金属多孔体の製造方法
【課題】電極群の内周面側から外周面側に向けて金属骨格の骨の太さが漸減している金属多孔体の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂骨格を有する発泡ポリウレタンのシート50を準備する準備工程と、シート50における樹脂骨格の表面を覆うめっき処理を施し、樹脂骨格の表面を覆うニッケルめっき層を有した金属多孔シート51を形成するめっき工程と、金属多孔シート51の樹脂骨格を熱分解して除去し、めっき層からなる金属骨格を金属多孔体として残す焙焼工程とを備え、焙焼工程の後段にて実施され、金属多孔シート51から樹脂骨格が除去された金属多孔基体60を分割対象とし、この金属多孔基体60を2つの新たな金属骨格にスライスすることによりシート状の2つの金属多孔体36を得るスライス工程を更に備えている。
【解決手段】樹脂骨格を有する発泡ポリウレタンのシート50を準備する準備工程と、シート50における樹脂骨格の表面を覆うめっき処理を施し、樹脂骨格の表面を覆うニッケルめっき層を有した金属多孔シート51を形成するめっき工程と、金属多孔シート51の樹脂骨格を熱分解して除去し、めっき層からなる金属骨格を金属多孔体として残す焙焼工程とを備え、焙焼工程の後段にて実施され、金属多孔シート51から樹脂骨格が除去された金属多孔基体60を分割対象とし、この金属多孔基体60を2つの新たな金属骨格にスライスすることによりシート状の2つの金属多孔体36を得るスライス工程を更に備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒型のアルカリ二次電池の電極に用いられる金属多孔体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ二次電池の一つとして、円筒型のニッケル水素二次電池が知られている。このニッケル水素二次電池は、例えば、負極端子を兼ねる有底円筒形状の外装缶の中に、電極群をアルカリ電解液とともに収容し、その後、前記外装缶の上端開口を正極端子が取り付けられた封口体で封口することにより製造されており、電極群はセパレータを介在させて重ねたシート状の負極及び正極をセパレータとともに渦巻状に巻回してなる。
【0003】
前記正極には、通常、非焼結式のニッケル極が用いられる。このニッケル極は、例えば、三次元の網状構造を有するニッケル、即ち、金属多孔体と、この金属多孔体に担持された正極合剤とから構成されている。この正極合剤は、例えば、正極活物質である水酸化ニッケル粒子及び各種添加剤粒子を含んでいる。
【0004】
ここで、ニッケルの金属多孔体の一例としては、発泡ニッケル基体が知られている。この発泡ニッケル基体は、例えば、以下のようにして製造される。
【0005】
まず、三次元網状構造を有するウレタンの樹脂シートにニッケルのめっき処理を施す。この樹脂シートは、樹脂骨格が三次元的に複雑に延びているので、前記めっき処理により、前記樹脂骨格の表面にニッケルのめっき層が成長していく。これにより、前記樹脂骨格の表面に倣ってニッケルのめっき層が形成され、このメッキ層によって金属骨格が形作られる。ついで、加熱処理を施すことにより前記金属骨格を残して前記樹脂骨格を熱分解して揮散させることで三次元網状構造の発泡ニッケル基体が得られる。
【0006】
ところで、発泡ニッケル基体に正極合剤を担持してなる正極は全体的に剛性が高いので、巻回する際に巻きにくいとともに、クラックが入り易い。ここで、正極においては、巻回の際、電極群の径方向でみて外側となる外周面に引張力がかかるので、特に、この外周面にクラックが入り易い。このようにクラックが入ると、クラックに対応した部位にてニッケルの金属骨格の骨が折損し、折損した骨の先端を針状あるいは樹枝状に突出させることがある。従来、金属骨格(発泡ニッケル基体)の骨を形成するニッケルめっき層は比較的厚く、強度が高いため、折損した骨の先端が隣接するセパレータを突き破って負極と接触して短絡を起こすことがある。
【0007】
そこで、正極をより巻き易くするとともに、その外周面での折損した骨による短絡を防止するために、発泡ニッケル基体の前記外周面側となる金属骨格の骨の太さを内周面側となる金属骨格の骨の太さよりも細くした金属骨格、即ち、金属多孔体の開発が行われている。このような金属多孔体の場合、正極の剛性が外周面側で低くなるので、正極の巻回が容易となるとともに、外周面側となる金属骨格の骨自体の強度が低くなるので、この部分にて金属骨格の骨が折損してもその先端部がセパレータを突き破るまでには至らず、短絡も防止することができる。
【0008】
このような金属多孔体の一例として、特許文献1に記載の金属多孔体が知られている。この特許文献1の金属多孔体は、以下のようにして製造される。
【0009】
まず、単位体積当たりの空孔の数が所定数の第1発泡樹脂と、単位体積当たりの空孔数が第1発泡樹脂よりも多い第2発泡樹脂とを貼り合わせて二層構造の発泡樹脂シートを形成し、この二層構造の発泡樹脂シートにニッケルのめっき処理を施す。この後、焙焼炉で加熱して樹脂骨格を揮散させることにより、発泡ニッケル基体を得る。
【0010】
ここで、発泡樹脂に単位体積当たり同一量のニッケルをめっきする場合、空孔数が多く樹脂骨格の表面積が大きいほど、樹脂骨格へのめっきの目付量は少なくなり、めっき層の厚さは薄くなる。逆に、空孔数が少なく樹脂骨格の表面積が小さいほど、樹脂骨格へのめっきの目付量は多くなり、めっき層の厚さは厚くなる。このため、単位体積当たりの空孔数が多い発泡樹脂では、得られるニッケル骨格の骨の太さはより細くなり、単位体積当たりの空孔数が少ない発泡樹脂では、得られるニッケル骨格の骨の太さはより太くなる。従って、特許文献1の発泡ニッケル基体は、単位体積当たりの空孔数が少ない一方側(第1発泡樹脂側)の金属骨格の骨は太く、単位体積当たりの空孔数が多い他方側(第2発泡樹脂側)の金属骨格の骨は細くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−357519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、多数の空孔を有する発泡樹脂シートにニッケルのめっき処理を施す場合、発泡樹脂シートの表面に到達したニッケルイオンは、発泡樹脂シートの表面から徐々に内部に移動していくので、ニッケルのめっき層は発泡樹脂シートの表面部から先に成長していき、発泡樹脂シートの厚さ方向の中央部にいくほどニッケルめっきの成長速度は遅くなる。つまり、発泡樹脂シートにめっき処理をする場合のめっきの特性として、めっき層の厚さは、シートの両面部で最大となり、厚さ方向の中央部で最小となる。
【0013】
この現象は、特許文献1の発泡樹脂シートでも起こる。具体的には、前記した特許文献1の発泡樹脂シートにニッケルめっきを施すと、空孔数の少ない側のニッケルめっき層は最も厚くなり(金属骨格の骨は最も太くなる)、厚み中央部分のニッケルめっき層は最も薄くなる(金属骨格の骨は最も細くなる)。そして、空孔数の多い側のニッケルめっき層は、空孔数の少ない側と中央部分との中間程度の厚さとなる(金属骨格の骨の太さは中間となる)。
【0014】
正極の巻回作業をよりスムーズにするとともに、外周面側での短絡の発生をより確実に防止することができる金属骨格を有した金属多孔体としては、電極群の内周面側から外周面側に向けて金属骨格の骨の太さが漸減している形態のものが高品質で理想であるが、このような金属多孔体は、従来の金属多孔体の製造方法では得ることは難しい。
【0015】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、アルカリ二次電池の正極に用いられる金属多孔体の更なる品質の向上を図るため、電極群の内周面側から外周面側に向けて金属骨格の骨の太さが漸減している金属多孔体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明によれば、三次元網状構造の樹脂骨格に金属材料をめっきし、前記金属材料のめっき層を残して前記樹脂骨格を除去することにより前記めっき層からなる三次元網状構造の金属多孔体を製造する金属多孔体の製造方法であって、前記樹脂骨格からなるベースシートを準備する準備工程と、前記ベースシートにおける前記樹脂骨格の表面にめっき処理を施し、前記樹脂骨格の前記表面を覆うめっき層を有した金属多孔シートを形成するめっき工程と、前記金属多孔シートの前記樹脂骨格を熱分解して除去し、前記めっき層からなる金属骨格を金属多孔体として残す焙焼工程とを備え、前記焙焼工程の前段及び後段の一方にて実施され、前記金属多孔シート及び前記金属骨格の一方を分割対象とし、この分割対象からシート状の2つの金属多孔体を得るべく前記分割対象をその厚みに関して分割する分割工程を更に備えていることを特徴とする金属多孔体の製造方法が提供される(請求項1)。
【0017】
また、前記分割工程は、分割対象としての前記金属骨格を2つの新たな金属骨格にスライスすることにより前記シート状の2つの金属多孔体を得るスライス工程であることが好ましい(請求項2)。
【0018】
更に、前記準備工程は、前記樹脂骨格からなる2つの層を含んだ前記ベースシートであって、前記各層にて前記金属多孔シートの一部分が形成され、これら一部分が互いに引き剥がし可能である、前記ベースシートを準備し、前記分割工程は、前記分割対象としての前記金属多孔シートを前記各層から得られた前記金属多孔シートの一部分毎に引き剥がして2つの新たな金属多孔シートに形成する引き剥がし工程であり、前記2つの新たな金属多孔シートは前記焙焼工程を受け、個々に金属多孔体としての金属骨格を残すことが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る金属多孔体の製造方法は、三次元網状構造の樹脂骨格からなるベースシートにおける前記樹脂骨格の表面に金属材料のめっき処理を施し、前記樹脂骨格の前記表面を覆うめっき層を有した金属多孔シートを形成する。ここで、前記金属多孔シートに含まれるめっき層の厚さは、めっき処理の特性上、金属多孔シートの表側の第1面及び裏側の第2面の部分において最も厚く、金属多孔シートの厚さ方向中央部に向かって徐々に薄くなっている。このため、前記めっき層からなる金属骨格の骨の太さは、金属多孔シートの表側の第1面及び裏側の第2面の部分において最も太く、金属多孔シートの厚さ方向中央部に向かって徐々に細くなっている。このような金属多孔シートは、焙焼工程の前段にて、前記樹脂骨格が除去される前の状態、及び、焙焼工程の後段にて、前記樹脂骨格が除去された後の状態の何れか一方に対し、その厚みに関して分割され、これによりシート状の2つの金属多孔体が得られる。このようにして得られた金属多孔体は、一方の面が、金属多孔シートの第1面又は第2面に相当し、他方の面が、金属多孔シートの厚さ方向中央部に相当する。このため、金属多孔体の金属骨格の骨の太さは、一方の面で最大となり、他方の面に向かって漸減していき、他方の面で最小となる。よって、本発明の金属多孔体の製造方法は、理想的な形態の金属多孔体を製造することができその工業的価値は大である。また、本発明の製造方法により得られた金属多孔体は、正極に適用された場合、巻回作業が容易となり、電池の製造効率向上に寄与する。更に、かかる正極を含むアルカリ二次電池は、短絡の発生率の低い良好な電池となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池を部分的に破断して示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池の横断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池に用いられる金属多孔体を概略的に示した斜視図である。
【図4】図3のIV部分を拡大して示す概略図である。
【図5】図3のV部分を拡大して示す概略図である。
【図6】図4中、VI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図5中、VII−VII線に沿う断面図である。
【図8】本発明に係る金属多孔体の製造方法の第1の実施形態を順番に示す概略図である。
【図9】本発明に係る金属多孔体の製造方法の第2の実施形態を順番に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る金属多孔体を正極に組み込んだニッケル水素二次電池(以下、単に電池と称する)について詳細に説明する。
本発明が適用される電池としては特に限定されないが、例えば、図1に示すAAサイズの円筒型電池2に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0022】
図1に示すように、電池2は、上端が開口した有底円筒形状をなす外装缶10を備えている。外装缶10の底壁35は導電性を有し、負極端子として機能する。外装缶10の開口内には、導電性を有する円板形状の蓋板14及びこの蓋板14を囲むリング形状の絶縁パッキン12が配置され、絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁に固定されている。即ち、蓋板14及び絶縁パッキン12は互いに協働して外装缶10の開口を気密に閉塞している。
【0023】
しかしながら、蓋板14は中央にガス抜き孔16を有し、そして、蓋板14の外面上にはガス抜き孔16を塞ぐゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うようにしてフランジ付き円筒形状の正極端子20が固定され、正極端子20は弁体18を蓋板14に向けて押圧している。従って、通常時、ガス抜き孔16は弁体18によって気密に閉じられている。一方、外装缶10内にガスが発生し、その内圧が高まれば、弁体18は内圧によって圧縮され、ガス抜き孔16を開き、この結果、外装缶10内からガス抜き孔16及び正極端子20を介してガスが放出される。つまり、ガス抜き孔16、弁体18及び正極端子20は電池のための安全弁を形成している。
【0024】
外装缶10には、電極群22が収容されている。この電極群22は、それぞれシート状の正極24、負極26及びセパレータ28からなり、これらは正極24と負極26の間にセパレータ28が挟み込まれた状態で渦巻状に巻回されている。即ち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互いに重ね合わされている。
【0025】
そして、外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に正極リード30が配置され、正極リード30の両端は正極24及び蓋板14にそれぞれ接続されている。従って、蓋板14の正極端子20と正極24とは、正極リード30及び蓋板14を介して互いに電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の絶縁部材32が配置され、正極リード30は絶縁部材32に設けられたスリットを通して延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の絶縁部材34が配置されている。
【0026】
更に、外装缶10内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注入されており、このアルカリ電解液は正極24、負極26及びセパレータ28に含浸され、正極24と負極26との間での充放電反応を進行させる。なお、アルカリ電解液の種類としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、及びこれらのうち2つ以上を混合した水溶液等をあげることができ、またアルカリ電解液の濃度についても特には限定されず、例えば、8N(規定度)のものを用いることができる。
【0027】
図2を参照すると、電極群22において、正極24及び負極26は、セパレータ28を間に挟んだ状態で電極群22の径方向でみて交互に重ね合わされている。これは、電極群22が、それぞれシート状の正極24、負極26及びセパレータ28を用意し、これら正極24及び負極26を、セパレータ28を介してそれらの一端側から巻芯を用いて渦巻状に巻回して形成されるからである。
【0028】
電極群22の最外周部は、負極26の巻き終わり側の一部により形成され、この負極26の巻き終わり側の一部が外装缶10と接触している。従って電極群22の最外周部において、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したものを用いることができる。
【0029】
負極26は、シート状をなす導電性の負極芯体を有し、この負極芯体に負極合剤が保持されている。負極芯体は、複数の貫通孔を有するシート状の金属材からなり、このようなものとして、例えば、パンチングメタル、金属粉末焼結体基板、エキスパンデッドメタル及びニッケルネット等を用いることができる。とりわけ、パンチングメタルや、金属粉末を成型してから焼結した金属粉末焼結体基板は負極芯体に好適する。
【0030】
負極合剤は、電池がニッケル水素二次電池であることから、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金粒子及び結着剤からなる。
【0031】
水素吸蔵合金粒子は、電池の充電時にアルカリ電解液中で電気化学的に発生させた水素を吸蔵でき、なおかつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出できるものであればよい。このような水素吸蔵合金としては、特に限定されないが、例えば、LaNi5やMmNi5(Mmはミッシュメタル)等のAB5型系のものを用いることができる。また、結着剤としては親水性若しくは疎水性のポリマー等をそれぞれ用いることができる。
【0032】
正極24は、非焼結式のニッケル極であり、導電性の金属多孔体と、金属多孔体に保持された正極合剤とからなる。
正極合剤は、正極活物質粒子と、正極の特性を改善するための種々の添加剤粒子と、これら正極活物質粒子及び添加剤粒子の混合粒子を正極芯体に結着するための結着剤とからなる。
【0033】
正極活物質粒子は、水酸化ニッケル粒子又は高次水酸化ニッケル粒子である。なお、これら水酸化ニッケル粒子は、コバルト、亜鉛、カドミウム等を固溶していてもよく、あるいは表面がコバルト化合物で表面が被覆されていてもよい。
【0034】
添加剤としては、いずれも特に限定されることはないが、酸化イットリウムの他に、酸化コバルト、金属コバルト、水酸化コバルト等のコバルト化合物、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物、酸化エルビウム等の希土類化合物等を用いることができる。
【0035】
結着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ディスパージョン、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)ディスパージョンなどを用いることができる。
【0036】
金属多孔体36はニッケル製であり、図3に展開して概略的に示したように、シート状をなしている。この金属多孔体36は、三次元網目状の構造を有し、相互に連通した無数の空孔を有する。正極24において、正極合剤は、これらの空孔内に充填された状態にて保持される。ここで、この金属多孔体36の単位面積当たりの質量(目付量)は200g/m2以上であることが好ましい。
なお、図1及び図2においては、線の錯綜を避けるため、金属多孔体36と正極合剤とを区別してはいない。
【0037】
金属多孔体36は、図3に示したように、電極群22の径方向内側に位置付けられる内層部38と、径方向外側に位置付けられる外層部40とを含んでいる。
金属多孔体36の外層部40は、図4に拡大して示したように、無数の金属骨格42と、金属骨格42が相互に交差する節部とからなり、これら金属骨格42及び節部が無数の空孔を形成している。
【0038】
一方、金属多孔体36の内層部38も、図5に拡大して示したように、無数の金属骨格44と、金属骨格44が相互に交差する節部とからなり、これら金属骨格44及び節部が無数の空孔を形成している。
【0039】
ここで、図6及び図7は、金属骨格42,44における骨43,45の横断面をそれぞれ示している。骨43,45はいずれも中空の筒状をなすが、外層部40の骨43の壁厚Doは、内層部38の骨45の壁厚Diよりも薄い。また、図6及び図7から明らかなように、外層部40の骨43の太さは、内層部38の金属骨格45の太さよりも細い。
【0040】
上述した電池2は、正極24を除いて通常の方法を適用して製造することができるので、以下では正極24の製造方法の一例を説明する。
【0041】
まず、金属多孔体36を作製するために、図8(b)に示すように、ベースシートとして1枚の発泡ポリウレタンのシート50を準備する。ここで、この発泡ポリウレタンのシート50は、最終的に得られる金属多孔体36のほぼ2倍の厚さを有しており、例えば、2.0mm〜4.0mmのものが準備される。また、シート50の空孔数(セル数)は、1インチ当たり30〜60個とし、好ましくは40〜50個とする。
【0042】
次に、準備した発泡ポリウレタンのシート50に導電処理を施す。この導電処理としては、導電剤の塗布、化学めっき(無電解めっき)、又はPVD(Physical Vapor Deposition)法(Ni蒸着、Niスパッタリング等)を用いることができる。
【0043】
次いで、導電処理が施された発泡ポリウレタンのシート50に対し、電解めっき処理によりニッケルめっきを施す。このとき、めっき浴中には2つのニッケル極を配置し、これらニッケル極の間に導電処理済みのシート50を配置する。このとき、ニッケル極(図示せず)は、シート50の表側の第1面52及び裏側の第2面54にそれぞれ対向するように配置する。そして、これらシート50とニッケル極との間に電圧を印加してニッケルめっきを行う。このとき、ニッケルイオンは、シート50の第1及び第2面52,54から厚さ方向の中心部56に向かって移動していく。この過程で、ニッケルめっきは、第1及び第2面52,54側が最も成長し、中心部56に向かって成長速度は遅くなっていく。その結果、シートの厚さ方向の位置とめっき層の厚さとの関係を示した図8(a)から明らかなように、めっき層の厚さは、第1及び第2面52,54の部分で最大となり、中央部56で最小となる。このとき、シート50の樹脂骨格の表面に形成されるめっき層の厚さは、例えば、5〜20μmとなる。
【0044】
次に、ニッケルめっきが施された発泡ウレタンのシート50(金属多孔シート51)は、焙焼炉に投入され、加熱される。これにより、ウレタン成分が熱分解され除去される。このときの焙焼条件は、例えば、700℃で10分間保持する。その後、水素雰囲気中で熱処理してニッケルを還元する。このときの熱処理条件は、1000℃の水素雰囲気中で
10分間保持する。
【0045】
このようにして、ニッケルめっき層により形成された金属骨格からなる三次元網状構造の金属多孔基体60が得られる。この金属多孔基体60は、樹脂骨格が除去されてなる中空部を含む金属骨格の骨が三次元状に組み合わされてなる。ここで、金属骨格の骨の壁厚Do,Diはニッケルのめっき層の厚さに対応する(図6、図7参照)。また、めっき層の厚さが厚くなるほど金属骨格の骨の太さは太くなる。
【0046】
次に、図8(c)に示すように、金属多孔基体60をその厚さ方向の中央部56からカッターを用いて2つにスライスする。これにより、前記金属多孔基体60の半分の厚さのシート状の金属多孔体36を得る。この金属多孔体36は、一方の面64側の金属骨格の骨の壁厚Diが最も厚く、他方の面66側に向かって徐々に金属骨格の骨の壁厚が薄くなっていき、他方の面66側で壁厚Doが最も薄くなっている。これにともない金属骨格44,42の骨の太さも一方の面64側で最も太く、他方の面66側で最も細くなっている。この結果、金属多孔体36は、他方の面66側で剛性が低下し、それにともない強度も低くなっている。
【0047】
次に、得られた金属多孔体36に正極合剤ペーストを充填して乾燥させる。この後、乾燥状態の正極合剤が充填された金属多孔体36を圧延して厚さを調整し、所定の寸法に裁断することにより正極24が得られる。
【0048】
この正極24は、セパレータ28を間に挟んで負極26と重ね合わせて渦巻き状に巻回され電極群22に形成される。このとき、正極24は、金属骨格44の骨45の太さが最も太い一方の面64側を電極群22の径方向内側に、金属骨格42の骨43の太さが最も細い他方の面66側を電極群22の径方向外側にそれぞれ位置付けられるように配置して巻回作業を行う。
【0049】
得られた電極群22は、アルカリ電解液とともに外装缶10に入れられる。その後、外装缶10の開口が蓋板14等で封口されて電池2が得られる。
【0050】
本発明の電池2は、正極24に含まれる金属多孔体36が、電極群22の径方向外側に金属骨格42の細い骨43が位置付けられるように配置されている。このため、巻回作業の際、骨43が折損しても、この部分の骨43は細く強度が低いのでセパレータ28を突き破るまでには至らず、電池の短絡不良の発生率を低く抑えることができる。
【0051】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の電池2は、金属多孔体の製造方法を変更したことを除き、第1の実施形態の電池2と同様であるので、変更した部分のみ説明し、同一箇所には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
第2の実施形態においては、図9(a)に示すように、最終的に得られる金属多孔体36とほぼ同じ厚さの発泡ポリウレタンのシート72,74を2枚準備する。これらのシート72,74は、それぞれ第1シート72及び第2シート74と称する。これら第1及び第2シート72,74は、空孔の個数がシート全体に亘って均等である。ここで、シートの空孔数(セル数)は、1インチ当たり30〜60個とし、好ましくは40〜50個とする。
【0053】
準備した第1及び第2シート72,74に対して、それぞれ、第1の実施形態と同様の導電処理を施す。その後、第1シート72と第2シート74を重ね合わせる。詳しくは、図9(b)に示すように、第1シート72における第2シート74側の第1面76と、第2シート74における第1シート72側の第1面78とを全面で接触させて、第1シート72と第2シート74との複合シート80を形成する。この複合シート80は、第1及び第2シートの第1面76,78の部分で剥離可能に重ね合わされ複合されている。ここで、複合シート80を形成する複合手段としては、図示しない治具により第1シート72と第2シート74とを組み合わせた状態で固定する態様、あるいは、第1及び第2シート72,74の第1面76,78の間に剥離可能な接着剤を配してこれら第1及び第2シート72,74を接着する態様が挙げられる。
【0054】
次に、この複合シート80に対し、第1の実施形態と同条件の電解めっき処理によりニッケルめっきを施し、樹脂骨格を覆うニッケルめっき層からなる金属骨格の三次元網状構造の金属多孔シート90を形成する。このとき、めっき層の厚さは、金属多孔シート90の第1及び第2面92,94の部分で最大となり、中央部96で最小となる。
【0055】
得られた金属多孔シート90は、上記した第1及び第2シート72,74の第1面76,78の部分から引き剥がされ分割される。これにより、金属多孔シート90の半体98,98を得る。得られた半体98は、焙焼処理が施される。つまり、半体98は、焙焼炉に投入され、加熱される。これにより、ウレタン成分が熱分解され除去される。その後、水素雰囲気中で熱処理してニッケルを還元し、本発明の金属多孔体36を得る。なお、焙焼条件及び熱処理条件は第1の実施形態と同様である。このような焙焼処理の後、半体98よりシート状の金属多孔体36が得られる。第2の実施形態で得られた金属多孔体36は、第1の実施形態と同様に、金属骨格44,42の骨45,43の太さが一方の面64側で最も太く、他方の面66側で最も細くなっている。
【0056】
第2の実施形態の金属多孔シート90は、上記した第1及び第2シート72,74の第1面76,78の部分で容易に剥離させることができるので、分割作業が簡単に行える。このため、電池の製造効率の向上に寄与する。
【0057】
なお、上記した実施形態では、ベース樹脂として発泡樹脂(発泡ポリウレタン)を用いたが、本発明は、この態様に限定されるものではなく、ベース樹脂として、樹脂材料からなる不織布を用いることもできる。また、本発明は、ニッケル水素二次電池に限定されるものではなく、金属多孔体を用いる他の電池にも適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
2 ニッケル水素二次電池
10 外装缶
12 絶縁パッキン
14 蓋板
20 正極端子
22 電極群
24 正極
26 負極
28 セパレータ
36 金属多孔体
42,44 金属骨格
50 発泡ポリウレタンのシート
51 金属多孔シート
60 金属多孔基体
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒型のアルカリ二次電池の電極に用いられる金属多孔体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ二次電池の一つとして、円筒型のニッケル水素二次電池が知られている。このニッケル水素二次電池は、例えば、負極端子を兼ねる有底円筒形状の外装缶の中に、電極群をアルカリ電解液とともに収容し、その後、前記外装缶の上端開口を正極端子が取り付けられた封口体で封口することにより製造されており、電極群はセパレータを介在させて重ねたシート状の負極及び正極をセパレータとともに渦巻状に巻回してなる。
【0003】
前記正極には、通常、非焼結式のニッケル極が用いられる。このニッケル極は、例えば、三次元の網状構造を有するニッケル、即ち、金属多孔体と、この金属多孔体に担持された正極合剤とから構成されている。この正極合剤は、例えば、正極活物質である水酸化ニッケル粒子及び各種添加剤粒子を含んでいる。
【0004】
ここで、ニッケルの金属多孔体の一例としては、発泡ニッケル基体が知られている。この発泡ニッケル基体は、例えば、以下のようにして製造される。
【0005】
まず、三次元網状構造を有するウレタンの樹脂シートにニッケルのめっき処理を施す。この樹脂シートは、樹脂骨格が三次元的に複雑に延びているので、前記めっき処理により、前記樹脂骨格の表面にニッケルのめっき層が成長していく。これにより、前記樹脂骨格の表面に倣ってニッケルのめっき層が形成され、このメッキ層によって金属骨格が形作られる。ついで、加熱処理を施すことにより前記金属骨格を残して前記樹脂骨格を熱分解して揮散させることで三次元網状構造の発泡ニッケル基体が得られる。
【0006】
ところで、発泡ニッケル基体に正極合剤を担持してなる正極は全体的に剛性が高いので、巻回する際に巻きにくいとともに、クラックが入り易い。ここで、正極においては、巻回の際、電極群の径方向でみて外側となる外周面に引張力がかかるので、特に、この外周面にクラックが入り易い。このようにクラックが入ると、クラックに対応した部位にてニッケルの金属骨格の骨が折損し、折損した骨の先端を針状あるいは樹枝状に突出させることがある。従来、金属骨格(発泡ニッケル基体)の骨を形成するニッケルめっき層は比較的厚く、強度が高いため、折損した骨の先端が隣接するセパレータを突き破って負極と接触して短絡を起こすことがある。
【0007】
そこで、正極をより巻き易くするとともに、その外周面での折損した骨による短絡を防止するために、発泡ニッケル基体の前記外周面側となる金属骨格の骨の太さを内周面側となる金属骨格の骨の太さよりも細くした金属骨格、即ち、金属多孔体の開発が行われている。このような金属多孔体の場合、正極の剛性が外周面側で低くなるので、正極の巻回が容易となるとともに、外周面側となる金属骨格の骨自体の強度が低くなるので、この部分にて金属骨格の骨が折損してもその先端部がセパレータを突き破るまでには至らず、短絡も防止することができる。
【0008】
このような金属多孔体の一例として、特許文献1に記載の金属多孔体が知られている。この特許文献1の金属多孔体は、以下のようにして製造される。
【0009】
まず、単位体積当たりの空孔の数が所定数の第1発泡樹脂と、単位体積当たりの空孔数が第1発泡樹脂よりも多い第2発泡樹脂とを貼り合わせて二層構造の発泡樹脂シートを形成し、この二層構造の発泡樹脂シートにニッケルのめっき処理を施す。この後、焙焼炉で加熱して樹脂骨格を揮散させることにより、発泡ニッケル基体を得る。
【0010】
ここで、発泡樹脂に単位体積当たり同一量のニッケルをめっきする場合、空孔数が多く樹脂骨格の表面積が大きいほど、樹脂骨格へのめっきの目付量は少なくなり、めっき層の厚さは薄くなる。逆に、空孔数が少なく樹脂骨格の表面積が小さいほど、樹脂骨格へのめっきの目付量は多くなり、めっき層の厚さは厚くなる。このため、単位体積当たりの空孔数が多い発泡樹脂では、得られるニッケル骨格の骨の太さはより細くなり、単位体積当たりの空孔数が少ない発泡樹脂では、得られるニッケル骨格の骨の太さはより太くなる。従って、特許文献1の発泡ニッケル基体は、単位体積当たりの空孔数が少ない一方側(第1発泡樹脂側)の金属骨格の骨は太く、単位体積当たりの空孔数が多い他方側(第2発泡樹脂側)の金属骨格の骨は細くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−357519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、多数の空孔を有する発泡樹脂シートにニッケルのめっき処理を施す場合、発泡樹脂シートの表面に到達したニッケルイオンは、発泡樹脂シートの表面から徐々に内部に移動していくので、ニッケルのめっき層は発泡樹脂シートの表面部から先に成長していき、発泡樹脂シートの厚さ方向の中央部にいくほどニッケルめっきの成長速度は遅くなる。つまり、発泡樹脂シートにめっき処理をする場合のめっきの特性として、めっき層の厚さは、シートの両面部で最大となり、厚さ方向の中央部で最小となる。
【0013】
この現象は、特許文献1の発泡樹脂シートでも起こる。具体的には、前記した特許文献1の発泡樹脂シートにニッケルめっきを施すと、空孔数の少ない側のニッケルめっき層は最も厚くなり(金属骨格の骨は最も太くなる)、厚み中央部分のニッケルめっき層は最も薄くなる(金属骨格の骨は最も細くなる)。そして、空孔数の多い側のニッケルめっき層は、空孔数の少ない側と中央部分との中間程度の厚さとなる(金属骨格の骨の太さは中間となる)。
【0014】
正極の巻回作業をよりスムーズにするとともに、外周面側での短絡の発生をより確実に防止することができる金属骨格を有した金属多孔体としては、電極群の内周面側から外周面側に向けて金属骨格の骨の太さが漸減している形態のものが高品質で理想であるが、このような金属多孔体は、従来の金属多孔体の製造方法では得ることは難しい。
【0015】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、アルカリ二次電池の正極に用いられる金属多孔体の更なる品質の向上を図るため、電極群の内周面側から外周面側に向けて金属骨格の骨の太さが漸減している金属多孔体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明によれば、三次元網状構造の樹脂骨格に金属材料をめっきし、前記金属材料のめっき層を残して前記樹脂骨格を除去することにより前記めっき層からなる三次元網状構造の金属多孔体を製造する金属多孔体の製造方法であって、前記樹脂骨格からなるベースシートを準備する準備工程と、前記ベースシートにおける前記樹脂骨格の表面にめっき処理を施し、前記樹脂骨格の前記表面を覆うめっき層を有した金属多孔シートを形成するめっき工程と、前記金属多孔シートの前記樹脂骨格を熱分解して除去し、前記めっき層からなる金属骨格を金属多孔体として残す焙焼工程とを備え、前記焙焼工程の前段及び後段の一方にて実施され、前記金属多孔シート及び前記金属骨格の一方を分割対象とし、この分割対象からシート状の2つの金属多孔体を得るべく前記分割対象をその厚みに関して分割する分割工程を更に備えていることを特徴とする金属多孔体の製造方法が提供される(請求項1)。
【0017】
また、前記分割工程は、分割対象としての前記金属骨格を2つの新たな金属骨格にスライスすることにより前記シート状の2つの金属多孔体を得るスライス工程であることが好ましい(請求項2)。
【0018】
更に、前記準備工程は、前記樹脂骨格からなる2つの層を含んだ前記ベースシートであって、前記各層にて前記金属多孔シートの一部分が形成され、これら一部分が互いに引き剥がし可能である、前記ベースシートを準備し、前記分割工程は、前記分割対象としての前記金属多孔シートを前記各層から得られた前記金属多孔シートの一部分毎に引き剥がして2つの新たな金属多孔シートに形成する引き剥がし工程であり、前記2つの新たな金属多孔シートは前記焙焼工程を受け、個々に金属多孔体としての金属骨格を残すことが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る金属多孔体の製造方法は、三次元網状構造の樹脂骨格からなるベースシートにおける前記樹脂骨格の表面に金属材料のめっき処理を施し、前記樹脂骨格の前記表面を覆うめっき層を有した金属多孔シートを形成する。ここで、前記金属多孔シートに含まれるめっき層の厚さは、めっき処理の特性上、金属多孔シートの表側の第1面及び裏側の第2面の部分において最も厚く、金属多孔シートの厚さ方向中央部に向かって徐々に薄くなっている。このため、前記めっき層からなる金属骨格の骨の太さは、金属多孔シートの表側の第1面及び裏側の第2面の部分において最も太く、金属多孔シートの厚さ方向中央部に向かって徐々に細くなっている。このような金属多孔シートは、焙焼工程の前段にて、前記樹脂骨格が除去される前の状態、及び、焙焼工程の後段にて、前記樹脂骨格が除去された後の状態の何れか一方に対し、その厚みに関して分割され、これによりシート状の2つの金属多孔体が得られる。このようにして得られた金属多孔体は、一方の面が、金属多孔シートの第1面又は第2面に相当し、他方の面が、金属多孔シートの厚さ方向中央部に相当する。このため、金属多孔体の金属骨格の骨の太さは、一方の面で最大となり、他方の面に向かって漸減していき、他方の面で最小となる。よって、本発明の金属多孔体の製造方法は、理想的な形態の金属多孔体を製造することができその工業的価値は大である。また、本発明の製造方法により得られた金属多孔体は、正極に適用された場合、巻回作業が容易となり、電池の製造効率向上に寄与する。更に、かかる正極を含むアルカリ二次電池は、短絡の発生率の低い良好な電池となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池を部分的に破断して示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池の横断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池に用いられる金属多孔体を概略的に示した斜視図である。
【図4】図3のIV部分を拡大して示す概略図である。
【図5】図3のV部分を拡大して示す概略図である。
【図6】図4中、VI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図5中、VII−VII線に沿う断面図である。
【図8】本発明に係る金属多孔体の製造方法の第1の実施形態を順番に示す概略図である。
【図9】本発明に係る金属多孔体の製造方法の第2の実施形態を順番に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る金属多孔体を正極に組み込んだニッケル水素二次電池(以下、単に電池と称する)について詳細に説明する。
本発明が適用される電池としては特に限定されないが、例えば、図1に示すAAサイズの円筒型電池2に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0022】
図1に示すように、電池2は、上端が開口した有底円筒形状をなす外装缶10を備えている。外装缶10の底壁35は導電性を有し、負極端子として機能する。外装缶10の開口内には、導電性を有する円板形状の蓋板14及びこの蓋板14を囲むリング形状の絶縁パッキン12が配置され、絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁に固定されている。即ち、蓋板14及び絶縁パッキン12は互いに協働して外装缶10の開口を気密に閉塞している。
【0023】
しかしながら、蓋板14は中央にガス抜き孔16を有し、そして、蓋板14の外面上にはガス抜き孔16を塞ぐゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うようにしてフランジ付き円筒形状の正極端子20が固定され、正極端子20は弁体18を蓋板14に向けて押圧している。従って、通常時、ガス抜き孔16は弁体18によって気密に閉じられている。一方、外装缶10内にガスが発生し、その内圧が高まれば、弁体18は内圧によって圧縮され、ガス抜き孔16を開き、この結果、外装缶10内からガス抜き孔16及び正極端子20を介してガスが放出される。つまり、ガス抜き孔16、弁体18及び正極端子20は電池のための安全弁を形成している。
【0024】
外装缶10には、電極群22が収容されている。この電極群22は、それぞれシート状の正極24、負極26及びセパレータ28からなり、これらは正極24と負極26の間にセパレータ28が挟み込まれた状態で渦巻状に巻回されている。即ち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互いに重ね合わされている。
【0025】
そして、外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に正極リード30が配置され、正極リード30の両端は正極24及び蓋板14にそれぞれ接続されている。従って、蓋板14の正極端子20と正極24とは、正極リード30及び蓋板14を介して互いに電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の絶縁部材32が配置され、正極リード30は絶縁部材32に設けられたスリットを通して延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の絶縁部材34が配置されている。
【0026】
更に、外装缶10内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注入されており、このアルカリ電解液は正極24、負極26及びセパレータ28に含浸され、正極24と負極26との間での充放電反応を進行させる。なお、アルカリ電解液の種類としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、及びこれらのうち2つ以上を混合した水溶液等をあげることができ、またアルカリ電解液の濃度についても特には限定されず、例えば、8N(規定度)のものを用いることができる。
【0027】
図2を参照すると、電極群22において、正極24及び負極26は、セパレータ28を間に挟んだ状態で電極群22の径方向でみて交互に重ね合わされている。これは、電極群22が、それぞれシート状の正極24、負極26及びセパレータ28を用意し、これら正極24及び負極26を、セパレータ28を介してそれらの一端側から巻芯を用いて渦巻状に巻回して形成されるからである。
【0028】
電極群22の最外周部は、負極26の巻き終わり側の一部により形成され、この負極26の巻き終わり側の一部が外装缶10と接触している。従って電極群22の最外周部において、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したものを用いることができる。
【0029】
負極26は、シート状をなす導電性の負極芯体を有し、この負極芯体に負極合剤が保持されている。負極芯体は、複数の貫通孔を有するシート状の金属材からなり、このようなものとして、例えば、パンチングメタル、金属粉末焼結体基板、エキスパンデッドメタル及びニッケルネット等を用いることができる。とりわけ、パンチングメタルや、金属粉末を成型してから焼結した金属粉末焼結体基板は負極芯体に好適する。
【0030】
負極合剤は、電池がニッケル水素二次電池であることから、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金粒子及び結着剤からなる。
【0031】
水素吸蔵合金粒子は、電池の充電時にアルカリ電解液中で電気化学的に発生させた水素を吸蔵でき、なおかつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出できるものであればよい。このような水素吸蔵合金としては、特に限定されないが、例えば、LaNi5やMmNi5(Mmはミッシュメタル)等のAB5型系のものを用いることができる。また、結着剤としては親水性若しくは疎水性のポリマー等をそれぞれ用いることができる。
【0032】
正極24は、非焼結式のニッケル極であり、導電性の金属多孔体と、金属多孔体に保持された正極合剤とからなる。
正極合剤は、正極活物質粒子と、正極の特性を改善するための種々の添加剤粒子と、これら正極活物質粒子及び添加剤粒子の混合粒子を正極芯体に結着するための結着剤とからなる。
【0033】
正極活物質粒子は、水酸化ニッケル粒子又は高次水酸化ニッケル粒子である。なお、これら水酸化ニッケル粒子は、コバルト、亜鉛、カドミウム等を固溶していてもよく、あるいは表面がコバルト化合物で表面が被覆されていてもよい。
【0034】
添加剤としては、いずれも特に限定されることはないが、酸化イットリウムの他に、酸化コバルト、金属コバルト、水酸化コバルト等のコバルト化合物、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物、酸化エルビウム等の希土類化合物等を用いることができる。
【0035】
結着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ディスパージョン、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)ディスパージョンなどを用いることができる。
【0036】
金属多孔体36はニッケル製であり、図3に展開して概略的に示したように、シート状をなしている。この金属多孔体36は、三次元網目状の構造を有し、相互に連通した無数の空孔を有する。正極24において、正極合剤は、これらの空孔内に充填された状態にて保持される。ここで、この金属多孔体36の単位面積当たりの質量(目付量)は200g/m2以上であることが好ましい。
なお、図1及び図2においては、線の錯綜を避けるため、金属多孔体36と正極合剤とを区別してはいない。
【0037】
金属多孔体36は、図3に示したように、電極群22の径方向内側に位置付けられる内層部38と、径方向外側に位置付けられる外層部40とを含んでいる。
金属多孔体36の外層部40は、図4に拡大して示したように、無数の金属骨格42と、金属骨格42が相互に交差する節部とからなり、これら金属骨格42及び節部が無数の空孔を形成している。
【0038】
一方、金属多孔体36の内層部38も、図5に拡大して示したように、無数の金属骨格44と、金属骨格44が相互に交差する節部とからなり、これら金属骨格44及び節部が無数の空孔を形成している。
【0039】
ここで、図6及び図7は、金属骨格42,44における骨43,45の横断面をそれぞれ示している。骨43,45はいずれも中空の筒状をなすが、外層部40の骨43の壁厚Doは、内層部38の骨45の壁厚Diよりも薄い。また、図6及び図7から明らかなように、外層部40の骨43の太さは、内層部38の金属骨格45の太さよりも細い。
【0040】
上述した電池2は、正極24を除いて通常の方法を適用して製造することができるので、以下では正極24の製造方法の一例を説明する。
【0041】
まず、金属多孔体36を作製するために、図8(b)に示すように、ベースシートとして1枚の発泡ポリウレタンのシート50を準備する。ここで、この発泡ポリウレタンのシート50は、最終的に得られる金属多孔体36のほぼ2倍の厚さを有しており、例えば、2.0mm〜4.0mmのものが準備される。また、シート50の空孔数(セル数)は、1インチ当たり30〜60個とし、好ましくは40〜50個とする。
【0042】
次に、準備した発泡ポリウレタンのシート50に導電処理を施す。この導電処理としては、導電剤の塗布、化学めっき(無電解めっき)、又はPVD(Physical Vapor Deposition)法(Ni蒸着、Niスパッタリング等)を用いることができる。
【0043】
次いで、導電処理が施された発泡ポリウレタンのシート50に対し、電解めっき処理によりニッケルめっきを施す。このとき、めっき浴中には2つのニッケル極を配置し、これらニッケル極の間に導電処理済みのシート50を配置する。このとき、ニッケル極(図示せず)は、シート50の表側の第1面52及び裏側の第2面54にそれぞれ対向するように配置する。そして、これらシート50とニッケル極との間に電圧を印加してニッケルめっきを行う。このとき、ニッケルイオンは、シート50の第1及び第2面52,54から厚さ方向の中心部56に向かって移動していく。この過程で、ニッケルめっきは、第1及び第2面52,54側が最も成長し、中心部56に向かって成長速度は遅くなっていく。その結果、シートの厚さ方向の位置とめっき層の厚さとの関係を示した図8(a)から明らかなように、めっき層の厚さは、第1及び第2面52,54の部分で最大となり、中央部56で最小となる。このとき、シート50の樹脂骨格の表面に形成されるめっき層の厚さは、例えば、5〜20μmとなる。
【0044】
次に、ニッケルめっきが施された発泡ウレタンのシート50(金属多孔シート51)は、焙焼炉に投入され、加熱される。これにより、ウレタン成分が熱分解され除去される。このときの焙焼条件は、例えば、700℃で10分間保持する。その後、水素雰囲気中で熱処理してニッケルを還元する。このときの熱処理条件は、1000℃の水素雰囲気中で
10分間保持する。
【0045】
このようにして、ニッケルめっき層により形成された金属骨格からなる三次元網状構造の金属多孔基体60が得られる。この金属多孔基体60は、樹脂骨格が除去されてなる中空部を含む金属骨格の骨が三次元状に組み合わされてなる。ここで、金属骨格の骨の壁厚Do,Diはニッケルのめっき層の厚さに対応する(図6、図7参照)。また、めっき層の厚さが厚くなるほど金属骨格の骨の太さは太くなる。
【0046】
次に、図8(c)に示すように、金属多孔基体60をその厚さ方向の中央部56からカッターを用いて2つにスライスする。これにより、前記金属多孔基体60の半分の厚さのシート状の金属多孔体36を得る。この金属多孔体36は、一方の面64側の金属骨格の骨の壁厚Diが最も厚く、他方の面66側に向かって徐々に金属骨格の骨の壁厚が薄くなっていき、他方の面66側で壁厚Doが最も薄くなっている。これにともない金属骨格44,42の骨の太さも一方の面64側で最も太く、他方の面66側で最も細くなっている。この結果、金属多孔体36は、他方の面66側で剛性が低下し、それにともない強度も低くなっている。
【0047】
次に、得られた金属多孔体36に正極合剤ペーストを充填して乾燥させる。この後、乾燥状態の正極合剤が充填された金属多孔体36を圧延して厚さを調整し、所定の寸法に裁断することにより正極24が得られる。
【0048】
この正極24は、セパレータ28を間に挟んで負極26と重ね合わせて渦巻き状に巻回され電極群22に形成される。このとき、正極24は、金属骨格44の骨45の太さが最も太い一方の面64側を電極群22の径方向内側に、金属骨格42の骨43の太さが最も細い他方の面66側を電極群22の径方向外側にそれぞれ位置付けられるように配置して巻回作業を行う。
【0049】
得られた電極群22は、アルカリ電解液とともに外装缶10に入れられる。その後、外装缶10の開口が蓋板14等で封口されて電池2が得られる。
【0050】
本発明の電池2は、正極24に含まれる金属多孔体36が、電極群22の径方向外側に金属骨格42の細い骨43が位置付けられるように配置されている。このため、巻回作業の際、骨43が折損しても、この部分の骨43は細く強度が低いのでセパレータ28を突き破るまでには至らず、電池の短絡不良の発生率を低く抑えることができる。
【0051】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の電池2は、金属多孔体の製造方法を変更したことを除き、第1の実施形態の電池2と同様であるので、変更した部分のみ説明し、同一箇所には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
第2の実施形態においては、図9(a)に示すように、最終的に得られる金属多孔体36とほぼ同じ厚さの発泡ポリウレタンのシート72,74を2枚準備する。これらのシート72,74は、それぞれ第1シート72及び第2シート74と称する。これら第1及び第2シート72,74は、空孔の個数がシート全体に亘って均等である。ここで、シートの空孔数(セル数)は、1インチ当たり30〜60個とし、好ましくは40〜50個とする。
【0053】
準備した第1及び第2シート72,74に対して、それぞれ、第1の実施形態と同様の導電処理を施す。その後、第1シート72と第2シート74を重ね合わせる。詳しくは、図9(b)に示すように、第1シート72における第2シート74側の第1面76と、第2シート74における第1シート72側の第1面78とを全面で接触させて、第1シート72と第2シート74との複合シート80を形成する。この複合シート80は、第1及び第2シートの第1面76,78の部分で剥離可能に重ね合わされ複合されている。ここで、複合シート80を形成する複合手段としては、図示しない治具により第1シート72と第2シート74とを組み合わせた状態で固定する態様、あるいは、第1及び第2シート72,74の第1面76,78の間に剥離可能な接着剤を配してこれら第1及び第2シート72,74を接着する態様が挙げられる。
【0054】
次に、この複合シート80に対し、第1の実施形態と同条件の電解めっき処理によりニッケルめっきを施し、樹脂骨格を覆うニッケルめっき層からなる金属骨格の三次元網状構造の金属多孔シート90を形成する。このとき、めっき層の厚さは、金属多孔シート90の第1及び第2面92,94の部分で最大となり、中央部96で最小となる。
【0055】
得られた金属多孔シート90は、上記した第1及び第2シート72,74の第1面76,78の部分から引き剥がされ分割される。これにより、金属多孔シート90の半体98,98を得る。得られた半体98は、焙焼処理が施される。つまり、半体98は、焙焼炉に投入され、加熱される。これにより、ウレタン成分が熱分解され除去される。その後、水素雰囲気中で熱処理してニッケルを還元し、本発明の金属多孔体36を得る。なお、焙焼条件及び熱処理条件は第1の実施形態と同様である。このような焙焼処理の後、半体98よりシート状の金属多孔体36が得られる。第2の実施形態で得られた金属多孔体36は、第1の実施形態と同様に、金属骨格44,42の骨45,43の太さが一方の面64側で最も太く、他方の面66側で最も細くなっている。
【0056】
第2の実施形態の金属多孔シート90は、上記した第1及び第2シート72,74の第1面76,78の部分で容易に剥離させることができるので、分割作業が簡単に行える。このため、電池の製造効率の向上に寄与する。
【0057】
なお、上記した実施形態では、ベース樹脂として発泡樹脂(発泡ポリウレタン)を用いたが、本発明は、この態様に限定されるものではなく、ベース樹脂として、樹脂材料からなる不織布を用いることもできる。また、本発明は、ニッケル水素二次電池に限定されるものではなく、金属多孔体を用いる他の電池にも適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
2 ニッケル水素二次電池
10 外装缶
12 絶縁パッキン
14 蓋板
20 正極端子
22 電極群
24 正極
26 負極
28 セパレータ
36 金属多孔体
42,44 金属骨格
50 発泡ポリウレタンのシート
51 金属多孔シート
60 金属多孔基体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元網状構造の樹脂骨格に金属材料をめっきし、前記金属材料のめっき層を残して前記樹脂骨格を除去することにより前記めっき層からなる三次元網状構造の金属多孔体を製造する金属多孔体の製造方法であって、
前記樹脂骨格からなるベースシートを準備する準備工程と、
前記ベースシートにおける前記樹脂骨格の表面にめっき処理を施し、前記樹脂骨格の前記表面を覆うめっき層を有した金属多孔シートを形成するめっき工程と、
前記金属多孔シートの前記樹脂骨格を熱分解して除去し、前記めっき層からなる金属骨格を金属多孔体として残す焙焼工程とを備え、
前記焙焼工程の前段及び後段の一方にて実施され、前記金属多孔シート及び前記金属骨格の一方を分割対象とし、この分割対象からシート状の2つの金属多孔体を得るべく前記分割対象をその厚みに関して分割する分割工程を更に備えていることを特徴とする金属多孔体の製造方法。
【請求項2】
前記分割工程は、
分割対象としての前記金属骨格を2つの新たな金属骨格にスライスすることにより前記シート状の2つの金属多孔体を得るスライス工程であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項3】
前記準備工程は、
前記樹脂骨格からなる2つの層を含んだ前記ベースシートであって、前記各層にて前記金属多孔シートの一部分が形成され、これら一部分が互いに引き剥がし可能である、前記ベースシートを準備し、
前記分割工程は、
前記分割対象としての前記金属多孔シートを前記各層から得られた前記金属多孔シートの一部分毎に引き剥がして2つの新たな金属多孔シートに形成する引き剥がし工程であり、
前記2つの新たな金属多孔シートは前記焙焼工程を受け、個々に金属多孔体としての金属骨格を残すことを特徴とする請求項1に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項1】
三次元網状構造の樹脂骨格に金属材料をめっきし、前記金属材料のめっき層を残して前記樹脂骨格を除去することにより前記めっき層からなる三次元網状構造の金属多孔体を製造する金属多孔体の製造方法であって、
前記樹脂骨格からなるベースシートを準備する準備工程と、
前記ベースシートにおける前記樹脂骨格の表面にめっき処理を施し、前記樹脂骨格の前記表面を覆うめっき層を有した金属多孔シートを形成するめっき工程と、
前記金属多孔シートの前記樹脂骨格を熱分解して除去し、前記めっき層からなる金属骨格を金属多孔体として残す焙焼工程とを備え、
前記焙焼工程の前段及び後段の一方にて実施され、前記金属多孔シート及び前記金属骨格の一方を分割対象とし、この分割対象からシート状の2つの金属多孔体を得るべく前記分割対象をその厚みに関して分割する分割工程を更に備えていることを特徴とする金属多孔体の製造方法。
【請求項2】
前記分割工程は、
分割対象としての前記金属骨格を2つの新たな金属骨格にスライスすることにより前記シート状の2つの金属多孔体を得るスライス工程であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項3】
前記準備工程は、
前記樹脂骨格からなる2つの層を含んだ前記ベースシートであって、前記各層にて前記金属多孔シートの一部分が形成され、これら一部分が互いに引き剥がし可能である、前記ベースシートを準備し、
前記分割工程は、
前記分割対象としての前記金属多孔シートを前記各層から得られた前記金属多孔シートの一部分毎に引き剥がして2つの新たな金属多孔シートに形成する引き剥がし工程であり、
前記2つの新たな金属多孔シートは前記焙焼工程を受け、個々に金属多孔体としての金属骨格を残すことを特徴とする請求項1に記載の金属多孔体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−62129(P2013−62129A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199594(P2011−199594)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(510206213)FDKトワイセル株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(510206213)FDKトワイセル株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
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