説明

金属探知方法およびその装置

【課題】 感度が偏ることなく探知することができ、均一な探知性能を得ることができる方法および装置。
【解決手段】 送信側パネル2と受信側パネル3とが対向して配置されている。送信側パネル2に配設された複数の送信コイル4′は、互いに均等な間隔をもって縦横に配列され、送信側パネル2上において互いに縦方向および横方向で略均等な間隔となるようマトリックス状に配列されている。一方、複数の受信コイル5′は、受信側パネル3において各送信コイル4′と対応する位置に配列されていて、互いに略均等な間隔となっている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属類を探知する金属探知方法と、その方法を実施するための金属探知装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば空港等に設置されている金属探知装置の従来技術としては、送信側パネルと受信側パネルとが互いに対向して備えられ、送信側パネル内に送信コイルが複数配設されると共に、受信側パネル内に送信コイルと対応する受信コイルが複数配設されている。
【0003】そして、送信側パネルの各送信コイルと受信側パネルの各受信コイルとにそれぞれ通電し、互いに対応する送信コイルおよび受信コイル間に磁界を発生させているとき、その間に例えばナイフのような金属類が通過すると、磁界中の磁束が変化して電流値が増大することにより、金属類を探知するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記に示す金属探知装置は、送信コイル,受信コイルが送信側パネル,受信側パネルに対し中央部を重点としてそれぞれ設けられているので、送,受信側パネルの中央部分では良好な探知結果を得ることができるものの、中央部分を除く上部及び下部の部分等では探知性能にばらつきが生じるという問題があった。即ち、送信側パネル,受信側パネルの中央部には送信コイル,受信コイルがそれぞれ均等の間隔で設けられているものの、それらの周辺部では送信コイル,受信コイルが広い間隔で設けられているので、中央部分とその周辺部分とに探知性能がばらついてしまう。この問題を解決するため、送,受信コイル間の受信感度を上げることが容易に考えられるが、そのようにすると、全ての送,受信コイル間での受信感度が一様に上がってしまうので、中央側では感度が上がり過ぎてしまい、中央部とその周辺部とで探知性能が不安定となる問題があった。
【0005】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、その目的とするところは、感度が偏ることなく探知することができ、略均一な探知性能を得ることができる金属探知方法を提供することにあり、他の目的は、上記方法を的確に実施することができる金属探知装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明においては、以下の手段を採用した。請求項1記載の発明は、送信側パネルと受信側パネル間に磁界を発生させて金属類を探知する金属探知方法であって、前記磁界を送信側パネルと受信側パネル間で略均等な間隔に発生させ、両パネル間で均一に金属類を探知するようにすることを特徴とする。
【0007】このように、磁界を、送信側パネルと受信側パネル間で略均等な間隔に発生させ、両パネル間で均一に金属類を探知するように構成すると、従来のように送,受信側パネル間の中央部分を重点化したものと異なり、その上下や左右の部分においても同様に金属類を確実に探知することができるので、位置に拘わることなく金属類の高精度な探知を行うことができる。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の金属探知方法において、前記磁界を、送信側パネルと受信側パネル間における縦方向と横方向とに等間隔で発生させてなることを特徴とする。
【0009】このように、送信側パネルと受信側パネル間における縦方向と横方向とに等間隔で前記磁界を発生させると、送信側パネル,受信側パネル間で均一の探知性能を確実に得ることができ、金属類の高精度な探知を安定して行うことができる。
【0010】請求項3記載の本発明は、複数の送信コイルを配設した送信側パネルと、送信コイルに対応する受信コイルを配設した受信パネルとを備え、各送信コイルは、送信側パネル上において互いに等間隔の位置に配置され、受信コイルは受信側パネル上に前記各送信コイルに対応する位置に配置されることを特徴とする。
【0011】このように、送信側パネルに複数の送信コイルが互いに略均等な間隔をもって配設されると共に、受信コイルが各送信コイルと対応して受信側パネルに配設されるので、送信側パネル,受信側パネル間で均一の探知性能を得る方法を的確に実施することができ、高精度な金属探知を実現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1〜図3は本発明による一実施の形態の金属探知装置に係る図であって、図1は金属探知装置を示す外観斜視図、図2は送信側パネルおよび受信側パネルに設けられた送信コイル部,受信コイル部をそれぞれ示す説明図、図3は送信側パネルと受信側パネル間で磁界が発生している探知状態を示す説明用側面図である。
【0013】この金属探知装置1は、図1に示すように、送信側パネル2と受信側パネル3とが対向して配置され、これら送信側パネル2と受信側パネル3との間でナイフのような凶器や金属塊などからなる金属類が矢印A方向に通過すると、送信側パネル2に設けられた送信コイル部4と、受信側パネル3に設けられた受信コイル部5間で磁界6が発生していることから、磁界6中の磁束が変化して電流値が増大し、これによって金属類を探知できるように構成されている(図3参照)。
【0014】送信側パネル2に設けられた送信コイル部4は、送信コイル4′が互いに均等な間隔をもって縦横に配設されている。即ち、送信コイル4′の各々は、図2R>2に示すように、送信コイル部4上において互いに縦方向および横方向で略均等でかつ狭い間隔となるようマトリックス状に複数配列されている。一方、受信コイル5′の各々は、受信コイル部5において各送信コイル4′と対応する位置に配設されていて、互いに略均等な間隔となっている。なお、図2において、破線部分はそれぞれ図示省略された送信コイル4′,受信コイル5′を表している。
【0015】このように送信側パネル2に設けられた送信コイル部4に複数からなる送信コイル4′の各々が互いに略均等で狭い間隔となるように配設され、またその各送信コイル4′と対応するよう、受信コイル5′も受信側パネル3の受信コイル5′上に略均等に配設されていると、この送信コイル4′,受信コイル5′間に通電することによって磁界6を発生させた場合、送信側パネル2と受信側パネル3との間では、図3に示すように、上下方向において略均等な間隔で磁界6が発生し、また図示していないが互いに対向する面間の左右方向においても狭い略均等の間隔で磁界6が発生することとなる。
【0016】そのため、送信側パネル2および受信側パネル3間に図1に示す矢印A方向に金属類が通過したとき、即ち、両パネル2,3間の上,下あるいは左,右の何れかの部分に金属類が通過すると、その位置に拘わることなく金属類を正確に探知することができる。
【0017】したがって、本発明の金属探知方法によれば、図3に示すように送信側パネル2と受信側パネル3間で狭くかつ略均等な間隔で磁界6を発生させ、送信側パネル2,受信側パネル3間で均一の探知性能を得ることができるようにしたので、従来のように送,受信側パネル間の中央部分に探知性能を重点化したものと異なり、その上下部分や左右部分においても同様に金属類を確実に探知することができる結果、位置に拘わることなく金属類の高精度な探知を確実に行うことができる。
【0018】しかも、送信側パネル2と受信側パネル3間における縦方向と横方向とに等間隔で前記磁界6を発生させるので、送信側パネル2,受信側パネル3間で均一の探知性能を確実に得ることができ、金属類の高精度な探知を安定して行うことができる。
【0019】また、本実施形態の金属探知装置1は、送信側パネル2に設けられた送信コイル部4に複数の送信コイル4′が互いに略均等な間隔をもって配設されると共に、受信コイル5′が各送信コイル4′に対応し、受信側パネル3の受信コイル部5に配設されているので、送信側パネル2,受信側パネル3間で均一の探知性能を得る方法を的確に実施することができ、高精度な金属探知を実現することができる。
【0020】また、送,受信コイル4′,5′の各々が送信側,受信側パネル3,3にそれぞれ均等な位置に配置されると、その分だけ送,受信コイル4′,5′の設置数が増え、コスト高を招くものの、金属類の安定した高精度な探知を得る上ではやむを得ないものとなる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、送信側パネルと受信側パネル間で略均等な間隔で金属類の探知性能を得るように構成したので、従来のように中央部分で探知性能を重点化してむらのあるものと異なり、金属類の高精度な探知を確実に行うことができる効果が得られる。
【0022】また請求項2記載の発明によれば、送信側パネル,受信側パネル間で均一の探知性能を確実に得ることができ、金属類の高精度な探知を安定して行うことができる効果が得られる。
【0023】請求項3記載の発明によれば、送信側パネルに複数の送信コイルが互いに略均等な間隔をもって配設されると共に、受信コイルが各送信コイルと対応して受信側パネルに配設されるので、送信側パネル,受信側パネル間で均一の探知性能を得る方法を的確に実施することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る金属探知装置を示す外観斜視図である。
【図2】送信側パネル,受信側パネルにそれぞれ設けられた送信コイル部,受信コイル部を示す説明図である。
【図3】送信側パネルと受信側パネル間の上下方向で磁界が発生している探知状態を示す説明用側面図である。
【符号の説明】
1 金属探知装置
2 送信側パネル
3 受信側パネル
4 送信コイル部
4′ 送信コイル
5 受信コイル部
5′ 受信コイル
6 磁界

【特許請求の範囲】
【請求項1】 送信側パネルと受信側パネル間に磁界を発生させて金属類を探知する金属探知方法であって、前記磁界を送信側パネルと受信側パネル間で略均等な間隔に発生させ、両パネル間で均一に金属類を探知するようにすることを特徴とする金属探知方法。
【請求項2】 請求項1記載の金属探知方法において、前記磁界を送信側パネルと受信側パネル間における縦方向と横方向とに等間隔で発生させてなることを特徴とする金属探知方法。
【請求項3】 複数の送信コイルを配設した送信側パネルと、送信コイルに対応する受信コイルを配設した受信パネルとを備え、各送信コイルは、送信側パネル上において互いに等間隔の位置に配置され、受信コイルは受信側パネル上に前記各送信コイルに対応する位置に配置されることを特徴とする金属探知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2003−50283(P2003−50283A)
【公開日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−269501(P2001−269501)
【出願日】平成13年8月3日(2001.8.3)
【出願人】(000233295)日立ハイブリッドネットワーク株式会社 (195)
【Fターム(参考)】