入力を促す表示を表示部14に表示させる。これを見てユーザが操作部13に、額面毎の発行枚数を入力する。すると、制御部15は、出金の指定を受け付けるスタート操作を促す表示を表示部14に表示させる。これを見てユーザが操作部13に、スタート操作を行う。
【0084】
操作部13にスタート操作が入力されると、制御部15は、すでに少なくとも一回発行済みの再利用可能券が収納された出金収納部36g〜36iのうちの対応するものの出金繰出機構40と、繰出搬送路42g〜42iのうちの対応するものと、出金搬送路41とを駆動する。すると、出金収納部36g〜36iのうちの駆動された出金繰出機構40が金券Sを一枚ずつ繰り出し、出金搬送路41が搬送する。出金搬送路41による搬送中の金券Sに対して、出金識別部44のRFIDリーダライタ46によってICチップ1から、金券識別番号および使用状況識別番号を含む金券情報を読み取るとともに、画像検出装置45によって画像を読み取って識別する。この出金識別部44の識別結果から、制御部15は、出金不可と判定した金券Sを、出金搬送路41および出金搬送路41から分岐する出金リジェクト搬送路47を介して出金リジェクト庫48に収納する。このとき、金券再利用モードで出金するのが適正である金券収納モードで入金された金券S、以外の金券Sも出金不可として出金リジェクト庫48に収納する。
【0085】
また、制御部15は、出金識別部44で出金可と識別された金券Sについて、RFIDリーダライタ46によって、ICチップ1に、それまで記憶されていた金券識別番号にかえて新たな金券識別番号を記憶するとともに、新品(再利用0回)且つ発行済み且つ使用済み未確定を示す使用状況識別番号が記憶されていた場合には、これにかえて、再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定を示す使用状況識別番号を更新記憶し、また、再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定を示す使用状況識別番号が記憶されていた場合には、これにかえて、再利用二回且つ発行済み且つ使用済み未確定を示す使用状況識別番号を更新記憶する。そして、対応する金種の計数値を加算し、金種および金券識別番号を記憶部16に記憶する。なお、制御部15は、新たな金券識別番号をICチップ1に記憶する際に、記憶部16に記憶していた金種識別番号と天地方向との関連データに対しても、金種識別番号を新たな金種識別番号に更新する。また、制御部15は、発行元の管理サーバ17と予め通信することで、新たな金種識別番号として使用可能に割り当てられた金種識別番号を記憶部16に記憶しており、この金種識別番号から所定の順番で番号を使用する。勿論、一度使用した金種識別番号を二度使用することはない。
【0086】
さらに、制御部15は、出金可と判断することによりICチップ1に新たな金種識別番号が書き込まれた上記の金券Sに、ICチップ1に記憶した新たな金券識別番号と同一の金券識別番号を、この金券識別番号に対応して記憶部16に記憶されている天地方向の判別と更新後の使用状況識別番号に含まれる再利用回数とに基づく所定の位置に、出金印刷部49によって視認可能に印刷する。つまり、再利用一回且つ発行済み且つ使用済み未確定を示す使用状況識別番号が上書きされた金券Sについては、裏面の表記部3に、図3(a)に示すように、上記した金券収納モードによって再利用マーク5が近接して印刷された金券識別番号4が、表記部3の上段に一つのみ印刷されているため、新たな金券識別番号4を、このすでに印刷されている金券識別番号4とは異なる所定の位置である表記部3の中段に図3(b)に示すように印刷する。また、再利用二回且つ発行済み且つ使用済み未確定を示す使用状況識別番号が上書きされた金券Sについては、図3(c)に示すように、上記した金券収納モードによって再利用マーク5が近接して印刷されていた金券識別番号4が、表記部3の上段および中段に二つ印刷されているため、新たな金券識別番号を、これらのすでに印刷されている金券識別番号とは異なる所定の位置である表記部3の下段に図3(d)に示すように印刷する。以上により、市場においては、再利用マーク5が近接して印刷されていない金券識別番号4が、新しい適正な金券識別番号4(図3(b)における中段の金券識別番号4、図3(d)における下段の金券識別番号4)であって、再利用マーク5が近接して印刷されている金券識別番号4(図3(b)における上段の金券識別番号4、図3(d)における上段および中段の金券識別番号4)は、古く適正でない金券識別番号であると識別できる。なお、上記においてはRFIDリーダライタ46による更新後の使用状況識別番号に基づいて印刷位置を割り出すようにしたが、勿論、更新前の使用状況識別番号に基づいて印刷位置を割り出すことも可能である。
【0087】
制御部15は、上記を繰り返して、新たな金券識別番号がICチップ1に書き込まれるとともに裏面の所定位置に印字された金券Sを、発行枚数分だけ出金部50に繰り出す。
【0088】
そして、制御部15は、入力された額面毎の発行枚数を出金部50に繰り出させると、繰り出しを終了して、金券再利用モードによる今回の処理を他の処理と識別する、モードの識別を含む処理識別番号と、今回の処理で識別したユーザ識別番号と、今回の金券再利用モードによって出金部50に出金されたすべての金券Sの古い金券識別番号および新たな金券識別番号と、今回の処理で出金部50に出金されたすべての金券Sの金種別の計数値とを関連付けして出金情報として記憶部16に記憶する。
【0089】
制御部15は、記憶部16に記憶した出金情報を通信部18を用いて発行元の管理サーバ17に、金券処理装置11の個別の装置識別番号と関連付けして送信することになり、この管理サーバ17において、送信された出金情報を上記した金券発行モードと同様に管理する。勿論、管理サーバ17は、古い金券識別番号に加えて、新たな金券識別番号についても同様に管理する。
【0090】
「金券回収モード」
金券回収モードが選択設定された場合、制御部15は、スタート操作を促す表示を表示部14に表示させる。これを見てユーザが操作部13にスタート操作を行う。操作部13にスタート操作が入力されると、制御部15は、発行済み且つ再利用不可な再利用不可券が収納された出金収納部36j〜36oの出金繰出機構40および出金搬送路41を駆動する。すると、出金収納部36j〜36oの出金繰出機構40が金券Sを一枚ずつ繰り出し、出金搬送路41が搬送する。出金搬送路41による搬送中に金券Sを出金識別部44で識別する。この出金識別部44の識別結果から、制御部15は、出金不可と判定した主として斜行の金券Sを、出金搬送路41および出金搬送路41から分岐する出金リジェクト搬送路47を介して出金リジェクト庫48に収納する。このとき、金券回収モードで出金するのが適正である金券収納モードで入金された金券S、以外の金券Sも出金不可として出金リジェクト庫48に収納する。
【0091】
そして、制御部15は、出金識別部44で出金可と識別された金券Sについては、対応する金種の計数値を加算し、出金識別部44で識別された金種および金券識別番号を記憶部16に記憶するとともに、出金部50に送り出す。これにより、再利用不可な使用済みの金券Sを計数しつつ出金することができる。
【0092】
制御部15は、出金収納部36j〜36oのすべての金券Sを繰り出させると、繰り出しを終了して、金券回収モードによる今回の処理を他の処理と識別する、モードの識別を含む処理識別番号と、今回の処理で識別したユーザ識別番号と、今回の金券回収モードによって出金部50に出金されたすべての金券Sの金券識別番号と、今回の処理で出金部50に出金されたすべての金券Sの金種別の計数値とを関連付けして出金情報として記憶部16に記憶する。
【0093】
制御部15は、記憶部16に記憶した出金情報を通信部18を用いて発行元の管理サーバ17に、金券処理装置11の個別の装置識別番号と関連付けして送信することになり、この管理サーバ17において、送信された出金情報を上記した金券発行モードと同様に管理する。
【0094】
なお、金券回収モードにおいて、出金する金券SのICチップ1から金券識別番号を消去するようにしても良い。
また、金券回収モードにおいて、発行元を指定し、指定した発行元の再利用不可な使用済みの金券Sのみを出金するようにしても良い。このようにすれば、発行元への返却時に発行元毎に分類しての返却が容易となる。
【0095】
以上に述べた本実施形態の金券処理装置11によれば、市場に発行済みで市場から回収された金券Sを入金部21に入金すると、入金識別部24が金券Sを識別し、制御部15がこの識別結果に基づいて金券Sが再利用可能であるか否かを判断して、再利用可能であると判断された金券Sを出金収納部36g〜36iに収納する一方、再利用可能でないと判断された金券Sを出金収納部36j〜36oに収納する。また、操作部13によって出金の指定を受け付けた場合に、制御部15が、再利用可能券を収納している出金収納部36g〜36iから金券Sを繰り出させることになり、この金券SのICチップ1にRFIDリーダライタ46によって新たな金種識別番号を書き込んで、出金部50に出金する。このように、市場に発行済みで市場から回収された金券Sを再利用可能な金券Sとそうでない金券Sとに分別して収納し、再利用可能な金券Sについては新たな金種識別番号を付与して出金することで、再利用することができる。
【0096】
また、操作部13によって、発行済みの金券Sを収納する金券収納モードが設定された場合に、制御部15が、入金識別部24の識別結果に基づいて金券Sが再利用可能であるか否かを判断するため、未発行の金券Sを装填する金券装填モードにおいては、必要のない、金券Sが再利用可能であるか否かの判断を略すことができる。
【0097】
また、操作部13が、ユーザを認証する認証装置12の認証結果に基づいて選択設定可能なモードを制御するため、ユーザの職位等に応じて使用できるモードを異ならせることができる。
【0098】
また、入金識別部24が、金券SのICチップ1から発行元識別番号を読み込むことになり、制御部15が、この金券Sの発行元識別番号に基づいて再利用可能であるか否かを判断することになるため、発行元毎に設定される再利用可能であるか否かの情報を発行元識別番号から容易且つ確実に判断することができる。
【0099】
また、入金識別部24が、金券SのICチップ1から再利用回数を特定する使用状況識別番号を読み込むことになり、制御部15が、この金券Sの再利用回数を特定する使用状況識別番号に基づいて再利用可能であるか否かを判断することになり、上記のように再利用回数に制限を設けて制限回数内であれば再利用可能とし、制限回数となれば再利用不可とすることになるため、新品に近い金券Sのみを再利用することができる。
【0100】
また、入金識別部24が、画像検出装置25によって金券Sの画像を撮像することになり、制御部15が、この撮像された金券Sの画像に基づいて再利用可能であるか否かを判断することになり、汚損のある金券Sを再利用不可とすることになるため、新品に近い金券Sのみを再利用することができる。
【0101】
また、制御部15によって再利用可能であると判断された金券Sに対して、入金印刷部27が、当該金券Sの再利用状況を識別するための再利用マーク5を視認可能に印刷するため、再利用されて出金された金券Sであることを容易に認識することができる。
【0102】
また、入金識別部24によって撮像された画像から制御部15が金券Sの天地方向を判別することになり、制御部15によって再利用可能であると判断された金券Sに、天地方向の判別結果に基づいて、入金印刷部27が当該金券Sの再利用状況を識別するための再利用マーク5を視認可能に印刷するため、再利用マーク5を適正な向きで金券Sに印刷することができる。
【0103】
また、操作部13によって、発行済み且つ再利用可能な金券Sを発行する金券再利用モードが設定された場合に、制御部15が、出金収納部36g〜36iから繰り出された金券SのICチップ1に新たな金券識別番号を書き込むため、未発行の金券Sを発行する金券発行モードおよび使用済みの金券Sを回収する金券回収モードにおいては、必要のない、新たな金券識別番号を書き込みを略すことができる。
【0104】
また、制御部15によってICチップ1に新たな金券識別番号が書き込まれた金券Sに対して、出金印刷部49が、当該金券Sの新たな金券識別番号と同一の金券識別番号4を視認可能に印刷するため、再利用されて出金された金券Sの新たな金券識別番号4を容易に認識することができる。
【0105】
また、制御部15が、入金識別部24の画像検出装置25によって撮像された画像から金券Sの天地方向を判別するとともに、入金識別部24のRFIDリーダ26によって識別された金券Sの金券識別番号とこの天地方向とを関連付けて記憶部16に記憶する。出金時に出金収納部36g〜36iから繰り出された金券SのICチップ1からRFIDリーダライタ46が金券識別番号および再利用回数を特定する使用状況識別番号を読み込むと、出金印刷部49が、RFIDリーダライタ46によって読み込まれた金券識別番号に対応する天地方向を記憶部16から読み出すとともに、制御部15によって金券SのICチップ1に書き込む新たな金券識別番号と同一の金券識別番号4を、当該金券Sにおける読み出された天地方向とRFIDリーダライタ46によって読み込まれた再利用回数とに基づく所定の印刷位置に天地方向を合わせて印刷する。よって、新たな金券識別番号4を金券Sの適正な位置に適正な向きで印刷することができる。
【0106】
また、上述した金券処理装置11が複数台設けられ、これらの金券処理装置11を共通の管理サーバ17に接続した管理システムを実現することにより、新品の金券Sの装填、新品の金券Sの発行、発行済み金券Sの収納、発行済み金券Sを再利用した発行、発行済み金券Sの回収を一括して管理することができる。
【0107】
なお、以上においては、金券Sを、その発行元を識別することで再利用可能か否かを判断するようにした。これは、金券Sの再利用可能か否かの設定は、基本的に発行元によって決められるものであるからである。しかしながら、同一発行元であっても、金種(額面)によって再利用可能か否かの設定が異なる場合には、発行元および金種を識別することで再利用可能か否かを判断するようにすれば良い。勿論、再利用可能な金券Sの金券識別番号を記憶部16に記憶しておき、この記憶部16に記憶されている金券識別番号と同じ金券識別番号を有する金券Sについてはこれを再利用可能と判断し、記憶部16に記憶されている金券識別番号と同じ金券識別番号をもたない金券Sについては、これを再利用不可と判断するようにしても良い。この場合、管理サーバ17から再利用可能な金券Sの金券識別番号を受信して記憶部16に記憶するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施形態の金券処理装置を概略的に示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態の金券処理装置で処理される金券の裏面の図である。
【図3】本発明の一実施形態の金券処理装置で処理される金券の印刷状態を順に示す表記部の図である。
【符号の説明】
【0109】
1 ICチップ
4 金券識別番号(識別番号)
5 再利用マーク(再利用状況情報)
11 金券処理装置
12 認証装置(認証手段)
13 操作部(指定手段,入金モード設定手段,出金モード設定手段)
15 制御部(判断手段,出金制御手段,書込制御手段,入金モード設定手段,出金モード設定手段,天地判別手段)
16 記憶部(記憶手段)
21 入金部
24 入金識別部(識別部)
26 入金印刷部(再利用状況情報印刷手段)
28 入金リジェクト口(入金リジェクト部)
36g〜36i 出金収納部(再利用可能券収納部)
36j〜36o 出金収納部(再利用不可券収納部)
46 RFIDリーダライタ(書込制御手段,読込手段)
49 出金印刷部(識別番号印刷手段)
50 出金部
S 金券

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップが埋め込まれた金券の入出金処理を行う金券処理装置であって、
金券が入金される入金部と、
該入金部に入金された金券の識別を行う識別部と、
該識別部の識別結果に基づいて金券が再利用可能であるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段によって再利用可能であると判断された金券を収納する再利用可能券収納部と、
前記判断手段によって再利用可能でないと判断された金券を収納する再利用不可券収納部と、
出金の指定を受け付ける指定手段と、
該指定手段によって出金の指定を受け付けた場合に前記再利用可能券収納部から金券を繰り出させる出金制御手段と、
前記再利用可能券収納部から繰り出された金券のICチップに新たな識別番号を書き込む書込制御手段と、
該書込制御手段により新たな識別番号がICチップに書き込まれた金券を出金する出金部とを備えたことを特徴とする金券処理装置。
【請求項2】
未発行の金券を装填する金券装填モードおよび発行済みの金券を収納する金券収納モードの中からいずれか一つのモードが選択設定される入金モード設定手段を備え、
前記判断手段は、前記入金モード設定手段によって金券収納モードが設定された場合に、前記識別部の識別結果に基づいて金券が再利用可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の金券処理装置。
【請求項3】
ユーザを認証する認証手段を備え、
前記入金モード設定手段は、前記認証手段の認証結果に基づいて選択設定可能なモードを制御することを特徴とする請求項2に記載の金券処理装置。
【請求項4】
前記識別部は、金券のICチップから識別番号を読み込み、
前記判断手段は、前記識別部によって読み込まれた金券の識別番号に基づいて当該金券が再利用可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金券処理装置。
【請求項5】
前記識別部は、金券のICチップから再利用回数を特定する特定情報を読み込み、
前記判断手段は、前記識別部によって読み込まれた金券の再利用回数を特定する特定情報に基づいて当該金券が再利用可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金券処理装置。
【請求項6】
前記識別部は、金券の画像を撮像するものであり、
前記判断手段は、前記識別部によって撮像された金券の画像に基づいて当該金券が再利用可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金券処理装置。
【請求項7】
前記判断手段によって再利用可能であると判断された金券に、当該金券の再利用状況を識別するための再利用状況情報を印刷する再利用状況情報印刷手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金券処理装置。
【請求項8】
前記識別部によって撮像された画像から金券の天地方向を判別する天地判別手段を備え、
前記判断手段によって再利用可能であると判断された金券に前記天地判別手段の判別結果に基づいて当該金券の再利用状況を識別するための再利用状況情報を印刷する再利用状況情報印刷手段を備えていることを特徴とする請求項6に記載の金券処理装置。
【請求項9】
未発行の金券を発行する金券発行モード、発行済み且つ再利用不可な金券を回収する金券回収モードおよび発行済み且つ再利用可能な金券を発行する金券再利用モードの中からいずれか一つのモードが選択設定される出金モード設定手段を備え、
前記書込制御手段は、前記出金モード設定手段によって金券再利用モードが設定された場合に、前記再利用可能券収納部から繰り出された金券のICチップに新たな識別番号を書き込むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の金券処理装置。
【請求項10】
ユーザを認証する認証手段を備え、
前記出金モード設定手段は、前記認証手段の認証結果に基づいて選択設定可能なモードを制御することを特徴とする請求項9に記載の金券処理装置。
【請求項11】
前記書込制御手段によってICチップに新たな識別番号が書き込まれた金券に、当該金券の新たな識別番号と同一の識別番号を印刷する識別番号印刷手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の金券処理装置。
【請求項12】
前記識別部は、金券のICチップから識別番号および再利用回数を特定する特定情報を読み込むとともに、金券の画像を撮像するものであり、
前記識別部によって撮像された画像から金券の天地方向を判別する天地判別手段と、
前記識別部によって識別された金券の識別番号と当該金券の前記天地判別手段による天地方向とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記再利用可能券収納部から繰り出された金券のICチップから識別番号および再利用回数を特定する特定情報を読み込む読込手段と、
該読込手段によって読み込まれた識別番号に対応する天地方向を前記記憶手段から読み出すとともに、前記書込制御手段によって金券のICチップに書き込む新たな識別番号と同一の識別番号を、当該金券における前記読み出された天地方向と前記読込手段によって読み込まれた再利用回数とに基づく所定の印刷位置に印刷する識別番号印刷手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の金券処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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