説明

金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造

【課題】十分に大きい引張強度および捻り強度を確保できる金属管被覆光ファイバケーブル接続構造を提供する。
【解決手段】光ファイバ1を金属管によって被覆してなる金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造であって、二つの金属管2の端部にまたがり外挿される金属製のスリーブ3の端部がその端縁でそれぞれの金属管の端部と溶接されることにより上記二つの金属管2が互いに接続される金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造において、上記スリーブ3の端部および金属管2の端部は、それらの軸線方向に範囲をもつ重なり領域にて、該軸線方向で上記スリーブ3の端縁と異なる位置で、該スリーブ3の端部および金属管2の端部の両方がそれらの端部範囲内の箇所で縮径するように塑性変形加工されており、上記スリーブ3の端縁は、その周方向全域にわたり金属管2に接触するまで縮径するように塑性変形加工された後に溶接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを金属管によって被覆してなる金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを金属管によって被覆して保護する金属管被覆光ファイバケーブルが知られている。かかる金属管被覆光ファイバケーブルにあっては、光ファイバの保護被覆が金属であるので機械的強度が高いため、細径化、軽量化が可能であり、通信用、測定用のケーブルとして高い信頼性を有している。
【0003】
このような金属管被覆光ファイバケーブルを通信用や観測用として用いる場合、金属管被覆光ファイバケーブルが長距離に亘って敷設されるため、金属管被覆光ファイバケーブルの長尺化が必要となり、金属管被覆光ファイバケーブルの金属管自体の長尺化が要求される。
【0004】
しかしながら、金属管を製造する際に金属管を連続的に一本で形成して長尺化することは、材料や製造ライン等による制約があるので難しい。そこで、例えば、特許文献1では、二つの金属管の端部にまたがるように、該金属管の外径よりも内径が若干大きい金属スリーブの端部を外挿し、該スリーブの端部をその端縁でそれぞれの金属管端部と溶接して、金属管同士を接続することにより金属管被覆光ファイバケーブルの長尺化が図られている。また、該特許文献1では、必要に応じてスリーブ端部の端縁と金属管端部とを溶接する前に該スリーブ端部の端縁をかしめておき、しかる後に、このかしめ部分で溶接を行うことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−15554
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の接続構造では、該スリーブ端部の端縁がかしめられて、該スリーブ端部の端縁および金属管の両方が一つの直径線方向で圧縮されると、該スリーブ端部の端縁および金属管は、その圧縮位置で縮径して互いに密着するが、該スリーブ端部の周方向にて圧縮位置とは異なる位置では、該スリーブ端部の端縁と金属管との間に隙間が生じる。
【0007】
このように、スリーブ端部の端縁と金属管との間に隙間(空気層)が存在する部分が生じると、その部分では、溶接時に、金属管内部に位置する光ファイバを損傷しない範囲内で溶接エネルギー設定する必要があり、該溶接エネルギーを十分に大きくできず、適切な溶接条件の設定が困難である。したがって、上述のかしめの後に、スリーブ端部の端縁の位置で該スリーブ端部と金属管とを周方向全域にわたって溶接しても、上記隙間が生じた部分では確実に溶接できないおそれがある。
【0008】
溶接が確実に行われなかった場合には、スリーブ端部の軸線方向で作用する外力に起因する溶接部分の引張変形に対する強度(以下、「引張強度」という)そしてスリーブ端部の軸線まわりに作用する外力に起因する溶接部分の捻り変形に対する強度(以下、「捻り強度」という)を十分に確保できない。
【0009】
また、仮に、確実に溶接できた場合、溶接部分の捻り強度および引張強度は向上するが、上述したように、光ファイバを損傷しない範囲内で溶接エネルギーを設定する必要があり該溶接エネルギーを十分に大きくできないことに起因して、溶接は十分に行われず、上記溶接部分にて金属管自体と同等の引張強度を得ることができない。
【0010】
このような事情に鑑みて、本発明は、十分に大きい引張強度および捻り強度を確保できる金属管被覆光ファイバケーブル接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
<第一発明>
本発明に係る金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造は、光ファイバを金属管によって被覆してなる金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造であって、二つの金属管の端部にまたがり外挿される金属製のスリーブの端部がその端縁でそれぞれの金属管の端部と溶接されることにより上記二つの金属管が互いに接続される。
【0012】
かかる金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造において、本発明では、上記スリーブの端部および金属管の端部は、それらの軸線方向に範囲をもつ重なり領域にて、該軸線方向で上記スリーブの端縁と異なる位置で、該スリーブの端部および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工されており、上記スリーブの端縁は、その周方向全域にわたり金属管に接触するまで縮径するように塑性変形加工された後に溶接されていることを特徴としている。
【0013】
本発明では、スリーブの端縁と金属管の端部との溶接に加え、上記重なり領域にて、この溶接位置とは異なる軸線方向位置で、上記スリーブの端部および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工されている。該塑性変形加工により、上記スリーブの端部および金属管の端部は、その周方向の少なくとも一部が一つの直径線方向で圧縮され、圧縮された部位が局部的に潰れるように変形する。この結果、この塑性変形加工部分にて、上記スリーブの端部および金属管の端部は、径方向内方へ向けて突出するように変形し、その突出部分が軸線方向で互いに押し合うような圧力(側圧)をもって密着した状態となる。また、上記突出部分同士が軸線方向で互いに引っ掛かる。したがって、該突出部分同士の側圧および引っ掛かりによって、該スリーブの端部と金属管の端部との接続部分の引張強度が十分に大きくなる。
【0014】
また、本発明では、溶接前において、スリーブの端縁がその周方向全域にわたり金属管に接触するまで縮径するように塑性変形加工されており、該スリーブの端縁と金属管とが周方向全域にわたって密着して隙間が形成されていない状態となっている。したがって、該スリーブの端縁と金属管とは周方向全域にわたって確実に溶接されるので、十分に大きい捻り強度が得られる。また、周方向全域にわたってスリーブの端縁と金属管との間に隙間がない状態で溶接できるので、金属管内部に位置する光ファイバを損傷しない程度の安定した溶接エネルギーで溶接することを可能とする溶接条件の設定が容易となる。
【0015】
<第二発明>
本発明に係る金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造は、光ファイバを金属管によって被覆してなる金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造であって、二つの金属管の端部にまたがり外挿される金属製のスリーブの端部がその端縁でそれぞれの金属管の端部と溶接されることにより上記二つの金属管が互いに接続される。
【0016】
かかる金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造において、本発明では、上記スリーブの端部および金属管の端部は、それらの軸線方向に範囲をもつ重なり領域にて、該軸線方向で上記スリーブの端縁と異なる位置で、該スリーブの端部および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工されており、上記スリーブの端縁および金属管の端部は、それらの軸線方向での該スリーブの端縁の位置にて、該スリーブの端縁および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工された後に溶接されていることを特徴としている。
【0017】
本発明においても、第一発明と同様に、上記スリーブの端部および金属管の端部が上記重なり領域にて塑性変形加工されているので、該スリーブの端部と金属管の端部の接続部分の引張強度が十分に大きくなる。また、本発明では、スリーブの端縁の位置においても、該スリーブの端部および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工されているので、その分、さらに引張強度が大きくなる。
【0018】
スリーブの端縁および金属管の端部は、それらの軸線方向での該スリーブ端部の端縁の位置にて、それらの周方向全域にわたり縮径するように塑性変形加工されていて、スリーブの端縁がその周方向全域にわたり金属管に接触していることが好ましい。このように塑性変形加工を行うことにより、スリーブの端縁と金属管とが周方向全域にわたって密着して隙間が形成されていない状態となるので、該スリーブの端縁と金属管とを周方向全域にわたって確実に溶接して十分に大きい捻り強度を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、第一発明では、スリーブの端縁と金属管の端部との溶接に加え、重なり領域にて、この溶接位置とは異なる軸線方向位置で、上記スリーブの端部および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工することとしたので、スリーブの端部と金属管の端部との接続部分の引張強度を十分に大きくすることができる。また、溶接前において、スリーブの端縁をその周方向全域にわたり金属管に接触するまで縮径するように塑性変形加工することとしたので、該スリーブの端縁と金属管とを周方向全域にわたって確実に溶接して、十分に大きい捻り強度を得ることができる。
【0020】
また、第二発明においても、第一発明と同様に、スリーブの端縁と金属管の端部との溶接に加え、重なり領域にて、この溶接位置とは異なる軸線方向位置で、上記スリーブの端部および金属管の端部を塑性変形加工することとしたので、上記引張強度を十分に大きくすることができる。また、第二発明では、スリーブの端縁の位置においても、該スリーブの端部および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工しているので、その分、さらに引張強度が大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造を示す断面図であり、金属スリーブおよび金属管の軸線を含む面での断面を示している。
【図2】(A)は図1のIIA−IIA端面図、(B)は図1のIIB−IIB端面であり、金属スリーブおよび金属管の軸線に対して直角な面で端面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態を説明する。
【0023】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係る金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造を示す断面図であり、金属スリーブおよび金属管の軸線を含む面での断面を示している。また、図2は、(A)が図1のIIA−IIA端面図、(B)が図1のIIB−IIB端面図であり、金属スリーブおよび金属管の軸線に対して直角な面で端面を示している。また、図2(A)では、金属スリーブおよび金属管に後述のかしめ加工が施された部分の端面を示しており、図2(B)では、金属スリーブに後述の絞り加工が施された部分の端面を示している。
【0024】
図1および図2に見られるように、金属管被覆光ファイバケーブルCは、光ファイバ1を金属管2によって被覆して形成されている。二つの金属管被覆光ファイバケーブルCは、上記金属管2の外径よりも若干大きい内径を有する一つの金属スリーブ3(以下、「スリーブ3」という)を介して接続されている。
【0025】
図1に見られるように、スリーブ3は、上記二つの金属管被覆光ファイバケーブルCのそれぞれの金属管2にまたがるようにして該金属管2に外挿されている。この結果、該スリーブ3の端部と金属管2の端部とがそれらの軸線方向(図1にて左右方向)で範囲をもって重複した領域A(以下、「重なり領域A」という)を形成している。該重なり領域Aにて、上記軸線方向でスリーブ3の端縁と異なる位置では、上記スリーブ3の端部および金属管2の端部の両方が縮径するような塑性変形加工(以下、「かしめ加工」という)が施されている。本実施形態では、かしめ加工は、スリーブ3および金属管2を一つの直径線方向で圧縮することによりなされる。
【0026】
また、上記軸線方向における、該スリーブ3の両端縁の位置では、金属管2が半径方向に何ら変形することなく、該スリーブ3のみがその周方向全域にわたり金属管2に接触するまで縮径するような塑性変形加工(以下、「絞り加工」いう)が施されてから該スリーブ3の端縁がそれぞれの金属管2の端部と溶接されている。
【0027】
以下、金属管被覆光ファイバケーブルC同士の接続工程について説明する。まず、一方の金属管被覆光ファイバケーブルCの金属管2にスリーブ3を外挿した後、二つの金属管被覆光ファイバケーブルCの端部にて所定長さの金属管2を除去することにより、光ファイバ1を露呈させる。この状態で二つの金属管被覆光ファイバケーブルCの光ファイバ1同士の接続を行う。
【0028】
次に、一方の金属管2の端部と他方の金属管2の端部とにまたがる位置に該スリーブ3を軸線方向で移動させて、図1に示される軸線方向位置にもたらす。スリーブ3の端部が二つの金属管2の端部に外挿された当初の状態では、上記重なり領域Aの全域にわたって、該金属管2の端部とスリーブ3の端部との間に径方向で隙間が形成されている。
【0029】
次に、スリーブ3の両端部と各金属管2の端部との軸線方向での重なり領域Aにて、該軸線方向でスリーブ3の端縁と異なる位置で、上記スリーブ3および金属管2の両方が縮径するようにかしめ加工を施す。本実施形態では、該かしめ加工により、図2(A)に見られるように、スリーブ3および金属管2がそのかしめ方向たる一つの直径線方向(図2(A)において上下方向)で圧縮され、圧縮された部位が局部的に潰れるように変形する。この結果、図2(A)に見られるように、スリーブ3および金属管2は、これらの軸線方向に対して直角な断面形状が非円形となり、周方向での圧縮位置以外の位置にて該スリーブ3と金属管2との間に隙間が生じた状態となる。なお、図2(A)では、かしめ加工がなされる前のスリーブ3の外径が二点鎖線で示されている。
【0030】
本実施形態では、上記スリーブ3の端部および金属管2の端部は、図1および図2(A)に見られるように、かしめ加工を施された部分が、上記圧縮位置で径方向内方へ向けて突出するように変形し、その突出部分が軸線方向(図1にて左右方向)で互いに押し合うような圧力(側圧)をもって密着した状態となる。また、上記突出部分同士が軸線方向で互いに引っ掛かる。したがって、該突出部分同士の側圧および引っ掛かりによって、該スリーブ3の端部と金属管2の端部との接続部分の引張強度を十分に大きくすることができる。
【0031】
また、本実施形態では、上記重なり領域Aにてスリーブ3の端縁と異なる位置でかしめ加工を行うことにより、例えば、かしめ加工ではなく溶接をこの位置で行う場合と比較して、大きい引張強度を簡便かつ確実に確保することができる。すなわち、上記重なり領域Aにはスリーブ3と金属管2との間には、もともと径方向で隙間が形成されているので、該スリーブ3と金属管2とを周方向全域にわたって確実に溶接することは困難であり、十分な引張強度を確保しにくい。また、溶接時の熱により光ファイバ1を損傷させることがないように溶接の条件を設定する必要があり、作業が煩雑となる。これに対して、本実施形態によれば、特に加工条件の設定も必要なく、上記かしめ加工によってスリーブ3と金属管2とを圧縮して互いに密着させるだけで、簡便かつ確実に大きい引張強度を得ることができる。
【0032】
次に、スリーブ3の両端縁の位置にて該スリーブ3のみがその周方向全域にわたって金属管2に接触するまで縮径するように絞り加工を施す。この結果、図1に見られるように、金属管2が縮径することなくスリーブ3だけが縮径し、本実施形態では、図1および図2(B)に見られるように、該スリーブ3の両端縁がその周方向全域にわたって各金属管2の外周面に密着する。また、図2(B)に見られるように、絞り加工後におけるスリーブ3および金属管2は、これらの軸線方向に対して直角な断面形状が円形をなしている。図2(B)では、絞り加工がなされる前のスリーブ3の外径が二点鎖線で示されている。そして、スリーブ3の両端縁と金属管2とを溶接することにより、金属管被覆光ファイバケーブルC同士の接続が完了する。図1において、溶接部分は符号「4」で示されている。
【0033】
本実施形態では、上記絞り加工によりスリーブ3の両端縁が金属管2に密着していて、該両端縁と金属管2との間にはその周方向全域にわたって隙間が生じていないので、スリーブ3の端縁と金属管2との溶接を周方向全域で確実に行うことができ、十分に大きい捻り強度を得ることができる。
【0034】
従来のように、スリーブの端縁および金属管にかしめ加工を施した後に溶接する場合、上記周方向にて、かしめ加工による圧縮位置とは異なる位置では、この圧縮位置でのかしめ加工の影響を受けて、径方向でスリーブの端縁と金属管との隙間が広がってしまうので、この部分で溶接を十分に行うことが困難であった。これ対して、本実施形態では、上述したように、スリーブ3の端縁に絞り加工を施すことにより、スリーブと金属管との間には周方向全域で隙間が生じなくなるので、スリーブ3の端縁と金属管2との溶接を確実に行うことができ、従来よりも十分に大きい捻り強度を得ることができる。
【0035】
本実施形態では、重なり領域にて該端縁と異なる位置でかしめ加工を行った後に、スリーブ端部の端縁の位置での絞り加工および溶接を行うこととしたが、工程の順序はこれに限られず、逆であってもよく、また、同時であってもよい。
【0036】
<第二実施形態>
本実施形態は、スリーブの端縁の位置でスリーブおよび金属管の両方を縮径するように一つの直径線方向でのみかしめ加工を施している点で、スリーブの端縁の位置で該スリーブに絞り加工が施される第一実施形態と異なっている。本実施形態は、捻り強度の向上よりも引張強度の向上が望まれる場合に、特に有効である。本実施形態によれば、かしめ加工が施される部分の数が増える分、引張強度をより大きくすることができる。
【0037】
<第三実施形態>
本実施形態は、スリーブの端縁の位置にて、スリーブの端縁および金属管の両方を縮径させつつ、その周方向全域にわたり縮径するような塑性変形加工(以下、「絞りかしめ加工」という)を施して、スリーブの端縁がその周方向全域にわたり金属管に接触するようにしている点で、上記周方向全域ではなく一つの直径線方向で縮径している第二実施形態と異なっている。絞りかしめ加工後におけるスリーブおよび金属管は、これらの軸線方向に対して直角な断面形状が円形をなした状態となる。
【0038】
本実施形態では、絞りかしめ加工を行う結果、スリーブの端縁および金属管の両方を縮径させることにより第二実施形態と同程度の大きい引張強度を確保しつつ、スリーブの端縁と金属管とを周方向全域で隙間なく密着させた状態で確実に溶接を行うことにより、第二実施形態と比較して大きい捻り強度を得ることができる。
【0039】
また、本実施形態を第一実施形態と比較すると、本実施形態では、スリーブの端縁と金属管とを周方向全域で隙間なく密着させた状態で確実に溶接を行うことにより、第一実施形態と同程度の大きい捻り強度を確保しつつ、スリーブの端縁および金属管の両方を縮径させることにより第一実施形態よりも大きい引張強度を得ることができる。
【0040】
上記絞りかしめ加工は、高い加工精度が要求され容易ではないが、スリーブの端縁の位置で該絞りかしめ加工を施す本実施形態は、上述したように、引張強度および捻り強度の両方を大きくすることができるので有効である。
【実施例】
【0041】
<実施例>
本実施例として、上述した一つめの変形例に係る接続構造、すなわち、スリーブの端縁の位置にて、絞り加工が行われた後に溶接され、重なり範囲領域にて上記端縁とは異なる位置で、かしめ加工が行われる接続構造について引張強度を調べた。具体的には、該接続構造に軸線方向で引張力を作用させて、接続部分が破断する力の大きさ測定した。
【0042】
本実施例では、金属管およびスリーブは共にステンレス管(材質:SUS304)であり、金属管は内径1.9mm、外径2.3mm、スリーブは内径1.4mm、外径1.8mmである。本実施例に係る接続構造に引張力を作用させた結果、接続部分は約900Nの力で破断した。
【0043】
<比較例>
比較例として、スリーブの端縁の位置にて該スリーブにかしめ加工を施さずに絞り加工のみが施された後に該端縁と金属管とが溶接され、重なり範囲領域にて上記端縁とは異なる位置で、何ら加工を施していない接続構造の引張強度を調べた。この比較例においても、金属管およびスリーブの材質、内径そして外径は、上述の実施例と同じである。比較例に係る接続構造に引張力を作用させた結果、接続部分は約400Nの力で破断した。
【符号の説明】
【0044】
1 光ファイバ
2 金属管
3 スリーブ
4 溶接部分
C 金属管被覆光ファイバケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを金属管によって被覆してなる金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造であって、二つの金属管の端部にまたがり外挿される金属製のスリーブの端部がその端縁でそれぞれの金属管の端部と溶接されることにより上記二つの金属管が互いに接続される金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造において、
上記スリーブの端部および金属管の端部は、それらの軸線方向に範囲をもつ重なり領域にて、該軸線方向で上記スリーブの端縁と異なる位置で、該スリーブの端部および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工されており、上記スリーブの端縁は、その周方向全域にわたり金属管に接触するまで縮径するように塑性変形加工された後に溶接されていることを特徴とする金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造。
【請求項2】
光ファイバを金属管によって被覆してなる金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造であって、二つの金属管の端部にまたがり外挿される金属製のスリーブの端部がその端縁でそれぞれの金属管の端部と溶接されることにより上記二つの金属管が互いに接続される金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造において、
上記スリーブの端部および金属管の端部は、それらの軸線方向に範囲をもつ重なり領域にて、該軸線方向で上記スリーブの端縁と異なる位置で、該スリーブの端部および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工されており、上記スリーブの端縁および金属管の端部は、それらの軸線方向での該スリーブの端縁の位置にて、該スリーブの端縁および金属管の端部の両方が縮径するように塑性変形加工された後に溶接されていることを特徴とする金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造。
【請求項3】
スリーブの端縁および金属管の端部は、それらの軸線方向での該スリーブ端部の端縁の位置にて、それらの周方向全域にわたり縮径するように塑性変形加工されていて、スリーブの端縁がその周方向全域にわたり金属管に接触していることとする請求項2に記載の金属管被覆光ファイバケーブルの接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate