説明

金属蒸気放電ランプ、ランプソケット、および照明装置

【課題】 コンパクト性を保持したまま、ランプソケットに装着状態にある時のがたつきを可能な限り抑制できる口金を備えた金属蒸気放電ランプ等を提供すること。
【解決手段】 略円弧状に開口した一対の口金ピン挿入孔78,80を有するランプソケット70に、口金本体部58の底部から突出した一対の口金ピン64,66の各々が対応する口金ピン挿入孔78,80に挿入された後、所定角度回転されて装着される口金18を備える金属蒸気放電ランプであって、前記口金18は、口金本体部58の底部であって、前記所定角度回転される際の回転中心上に設けられた凹部68を有し、前記ランプソケット70に装着された状態において、前記凹部68が前記ランプソケットに形成された柱状突起82に嵌合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属蒸気放電ランプ、ランプソケット、および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大光束、高効率、長寿命である金属蒸気放電ランプ、例えばメタルハライドランプは、従来、前記特徴から種々の場所で広く使用されている。最近ではコンパクトで演色性の良い、低消費電力のメタルハライドランプが開発され、従来主流であるハロゲン電球に加えて店舗等のスポットライト用照明装置の光源としての使用が拡大しつつある。スポットライト用に使用するには、特にコンパクト性が重視される。
【0003】
そこで、コンパクト化を実現するため種々の工夫がなされているが、全長の短縮化を実現するため、特に、口金として、日本で従来主流のエジソン式のものに替えてスワン式のもの(特許文献1,2)を用いることが検討されている。
【特許文献1】特開2002−319466号公報
【特許文献2】特開2003−68129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スワン式は、口金の本体底部に設けられた一対の口金ピンを、ランプソケットに設けられた略円弧状をした2つの口金ピン挿入孔の一端部に挿入し、他端部まで回転させて当該口金をランプソケットに装着する方式であるので、ねじ込むことで強固に両者が締結されるエジソン式と比較して、口金とソケットとの間のがたつきが大きい。
スワン式のソケットには、弾性金属片からなる一対の接触子が設けられている。口金がソケットに装着された状態で、口金ピンの各々は、対応する接触子を押圧して電気的に接続される。このとき、接触子は弾性変形するので(撓むので)、その復元力で口金ピンの各々は弾性的に支持され、前記がたつきにかかわらず、一応、所定の位置に位置決めされることとなる。
【0005】
しかしながら、前記がたつきが依然として存在すると、メタルハライドランプは、その構成上、ハロゲン電球よりも重いということもあり、振動等の外力が加わると、点灯時に電極間で発生するアークが揺れる。スポット照明の場合、メタルハライドランプは反射鏡と組み合わせて用いることが多いので、アークが揺れると、フリッカとなって現れ好ましくない。
【0006】
メタルハライドランプの上記がたつきを防止するために、装着状態で、口金を含むメタルハライドランプをランプソケットに対して固定する固定部材を別途設けることが考えられるが、この場合、当該固定部材の収納スペースが必要となるのでコンパクト化に反すると共に、コストアップにもつながる。
本発明は、上記した課題に鑑み、コンパクト性を保持したまま、振動等の外力が加わった場合の前記がたつきに起因するアーク揺れを可能な限り抑制できる口金を備えた金属蒸気放電ランプ、および当該口金が装着されるランプソケット、並びに、前記金属蒸気放電ランプとそのようなランプソケットを有する照明器具とを備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明に係る金属蒸気放電ランプは、略弧状に開口した一対の口金ピン挿入孔を有するランプソケットに、口金本体の底部から突出した一対の口金ピンの各々が対応する前記口金ピン挿入孔に挿入された後、所定角度回転されて装着される口金を備える金属蒸気放電ランプであって、前記口金は、前記口金本体の前記底部であって、前記所定角度回転される際の回転中心上に設けられた凹部を有し、前記ランプソケットに装着された状態において、前記凹部が前記ランプソケットに形成された略柱状の突起に嵌合していることを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係るランプソケットは、口金本体の底部から突出した一対の口金ピンを有する口金が、略弧状に開口した一対の口金ピン挿入孔を有し、前記一対の口金ピンの各々が対応する前記口金ピン挿入孔に挿入された後、所定角度回転されて装着されるランプソケットであって、 前記所定角度回転される際の回転中心上に設けられた略柱状の突起を有し、前記口金が装着された状態において、当該突起が前記口金本体の前記底部に設けられた凹部に嵌合していることを特徴とする。
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明に係る照明装置は、略弧状に開口した一対の口金ピン挿入孔を有するランプソケットを備える照明器具と、前記ランプソケットに、口金本体の底部から突出した一対の口金ピンの各々が対応する前記口金ピン挿入孔に挿入された後、所定角度回転されて装着される口金を備える金属蒸気放電ランプと、を有する照明装置であって、前記ランプソケットは、前記所定角度回転される際の回転中心上に設けられた略柱状の突起を有し、前記口金は、前記口金本体の前記底部に、前記ランプソケットに装着された状態において、前記突起が嵌合する凹部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る金属蒸気放電ランプおよびランプソケットによれば、口金本体の底部に凹部が設けられており、ランプソケットには略柱状の突起が設けられていて、ランプソケットに口金が装着された状態において、前記凹部と前記突起とが嵌合関係にあるので、記凹部と前記突起を有しない従来の場合と比較して、装着状態における金属蒸気放電ランプの上述したがたつきを規制することが可能となる。その結果、振動等の外力が加わった場合であっても、従来よりも前記がたつきに起因するアーク揺れを抑制することができる。また、凹部は口金本体の一部で、柱状突起はランプソケットの一部で形成されており、別途固定部材等を設けていないので、コンパクト性が保持される。
【0011】
また、本発明に係る照明装置によれば、上記したような口金とランプソケットを有するので、上記と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、高圧金属蒸気放電ランプの一例として示すメタルハライドランプ10の一部切欠正面図であり、図2は、同一部切欠右側面図である。メタルハライドランプ10の定格電力は70[W]である。
メタルハライドランプ10は、発光管12と当該発光管12を収納する気密容器である内管14と当該内管14に被せられた保護容器である外管16とを備える3重管構造を有し、前記内管14と前記外管16とが、スワン式の口金18に支持されてなるメタルハライドランプである。
【0013】
発光管12は、本管部20と当該本管部20の管軸方向両側に形成された細管部22,24とからなる外囲器26を有している。この外囲器26は、例えば、透光性セラミックで形成されている。透光性セラミックには、例えば、アルミナセラミックを用いることができる。図1、図2に示す例では、外囲器26は、本管部20と細管部22,24とをそれぞれ別個に成形した後、両者を焼きばめによって一体化したものを用いているが、これに限らず、例えば、外囲器には、本管部と2つの細管部とを一体成形によって形成されたものを用いても構わない。
【0014】
本管部20は、気密封止された放電室(不図示)を有し、当該放電室には、一対の電極(不図示)が対向して配置されている。また、放電室には、金属ハロゲン化物、希ガス、および水銀がそれぞれ所定量封入されている。金属ハロゲン化物として、ヨウ化ナトリウムやヨウ化ジスプロシウム等が用いられる。
細管部22,24の各々には、先端部に前記各電極が接合された給電体28,30が挿入されている。給電体28,30は、それぞれの細管部22,24における、本管部20とは反対側の端部部分に充填されたフリットからなるシール材32,34によって封着されている。なお、図1、図2に現れているシール材32,34部分は、細管部22,24端部からはみ出た部分である。
【0015】
給電体28の電極とは反対側の端部は電力供給線36に電気的に接続されており、同じく、給電体30の電極とは反対側の端部が電力供給線38に電気的に接続されている。
電力供給線36,38はそれぞれ、金属箔40,42を介して、外部リード線44,46に電気的に接続されている。なお、一方の電力供給線36において、少なくとも他方の電力供給線38やこれに接続された給電体30と対向する部分は、例えば石英ガラスからなるスリーブ48で被覆することが好ましい。これは、ランプ寿命末期等に発光管12がリークした場合、始動時等に、反対極性となる両部材間で放電が発生するのを防止するためである。
【0016】
外部リード線44,46の各々は、口金18の後述する一対の口金ピン64,66に、後述するように、電気的に接続されている。
上記した発光管12等は、図1、図2に示すように、内管14内に収納されている。内管14は、例えば石英ガラスからなり、前記金属箔40,42の存する側の一端部部分が、いわゆるピンチシール法によって圧潰封止され当該金属箔40,42相当部分において気密封止されている。したがって、内管14は、片封止型の気密容器であるといえる。ここで、内管14において前記圧潰封止されてなる部分をピンチシール部50と称することとする。
【0017】
内管14の他端部部分の凸部52は、当該内管14内を真空引きする際に用いた排気管の残部であるチップオフ部52である。内管14内を真空にするのは、ランプ点灯時に高温にさらされる前記給電体28,30、電力供給線36,38等の金属部材の酸化を防止するためである。酸化防止の観点から、内管14の内部(であって、発光管12の外部)は、真空にするのではなく、不活性ガスを充満させることとしても構わない。
【0018】
なお、前記ピンチシール部50は、無機接着剤54を介して口金18に支持されているのであるが、その支持構造等については後述する。無機接着剤54は、シリカおよびアルミナを主成分とするものであり、1000℃の耐熱温度を有する。
内管14には、図1、図2に示すように有底筒状をした(すなわち、一端が閉塞され他端が開口されてなる筒状をした)外管16が被せられている。外管16は、例えば硬質ガラスからなり、保護管として機能する。すなわち、発光管12が破損し、内管14が損傷した場合であってもそれ以上の破片等の拡散を防ぐ役割を果たす。外管16は、その開口端部56が無機接着剤54を介して口金18に支持されているのであるが、その支持構造等については後述する。
【0019】
図3(a)に口金18の平面図を、図3(b)に同正面図を、図3(c)に同下面図を、図3(d)に図3(a)におけるA−A線断面図を、それぞれ示す。
スワン式の口金18は、その端子部において、例えば、IEC(国際電気標準会議)規格に準拠した構造とすることができる。
口金18は、略有底円筒状をした本体部58を有する。本体部58の内側の底部には、略半円状の横断面を有する柱体をした第1支持部60と第2支持部62とが立設されている。なお、本体部58と第1および第2支持部60,62とは、一体成形されたものであり、絶縁材料であるステアタイトからなる。
【0020】
第1支持部60と第2支持部62は、図3(a)に示すように、平面状の側壁60a,62aが平行に対向配置されている。また、側壁60a、62aと反対側の側壁60b、62bは、円柱外周の一部を成すような曲面に形成されている。内管14(図1、2)は、そのピンチシール部50が第1支持部60と第2支持部62との間に無機接着剤54を介して嵌め込まれて支持・固定されている(図2参照)。また、外管16(図1,2)も第1および第2支持部60,62によって支持されている。すなわち、外管16は、その開口端部56の内周面が側壁60bおよび側壁62bにガイドされて外挿され、本体部58の側壁58aと当該第1支持部60および第2支持部62とに無機接着剤54を介して支持・固定される(図2参照)。
【0021】
口金18は、本体部58の底部の外側に植設され、外方向に突出した一対の口金ピン64,66を有している。両口金ピン64,66は、中心間距離D1の間隔を空けて植設されている。口金ピン64は、細径部64aと太径部64bとからなる2段ピンであると共に、外部リード線44が挿通される挿通孔64cを有する中空ピンである。同じく、口金ピン66も、細径部66aと太径部66bとからなる2段ピンであると共に、外部リード線46が挿通される挿通孔66cを有する中空ピンである。挿通孔64cには、外部リード線44(図1)が挿通され、挿通孔66cには外部リード線46(図1)が挿通された上で、両挿通孔64c,66cに半田(不図示)が充填されて、対応する外部リード線と口金ピン同士が接合されると共に、電気的に接続されることとなる。
【0022】
口金18は、本体部58の底部の外側に設けられた凹部68を有する。凹部68は、円形の横断面を有する有底孔である。凹部68は、平行に設けられた前記両口金ピン64,66間の中央に位置する。
上記の構成からなるメタルハライドランプ10は、その口金18がランプソケットに装着されて、当該ランプソケットを備える照明器具に取り付けられる。
【0023】
図4(a)にランプソケット70の平面図を、図4(b)に、図4(a)におけるB−B線断面図を、図4(c)に後述する口金ピン挿入孔78,80の拡大図をそれぞれ示す。
ランプソケット70は、口金18と同様、その口金ピン64,66の受け部において、例えば、IEC(国際電気標準会議)規格に準拠した構造とすることができる。
【0024】
ランプソケット70は、第1本体部72と第2本体部74とに2分割された本体部76を有する。第1および第2本体部72,74は、絶縁材料であるステアタイトで形成されている。
第1本体部72は、全体的に丸皿状をし、その底部に開口した一対の口金ピン挿入孔78,80を有する。各口金ピン挿入孔78,80は、略弧状、例えば、中心点Pを共有する略円弧状をし、当該中心点Pに関して点対称に配されている。各口金ピン挿入孔78,80の一端部部分は、口金ピン挿入孔78,80の長手方向中央部の幅W1よりも長い直径D2を有する大円部78a,80aに形成されている。他端部部分は、前記幅W1と同じ直径を有する半円部78b,80bに形成されている。ここで、前記直径D2は、口金ピン64,66(図3)の太径部64a,66aの直径よりも大きく、前記幅W1は、口金ピン64,66の太径部64a,66aの直径よりも小さく、細径部64b,66bの直径よりも大きい。また、各口金ピン挿入孔78,80の中心を通る(大円部78a,80aの中心、半円部78b,80bの中心を通る)仮想円Cの直径は、口金ピン64,66の中心間距離D1(図3)と同じである。
【0025】
上記の形状をした口金ピン挿入孔78,80に対し、口金18は、その口金ピン64,66が先ず、口金ピン挿入孔78,80の大円部78a,80aに挿入され、次に、半円部78b,80bまで回転されて(すなわち、所定角度回転されて)、装着される。また、第1本体部72の中心点Pの位置には、柱状突起82が設けられている。柱状突起82は、本例では円柱状をしているが、当該柱状突起82の役割については後述する。
【0026】
第2本体部74は、全体的に円柱状をしており、その上面に開口する凹部84を有している。当該凹部84は、口金18の装着時に、口金ピン64,66の太径部64a,66aの通路84となる空間であり、当該太径部64a,66aが干渉しないように、充分なスペースをもって設けられている。また、当該通路84の側壁には、一対の接触子86,88が設けられている。接触子86,88は、例えば、屈曲部86a,88aを有する短冊状の金属弾性片からなり、その一端部86b,88bが前記側壁に埋設されて支持されている。
【0027】
口金18を装着する時に、口金ピン64,66の太径部64a,66aは、半円部78b,80bの直前で、接触子86,88の屈曲部86a,88aに当接し、接触子86,88を弾性変形させて(屈曲部86a,88aを乗り越えて)、半円部78b,80bに至る。半円部78b,80bに在る太径部64a,66aは、接触子86,88からその復元力によって押圧されて、位置決めがなされる。口金ピン64,66の太径部64a,66aが、接触子86,88の屈曲部86a,88aを乗り越える際に感じる手ごたえによって、口金18(メタルハライドランプ10)を取り付ける作業者は、装着が完了したことを確認できる。
【0028】
口金18がランプソケット70に装着された状態(装着完了状態)の断面図を図5に示す。
装着状態で、口金18に設けられた凹部68に、ランプソケット70に設けられた柱状突起82が嵌合している。当該凹部68と柱状突起82が無い従来の口金とランプソケットの場合、口金18は、ランプソケット70に対し、口金ピン64,66が接触子86,88に、例えば、ほぼ線状に接触して押圧され、保持されているだけであり、メタルハライドランプ10の長手方向に対しても、口金ピン64,66の太径部64a,66aが、口金ピン挿入孔78,80で単に係止するだけであるので、メタルハライドランプ10は、ランプソケット70に対してがたつきやすい。このため、点灯中、振動等の外力が加わると、電極間で発生するアークが揺れてしまって、[発明が解決しようとする課題]で述べたような問題が発生する。この問題を解決するため、接触子86,88の弾性復元力をもっと大きくすることが考えられるが、以下の理由から好ましくない。すなわち、口金18装着時に作業者が感じる前記手ごたえが大きくなりすぎて、口金ピン64,66の太径部64a,66aが接触子86,88の屈曲部86a.88aを乗り越える手前で装着が完了したと勘違いするおそれがあるからである。
【0029】
そこで、本実施の形態では、前記凹部68とこれに嵌合する前記柱状突起82とを設けて、口金18とランプソケット70間の相対的な変位を規制することにより、メタルハライドランプ10全体が、上記したようにランプソケット70に対してがたつくのを抑制することとした。柱状突起82が凹部68に嵌合することにより、メタルハライドランプ10は、ランプソケット70に対して、当該凹部68と柱状突起82との間の隙間分しか変位できなくなり、その分、アークの揺れを抑制することが可能となる。ここで、当該隙間は、最大で0.5mm以下に規定することが好ましい。
【0030】
具体的に、仮に、IEC規格の形式「GU10」に規定される構造を採用した場合、W1(図4(c))の大きさは、規格上3.3mm〜3.7mmであり、例えば、3.5mmと、細径部64b、66bの直径は、規格上上限が3.1mmであり、例えば、3.0mmとすることができる。これに対し、凹部68の孔径を3.3mmに、柱状突起82の径を3.0mmに設定して、その差(すなわち、凹部68内壁と柱状突起82側面との間の間隙の大きさ)を0.3mmとすることができる。また、凹部68の深さは、2.0mmとし、柱状突起82の高さは、1.8mmとすることができる。
【0031】
なお、既存の口金構造(例えば、IEC規格の“GU10”や“GZ10”等)をそのまま採用した場合、メタルハライドランプ用のランプソケット(照明器具)に、ハロゲン電球(の口金)が誤って装着される恐れがあり、この場合に、フィラメントが断線した状態で放電すると、外管が破損するなどの不安全事象の発生が懸念される。
そこで、従来、メタルハライドランプ用のランプソケットに、ハロゲン電球(の口金)が誤って装着されるのを防止するため、柱状突起82と同じ位置に、ドーム状に膨出した凸部を設けているランプソケットがある。すなわち、ハロゲン電球の口金の底部は、平らな面にしておき、ハロゲン電球をメタルハライドランプ用ランプソケットに装着しようとした場合に、前記凸部が障害となって、口金ピンの太径部が口金ピン挿入孔の大円部の途中までしか入らず、そこから口金を半円部に向けて回転しようとしても口金ピンの太径部の側面が口金ピン挿入孔側壁に当接して回転できないようにしているのである。一方、メタルハライドランプの口金の底部には、装着時に、当該底部が前記凸部と干渉しないように(装着の障害とならないように)、当該凸部が十分収納できるようなスペースにへこんだ凹部が設けられている。
【0032】
しかしながら、上記した従来の凸部の高さは、0.6mm程度であり、これに対応する凹部は、当該凹部が干渉しないように十分大きいスペースでもって大雑把にへこませているだけであり、装着状態において、凸部と凹部は嵌合関係には無く、口金が横方向(口金ピンに軸心と垂直な方向)にスライドするのを規制する機能は有しない。
本実施の形態では、ランプソケットにおいて従来の凸部の設置位置に柱状突起82を設け、口金において従来の凹部の設置位置に当該柱状突起が嵌合する凹部68を設けることとしたので、従来のスワン式の口金とランプソケットの有するコンパクト性を損ねることなく、口金とランプソケットの装着状態におけるがたつきを効果的に抑制することが可能となっている。また、本実施の形態の柱状突起82は、ハロゲン電球(の口金)が誤って装着されるのを防止するための機能も有しているのである。さらに、嵌合関係を有する柱状突起82と凹部68とは、口金18装着の時において当該口金18が回転される際の回転中心上に設けられているので、口金18の滑らかな回転を実現する。
【0033】
図6に、メタルハライドランプ10を光源とする照明装置90を示す。
照明装置90は、照明器具92と当該照明器具92に装着されたメタルハライドランプ10とで構成される。照明器具92は、ランプソケット70を内蔵しており、当該ランプソケット70に口金18が装着されて、メタルハライドランプ10が照明器具92に取り付けられる。
【0034】
また、当該照明器具92は、傘部92aの内周面が反射鏡として機能するスポットライト用であると共に、メタルハライドランプ10からの光射出方向に前面ガラスを有しない、前方開放型の照明器具である。照明器具92は、例えば、天井に取り付けられる。また、メタルハライドランプ10を点灯させるための安定器(不図示)は、天井内に埋め込まれる等して当該天井に設けられる。
【0035】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態としても構わない。
(1)上記実施の形態では、柱状突起を円柱状に形成したが、口金の凹部に嵌りやすくするため、柱状突起の先端周縁に面取りを施してもよく、あるいは、先端部分を円錐状に形成しても構わない。
(2)上記実施の形態では、柱状突起82、凹部68共に、その横断面形状を円形にしたが、これに限らず、例えば、(i)柱状突起の横断面形状を正多角形にし(すなわち、柱状突起を正多角柱状とし)、凹部の横断面形状を円形としても構わないし、これとは逆に、(ii)柱状突起の横断面形状を円形とし、凹部の横断面形状を正多角形状としても(すなわち、正多角形孔としても)構わない。
【0036】
すなわち、凹断面形状に関し、一方を正多角形とし他方を円形としても構わない。この場合の、柱状突起側壁と凹部内壁との間の隙間の大きさは、当該正多角形に外接する円の直径と当該円形の直径との差になる。
(3)上記実施の形態のメタルハライドランプは定格電力が70[W]であったが、本発明は、定格電力20[W]〜150[W]のものに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る金属蒸気放電ランプは、例えば、コンパクト性が要求されると共に、照明器具のランプソケットに装着状態で振動が加わってもアークの揺れ抑制が要請されるランプとして好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態に係るメタルハライドランプの一部切欠正面図である。
【図2】上記メタルハライドランプの一部切欠側面図である。
【図3】(a)は、上記メタルハライドランプが備える口金の平面図であり、(b)は、同正面図であり、(c)は同下面図であり、(d)は、(a)におけるA−A線断面図である。
【図4】(a)は、上記口金が装着されるランプソケットの平面図であり、(b)は、ランプソケットにおける口金ピン挿入孔部分の拡大図であり、(c)は、(a)におけるB−B線断面図である。
【図5】ランプソケットに口金が装着された状態を、ランプソケットを全断面で、口金を部分断面で表した図である。
【図6】実施の形態に係る照明装置を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
10 メタルハライドランプ
18 口金
64,66 口金ピン
68 凹部
70 ランプソケット
78,80 口金ピン挿入孔
82 柱状突起
90 照明装置
92 照明器具
P 円弧中心(回転中心)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略弧状に開口した一対の口金ピン挿入孔を有するランプソケットに、口金本体の底部から突出した一対の口金ピンの各々が対応する前記口金ピン挿入孔に挿入された後、所定角度回転されて装着される口金を備える金属蒸気放電ランプであって、
前記口金は、前記口金本体の前記底部であって、前記所定角度回転される際の回転中心上に設けられた凹部を有し、前記ランプソケットに装着された状態において、前記凹部が前記ランプソケットに形成された略柱状の突起に嵌合していることを特徴とする金属蒸気放電ランプ。
【請求項2】
口金本体の底部から突出した一対の口金ピンを有する口金が、略弧状に開口した一対の口金ピン挿入孔を有し、前記一対の口金ピンの各々が対応する前記口金ピン挿入孔に挿入された後、所定角度回転されて装着されるランプソケットであって、
前記所定角度回転される際の回転中心上に設けられた略柱状の突起を有し、前記口金が装着された状態において、当該突起が前記口金本体の前記底部に設けられた凹部に嵌合していることを特徴とするランプソケット。
【請求項3】
略弧状に開口した一対の口金ピン挿入孔を有するランプソケットを備える照明器具と、
前記ランプソケットに、口金本体の底部から突出した一対の口金ピンの各々が対応する前記口金ピン挿入孔に挿入された後、所定角度回転されて装着される口金を備える金属蒸気放電ランプと、
を有する照明装置であって、
前記ランプソケットは、前記所定角度回転される際の回転中心上に設けられた略柱状の突起を有し、
前記口金は、前記口金本体の前記底部に、前記ランプソケットに装着された状態において、前記突起が嵌合する凹部を有していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−80678(P2007−80678A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267334(P2005−267334)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】