金属サンドイッチパネル及びその製造方法
【課題】断熱性や意匠性の低下を抑えながら効率よく製造することができ、コーナー用としても利用可能な金属サンドイッチパネルを提供する。
【解決手段】二枚の金属外皮1、2の間に芯材3が充填された金属サンドイッチパネルAに関する。前記一方の金属外皮1の側端部を屈曲させて前記芯材3の側端面を被覆する側面カバー片70が設けられる。この側面カバー片70を屈曲させて前記他方の金属外皮2側に配置される端部カバー片71が設けられる。この端部カバー片71の先端部を屈曲させて前記芯材3に形成された係止溝82に挿入される係止片72が形成される。前記他方の金属外皮2の側端部を屈曲させて前記芯材3に形成された他の係止溝83に挿入される他の係止片77が形成される。
【解決手段】二枚の金属外皮1、2の間に芯材3が充填された金属サンドイッチパネルAに関する。前記一方の金属外皮1の側端部を屈曲させて前記芯材3の側端面を被覆する側面カバー片70が設けられる。この側面カバー片70を屈曲させて前記他方の金属外皮2側に配置される端部カバー片71が設けられる。この端部カバー片71の先端部を屈曲させて前記芯材3に形成された係止溝82に挿入される係止片72が形成される。前記他方の金属外皮2の側端部を屈曲させて前記芯材3に形成された他の係止溝83に挿入される他の係止片77が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外装材などとして使用可能な金属サンドイッチパネルであって、特に、外壁のコーナーパネルとして好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、二枚の金属外皮の間に芯材を充填した平板状の金属サンドイッチパネルが提案されている。このような金属サンドイッチパネルは、その複数枚を縦横に並設して外壁を形成することなどに用いられている。この場合、外壁の出隅や入隅などコーナー部分にはL型等に屈曲された金属サンドイッチパネルを用いるようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
コーナー用の金属サンドイッチパネルを製造するにあたっては、例えば、平板状の金属サンドイッチパネルを形成した後、この金属サンドイッチパネルの横方向の略中央部において、裏面側の金属外皮及び芯材を切除することによって、金属サンドイッチパネルの縦方向の全長にわたってV字溝を形成し、この後、V字溝の部分で金属サンドイッチパネルを屈曲することによって、L型に屈曲されたコーナー用の金属サンドイッチパネルを形成することができる。また他の方法としては、二枚の金属外皮の横方向の略中央部を専用の金型を用いてV型又はL型に成形し、この後、二枚の金属外皮に芯材を充填することにより、V型又はL型に屈曲されたコーナー用の金属サンドイッチパネルを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−238744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、平板状の金属サンドイッチパネルからコーナー用の金属サンドイッチパネルを形成する場合は、平板状の金属サンドイッチパネルを作製してから屈曲しなければならず、作製に手間がかかり効率が悪いという問題があった。また、裏面側の金属外皮の切除したり、表面側の金属外皮を屈曲したりするために、切除部分や屈曲部分の水密性や耐久性が低下しやすいという問題があった。また、水密性の向上のために、現場施工でシール作業をして止水構造を形成しているが、作業者のシール作業の熟練度やミスにより止水が不十分となるおそれがあり、あるいはシール作業自体を行わない可能性もあり、品質管理上の問題となることがあった。また、断熱性のある芯材を用いた場合では連続性がなくなって断熱性能の低下のおそれがあった。さらに、屈曲した内側に補強用あるいは化粧カバー用の別部材が必要になり、部品点数の増加や作製に手間がかかり、効率が悪いという問題があり、また意匠性の低下を生じるおそれがあった。
【0006】
一方、金属外皮を予め屈曲した後、芯材を充填してコーナー用の金属サンドイッチパネルを形成する場合は、平板状の金属サンドイッチパネルを製造するのとは別に、専用の金型などの設備と工程が必要となり、効率が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、断熱性や意匠性の低下を抑えながら効率よく製造することができ、コーナー用としても利用可能な金属サンドイッチパネル及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る金属サンドイッチパネルは、二枚の金属外皮の間に芯材が充填された金属サンドイッチパネルであって、前記一方の金属外皮の側端部を屈曲させて前記芯材の側端面を被覆する側面カバー片が設けられ、この側面カバー片を屈曲させて前記他方の金属外皮側に配置される端部カバー片が設けられ、この端部カバー片の先端部を屈曲させて前記芯材に形成された係止溝に挿入される係止片が形成され、前記他方の金属外皮の側端部を屈曲させて前記芯材に形成された他の係止溝に挿入される他の係止片が形成されて成ることを特徴とするものである。
【0009】
前記芯材は、断熱性を有する断熱性芯材と断熱性芯材よりも硬質な連結芯材とを備え、前記係止溝は前記連結芯材に形成されていることが好ましい。
【0010】
前記芯材は、係止溝が形成される部分が他の部分よりも耐火性が高い材料で形成されていることが好ましい。
【0011】
前記芯材は、その一部に補強部が形成され、この補強部に前記他方の金属外皮が固定具で固定されているのが好ましい。
【0012】
本発明に係る金属サンドイッチパネルの製造方法は、二枚の金属外皮の間に芯材が充填された金属サンドイッチパネルの製造方法であって、前記一方の金属外皮の側端部を屈曲させて側面カバー片を形成すると共にこの側面カバー片を屈曲させて端部カバー片を設け、この端部カバー片の先端部を屈曲させて係止片を形成し、前記他方の金属外皮の側端部を屈曲させて他の係止片を形成し、前記芯材に複数の係止溝を形成し、二枚の金属外皮の間に芯材を充填し、前記側面カバー片で前記芯材の側端面を被覆すると共に前記端部カバー片で芯材の端部を被覆し、前記係止片を前記係止溝に挿入することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、側面カバー片により建物のコーナーを形成することにより、平板状の金属サンドイッチパネルを屈曲することなくコーナー用としても利用することができるものである。また、専用の金型等を使用せずに既存の平板状の金属サンドイッチパネルの製造設備で製造することができ、しかも、金属外皮の切除や屈曲による水密性や耐久性の低下が少なく、芯材の欠損や外面に意匠性が低下するような部材を設ける必要がなく、断熱性や意匠性の低下を抑えながら効率よく製造することができるものである。また、係止片を係止溝に挿入することにより、芯材に二枚の金属外皮を係止することができ、製造時等において二枚の金属外皮の位置ずれを少なくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の断面図である。
【図3】同上の一部の斜視図である。
【図4】同上の底面図である。
【図5】同上の金属外皮の一例を示し、(a)乃至(c)は一部の断面図である。
【図6】同上の断熱性芯材と補強材との一例を示す一部の斜視図である。
【図7】(a)は同上の連結芯材の一例を示す一部の斜視図、(b)は同上の端部芯材の一例を示す一部の斜視図である。
【図8】同上の連結部材の一例を示す斜視図である。
【図9】同上の断面図である。
【図10】同上の一部を示し、(a)及び(b)は断面図である。
【図11】同上の取付プレートと係止部材を取り付けた状態を示し、(a)は一部の背面図、(b)は断面図、(c)は施工状態の一部の断面図、(d)は施工状態の一部の断面図である。
【図12】同上の施工例を示す概略の断面図である。
【図13】同上の他の施工例を示す概略の断面図である。
【図14】同上の他の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図15】同上の一部を示す断面図である。
【図16】(a)は同上の連結芯材の他例を示す一部の斜視図、(b)は同上の端部芯材の他例を示す一部の斜視図である。
【図17】同上の他の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図18】同上の他の実施の形態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
本実施の形態の金属サンドイッチパネルAは、図1に示すように、縦張り用に形成されるものであるが、これに限らず、横張り用に形成されていてもよい。
【0017】
金属サンドイッチパネルAは、図2に示すように、二枚の金属外皮1、2、芯材3、補強材4などを備えて形成されている。このような金属サンドイッチパネルAはALC板などの建築板よりも断熱性に優れる断熱パネルとして形成することができ、また、耐火性能にも優れる耐火パネルとして形成することができる。
【0018】
金属外皮1、2は、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタン板などの金属板をロール成形加工や折り曲げ加工などで屈曲させて所望の形状に成形することにより得ることができる。また、金属外皮1、2の厚みは、例えば、0.25〜2.0mmにすることができる。一方の金属外皮1は表面板として形成され、他方の金属外皮2は裏面板として形成されている。金属サンドイッチパネルAが建物の外装材として用いられる場合、表面板を建物の屋外側に向け、裏面板を屋内側に向けるようにして施工することができる。
【0019】
表面板として形成される一方の金属外皮1は、図3,4に示すように、略平板状の板状部10と、板状部10の上端から後方に略垂直に突設された上突出片11と、上突出片11の先端から上方に向けて突出された上突条部12と、板状部10の下端から後方に略垂直に突設された下突出片13と、下突出片13の先端から下方に向けて突出された下突条部14と、板状部10の一方の側端から後方に突設された連結片15と、板状部10の他方の側端から後方に略垂直に突設された側面カバー片70と、側面カバー片70の先端から板状部10の側端部と略平行となるように略垂直に突設された端部カバー片71と、端部カバー片71の先端から前方(板状部10側)に向かって略垂直に突設された係止片72と、側面カバー片70の上端から金属外皮1の裏面側(芯材3側)に向かって略垂直に突設された上側部突出片73と、上側部突出片73の先端から上方に向けて突出された上側部突条部74と、側面カバー片70の下端から金属外皮1の裏面側(芯材3側)に向かって略垂直に突設された下側部突出片75と、下側部突出片75の先端から下方に向けて突出された下側部突条部76とを備えて形成されている。
【0020】
板状部10は、図5(a)のように表面が凹凸のない平滑面に形成されたもの、図5(b)のように断面略波形に成形されて表面が凹凸になったもの、図5(c)のようにエンボス加工により表面が凹凸になったものなどを例示することができる。
【0021】
上突出片11及び上突条部12は金属外皮1の短手方向(幅方向)の略全長にわたって形成されており、上突条部12は下面が開口する断面略コ字状に形成されている。また、上側部突出片73及び上側部突条部74は金属外皮1の厚み方向(前後方向)の略全長にわたって形成されており、上側部突条部74は下面が開口する断面略コ字状に形成されている。上突出片11と上側部突出片73は側面カバー片70を形成した方の側端部で連なって形成されていると共に、上突条部12と上側部突条部74も側面カバー片70を形成した方の側端部で連なって形成されている。
【0022】
下突出片13及び下突条部14は金属外皮1の短手方向(幅方向)の略全長にわたって形成されており、下突条部14は上面が開口する断面略コ字状に形成されている。また、下側部突出片75及び下側部突条部76は金属外皮1の厚み方向(前後方向)の略全長にわたって形成されており、下側部突条部76は下面が開口する断面略コ字状に形成されている。下突出片13と下側部突出片75は側面カバー片70形成した方の側端部で連なって形成されていると共に、下突条部14と下側部突条部76も側面カバー片70形成した方の側端部で連なって形成されている。
【0023】
連結片15は、板状部10の一方の側端から後方に略垂直に突設された基部片16と、基部片16の先端から外側方(表面側)に突設された前突条部17と、前突条部17の後端部から後方に突設された連結固定片18とを備えて形成されている。連結片15は金属外皮1の長手方向(上下方向)の略全長にわたって形成されており、前突条部17は内側方(裏面側)が開口する断面略コ字状に形成されている。側面カバー片70と端部カバー片71及び係止片72は金属外皮1の長手方向(上下方向)の略全長にわたって形成されている。係止片72の突出長さは、適宜調整可能であるが、5〜20mmとすることが好ましい。
【0024】
裏面板として形成される他方の金属外皮2は、略平板状の板状部20と、板状部20の上端から前方に略垂直に突設された上突出片21と、板状部20の下端から前方に略垂直に突設された下突出片23と、板状部20の一方の側端から前方に突設された連結片25と、板状部20の他方の側端から前方に略垂直に突設された係止片77とを備えて形成されている。板状部20は、表面が凹凸のない平滑面に形成されたものなどを例示することができる。また、上突出片21は金属外皮2の幅方向の略全長にわたって形成されている。また、下突出片23は金属外皮2の幅方向の略全長にわたって形成されている。また、連結片25は、板状部20の一方の側端から外側方に突設された後突条部27と、後突条部27の前端部から前方に突設された連結固定片28とを備えて形成されている。連結片25は金属外皮2の長手方向(上下方向)の略全長にわたって形成されており、後突条部27は裏面側(内面側)が開口する断面略コ字状に形成されている。また、係止片77は金属外皮2の長手方向(上下方向)の略全長にわたって形成されている。係止片77の突出長さは上記係止片72と同等にすることができる。
【0025】
芯材3は、断熱性を有する断熱性芯材3aと、断熱性芯材3aよりも硬質な連結芯材3bと、耐火性に優れる端部芯材3cとを備えて形成されている。
【0026】
断熱性芯材3aは断熱性に優れ、且つ耐火性にも優れるものであることが好ましく、図6に示すように、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材料を細長いブロック状(角棒状)に固めてラメラとして形成されている。また、断熱性芯材3aは、例えば、長さ300〜10000mm、幅30〜150mm、厚み20〜120mm、密度80〜200kg/m3に形成されているが、これに限定されるものではない。尚、10000mm程度の長尺の断熱性芯材3aを形成する場合は、複数本の短尺(例えば、2000mm以下)の断熱性芯材3aを長手方向に接合して使用することができる。
【0027】
連結芯材3bは断熱性芯材3aよりも硬質な材質であればよく、プラスチックや無機質材で形成することができるが、耐火性に優れるものであることが好ましく、例えば、硫酸カルシウム2水和物を主成分とする石膏や珪酸カルシウムなどを用いて形成されている。連結芯材3bはその長手方向の寸法が金属サンドイッチパネルAの長手方向の寸法と略同等に形成された矩形板状に形成することができる。連結芯材3bは、例えば、長手方向の寸法を300〜10000mm、短手方向の寸法を幅30〜300mm、厚み寸法を5〜50mmとすることができる。また、連結芯材3bは市販の石膏ボードを所定の大きさに切断して形成することができる。
【0028】
端部芯材3cは、断熱性芯材3aよりも高い耐火性能を有するものであって、連結芯材3bと同様に硬質な材料であることが好ましい。端部芯材3cは、連結芯材3bと同様に、硫酸カルシウム2水和物を主成分とする石膏や珪酸カルシウムなどを用いて形成されている。また、端部芯材3cは連結芯材3bと同様に、例えば、長手方向の寸法を300〜10000mm、短手方向の寸法を幅30〜150mm、厚み寸法を5〜50mmとすることができ、また、市販の石膏ボードを所定の大きさに切断して形成することができる。
【0029】
図7(a)に示すように、連結芯材3bには一対の長溝部78、79が形成されている。一対の長溝部78、79は連結芯材3bの後面に凹設されており、連結芯材3bの長手方向の全長にわたって形成されている。また、一対の長溝部78、79は互いに略平行に形成されており、長溝部78、79の両端部は連結芯材3bの長手方向の両端面(上端面と下端面)にそれぞれ開口されている。また、金属サンドイッチパネルAの上端部と下端部に設けられる端部芯材3cには、図7(b)に示すように、一対の短溝部80、81が形成されている。一対の短溝部80、81の後面に凹設されており、端部芯材3cの厚み方向(上下方向)の全長にわたって形成されている。また、一対の短溝部80、81は互いに略平行に形成されており、短溝部80、81の両端部は端部芯材3cの厚み方向の両端面(上端面と下端面)にそれぞれ開口されている。そして、一方の長溝部78と上下の端部芯材3cに設けた一方の短溝部80とが連通することにより一方の係止溝82が形成され、他方の長溝部79と上下の端部芯材3cに設けた他方の短溝部81とが連通することにより他方の係止溝83が形成される。係止溝82と係止溝83の間隔は、適宜設定可能であるが、10〜30mmにすることができる。また、係止溝82、83の深さ寸法は係止片72、77の突出寸法と同じかやや大きめに形成されている。また、係止溝82、83の幅寸法は係止片72、77の厚み寸法と同じかやや大きめに形成されている。
【0030】
補強材4は、図6に示すように、金属板を折り曲げ加工することにより細長い部材に形成されている。補強材4を形成するための金属板は厚み0.3〜3.5mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、補強材4の長さ寸法は断熱性芯材3aの長さ寸法と略同等に形成されている。補強材4は、矩形板状の固着片4aと、固着片4aの両方の長手端部に略垂直に突設した一対の対向する補強片4b、4bとを備えて断面略U字状に形成されている。補強片4bの高さ寸法(固着片4a側の基部から先端までの寸法)L1は、断熱性芯材3aの厚み寸法L2よりも小さく形成されており、例えば、補強片4bの高さ寸法は、断熱性芯材3の厚み寸法の1/2から1/10にすることができる。
【0031】
連結部材6は、図8に示すように、金属板を折り曲げ加工することにより形成された短寸部材(ピース状部材)に形成されている。連結部材6を形成するための金属板は厚み0.3〜3.5mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、連結部材6は、固定部6aと位置決め部6bとが略垂直に連なって断面略L字状に形成されている。固定部6aは位置決め部6bよりも長く形成されており、固定部6aの長さL3は耐火パネルAの厚み寸法の半分よりもやや長く形成され、例えば、20〜100mmに形成することができる。また、位置決め部6bの長さL4は端部芯材3cの短手方向の寸法(幅寸法)の半分程度の長さに形成され、例えば、5〜30mmに形成することができる。
【0032】
そして、金属サンドイッチパネルAは以下のようにして製造される。まず、上記一方の金属外皮1に接着剤を塗布する。この場合、一方の金属外皮1の裏面(芯材3を接着する面)を上側に向けた状態にし、板状部10、上突出片11、下突出片13、側面カバー片70、端部カバー片71、上側部突出片73、基部片16等の芯材3と接着する略全面にわたって接着剤を塗布する。次に、接着剤を塗布した一方の金属外皮1に芯材3を配置する。この場合、まず、端部芯材3cを金属外皮1の上下端部(短辺側端部)の内側に沿って配置する。この時、上下の端部芯材3c、3cの短溝部80、80に係止片72の一方の端部(上端部)と他方の端部(下端部)を挿入する。次に、長溝部82に係止片72を挿入しながら連結芯材3bを配置する。次に、他の端部芯材3cを金属外皮1の左右の端部(長辺側端部)の内側に沿って配置する。次に、補強材4を取り付けた複数本の断熱性芯材3a(補強部85)を板状部10の上に載置する。次に、残りの断熱性芯材3aを板状部10の上に載置する。
【0033】
金属外皮1の長辺の連結片15の内面に沿って配置される端部芯材3cには、図9に示すように、予め連結部材6が複数個ずつ接着して設けることができる。連結部材6の固定部6aを内面(断熱性芯材3a側の面)に沿わせる。連結部材6の位置決め部6bは、図10(a)に示すように、端部芯材3cの後面と裏面側の金属外皮2の裏面(内面)との間に配置されている。また、図10(b)に示すように、連結部材6の位置決め部6bは、端部芯材3cの前面と表面側の金属外皮1の裏面(内面)との間に配置されていてもよい。位置決め部6bが端部芯材3cの前面又は後面に係止されることにより、連結部材6の位置決めが容易に行える。また、金属外皮1の長辺の側面カバー片71の内面に沿って配置される端部芯材3cには連結部材6を設ける必要はない。また、金属外皮1の上辺に沿って配置される端部芯材3cの短溝部80には、係止片72の一方の端部(上端部)が挿入される。金属外皮1の下辺に沿って配置される端部芯材3cの短溝部80には、係止片72の他方の端部(下端部)が挿入される。
【0034】
図6に示すように、断熱性芯材3aには補強材4が設けられている。この場合、断熱性芯材3aの前面又は後面と補強材4の固着片4aの裏面とを接着すると共に断熱性芯材3aの各側面に補強材4の各補強片4bを添わせることによって、断熱性芯材3aのほぼ全長にわたって補強材4が取り付けられている。補強材4を設けた複数本の断熱性芯材3aは、その長手方向が金属外皮1の長手方向(縦方向)と略平行となるように配置される。また、隣り合う断熱性芯材3aは側面同士を密着して配置されているが、隣り合う断熱性芯材3aのそれぞれに設けた補強材4は逆向きにして配置される。すなわち、補強材4の固着片4aの表面が一方の金属外皮1の裏面に向けられた断熱性芯材3aと、補強材4の固着片4aの表面が金属外皮1の裏面と反対側に向けられた断熱性芯材3aとが、金属外皮1の短手方向に交互に並んで配置されている。固着片4aの表面と断熱性芯材3aの固着片4aで覆われていない前面又は後面は、一方の金属外皮1の裏面に接着されている。尚、補強材4を設けた芯材3の横方向への配置数を増減させることによって、幅寸法(短手方向の寸法)が異なる金属サンドイッチパネルAに対応することができる。
【0035】
連結芯材3bは、一方の長溝部78に係止片72が挿入されて、金属外皮1の短辺に沿って配置される端部芯材3cの間に配置されている。また、連結芯材3bの一方の側端部は、側面カバー片70に沿って配置される端部芯材3cと端部カバー片71との間に配置される。連結芯材3bの他方の側端部は端部カバー片71で覆われないで突出しており、他方の長溝部79が露出している。また、金属外皮1の短辺に沿って配置される端部芯材3cの短溝部81が長溝部79の上端及び下端で連通している。
【0036】
また、複数本の断熱性芯材3aのうち、板状部10と連結芯材3bとの間に配置される断熱性芯材3aは一対の補強材4で前後に挟まれており、これにより、芯材3の補強部85が形成されている。この補強部85により連結芯材3bの補強や耐火性能を向上させることができる。
【0037】
上記のようにして、一方の金属外皮1に芯材3を配置した後、他方の金属外皮2を芯材3の上に被せて配置する。金属外皮2の板状部20の裏面(芯材3側の面)には接着剤が塗布されている。また、金属外皮1の上辺に沿って配置された端部芯材3cの短溝部81には、金属外皮2の係止片77の一方の端部(上端部)が挿入される。金属外皮1の下辺に沿って配置された端部芯材3cの短溝部81には、金属外皮2の係止片77の他方の端部(下端部)が挿入される。また、金属外皮2の係止片77の両端部以外は連結芯材3bの長溝部79に挿入される。また、金属外皮2の長辺の連結片25は、金属外皮1の連結片15に沿って配置される端部芯材3cの外面に沿わせて配置する。
【0038】
次に、上記のように一対の金属外皮1、2の間に芯材3を配置した状態で加熱加圧成形する。加熱加圧成形にはダブルコンベアなどの加熱加圧成形装置を用いることができる。この加熱加圧成形により金属外皮1、2を芯材3に圧着しながら接着剤を硬化させることによって、金属外皮1、2と芯材3とを一体化することができる。そして、金属外皮1、2は連結芯材3bと上下の端部芯材3cとにわたって形成されている係止溝82、83に係止片72、77を挿入して係止しているので、金属外皮1、2が連結芯材3bで連結されて位置ずれしにくくなるものである。
【0039】
上記のようにして金属外皮1、2と芯材3とを接着して一体化した後、一方の金属外皮1の側端部に設けた連結片15の連結固定部18と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されると共に、他方の金属外皮2の側端部に設けた連結片25と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されることによって、連結部材6及び固定具30により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結される。この場合、固定具30は、連結固定部18や連結片25の外側面から端部芯材3cを貫通して連結部材6に結合される。
【0040】
また、一方の金属外皮1の端部カバー片71の表面からビス等の固定具84をねじ込むと共に他方の金属外皮2の係止片77側の側端部の表面からビス等の固定具84をねじ込むことによって、一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とを連結芯材3bに固定する。これらの固定具84は連結芯材3bを貫通して補強部85の補強材4に締結する。固定具84は金属外皮1、2の長手方向(上下方向)に複数個並べて設けることができる。そして、連結芯材3b及び固定具84により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが強固に連結されるものである。また、連結芯材3bは金属サンドイッチパネルAに内蔵されているために、外側から見えにくくなり、意匠性の低下を抑えることができるものである。さらに、断熱性芯材3aに欠損が生じることがなく、断熱性の低下を抑えることができるものである。また、本発明の金属サンドイッチパネルAは、通常の平板状の金属サンドイッチパネルと同様の設備や行程を用いて製造することができ、効率よく製造することができるものである。
【0041】
上記のようにして形成される金属サンドイッチパネルAは、図11に示すように、例えば、その裏面に設けた金属製の取付プレート38と金属製の係止部材40とを用いて施工される。金属サンドイッチパネルAの上部には横長の矩形板状の金属製の補強プレート36が金属外皮2の表面に取り付けられており、この補強プレート36の表面に一対の矩形板状の取付プレート38が横方向に並べて取り付けられている。取付プレート38はその下部の表面からワンサイトボルトなどの固定具37を差し込んで固定される。固定具37は取付プレート38と補強プレート36と金属外皮2を貫通し、金属サンドイッチパネルAの内部の補強材4の固着片4aに係止される。また、取付プレート38の上部は金属サンドイッチパネルAの上端よりも上側に突出している。
【0042】
一方、金属サンドイッチパネルAの下部には、上記とは別の横長の矩形板状の金属製の補強プレート36が金属外皮2の表面に取り付けられており、この補強プレート36の表面に一対の係止部材40が横方向に並べて取り付けられている。係止部材40はZ字状のクリップであって、その上部の表面からワンサイトボルトなどの固定具37を差し込んで固定される。固定具37は係止部材40と補強プレート36と金属外皮2を貫通し、金属サンドイッチパネルAの内部の補強材4の固着片4aに係止される。また、係止部材40の下部は補強プレート36の下端よりも下側に突出している。
【0043】
そして、金属サンドイッチパネルAを施工するにあたっては、取付プレート38の上部を梁などの壁下地88に溶接等で固着することによって、取付プレート38を介して金属サンドイッチパネルAの上部を壁下地88に取り付けることができる。また、係止部材40の下部を上記とは別の梁などの壁下地88に引っ掛けることによって、係止部材40を介して金属サンドイッチパネルAの下部を壁下地88に取り付けることができる。また、係止部材40を引っ掛けた壁下地88には自重受け金具35を設け、この自重受け金具35の受け片35aに金属サンドイッチパネルAの下端を載置すると共に自重受け金具35の上部をワンサイドボルトなどの固定具37で補強プレート36と金属外皮2及び補強材4の固着片4aに係止することができる。
【0044】
上記のようにして施工された金属サンドイッチパネルAは、建物の出隅などのコーナー部分を形成するために用いることができる。図12に示すように、建物の外壁のコーナー部分において、梁などの壁下地88は略直角に屈曲して配置されているが、上記の金属サンドイッチパネルAは、直角に屈曲した壁下地88のうちの一方の屋外側に配設される。また、直角に屈曲した壁下地88のうちの他方の屋外側には、別の建築用パネルBが配設される。この別の建築用パネルBとしては、金属サンドイッチパネルや金属サイジング材やALCなどの各種パネルを用いることができる。そして、この別の建築用パネルBの表面(屋外面)と本発明の金属サンドイッチパネルAの側面カバー片70の表面とは、略面一になるように配置される。また、別の建築用パネルBの側端面と金属サンドイッチパネルAの裏面とが隣接して配置されて目地90が形成されている。この目地90には、耐火性の目地材91やシーリング材92などが配置されている。さらに、上記金属サンドイッチパネルAの側面カバー片70と反対側の側方には、別の建築用パネルBが隣接して配置される。この場合、金属サンドイッチパネルAの側端面と別の建築用パネルBの側端面との間に目地90が形成され、この目地90に耐火性の目地材91やシーリング材92などが配置されている。また、図13に示すように、上記金属サンドイッチパネルAの側面カバー片70側の側端部を、隣接する他の建築用パネルBの表面側に配置することもできる。
【0045】
図14、15に他の実施の形態を示す。この金属サンドイッチパネルAでは、一方の金属外皮1の係止片72が端部カバー片71の裏面側に折返し屈曲して形成されている。また、他方の金属外皮2の係止片77が板状部20の裏面側に折返し屈曲して形成されている。さらに、図16(a)(b)に示すように、係止溝82、83は係止片72、77が挿入できるように、図7(a)(b)に比べて、幅広で浅く形成されている。その他の構成は上記と同様である。この金属サンドイッチパネルAでは、連結芯材3bや端部芯材3cに形成される係止溝82、83が浅く形成されているために、係止溝82、83が深く形成される場合に比べて、連結芯材3bや端部芯材3cの耐火性能の低減を抑えることができるものである。
【0046】
図17、18に他の実施の形態を示す。図17の金属サンドイッチパネルAは、金属外皮1の板状部10と側面カバー片70との間の角度が鈍角に形成され、側面カバー片70と端部カバー片71との間の角度が鋭角に形成されている。図18の金属サンドイッチパネルAは、金属外皮1の板状部10と側面カバー片70との間の角度が鋭角に形成され、側面カバー片70と端部カバー片71との間の角度が鈍角に形成されている。このように本発明の金属サンドイッチパネルAは、側面カバー片70や端部カバー片71の屈曲角度を変えることにより、直角のコーナー部分でなく、鋭角や鈍角のコーナー部分を形成することができるものである。
【符号の説明】
【0047】
A 金属サンドイッチパネル
1 金属外皮
2 金属外皮
3 芯材
3a 断熱性芯材
3b 連結芯材
70 側面カバー片
71 端部カバー片
72 係止片
77 係止片
82 係止溝
83 係止溝
84 固定具
85 補強部
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外装材などとして使用可能な金属サンドイッチパネルであって、特に、外壁のコーナーパネルとして好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、二枚の金属外皮の間に芯材を充填した平板状の金属サンドイッチパネルが提案されている。このような金属サンドイッチパネルは、その複数枚を縦横に並設して外壁を形成することなどに用いられている。この場合、外壁の出隅や入隅などコーナー部分にはL型等に屈曲された金属サンドイッチパネルを用いるようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
コーナー用の金属サンドイッチパネルを製造するにあたっては、例えば、平板状の金属サンドイッチパネルを形成した後、この金属サンドイッチパネルの横方向の略中央部において、裏面側の金属外皮及び芯材を切除することによって、金属サンドイッチパネルの縦方向の全長にわたってV字溝を形成し、この後、V字溝の部分で金属サンドイッチパネルを屈曲することによって、L型に屈曲されたコーナー用の金属サンドイッチパネルを形成することができる。また他の方法としては、二枚の金属外皮の横方向の略中央部を専用の金型を用いてV型又はL型に成形し、この後、二枚の金属外皮に芯材を充填することにより、V型又はL型に屈曲されたコーナー用の金属サンドイッチパネルを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−238744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、平板状の金属サンドイッチパネルからコーナー用の金属サンドイッチパネルを形成する場合は、平板状の金属サンドイッチパネルを作製してから屈曲しなければならず、作製に手間がかかり効率が悪いという問題があった。また、裏面側の金属外皮の切除したり、表面側の金属外皮を屈曲したりするために、切除部分や屈曲部分の水密性や耐久性が低下しやすいという問題があった。また、水密性の向上のために、現場施工でシール作業をして止水構造を形成しているが、作業者のシール作業の熟練度やミスにより止水が不十分となるおそれがあり、あるいはシール作業自体を行わない可能性もあり、品質管理上の問題となることがあった。また、断熱性のある芯材を用いた場合では連続性がなくなって断熱性能の低下のおそれがあった。さらに、屈曲した内側に補強用あるいは化粧カバー用の別部材が必要になり、部品点数の増加や作製に手間がかかり、効率が悪いという問題があり、また意匠性の低下を生じるおそれがあった。
【0006】
一方、金属外皮を予め屈曲した後、芯材を充填してコーナー用の金属サンドイッチパネルを形成する場合は、平板状の金属サンドイッチパネルを製造するのとは別に、専用の金型などの設備と工程が必要となり、効率が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、断熱性や意匠性の低下を抑えながら効率よく製造することができ、コーナー用としても利用可能な金属サンドイッチパネル及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る金属サンドイッチパネルは、二枚の金属外皮の間に芯材が充填された金属サンドイッチパネルであって、前記一方の金属外皮の側端部を屈曲させて前記芯材の側端面を被覆する側面カバー片が設けられ、この側面カバー片を屈曲させて前記他方の金属外皮側に配置される端部カバー片が設けられ、この端部カバー片の先端部を屈曲させて前記芯材に形成された係止溝に挿入される係止片が形成され、前記他方の金属外皮の側端部を屈曲させて前記芯材に形成された他の係止溝に挿入される他の係止片が形成されて成ることを特徴とするものである。
【0009】
前記芯材は、断熱性を有する断熱性芯材と断熱性芯材よりも硬質な連結芯材とを備え、前記係止溝は前記連結芯材に形成されていることが好ましい。
【0010】
前記芯材は、係止溝が形成される部分が他の部分よりも耐火性が高い材料で形成されていることが好ましい。
【0011】
前記芯材は、その一部に補強部が形成され、この補強部に前記他方の金属外皮が固定具で固定されているのが好ましい。
【0012】
本発明に係る金属サンドイッチパネルの製造方法は、二枚の金属外皮の間に芯材が充填された金属サンドイッチパネルの製造方法であって、前記一方の金属外皮の側端部を屈曲させて側面カバー片を形成すると共にこの側面カバー片を屈曲させて端部カバー片を設け、この端部カバー片の先端部を屈曲させて係止片を形成し、前記他方の金属外皮の側端部を屈曲させて他の係止片を形成し、前記芯材に複数の係止溝を形成し、二枚の金属外皮の間に芯材を充填し、前記側面カバー片で前記芯材の側端面を被覆すると共に前記端部カバー片で芯材の端部を被覆し、前記係止片を前記係止溝に挿入することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、側面カバー片により建物のコーナーを形成することにより、平板状の金属サンドイッチパネルを屈曲することなくコーナー用としても利用することができるものである。また、専用の金型等を使用せずに既存の平板状の金属サンドイッチパネルの製造設備で製造することができ、しかも、金属外皮の切除や屈曲による水密性や耐久性の低下が少なく、芯材の欠損や外面に意匠性が低下するような部材を設ける必要がなく、断熱性や意匠性の低下を抑えながら効率よく製造することができるものである。また、係止片を係止溝に挿入することにより、芯材に二枚の金属外皮を係止することができ、製造時等において二枚の金属外皮の位置ずれを少なくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の断面図である。
【図3】同上の一部の斜視図である。
【図4】同上の底面図である。
【図5】同上の金属外皮の一例を示し、(a)乃至(c)は一部の断面図である。
【図6】同上の断熱性芯材と補強材との一例を示す一部の斜視図である。
【図7】(a)は同上の連結芯材の一例を示す一部の斜視図、(b)は同上の端部芯材の一例を示す一部の斜視図である。
【図8】同上の連結部材の一例を示す斜視図である。
【図9】同上の断面図である。
【図10】同上の一部を示し、(a)及び(b)は断面図である。
【図11】同上の取付プレートと係止部材を取り付けた状態を示し、(a)は一部の背面図、(b)は断面図、(c)は施工状態の一部の断面図、(d)は施工状態の一部の断面図である。
【図12】同上の施工例を示す概略の断面図である。
【図13】同上の他の施工例を示す概略の断面図である。
【図14】同上の他の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図15】同上の一部を示す断面図である。
【図16】(a)は同上の連結芯材の他例を示す一部の斜視図、(b)は同上の端部芯材の他例を示す一部の斜視図である。
【図17】同上の他の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図18】同上の他の実施の形態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
本実施の形態の金属サンドイッチパネルAは、図1に示すように、縦張り用に形成されるものであるが、これに限らず、横張り用に形成されていてもよい。
【0017】
金属サンドイッチパネルAは、図2に示すように、二枚の金属外皮1、2、芯材3、補強材4などを備えて形成されている。このような金属サンドイッチパネルAはALC板などの建築板よりも断熱性に優れる断熱パネルとして形成することができ、また、耐火性能にも優れる耐火パネルとして形成することができる。
【0018】
金属外皮1、2は、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタン板などの金属板をロール成形加工や折り曲げ加工などで屈曲させて所望の形状に成形することにより得ることができる。また、金属外皮1、2の厚みは、例えば、0.25〜2.0mmにすることができる。一方の金属外皮1は表面板として形成され、他方の金属外皮2は裏面板として形成されている。金属サンドイッチパネルAが建物の外装材として用いられる場合、表面板を建物の屋外側に向け、裏面板を屋内側に向けるようにして施工することができる。
【0019】
表面板として形成される一方の金属外皮1は、図3,4に示すように、略平板状の板状部10と、板状部10の上端から後方に略垂直に突設された上突出片11と、上突出片11の先端から上方に向けて突出された上突条部12と、板状部10の下端から後方に略垂直に突設された下突出片13と、下突出片13の先端から下方に向けて突出された下突条部14と、板状部10の一方の側端から後方に突設された連結片15と、板状部10の他方の側端から後方に略垂直に突設された側面カバー片70と、側面カバー片70の先端から板状部10の側端部と略平行となるように略垂直に突設された端部カバー片71と、端部カバー片71の先端から前方(板状部10側)に向かって略垂直に突設された係止片72と、側面カバー片70の上端から金属外皮1の裏面側(芯材3側)に向かって略垂直に突設された上側部突出片73と、上側部突出片73の先端から上方に向けて突出された上側部突条部74と、側面カバー片70の下端から金属外皮1の裏面側(芯材3側)に向かって略垂直に突設された下側部突出片75と、下側部突出片75の先端から下方に向けて突出された下側部突条部76とを備えて形成されている。
【0020】
板状部10は、図5(a)のように表面が凹凸のない平滑面に形成されたもの、図5(b)のように断面略波形に成形されて表面が凹凸になったもの、図5(c)のようにエンボス加工により表面が凹凸になったものなどを例示することができる。
【0021】
上突出片11及び上突条部12は金属外皮1の短手方向(幅方向)の略全長にわたって形成されており、上突条部12は下面が開口する断面略コ字状に形成されている。また、上側部突出片73及び上側部突条部74は金属外皮1の厚み方向(前後方向)の略全長にわたって形成されており、上側部突条部74は下面が開口する断面略コ字状に形成されている。上突出片11と上側部突出片73は側面カバー片70を形成した方の側端部で連なって形成されていると共に、上突条部12と上側部突条部74も側面カバー片70を形成した方の側端部で連なって形成されている。
【0022】
下突出片13及び下突条部14は金属外皮1の短手方向(幅方向)の略全長にわたって形成されており、下突条部14は上面が開口する断面略コ字状に形成されている。また、下側部突出片75及び下側部突条部76は金属外皮1の厚み方向(前後方向)の略全長にわたって形成されており、下側部突条部76は下面が開口する断面略コ字状に形成されている。下突出片13と下側部突出片75は側面カバー片70形成した方の側端部で連なって形成されていると共に、下突条部14と下側部突条部76も側面カバー片70形成した方の側端部で連なって形成されている。
【0023】
連結片15は、板状部10の一方の側端から後方に略垂直に突設された基部片16と、基部片16の先端から外側方(表面側)に突設された前突条部17と、前突条部17の後端部から後方に突設された連結固定片18とを備えて形成されている。連結片15は金属外皮1の長手方向(上下方向)の略全長にわたって形成されており、前突条部17は内側方(裏面側)が開口する断面略コ字状に形成されている。側面カバー片70と端部カバー片71及び係止片72は金属外皮1の長手方向(上下方向)の略全長にわたって形成されている。係止片72の突出長さは、適宜調整可能であるが、5〜20mmとすることが好ましい。
【0024】
裏面板として形成される他方の金属外皮2は、略平板状の板状部20と、板状部20の上端から前方に略垂直に突設された上突出片21と、板状部20の下端から前方に略垂直に突設された下突出片23と、板状部20の一方の側端から前方に突設された連結片25と、板状部20の他方の側端から前方に略垂直に突設された係止片77とを備えて形成されている。板状部20は、表面が凹凸のない平滑面に形成されたものなどを例示することができる。また、上突出片21は金属外皮2の幅方向の略全長にわたって形成されている。また、下突出片23は金属外皮2の幅方向の略全長にわたって形成されている。また、連結片25は、板状部20の一方の側端から外側方に突設された後突条部27と、後突条部27の前端部から前方に突設された連結固定片28とを備えて形成されている。連結片25は金属外皮2の長手方向(上下方向)の略全長にわたって形成されており、後突条部27は裏面側(内面側)が開口する断面略コ字状に形成されている。また、係止片77は金属外皮2の長手方向(上下方向)の略全長にわたって形成されている。係止片77の突出長さは上記係止片72と同等にすることができる。
【0025】
芯材3は、断熱性を有する断熱性芯材3aと、断熱性芯材3aよりも硬質な連結芯材3bと、耐火性に優れる端部芯材3cとを備えて形成されている。
【0026】
断熱性芯材3aは断熱性に優れ、且つ耐火性にも優れるものであることが好ましく、図6に示すように、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材料を細長いブロック状(角棒状)に固めてラメラとして形成されている。また、断熱性芯材3aは、例えば、長さ300〜10000mm、幅30〜150mm、厚み20〜120mm、密度80〜200kg/m3に形成されているが、これに限定されるものではない。尚、10000mm程度の長尺の断熱性芯材3aを形成する場合は、複数本の短尺(例えば、2000mm以下)の断熱性芯材3aを長手方向に接合して使用することができる。
【0027】
連結芯材3bは断熱性芯材3aよりも硬質な材質であればよく、プラスチックや無機質材で形成することができるが、耐火性に優れるものであることが好ましく、例えば、硫酸カルシウム2水和物を主成分とする石膏や珪酸カルシウムなどを用いて形成されている。連結芯材3bはその長手方向の寸法が金属サンドイッチパネルAの長手方向の寸法と略同等に形成された矩形板状に形成することができる。連結芯材3bは、例えば、長手方向の寸法を300〜10000mm、短手方向の寸法を幅30〜300mm、厚み寸法を5〜50mmとすることができる。また、連結芯材3bは市販の石膏ボードを所定の大きさに切断して形成することができる。
【0028】
端部芯材3cは、断熱性芯材3aよりも高い耐火性能を有するものであって、連結芯材3bと同様に硬質な材料であることが好ましい。端部芯材3cは、連結芯材3bと同様に、硫酸カルシウム2水和物を主成分とする石膏や珪酸カルシウムなどを用いて形成されている。また、端部芯材3cは連結芯材3bと同様に、例えば、長手方向の寸法を300〜10000mm、短手方向の寸法を幅30〜150mm、厚み寸法を5〜50mmとすることができ、また、市販の石膏ボードを所定の大きさに切断して形成することができる。
【0029】
図7(a)に示すように、連結芯材3bには一対の長溝部78、79が形成されている。一対の長溝部78、79は連結芯材3bの後面に凹設されており、連結芯材3bの長手方向の全長にわたって形成されている。また、一対の長溝部78、79は互いに略平行に形成されており、長溝部78、79の両端部は連結芯材3bの長手方向の両端面(上端面と下端面)にそれぞれ開口されている。また、金属サンドイッチパネルAの上端部と下端部に設けられる端部芯材3cには、図7(b)に示すように、一対の短溝部80、81が形成されている。一対の短溝部80、81の後面に凹設されており、端部芯材3cの厚み方向(上下方向)の全長にわたって形成されている。また、一対の短溝部80、81は互いに略平行に形成されており、短溝部80、81の両端部は端部芯材3cの厚み方向の両端面(上端面と下端面)にそれぞれ開口されている。そして、一方の長溝部78と上下の端部芯材3cに設けた一方の短溝部80とが連通することにより一方の係止溝82が形成され、他方の長溝部79と上下の端部芯材3cに設けた他方の短溝部81とが連通することにより他方の係止溝83が形成される。係止溝82と係止溝83の間隔は、適宜設定可能であるが、10〜30mmにすることができる。また、係止溝82、83の深さ寸法は係止片72、77の突出寸法と同じかやや大きめに形成されている。また、係止溝82、83の幅寸法は係止片72、77の厚み寸法と同じかやや大きめに形成されている。
【0030】
補強材4は、図6に示すように、金属板を折り曲げ加工することにより細長い部材に形成されている。補強材4を形成するための金属板は厚み0.3〜3.5mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、補強材4の長さ寸法は断熱性芯材3aの長さ寸法と略同等に形成されている。補強材4は、矩形板状の固着片4aと、固着片4aの両方の長手端部に略垂直に突設した一対の対向する補強片4b、4bとを備えて断面略U字状に形成されている。補強片4bの高さ寸法(固着片4a側の基部から先端までの寸法)L1は、断熱性芯材3aの厚み寸法L2よりも小さく形成されており、例えば、補強片4bの高さ寸法は、断熱性芯材3の厚み寸法の1/2から1/10にすることができる。
【0031】
連結部材6は、図8に示すように、金属板を折り曲げ加工することにより形成された短寸部材(ピース状部材)に形成されている。連結部材6を形成するための金属板は厚み0.3〜3.5mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、連結部材6は、固定部6aと位置決め部6bとが略垂直に連なって断面略L字状に形成されている。固定部6aは位置決め部6bよりも長く形成されており、固定部6aの長さL3は耐火パネルAの厚み寸法の半分よりもやや長く形成され、例えば、20〜100mmに形成することができる。また、位置決め部6bの長さL4は端部芯材3cの短手方向の寸法(幅寸法)の半分程度の長さに形成され、例えば、5〜30mmに形成することができる。
【0032】
そして、金属サンドイッチパネルAは以下のようにして製造される。まず、上記一方の金属外皮1に接着剤を塗布する。この場合、一方の金属外皮1の裏面(芯材3を接着する面)を上側に向けた状態にし、板状部10、上突出片11、下突出片13、側面カバー片70、端部カバー片71、上側部突出片73、基部片16等の芯材3と接着する略全面にわたって接着剤を塗布する。次に、接着剤を塗布した一方の金属外皮1に芯材3を配置する。この場合、まず、端部芯材3cを金属外皮1の上下端部(短辺側端部)の内側に沿って配置する。この時、上下の端部芯材3c、3cの短溝部80、80に係止片72の一方の端部(上端部)と他方の端部(下端部)を挿入する。次に、長溝部82に係止片72を挿入しながら連結芯材3bを配置する。次に、他の端部芯材3cを金属外皮1の左右の端部(長辺側端部)の内側に沿って配置する。次に、補強材4を取り付けた複数本の断熱性芯材3a(補強部85)を板状部10の上に載置する。次に、残りの断熱性芯材3aを板状部10の上に載置する。
【0033】
金属外皮1の長辺の連結片15の内面に沿って配置される端部芯材3cには、図9に示すように、予め連結部材6が複数個ずつ接着して設けることができる。連結部材6の固定部6aを内面(断熱性芯材3a側の面)に沿わせる。連結部材6の位置決め部6bは、図10(a)に示すように、端部芯材3cの後面と裏面側の金属外皮2の裏面(内面)との間に配置されている。また、図10(b)に示すように、連結部材6の位置決め部6bは、端部芯材3cの前面と表面側の金属外皮1の裏面(内面)との間に配置されていてもよい。位置決め部6bが端部芯材3cの前面又は後面に係止されることにより、連結部材6の位置決めが容易に行える。また、金属外皮1の長辺の側面カバー片71の内面に沿って配置される端部芯材3cには連結部材6を設ける必要はない。また、金属外皮1の上辺に沿って配置される端部芯材3cの短溝部80には、係止片72の一方の端部(上端部)が挿入される。金属外皮1の下辺に沿って配置される端部芯材3cの短溝部80には、係止片72の他方の端部(下端部)が挿入される。
【0034】
図6に示すように、断熱性芯材3aには補強材4が設けられている。この場合、断熱性芯材3aの前面又は後面と補強材4の固着片4aの裏面とを接着すると共に断熱性芯材3aの各側面に補強材4の各補強片4bを添わせることによって、断熱性芯材3aのほぼ全長にわたって補強材4が取り付けられている。補強材4を設けた複数本の断熱性芯材3aは、その長手方向が金属外皮1の長手方向(縦方向)と略平行となるように配置される。また、隣り合う断熱性芯材3aは側面同士を密着して配置されているが、隣り合う断熱性芯材3aのそれぞれに設けた補強材4は逆向きにして配置される。すなわち、補強材4の固着片4aの表面が一方の金属外皮1の裏面に向けられた断熱性芯材3aと、補強材4の固着片4aの表面が金属外皮1の裏面と反対側に向けられた断熱性芯材3aとが、金属外皮1の短手方向に交互に並んで配置されている。固着片4aの表面と断熱性芯材3aの固着片4aで覆われていない前面又は後面は、一方の金属外皮1の裏面に接着されている。尚、補強材4を設けた芯材3の横方向への配置数を増減させることによって、幅寸法(短手方向の寸法)が異なる金属サンドイッチパネルAに対応することができる。
【0035】
連結芯材3bは、一方の長溝部78に係止片72が挿入されて、金属外皮1の短辺に沿って配置される端部芯材3cの間に配置されている。また、連結芯材3bの一方の側端部は、側面カバー片70に沿って配置される端部芯材3cと端部カバー片71との間に配置される。連結芯材3bの他方の側端部は端部カバー片71で覆われないで突出しており、他方の長溝部79が露出している。また、金属外皮1の短辺に沿って配置される端部芯材3cの短溝部81が長溝部79の上端及び下端で連通している。
【0036】
また、複数本の断熱性芯材3aのうち、板状部10と連結芯材3bとの間に配置される断熱性芯材3aは一対の補強材4で前後に挟まれており、これにより、芯材3の補強部85が形成されている。この補強部85により連結芯材3bの補強や耐火性能を向上させることができる。
【0037】
上記のようにして、一方の金属外皮1に芯材3を配置した後、他方の金属外皮2を芯材3の上に被せて配置する。金属外皮2の板状部20の裏面(芯材3側の面)には接着剤が塗布されている。また、金属外皮1の上辺に沿って配置された端部芯材3cの短溝部81には、金属外皮2の係止片77の一方の端部(上端部)が挿入される。金属外皮1の下辺に沿って配置された端部芯材3cの短溝部81には、金属外皮2の係止片77の他方の端部(下端部)が挿入される。また、金属外皮2の係止片77の両端部以外は連結芯材3bの長溝部79に挿入される。また、金属外皮2の長辺の連結片25は、金属外皮1の連結片15に沿って配置される端部芯材3cの外面に沿わせて配置する。
【0038】
次に、上記のように一対の金属外皮1、2の間に芯材3を配置した状態で加熱加圧成形する。加熱加圧成形にはダブルコンベアなどの加熱加圧成形装置を用いることができる。この加熱加圧成形により金属外皮1、2を芯材3に圧着しながら接着剤を硬化させることによって、金属外皮1、2と芯材3とを一体化することができる。そして、金属外皮1、2は連結芯材3bと上下の端部芯材3cとにわたって形成されている係止溝82、83に係止片72、77を挿入して係止しているので、金属外皮1、2が連結芯材3bで連結されて位置ずれしにくくなるものである。
【0039】
上記のようにして金属外皮1、2と芯材3とを接着して一体化した後、一方の金属外皮1の側端部に設けた連結片15の連結固定部18と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されると共に、他方の金属外皮2の側端部に設けた連結片25と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されることによって、連結部材6及び固定具30により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結される。この場合、固定具30は、連結固定部18や連結片25の外側面から端部芯材3cを貫通して連結部材6に結合される。
【0040】
また、一方の金属外皮1の端部カバー片71の表面からビス等の固定具84をねじ込むと共に他方の金属外皮2の係止片77側の側端部の表面からビス等の固定具84をねじ込むことによって、一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とを連結芯材3bに固定する。これらの固定具84は連結芯材3bを貫通して補強部85の補強材4に締結する。固定具84は金属外皮1、2の長手方向(上下方向)に複数個並べて設けることができる。そして、連結芯材3b及び固定具84により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが強固に連結されるものである。また、連結芯材3bは金属サンドイッチパネルAに内蔵されているために、外側から見えにくくなり、意匠性の低下を抑えることができるものである。さらに、断熱性芯材3aに欠損が生じることがなく、断熱性の低下を抑えることができるものである。また、本発明の金属サンドイッチパネルAは、通常の平板状の金属サンドイッチパネルと同様の設備や行程を用いて製造することができ、効率よく製造することができるものである。
【0041】
上記のようにして形成される金属サンドイッチパネルAは、図11に示すように、例えば、その裏面に設けた金属製の取付プレート38と金属製の係止部材40とを用いて施工される。金属サンドイッチパネルAの上部には横長の矩形板状の金属製の補強プレート36が金属外皮2の表面に取り付けられており、この補強プレート36の表面に一対の矩形板状の取付プレート38が横方向に並べて取り付けられている。取付プレート38はその下部の表面からワンサイトボルトなどの固定具37を差し込んで固定される。固定具37は取付プレート38と補強プレート36と金属外皮2を貫通し、金属サンドイッチパネルAの内部の補強材4の固着片4aに係止される。また、取付プレート38の上部は金属サンドイッチパネルAの上端よりも上側に突出している。
【0042】
一方、金属サンドイッチパネルAの下部には、上記とは別の横長の矩形板状の金属製の補強プレート36が金属外皮2の表面に取り付けられており、この補強プレート36の表面に一対の係止部材40が横方向に並べて取り付けられている。係止部材40はZ字状のクリップであって、その上部の表面からワンサイトボルトなどの固定具37を差し込んで固定される。固定具37は係止部材40と補強プレート36と金属外皮2を貫通し、金属サンドイッチパネルAの内部の補強材4の固着片4aに係止される。また、係止部材40の下部は補強プレート36の下端よりも下側に突出している。
【0043】
そして、金属サンドイッチパネルAを施工するにあたっては、取付プレート38の上部を梁などの壁下地88に溶接等で固着することによって、取付プレート38を介して金属サンドイッチパネルAの上部を壁下地88に取り付けることができる。また、係止部材40の下部を上記とは別の梁などの壁下地88に引っ掛けることによって、係止部材40を介して金属サンドイッチパネルAの下部を壁下地88に取り付けることができる。また、係止部材40を引っ掛けた壁下地88には自重受け金具35を設け、この自重受け金具35の受け片35aに金属サンドイッチパネルAの下端を載置すると共に自重受け金具35の上部をワンサイドボルトなどの固定具37で補強プレート36と金属外皮2及び補強材4の固着片4aに係止することができる。
【0044】
上記のようにして施工された金属サンドイッチパネルAは、建物の出隅などのコーナー部分を形成するために用いることができる。図12に示すように、建物の外壁のコーナー部分において、梁などの壁下地88は略直角に屈曲して配置されているが、上記の金属サンドイッチパネルAは、直角に屈曲した壁下地88のうちの一方の屋外側に配設される。また、直角に屈曲した壁下地88のうちの他方の屋外側には、別の建築用パネルBが配設される。この別の建築用パネルBとしては、金属サンドイッチパネルや金属サイジング材やALCなどの各種パネルを用いることができる。そして、この別の建築用パネルBの表面(屋外面)と本発明の金属サンドイッチパネルAの側面カバー片70の表面とは、略面一になるように配置される。また、別の建築用パネルBの側端面と金属サンドイッチパネルAの裏面とが隣接して配置されて目地90が形成されている。この目地90には、耐火性の目地材91やシーリング材92などが配置されている。さらに、上記金属サンドイッチパネルAの側面カバー片70と反対側の側方には、別の建築用パネルBが隣接して配置される。この場合、金属サンドイッチパネルAの側端面と別の建築用パネルBの側端面との間に目地90が形成され、この目地90に耐火性の目地材91やシーリング材92などが配置されている。また、図13に示すように、上記金属サンドイッチパネルAの側面カバー片70側の側端部を、隣接する他の建築用パネルBの表面側に配置することもできる。
【0045】
図14、15に他の実施の形態を示す。この金属サンドイッチパネルAでは、一方の金属外皮1の係止片72が端部カバー片71の裏面側に折返し屈曲して形成されている。また、他方の金属外皮2の係止片77が板状部20の裏面側に折返し屈曲して形成されている。さらに、図16(a)(b)に示すように、係止溝82、83は係止片72、77が挿入できるように、図7(a)(b)に比べて、幅広で浅く形成されている。その他の構成は上記と同様である。この金属サンドイッチパネルAでは、連結芯材3bや端部芯材3cに形成される係止溝82、83が浅く形成されているために、係止溝82、83が深く形成される場合に比べて、連結芯材3bや端部芯材3cの耐火性能の低減を抑えることができるものである。
【0046】
図17、18に他の実施の形態を示す。図17の金属サンドイッチパネルAは、金属外皮1の板状部10と側面カバー片70との間の角度が鈍角に形成され、側面カバー片70と端部カバー片71との間の角度が鋭角に形成されている。図18の金属サンドイッチパネルAは、金属外皮1の板状部10と側面カバー片70との間の角度が鋭角に形成され、側面カバー片70と端部カバー片71との間の角度が鈍角に形成されている。このように本発明の金属サンドイッチパネルAは、側面カバー片70や端部カバー片71の屈曲角度を変えることにより、直角のコーナー部分でなく、鋭角や鈍角のコーナー部分を形成することができるものである。
【符号の説明】
【0047】
A 金属サンドイッチパネル
1 金属外皮
2 金属外皮
3 芯材
3a 断熱性芯材
3b 連結芯材
70 側面カバー片
71 端部カバー片
72 係止片
77 係止片
82 係止溝
83 係止溝
84 固定具
85 補強部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の金属外皮の間に芯材が充填された金属サンドイッチパネルであって、前記一方の金属外皮の側端部を屈曲させて前記芯材の側端面を被覆する側面カバー片が設けられ、この側面カバー片を屈曲させて前記他方の金属外皮側に配置される端部カバー片が設けられ、この端部カバー片の先端部を屈曲させて前記芯材に形成された係止溝に挿入される係止片が形成され、前記他方の金属外皮の側端部を屈曲させて前記芯材に形成された他の係止溝に挿入される他の係止片が形成されて成ることを特徴とする金属サンドイッチパネル。
【請求項2】
前記芯材は、断熱性を有する断熱性芯材と断熱性芯材よりも硬質な連結芯材とを備え、前記係止溝は前記連結芯材に形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の金属サンドイッチパネル。
【請求項3】
前記芯材は、係止溝が形成される部分が他の部分よりも耐火性が高い材料で形成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属サンドイッチパネル。
【請求項4】
前記芯材は、その一部に補強部が形成され、この補強部に前記一方の金属外皮及び他方の金属外皮が固定具で固定されて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属サンドイッチパネル。
【請求項5】
二枚の金属外皮の間に芯材が充填された金属サンドイッチパネルの製造方法であって、前記一方の金属外皮の側端部を屈曲させて側面カバー片を形成すると共にこの側面カバー片を屈曲させて端部カバー片を設け、この端部カバー片の先端部を屈曲させて係止片を形成し、前記他方の金属外皮に他の係止片の側端部を屈曲させて形成し、前記芯材に複数の係止溝を形成し、二枚の金属外皮の間に芯材を充填し、前記側面カバー片で前記芯材の側端面を被覆すると共に前記端部カバー片で芯材の端部を被覆し、前記係止片を前記係止溝に挿入することを特徴とする金属サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項1】
二枚の金属外皮の間に芯材が充填された金属サンドイッチパネルであって、前記一方の金属外皮の側端部を屈曲させて前記芯材の側端面を被覆する側面カバー片が設けられ、この側面カバー片を屈曲させて前記他方の金属外皮側に配置される端部カバー片が設けられ、この端部カバー片の先端部を屈曲させて前記芯材に形成された係止溝に挿入される係止片が形成され、前記他方の金属外皮の側端部を屈曲させて前記芯材に形成された他の係止溝に挿入される他の係止片が形成されて成ることを特徴とする金属サンドイッチパネル。
【請求項2】
前記芯材は、断熱性を有する断熱性芯材と断熱性芯材よりも硬質な連結芯材とを備え、前記係止溝は前記連結芯材に形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の金属サンドイッチパネル。
【請求項3】
前記芯材は、係止溝が形成される部分が他の部分よりも耐火性が高い材料で形成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属サンドイッチパネル。
【請求項4】
前記芯材は、その一部に補強部が形成され、この補強部に前記一方の金属外皮及び他方の金属外皮が固定具で固定されて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属サンドイッチパネル。
【請求項5】
二枚の金属外皮の間に芯材が充填された金属サンドイッチパネルの製造方法であって、前記一方の金属外皮の側端部を屈曲させて側面カバー片を形成すると共にこの側面カバー片を屈曲させて端部カバー片を設け、この端部カバー片の先端部を屈曲させて係止片を形成し、前記他方の金属外皮に他の係止片の側端部を屈曲させて形成し、前記芯材に複数の係止溝を形成し、二枚の金属外皮の間に芯材を充填し、前記側面カバー片で前記芯材の側端面を被覆すると共に前記端部カバー片で芯材の端部を被覆し、前記係止片を前記係止溝に挿入することを特徴とする金属サンドイッチパネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−172333(P2012−172333A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33263(P2011−33263)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]