説明

金属光沢調印刷物およびその製造方法

【課題】
熱転写印刷により金属光沢を低下させずに意匠性に富み、さらに遮光性を有する金属光沢調印刷物を提供する。
【解決手段】
基体シート1に金属光沢層2が形成されている金属光沢調印刷物において、該金属光沢層2に密接した保護層3を有し、さらにその保護層3に密接した遮光層4を有している金属光沢調印刷物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種成形品の意匠性を向上させ、さらに遮光性を持たせる金属光沢調印刷物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話の操作キーのような成形品の裏側に配置される光源からのバックライトを遮光して特定の文字等のみを透過させる用途に、金属光沢調の印刷物が広く使用されている。しかし、遮光性が高く、かつ熱転写印刷可能な金属光沢層はほとんど存在しないため、通常、金属光沢層に遮光性の高い別の層が設けられている。例えば、特許文献1には、遮光性を高めるために、金属光沢層の直後に顔料を配合した遮光層を熱転写印刷する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−165271(特許請求の範囲など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の金属光沢調印刷物のように、金属光沢層の直後に顔料を配合した遮光層を熱転写印刷すると、次のような問題が生じる。すなわち、熱転写印刷による熱的ダメージ、さらには遮光層の表面が粗いことにより、基体シート側から印刷を観察したときの金属光沢を低下させてしまうという問題がある。
【0005】
また、遮光性を向上させるために、例えば着色されたシートをラミネートするという手段を取ったり、あるいはスクリーン印刷若しくはグラビア印刷などにより着色させるという方法を取ることも可能である。
【0006】
しかし、両方法ともオフライン作業となってしまうという問題がある。また着色されたシートをラミネートする場合、ある特定の部分のみを着色するということはできず、スクリーン印刷若しくはグラビア印刷の場合には、別途、印刷用版あるいはそれに付随する設備を準備しなければならないという煩わしさがある。
【0007】
本発明の目的は、上述の欠点を解消し、簡便な構成であって、金属光沢の低下が小さく、意匠性に富み、さらに遮光性を有する金属光沢調印刷物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記従来の欠点を解決した金属光沢調印刷物およびその製造方法に関するものである。本発明は、基体シートに金属光沢層が形成されている金属光沢調印刷物において、金属光沢層に密接した保護層を有し、さらにその保護層に密接した遮光層を有する金属光沢調印刷物であることを特徴としている。また、本発明の金属光沢調印刷物の製造方法は、基体シートに金属光沢層を形成する工程と、該金属光沢層に保護層を形成する工程と、該保護層に、熱転写印刷によって遮光層を形成する工程とを有することを特徴としている。
【0009】
本発明者は、金属光沢を低下させずに熱転写印刷するためには、基体シートに金属光沢層が形成されている金属光沢調印刷物において、金属光沢層と遮光層との間に、適切な第三層を設けることに着眼し、種々検討を重ねてきた。その結果、金属光沢層に密接した保護層を設けると、遮光層を熱転写印刷する時の熱的ダメージから金属光沢層を保護できることがわかった。また、遮光層の表面粗さを吸収することができる保護層であって、その保護層に遮光層を密接させれば、金属光沢を低下させずに、意匠性に富み、さらに遮光性を有する金属光沢調印刷物が得られることがわかった。こうして、本発明者らは、本発明の完成に至った。
【0010】
本発明に用いられる基体シートとしては、金属光沢の観察を損なわない程度の透明度、全光線透過率で言えば80%以上を有する熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。透明度が要求される基体シートとしては、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂などが挙げられる。また、これらを複合したシートであってもよい。厚みとしては25μm〜5mmが好ましい。厚みが25μm以上の場合、熱転写印刷時に、フィルムが熱可塑性であっても伸びにくく、レジストレーションずれが発生しにくい。また、厚みが5mm以下の場合、印刷物を成形する際に成形性が高まる。なお、上記材料の内、基体シートの材質としては、機械的強度、耐熱性および成形性の観点から、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル系樹脂がなどが好ましい。
【0011】
また、本発明に用いられる金属光沢層としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅、銀、パラジウム、真鍮、錫等が挙げられる。これらの内、展延性あるいは光沢性の観点から、特にインジウムが好ましい。また、価格の面からは、アルミニウムが好ましい。この金属光沢層は、複数回、重ね印刷してもよい。また、金属光沢層の形成方法は、熱転写印刷のような印刷という手法に限られるものではない。
【0012】
本発明に用いられる保護層は、ガラス転移温度(以下、Tgと略す。)が40℃以上のものであることが好ましい。Tgが40℃以上の方が、熱転写印刷の際の熱的ダメージをより効果的に抑制でき、金属光沢が低下しにくくなると共に、印字解像度の低下による尾引きや印刷のレジストレーションずれが発生して印刷不良となる可能性をより低減できる。Tgは、JIS K7121で規定されるプラスチックの転移温度測定方法に基づいて測定される。
【0013】
保護層の厚みは0.5〜50μmの範囲とするのが好ましく、特には1.0〜20μmが好ましい。0.5μm以上の厚みとすることにより、金属光沢層が熱転写印刷時の熱的ダメージや遮光層の表面粗さの影響を受けにくくなり、金属光沢の低下を抑制する効果がより高くなる。また、保護層を50μm以下の厚みとすることにより、熱転写印刷時の熱的応答が良くなり、その結果、熱転写印刷の歩留まりも良くなる。加えて、印字解像度の面でも有利になる。保護層の厚みは、ダイヤルゲージ、光学式厚み計などで測定される。
【0014】
保護層の材質としては、樹脂系あるいはワックス系が挙げられる。樹脂系としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、アクリルポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、石油樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、クロマン/インデン樹脂、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系ブロック共重合体、ポリブタジエンゴムなどがあげられる。これら樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、樹脂系以外の材質としてワックス系を併用してもよい。
【0015】
ワックス系としては、例えば、ラノリン、カルナバワックス、キャンデリラワックスなどの天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、酸化ワックス、合成エステルワックス、ポリエチレンワックス、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体ワックスなどの合成ワックス、などが挙げられる。これらワックス類は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの内、印字解像度あるいは金属光沢層への密着性の面から、特に、アクリル系樹脂、アクリルポリエステル系樹脂およびポリエステル系樹脂が好ましい。また、オンライン作業となるように、保護層は、熱転写印刷によって形成されるのが好ましい。ただし、オフライン作業でも良い場合には、コーターを用いたコーティングで保護層を形成しても良い。
【0016】
本発明に用いられる遮光層は、透過光を遮断することを目的に、熱転写印刷により形成される。ただし、熱をかけて層の形成を行う方法であれば、熱転写印刷以外の方法を採用しても良い。遮光方法には、黒色系の光を吸収する方法、白色系または銀色系の光を反射する方法などがある。遮光層は、主として、バインダーと顔料からなる。バインダーには、前述した保護層の樹脂系あるいはワックス系を用いれば良い。また、顔料には、カーボンブラック、アニリンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、シリカ、リトポン、クレイ、カオリン、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、パラジウム、錫、真鍮などを用いれば良い。一般にどの顔料も含有率が高くなると、インク表面の平滑性が低下し、金属光沢層に直接印刷した場合、その表面粗さが金属光沢を低下させてしまう。
【0017】
本発明における熱転写印刷とは、いわゆるサーマルヘッドを備えた印刷機器により、インクリボンから基体シートに転写させる方式によって印刷することをいう。金属光沢層および保護層の内少なくとも1つの層を熱転写印刷によって形成したり、金属光沢層、保護層および遮光層の全てを熱転写印刷によって形成することができる。もっとも、完全なオンライン作業を実現するには、上記全ての層を熱転写印刷によって形成するのが好ましい。
【0018】
本発明では、遮光性金属光沢層を有する印刷物の金属光沢層として、アルミニウムやインジウムを使用することにより、意匠性に富んだ印刷物になる。加えて、金属光沢層に保護層を密接させ、その保護層に遮光層を密接させることによって、意匠性に富み、さらに遮光性の金属光沢層を有する印刷物を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡便な構成であって、金属光沢の低下が小さく、意匠性に富み、さらに遮光性を有する金属光沢調印刷物を得ることができる。また、当該金属光沢調印刷物を用いて真空成形、圧空成形、インサート成形、インモールド成形などにより加飾成形物を作製すれば、意匠性及び遮光性に優れた加飾成形物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態にかかる金属光沢調印刷物を示す。印刷の観察は、基体シート側からなされる。この金属光沢調印刷物を作製するにあたり、まず、基体シート1に金属光沢層2が熱転写印刷される。この際、基体シート1と金属光沢層2との間に、適当な着色層を設けても良い。また、着色物は、顔料であるか染料であるかを問わない。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、グリーンなどを含む着色層を設けた場合には、メタリックカラーを表現できる。また、基体シート1の直後に金属光沢層の印字解像度を向上させるための受容層を設けても良い。さらに、基体シート1の直後に転写剥離層を形成させても良い。こうすることにより、例えば、インモールド成形などにより射出成形品などに印刷層を転写できる。
【0022】
基体シート1に金属光沢層2を熱転写印刷した後、金属光沢層2に保護層3が熱転写印刷される。次に、保護層3に遮光層4が熱転写印刷される。バックライトを遮光層側から当てた場合、一般に金属光沢層はそれ程、遮光性がない。このため、バックライトが所望の明るさより明るく見えてしまうことが少なくない。このような状況を防止し、遮光性を高めるために、遮光層4を印刷する。遮光層4を重ね印刷をすると、部分的に光線透過率をコントロールできるので、例えばバックライトを当てると、光線透過率の高い箇所が見えるというような表現も可能であり、意匠性に富む印刷物を得ることができる。
【実施例】
【0023】
次に、本発明の実施例および比較例について説明する。表1に、各実施例および各比較例において評価した鏡面光沢の低下度を示す。
【0024】
【表1】

【0025】
[実施例1]
基体シートとして、厚み125μmのアクリルシートを用いた。このアクリルシートに、インジウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、アクリル樹脂からなるTg=70℃、厚み15μmの保護層を、その後にポリエステル樹脂のバインダーと、カーボンブラックの顔料とからなる0.7μmの遮光層を、それぞれ熱転写印刷した。こうして作製した金属光沢調印刷物に対して、その金属光沢を基体シート側から測定した。金属光沢は、JIS Z8741で規定される測定角度20°、45°および60°の鏡面光沢度として表した。鏡面光沢度の低下度は、(1)式によって算出した。
(鏡面光沢低下度)=(1−A/B)×100(%) … (1)
【0026】
ここで、Aは金属光沢調印刷物の鏡面光沢度を、Bは同基体シートに、同金属光沢層を直接熱転写印刷で形成させたものの鏡面光沢度を、それぞれ示す。鏡面光沢度は、スガ試験機株式会社製の光沢計UGV-5D(製品名)を用いて測定した。この結果、測定角度20°において3%、測定角度45°において2%、測定角度60°において1%という極めて良好な金属光沢低下度が得られ、品質としては合格の判定が得られた。
【0027】
[実施例2]
基体シートとして、厚み125μmのポリカーボネートシートを用いた。このポリカーボネートシートに、インジウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、アクリルポリエステル樹脂からなるTg=70℃、厚み10μmの保護層を、その後に塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂のバインダーと、酸化チタンの顔料とからなる3μmの遮光層を、それぞれ熱転写印刷した。こうして作製した金属光沢調印刷物に対して、実施例1と同様の方法により、鏡面光沢度の低下度を求めた。この結果、測定角度20°において4%、測定角度45°において3%、測定角度60°において2%という極めて良好な金属光沢低下度が得られ、品質としては合格の判定が得られた。
【0028】
[実施例3]
基体シートとして、厚み1mmのポリエステルシートを用いた。このポリエステルシートに、アルミニウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、ポリエステル樹脂からなるTg=68℃、厚み4μmの保護層を、その後にポリエステル樹脂のバインダーと、アルミニウムの顔料とからなる1μmの遮光層を、それぞれ熱転写印刷した。こうして作製した金属光沢調印刷物に対して、実施例1と同様の方法により、鏡面光沢度の低下度を求めた。この結果、測定角度20°において5%、測定角度45°において3%、測定角度60°において2%という極めて良好な金属光沢低下度が得られ、品質としては合格の判定が得られた。
【0029】
[実施例4]
基体シートとして、厚み125μmのアクリルシートを用いた。このアクリルシートに、インジウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、ポリ酢酸ビニルからなるTg=30℃、厚み15μmの保護層を、その後にポリエステル樹脂のバインダーと、カーボンブラックの顔料とからなる0.7μmの遮光層を、それぞれ熱転写印刷した。実施例1で得られた印刷物との相違は、保護層が40℃より低いTgを有する材質からなる点のみである。こうして作製した金属光沢調印刷物に対して、実施例1と同様の方法により、鏡面光沢度の低下度を求めた。この結果、測定角度20°において10%、測定角度45°において8%、測定角度60°において8%という良好な金属光沢低下度が得られ、品質としては合格の判定が得られた。ただし、品質は、実施例1で得られた品質よりも少し低くなった。
【0030】
[実施例5]
基体シートとして、厚み125μmのアクリルシートを用いた。このアクリルシートに、インジウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、ポリ酢酸ビニルからなるTg=30℃、厚み0.4μmの保護層を、その後にポリエステル樹脂のバインダーと、カーボンブラックの顔料とからなる0.7μmの遮光層を、それぞれ熱転写印刷した。実施例4で得られた印刷物との相違は、保護層の厚みが0.4μmと薄い点のみである。こうして作製した金属光沢調印刷物に対して、実施例1と同様の方法により、鏡面光沢度の低下度を求めた。この結果、測定角度20°において15%、測定角度45°において12%、測定角度60°において11%という良好な金属光沢低下度が得られ、品質としては合格の判定が得られた。ただし、品質は、実施例4で得られた品質よりもさらに低くなった。
【0031】
[実施例6]
基体シートとして、厚み125μmのアクリルシートを用いた。このアクリルシートに、インジウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、アクリル樹脂からなるTg=70℃、厚み0.4μmの保護層を、その後にポリエステル樹脂のバインダーと、カーボンブラックの顔料とからなる0.7μmの遮光層を、それぞれ熱転写印刷した。実施例1で得られた印刷物との相違は、保護層の厚みが0.4μmと薄い点のみである。こうして作製した金属光沢調印刷物に対して、実施例1と同様の方法により、鏡面光沢度の低下度を求めた。この結果、測定角度20°において10%、測定角度45°において8%、測定角度60°において7%という良好な金属光沢低下度が得られ、品質としては合格の判定が得られた。ただし、品質は、実施例1で得られた品質よりも低くなった。
【0032】
[比較例1]
基体シートとして、厚み125μmのアクリルシートを用いた。このアクリルシートに、インジウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、ポリエステル樹脂のバインダーと、カーボンブラックの顔料とからなる厚み0.7μmの遮光層を熱転写印刷した。実施例1で得られた印刷物との相違は、アクリル樹脂からなるTg=70℃、厚み15μmの保護層がない点のみである。評価の結果、測定角度20°において73%、測定角度45°において56%、測定角度60°において52%という金属光沢低下度が得られ、品質としては不合格となった。
【0033】
[比較例2]
基体シートとして、厚み125μmのポリエステルシートを用いた。このポリエステルシートに、インジウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂のバインダーと、酸化チタンの顔料とからなる厚み3μmの遮光層を熱転写印刷した。評価の結果、測定角度20°において51%、測定角度45°において34%、測定角度60°において34%という金属光沢低下度が得られ、品質としては不合格となった。
【0034】
[比較例3]
基体シートとして、厚み125μmのポリカーボネートシートを用いた。このポリカーボネートシートに、インジウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂のバインダーと、酸化チタンの顔料とからなる3μmの遮光層を、それぞれ熱転写印刷した。実施例2で得られた印刷物との相違は、アクリルポリエステル樹脂からなるTg=70℃、厚み10μmの保護層がない点のみである。評価の結果、測定角度20°において50%、測定角度45°において33%、測定角度60°において31%という金属光沢低下度が得られ、品質としては不合格となった。
【0035】
[比較例4]
基体シートとして、厚み1mmのポリエステルシートを用いた。このポリエステルシートに、アルミニウムからなる金属光沢層を熱転写印刷で形成した。次に、ポリエステル樹脂のバインダーと、アルミニウムの顔料とからなる厚さ1μmの遮光層を熱転写印刷した。実施例3で得られた印刷物との相違は、ポリエステル樹脂からなるTg=68℃、厚み4μmの保護層がない点のみである。評価の結果、測定角度20°において70%、測定角度45°において50%、測定角度60°において48%という金属光沢低下度が得られ、品質としては不合格となった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、バックライトを有する加飾成形物、例えば携帯電話等の移動体通信機器、デジタルカメラ、家庭用電話機、電子手帳、計測機器類、車載用パネルスイッチ類、家電製品等の製造業若しくはこれらを用いてサービスを提供する業務において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態にかかる金属光沢調印刷物の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 基体シート
2 金属光沢層
3 保護層
4 遮光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体シートに金属光沢層が形成されている金属光沢調印刷物において、該金属光沢層に密接した保護層を有し、さらにその保護層に密接した遮光層を有していることを特徴とする金属光沢調印刷物。
【請求項2】
前記金属光沢層、前記保護層および前記遮光層は、熱転写印刷によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属光沢調印刷物。
【請求項3】
前記保護層は、そのガラス転移温度が40℃以上で、その厚みが0.5〜50ミクロンの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の金属光沢調印刷物。
【請求項4】
前記保護層の材質は、アクリル系樹脂、アクリルポリエステル系樹脂またはポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属光沢調印刷物。
【請求項5】
基体シートに金属光沢層を形成する工程と、
該金属光沢層に保護層を形成する工程と、
該保護層に、熱転写印刷によって遮光層を形成する工程と、
を有することを特徴とする金属光沢調印刷物の製造方法。
【請求項6】
前記金属光沢層を形成する工程および前記保護層を形成する工程の内少なくとも1つの工程は、熱転写印刷により行われることを特徴とする請求項5に記載の金属光沢調印刷物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−130660(P2006−130660A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318707(P2004−318707)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】