説明

金属積層板及び金属積層板の製造方法

【課題】 金属層がポリマー層を介し、基板に強固に接着された金属積層板、及び、該金属積層板の簡便且つ低コストな製造方法を提供すること。
【解決手段】 高度な金属還元機能と、金属との強い配位結合能力を有するアルキレンイミン単位を有するポリマー利用して得られる、基板と、アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有するポリマー層と、金属層とが積層されてなることを特徴とする金属積層板、及び、アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有する溶液を基板表面に塗布した後、溶媒を除去し、該ポリマーを含有するポリマー層を表面に有する基板を得る工程と、前記ポリマー層を有する基板と金属イオンとを接触させて、ポリマー層中のアルキレンイミン単位に金属イオンを配位させ、該金属イオンを還元させた後、基板ごと加熱して、前記ポリマー層上に金属層を形成する工程とを有することを特徴とする金属積層板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板表面に金属層を有する積層板、及び金属積層板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の移動体通信機器等の各種電子機器の小型化や高性能化に伴い、より微細な領域内や、微細な配線パターン状に金属層を形成する手法として、各種のボトムアップ型の金属層形成手法の検討がなされている。
【0003】
例えば、金属と配位可能な有機化合物でナノメートルオーダーの金属微粒子を被覆し、これを分散させたペースト状の組成物を基板表面に塗布し、焼成することにより、基板上に金属層を有する多層配線板を形成する手法が開示されている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。しかし、該手法において使用するナノメートルオーダーの金属微粒子の形成は容易ではなく、さらにペースト状の組成物を得るためには、前記のように有機化合物での被覆が必要であり、更に溶媒に均一に分散させるために各種分散剤の使用が必要となることから、工程が煩雑な上、コスト面においても不利なものであった。
【0004】
これと同様に金属微粒子から形成される金属層を有する配線材料として、基板上に金属層を接着するためのバインダー層を形成し、このバインダー層上に金属層を積層した配線材料が開示されている(例えば、特許文献2参照)。該配線材料は、基板との密着性に優れるバインダー層中に予め積層する金属層と同じ金属微粒子を少量混合しておき、そのバインダー層の上部に金属層を積層し、これを焼成することで、バインダー層中の金属微粒子と、金属層中の金属微粒子の融着を起こさせ、バインダー層と金属層とを一体化させるものであり、配線の低抵抗化と基板との接着性の向上を図るものである。しかしながら、バインダー層と金属層との一体化は物理的なアンカー効果によるものであるため、バインダー層と金属層との接着は強固なものではなかった。また、これら従来の手法により得られる金属層は、微粒子が三次元的に密に積み重なった状態から一体化されてできるものであるため、単純なフィルム構造のものであった。
【0005】
【特許文献1】特開平2002−299833号公報
【特許文献2】特開平2004−241767号公報
【非特許文献1】W.P. Wuelfing etal. Chem. Mater. (2001) 13巻、87頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、金属層がポリマー層を介し、基板に強固に接着された金属積層板、及び、該金属積層板の簡便で且つ低コストな製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、アルキレンイミン単位を有するポリマーを使用することにより、該ポリマーの有する高度な金属還元機能と、金属との配位結合能力を利用して上記課題を解決した。
【0008】
すなわち本発明は、基板と、アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有するポリマー層と、金属層とが積層されてなることを特徴とする金属積層板を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、アルキレンイミン単位を有するポリマーの有機溶媒溶液を基板表面に塗布した後、溶媒を除去し、該ポリマーを含有するポリマー層を表面に有する基板を得る工程(1)と、前記ポリマー層を有する基板と金属イオンとを接触させて、ポリマー層中のアルキレンイミン単位に金属イオンを配位させ、該金属イオンを還元させた後、基板ごと加熱して、前記ポリマー層上に金属層を形成する工程(2)、とを有する金属積層板の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の金属積層板は、金属層と、アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有するポリマー層とが、配位結合により積層されているため、ポリマー層と金属層とが強固に結合されている。特に、金属薄膜層中には分散剤や接着剤等の有機材料成分を実質的に含まないため抵抗値が低く、基板に吸着したポリマー層とその上で形成した金属層とが化学的な配位結合により強固に固定されていることから、金属層が微細なパターン形状である場合にも良好な特性を発現できる。また、導電性にも優れることから、配線板、回路基板、導電性テープ、電極などの各種の材料として有用である。
【0011】
さらに、高密度に形成された金属ネットワークが基板全体に広がって形成されたネット状の金属層を形成できる。該ネット状金属層は、ワイヤのような金属のフレームが二次元のネット状に形成されていることを特徴とする。このため、従来の金属層に比べて大きな表面積を有するため、触媒等の材料に有用である。さらに、ネット状金属層の隙間には下層のポリマー層が存在するため、さらに金属層の上層にポリマー層を形成する際においては、上層のポリマー層との密着性に優れる。
【0012】
また、本発明の製造方法によれば、金属積層板、好適にはネット状の金属フレーム層が積層された金属積層板を簡便且つ低コストで得ることができる。さらに、金属イオンを還元させるためのアルキレンイミン単位を有するポリマー層は、任意のパターンに容易に塗布することが可能であるため、微細なパターン状の金属層を容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の金属積層板は、基板と、アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有するポリマー層と、金属層とが積層されているものである。
【0014】
[基板]
本発明において使用する基板としては、アルキレンイミン単位を有するポリマーが吸着できるものであれば特に限定されず、樹脂などの有機材料からなる基板、ガラスや金属などの無機材料からなる基板、あるいはこれらの表面が導電性処理された基板などを使用できる。これら基板としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボナート、ポリエステル、ポリスチレン、エポキシ樹脂などの各種ポリマーのフィルム又は板、アルミ、シリコン、ガラス、鉄、ステンレスなど無機板、布、皮などが例示できる。
【0015】
なかでも、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、アルミニウム、シリコン、ガラス板は、アルキレンイミン単位を有するポリマーとの吸着性に優れるため好ましく使用できる。
【0016】
[ポリマー層]
本発明においては、金属積層板のポリマー層としてアルキレンイミン単位を有するポリマーを基板表面に吸着させる。該ポリマー中のアルキレンイミン単位は、金属イオンを配位することができると共に、一定の金属イオンを自発的に還元させる金属還元機能を有するため、該ポリマー層上に金属層を形成することができる。
【0017】
アルキレンイミン単位を有するポリマーとしては、ポリマーの総重量に対するアルキレンイミン単位の重量割合は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。なかでも、効率良く金属イオンの還元を行うには、ポリマー鎖中の一定鎖長においてアルキレンイミン単位が連続して存在することが好ましく、連続して存在する繰り返し単位数が10以上であることが好ましく、20〜10000の範囲であることが特に好ましい。
【0018】
このようなポリマーとしては、アルキレンイミン単位のみからなる直鎖状のポリマー、アルキレンイミン単位のみからなる分岐状のポリマー、アルキレンイミン単位からなるポリマーセグメントを有するブロックポリマー又はグラフトポリマーなどのポリアルキレンイミン骨格を有するものを好ましく使用できる。また、アルキレンイミン単位を有するポリマーとしては、ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーであることが、金属イオンへの配位能力や、還元能力に優れ、また原料の工業的入手が容易である点から好ましい。
【0019】
また、アルキレンイミン単位を有するポリマーとしては、ポリマー骨格中にアルキレンイミン単位以外の構造単位が存在していてもよい。該アルキレンイミン単位以外の構造単位としては、基板との吸着機能を有するものであっても、他の機能を付与するものであってもよく、例えば、N−アシルエチレンイミン単位、N−アシルプロピレンイミン単位、エチレングリコール単位、プロピレングリコール単位、変性エポキシ単位、ビニルアルコール単位などが挙げられる。
【0020】
N−アシルエチレンイミン単位の例としては、N−ホルミルエチレンイミン、N−アセチルエチレンイミン、N−プロピオニルエチレンイミン、N−ブチリルエチレンイミン、N−イソブチリルエチレンイミン、N−ピバロイルエチレンイミン、N−ラウロイルエチレンイミン、N−ステアロイルエチレンイミン、N−(3−パーフロロオクチルプロピオニル)エチレンイミンなどの脂肪族飽和カルボン酸でアシル化されたポリエチレンイミン、N−アクリロイルエチレンイミン、N−メタクリロイルエチレンイミン、N−オレオイルエチンイミンなどの脂肪族不飽和カルボン酸でアシル化されたエチレンイミン、N−ベンゾイルエチレンイミン、N−トルイロイルエチレンイミン、N−ナフトイルエチレンイミン、N−シンナモイルエチレンイミン、などの芳香族カルボン酸でアシル化されたポリエチレンイミンなどの構造単位が挙げられる。
【0021】
また、N−アシルプロピレンイミン単位の例としては、例えば、N−ホルミルプロピレンイミン、N−アセチルプロピレンイミン、N−プロピオニルプロピレンイミン、N−ブチリルプロピレンイミン、N−イソブチリルプロピレンイミン、N−ピバロイルプロピレンイミン、N−ラウロイルプロピレンイミン、N−ステアロイルプロピレンイミン、N−(3−パーフロロオクチルプロピオニル)プロピレンイミンなどの脂肪族飽和カルボン酸でアシル化されたポリプロピレンイミン、N−アクリロイルプロピレンイミン、N−メタクリロイルプロピレンイミン、N−オレオイルエチンイミンなどの脂肪族不飽和カルボン酸でアシル化されたプロピレンイミン、N−ベンゾイルプロピレンイミン、N−トルイロイルプロピレンイミン、N−ナフトイルプロピレンイミン、N−シンナモイルプロピレンイミン、などの芳香族カルボン酸でアシル化されたポリプロピレンイミンなどの構造単位が挙げられる。
【0022】
ポリマー骨格中にアルキレンイミン単位以外の構造単位を導入する方法としては、例えば、ポリアルキレンイミンとの架橋構造を形成可能な、多官能有機酸、多官能アルデヒド、多官能エポキシド、多官能イソシアナートなどの多官能化合物を反応させる方法が例として挙げられる。
【0023】
さらに、本発明の金属積層板中のポリマー層を形成するポリマーとして、前述のアルキレンイミン単位を有するポリマーと、その他のポリマー等の他の成分を混合して用いることもできる。その他のポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアミン、ポリプロピレンアミン、ポリビニルピリジン、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミドなどが例として挙げられる。
【0024】
また、その他の成分として、金属イオンの還元力を上げるために、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素アンモニウム、ジメチルアミノエタノール、アルデヒド、ヒドラジン、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸などの還元剤を併用することも可能である。
【0025】
アルキレンイミン単位を有するポリマーの基板表面への吸着は、該ポリマーが基板表面に固定されれば任意であり、該ポリマー中のアルキレンイミン単位が基板と吸着していても、他の構造単位が吸着していてもよく、基板の種類に応じてポリマー構造を適宜設計することで基板表面に好適にポリマーを吸着させることができる。
【0026】
例えば、ガラス基板上にアルキレンイミン単位が吸着する場合は、ガラス基板表面に存在するヒドロキシル基とアルキレンイミン単位中の窒素原子とのイオン結合によるものであり、ガラス基板表面にポリマー層を形成することができる。
【0027】
アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有するポリマー層の厚さは、アルキレンイミン単位を有するポリマーの重合度や、塗布方法、その他の成分の種類や配合量等により適宜調整可能であり、得られる金属積層板の使用する用途によって好適な厚さとすることができるが、一般的には0.1〜100μmの範囲であって、後述する本発明の金属積層板の製造方法により、任意に調整することができる。
【0028】
[金属層]
本発明の金属積層板における金属層を形成する金属種としては、特に制限されず、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、マンガン、ニッケル、ロジウム、コバルト、ルテニウム、レニウム、モリブデンなどの遷移金属が挙げられ、一種であっても、二種以上であってもよい。これら遷移金属の中でも、特に、金、銀、白金、パラジウムは、その金属イオンがアルキレンイミン単位に配位された後、室温または加熱状態で自発的に還元されるため、後述する本発明の製造方法を用いる場合には、特に好ましい。これら金属の金属イオンは、基板上のポリマー層におけるアルキレンイミン単位と接触することにより、金属錯体を経由して自発的な還元、あるいは必要に応じて併用される還元剤による還元により金属微粒子を形成する。当該金属微粒子は、金属イオンとポリマー層中のアルキレンイミン単位とが配位した金属錯体における金属イオンが還元されたものである。この金属微粒子は、アルキレンイミン単位と配位結合を形成しているため、金属微粒子として安定に存在している。本発明の金属積層板における金属層は、この金属微粒子が加熱等によって融着し一体化したものであるため、ポリマー層と化学的な配位結合により強固に結合されている。
【0029】
前述の、金属イオンとポリマー層中のアルキレンイミン単位との金属錯体の形成や、金属イオンの自発還元は短時間で行なわれるため、金属微粒子は優先的にポリマー層の表層で生成される。引き続き、基板ごと加熱すると、これらの金属微粒子同士が相互に融着することで、二次元的なネット状の金属薄膜層に成長させることができる。この過程では、金属とポリマーとの相分離に類似した現象が起こりながら、ネット状金属層が基板表面全体に広がり、従来の方法で得られていた金属層の全体にわたって均一な単なるフィルム状の構造とは異なる、ネット状の金属フレームが表層に形成される。
【0030】
該金属層は金属微粒子から形成されるものであるため、金属微粒子の大きさや密度を調整することで、その厚さを調整することができ、得られる金属積層板の用途や所望とする抵抗値等によって適宜選択するものであるが、本発明の製造方法では、金属層の厚さを10nm〜10000μmの範囲とすることができる。
【0031】
[金属積層板]
本発明の金属積層板は、基板/ポリマー層/金属層の順に積層されたものであり、ポリマー層/金属層間は化学的な配位結合により結合されている。従って、金属層が物理的に積層された基板と比べて、層間の結合力が強いため各種材料として好適に使用できる。特に、金属薄膜層中には分散剤や接着剤等の、抵抗値に影響を与える有機材料成分を実質的に含まず、基板に吸着したポリマー層とその上で形成した金属層とが化学的な配位結合により強固に固定されていることから、金属層が微細なパターン形状である場合にも良好な特性を発現できる。また、導電性にも優れ、導電材料として良好な諸物性を発現できることから、配線板、回路基板、導電性テープ、電極などの各種の電子材料として有用である。
【0032】
また、高密度に形成された金属ネットワークが基板全体に広がって形成されたネット状の金属層を形成できる。該ネット状金属層は、ワイヤのような金属のフレームが二次元のネット状に形成されていることを特徴とする。このため、ネット状金属層を有する金属積層板は、大きな表面積を有するため、触媒等の材料に有用である。さらに、ネット状の金属層を有する金属積層板は、その表面に下層のポリマー層が露出した部分を有するため、当該金属積層板の上層に、さらにポリマー層を形成する場合においては、上層のポリマー層との密着性を高くすることもできる。
【0033】
さらに、本発明の金属積層板は、金属層を金属イオンの還元により形成するものであるため、基板上に任意に形成したパターン状のポリマー層に応じたパターン状の金属層を容易に形成できる。
【0034】
[金属積層板の製造方法]
本発明の金属積層板の製造方法は、アルキレンイミン単位を有するポリマーの溶液を基板表面に塗布した後、溶媒を除去し、該ポリマーを含有するポリマー層を表面に有する基板を得る工程(1)と、前記ポリマー層を有する基板と金属イオンとを接触させて、ポリマー層中のアルキレンイミン単位に金属イオンを配位させ、該金属イオンを還元させた後、基板ごと加熱して、前記ポリマー層上に金属層を形成する工程(2)、とを有する製造方法であり、これにより基板表面に金属層を容易に形成することができる。
【0035】
工程(1)において使用するアルキレンイミン単位を有するポリマーは上記と同様のポリマーを使用できる。また、該ポリマーの溶液を得る際に使用する溶媒としては、該ポリマーが溶解又は、微分散するものであれば特に制限されず、水、又は、メタノールやエタノールなどの有機溶剤、あるいはこれらの混合溶媒などを適宜使用できる。
【0036】
溶液中における該ポリマーの濃度は、基板上に塗布できる濃度であれば良いが、所望のパターン形成や、基板表面へ吸着するポリマー密度を高くする場合には、0.5〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜50質量%の範囲であるとより好ましい。
【0037】
また、得られる金属積層板の金属層を所望のパターン状に形成する場合には、工程(1)においてポリマー層を所望のパターン状に塗布すればよく、金属層を基板全面に形成する場合には、ポリマー層を全面に塗布すればよい。
【0038】
基板表面にポリマーの溶液を塗布する方法としては、例えばスピンコータ、バーコータ、アプリケータなどによる塗布の他、ジェットプリンタによるプリントや印刷などの方法を使用でき、微細なパターン状に塗布する場合には、ジェットプリンタ、又は、印刷による塗布方法が好適である。
【0039】
工程(2)においては、工程(1)において形成したポリマー層に金属イオンを配位させ、これを還元させることにより金属微粒子を形成する。該金属微粒子の形成においては、まずnmオーダーの微粒子が形成される。この金属微粒子は相互に接触すると室温でも融着を生じるが、引き続き、加熱することにより、層全体に渡って均一な金属層を形成することができる。当該製造方法により形成される金属層は、基本的には上記ネット状金属層が好適に形成されるが、極微細なパターンとした場合や、他の条件の設定によっては、ネット状でないものの作製も可能である。
【0040】
この際、金属イオンの金属種として、金、銀、白金又はパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種のものを使用した場合には、工程(1)において形成したポリマー層に金属イオンを配位させることで、これら金属イオンを自発的に還元させることができるため、これら金属種の金属イオンを用いる事が好ましい。
【0041】
これら金属イオンのように自発的に還元しない金属、あるいは自発的な還元が不十分である金属を使用する場合には、還元剤を併用して、還元させればよい。使用できる還元剤としては、例えば、水素、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素アンモニウム、アルデヒド、ヒドラジン、ジメチルアミノエタノール、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸などが例として挙げられる。還元剤を用いて金属イオンを還元する際には、その反応は水性媒体中で行うことができる。この際、金属イオンを配位させた基板を還元剤溶液と接触させることが望ましい。または、還元剤を含むポリマー層が吸着した基板を金属イオン溶液と接触させる方法でもよい。
【0042】
前記工程(2)において金属イオンを接触させる方法としては、該金属イオンの溶液状態で接触させる方法が好ましく、ポリマー層が吸着した基板を金属イオン溶液に投入する方法などにより接触させることができる。この際、金属イオン溶液は、金属層を均一に形成できる点から、金属イオン濃度が、1〜50質量%の範囲とすることが好ましい。
【0043】
工程(2)において、基板を加熱する温度は、均一に金属層が形成できればよく、特に限定されないが、一般的には60〜300℃の温度とする。また、加熱以外でも金属微粒子を融着させることが出来、例えば、電子線、紫外線などの光線を用いることができる。
【0044】
以上のとおり、本発明の製造方法においては、製造や取り扱いの困難なナノメートルオーダーの金属微粒子を必要とせず、また、金属微粒子を溶媒に分散させるための有機化合物による被覆処理や分散剤を必要としない。さらに、基板表面へポリマーを塗布した後、金属イオンを接触させるという極めて簡単な工程により金属層を形成できることから、金属積層板を簡便且つ低コストで得ることができる。
【0045】
さらに、金属イオンを還元させるためのアルキレンイミン単位を有するポリマー層は、任意のパターンに容易に塗布することが可能であるため、微細なパターン状の金属層を容易に形成することができる。
【0046】
上記のとおり、本発明の製造方法によれば、基板表面に容易に金属層を形成できると共に、微細なパターン状の金属層を形成することができる。また、当該製法によれば、ネット状の金属層を容易且つ簡便に形成することができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、特に断わりがない限り、「%」は「質量%」を表わす。
【0048】
合成例1 ポリマー1の合成
ビスフェノールA型エポキシ樹脂EPICLON AM−040−P(大日本インキ化学工業株式会社製、エポキシ当量933) 18.7g(20m当量)、4−フェニルフェノール1.28g(7.5mmol)、65%酢酸エチルトリフェニルホスホニウムエタノール溶液0.26ml(0.12mol%)及びN,N−ジメチルアセトアミド50mlを、窒素雰囲気下、120℃で6時間反応させた。放冷後、水150ml中に滴下し、得られた沈殿物をメタノールで2回洗浄した後、60℃で減圧乾燥して、単官能性のエポキシ樹脂を得た。得られた生成物の収量は19.6g、収率は98%であった。
【0049】
得られた単官能性のエポキシ樹脂のH−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm):7.55〜6.75(m),4.40〜3.90(m),3.33(m),2.89(m),2.73(m),1.62(s)
【0050】
上記の単官能性のエポキシ樹脂3.0g(1.5mmol)、アセトン50mlの溶液に分岐状ポリエチレンイミン(アルドリッチ社製、分子量25,000)12.0g(0.48mmol)、メタノール50mlの溶液を加えて、窒素雰囲気下、60℃で2時間攪拌した。反応終了した後、脱溶剤することにより分岐状ポリエチレンイミン由来のエチレンイミン単位を有するポリマー1を得た。
【0051】
合成例2 ポリマー2の合成
ナフタレン型4官能エポキシ樹脂EPICLON HP−4700(大日本インキ化学工業株式会社製)10.84g(20m当量)、4−フェニルフェノール6.6g(38.8mmol)、65%酢酸エチルトリフェニルホスホニウムエタノール溶液0.34ml(0.16mol%)及びN,N−ジメチルアセトアミド50mlを、窒素雰囲気下、110℃で6時間反応させた。放冷後、水150ml中に滴下し、得られた沈殿物をメタノールで2回洗浄した後、60℃で減圧乾燥して、単官能性のエポキシ樹脂を得た。得られた生成物の収量は17.1g、収率は98%であった。
【0052】
得られた単官能性のエポキシ樹脂のH−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm):7.70〜6.75(m),4.95〜3.70(m),3.40〜2.60(m)
【0053】
上記の単官能性のエポキシ樹脂2.1g(2.0mmol)、アセトン40mlの溶液に分岐状ポリエチレンイミン8.4g(0.34mmol)、メタノール40mlの溶液を加えて、窒素雰囲気下、60℃で2時間攪拌した。反応終了した後、脱溶剤することにより分岐状ポリエチレンイミン由来のエチレンイミン単位を有するポリマー2を得た。
【0054】
合成例3 ポリマー3の合成
窒素雰囲気下、メトキシポリエチレングリコール[Mn=2,000]20.0g(10.0mmol)、ピリジン8.0g(100.0mmol)、クロロホルム20mlの混合溶液に、p−トルエンスルホン酸クロライド9.6g(50.0mmol)を含むクロロホルム(30ml)溶液を、氷冷撹拌しながら30分間滴下した。滴下終了後、浴槽温度40℃でさらに4時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム50mlを加えて反応液を希釈した。引き続き、5%塩酸水溶液100ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100ml、そして飽和食塩水溶液100mlで順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。得られた固形物をヘキサンで数回洗浄した後、濾過、80℃で減圧乾燥して、トシル化された生成物22.0gを得た。
【0055】
得られた生成物のH−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm):7.82(d),7.28(d),3.74〜3.54(bs),3.41(s),2.40(s)
【0056】
上記で合成した末端にp−トルエンスルホニルオキシ基を有するメトキシポリエチレングリコール化合物5.39g(2.5mmol)、分岐状ポリエチレンイミン20.0g(0.8mmol)、炭酸カリウム0.07g及びN,N−ジメチルアセトアミド100mlを、窒素雰囲気下、100℃で6時間攪拌した。得られた反応混合物を酢酸エチルとヘキサンの混合溶液(V/V=1/2)300mlを加え、室温で強力攪拌した後、生成物の固形物を濾過した。その固形物を酢酸エチルとヘキサンの混合溶液(V/V=1/2)100mlを用いて2回繰り返し洗浄した後、減圧乾燥してポリエチレングリコールと分岐状ポリエチレンイミン構造を有するブロックポリマーの固体を24.4g得た。
【0057】
得られた生成物のH−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm):3.50(s),3.05〜2.20(m)
【0058】
上記合成例1で合成したポリマー1 3.0g(1.5mmol)、アセトン50mlの溶液に上記のポリエチレングリコールと分岐状ポリエチレンイミン構造を有するブロックポリマー14.4g(0.48mmol)、メタノール60mlの溶液を加えて、窒素雰囲気下、60℃で2時間攪拌した。反応終了した後、脱溶剤することによりポリエチレングリコールと分岐ポリエチレンイミンとエポキシ樹脂構造を有するポリマー3を得た。
【0059】
合成例4 ポリマー4の合成
テトラキス(グリシジルオキシアリル)エタン jER1031S(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量196)9.8g(50m当量)、4−フェニルフェノール11.9g(70mmol)、65%酢酸エチルトリフェニルホスホニウムエタノール溶液0.21ml(0.1mol%)及びN,N−ジメチルアセトアミド40mlを、窒素雰囲気下、160℃で4時間反応させた。放冷後、水100ml中に滴下し、得られた沈殿物をメタノールで2回洗浄した後、70℃で減圧乾燥して、ビフェニレン型の側鎖にヒドロキシル基を有する変性エポキシ樹脂を得た。得られた生成物の収量は17.6g、収率は96%であった。
【0060】
得られた生成物のH−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm):7.53〜7.25(m),7.13〜6.60(m),4.50〜3.75(m)
【0061】
上記で合成した側鎖にヒドロキシル基を有するビフェニレン型の変性エポキシ樹脂9.15g(25m当量)、ピリジン20g(250mmol)及びクロロホルム30mlの溶液に、p−トルエンスルホン酸クロライド14.3g(75mmol)を含むクロロホルム(30ml)溶液を、窒素雰囲気下、氷冷撹拌しながら30分間滴下した。滴下終了後、浴槽温度40℃でさらに4時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム60mlを加えて反応液を希釈した。引き続き、5%塩酸水溶液100ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、そして飽和食塩水溶液で順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。得られた固形物をメタノールで数回洗浄した後、濾過、70℃で減圧乾燥して、p−トルエンスルホニルオキシ基を有する変性エポキシ樹脂を得た。収量は13g、収率は98%であった。
【0062】
得られた生成物のH−NMR(日本電子株式会社製、AL300、300MHz)の測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl)測定結果:
δ(ppm):7.94〜7.74(m),7.55〜6.30(m),4.40〜3.80(m),2.40〜2.34(m)
【0063】
上記で合成したp−トルエンスルホニルオキシ基を有する変性エポキシ樹脂1.04g(2m当量)、2−メチルオキサゾリン8.5g(100mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド40mlを、窒素雰囲気下、100℃で24時間攪拌した。得られた反応混合物に酢酸エチル300mlを加え、室温で強力攪拌した後、生成物の固形物を濾過、酢酸エチルで2回洗浄、減圧乾燥して白色粉末固体9.4gを得た。重合時の収率は99%だった。H−NMRによる分析から、得られた上記固体は、テトラキスフェニルエタン構造の変性エポキシ樹脂を主鎖(δ:6.45〜7.90ppm)とし、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)を側鎖[エチレン水素(δ:3.47ppm)、アセチル水素(δ:2.00ppm)]とするポリマーであることを確認した。
【0064】
上記で得られたポリマー5.6gを、5mol/L塩酸24.2g中、90℃で6時間攪拌し、加水分解反応を行った。放冷後、時間とともに生成してきた白色沈殿を含む反応混合溶液をアセトン約150mlに加え、室温で約30分間攪拌した後、生成物の固形物を濾過、アセトンで2回洗浄、減圧乾燥して白色固体4.4gを得た。その収率は99%だった。H−NMRによる分析から、加水分解反応によりポリ(N−アセチルエチレンイミン)鎖中のアセチル水素(δ:2.00ppm)]がなく、得られた上記固体は、ポリエチレンイミン塩酸塩を側鎖とするポリマーであることを確認した。
【0065】
上記で得られたポリエチレンイミン塩酸塩を側鎖とするポリマーを30mLの蒸留水に溶解し、攪拌しながら、その溶液に10%のNaOH水溶液20mLを滴下した。直ちに白い粉末が生成した。しばらく放置した後、沈殿した粉末を濾過し、その粉末を冷水で3回、アセトンで洗浄1回した。洗浄後の粉末をデシケータ中40℃で乾燥して直鎖状のポリエチレンイミン構造を有するポリマー4を得た。
【0066】
実施例1
上記合成例1にて得られたポリマー1をメタノールに溶解して、10%メタノールの溶液の組成物とした。該組成物をガラス基板上に5ミクロンアプリケーターを用いた塗布により製膜してポリマー塗布基板を得た。該ポリマー塗布基板を室温で、減圧下、1時間放置することにより溶剤を乾燥した。引き続き、ポリマー塗布基板を10%の硝酸銀水溶液に入れて室温で48時間金属還元を行った。ポリマー塗布基板は、その表面に金属が還元されると共に黄色から赤茶色を経て濃い灰色に変色した。その後、該基板を硝酸銀水溶液から取り出して水洗いした後、室温(25℃)下で自然乾燥した。該基板を窒素雰囲気下、250℃で1時間加熱して金属積層板を得た。
【0067】
得られた金属積層板の光学顕微鏡写真を図1に示す(測定機器;オリンパス蛍光顕微鏡BX60、オリンパス光学工業株式会社製)。得られた金属積層板の金属層はネット状の構造を有するものであり、金属積層板表面は金属光沢を有するものであった。
【0068】
また、得られた金属積層板について、碁盤目試験(JIS K5400 6.15に従った、1mm間隔の碁盤目試験)を行ったところ、100/100と高い接着力を示した。
【0069】
実施例2、3
実施例1で使用したポリマー1に代えて、上記合成例にて合成したポリマー2(実施例2)、ポリマー4(実施例3)を使用した以外は同様にして、金属積層板を得た。得られた金属積層板の表面観察から、いずれの金属積層板においても実施例1と類似したネット状金属層が確認された。また、得られた金属積層板表面はいずれも金属光沢を有するものであった。
【0070】
実施例2において得られた金属積層板の導電特性を、三菱化学株式会社製の抵抗率計ロレスタGP(MCP−T600型)にて測定したところ、8.62×10−5Ωcm値を示した。
【0071】
実施例4、5
実施例1で使用したポリマー1に代えて、上記合成例にて合成したポリマー1と分岐状ポリエチレンイミン(アルドリッチ社製、分子量25,000)との1:1(質量比)の混合物(実施例4)、上記合成例にて合成したポリマー3と分岐状ポリエチレンイミン(アルドリッチ社製、分子量25,000)との1:1(質量比)の混合物(実施例5)を使用した以外は同様にして、金属積層板を得た。得られた金属積層基板の表面観察から、いずれの金属積層基板においても実施例1と類似したネット状金属層が確認された。また、得られた金属積層板表面はいずれも金属光沢を有するものであった。
【0072】
得られた金属積層板の導電特性を、同様にして測定したところ、実施例4において得られた金属積層板は、1.68×10−4Ωcm、実施例5において得られた金属積層板は、3.07×10−4Ωcmの値を示した。
【0073】
実施例6
実施例4で使用したガラス基板に代えて、エポキシ樹脂基板(1.5mm厚FR−4用ガラスエポキシ積層板)を使用した以外は同様にして、金属積層板を得た。得られた金属積層板の導電特性を、同様にして測定したところ、5.72×10−5Ωcmの値を示した。
【0074】
実施例7
分岐状ポリエチレンイミン(アルドリッチ社製、分子量25,000)の20%メタノール溶液10.0gにジプロピレングリコールジグリシジルエーテルEPICLON705(大日本インキ化学工業株式会社製 エポキシ当量201)の10%メタノール溶液1.0gを加えて、約4時間攪拌して架橋反応を行った。実施例1で使用したポリマー1に代えて、前記の架橋反応した混合物を使用した以外は同様にして、金属積層板を得た。得られた金属積層基板の表面観察から、いずれの金属積層基板においても実施例1と類似したネット状金属層が確認された。
【0075】
得られた金属積層板の導電特性を、同様にして測定したところ、8.07×10−5Ωcmの値を示した。
【0076】
実施例より明らかなように、本願発明の製造方法によれば、基板上に容易且つ簡便に金属層を積層することができる。また、得られる金属積層板の金属層は、高い密着性や導電特性を有するため、触媒材料や電子材料等の各種材料に有用である。さらに、従来の単なるフィルム状の金属層を有する積層板とは異なるネット状構造を有する金属積層板は、その構造上の特徴から、高い表面積や、光透過性などの特性発現が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例1で得られた金属積層板の光学顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有するポリマー層と、金属層とが積層されてなることを特徴とする金属積層板。
【請求項2】
前記ポリマー層中のアルキレンイミン単位と、金属層中の金属とが、配位結合している請求項1記載の金属積層板。
【請求項3】
前記アルキレンイミン単位を有するポリマーの総質量に対するアルキレンイミン単位の質量割合が、3質量%以上である請求項1記載の金属積層板。
【請求項4】
前記アルキレンイミン単位を有するポリマーが、ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーである請求項1記載の金属積層板。
【請求項5】
前記アルキレンイミン単位を有するポリマーが、ポリアルキレンイミンと、該ポリアルキレンイミンと架橋構造を形成可能な多官能化合物との反応物である請求項1記載の金属積層板。
【請求項6】
前記金属層が、金、銀、白金及びパラジウムからなる群から選ばれる一種以上の金属を含有する層である請求項1記載の金属積層板。
【請求項7】
前記金属層が、ネット状の金属層である請求項1記載の金属積層板。
【請求項8】
前記ポリマー層の厚さが、0.1〜100μmの範囲にある請求項1記載の金属積層板。
【請求項9】
前記金属層の厚さが、10〜10000nmの範囲にある請求項1記載の金属積層板。
【請求項10】
前記金属層がパターンを形成している層である請求項1〜9の何れか1項記載の金属積層板。
【請求項11】
アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有する溶液を基板表面に塗布した後、溶媒を除去し、該ポリマーを含有するポリマー層を表面に有する基板を得る工程(1)と、前記ポリマー層を有する基板と金属イオンとを接触させて、ポリマー層中のアルキレンイミン単位に金属イオンを配位させ、該金属イオンを還元させた後、基板ごと加熱して、前記ポリマー層上に金属層を形成する工程(2)、とを有することを特徴とする金属積層板の製造方法。
【請求項12】
前記金属イオンの金属種が、金、銀、白金及びパラジウムからなる群から選ばれる一種以上の金属種である請求項11記載の金属積層板の製造方法。
【請求項13】
前記アルキレンイミン単位を有するポリマーの総質量に対するアルキレンイミン単位の質量割合が、3質量%以上である請求項11記載の金属積層板の製造方法。
【請求項14】
前記アルキレンイミン単位を有するポリマーが、ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーである請求項11記載の金属積層板の製造方法。
【請求項15】
前記工程(1)で用いる、アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有する溶液中の該ポリマーの濃度が、0.5〜50質量%の範囲である請求項11記載の金属積層板の製造方法。
【請求項16】
前記工程(2)で接触させる金属イオンが、該金属イオンを含有する溶液状態にある請求項11記載の金属積層板の製造方法。
【請求項17】
前記金属イオンを含有する溶液の金属イオン濃度が、1〜50質量%の範囲にある請求項16記載の金属積層板の製造方法。
【請求項18】
前記工程(1)における、アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有する溶液の基板表面への塗布が、基板表面の全面への塗布である請求項11〜17の何れか1項記載の金属積層板の製造方法。
【請求項19】
前記工程(1)における、アルキレンイミン単位を有するポリマーを含有する溶液の基板表面への塗布が、パターン状の塗布である請求項11〜17の何れか1項記載の金属積層板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−112112(P2007−112112A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201865(P2006−201865)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【出願人】(000173751)財団法人川村理化学研究所 (206)
【Fターム(参考)】