説明

金属合金成型物への高密着塗装方法及び同方法により高密着塗装された金属合金型形物

【課題】 マグネシウム金属等の合金成型物への高密着塗装方法及び同方法により高密着塗装された金属合金型形物。
【解決手段】
既に知られている「界面改質装置」を活用し、シラン原子等の改質剤化合部を含む火炎を、マグネシウム金属等の合金成型物の表面に全面或いは部分的に吹き付け、同金属合金成型物の表面が濡れ指数で73dyn/cm以上となるように表面改質した後、プライマーを施すこと無く直接意匠層となる塗装層を1コートフィニッショにて塗装仕上げを行うマグネシウム金属等の合金成型物への高密着塗装方法及び同方法により高密着塗装された金属合金型形物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム合金、アルミニウム合金、チタン合金、等の金属合金を活用し、インジェクション成型、ダイカスト成型、チクソキャスティング成型、等々の手段により成型された金属合金成型物への新規高密着塗装方法及び同方法により高密着塗装された金属合金成型物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、マグネシウム合金、アルミニウム合金、チタン合金、等の金属合金を活用し、インジェクション成型、ダイカスト成型、チクソキャスティング成型等々の手段により成型された金属合金成型物が、ミニディスクやビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話、等々のエレクトロニクスの各分野等に広範に使われている。とりわけ、金属合金の中でマグネシウム合金は、軽量で且つABS樹脂等に比べて強度が1桁以上大きく、更に熱伝導率が高く放熱性に優れ電磁シールド性が良好、等々の理由によりその有効性が注目され市場性が年々拡大している。
【0003】
ところで、マグネシウム合金に代表されるインジェクション成型、ダイカスト成型、チクソキャスティング成型等々の手段により成型された金属合金成型物は、その生地のままの状態で使用されることは皆無であって、アクリル樹脂塗料系或いはウレタン樹脂塗料系等々の塗料により意匠が施されているのが一般的である。一方、金属合金成型物の塗装に至るプロセスも、インジェクション成型、ダイカスト成型、チクソキャスティング成型等々の成型手段故に鋳肌が粗面であり且つ付着離型剤等々の問題もあって、各種塗料と金属合金成型物との塗装界面での密着を確保するために極めて複雑な工程を必要としているのが現状である。マグネシウム合金成型品の塗装を事例として説明すると、ワーク投入→湯洗→強アルカリ脱脂→湯洗→純水洗浄→化成処理(リン酸亜鉛皮膜等)→純水洗浄→水切り乾燥→除塵→スプレー塗装工程、と少なくとも塗装工程に至るまで約8工程のプロセスを経る必要があり、加えて、塗装工程に入る前工程として、金属合金成型物と各種塗料との密着を確保し且つ良好な塗装仕上がりを確保するために、エポキシ樹脂系等のプライマーをコーティングし、必要に応じてパテ処理工程を加える等、多大な工程および時間そして労力・コストを掛けざるを得ない状況にあった。
【0004】
そこで、本件発明者はマグネシウム合金に代表される金属合金成型物の塗装界面における密着確保に関し、本件発明者が既に開発し実用化を図っている下記特許文献に開示されている「界面改質技術」の活用を試みたところ当該「界面改質技術」がマグネシウム合金に代表される金属合金成型物の界面改質にとって極めて有効裡に働くことを発見・確認し本発明を完成するに至った。
【特許文献1】特開2003−238710(特許第3557194号)
【0005】
同「特許文献1」には、固体物質の界面改質方法およびその装置の概略が開示されていて、シラン原子、チタン原子、アルミニウム原子を含む界面改質剤化合物であって、それぞれ沸点が10℃〜100℃である表面改質剤化合物を含む燃料ガスを貯蔵するための貯蔵タンクと、当該燃料ガスを噴射部に移送するための移送部と、当該燃料ガスの火炎を吹き付けるための噴射部(バーナー)とを含む界面改質装置を準備し、ケイ酸化炎等を固体物質の材料表面に対して、全面的或いは部分的に吹き付け処理し、当該処理部を活性化させる界面改質技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1には、一般的な各固体物質の界面改質につき各種固体物質に共通する表面改質方法が述べられているに留まり、本発明が解決しようとする具体的な課題である、マグネシウム合金に代表される金属合金成型物における塗装界面における密着確保に関しする具体的方法論に関する開示は為されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、マグネシウム合金に代表される金属合金成型物の塗装界面における密着確保に関しする具体的方法論を提供するもので、加えて、金属合金成型物の塗装界面における密着を確実なものとするだけではなく、後工程である塗装工程における各種工程を大幅に簡略化可能な金属合金成型物への高密着塗装方法および同塗装方法により高密着塗装された金属合金成型物に関する。
【0008】
更に具体的に言えば、従来のマグネシウム合金に代表されるインジェクション成型、ダイカスト成型、チクソキャスティング成型等々の手段により成型される金属合金成型物の成型技術は、チクソキャスティング成型に代表されるように、近年顕著な技術革新に伴いその鋳肌は以前の様に鋳巣が多く散見されるような状況より格段に改善され比較的綺麗な鋳肌になって来ているものとは言え、未だ粗面であることに変わりはなく、当該金属合金成型物に意匠層となる塗装層を施すプロセス迄に、前述した様にワーク投入→湯洗→強アルカリ脱脂→湯洗→純水洗浄→化成処理(リン酸亜鉛皮膜等)→純水洗浄→水切り乾燥→除塵→スプレー塗装工程と、少なくとも塗装工程に至るまで約8工程のプロセスを経る必要があり、加えて、後工程となる塗装工程の前行程として、各種塗料との密着を確保するためにエポキシ樹脂系等のプライマーを施すことは必須であり、更に続けて、多くの場合鋳肌の平滑性を確保するためにパテ処理→サンディング→除塵の各工程を経る必要があった。
【0009】
以上詳述した通り、マグネシウム合金に代表されるインジェクション成型、ダイカスト成型、チクソキャスティング成型等々の手段により成型される金属合金成型物を対象とした塗装にあっては、その塗装迄に至るプロセスが多くしかも煩雑であり、またその処理コストも少なからず嵩むため、喫緊の課題として何らかのプロセス改善が望まれている状況下にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した金属合金成型物の塗装に至るまでの各工程の多さおよび煩雑さに注目し為されたもので、当該工程の多さと煩雑さとを金属合金成型物の表面界面を本質的に界面改質することで、金属合金成型物の塗装に至るまでの各工程の多さおよび煩雑さを抜本的に改善するに至ったものである。
【0011】
まず、金属合金成型物の界面改質に関しその方法論を説明する。第1図は本発明に係る界面改質装置の概要を示すフローチャートであり、同フローチャートに基づき説明する。
界面改質装置100は、シラン原子、チタン原子、アルミニウム原子を含む界面改質剤化合物であって、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、シロキサン化合物、シラザン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、およびアルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択された界面改質剤化合物101を貯蔵するための貯蔵タンク部102と、加熱手段103にて気化させて噴射部(バーナー)104に移送するための移送路105と、プロパンガス・LPGガス等の燃料ガスの貯蔵タンク106、そして、当該燃料ガスの燃焼用空気並びに界面改質剤化合物を搬送する為の空気を供給する圧縮空気源107とで構成されている。また、前記移送路105には第1のサブミキサ108が、また、気化された界面改質剤化合物と空気との混合ガスと前記貯蔵タンク106より送出される燃料ガスとを均一に混合するための第2のメインミキサ109とにより構成されている。
さらには、前記界面改質剤化合物101を貯蔵するための貯蔵タンク部102と、空気を供給する圧縮空気源107および燃料ガスの貯蔵タンク106のそれぞれの送出先出口には、それぞれの送出流量をコントロールするための流量計付き流量調節バルブ、110、111、112、がそれぞれ設けられ、界面改質装置100を構成している。次に前記各主要構成部材(パーツ)の詳細を説明する。
【0012】
「界面改質剤化合物用貯蔵タンク部」
図1に示すように、界面改質剤化合物用貯蔵タンク部102の下部には、加熱用ヒーター等の加熱手段103が備えられており、常温・常圧状態では液状の界面改質剤化合物101を気化するよう構成されている。そして、当該加熱手段103はCPU(図示せず)によりコントロールされている。すなわち、同CPUは界面改質剤化合物の液量センサー、・液温センサー等の各センサーに電気的に接続されていて、前記界面改質剤化合物の液量および液温が規定の範囲内に収まるように加熱手段をコントロールしている。
なお、本発明では液状の界面改質化合物を使用した例を挙げているが、気体または固体状の化合物も使用できる。気体状の界面改質剤化合物を使用する場合には、前記界面改質剤化合物用貯蔵タンク部にはあえてヒーターを備える必要はなく、代わりに圧力調整弁等の流量調節手段を設ければよい。また、固体状の界面改質剤化合物を使用する場合には、例えば、その固体状化合物を溶媒に溶解するか、熱で溶融させ、本例の貯蔵タンクからバーナーの火炎近傍迄配管した液輸送管中を通らせて、直接バーナー中に送り込むことで界面改質を行うことができる。
【0013】
「移送部」
移送部105には、通常「管」構造であって、図1に示すように、前記圧縮空気源107より供給され燃焼用空気と前記貯蔵タンク102より送出される気化された界面改質剤化合物とを混合するための第1のサブミキサ108と、当該第1のサブミキサ108により混合された混合ガスと、前記燃料ガスの貯蔵タンク106より送出される燃料ガスとを均一に混合するための第2のメインミキサ109が設けられている。
【0014】
「噴射部(バーナー)」
噴射部(バーナー)104は、図1に示すように、移送部105を経て送られてきた燃焼ガスを燃焼し、得られた火炎113を、被改質処理面(図示せず)に吹き付け被改質処理面を界面改質するものであって、かかる火炎113の状態は、前記した気化された界面改質剤化合物101の流量および圧縮空気源107より送出される燃焼用空気量並びに燃料ガスの貯蔵タンク106より送出される燃料ガス量の各流量を、それぞれのガスの流路に設けられている流量計付き流量調節バルブ110、111、112の開度を調節することに最適に調整される。なお、バーナーの種類は特に制限されるものではないが、例えば、予混合型バーナー、拡散型バーナー、部分予混合型バーナー、噴霧バーナー、蒸発バーナー、等の何れであっても良い。また、バーナーの形態についても特に制限されるものではない。
【0015】
前記界面改質剤化合物としては、シラン原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む化合物であり、且つ、一般的なガスバーナーの火炎中で燃焼し得るものであれば特に制限はない。そして、入手のし易さや取り扱いの容易さを考慮すると、例えば、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、シロキサン化合物、シラザン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、およびアルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。
アルキルシラン化合物の好適例としては、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエチルジフェニルシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメチルジエチルシランなどの置換基を有していてもよいモノシラン化合物、ヘキサメチルジシラン、ヘキサエチルジシラン、クロロヘプタメチルジシランなどの置換基を有していても良いジシラン化合物、オクタメチルトリシランなどの置換基を有していても良いトリシラン化合物などが挙げられる。
アルコキシシラン化合物の好適例としては、メトキシシラン、ジメトキシシラン、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、エトキシシラン、ジエトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリクロロエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
シロキサン化合物の好適例としては、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどが挙げられる。
シラザン化合物の好適例としては、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。また、アルキルチタン化合物の好適例としては、テトラメチルチタン、テトラエチルチタン、テトラポロピルチタンなどが挙げられる。アルコキシチタン化合物の好適例としては、チタニウムメトキシド、チタニウムエトキシドなどが挙げられる。アルキルアルミニウム化合物の好適例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウムなどが挙げられる。アルコキシアルミニウム化合物の好適例としては、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシドなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いても混合して用いても良い。
以上の好適例の中でも、シラン化合物、アルコキシシラン化合物、シロキサン化合物、およびシラザン化合物は、取り扱いが容易であり、気化させやすく、また、入手もしやすいことからより好ましい。
【0016】
次に、前述した図1に例示する本発明に係る界面改質装置を用い、マグネシウム合金:Mg−Al−Zn系(AZ91D)をチクソキャスティング成型して成るマグネシウム系合金成型物を対象として、当該マグネシウム系合金成型物の改質面が如何に改質されるか第2図を基に説明する。
【0017】
図2は、チクソキャスティング成型手法により成型されたマグネシウム系合金成型物の拡大断面図を模式的に示すもので、鋳肌表面の状況を説明するためのものである。図2において、201はMg−Al−Zn系(AZ91D)成型物であり、同成型物の表面は微視的に観察すると数10μ〜数100μオーダーの凹凸202、203が無数散見される。金属合金成型法の中で鋳肌が比較的平滑なチクソキャスティング成型手法であっても、同鋳肌面に意匠層である塗装層を施すに当たっては、従前の通り事前に、湯洗→強アルカリ脱脂→湯洗→純水洗浄→化成処理(リン酸亜鉛皮膜等)→純水洗浄→水切り乾燥→除塵、とういう工程を踏まなければならず、同工程を省くとMg−Al−Zn系(AZ91D)成型物と塗装層との間の密着を確保することができず、密着を確保するためにいわば必須の工程として認識されるに至っている。
【0018】
ところで、図1に例示する本発明に係る界面改質装置を用いて、Mg−Al−Zn系(AZ91D)成型物と塗装層との界面を改質するに当たっては、同Mg−Al−Zn系(AZ91D)成型物を弱アルカリ溶液にて先ず脱脂処理を行い、続いて水切り乾燥を終了した後、図1に例示する界面改質装置(界面改質剤化合物:シラン化合物系界面改質剤化合物を使用)を用いて同上Mg−Al−Zn系(AZ91D)成型物の表面を界面改質すると、図2と同様なマグネシウム系合金成型物の拡大断面を図3に例示する通り、数ナノメータ(数nm)〜数10nm厚みの例えばケイ酸塩系の界面改質層301が形成される。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したとおり本発明によれば、前記図3に示す界面改質層301の界面改質性能は、濡れ指数試薬で測定した場合で濡れ指数(測定温度25℃)で73dyn/cm以上、接触角で測定した場合であっても、10°(測定温度25℃)以下と超親水性効果が確実に得られ、この界面改質状態において後工程である意匠層となる塗装工程をプライマー工程を省いたままの状態で塗工して、Mg−Al−Zn系(AZ91D)成型物と塗装層との界面の密着強度並びに塗装外観共に何ら遜色が無いことを確認することができた。また、他のアルミニウム系或いはチタン系合金成型物であっても同界面改質装置によりマグネシュウム合金成型物と同様に界面改質が図られ超親水性効果を現出することができた。
【0020】
なお、本発明をチクソキャスティング成型手法により成型されたマグネシウム系合金系(Mg−Al−Zn系:AZ91D)成型物を事例として、塗装工程の前処理工程から意匠層形成迄の流れを説明すると、弱アルカリ脱脂工程→湯洗或いは純水洗浄工程→水切り乾燥工程→界面活性化処理工程→除塵工程→プライマーレス・塗装工程となり、従来手法による工程:湯洗→強アルカリ脱脂→湯洗→純水洗浄→化成処理(例:リン酸亜鉛皮膜)→純水洗浄→水切り乾燥→除塵→プライマー塗布工程と比較して、従来の工程数:8工程が5工程へとほぼ工程数が半減することとなり、大幅な製造時間の短縮および製造コストの低減化を図ることが可能となる。加えて、意匠層形成のための塗装工程にあっても、プライマー塗布工程が不必要となり、そのまま1コートフィニッシュ仕上がりが可能で、意匠層形成に直接移行できるメリットもあり、経済的効果は絶大である。
【0021】
なお、前記の様に界面改質装置により、各種金属合金成型物の塗装界面を界面改質すると、各種金属合金成型物の表面即ち鋳肌に形成される数10μ〜数100μオーダーの鋳巣等の凹凸表面が超親水状態となるため、事後に形成される各種塗料が当該凹凸面に流動すると共に馴染み、確実に密着するために各種金属合金成型物の界面における後工程となる塗装工程はプライマーレスの状態にて十分な密着を確保出来ることを確認した。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0022】
[実施例1]
マグネシウム系合金(Mg−Al−Zn系:AZ91D)にて、チクソキャスティング成型手法により携帯電話機の筐体を得た。同筐体を以下に示すプロセスを経て意匠層形成の前処理を行った。
(1)前処理工程
ワーク投入→弱アルカリ脱脂(1分)→水洗(1分)→水切り乾燥(1分)→界面活性化処理(2秒)、なお、界面活性化処理における改質剤化合物はヘキサメチルジシロキサンを使用し、火炎処理用の燃料GASとしてプロパン・GASを使用した。
(2)意匠層形成工程
次に、前記前処理工程を終了した携帯電話機の筐体を下記に示すプロセスを経て意匠層を形成した。
ワーク投入→除塵(2秒)→プライマーレス・スプレー塗装:平均膜厚(25μ)・(10秒):熱硬化型塗料(2液型ウレタン樹脂:イシマット・ジャパン製:IMS−100)→セッティング(室温:10分)→硬化乾燥(70℃×30分)→クーリング(5分)→ワーク取出し。
(3)塗膜外観
塗膜外観は、プライマーレス・1コートフィニッシュで極めて平滑な仕上がりであり、外観上の問題点は一切認められなかった。
(4)塗膜物性


【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】界面改質装置の概要を示す図である。
【図2】マグネシウム系合金成型物の拡大断面図。
【図3】マグネシウム系合金成型物の拡大断面図。
【符号の説明】
【0024】
100:界面改質装置
101:界面改質剤化合物
102:貯蔵タンク部
103:加熱手段
104:噴射部(バーナー)
105:移送路
106:燃料ガスの貯蔵タンク
107:圧縮空気源
108:サブミキサ
109:メインミキサ
110:流量計付き流量調節バルブ
111:流量計付き流量調節バルブ112:
112:流量計付き流量調節バルブ
113:火炎
201:Mg−Al−Zn系(AZ91D)成型物
202:凹凸
203:凹凸
301:界面改質層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、下記各工程を経ることを必須とする金属合金成型物への高密着塗装方法。
1、金属合金成型物のアルカリ脱脂処理工程。
2、前1号記載の金属合金成型物の純水又は水或いは温水による洗浄工程。
3、前2号記載の金属合金成型物の水切り乾燥工程。
4、前3号工程後に、シラン原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む改質化合物であって、それぞれ沸点が10℃〜105℃である改質剤化合物を含む燃料ガスの火炎を、金属合金成型物の表面に対して、全面または部分的に吹き付け、金属合金成型物の表面が濡れ指数(測定温度25℃)で73dyn/cm以上となるよう界面活性化処理する工程。
5、前4号記載界面活性化処理工程を経て意匠層となる塗料層を施す塗装工程。
【請求項2】
請求項1における金属合金成型物が、マグネシア合金またはアルミニウム合金或いはチタン合金である高密着塗装方法。
【請求項3】
請求項1に基づき高密着塗装された金属合金成型物。
【請求項4】
請求項2に基づき高密着塗装された金属合金成型物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−247051(P2007−247051A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108002(P2006−108002)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(501163657)
【Fターム(参考)】