説明

金属検出装置

【課題】1つまたは複数の動作周波数を使用する改善された金属検出装置を提供すること。
【解決手段】金属検出装置は、受信機ユニット4の入力に接続される受信機コイル3に結合される送信機コイル21に送信機信号を提供する送信機ユニット1を含み、前記送信機ユニット1は、動作周波数fTXを増幅器段12の入力に提供する周波数発生器11を含み、その増幅器段12の出力は、変圧器13を介して送信機コイル21に接続される。本発明によると、増幅器段12の出力は、変圧器13の変圧器巻線131の第1のタップ141、142、143に接続され、送信機コイル21は、同じ変圧器巻線131の第2のタップ151、152、153、154に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは複数の動作周波数を使用する金属検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属検出装置は、食用品および他の製品中の金属汚染を検出するために使用される。WO02/25318で述べられるように、現代の金属検出装置は、生鮮および冷凍製品などの多種多様な製品中の鉄系、非鉄系およびステンレス鋼を含むすべての金属汚染物質類を検出する能力がある「平衡コイルシステム」を含むサーチヘッドを利用する。
【0003】
「平衡コイル」原理に従って動作する金属検出装置は典型的には、非金属フレームに巻かれる3つのコイルを含み、各々は、その他と正確に平行である。中心に位置する送信機コイルは、磁場を生成する高周波電流で励起される。送信機コイルの各々の側にある2つのコイルは、受信機コイルとしての役割を果たす。2つの受信機コイルは、同一であり、送信機コイルから同じ距離で設置されるので、同一電圧が、それらの各々に誘起される。システムが平衡状態にあるときにゼロである出力信号を受信するために、第1の受信機コイルは、逆向きの巻線を有する第2の受信機コイルと直列に接続される。それ故に、同一振幅でかつ逆極性である、受信機コイルに誘起される電圧は、システムが金属汚染のないときに平衡状態にある場合には、互いに相殺している。
【0004】
金属粒子が、コイル配置を通過すると、高周波場が、最初に1つの受信機コイルの近くで、次いでもう一方の受信機コイルの近くで乱される。金属粒子が、受信機コイルを通って運ばれる間に、各受信機コイルに誘起される電圧は、典型的にはナノボルトの範囲で変えられる。この平衡の変化は、受信機コイルの出力に信号をもたらし、その信号は、処理され、増幅され、その後に製品中の金属汚染の存在を検出するために使用できる。
【0005】
信号処理チャンネルは、受信信号を互いに90°離れた2つの個別成分に分割する。合成ベクトルは、コイルを通って運ばれる製品および汚染物質について典型的である大きさおよび位相角を有する。金属汚染物質を識別するためには、「製品の影響」は、除去されるまたは低減される必要がある。もし製品の位相が周知であるならば、そのとき対応する信号ベクトルは、低減できる。それ故に、信号スペクトルから不要な信号を排除することは、汚染物質から生じる信号にとってより高い感度につながる。
【0006】
従って、信号スペクトルから不要な信号を排除するために適用される方法は、汚染物質、製品および他の外乱が磁場に異なる影響を有し、その結果生じる信号が位相の点で異なるという事実を利用する。
【0007】
さまざまな金属または製品が金属検出装置のコイルを通過するとき、それらによって引き起こされる信号は、測定される物体の導電率および透磁率に従って2つの成分、すなわち抵抗成分およびリアクタンス成分に分割できる。フェライトによって引き起こされる信号は、主にリアクタンス性であり、一方ステンレス鋼からの信号は、主に抵抗性である。導電性である製品は典型的には、強い抵抗成分を持つ信号を引き起こす。
【0008】
位相検出器を用いて異なる起源の信号成分の位相同士を区別することは、製品および汚染物質についての情報を得ることを可能にする。位相検出器、例えば周波数混合器またはアナログ乗算器回路は、受信機コイルからの信号などの信号入力と送信機ユニットによって受信機ユニットに提供される基準信号との間の位相の差を表す電圧信号を生成する。それ故に、製品信号成分の位相と一致するように基準信号の位相を選択することによって、ゼロである位相差および対応する製品信号は、位相検出器の出力で得られる。汚染物質から生じる信号成分の位相が、製品信号成分の位相とは異なる場合には、そのとき汚染物質の信号成分は、検出できる。しかしながら、汚染物質の信号成分の位相が、製品信号成分の位相に近い場合には、汚染物質の信号成分は、製品信号成分と一緒に抑制されるので、そのとき汚染物質の検出は、失敗する。
【0009】
従って、周知のシステムでは、送信機周波数は、金属汚染物質の信号成分の位相が製品信号成分の位相と一致しなくなるように選択可能である。
GB2423366Aは、少なくとも2つの異なる動作周波数の間で切り替えるように設計され、その結果製品中のどんな金属粒子も異なる周波数での走査を受けることになる、金属検出装置を開示する。動作周波数は、急速に変えられ、その結果コンベヤーベルト上を通過するどんな金属粒子も、2つ以上の異なる周波数で走査されることになる。第1の動作周波数について、金属粒子によって引き起こされる信号成分の位相が、製品の信号成分の位相に近く、それ故に覆い隠される場合には、そのとき第2の周波数については、金属粒子によって引き起こされる信号成分の位相は、製品の信号成分の位相とは異なることになり、その結果この信号成分は、区別できると仮定される。多くの周波数の間で切り替えることによって、1つの周波数が、どんな特定の金属の種類、大きさおよび向きについても適切な感度を提供することになると期待される。
【0010】
GB2423366Aで開示される送信機の駆動回路は、電気的にプログラム可能な論理デバイス、および送信機コイルが横断して接続される全波ブリッジ回路を形成する4つの電界効果トランジスタに接続されるドライバーを含む。
【0011】
JP2007278719Aは、金属検出感度を改善するために少なくとも2つの異なる周波数の間で切り替えるように設計されるさらなる金属検出装置を開示する。この装置は、増幅器を備える送信機を含み、その増幅器の出力は、送信機コイルに接続される第1の二次巻線および制御スイッチを用いてスイッチを入れるまたは切ることができる同調コンデンサに接続される第2の二次巻線を有する変圧器の一次巻線に接続される。
【0012】
感度は、選択される周波数に依存するだけではない。重要なのは、US20110074401A1で述べられるような装置の正確な較正ならびに受信および信号処理ユニットの最適性能である。
【0013】
JP2007278719Aでは、変圧器に接続されるコンデンサを使った容量調節は、複雑になることもあり、それ故に最適感度に達することができなくなる制限をもたらすことが述べられる。さらに、変圧器での損失は、コンデンサおよび変圧器コイルによって形成される共振回路に悪影響を有する。
【0014】
GB2423366Aに関しては、適用される切り替え技術は、柔軟性を提供するが、しかし送信機信号の品質に悪影響を有することもあることに留意することが重要である。送信機コイルに直結されるトランジスタのスイッチを切る急速な信号に起因して、外乱が、特に動作周波数の上部範囲に現れることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO02/25318
【特許文献2】GB2423366A
【特許文献3】JP2007278719A
【特許文献4】US20110074401A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明は、1つまたは複数の動作周波数を使用する改善された金属検出装置を作る目的に基づいている。
詳しくは、本発明は、改善された信号感度で動作する金属検出装置を作る目的に基づいている。
【0017】
より詳しくは、本発明は、高い信号品質を持つ駆動信号の効果的な生成および送信機コイルへの移送を可能にする送信機を備える金属検出装置を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の上記および他の目的は、請求項1で定義されるような金属検出装置によって達成される。
1つまたは複数の周波数で動作する金属検出装置は、受信機ユニットの入力に接続される受信機コイルに結合される送信機コイルに送信機信号を提供する送信機ユニットを含む。送信機ユニットは、動作周波数を増幅器段の入力に提供する周波数発生器を含み、その増幅器段の出力は、変圧器を介して送信機コイルに接続される。
【0019】
本発明によると、増幅器段の出力は、変圧器の変圧器巻線の第1のタップに接続され、送信機コイルは、同じ変圧器巻線の第2のタップに接続され、その変圧器巻線は、第1のタップと共通ポテンシャルとの間に巻線コイル数nおよび第2のタップと共通ポテンシャルとの間に巻線コイル数n+mを示す。送信機コイルは、巻線コイル数qを含み、コンデンサに並列に接続され、それ故に動作周波数に同調される共振回路を形成する。変圧器巻線の巻線コイル数と送信機コイルの巻線コイル数との比(n+m)/qは、変圧器巻線のインダクタンスが送信機コイルのインダクタンスよりも少なくとも10倍高いように選択される。
【0020】
この配置では、送信機コイルおよび1つまたは複数の同調コンデンサから成る共振回路は、最適にかつ送信機ユニットの他の部分とは無関係に同調できる。インダクタンスの差に起因して、変圧器は、共振回路から切り離されて、送信機の異なる部分の個々の最適化を可能にする。適切な電圧範囲、例えば20Vppで出力信号を提供する標準的なA級またはB級増幅器が、選択されてもよい。変圧器は、損失の低下および電圧変換のために最適化されてもよく、一方共振回路は、高Q値を有するために最適化される。電圧変換は、送信機コイルに関して比較的多い巻線コイル数を含む単一の変圧器巻線が高インダクタンスをもたらす状態で行われ、その高インダクタンスは実際には、変圧器を同調共振回路から切り離す。
【0021】
本発明の実施では、より高い電圧およびより高い駆動電流が、送信機コイルを駆動するために得られる可能性がある。同調共振回路の電圧および電流の値は、2倍以上に至るまで増加されることもある。同時に、駆動信号の干渉および劣化は、回避され、その結果全体に感度のかなりの増加に達することができる。
【0022】
好ましくは、単一の変圧器巻線は、第1および第2のグループのタップを含み、共振回路に印加される所望の電圧の選択を可能にする。
本発明は、ただ1つの動作周波数だけを使用するまたは好ましくは300kHzから850kHzの範囲で2つ以上の動作周波数の選択を可能にする制御可能な周波数発生器を含む装置で実施されてもよい。
【0023】
金属検出装置が、2つ以上の動作周波数での動作のために設計される場合には、選択される動作周波数に同調される共振回路が形成されるように、送信機コイルに個々にまたは組み合わせて接続可能である2つ以上の同調コンデンサが、提供される。
【0024】
好ましい実施形態では、変圧器巻線のインダクタンスと送信機コイルのインダクタンスとの比は、100:1から2000:1に至るまでの範囲で選択される。
好ましくは、変圧器巻線のインダクタンスと送信機コイルのインダクタンスとの比は、最低動作周波数の範囲では100:1から200:1に至るまでの範囲および最高動作周波数の範囲では1000:1から2000:1の範囲で提供される。それ故に、あらゆる動作領域で、共振回路の望ましい分離に達することができる。
【0025】
さらに好ましい実施形態では、変圧器巻線の巻線コイルの比(n+m)/nが、より高い動作周波数については高くなり、より低い動作周波数については低下するように、前記第1のタップが第1のグループのタップから選択可能でありかつ/または前記第2のタップが第2のグループのタップから選択可能であるような方法で設計される制御ユニットが、提供される。比(n+m)/nは、所望の電圧が各動作周波数について送信機コイルの両端間に生成されるように選択される。好ましくは、比(n+m)/nは、動作周波数が変えられるとき、増幅器を通って流れる電流が著しく変化しないように選択される。タップは、送信機コイルが所望の電圧を有すると、そのとき増幅器の電流が最適値であるように選択される。好ましくは、増幅器電流は、動作周波数が変えられるとき、最適増幅器電流値から10%〜20%を超えて逸脱しない。
【0026】
好ましい実施形態では、変圧器巻線の第2のタップに至るまでの変圧器巻線の巻線コイル数n+mは、変圧器巻線の第1のタップに至るまでの変圧器巻線の巻線コイル数nよりも、動作周波数の周波数範囲の下端において2から3倍高く、動作周波数の周波数範囲の上端において5から15倍高い。
【0027】
さらに好ましい実施形態では、変圧器は、第1のタップ、第2のタップおよび中心タップを有する二次巻線を含み、その二次巻線から基準信号が、受信機ユニットに提供される信号処理ユニットに提供され、その基準信号は、送信機コイルおよび中心タップ付き受信機コイルの個別対称コイル区分を通過している製品または汚染物質によって誘起される信号変化を検出するために使用される。この方策で、送信機コイルに印加される送信機信号に正確に対応する基準信号が、得られる可能性がある。
【0028】
さらに好ましい実施形態では、共振回路の同調コンデンサは、送信機コイルのタップに直接取り付けられる。このようにして、共振回路は、小型に保たれ、感度をさもなければ低下させることになる損失は、最小限に抑えられる。好ましくは、共振回路を金属検出装置の電気部品または電子部品から絶縁する遮蔽が、提供される。
【0029】
変圧器のコアは、好ましくはポットコア型の例えばフェライトコアである。この型は、主要実施形態では円柱状コアの周りに巻かれる単一の変圧器巻線だけを含む本発明の変圧器を製造することを可能にする。この変圧器は、本出願では最小挿入損失を持つ好ましい特徴を示す。
【0030】
本発明の目的および利点のいくつかが、述べられたが、他のものは、次の説明が添付図面と一緒に考えられるとき現れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の金属検出装置のブロック図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明の金属検出装置のブロック図を示し、それは、送信機ユニット1と、送信機コイル21、ならびに第1および第2の受信機コイル31、32を備える平衡コイルシステムと、受信機ユニット4と、信号処理ユニット6と、標準インターフェース、入力デバイスおよび出力デバイス、好ましくはキーボードおよびモニターを含む制御ユニット5とを含む。図1はさらに、コンベヤー8を記号的に示し、その上で汚染物質Cを含むこともある製品Pが、送信機コイル21および受信機コイル31、32を通って運ばれる。
【0033】
送信機ユニット1は、例えばA級またはB級標準に従って動作する電力増幅器12の入力に動作周波数fTXの信号を提供する周波数発生器11を含む。電力増幅器12の出力は、好ましくは第1のスイッチバンク14のスイッチを介して変圧器13の単一巻線の第1のグループのタップ141、142、143のタップに印加され、その単一巻線は、第2のグループのタップ151、152、153、154を含み、かつコア9、例えば円柱状コアを有する好ましくはポットコア型のフェライトコアの周りに巻かれる。
【0034】
送信機コイル21は、第2のスイッチバンク15のスイッチを介して第2のグループのタップ151、152、153、154のタップに接続される。さらに、同調コンデンサ221は、送信機コイル21のタップに堅く接続され、それ故に金属検出装置の第1の動作周波数fTXに同調される共振L−C回路を形成する。スイッチ231、232を備えるスイッチバンク23を介して、追加の同調コンデンサ222、223が、共振回路の共振周波数を周波数発生器11で選択できるさらなる動作周波数fTXに調節するために、第1の同調コンデンサ221に並列に接続できる。それ故に、本発明は、ただ1つの動作周波数fTXだけを使用する装置に適用できるだけでなく、好ましくは300kHzから850kHzの範囲で1つまたは複数の動作周波数fTXを使用する任意の金属検出装置でも適用できる。
【0035】
変圧器巻線131は、第1のグループ141、142、143の第1のタップ141と共通ポテンシャルとの間に巻線コイル数nおよび第2のグループのタップ151、152、153、154の第1のタップ151と共通ポテンシャルとの間に巻線コイル数n+mを含む。送信機コイル21は、巻線コイル数qを含む。
【0036】
電力増幅器12および送信機コイル21の相互接続のためにタップ141、142、143;151、152、153、154を選択することで、伝送比は、広い範囲にわたって適切に選択できる。
【0037】
第1の変圧器巻線131の巻線コイルと送信機コイル21の巻線コイルとの比(n+m)/qは、第1の変圧器巻線131のインダクタンスが送信機コイル21のインダクタンスよりも少なくとも10倍高いように選択される。比(n+m)/qのこの選択および結果として得られるインダクタンスの差を使って、高インピーダンスが、変圧器巻線131について得られ、低インピーダンスが、共振回路に組み込まれる送信機コイル21について得られる。それ故に、共振回路への変圧器13の影響は、小さいままである。干渉を避けるために、共振回路はさらに、金属遮蔽7で保護される。
【0038】
好ましい実施形態では、第1の変圧器巻線131のインダクタンスと送信機コイル21のインダクタンスとの比は、動作周波数fTXに応じて100:1から2000:1の間の範囲で選択される。インダクタンスの比を増加させると、共振回路の最適分離が、得られる可能性がある。
【0039】
好ましくは、第1の変圧器巻線131のインダクタンスと送信機コイル21のインダクタンスとの比は、選択可能な最低動作周波数fTXの範囲では100:1から200:1に至るまでの範囲で提供される。最高動作周波数fTXの範囲では、第1の変圧器巻線131のインダクタンスと送信機コイル21のインダクタンスとの比は、好ましくは1000:1から2000:1の範囲で提供される。
【0040】
例となる実施形態では、第2のグループ151、152、153、154の第1のタップ151に至るまでの第1の変圧器巻線131の巻線コイル数n+mは、第1の変圧器巻線131の第1のグループのタップ141、142、143の第1のタップ141に至るまでの第1の変圧器巻線131の巻線コイル数nよりも、動作周波数fTXの周波数範囲の下端において2から3倍多く、動作周波数fTXの周波数範囲の上端において5から15倍多い。
【0041】
第1のグループ141、142、143の第1のタップ141と共通ポテンシャルとの間の巻線コイル数nは、例えば5に等しい。第2のグループ151、152、153、154の第1のタップ151と共通ポテンシャルとの間の巻線コイル数mは、例えば11に等しい。第2のグループ151、152、153、154の最後のタップ154と共通ポテンシャルとの間の巻線コイル数mは、例えば33に等しい。好ましくは、さまざまなタップ151、152、153、154間の巻線コイルは、均等に分配される。
【0042】
第1のグループのタップは、例えば単一のタップ141に減らされてもよい。しかしながら、2つ以上のタップ141、142、143を使うと、適切な電圧を選択するための柔軟性が、著しく高められる。
【0043】
スイッチバンク14および15の設定は好ましくは、第1の変圧器巻線131の巻線コイルの比(n+m)/nが、より高い動作周波数fTXについては高くなり、より低い動作周波数fTXについては減少するように選択される。
【0044】
この方策で、送信機コイル21を横断して生成される電圧は、各動作周波数fTXについて個々に調節できる。好ましい実施形態では、スイッチバンク14および15は、電力増幅器12を流れる電流が、選択される動作周波数fTXとは無関係にほぼ一定に保たれるように動かされる。それ故に、電力増幅器は、好ましいモードで動作する。結果として、動作周波数fTXの全範囲にわたって金属検出装置の安定した性能が、達成される。調節および自動制御、受信機利得を調節するための閉ループ回路、ならびに周波数変化と一緒に振幅変化によって引き起こされる間違った測定結果は、避けることができる。
【0045】
図面では、第1の変圧器巻線131は、第2の変圧器巻線132に結合され、それは、第1のタップ1321と第2のタップ1323との間に中心タップ1322を含むことがさらに示される。基準信号sREFとして信号処理ユニット6に供給される、第2の巻線132を横断して現れる電圧は、製品Pおよび/または汚染物質Cが平衡コイルシステム21、3を通過しないときに受信機コイル3を横断して現れる信号に正確に対応する。それ故に、基準信号sREFを使うと、製品Pまたは汚染物質Cによって誘起される受信信号の変化は、正確に検出できる。基準信号sREFは、電力増幅器12の出力での送信機信号sTXに対して位相固定されるので、信号変化の検出は、最高精度で行うことができる。送信機電子機器の論理モジュールでさもなければ生じることもある位相シフトは、回避される。
【0046】
本発明の金属検出装置は、制御線51を介して周波数発生器11、制御線52を介してスイッチバンク14の設定、制御線53を介してスイッチバンク15および制御線54を介して共振回路の同調コンデンサ222、223のスイッチ231、232を制御する制御ユニット5を含む。さらに、制御ユニット5は、通信チャンネル60を介して信号処理ユニット6に接続される。
【0047】
制御ユニット5は好ましくは、本発明の金属検出装置の自動化動作を支援するコンピュータプログラムを含む。
【符号の説明】
【0048】
1 送信機ユニット
3 受信機コイル
4 受信機ユニット
5 制御ユニット
6 信号処理ユニット
7 金属遮蔽
8 コンベヤー
9 コア
11 周波数発生器
12 電力増幅器
13 変圧器
14 第1のスイッチバンク
15 第2のスイッチバンク
21 送信機コイル
23 スイッチバンク
31 受信機コイル
32 受信機コイル
51 制御線
52 制御線
53 制御線
54 制御線
60 通信チャンネル
131 第1の変圧器巻線
132 第2の変圧器巻線
141 第1のグループのタップ
142 第1のグループのタップ
143 第1のグループのタップ
151 第2のグループのタップ
152 第2のグループのタップ
153 第2のグループのタップ
154 第2のグループのタップ
221 同調コンデンサ
222 追加の同調コンデンサ
223 追加の同調コンデンサ
231 スイッチ
232 スイッチ
1321 第1のタップ
1322 中心タップ
1323 第2のタップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機ユニット(4)の入力に接続される受信機コイル(3)に結合される送信機コイル(21)に送信機信号を提供する送信機ユニット(1)を含む金属検出装置であって、前記送信機ユニット(1)は、動作周波数(fTX)を増幅器段(12)の入力に提供する周波数発生器(11)を含み、その増幅器段(12)の出力は、変圧器(13)を介して前記送信機コイル(21)に接続され、
前記増幅器段(12)の前記出力は、前記変圧器(13)の第1の変圧器巻線(131)の第1のタップ(141、142、143)に接続され、前記送信機コイル(21)は、前記同じ第1の変圧器巻線(131)の第2のタップ(151、152、153、154)に接続され、前記第1の変圧器巻線(131)は、前記第1のタップと共通ポテンシャルとの間に巻線コイル数nおよび前記第2のタップ(151、152、153、154)と前記共通ポテンシャルとの間に巻線コイル数n+mを有し、前記送信機コイル(21)は、巻線コイル数qを含み、コンデンサ(221)に並列に接続され、それ故に前記動作周波数(fTX)に同調される共振回路を形成し、前記第1の変圧器巻線(131)の前記巻線コイルと前記送信機コイル(21)の前記巻線コイルとの比(n+m)/qは、前記第1の変圧器巻線(131)のインダクタンスが前記送信機コイル(21)のインダクタンスよりも少なくとも10倍高いように選択されることを特徴とする、金属検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金属検出装置において、前記第1のタップは、前記第1の変圧器巻線(131)に接続される第1のグループのタップ(141、142、143)から選択可能でありかつ/または前記第2のタップは、前記第1の変圧器巻線(131)に接続される第2のグループのタップ(151、152、153、154)から選択可能であり、前記第1の変圧器巻線(131)は、1から15の範囲で比(n+m)/nの選択を可能にする巻線コイル数を有する、金属検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の金属検出装置において、好ましくは300kHzから850kHzの範囲で2つ以上の動作周波数(fTX)の選択を可能にする制御可能な周波数発生器(11)が、提供される、金属検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の金属検出装置において、前記選択される動作周波数(fTX)に同調される共振回路が形成されるように、前記送信機コイル(21)に個々にまたは組み合わせて接続可能である1つまたは複数の同調コンデンサ(222、223)が、提供される、金属検出装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の金属検出装置において、前記第1の変圧器巻線(131)の前記インダクタンスと前記送信機コイル(21)の前記インダクタンスとの比は、100:1から2000:1に至るまでの範囲で選択可能である、金属検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の金属検出装置において、前記第1の変圧器巻線(131)の前記インダクタンスと前記送信機コイル(21)の前記インダクタンスとの前記比は、最低動作周波数(fTX)に向かっては100:1から200:1に至るまでの範囲および最高動作周波数(fTX)に向かっては1000:1から2000:1の範囲で提供される、金属検出装置。
【請求項7】
請求項2から6の一項に記載の金属検出装置において、前記第1の変圧器巻線(131)の前記巻線コイルの前記比(n+m)/nが、より高い動作周波数(fTX)については高くなり、より低い動作周波数(fTX)については低下するように、前記第1のタップが第1のグループのタップ(141、142、143)から選択可能であり及び/又は前記第2のタップが第2のグループのタップ(151、152、153、154)から選択可能であるような方法で設計される制御ユニット(5)が、提供される、金属検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の金属検出装置において、前記比(n+m)/nは、所望の電圧が前記送信機コイル(21)を横断して生成され、前記増幅器(12)の電流が選択されるすべての動作周波数(fTX)について最適値でほぼ一定であるように、各動作周波数(fTX)について選択可能である、金属検出装置。
【請求項9】
請求項1から8の一項に記載の金属検出装置において、前記第2のタップ(151、152、153、154)に至るまでの前記第1の変圧器巻線(131)の前記巻線コイル数n+mは、前記第1の変圧器巻線(131)の前記第1のタップ(141、142、143)に至るまでの前記第1の変圧器巻線(131)の前記巻線コイル数nよりも、前記動作周波数(fTX)の周波数範囲の下端において2から3倍多く、前記動作周波数(fTX)の周波数範囲の上端において5から15倍多い、金属検出装置。
【請求項10】
請求項1から9の一項に記載の金属検出装置において、前記変圧器(13)は、第1のタップ(1321)、第2のタップ(1323)および中心タップ(1322)を有する二次巻線(132)を含み、その二次巻線から基準信号(sREF)が、前記受信機ユニット(4)に設けられた信号処理ユニット(6)に提供され、その基準信号(sREF)は、前記送信機コイル(21)および前記中心タップ付き受信機コイル(3)の個別対称コイル区分(31、32)を通過している製品(P)または汚染物質(C)によって誘起される信号変化を検出するために使用される、金属検出装置。
【請求項11】
請求項1から10の一項に記載の金属検出装置において、前記同調コンデンサ(221、222、223)は、前記送信機コイル(21)のタップに直接取り付けられる、金属検出装置。
【請求項12】
請求項1から11の一項に記載の金属検出装置において、前記変圧器は、好ましくはポットコア型(9)のフェライトコアを含む、金属検出装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−44749(P2013−44749A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−179422(P2012−179422)
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【出願人】(511241516)メトラー−トレド・セーフライン・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】