説明

金属チューブ容器及びその製造方法

【課題】従来通りの工程から逸脱することなく、胴部外周面の印刷を美麗に仕上げ、かつ安定して均一な厚みを有する内面塗膜が得られる金属チューブ容器を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも筒状胴部と胴部より細く絞られた肩部と内容物の吐出部とが一体成形された金属チューブにおいて、胴部と肩部との接合部(切り替え部)の円周外面が角度をもって屈曲しており、該切り替え部の円周内面はアールをもって形成されている金属チューブ容器である。前記切り替え部の円周内面のアールが、R0.5〜2.0であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定した内面塗膜が得られる金属チューブ容器及び金属チューブ容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アルミニウム等を材料とする金属チューブは、一般的に99.7%の純アルミを用いたインパクトプレス法により一体成形される。インパクトプレス機の一例としては、特許文献1が挙げられる。
かかる金属チューブの材料であるアルミニウム等材料自体は、加工性が良く低コストであるが酸ともアルカリとも反応するため、単身では容器としての適応範囲が狭い。そのため、チューブ内面には、エポキシ樹脂等の焼き付け塗装(コーティング)を施して、内容物との反応を防止する手法が必須となる。
【0003】
一方、近年、金属チューブは堅くて使い難く、バルク残量も多く、使用中に破れて中身が漏出する可能性もあり、胴部外面に商品性の高い美麗な印刷が難しい等の欠点が指摘されている。
また、樹脂グレードやUVインキの開発、樹脂成形技術の進歩等により、多くの分野でチューブ容器の樹脂化も進展している。現在、アルミニウムチューブが採用されている分野は、医薬品、工業用品、染毛剤等であり、樹脂チューブでは中身の品質が保てない特殊な分野のみに限定されている。すなわち金属チューブは、バリヤ性が高く、エアバックせずバージン性も高いといった機能に鑑みて、樹脂チューブでは品質が保てない特殊な分野で用いられている。
【0004】
そこで内容物の特殊性から金属チューブにおいては、これまで以上に内面塗装技術の重要性が高まっている。特に組成中に強アルカリ性の染料を含む染毛剤は金属チューブの浸食度合いが強く、より内面塗装技術に対する要求特性が高い。具体的にはアルミ生地との接触を完全に防ぐため、内容物に対する耐性の高い塗膜を精度良く均一に厚塗りすることが求められている。一般的な内面塗装法としては、特許文献2、3等が挙げられる。
【0005】
ここで金属チューブの内面塗装における困難性は、金属チューブの内部構造に起因する。図7は従来の金属チューブの塗装状態を示す部分断面図である。図7に示すように金属チューブ70は、筒状の胴部71、胴部71より細く絞られた肩部72と、内容物の吐出部74及びその先端である開口部を封止する閉鎖膜75等によって構成される。このような複雑な形状の内壁面に、均一に塗膜76を形成し焼き付けるのは非常に困難である。
特に均一な内面塗装76が困難な部位は、胴部71と肩部72との接合部(以下、「切り替え部」という。)77である。かかる接合部は角度をもって屈曲しているため、当該部位に塗料を厚塗りしようとすると、角部分に塗料による溜まりが生じたり、表面張力や吹き付けの際の風圧によって塗料が流出する「はじき」という現象が生じて塗膜厚が不均一になっていた。そして、塗膜厚を安定して均一な厚みを有する内面塗膜を得るための内面塗装法の調整が困難であった。
さらに上記金属チューブ70では、外側の印刷(地塗り)78を美麗に仕上げるために、胴部と肩部との接合部の円周外側79は角度を持って屈曲している必要がある。そのため、単に胴部と肩部との接合部をアールをもって形成するだけでは要求を満たす金属チューブが得られないという問題もあった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−150196号公報
【特許文献2】特開平8−300078号公報
【特許文献3】特開2006−96381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の金属チューブが抱える上記の問題点を解消するもので、従来通りの工程から逸脱することなく、胴部外周面の印刷を美麗に仕上げ、かつ安定して均一な厚みを有する内面塗膜が得られる金属チューブ容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究した結果、金属チューブの胴部と肩部との接点部(切り替え部)の円周内面をアール状に形成し、かつ切り替え部の円周外面は角度を持って屈曲させることにより、安定した内面塗膜と共に外側の地塗りも美麗に仕上がることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を有する。
(1)本発明は、少なくとも筒状胴部と胴部より細く絞られた肩部と内容物の吐出部とが一体成形された金属チューブにおいて、胴部と肩部との接合部(切り替え部)の円周外面は角度をもって屈曲しており、該切り替え部の円周内面はアールをもって形成されていることを特徴とした金属チューブ容器である。
(2)前記金属チューブがアルミニウムを主成分とする材料によって形成されていることを特徴とする上記(1)記載の金属チューブ容器である。
(3)前記吐出部の開口部が金属部材によって封止され、かつ吐出部と一体成形されており、さらに該吐出部の外周面にキャップを螺着するための溝が転造されていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の金属チューブ容器である。
(4)前記切り替え部の円周内面のアールが、R0.5〜2.0であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一に記載された金属チューブ容器である。
(5)前記胴部の接合部近傍の周面に凹状の溝を形成したことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一に記載された金属チューブ容器である。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一に記載された前記金属チューブ容器中に染毛剤を封入したことを特徴とする染毛剤用金属チューブ容器である。
【0010】
(7)少なくとも筒状胴部と胴部より細く絞られた肩部と内容物の吐出部とが一体成形された金属チューブの製造方法において、該金属チューブの肩部と吐出部の形状が転写形成されたダイボトムの表面外周にダイリングが外嵌された雌型を用意し、パンチシャフトに先端外周面にアールを形成したパンチヘッドを取り付けた雄型を用意し、当該雌型内に金属材のスラグを配置した後、雄型を打ち込み衝撃を加えるインパクトプレス工程を施すことによって、切り替え部の円周外面を角度をもって屈曲形成し、かつ該切り替え部の円周内面をアールをもって形成することを特徴とする金属チューブ容器の製造方法である。
(8)前記スラグがアルミニウムを主成分とする材料であることを特徴とする上記(7)記載の金属チューブ容器の製造方法である。
(9)前記胴部の接合部近傍の周面にエンボス加工により凹状の溝を形成することを特徴とする上記(7)又は(8)に記載された金属チューブ容器の製造方法である。
(10)前記インパクトプレス工程の後、吐出部を旋盤加工し、焼鈍した後に、金属チューブの内面をスプレー塗装することを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれか一に記載の金属チューブ容器の製造方法である。
(11)前記パンチヘッドの先端外周のアールがR0.5〜2.0であることを特徴とする上記(7)〜(10)のいずれか一に記載された金属チューブ容器の製造方法である。(12)前記スプレー塗装工程後に、開口部より染毛剤を充填し封止する工程を有することを特徴とする上記(10)又は(11)に記載された染毛剤用金属チューブ容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、従来通りの工程から逸脱することなく、胴部外周面の印刷を美麗に仕上げ、かつ安定した内面塗膜が得られる金属チューブを提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明に係る金属チューブ容器の一例を説明する。
図1は本発明に係る金属チューブ容器10の部分断面図である。本実施形態1に係る金属チューブ容器は、チューブ容器の胴部1と肩部2の切り替え部3の円周内面7にアールをつけることで、内面塗料の溜まりやはじきを防いでいる。また、チューブ容器の胴部1と肩部2の切り替え部3の円周外面側9は角度をもって屈曲して形成されており、地塗りのエッジをシャープに印刷することができる。
また本実施形態に係る金属チューブ容器10は、チューブ容器の胴部1と肩部2の切り替え部3の内周内面7にアールを付けることで、従来の内面塗装用スプレーガンの構成を変えることなく、精度良く均一に容器内面(特に切り替え部の円周内面7)に塗料を厚塗りすることができる。円周内面7が角度をもって屈曲して形成されていると、内面塗装用スプレーガンから噴射されたエポキシ樹脂等の塗料が切り替え部の角部に溜まったり、角形状部より表面張力や風圧等によるはじきが生じるからである。
【0013】
また本実施形態に係る金属チューブ容器10は、アルミニウム、鉛、すず等を材料として形成されている。特に環境衛生面、コスト面、加工の容易性等よりアルミニウムを主成分とする材料によって形成されるのが好ましい。
また本実施形態に係る金属チューブ容器は、吐出部4の先端5が金属によって吐出部と一体成形されて、図1に示す如く吐出部4の外周面にはキャップを螺着するための溝6が転造されていることが好ましい。溝6は、先端5の開封後に内容物を保護する図示しないキャップを螺着するためである。
また前記切り替え部3の円周内面7のアールはR0.5〜2.0であることが好ましい。更にR1.5がより好ましい。R0.5未満では液だれ等が発生するおそれがあり、R2.0を超えると内容物の押し出し性の面から劣化するためである。
【0014】
また前記胴部の接合部近傍の周面に図2に示すような凹状の溝11を形成しても良い。この凹状の溝11は、内容物を押し出す際に接合部近傍に生じる収縮応力に対してはその溝11が折りたたまれるように変形し、また引張応力に対してはその溝11が延びるように変形して、これら応力を吸収する作用を有する。
【0015】
凹状の溝11の底部におけるチューブの内周径は、接合部の外周径よりも小さい径であれば良い。従って、凹状の溝11の軸方向の断面形状は、U字形のみならずV字形でも良いし、蛇腹状のW形状等であってもよい。
また凹状の溝11の形状は、肩部の内面に折り畳まれる構造であれば、周面に沿って連続であっても不連続であっても良い。少なくとも収縮応力及び引張応力によって生ずる変形を吸収するための部位に設けられていれば良い。
【0016】
次に本実施形態に係る金属チューブ容器の製造方法について詳述する。
本実施形態に係る金属チューブ容器は、胴部と肩部との切り替え部の円周外面を角度をもって屈曲させ、円周内面にアールを形成し、さらに筒状胴部を形成する必要がある。
そのため、切り替え部の円周外面の形状を、図3に示す雌型のダイボトム20及びダイリング21によって形成し、円周内面の形状を雄型のパンチヘッド22の先端部によって形成する。雄型のパンチヘッド22は、パンチシャフト26に取り付けて構成する。パンチヘッド22の切り替え部形成箇所27にはアールが形成されている。雌型はダイボトム20とダイリング21によって、切り替え部の円周外面に相当する箇所は角度をもった屈
曲部29を形成している。符号30は押出しピンである。
【0017】
上記雌型にスラグ24を配置した後、パンチヘッド22をダイボトム20及びダイリング21に打ち込み、その衝撃によってスラグ24をパンチヘッド22とダイリング21との間隙を通って押出すことによって筒状胴部を形成する。なお図3の雌型及び雄型の寸法及び形状は必ずしも正確なものではない。
ここでパンチヘッド22は図示しない継ぎネジを介してパンチシャフトに固着されている。パンチヘッドの切り替え部形成箇所27にはアールが形成されている。
雌型はダイボトム20の上面にダイリング21を外嵌され、中央軸方向にはエジェクターピン30が挿入されている。
【0018】
図4は、図3において使用されるパンチヘッド22の拡大正面図である。図4に示す如くパンチヘッド22の切り替え部形成箇所27にはアールが形成されている。当該アールは、R0.5〜2.0であることが好ましい。更に好ましくはR1.5である。
このようなインパクトプレス工程によって切り替え部の円周外面は角度をもって屈曲しており、また切り替え部の円周内面にはアールが形成された本実施形態に係る金属チューブ容器が製造される。
【0019】
次に、上記工程によって製造された金属チューブ容器の吐出部を旋盤加工し、焼鈍し、金属チューブ容器の内面をスプレー塗装する。スプレー塗装は、図5に示す方法で行うのが効率的である。
スプレーガンは長軸ノズル型であり、基本的な動作としてはスプレーガンを金属チューブ容器の後端開口部よりチューブの先端方向へ挿入し、塗料を噴射しながら後退させることにより塗布を行う。インパクトプレス工程後、作成された金属チューブ容器は、旋盤加工工程、焼鈍工程を経た後、図5(a)に示すロージングスター48により内面塗装テーブルへ搬送される。
【0020】
テーブルAにおける金属チューブ容器の内面塗装は、図5(d)に示すようにスプレーガン53を挿入し、肩部内面と胴部内面に塗料を噴射して塗布する。この際、金属チューブ容器は回転するのが好ましい。ここでチューブ容器の胴部と肩部の切り替え部の円周内面にアールが形成されているので、精度良く均一に切り替え部の円周内面に塗料を塗布することができる。
ここで塗料としては、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ディスパージョン型塗料又は低温硬化型塗料等のうち、1種類又は2種類以上を混合したものを使用することができる。具体的にはエポキシ系塗料のエポキシフェノール等が挙げられる。
【0021】
テーブルBにおける内面塗装は、図5(d)のスプレーガン53を挿入し、肩部内面と胴部内面に塗料を噴射して塗布する。この際、金属チューブは回転している。
テーブルCにおける内面塗装は、図5(b)のスプレーガン51を挿入し、吐出部内面と肩部内面に塗料を噴射して塗布する。この際、金属チューブは回転している。
テーブルDにおける内面塗装は、図5(c)のスプレーガン52を挿入し、胴部内面に塗料を噴射して塗布する。この際、金属チューブは回転している。
テーブルEにおける内面塗装は、図5(c)のスプレーガン52を挿入し、胴部内面に塗料を噴射して塗布する。この際、金属チューブは回転している。
テーブルFにおける内面塗装は、図5(b)のスプレーガン51を挿入し、吐出部内面と肩部内面に塗料を噴射して塗布する。この際、金属チューブは回転している。
このような工程により、金属チューブの内容物に対する耐性の高い塗膜を精度良く均一に厚塗りすることができる。工程Cと工程Dとの間に中間乾燥工程を介するのが好ましい。またスプレーガンの組み合わせは上記の工程に限定されない。
【0022】
上記のような内面塗装工程後、金属チューブ容器の外面を地塗し、乾燥工程、印刷工程、乾燥工程後、キャッピング工程、シーリング工程などを経て金属チューブ容器を製造しても良い。
本実施形態に係る金属チューブ容器の製造方法を用いれば、外径Φ11.1mm〜57.0mmの金属チューブ容器を幅広く製造することができる。また金属チューブ容器の吐出部の形状等も限定されることはなく、開放式、閉鎖式、尖頭開放式等といった種々の金属チューブ容器を製造することができる。
【実施例】
【0023】
次に実施例に基づいて本発明に係る金属チューブ容器の具体的な説明を行う。
実施例1
図3に示すインパクトプレス法を用いて外径Φ27mm、長さ160mmの金属チューブ容器を作成した。パンチシャフトに取り付けられるパンチヘッドとしては、切り替え部形成箇所をRのない従来品(ノーマルタイプ)、R0.5、R1.0、R1.5及びR2.0とした五種類を用意した。かかるパンチヘッドを使用してプレス工程において、金属チューブ容器を各10本計50本を製造した。
【0024】
内面塗装用スプレーガン(スプリマグ社製)によって金属チューブ容器内部を塗装する。スプレーガンによりチューブ容器の胴部と肩部の接合部を均一に厚塗りすることができる。ここで内面塗装の塗料としては、エポキシフェノールを使用した。そして塗料は染毛剤用のチタン含有エポキシフェノール系溶液(A液)とエポキシフェノール系溶液(B液)の二種類を使用した。
本実施例においては、この金属チューブ容器の内面塗装の状態を評価した。その結果を表1に示す。
内面塗装の評価は、仕上りの目視評価、通電値試験及び硫酸銅水溶液反応試験により行った。通電値試験は、図6に示す通電測定器62(信光電気計装株式会社製)を用い、テスト液63として5%硫酸銅水溶液を用いた。具体的には、CuSO4・5H2Oを50g、界面活性剤(レオドール)5ml、氷酢酸5mlを全体として1000mlとなるように水で稀釈して得られたテスト液である。
また硫酸銅水溶液反応試験においては20%硫酸銅水溶液を用いた。具体的には、濃塩酸100ml、CuSO4・5H2O 200gを全体として1000mlとなるように水
で稀釈して得られたテスト液である。
通電値試験の手順は、金属チューブ61の中に、5%硫酸銅水溶液63を満たし、金属チューブ61の周面下方に陰極電子64を繋ぐ。一方の陽極としては、Φ2mmの銅棒65を用いてテスト液63に浸漬した。そして直流電圧7Vをかけ、30秒間で最大電流値を測定することにより行った。
硫酸銅水溶液反応試験の手順は、金属チューブ容器に20%硫酸銅水溶液を抽入し、20分間、2時間及び24時間後の各チューブ容器内面を評価した。
上記の各試験結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
記の試験結果において、パンチ寿命とは本発明に係る金属チューブ製造時におけるパンチヘッド(図4参照)の交換が必要な時期を観察した結果を表示したものである。
表1に示した如く切り替え部の円周内面がR2.5に曲成した金属チューブは、パンチ寿命が短いことが分かった。ここでいうパンチ寿命が「短い」とは、10万本の金属チューブ容器を製造し得る前にパンチヘッドの交換が必要となることを示す。またパンチ寿命が「やや短い」とは、10万本の金属チューブ容器を製造した時点でパンチヘッドの交換が必要となることを示す。さらに「良好」とは、10万本の金属チューブ容器を製造し終えてもパンチヘッドの交換が必要とならない状態を示している。
また「押し出し性」とは、内容物(本実施例では、「染毛剤」を使用した。)が充填された金属容器の胴部を押圧して、内容物をほぼ搾り出し状態で胴部を開き、特に金属容器の切り替え部の裏側に残ったバルク残量を目視評価した結果を示したものである。表1に示す如くR2.5に曲成した金属チューブはバルク残量が大であった。
さらに表1に示す如く、切り替え部の円周内面にアールを形成したものは、アールの無い従来品に比較して通電値が総じて低いことが分かった。ここで、内面塗膜に金属の露出があると通電値が大きくなる。従って、本発明に係る金属チューブは従来品に比較して内面塗膜が均一に塗布されていることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る金属チューブ容器の一例を示す部分断面図である。
【図2】本実施形態に係る他の金属チューブ容器の一例を示す平面図である
【図3】本実施形態に係る金属チューブ容器の製造方法に用いられるインパクトプレス工程を説明するための概念図である。
【図4】本実施形態に係る金属チューブの製造方法に用いられるパンチヘッドの正面図である。
【図5】本実施形態に係る金属チューブの製造方法における内面塗装工程を説明するための概念図である。
【図6】通電値試験に用いられた装置構成を示す図である。
【図7】従来の金属チューブを示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 胴部
2 肩部
4 吐出部
7 切り替え部の円周内面(R形成部)
9 切り替え部の円周外面
10,50 金属チューブ容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも筒状胴部と胴部より細く絞られた肩部と内容物の吐出部とが一体成形された金属チューブにおいて、胴部と肩部との接合部(切り替え部)の円周外面は角度をもって屈曲しており、該切り替え部の円周内面はアールをもって形成されていることを特徴とした金属チューブ容器。
【請求項2】
前記金属チューブ容器がアルミニウムを主成分とする材料によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の金属チューブ容器。
【請求項3】
前記吐出部の開口部が金属部材によって封止され、かつ吐出部と一体成形されており、さらに該吐出部の外周面にキャップを螺着するための溝が転造されていることを特徴とする請求項1又は2記載の金属チューブ容器。
【請求項4】
前記切り替え部の円周内面のアールが、R0.5〜2.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載された金属チューブ容器。
【請求項5】
前記胴部の接合部近傍の周面に凹状の溝を形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載された金属チューブ容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一に記載された前記金属チューブ容器中に染毛剤を封入したことを特徴とする染毛剤用金属チューブ容器。
【請求項7】
少なくとも筒状胴部と胴部より細く絞られた肩部と内容物の吐出部とが一体成形された金属チューブの製造方法において、該金属チューブの肩部と吐出部の形状が転写形成されたダイボトムの表面外周にダイリングが外嵌された雌型を用意し、パンチシャフトに先端外周面にアールを形成したパンチヘッドを取り付けた雄型を用意し、当該雌型内に金属材のスラグを配置した後、雄型を打ち込み衝撃を加えるインパクトプレス工程を施すことによって、切り替え部の円周外面を角度をもって屈曲形成し、かつ該切り替え部の円周内面をアールをもって形成することを特徴とする金属チューブ容器の製造方法。
【請求項8】
前記スラグがアルミニウムを主成分とする材料であることを特徴とする請求項7記載の金属チューブ容器の製造方法。
【請求項9】
前記胴部の接合部近傍の周面にエンボス加工により凹状の溝を形成することを特徴とする請求項7又は8に記載された金属チューブ容器の製造方法。
【請求項10】
前記インパクトプレス工程の後、吐出部を旋盤加工し、焼鈍した後に、金属チューブの内面をスプレー塗装することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一に記載の金属チューブ容器の製造方法。
【請求項11】
前記パンチヘッドの先端外周のアールがR0.5〜2.0であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一に記載された金属チューブ容器の製造方法。
【請求項12】
前記スプレー塗装工程後に、開口部より染毛剤を充填し封止する工程を有することを特徴とする請求項10又は11に記載された染毛剤用金属チューブ容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−67401(P2009−67401A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234979(P2007−234979)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000156824)関西チューブ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】